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五十嵐大介 / アフタヌーン (18件のレビュー)
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総合評価:
killingHead
3
あまりに無慈悲なハードコア・バイオSF
人化動物(ヒューマナイズド・アニマル)という、動物の身体能力と人間の知性を融合させたキメラ生物たちの話。 登場人物に遺伝子操作の倫理や感傷は皆無で、ビジネスとして戦闘に特化した生物が描かれています。 …たとえば足が極端に短いブタを作って、「大人になると自分で歩けなくなるから効率的に太っていいわね」なんて具合です。 表紙のように「人頭」の動物も出ますが、五十嵐大介先生の超がつくほど写実的な描写にはただならぬ説得力を感じます。 そもそもこのテーマですが、「ヒューマナイズドマウス」とか「キメラ臓器移植」等と検索するととんでもなくえげつない……が、同時に合理的な将来性もある話題に遭遇します。 つまり単なる思いつきの空想科学ではなく、ある部分では近未来に起こりうる現実の話題が含まれています。 よくぞこんなにもドス黒く人類の光と闇と利権が入り混じったテーマを選んだなと思います。 ただ、唐突に挿入されるコマの動物や昆虫の異様なリアルさを見ると、愛ゆえの選択なのかなとも感じます。 五十嵐氏の作品と言うと、すさまじいインパクトがあるもののぶっちゃけ観念的でとっつきにくいものも多いのですが、本作については「アクションもの」としても楽しめる内容です。 隔号連載中というのもあるのか、各話で必ず「見せ場」のようなアクションシーンがあります。 ただ淡々としたセリフにも数多くの示唆や暗示があり、とんでもなく高密度な内容なのでそういう作品が好きな方にもおすすめです。 個人的には、もはや魔法のような戦闘をこなしながら、自分が数秒でボコボコにした「弱い先生」を思い出すシーンが心に残りました。 ちなみに毎号買っているアフタヌーン本誌で連載をすべて読んでいたので、購入はちょっと迷いました。 しかし、「あれ、なんでここセリフ変えたんだろ」と思ったら……うおぅ、という感じで数十ページに及ぶ加筆がありました。 こんなに買ってよかったと思った単行本もなかなか無いですね。 なお第一話のみ「モアイ」公式サイトで試し読みがあるので、ここで違いを確認してみるのも面白いでしょう。 ただ一点、連載前に発表された前日譚のような読切「ウムヴェルト」が収録されていないのは残念。 これはオクダやまだ幼い頃のクーベルチュールの話で、「なぜカエルなのか」や人化動物の真の目的も語られています。 ひょっとしたら後々どこかで収録されるかもしれませんが、気になる方はアフタヌーン2014年6月号でどうぞ。 * (追記)上記読み切りは、その名も「ウムヴェルト」という3月発売の短編集に収録されるとのこと。(安心)続きを読む
投稿日:2016.03.05
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BACH/バッハ
デザインされた生命はどこへいく
『リトル・フォレスト』や『海獣の子供』で知られる五十嵐大介は、 どの作品でも目の前の命と壮大な自然、地球という存在をリンクさせ、 生けるものの尊厳を描いてきた。 それは身近な農業という話題だったり、母…なる海とのつながりであったり。 今回、描かれるのはたしかに生命の尊厳に関わることではなるのだが、 ハードSF的な世界のなかで生命/遺伝子の操作がテーマになっている。 HA(ヒューマナイズド・アニマル)と呼ばれる半人間は、 欲望にまみれた人間によって利用するためだけに”設計(デザイン)され””生産された” と言える。 人間の進化が行き着く果てにはいないかもしれないつくられた存在。 歴史の文脈に今後も出る予定がなかった特異点的がつくられていく。 神が想定も、望みもしていなかったかもしれないガンダムで言うニュータイプ的な存在は、大いなる自然の法則のなかでどんな生存競争のなかで生きていくのか。 軍事的利用、商業的利用、文化的利用…、理由はさまざまでも彼らはどこかで利用される存在なのかもしれない。 彼/彼女たちは2巻以降どんな動きを見せるのか。 戦いの構図はどうなるのか、人間という存在の醜悪さと希望を同時に感得してみたい。続きを読む
投稿日:2016.03.29
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7do8bu1991
五十嵐大介氏の作品『ディザインズ』の1巻を読了。久々に五十嵐大介氏の作品を読んだ。 この作品は・・・まだ1巻しか読んでないのですが。。。 世界観が繊細で好き。
投稿日:2019.12.03
Miyabi *.
この漫画にあるような遺伝子操作が本当に可能で、本当にカエルと同じ皮膚を持った人間として生まれたら 一体どんなふうに世界を感じられるんだろうか 全てがデザインされて生まれた、完全なはずの生物 けれど結…局 人間には完全な生命をデザインすることはできないことが徐々に分かってくる 海獣の子供とも繋がる イルカの能力を持った子供たちとか やはり描かれる 人間の愚かさとか。 前日譚にもなるような短編集のウムヴェルトを読む中で、"神から最も遠い存在になってしまった人間"というセリフをオクダが語ってる。アダムとイブの原罪によって、神の似姿として創造されたにもかかわらず完全さからとうの昔にこぼれてしまった不完全な人間は、創造されたそのとおりに完全なまま、全ての生命と共鳴して生きるその他の生物達に劣る。 いつもどおりアニミズム的、 けど命一つが軽すぎて読んでて気持ち悪くなるくらい 宇宙的な神話的展開はまだないけど 五十嵐さんの作品は結構根底的に 同じようなテーマ モチーフが溢れてる続きを読む
投稿日:2019.07.02
ヴェロニク
最近「しっぽの声」を読んだ身としては、多少厳しいところもあるのですが、 これまでの作者テイストとはちょっと違うのに、話の運びに引き込まれ、あ、やっぱこの人の話好きだなぁ、と思えました。次も楽しみです。…ジャスミンとお屋敷がかわいい。続きを読む
投稿日:2018.05.27
chikachan
とにかく絵がすき!物語は遺伝子操作を受けた少年少女たちの戦い。異形の美とゆうか人物造形がすごい。これからどう展開するのか楽しみ。
投稿日:2017.08.27
scaramouche
このレビューはネタバレを含みます
五十嵐大介作品は初読。 人間の要素を遺伝子に混ぜて造られた動物たちの物語。 キャラクターも台詞回しも設定も筋書きも、作り込みが細かくて格好良い。 漫画としても、一枚絵の見せ方や、効果線の使い分け、液体や光の表現などが出色で、漫画であるからこそできることが詰め込まれている感じがする。
投稿日:2017.04.01
881
命の観念とか倫理とか…に通じるようでいて、クーベルチュールお嬢様の、一人の女の子の、物語になりそうな予感。 静かな夜の森に、温かみを感じるようになる。
投稿日:2017.02.07
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