【感想】バッタを倒しにアフリカへ

前野ウルド浩太郎 / 光文社新書
(585件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
280
179
57
7
0
  • 実に読みやすいバッタ博士の現地調査譚

    まずは文章がとても読みやすい。
    ファーブル昆虫記を読んで育ちバッタ研究者にまでなった作者だからだろうか。
    エピソード一つ一つが興味深い点や作者の性格が面白いもあるのだろうが、言葉がすっと入ってくるし、現地の写真もあわせて読みやすい。
    現地調査を楽しんでいる様子が生き生きと伝わってくる。
    研究結果だけではなくそのためのフィールドワークの内容やどのような考えで調査を行ったのかが語られていて、とても楽しく読めた。
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    投稿日:2021.11.02

  • 夢を追い続けることの素晴らしさを教えてくれる本

    無職で昆虫博士の著者が単身アフリカに渡り、バッタ研究に奮闘する話。
    この方の文章、研究者なのにユーモアに富んでいてとにかく面白い。
    「億千万の胸騒ぎが全身を走った」とか「絹ごし豆腐顔負けの細やかな心遣い」とか「アタタタとキーボードを叩きまくる」などの表現がツボにはまりました。
    なによりもモーリタニアの国民性や研究所の所長の言葉には感動します。
    研究成果は論文発表後ということなので、ぜひ続編を期待したいです。
    でも、バッタを愛しているのにバッタを退治するために研究するって、自己矛盾に悩むことはないのでしょうか?
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    投稿日:2017.11.20

  • 夢の意義

    冒頭から著者様のテンポ良い語り口に引き込まれどんどん読み進めて 気がつけば読了していました。

    夢って何だったのだろう。
    私自身、何か一つのことに夢中になって成し遂げようだなんて 思ったこともありませんでした。
    ましてや、経済的に追い込まれても尚やり続けるというのは至難の技です。
    誰もが人生の半ばで失ってしまったもの。
    夢の意義。大切さ。それに気づかせてくれるような夢を持った【永遠の昆虫愛好青年】のお話です。
    著者様は【きちんとお給金を頂いて働いている方は偉い】と書いていらっしゃいましたが、私はこんな生き方や信念を持っていらっしゃる著書様こそが本当に偉く思えます。
    もう一つの著書も読んでみますね〜
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    投稿日:2017.07.01

ブクログレビュー

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  • よみよみ読書速報

    よみよみ読書速報

    このレビューはネタバレを含みます

     ふざけたタイトルと表紙のバッタコスプレに惹かれて購入。正直バッタ、アフリカ、どちらも興味のないテーマだったので読み切れるか不安だった。でも、意外と面白くて一気に読了した。

     良かった点は2つある。
     1つめは、ユーモア溢れる文体が読みやすいこと。学者なのに堅苦しい感じはなく、クスっと笑えるような砕けた文体ですらすら読めた。所々本音が出ちゃう著者の心の声が可愛い。また、バッタの生態についても分かりやすく説明してくれるのも助かる。単体の時と集団の時で色が変わるのは知らなかった。

     2つめは、冒険小説のようなワクワクを味わえること。人間vs大群のバッタ、人間側はどうやって立ち向かうのか見ものだった。仲間を集めて魔王に立ち向かうドラクエの勇者一行みたい。
     相棒ティジャニやババ署長など癖が強い仲間も多く見ていて飽きない。ティジャニは最初コータローから金を騙し取って汚いイメージで好きになれなかった。でも、何だかんだコータローのドライバーとして尽くしてくれたり、料理を振る舞ったり現地人と交渉したり、体を張ってくれたので好きになってくる。
     ババ署長は優しくて困った時に近くに居て欲しいタイプ。コータローが挫けそうな時にかけてくれた言葉が印象に残る。コータローの精神面を支えた意味ではかなりの功労者だと思う。
     最後は緑服を大量のバッタに喰われて著者が報われる最高のエンドを期待してたけど残念。ドキュメンタリーだし脚色できないからしょうがないね。

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    投稿日:2024.06.03

  • ぼの

    ぼの

    文章にユーモアが溢れていて楽しい。子供たちのバッタ買取キャンペーンや、サソリに刺された時の反応など、思い出して笑ってしまう。アフリカ滞在記としても面白かったし、研究者たちの苦労も垣間見ることができた。好きを仕事にするって大変。でも、情熱で乗り切る前野さんは凄い!すぐにバッタに会えると思っていたので、苦労して会えた時には胸熱だった。次回作も楽しみ続きを読む

    投稿日:2024.06.02

  • 肋骨臀部

    肋骨臀部

    面白い。ガッツがあって頭も良くてコミュ力のある人だ。バッタ博士そのものに興味を持ってもらうという策がハマるのもこの人あってこそだろう。何よりさまざまな事件の描写が面白い。モーリタニアで研究するために生まれてきたみたいな人だ。続編も楽しみ。続きを読む

    投稿日:2024.05.31

  • Hisa

    Hisa

    バッタ研究に全力を捧げた若き研究者の奮闘記。モーリタニアという国をご存知だろうか。馴染みの無い名前だが、実は日本で食べられているタコの30%はモーリタニアからの輸入なのだと言う。アフリカに位置するこの国では「神の罰」と呼ばれるサバクトビバッタの大発生が起きる事がある。筆者の前田氏はそのバッタに魅入られ、フィールドワークを目的にモーリタニアに赴いた方。

    語り口は軽妙で所々にクスッと笑えるネタが入っているが、バッタ研究を通じて人々を救おうとするこの思いには頭が下がる。海外暮らしをした事があると日本の「有り難み」を思い知らされるが、少しすると慣れてしまう。そんな時は少しのラマダンを行ってみるのも良いかもしれないと思った。
    続きを読む

    投稿日:2024.05.29

  • fuming

    fuming

    面白く読めたけど著者の研究者としての熱い想いや支えてくれた人たちへの感謝が長い。
    もっとモーリタニアでの生活やバッタの生態、研究方法などにページを割いて欲しかった。
    論文発表前で、研究内容には触れられなかったとのことなので次作に期待。
    続きを読む

    投稿日:2024.05.28

  • 黒い☆安息日

    黒い☆安息日

    このレビューはネタバレを含みます

    凄く面白いとの前評判はたくさん耳にしていたのだが、虫にあまり興味がない上に、表紙のイロモノっぽさ、あおりの下手な(読書前はそう思った)ナウシカパロディ…、俺の趣味じゃないやろなぁと敬遠してしまっていたのだが。

    いや、先入観大間違い、この本すごく良い!大体掘り下げが弱いこの手の新書で、ここまで面白いのは珍しいと思う。表紙のイロモノにはイロモノの理由があり、ナウシカパロディの下手さは著者の愛すべき性格の一端であり、虫に興味なくても昆虫学を深く掘り下げるのがメインテーマではないのだから、先入観はすべからく杞憂。

    博士号を持つ学者が自分の研究するテーマをいかに愛してやまないか、転校状態や懐の乏しさ時間との闘い等、研究の障害となること一つ一つに向き合い、解決したり諦めて受け入れたり、なりふり構わずあがいたり、そういう姿がカッコ良くて感動的で読ませるのだ。

    世間にはいろんな問題が山積していて、息苦しくて窮屈で退屈な日々を憂いてる人も多いと思うし、時には俺もそうやけど、この本を読んだら「それでも自分が本当にしたいことに熱中してきちんと向き合おう」と思える勇気をもらえるのだ。それがもう圧倒的に気持ちよい読書体験となるのだ。

    どうやらこないだ続編も出版されたようで、前野ウルド博士はご健在の様、ますますのご活躍を祈念しております。

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    投稿日:2024.05.27

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