【感想】夜明けの星

池波正太郎 / 文春文庫
(8件のレビュー)

総合評価:

平均 3.3
1
1
3
1
0
  • 凄いの一言しか出ない

    父を殺された娘とその殺し屋の、近くに遠くに交錯していく、二人の大河小説なのだろう。
    とにかく面白い!
    説教臭さなど微塵もないのに、どうしてか胸のうちに深く刻まれる人生訓がある。
    ついさっきまで声をあげて笑っていたのに、読み終えてううと唸っている。
    剣客商売より、梅安より面白い池波正太郎を見つけた気がしてうれしかった。
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    投稿日:2014.12.19

ブクログレビュー

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  • じゅう

    じゅう

    「池波正太郎」の長篇時代小説『新装版 夜明けの星』を読みました。

    時代小説が続いていますね… 「池波正太郎」作品は、昨年11月に読んだ『新装版 幕末新選組』以来です。

    -----story-------------
    越後の国を出て十六年、江戸の町で父の仇敵を探し続ける浪人「堀辰蔵」。
    飢えて疲れきった「辰蔵」はある日ささいなことで逆上し、見知らぬ煙管師の頸すじに斬りつけてしまう。
    父と仲良くふたり暮しだった煙管師の娘「お道」は、これで天涯孤独の身となった。
    近隣の人々に見守られ、気丈に生きていく「お道」と、仇討ち転じて闇の世界の仕掛人となった「辰蔵」の凄絶な半生。
    折にふれ、奇妙にもつれ合う「お道」と「辰蔵」の運命を、「池波正太郎」が円熟の筆で描いた名作。
    -----------------------

    週刊誌「サンデー毎日」に半年間連載され、1980年(昭和55年)に刊行された作品です、、、

    闇の世界の仕掛人の道を歩み始める男「堀辰蔵」と、「辰蔵」に父を斬殺された娘「お道」… 悪夢のような一瞬が決めた二人の運命をしみじみと描く時代長篇でした。

     ■夢魔
     ■豪雨
     ■若松屋お徳
     ■玉子焼
     ■土蔵の中
     ■若松屋お道
     ■歳月
     ■雪の朝
     ■橋の上
     ■星の瞬き
     ■解説 重金敦之

    越後は新発田藩の足軽の息子で、江戸で父の敵を探しつづける浪人「堀辰蔵」は、空腹のあまり逆上し、煙管師を斬殺してしまう… 父と二人暮らしだった煙管師の娘「お道」は天涯孤独となった、、、

    「お道」は、深川黒江町の御用聞き「佐吉」が営む料理屋「万常」に女中として身を寄せ、やがてお客である浅草の小間物問屋「若松屋」のお内儀「お徳」に見込まれ、女中として「お徳」に仕えることに… 「お徳」は「鬼婆」と噂されるほど癇性が強い女で、この上なく厳しく口うるさい人だったが、それでも「お道」は懸命に奉公する。

    一方の「辰蔵」は、煙管師を殺めた後、自己嫌悪と飢えから行く末に絶望し悲観、自棄から死を覚悟するが、流れ流れて行き倒れる寸前に拾われた謎の浪人「三井覚兵衛」の縁で、暗黒街に足を踏み入れ、金で人殺しを請け負う凄腕の仕掛人になってゆく… やがて「お道」は、「若松屋」の一人息子で厳しい母親のせいで嫁に逃げられてばかりの「芳太郎」に強引に関係を結ばされ、子どもをもうけ、そして「芳太郎」の妻・「若松屋」の若い内儀となってゆく、、、

    「辰蔵」は、人殺しを重ね、虚無的な日々を送り、やがて「羽沢」の「嘉兵衛」を暗殺した「三井覚兵衛」とも確執を深めてゆく… 「辰蔵」の前にも後にも、もはや何もない幾星霜があるだけ。

    「辰蔵」が「お道」の父を殺して25年の月日が流れたとき、二人は互いにそうと知らずに相まみえる… 行き倒れになりそうだった「辰蔵」を「お道」が助け、「辰蔵」は「若松屋」で厄介になることに、、、

    しかし、死期が近付いていることを悟った「辰蔵」は、密かに「若松屋」を離れ、この世の名残に鎌倉見物を目指す… 「辰蔵」が両国橋にさしかかったところで、「お道」の娘「お光」が四人の浪人に絡まれているところに出くわし、自らの命を懸けて浪人に向かっていく。

    切ないラストシーンでしたね… 人間の運命の不思議さ、悪事を重ねた末に己が生きた証を立てる男の生き様、弱い者に優しい江戸の市井の人々の姿が印象に残りました、、、

    「辰蔵」が「お道」の父を殺した際に落としてしまった蜻蛉を刻り込んだ銀煙管… 二人をつなぐ小道具として、もう少し出番があるかと思いましたが、期待ほどの出番はなかったですね。
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    投稿日:2023.04.13

  • りんごほっぺ

    りんごほっぺ

    空腹で理性を失って、何の関係もない煙管師を殺した堀辰蔵と、殺された煙管師のひとり娘お道のそれぞれの人生を描いたお話。
    辰蔵は自分の罪と向き合わないし、お道は物語が進む中で幾重にも犯罪被害者になっていて、でも何だかうやむやと受け入れているし、現代的なモラルからすると正直すごくモヤモヤが残る…
    倫理観とか人権感覚をいったんリセットして読めたら、また違った印象で味わえたのかもしれないけれど。
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    投稿日:2022.12.06

  • Hankacho(評価せず感想のみ)

    Hankacho(評価せず感想のみ)

    L

    渋い!やっぱい渋いぞ、池波正太郎!
    ハードボイルドじゃない渋さ、堪らないね。
    自分を見失って心無い殺人を犯してしまった侍と、父を殺され天涯孤独になってしまった娘。
    この仇の間柄になる二人な一生に何度かすれ違い、それでもお互い交わることなく人生を歩んでいく。
    なにがすごいって二人とも試練はあっても決して不幸じゃないってことかな。なんだか込み上げるものが。
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    投稿日:2015.09.22

  • dysm3636

    dysm3636

    江戸の闇にうごめく殺し屋と数奇な運命に翻弄される市井の薄幸な少女の暮らしを描いた作品。本書は藤枝梅安や彦次郎こそ登場しないが、描かれるは「仕掛人」の世界である。

    投稿日:2014.12.15

  • restred1976

    restred1976

    煙草職人を惨殺して浪人堀とその煙草職人の娘のお道の話。

    最後の最後に堀はお道に償いをする。

    人生万事塞翁が馬。因果応報。

    世の中には生きていないほうがいい人間もいる。

    投稿日:2014.08.10

  • kuroshiba0508

    kuroshiba0508

    このレビューはネタバレを含みます

    完本 池波正太郎 大成23にて読了。

    幼い頃に母を亡くし、またわずか13才で父も殺されてしまったお道。
    そして、お道の父親を殺してしまった堀辰蔵。
    この二人の数奇な人生。

    お道は、色々と辛い目にあいながらも佐吉親分始め周囲の人々の優しさの中、成長していく。
    後に奉公する小間物問屋・若松屋のお内儀のお徳は厳しいことで有名な人であったが、それも優しさ故のものだった。
    痩せっぽちの色黒の不幸な少女が立派な女性へと変わっていく姿が気持ちよかった。
    確か、「おせん」でもこれと似たような短編があったような…。

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    投稿日:2012.09.10

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