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有栖川有栖 / 角川文庫 (40件のレビュー)
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総合評価:
ツクヨミ
8
余韻じんわりな大阪怪談集
大阪を舞台にした怪談集。大阪にある7つの坂(天王寺七坂)をモチーフにした現代もの7編と、芭蕉や藤原家隆が出てくる歴史もの2編の、計9編が収録されています。 怪談といってもあまり怖くはなく(個人的に「口…縄坂」だけはぞわっときましたが)、幽霊などの怪異を織り込んではいるものの、メインとなるのはあくまでも人と人とのつながりや心の動きです。また、どの短編もラストが印象的で、最後の行を読み終えたあともじんわり心に残るものがあります。作品によって、それは温かかったりほろ苦かったりするのですが……。 特に好きなのは、切ないながらも希望の見えるラストが魅力の「真言坂」と、こぢんまりとした料理屋で交わされる会話が楽しい「天神坂」です。 著者のミステリ作品などに比べて文体が渋め(重め?)ですが、この本の内容には合っていると思います。芭蕉の一人称で語られる「枯野」は、当時の空気が感じられる味わい深い1編でした。続きを読む
投稿日:2016.02.25
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くっちゃね村のねむり姫
ただの怪談で終わらない、幻想的物語
大阪には何度も行ったことがありますし、四天王寺界隈も歩き回ったことがあると思うのですが、天王寺七坂は、全く存じ上げませんでした。坂道というのは、タモリならずとも魅力的な場所ではあります。それにしても…、小説作成のアプローチとして、こんなスタイルもあるのですね。 それに、あとがきや解説にもあったとおり、大阪を舞台とした怪談って、考えてみれば思い当たりません。近くに京都、奈良という、そういった物語にはおあつらえ向きの古都が近くにあるのと、井原西鶴の影響が大きいのかもしれませんね。ただ考えてみれば、猥雑さが十分ある土地柄。それに古い歴史がある街ですから、そこに何かしらが息づいていても、おかしくはありませんよね。 ツクヨミさんがレビューで書いておられるとおり、どの短篇も味わい深いものでありました。それぞれ語られる時代が様々なのも計算尽くされた感があります。 その中で、私にとって一番不思議感が残ったのは、「天神坂」であります。あれは、登場人物全員が、あやかしであったのでしょうか?う~ん、後を引きますねぇ。 余韻たっぷりの短篇集でありました。続きを読む
投稿日:2017.09.30
ナチ_コチ_ショチ
大阪の人には、特にたまらないと思われる上質な短編集
天王寺七坂+2編を加えた短編集。作者は、あとがきで『大阪を舞台とした怪談』と記しているが、いづれも読み応え十分なファンタジー作品になっている。決して怪談などと呼ぶようなものではなく、上質この上ないファ…ンタジーである。有栖川氏といえば推理作家のイメージが強いが、氏の別の側面を見たようで是非とも読んで欲しい佳作。続きを読む
投稿日:2018.02.06
老眼の本読み
改めて大阪の良さを知ることができました。
さすが、「大阪ほんま本大賞」受賞作。 単に名作というだけでなく、大阪の「隠れガイドブック」 ともいえる秀作だと思います。 作品片手に、悠久の歴史ある天王寺七坂を巡りたいと思っています。
投稿日:2018.03.09
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すず
有栖川有栖ってミステリーのイメージだったけど、こういう艶っぽい文体の怪談書くんだな。あまり話が趣味ではなかったものも多かったけど、同僚だった男の話とかじんわりいい話もあってよかった。
投稿日:2023.12.23
まさお
有栖川ミステリ作品が好きなのですが、この作品はミステリーではなく怪談。 文章の美しさ、読みやすさはさすがです。 大阪の地理、古典文学、松尾芭蕉、極楽浄土思想などについて知識と関心がない方は読むのは辛い…かもしれません。(私は東京在住で古典も日本史も浅学なので、無理矢理読みました)続きを読む
投稿日:2023.08.03
こんちゃん
昔読んだ本を再読しました。 同著者の濱地健三郎が、確かこの本のどこかの坂で出てきたなぁと思い出して。 いました。濱地さん、ご健在で。呪える~が文庫化したら買おうとしている身です。 幻坂も短編集で読みや…すいので、まだ読んでない方は是非。続きを読む
投稿日:2023.04.28
近藤真弓
大阪もこんな風情のある場所があるんですね。 読みながら、訪れてみたいなーと思う場所が多々ありました。
投稿日:2023.01.07
みんみん
大阪の天王寺の七坂にまつわるあやかしの話。私は、生玉さんが好きで、何度かお参りに行きました。御朱印ももらいました。真言坂は知らなかったな。坂は歩いているんだけど、あの坂が天王寺七坂なんだ。この話のよう…に、幻が見たくなりました。幻と話してみたい。けど,婚約者にも見えたなら,幻ではないのかも。七坂では、本当に不思議なことが起こるかも知れない。物語の背景に触れながら歩けば、何かの不思議に出会えるかも。続きを読む
投稿日:2022.11.06
caninha
有栖川さんの幻想怪談短編集。濱地さんが時折出てくるのもいい。個人的には「真言坂」の話が一番好き。 実際の坂の景色も見てみたくなりました。
投稿日:2022.04.06
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