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岩井三四二 / 光文社文庫 (3件のレビュー)
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多方面からの三成解析
石田三成のように評価が一定しない人物を、本人自身ではなく、多くの関係者の口を借りて活写してゆく という手法を取っている。手法そのものは珍しくはないが、縁の遠い東軍の将兵から、西軍、家中、身内と話者をど…んどん身近にしてゆくなど、ずいぶん構成を工夫している。話しぶりも、お国言葉を存分に交え変化をつけているところが面白い。この作者 特有のユーモアや諧謔はそれほど感じられないが、話の組み立ての上手さは、この作者の作品の中でも第一番に挙げられるのではないかと思う。続きを読む
投稿日:2022.04.17
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たけ
関ヶ原の戦い&石田三成を描いた本としてはかなり構成が斬新で面白かった。三成が生きたその当時を描くのではなく、後世から振り返り新たな輪郭を浮き彫りにしていくという斬新な物語にいつのまにか惹き込まれていた…。 何も知らない町人が厳命を受けて三成についての話を全国の当事者たちに訪ねて回る中で、次第に三成の人となりが浮かび上がってくる。 語り手も勝者や権力者でなく、様々な陣営のあらゆる立場の者たちだからこそ飾られてない関ヶ原の戦いの様子や石田三成の性格が語られるのが面白い展開である。続きを読む
投稿日:2024.04.14
だまし売りNo
西軍の総大将の毛利輝元については様々な見方がある。伝統的な見解は担がれただけとする。葉室麟『風の王国 官兵衛異聞』では元就譲りの陰謀家に描かれる。実際、輝元は四国から九州北部には活発な軍事行動を行って…いた。大阪城から出陣せず、関ヶ原の合戦には消極姿勢を持っていた。 輝元の二面性について本書は回答を出している。輝元は自身の領国拡大を目的にしていた。それ故に自領の延長線上にある四国や九州への軍事行動には積極的であった。領土が拡大すればよく、豊臣と徳川の関係はどうでも良かった。天下を意識していた徳川家康とは役者が違っていた。 同じことは上杉景勝にも言われることがある。景勝は徳川家康を追撃せず、最上攻めを行った。景勝は義の人とされるが、天下ではなく、領国の拡大という戦国大名的発想であったとする。これに対して本書は、家康は宇都宮に結城秀康を残し、備えは万全であって、追撃したくてもできなかったとの立場である。徳川の大軍を自領に誘い込んで迎撃する構想であり、関東に攻める兵站の準備はなかったとする。続きを読む
投稿日:2023.06.09
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