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翠雨の人
翠雨の人
伊与原新/新潮社
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総合評価

123件)
4.1
35
61
20
2
0
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    伊与原さんの小説にハマりつつあり、読む機会を得て、一気に読み切りました。 猿橋賞は知っていて、受賞者が女性であることも知っていて。 ですが、それだけ。 だから、この本の帯を見て、 ああ!猿橋賞の猿橋さん、、、。 と声に出してしまいました。 猿橋さんはどんな人なのか、を、伊与原さんが書くとどうなるのか知りたくて読み始めました。 かなり専門的な科学・化学用語や理系チックな用語が 数多く登場しますので、読み進みづらいこともありました。ですが、用語が理解出来なくても、猿橋さんのことは十分に理解できるし、あの時代(昭和初期から戦前、戦後、、、)に生きた女性たちの恐ろしく強い精神力や行動力があったからこそ、今の私たちは、生きやすい。 タイトルに「雨」があり、各章には天気にまつわる言葉があり、なぜかな?と思えば、なるほど、、、。猿橋さんのこの道に進むことになったきっかけが「雨」。 このあたりのタイトルの付け方もさすが伊与原さん!!

    21
    投稿日: 2026.03.21
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    すばらしい物語。高市さんにも読んでほしい。 ガラスの天井というのはこれだ。 戦争、社会、男性社会など様々な逆行に晒されながらも、生き抜く生き様。また、その時々の主人公を助ける周囲の人が素晴らしい。程度は違えどまだまだ現代にも残る問題はある。歴史は繋がり続いている。

    1
    投稿日: 2026.03.14
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    伊与原さんの科学(今回は化学)を基にした物語はやはり面白い。科学的な情報や知識に人間ドラマが組み合わさると、ある種の化学反応が起こるのだと感じた。勝子さんの人生との向き合い方に、自分の生き方を改めて考える機会をもらえた。

    1
    投稿日: 2026.03.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    伊与原新作品らしさを残した、偉人伝的フィクション小説 猿橋勝子という人物の存在を初めて知った リケジョなんて言葉が出来るずっと前から女性の科学者はいたし、彼女達が積み上げて紡ぎ続けてきたからこその今がある そしてその意志はやっぱり繋がっているのだと思う 真摯に研究に向き合ってきた一人の女性の一生を垣間見られた一冊でした

    2
    投稿日: 2026.03.08
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    宙わたる教室、藍を継ぐ海の直木賞作家の作品。 最初は小説家と思っていたが、 猿橋勝子さん、 実在の人物、地球科学者。 1920-2007 杉並の馬橋で研究をし、 ビキニ環礁、福竜丸の放射性物質を分析し、 平塚頼てうの推薦で世界会議で講演し、 物質の危険性、水爆実験の愚かさを訴え、 ついにはアメリカに水爆実験中止を決断させる。 何事も正攻法でこだわる一女性の勝利だ。 そういう女性科学者がいたことを知らなかった。 活躍する女性科学者に猿橋賞が贈られているという。 先駆け。 それをわかりやすく丁寧に描いている小説。 私事だが 研究所が杉並区の馬橋きょうだいのお名前が勝子と英一 なんか親近感がわく。 序章 第一章 翠雨の頃 すいう 第二章 霧氷の頃 むひょう 第三章 飄風の頃 ひょうふう 第四章 虹橋の頃 こうきょう 終章

    2
    投稿日: 2026.03.06
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    派手さも華やさもない、勝子の静かな情熱が、丁寧に語られていた。 前半、読むのをやめなくてよかった。 途中から熱に当てたれて、一気に読んだ。

    1
    投稿日: 2026.02.25
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    未だ女性活躍の場が殆ど与えられ無かった時代に研究者として確固たる地位を築いた女性の生涯が、更に現代まで脈々と受け継がれている事が分かる。ただ、研究内容の専門性に寄り過ぎた為、やや人物伝として薄かった印象。

    4
    投稿日: 2026.02.22
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    この作品を読み終えて、あらためて自分の人生に向き合う気持ちになった 過去を振り返るのではなく、これからどう生きるか

    3
    投稿日: 2026.02.10
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    伝記物。猿橋勝子さん、海洋放射線の検出、研究を評価された人…名前には何となく覚えがあったような…でも途中までは伝記とは気付かずに読んでいた。 勝子は真っ直ぐにただ真っ直ぐに「やるべきこと」を成し遂げた、感じ。伊与原さんの書く人は、いつも「フラット」な気がする。フォルサム博士との「分析対決」がちょっと駆け足過ぎなのと、もう少し勝子の日常を描いていたら…伝記なので仕方ないかな。

    3
    投稿日: 2026.02.01
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    久しぶりに小説を読んだ。 読んでて怖くなった。 戦前から戦後へと 原爆、水爆実験という現実に 果敢に、地道に、けれどぶれることなく 挑む科学者の姿勢に心から尊敬の念を持った。 そして彼らを取り巻く戦前の社会情勢は まさに、今と同じなのである。 ただ単に素晴らしい女性科学者賛辞では 終わってはいけないと思った。 私たちに 科学とは 歴史とは 何を学んで行動するべきか教えてくれた。

    3
    投稿日: 2026.01.31
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    猿橋勝子さんの生涯を軸にフィクションも混じえながら書き起こされた物語。 戦前から戦後の渦中に第一線にいたからこそ、この物語を通して時代特有の影を感じる。(男女差別、戦争、欧米との摩擦) どんな時も真っ直ぐに、真面目に科学と向き合う姿勢に心打たれる。 前に進むことを三宅先生や周囲の人達が後押ししてくれたからこそ、彼女もただひたすらに目の前の事象や自らの役割に向き合えたと感じる。 後世も科学が人を幸福にするためだけに利用されることを願って止まない。

    2
    投稿日: 2026.01.31
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    基本、文化系の人間なので、科学の面白さはあまりに理解出来ないのだが、そんなことはぬきにして、主人公の強さに心惹かれる

    12
    投稿日: 2026.01.29
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    伊与原新さんを知ったのはテレビドラマでした。ドラマが良かったので、原作者を調べ伊与原新さんを知りました。猿橋賞の元となった人の話です。淡々と自分のなすべき事をした人です。それは、猿橋さんがそう思いやってきた事です。その結果が、少しずつ世の中が追いついてきた。その長い話です。戦争や、核実験の問題、今に繋がる問題です。そして、女性が研究者として活動していく難しいさが思い晒されます。だからこそ、次世代を育てる為、猿橋賞を設けたのです。猿橋さんたちの努力があってこそ、今の女性科学者の活躍があると思います。伊与原新さんの作品をこれから読んでいきたいと思います。

    0
    投稿日: 2026.01.26
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    戦前から化学研究に情熱を注ぎ、世界に名を知られてからも、女性科学者たちのために、道を切り拓き続け、猿渡賞を創設された猿渡勝子さんの生涯を初めて知った。 女性というだけで蔑視される時代に、さらに日本人という蔑みを受けつつも、ただやるべきことを丁寧に決して手を抜くことなくやり続けて、日本の科学の力を示し、認めさせた猿橋勝子さんの生き方は、多くの後進科学者に勇気を与えてきたのだ。長い時間をかけての地道な研究の先に、偉大な成果が生まれる。でも知られないままの偉人がたくさんいるのだろうと思わずにはいられない作品だった。 紫陽花の表紙が美しい。

    0
    投稿日: 2026.01.22
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    “猿橋賞” 毎年 自然科学分野で優れた業績をあげた女性研究者に贈られる賞。 ニュースで“猿橋賞”のことを聞くたびに 受賞された女性研究者の方をすごいと思い、女性として誇らしく思っていました。 しかし 肝心の“猿橋勝子”のことは まったく知りませんでした。 伊与原新の「翠雨の人」に “猿橋勝子”が描かれていることを知って 手にとりました。 大正9年生まれの猿橋にとって 理科系の大学に入り、気象研究所で地球化学の研究をすることだけでも その頃の女性にとっては 未知の道を歩む、開拓することだったろう。 理科系の著者によって 猿橋女史が 日本学術会議の初の女性会員になり “猿橋賞”を設立するまでの生涯が 科学的に数値を駆使して描かれている。 しかし 「猿橋賞のようなわかりやすい“メダル”でも首に掛けていない限り、今も女性研究者はなかなか正当に評価されない」と 最後に学芸員の言葉で語られているのが、悲しいし、今の現状かな。

    0
    投稿日: 2026.01.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2026.1.20読了 華やかではないけれど、地に足のついた、ひたむきな努力でここまできた研究者の物語。

    0
    投稿日: 2026.01.20
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    科学者猿橋勝子の一生に魅了された。 これほど、情熱を傾け探求し続けるとは、並大抵ではないし、その真摯な姿勢ゆえに師に出会い、また友や理解者と巡り会うことになったのだろう。女性が学問をすることを許さない親も多い時代に、勝子の応援者となった家族の愛情も感じられ、スクリプスでのフォルサムとの一騎打ちには、勝子の科学者としての矜持をみた。 科学の発展は、人にとってはいい面ばかりではない。だからこそ、多くの人に関心や興味を持ってほしいし、その正しさを見極める力をつけてほしい。そう言われている気がした。 まず、手始めに、この本を読んで、日常に溢れる科学に気づいてほしいと思います。 (最後に余談、、、著者が、バリバリ理系の人とは知らずに、直木賞作家ということで選んだ本だったのですが、参考文献の多さにびっくりしました)

    0
    投稿日: 2026.01.20
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    女性科学者の先駆け、猿橋勝子の生涯について。 恥ずかしながら、私は日本の第一線で活躍する女性科学者を表彰する「猿橋賞」すら知りませんでした。 勝子は大正九年生まれ。当時の女性は家庭を支える事が当たり前で、学問、特に理系の分野では女性の活躍が難しい上、戦前、戦後の日本人の研究者の立場は世界的にも低い。 そんな中、真摯に科学と向き合い、アメリカの水爆実験による放射能汚染の実態究明に取組む姿に胸を打たれます。 また、戦争の悲惨さや、水爆実験による放射能汚染等、詳しく説明されていて、今の人類の幸福と平和は先人達の功績のおかげなんだと改めて感じさせていただきました。

    21
    投稿日: 2026.01.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    戦後 女性 科学者の生涯 戦況があらゆる方面で急激に悪化し、国民全てが戦争に捧げられている今、個人の思想や希望が顧みられることはほぼなくなった。 科学者は おとぎ話のような感動を与える自然現象に向かっている子供 人々の心を占めているのはもはや国の勝ち負けなどではなく、自分が生き残れるかどうかであった。 一流と呼ばれる人は皆、困難や逆境に打ち勝つ意志と力を持っている。だからこそ、誰もない得なかった研究を成功させることができる。 これは、敗戦という歴史的なハンデを背負った、日本科学者たちの 道場破りなのです

    0
    投稿日: 2026.01.16
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    猿橋賞という言葉すら知らなかったが、原爆や放射能のことについて知れてよかった。今の平和は先人のおかげ。

    15
    投稿日: 2026.01.13
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    推理小説に比べれば続きが気になる、というものではないが、読んで良かった。 恥ずかしながらDr.猿橋のことは初めて知った。理系を選び、研究者になったが、ここまでストイックに向き合ったかというと自分が恥ずかしくなる。 しかも女性研究者の権利を日本に、世界に示した方なんて。恩恵を今受けているのだ、とひしひしと感じる。今は研究者では無い仕事をしているが、勝子さんのように、コツコツ前を見て生きていきたいと思った。

    0
    投稿日: 2026.01.12
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    伊予原さんの著書はいろいろ勉強になって好きなんだけどその点で言うと今回のはちょっと難しかったし、面白く無かった(じっくり読まない自分の読み方に問題があるんだけど)。自伝メインなのでしょうがないけど前半はそれらの説明がメインで今ひとつ。著者の想いがあまり伝わってこなかった。後半はいつもの伊予原節で面白かった。こういう話を教科書、ドラマ、映画で展開していけばリケジョも増えるのかな?

    0
    投稿日: 2026.01.08
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    研究者である著者でしか書けないであろう(言い過ぎ)、研究に向かう科学者たちの思考や姿勢が反映された描写は、同じ理系の者として深く理解できた。(工学部の森さんも同様のテイストを醸し出しているので、唯一無二とは言えないのが残念だが)。猿橋賞の名前だけは知っていたが、その設立に結びつく猿橋さんの話にはぐいぐい引き込まれた。 特に印象に残ったのは、「(前略)核兵器とそれのもたらす災害について、誰よりよく理解しているのは我々科学者であり、科学者には等しくそれを全人類に伝える義務があります。科学者のもっと尊い職務は今や、人類の幸福と平和に貢献する事であり、科学を人間の殺戮と文明の破壊につかわせないことなのです」の文章。右や左関係なく、核兵器の使用がどの様な結果になるのか、科学に携わる者はこの発言を胸に刻み、伝えていかなければいけないと思う(自戒も含めて)。「宙わたる教室」もそうだが、中高生には読んでもらいたい一冊である。 余談だが、本文中に山下奉文(マレーの虎)が出てきたり、参考文献にビキニの海は忘れない(幡多高校生ゼミナール)が出てきたりと、高知県が絡んできてるのも個人的にうれしかった。 この本を読んで、幡多ゼミの活躍に興味を持ってくれる人が出てくると、うれしいなぁ。

    0
    投稿日: 2026.01.07
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    日本のそれも女性の科学者で、放射能について研究していた人がいたこと知らなかった。平塚らいちょうと接点があって、国際会議で登壇してるなんて!科学者はどういう立場であるべきか、考えさせられた。

    0
    投稿日: 2026.01.06
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    (借.新宿区立図書館) 気象化学者で猿橋賞の猿橋勝子の伝記的小説。時々のエピソードをつないでいく方式なのでちょっと盛り上がりに欠けると思っていたら、最後の渡米しての海水放射能測定対決でけっこう盛り上がった。 当時放射能雨とかけっこう問題になっていたことを思い出す。私を含め今の人たちが忘れている(あるいは知らない)ことを再度確認(認識)するという意味もある小説だと思う。

    0
    投稿日: 2026.01.05
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    猿橋賞で知られる猿橋勝子さんの、真っ直ぐな生き方を描く。 とても面白かった。 1人の人生を通して、戦争、敗戦、核を巡る世界の動きが浮かび上がる。女性活躍が議論されるいま、示唆するところは多い。

    1
    投稿日: 2026.01.03
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    猿橋勝子さんのことを、この本を読んで初めて知った。 戦前・戦中・戦後を科学者として力強く駆け抜けていった、このような日本人女性がいたことに、大変誇らしく思った。 中高生の時にこの本を読んでいれば、私の生きる目標になっていたんだろうな。 伊予原新さんが実験や科学についての記述も大変勉強になった。

    13
    投稿日: 2025.12.30
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    科学に人生を捧げた女性、猿橋勝子の生涯。 すごいなぁ。生きかたも、研究への姿勢も、すべてにおいて妥協がない。 そのとき、自分の正直な気持ちに向き合い、決断し、ひたすら努力し続ける。 結婚し子どもを授かることが女性の幸せとされていた時代に、それとは別の選択をする。 もちろん葛藤も孤独もあったが、それでも信じて前進し、世界が戦乱の中にあるときも、戦争が終わってからも、研究者として闘い続けた。 それには恩師の存在もあり、出会いは大事だと思った。 女性科学者としての功績を重ねるにつれて、背負うものも大きくなっていく。 被爆した友。女性を軽視する社会。権威ある存在となった「猿橋勝子」だからこそできることを行動に移してきたのだろう。「猿橋賞」もそのうちの一つ。 猿橋勝子の残してくれたものの大きさを感じるとともに、彼女のひたむきな生きかたに胸をうたれた。

    55
    投稿日: 2025.12.29
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    実在する女性科学者の先駆、猿橋勝子さんの生涯を描いた作品。 あとがきに記されていたように、本作は一部架空の出来事や人物が含まれるフィクションらしい。 けれど、実在する事案を扱った物語は、巻末の膨大な参考文献からも、ノンフィクションのように錯覚してしまった。 日本が戦争モードに突入していく時代。 女性が高学歴であることが疎まれ、学問を志すことが叶わなかった当時、好きな学問で社会的地位を得て自立することの重要性を悟り、その道を貫いた猿橋勝子という女性。 猿橋勝子さんの生い立ちから、科学への信念、科学者としての誇りや責任、女性の生き方にいたるまで、本当に学びが多い作品だった。 理系分野なので苦手意識をもつ方も多いと思うが、伊与原新さんの丁寧な筆致は、平易な言葉を選んで描かれているのでとても分かりやすい。 ご本人は勿論のこと、猿橋さんの師である三宅氏、同僚の奈良岡の存在も大きく、立場や境遇は違っても、志を同じくする同志の大切さを実感した。 特に、奈良岡が猿橋さんに向けた手紙の中で「面倒くささ」について触れた一文がとても素敵だった。 以下、抜粋 『あなたの一番近くで被害を、もとい、ご指導を受けてきた私が保証しますが、あなたの面倒くささは、世界に通用します。面倒くささはすなわち、真面目さであり、粘り強さであり、正しさです。どうか自倍を持ってください。』 私の身近にも、愛すべき面倒くさい人がいる。 面倒くささは、懸命に生きている証だと思う。 その良さを、身近で被害を受けながら笑、理解できる人であり続けたいと思った。 作中で、少し気になったのが、時の流れるスピードにムラがあり、読み進めながらそれに気付かなければならない点。 生涯を描く作品なので、区切りや章、あるいはエピソード毎に、年代などの表記があると、もっと内容がスムーズに理解しやすいような気がした。

    38
    投稿日: 2025.12.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    科学小説が多い伊与原新作品 4冊目 今回は実在の女性科学者 猿橋勝子(さるはしかつこ)の史実ベースのフィクション小説 まだ女性が「若くして嫁ぐことこそ女の幸せ」と言われていた大正時代。 マリー・キュリーに憧れて科学を学ぶため 親を説き伏せ、できたばかりの日本初の女性のための理系専門学校に入学する。 そして 出逢った生涯の師 三宅泰雄 地球化学分野の先駆者で、中央気象台で大気の電場を研究している科学者だ そこで 何も知らない学生の勝子に一から研究の基礎を教え 科学者へと導いていく 戦時中の科学者の想いとは違う 軍との関わり、そして 原爆・・・・ 小さい頃 (雨は何だろう?)と考えた 勝子が放射能の雨に挑んでいく 東大の大学院で地球惑星科学を専攻していた科学者 伊与原らしい切り口で 事細かに勝子の研究の様子を綴っていく。 本物だけに 難しい専門用語がいっぱいでついていけないのだが、それを上回る勝子の研究へのエネルギーが感じられて、文章を追う目がもどかしく思うほどだ。 そして 勝子を応援する周囲の人々が暖かい。 うん これはお盆の特別番組 2時間枠ドラマでやるべきだな ただ学生時代 化学や物理で頭を悩ませた方には ちょっとトラウマになるレベルのお話しかもね。

    1
    投稿日: 2025.12.19
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    最近まで、医学部入試で男女の合格ラインに差を付けていた事を考えれば、猿橋博士の凄さは、想像を絶するものです。

    0
    投稿日: 2025.12.19
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     女性科学者に与えられる「猿橋賞」は知っていた。しかし、猿橋勝子さんの業績等はよく知らなかった。  1920年生まれで、第六高等女学校を経て、帝国女子理学専門学校(現東邦大学理学部)の第1期生として入学した。在学中より中央気象台(現気象庁)研究部の三宅泰雄氏の指導を受け、卒業はそこに就職した。もともと彼女は物理が専門だったのだが、三宅に師事後は地球化学を専門とするようになった。  戦後の1954年のビキニ水爆実験による「死の灰」による大気・海洋汚染の研究以後、三宅と大気及び海洋の放射能汚染の調査研究を行った。その研究成果は部分的核実験禁止条約成立に繋がることになる。  東京大学から女性初の化学での博士号を授与。日本学術会議の女性会員第1号など、女性科学者のパイオニアとして活躍した。そして本書は、彼女の生涯にわたる科学に対しての情熱を描いている。ただし、本書は史実に基づいた「小説」、フィクションである。できれば朝ドラで取り上げてほしいと思った。

    58
    投稿日: 2025.12.18
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    猿橋勝子さん、日本女子科学者の先駆者。戦中、戦後、科学の分野、いや女性へのステレオタイプをぶち破ってくれた。今でも女性の地位が確立したとは言えないが。研究とは、後継を育成する、持続可能な科学の発展。アメリカに渡り、道場破りごとくの実験検証。猿橋賞、猿橋女史の魂が続いている。

    11
    投稿日: 2025.12.14
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    直木賞受賞第一作との帯、 表紙の絵とタイトルに惹かれて購入 表紙、タイトルのイメージとは いい意味で全く違う激しいお話だった 激しいと言っても アクション、出来事がではなく 主人公の内面が 場面転換が映画みたいで ストーリーとしては朝ドラのような… いずれにしても 近いうちに映像化されそう

    1
    投稿日: 2025.12.06
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    伊与原さんの新作です お恥ずかしい話ですが、本作で初めて猿橋勝子さんのことを知りました 猿橋さんは日本の女性科学者の草分けで、優れた女性科学者に贈られる「猿橋賞」の創始者として知られています。 猿橋さんの学生時代から研究の道へと進むところから、戦時中の研究、戦後の放射線汚染の調査を行い核実験の危険性を訴え続ける様が描かれています 実話を元にしたフィクションとありますが、すごい参考文献の数で、いかに伊与原さんがこの作品と、猿橋さんと向き合ってきたかがわかります。 女は大学に行くのも許されない時代に、科学者として生きていくことにどれほど苦労があったか、、、 それでも生涯をかけて研究を続けていかれた姿に感服しました。 研究内容や実験については、専門的な話も多いのですが、専門用語がよくわからなくても伝わってくるものがあり、アメリカとの対決の場面は胸が熱くなりました。 日本人で、女で、ひとりで、ただひたすらに、コツコツと研究を続ける姿が美しくもありました。 時代背景も含め、なんだか朝ドラを見ているような気持ちがしました(*´꒳`*) 猿橋さんの師でもある三宅の存在が大きく、その一言の重さを感じます。 特に戦時中、誰も日本の勝利を疑ってない学生たちについて 『国の教育としては成功 科学教育としては失敗』 という言葉が印象的でした 雨が好きだという猿橋さん。 幼い頃、何もない空から雨が降ってくるのを不思議に思い、ずっと空を眺めていたそうです 『気になる』から『やりたい!』に変わっていく。 『好き』ってすごいパワーですよね 子どもの『好き』を伸ばせるように 接していきたいと思いました(^^) あっという間に11月も終わろうとしてますね。 毎年思いますが、この時期くらいから急に忙しくなりません?? 師走とはよく言ったものです(・_・; (まだ12月じゃないけど) あっという間に今年も終わりそうですね〜(´∀`)

    103
    投稿日: 2025.11.29
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    理系小説の第一人者である伊与原氏の直木賞受賞後 の一冊目の作品です。 自然科学分野の女性科学者を表彰する「猿橋賞」を 創設した、女性科学者の先達として道を切り拓いた 猿橋勝子氏の生涯が描かれています。 戦後、超大国が核兵器装備を進める中、核実験に よる大気汚染を正確な実験データに基に、超大国 を相手に戦う姿勢に感動を覚えます。 科学の分野では日本は世界レベルにあると言って いいのでしょう。 その陰にはこのような先人たちの努力があったから こそなのだと、改めて尊敬の念を抱かずにはいられ ない一冊です。

    1
    投稿日: 2025.11.24
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    日本女性科学者の草分け的存在・猿橋勝子さんの 伝記を読んでいるような気分。 戦争が日常と隣り合わせで描かれていて、改めて「平和」や「科学」というものに考えや思いを巡らせる読書でもありました。 アメリカのビキニ水爆実験で降った「死の灰」の分析など、女性が科学の世界で生きることが難しい時代に、放射能汚染の研究をされていた猿橋さん。 今の暮らしがあるのは、こうして様々な分野で活躍する科学者がいてこそなんだろうな……。 疑問を解き明かしたり、暮らしを豊かにするはずの科学技術が、誰かを苦しめるために使われるなんて悲しいし愚行としか言いようがない。 今も当たり前の日常に歓喜する人々の描写には、ハッとさせられました。 戦争が、私たちからどれほどの日常を奪っていったのかは計り知れない。 猿橋さんのどんな逆境でも立ち上がり、向かっていく不屈の精神と行動力が素敵。 言葉から熱が伝わってくる彼女の演説には痺れました! 世界に大きな影響をもたらした猿橋勝子という女性の人生を、共に駆け抜けたよう。 この本を読めて良かった。朝ドラで見てみたい作品です。 『核兵器とそれのもたらす災害について、誰よりよく理解しているのは我々科学者であり、科学者には等しくそれを全人類に伝える義務があります。科学者のもっとも尊い職務は今や、人類の幸福と平和に貢献することであり、科学を人間の殺戮と文明の破壊に使わせないことなのです』

    3
    投稿日: 2025.11.22
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    読み応えある一冊!分析法とか少々難しいところもあったけど全く嫌悪感なく読めた。こうした面から科学をみれたらもうちょっとたのしめたのかな。

    0
    投稿日: 2025.11.19
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    雨にも色々な呼び名があります。 この本のタイトルの「翠雨」とは、どんな雨なんだろうと思い、調べてみました。新緑の季節に降る、木々の青葉を濡らす雨のことで、夏の季語でした。雨が葉の緑色を翡翠のように美しく見せる情景が思い浮かぶ言葉でした。 主人公の猿橋勝子は、大正九年生まれ。彼女は、雨はどこから降るのだろうと疑問をもつ子どもでした。家族の後押しと自分の納得できる場所を求めて、帝国女子理学専門学校へ行くことになりました。結果的にこの事が彼女の人生を決めたことになりました。 始めは気象研究所に派遣され、研究者として歩んだ彼女は、微量分析の達人と呼ばれ、第五福竜丸事件や原水爆実験による放射能汚染の調査、単身アメリカへ渡っての相互検定などをこなしました。研究に向き合う真摯な姿勢が書かれていました。 一人の自立した女性としての彼女の生き方に背筋が延びる思いがしました。『翠雨の人』というタイトルがぴったりの女性だと思いました。 日々研究に励んだ猿橋勝子さんのことが、この本でより多くの人に知られることを願います。私のように科学の知識がなくても大丈夫。読みやすいです。

    59
    投稿日: 2025.11.19
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    猿橋勝子さんをこのお話を読んで初めて知りました。女性が科学者として戦中戦後を生きていくのは、とても大変な時代に、その先駆者として生きてこられた姿は素晴らしいなと思いました。三宅博士との出会いが猿橋さんの人生に与えたものは大きかったんだろうなと思います。良き師に出会える大切さを改めて感じました。

    1
    投稿日: 2025.11.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

     水爆実験による放射能汚染を科学的に実証した女性科学者、猿橋勝子さんの伝記ですね。伊与原さんらしく、実験のあれこれを端折ることなく克明に描いています。  男性に負けないような気概をもつ女性はたくさんいると思いますが、それと繊細な実験を行う技能を伴う人であったわけですね。日本側の数値がいかさまであると主張するアメリカに単身で対照実験に挑んだときの心境を考えると、あの時代にほんとうにご苦労だったことだろうと思います。毎朝海水を汲んで掘っ立て小屋の実験室で実験を行う姿は神々しさも感じます。  これは朝ドラでやるんじゃないですかね。楽しみです。

    1
    投稿日: 2025.11.17
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    一部に架空の人物・出来事が含まれているとは言え、ほぼノンフィクションの作品。 世界大戦前後の話なので、湯川秀樹・仁科芳雄といった有名どころも登場する。 猿橋勝子さんが生きた時代背景や、人となりがよく描かれている。 「翠雨」とは新緑の季節、初夏から梅雨にかけて降る雨で、強く降る雨ではなく、大地や葉を優しく濡らす、しっとりとした雨のこと。 夏の季語としても使われる言葉だそうだ。 自分の周りには空気しかなくて、その空気は空まで続いている。 空気しかないはずの空から雨という水が落ちてくる。 このことが不思議で空を見つめてしまう。 猿橋勝子さんは、こういう人だから「翠雨の人」 B29による空襲が民家にまで広がり、広島・長崎に原爆が落とされ、何も罪のない人々が死んでいく。 国のためなら自分の命と引き換えることは美徳という愛国主義が支配している日本。 本書の前半は、戦争が終わるまでの時期で、猿橋勝子さんが学生時代や新入社員の時にどのように生きてきたかの話。 後半は、戦争が終わっても核実験をやめない世界に対して、放射能の地球への影響を測定し、データで示すことで核の危険性を発信する話。 軍国主義、男尊女卑、敗戦国としての復興処理、猿橋勝子さんを通して抑圧された悲惨な日本の姿が想像できます。 常に不利な状況にいながら、活路を見出し結果を残していく猿橋さんの生き方に敬服します。 この本は猿橋勝子という女性科学者の伝記なのですが、扱う事象が核兵器がもたらす放射線であり、戦争と密接に繋がっています。 核兵器を持っていれば、戦争になっても自国の安全は守られる、とか、攻撃を踏み留ませる抑止力になる、という人がいます。 この考えは、いざという時は「核兵器を使う」ことが前提なので賛成できません。 戦争になった時に有利に戦いを進めるために科学技術を磨くという一面は確かにあります。 気合と根性の精神論で戦っていた日本が、科学技術と戦略を駆使したアメリカに負けることは自明でした。 今の世界を見ていると、科学技術の進歩が戦争の方法を変えていることは事実です。 ですが、科学技術の進歩が戦争の必要がない社会作りに貢献することを切に願います。

    47
    投稿日: 2025.11.14
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    女性科学者猿橋勝子さんの生涯を描いたフィクション リズム良く進み「虎に翼」などの朝ドラをイメージしながら時代を切り開く勝子先生にワクワクしながら読む 最終章、それまでの勝子先生の集大成のような出来事には何度も目頭が熱くなった これは女子中高生たちに読んでもらいたい! 娘たちにも大きくなったら勧めたい1冊 平塚らいてうのボス感がものすごい きっと女性として許せないことや嫌なことが数え切れないほどあったと思うけど、そこには触れずに勝子先生の優秀さや信念をメインに進むのでさわやかな読後感

    1
    投稿日: 2025.11.13
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    現実の固有名詞がよくでてくるなぁと思ってたら、最後に史実にもとづいたフィクションってあって、なるほど!ってなった。こんな原子力の研究をしていた女性がいたとは、全く知らなかったな。朝ドラにできそう。 化学も物理学も全然縁がないし、研究とか実験の話の内容は全然わからんけど。この世界を紐解いていく研究者達が、ただただ平和のために世界をよくしていくためにその力を使える世の中であってほしいな。

    0
    投稿日: 2025.11.12
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    新聞やテレビのニュースで「今年の猿橋賞は〇〇さんに贈られました」と毎年見ていて、「猿橋」というのはどんな人だとずっと思ってきた。その猿橋勝子さんという研究者について書いた本だと知って、飛びついた。大きな功績があり、名前だけが知られていて、どんな人であるかあまり知られていない科学者について、丁寧に、一般の読者にわかるように書かれたこの本は一読の価値がある。

    2
    投稿日: 2025.11.12
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    猿橋勝子さん。科学者として名前は知っていたが。1949年設立で200人ほどの会員がいる日本学術会議でさえ30年経って初めて女性会員。大変な先駆者だ。淡々とした評伝もいい。

    0
    投稿日: 2025.11.09
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    猿橋勝子さんのフィクション。第五福竜丸やビキニ島の原水爆実験のくだりはとても悲しくて死の灰、広島原爆の黒い雨と辛すぎる歴史に分析でこんなに素晴らしい業績をもった人がいたことに感動した。ひたむきに実験に取り組み続ける姿勢は男女の垣根も越えるものかと。奈良岡さんが物語を支えるとても重要な立ち位置のひとだったね。

    15
    投稿日: 2025.11.06
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    猿橋勝子という人を初めて知った。世の中知らないことばかり。 伊与原新の小説は、いろんなことを知ることができるので好き。

    1
    投稿日: 2025.11.05
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    女性で初めて東京大学の理学博士号を取得した猿橋勝子。 東邦大の前身である帝国女子理学専門学校を経て中央気象台で地球化学を修めた勝子は、微量成分分析を究め、米ソ冷戦の中各国で行われた原水爆実験の残留放射能計測(洋上、地上)に力を注ぐ。 戦後の女性地位向上運動の流れを受けて女性科学者の地位向上運動にも関わり、研究と後進育成に生涯を捧げた一途な生きざまを、作者らしい真摯で愛情深い筆致で描く。 題名の「翠雨」は勝子が好んだ紫陽花を象徴する言葉。

    1
    投稿日: 2025.11.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    猿橋勝子って誰。戦時下から昭和後期男尊女卑の時代。キュリー夫人にあこがれ、中央気象台研究部で三宅泰雄教授の指導の下、一人の科学者として自分に何ができるのか、純粋に科学と向き合いそして後進の行く末を案ずる。原爆投下と終戦。終戦から約10年後ビキニ環礁での水爆実験。黒い雨、死の灰。多分に書かれていること以外にもかなりの障害があったと思われるが、猿橋勝子と言う人物を知れてよかった。フィクションとあったが限りなくノンフイクションに近い物語。そのうち、映像作品になっても不思議ではないと思うし、是非とも観てみたい。

    3
    投稿日: 2025.11.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    猿橋賞はなんとなく聞いたことはあったけれど、こんな偉業を成した女性だったとは知らなかった。 よく女性初と言われ、その女性がもてはやされる傾向がある。特に日本においては。それだけ日本が昔から男尊女卑の傾向が強いからだ。 現代でもそうなのに、戦前から戦後にかけての混沌とした時代に男性に混じって理系の最先端を行き、科学の力を信じ分析を続ける女性がいたとは驚いた。 雨を降らす天を一人飽かずに見上げ、その不思議さに胸を震わせていた少女が成し遂げた偉業。 「何よりも大事なのは、どんな状況にあっても、科学の火を絶やさずにいること」 放射能汚染を科学的に解明する勝子のひたむきな姿勢に感服するばかり。そしてこれが史実ということに驚いた。 さすが伊与原さん。6頁にも渡る参考文献の多さに感心する。伊与原さんの猿橋勝子に対する熱量が伝わってきた。

    31
    投稿日: 2025.11.03
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    この本を読むまで存じ上げなかったですが、素晴らしい方だったことや研究のことなどを知れる良い機会となりました。ドラマ化されるのかな。

    1
    投稿日: 2025.11.02
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    猿橋勝子という実在した科学者の生涯をもとにしたフィクション。なんの予備知識もなしに読んだので、あとがき読んで本物だったの..?とびっくりし、参考文献の多さにも『えぇ...』となった。 戦争の時代を勝子や科学者達がどう戦ってきたかの視点も興味深かった。 家庭に入り子を産むことが『女性の普通』であったはずの時代で、流されることなく『自分』を持てる勝子の強さがすごい。常に全力なのだなと。 『わたしが決めていることがあるとしたら、そのときの自分の気持ちに正直な選択をするってこと』

    1
    投稿日: 2025.11.02
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    女性先駆者という人たちには、いつも頭が下がる。まだまだ理不尽な性による不平等がはびこっている世の中。時代が違えばその苦労は異なるだろうけれど、後世のために動けるということも憧れる。私もそんな先人の人になれるだろうか。それはそうと、どうしてこのひとは女性主人公をこんな魅力的に書けるのだろう。 2025/9/12読了 2025年の50冊め

    1
    投稿日: 2025.11.01
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    戦前から戦後にかけて、女性でありながら科学者として生きた猿橋勝子さん。 戦争がいかに愚かなものか、そして広島、長崎に投下された原爆。 その後の核実験による第五福竜丸の被害。それによる海洋、大気汚染がどれだけの被害を生んだかを猿橋やその上司三宅先生によって明らかにされる。 内容は科学的実験などの表現も多く、読み辛いかもしれないが、核実験が何をもたらすのか淡々と科学の観点から述べている。 後半はその結果に対し、批判的なアメリカ側から 検定方法を通して猿橋とフォルサムが対決。 どちらに軍配が上がるか。 ドキドキしながら、読み続けた。 アメリカ側との実験条件も悪い不利な戦いの中でも毅然と自分を信じて一途に科学者としての 矜持を貫く猿橋。 最後にはアメリカの核実験の中止にまで、影響を与えたことは、大きな働きであった。 あの時代に女性科学者はどれほど軽んじられていただろう。 その中で生き抜いた猿橋の生き方には尊敬を覚える。 そして、今現在核武装は安上がりとさえ言う政治家がこの日本にいる事にも、またアメリカが核実験を再開すると言い始めてることに戦慄する。 海洋汚染、大気汚染、そして大量殺戮しかなさない核を今も大量にもっている多くの国々。 地球を滅ぼしてまで、持つべきものか。 人間はいつまで愚かなのか。 猿橋さんが生きていらしたら、なんと言うだろう。 つくづく平和は良いと思った。 そして、戦争は何も産まない。 愚かな行為と思う。

    5
    投稿日: 2025.10.31
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    「月まで三キロ」「八月の銀の雪」、そして著者の名を広く知らしめた「宙わたる教室」。 伊与原新さんの直木賞受賞後第一作は、実在の科学者を描くという、伝記とフィクションを融合させた著者らしい作品です。 今年のノーベル生理学・医学賞を受賞された坂口志文氏。その妻である教子氏もまた研究者であり、今回の受賞研究も二人三脚で成し遂げられたと会見で語られていました。未だ女性研究者の立ち位置が厳しい現状に残念な思いを抱いていた私にとって、この作品は一筋の光のように感じられました。 猿橋勝子という女性科学者が、被爆国である日本人の立場から、アメリカのビキニ水爆実験で降った「死の灰」による放射能汚染の測定に携わり、アメリカが主張するよりも放射能汚染が深刻であることを証明したという事実。 昨今の冷戦を彷彿とさせる核保有国の外交状況において、この事実をもっと世に広めるべきだと、著者は筆を執ったに違いありません。 とても読みやすい文章で、分量も手頃な作品です。 これくらいの感想しか書けない自分が情けないですが、少しでも多くの方にこの作品を手に取っていただけたら幸いです。

    11
    投稿日: 2025.10.28
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    6冊目の伊与原新さん。 戦前、女性が理系の教育を受ける機会に恵まれない時代に科学の道を志した猿橋勝子さん。私は存じ上げなかったのですが、実在の人物である猿橋さんの生涯を描いたフィクションです。 猿橋さんは戦後、アメリカのビキニ水爆実験で降った「死の灰」による放射能汚染の測定にたずさわり、後年、核実験の抑止に影響を与える研究成果をあげたそうです。 この水爆実験で「死の灰」を浴びた漁船「第五福竜丸」って、現在東京夢の島に保存展示されているんですよね。実は私の亡くなった伯父が、この船の保存運動に関わっていたので、展示館がオープンした時(調べたら1976年でした!)と、数年前にも娘たちに平和について考えて欲しくて行きました。実際にこの船や当時の資料を見ていたので、特に後半はとても興味深かったです。 女性のしあわせは家庭に入り子どもを産み育てること、という価値観だった時代に、結婚せず科学の道を邁進した猿橋さん。女性であるがために様々な困難があったと思うんですよね。でもただひたすらに熱意を持って努力を積み重ねる姿には感銘を受けました。 前半は比較的淡々と描かれているのですが、最後はムネアツな展開が待っています。専門用語も多いですが、ぜひ最後まで頑張って読んで欲しいです。 こちらもぜひ映像化して欲しいですね。映画『オッペンハイマー』も、ずっと観たいと思っていたので、今なら逆視点的に観られそう。 この本を読んで改めて、実験も含め、原水爆による惨事が二度と起こらないよう願うばかりです。 汐文社から猿橋さんの伝記が出ているようなので、そちらならブックサンタにいいかも。

    3
    投稿日: 2025.10.25
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    直木賞受賞後の第一作目は、実在の人物・猿橋勝子さんの生涯に基づいたフィクション。女学校時代から専門学校を目指すまで、専門学校時代の恩師との出会い、中央気象台での軍との共同研究、原水爆実験による放射能汚染の研究、国際的な活躍。まるで朝ドラのヒロインを応援するような感覚だった。 女性であることの珍しさではなく、1人の科学者として認められたい。どんな困難な状況でも諦めずにコツコツ積み重ねていく、主人公の真面目さ、ひたむきさ、強さにとても勇気付けられた。おすすめ。 20251014読了、図書館本。

    1
    投稿日: 2025.10.25
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    今年も猿橋さんが創設した猿橋賞が女性化学者に贈られたそうです。 自分の研究だけでなく、自分と同じ道を歩く女性を育てようとした猿橋勝子、 その生涯を主軸に書かれたフィクション小説です。 巻末の膨大な参考資料をみると本当の話がほとんどではないかと想像できます。 今までの伊与原さんのテイストとは違いますが 分かりやすい文章で興味深く読みました。 特に1954年の第五福竜丸事件をきっかけに核実験による大気・海洋の放射能汚染を追究。 核兵器廃絶を訴える姿勢に感銘を受けました。

    0
    投稿日: 2025.10.22
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    実在の女性の話という重しがあるため、それほど劇的な展開もなく、前半は楽しめたが後半は飛ばし読みだった。

    1
    投稿日: 2025.10.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    p19 吉岡彌生 東京女子医学専門学校の創設者 設立したときの状況 地位も資産もない一介の町医者 学校と言っても、医院の一室を教室に当て、東京女医学校という看板を掲げてただけ。最初の年に集まった学生は、たったの4人だったそうだ p177 saruhashi table p223 サンディエ スクリプスのフォルサムのところへ行って、二ファー法と猿橋のAMP法の比較を行って、勝った p264 帝国女子医専は後の東邦大学 p272 自然科学分野で優れた業績をあげた女性研究者を毎年一名顕彰 猿橋賞

    0
    投稿日: 2025.10.18
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    地球科学者、猿橋勝子の伝記的小説。太平洋戦争での原爆投下から、第五福竜丸事件など、を化学者の立場で放射能の影響を明らかにしていく。 また女性科学者の地位向上にも努めた人。 猿橋賞、はどこかで聞き覚えがあったが、何をした人かは初めて知った。著者の科学者としての知識と、小説家としての巧みさがあって書かれた物語だな、と思う。 今まで何度も、聞いてよく知っていると思っていた原水爆のあれこれについて、もう一度学ぶ、深く心に刻まれた。

    1
    投稿日: 2025.10.18
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    初めて存在を知った人。 こんなふうに科学に貢献した女性がいたのか。 どんな分野でも、後進の女性のために 先頭を走った人がいるんだなあ。 それでも、まだまだ女性の扱いが軽い日本だけれど。

    1
    投稿日: 2025.10.18
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    放射線被曝の研究に勤しんだ、猿橋勝子さんの物語で、研究に対する真摯な姿勢や、時代風景に抗って女性として活躍する強さみたいなものを感じられて良き作品だったなと思います。 本作は、戦後理系学者として活躍した猿橋勝子さんの生涯を描いた作品。女性は家庭に嫁ぐものという世代間の中で、科学者としてプライドをもって取り組む姿に、同じ理系科学者として勇気をもらえたような気がしました。 科学というと専門用語が多く読みづらいイメージがありますがストーリーの筋が分かりやすく書けれているため、理系の知識がなくても読みやすいように感じました。

    65
    投稿日: 2025.10.17
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    日本の女性科学者の先駆者、猿橋勝子の生涯を描いたノンフィクションのような長編小説。 毎年、新聞に掲載される猿橋賞の受賞者を楽しみにしている。でも、猿橋勝子さんが日本版キュリー夫人のような方というイメージだけで、実際にはどのようなことを行った方なのかは知らなかった。 放射能の恐ろしさ、第五福竜丸の被害の深刻さを世界中に知らしめた猿橋さん。彼女のがいなかったら、もっともっと世界中は水素爆弾や原子爆弾の実験を繰り返していたのではないだろうか。 今以上に男女差別のひどい戦時下に科学の道に進んだ猿橋さんには人一倍努力が必要だったはず。それを苦に感じていなかったのだから、よっぽど性に合ってたんだろうな。 家族を持たず、仕事に一生を捧げた猿橋さん。きっと孤独を感じることもあったかと思う。けど、好きなことをやり遂げたのだから、人生に悔いはなかったんだろうな。

    54
    投稿日: 2025.10.15
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    透き通るように静かで強い。 女性が理系に進むのが難しかった時代、幼いころから雨を不思議に思い、気象に興味を持ち、放射能汚染調査、女性科学者の支援などに情熱を貫いた猿橋勝子という科学者の話。 彼女のお名前すら知りませんでしたが、日本人女性の芯の強さを誇りに思いました。

    0
    投稿日: 2025.10.15
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    ●読前#翠雨の人 第172回直木賞受賞作『藍を継ぐ海』が楽しめたので、受賞後第一作は読みたい。実在の女性科学者が主人公のフィクションのようだし、伊与原さんの表現は情景がイメージしやすいので現実感を伴って楽しめそう。戦時中の女性科学者はどんな人生を送ったのだろう https://amzn.to/4n2dpVW ●読後#翠雨の人 派手な感動はないけれどおもしろくないわけでなく、静かにドラマを観るような感じで読み進めることになった。主人公が向き合うものが科学に関することが中心となるので、人間交流の機微が好きな僕にとっては、感情的な盛り上がりが少ない淡々読書であった https://amzn.to/4n2dpVW

    11
    投稿日: 2025.10.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    〜日本のキュリー夫人 猿橋勝子の伝記。〜 私は、彼女のことを本作がなければ知ることはなかった。 そう感じると、悲しくなる。 やっぱり、人を知ることも一期一会だなぁと思う。 日本史の授業では学ばないけど、今の社会にとって重大な功績をした人がたくさんいる。そう思うと、もっと多くの偉人の歴史を知りたい。  それが今の率直な感想です。 彼女の困難があっても、どんなことにも手を抜かず、信念を曲げず、真面目に努力し続ける。そんな姿勢に、同じ女性として尊敬する。 私自身のことを優秀な人だとは思っていない。 彼女のような生き方に少しでも近づけるように、今できることは全力で努力していこうと勇気をもらえる1冊でした! 原子爆弾の恐ろしさを身にしみて感じた…。 今まで戦争の恐ろしさを描いた小説は読んだことがあった。 しかし本作は、研究者としての面だけでなく、原爆症の人に対する描写もあり、「原爆はもう決して起きてはいけない!」という思いが強くなりました。 そして、非核三原則の必要性を改めて知った作品です。 年代関係なく、多くの人に読んでいただきたい作品です。

    0
    投稿日: 2025.10.12
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    3.5 気楽に読みたいので、専門用語がわからず断念しそうになりました。 でもそれを乗り越え、途中からは勝子さんのご活躍にのみこまれました。 日本女性の先駆者。多くの理解者。

    0
    投稿日: 2025.10.12
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    猿橋勝子さんの人生を知ることができました。科学者として、自分を信じ一途に未知の学問分野を切り拓く姿は、一人の女性の生き方として、尊敬すべきだと思います。 戦時中の研究生活で“戦争のための研究はしたくない”という思い。彼女の研究への純粋さと意思の強さを感じさせるものでした。 戦後、放射性物質の検出に携わり、核実験抑止につながる研究成果を後世に遺した道のりを、記憶に留めておきたいと思います。 表紙の紫陽花が描かれた中での女性の絵は、猿橋勝子さんの美しい心がそのまま投影されていると感じます。 マリー・キュリーに憧れて科学者になった猿橋勝子さん。彼女に憧れる若者が多く輩出されることを願います。 今年、理系の分野でノーベル賞を受賞された日本人、坂口志文さん、北川進さん。両者共に、自分を信じ目指す道を愉しまれていらっしゃることがお話から分かりました。昨年私は、書の師から同じことを言われ、叱咤激励されました。本書の猿橋さんもそうですが、一つの道を究められた方は、共通するものをもっていると思います。

    28
    投稿日: 2025.10.12
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    『女性が理系の道を選ぶことも困難な時代に、 地球化学の分野で世界的な業績をあげた猿橋勝子氏。東邦大学理学部の前身である帝国女子理学専門学校のご出身で、物理学科の第1回生であります』(東邦大学のホームページ、猿橋勝子さんについて の紹介文) 私はこの方を全く存じ上げなかった。 女の幸せは家庭に入ることとされたあの時代に、 猿橋勝子さんが女性科学者として活躍されて いたことは、同じ女性として誇らしい限りだ。 自ら開発した微量拡散分析法を持ちいて、 原水爆実験の放射能汚染を最前線で分析 していた女性研究者。 本の内容としては、途中、いささか退屈に思うかも しれない。専門的な用語で理解できないところも 多いが、後半のフォルサムとの対決は、 引き込まれるほど面白く、実験の上に実験を 重ねてきた猿橋さんの、たゆまむ努力があった上での勝利に、思わず涙ぐんだ。 それにしてもアメリカの、核に対しての傲慢な 認識は、昔も今もあまり変わらないのだろうか。 60年以上前に、核兵器実験の放射能汚染を 実証し、世界にいち早く警鐘を鳴らした 地球科学者、猿橋勝子さん。 今年出会えて良かったと、思える本だった。

    30
    投稿日: 2025.10.11
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    戦争の時代にこんなにも前を向いて、科学や女性や平和に貢献していた方がいたなんて、感動が止まらない。最後のフォルサムとの対決は鳥肌もの。

    1
    投稿日: 2025.10.11
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    実在した人物、猿橋勝子さんの物語。女性研究員の地位を高めた方がいたとは知りませんでした。今回は理系色がより強く書かれていて理解できない所がありましたが、楽しめました。

    0
    投稿日: 2025.10.11
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    猿橋勝子さんの生涯を元にしたお話。小5光村国語の伝記単元で本の表紙が掲載されている人物の一人で、読まなきゃ!と思っていた方(ちなみに教科書本文はやなせたかしさん)です。 戦前の幼かった時に降ってくる雨に興味を持ったエピソードから、女性が進学しない時代にどこでどのように学問を納めたか、研究者時代、そして、戦争中のことと、その頃の仕事内容、終戦、そして研究者として認知される大きな出来事2つ。 前半の戦争が終わるまではとにかく勝子のひたむきな研究者としての様子などが描かれるものの、大きなことは起こらないので、ちょっと単調です。でも、最後に最高に格好いい見せ場あるので、楽しみに読み進めて欲しいです。 単調で難しい検査などに日々取り組んでいた勝子の人生を、基礎知識なくても、読みやすく仕立てて頂いたことが有難い小説でした。次は早めに汐文社の高学年向け伝記の方を読みたいです(パラパラとめくった感じではかなり同じようなエピソード展開でした)。また、日本に落とされた原爆のことを話している様子など、科学的にもなるほど、と思わされて面白かったです。 放射線の検査の叙述やひたむきで淡々と過ごす毎日の研究の様子など楽しく読むのが難しいと思うので、基本は中学以上。でも、読みたがったり読めそうな児童は小学校から大丈夫。

    3
    投稿日: 2025.10.10
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    化学小説。設定は面白い。猿橋勝子さんの生き様を全く知らないで読んだが、日本の女性科学者の先駆けとして、日本や戦勝国のアメリカに渡って邁進する姿は心打たれた。前半で張り巡らせた伏線が回収しきれてない感じがしたので、星4評価にしました。

    0
    投稿日: 2025.10.10
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    静岡市女性会館図書コーナーの書誌詳細はこちら↓ https://lib-finder.net/aicel21/book_detail_auth?authcode=BsOajdYZIPo2afMb99jWnQ%3D%3D

    0
    投稿日: 2025.10.08
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    この本を読んで猿橋勝子さんのことを初めて知りました 専門的な言葉も多くて難しいところもあったけれど、こんなに逞しくて勤勉な人、しかも放射性のあるものを扱う仕事、少しの量でも被爆しないのだろうかと心配しながら読んでました 研究に一生を捧げたと言っても過言ではないですね

    11
    投稿日: 2025.10.07
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    星4.5 『波』2022.1〜2023.4、2023.6〜2024.1に加筆修正 今でも女性科学者に送られる猿橋賞で知られる猿橋勝子の物語。 女性の一代記が好きな私なので、正直、科学的な記述はよく分からず読み終えたが、読み終えてじんとするものがあった。 気の遠くなるような手順を踏んで、放射性物質を検出するくだりなど、同僚の人たちを含め、尊敬に値する。 猿橋勝子は生涯、気象庁に所属する人だったのだが、気象学がこんなに、物理とか化学を駆使するものだということも初めて知った。 そして、原爆や水爆が及ぼす放射能の被害について、気象学に携わる人々が、世界中で測定し、研究していることもわかった。 勝子は、東京女子医専を創設した吉岡弥生に憧れ、女子医専を受験するが、面接での吉岡弥生の態度にがっかりし、戦時中に開設されたばかりの帝国女子理学専門学校(現東邦大)に入学し、物理学や化学にのめり込んでいく。 戦後、数年の差で、女子でも大学に入ることになるのだが(ただし、東北大、大阪大など少数の大学は戦前から女子に門戸を開いていた)、学歴がないことをコンプレックスに思いながらも、次第に男社会の中でも認められる存在になっていくのだった。 特に、アメリカでの実験方法の対決には、思わず応援してしまった。 本書に出てくる、第五福竜丸事件についてググると、なんと同じ時に一千隻以上の日本船も被曝しているらしい。第五福竜丸だけが有名だが、実際はあまたの被害者がいたということで驚いた。

    24
    投稿日: 2025.10.06
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    専門的な分野のためぼんやりとした理解になってしまった部分もあるなかで、悩みながらもひたむきに進んでいく姿が強く印象に残った。

    9
    投稿日: 2025.10.06
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    伊予原新さんの新刊。 またもや科学の知識満載で、全く理解不能な箇所も多かった…けれども 存じ上げなかった女性科学者の猿橋勝子さんの生涯を描いたもので、なかなかの読み応え。 放射線の研究者として戦中に抱えた葛藤。 自分は戦争とは関係ないと思っていたのに、知らぬ間に戦争に加担していた… 戦中、科学者だけでなく多くの国民が抱えていた憂いだったはず。 けれども猿橋さんは戦中の悔しさを胸にしながら戦後の地道な研究で、原水爆実験の影響を科学的観点で証明されたとのこと。 素晴らしいとしかいいようがない… 第五福竜丸の被爆のこともなんとなく耳にしたことはあったけれど、死の灰の威力についてはよく知らずにいた。 そして、放射性の塵は地球を何周もして拡散し、汚染を広げていることも。 夢の島熱帯植物館の近くに第五福竜丸の博物館があったはず。 全く興味がなかったけれど、この本を読んだ後なら、展示への理解も深まりそうだ。 印象的だったのは、戦中に愛国心が強く国の戦利を信じる学生が多いことについて、 猿橋の師匠である三宅が放った言葉 「国の教育としては、成功。科学教育としては、失敗。」 現代でも数年前、科学者が科学的事実を考察できてないないのでは…と思う世の中だったと思う。 あの時も、国の教育としては成功、科学教育としては失敗だったのでは。 科学者であっても戦時下では言いたいことも言えなかった時代と、何も変わらなかったな… 戦後80年経っても、本質は何も変わっていないのかもしれない。

    47
    投稿日: 2025.10.05
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    この本を読むまでは猿橋さんのことは知らなかった。 精神的にとても強い人だと感じた。 そして改めて原子爆弾の恐ろしさを感じた。

    5
    投稿日: 2025.10.05
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    戦後の放射能汚染の実態究明に尽力された、猿橋勝子さんの生涯を描いた物語です。 実験のシーンは専門用語で書かれて素人には想像が難しかった。しかし、それ以外の猿橋勝子さんの考えや所作が丁寧に描かれているのでつまずくことなく読めた。 改めて、猿橋勝子さんたち研究者のおかげで平和な日本で生きていられることに、感謝しなくてはならないと思った。 猿橋勝子さんのような崇高な人の足元にも及ばないが、子どもたちや次世代の人たちに私にできることは何があるだろうかと考えさせられた。

    9
    投稿日: 2025.10.05
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    猿橋勝子さんという方を初めて知った。 専門的な用語が多いのでちょっと難しく感じたが、それ以上に猿橋勝子という人物に惹き込まれた。こんなに凄い人を知らなかっただなんて、失礼いたしました。。

    14
    投稿日: 2025.10.04
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    戦前、女子が高等教育を受けることに偏見や障害があった時代、力強く道を切り開いて研究の第一人者になった女性。放射能物質の特定など化学の知識もだいぶわかりやすく書かれていて難しさは感じなかった。

    19
    投稿日: 2025.10.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    私は猿橋勝子という人のことも、 放射能汚染の起きる実験の多かったことも、 ほとんど知らないで生きてきた。 知らないままにならなくてよかった。

    3
    投稿日: 2025.10.01
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    恥ずかしながら猿橋勝子さんのことは今作で初めて知った。 戦前から化学研究をされていた偉大な女性。今でこそ女性研究者も増えてきたけど、この時代に一線で研究をするということがどれだけ大変だったか。 伊与原新さんの理系目線と地道な調査で、この時代の雰囲気をリアルに感じることができた。 勝子のとことん追究する姿はまさに研究者向き。そして、それを開花させた三宅先生と出会えたことは本当に良かった。 知らなかった世界にどっぷり浸かって、楽しい読書だった。

    52
    投稿日: 2025.10.01
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    勝子は三宅という良い師と出会えて良かったと思う。彼は勝子のことを最初から研究者として見てくれていた。三宅の研究に対する姿勢とはこういうものだという考えが勝子の考えとなって勝子自身どんどん成長していくサクセスストーリーという側面と女性研究者が軽んじられているという差別問題という根深い問題も扱っている。日本はまだまだ女性を軽んじる面が多々あるのでわたしは女性を重んじられる人になりたいという思いを強くした。

    0
    投稿日: 2025.09.30
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    サイエンス領域をテーマにする伊予原新らしさが出ている素晴らしい物語。多くの参考文献数が物語るリアリティ感がすごい。NHK朝ドラになりそう。

    24
    投稿日: 2025.09.28
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    CL 2025.9.23-2025.9.25 実在の科学者、猿橋勝子の史実に基づくフィクション。猿橋勝子という名前も知らなかった。この作品を読むともっと一般にも知られるべき人物だと思う。女性であることのハンディ、日本人であることのハンディを克服すべく、ひたすら実験に取組む姿勢が胸を熱くする。 本人の熱意や努力はもちろんだけど、この時代にしては両親、兄がとても理解があったことが素晴らしいし、三宅という師に出会えたことが彼女にとっていかに幸運であったかを感じる。 それにしても巻末の参考文献が多くて驚く。

    1
    投稿日: 2025.09.25
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     女性科学者に送られる「猿橋賞」これに関しては、私も知っていたが、肝心な猿橋勝子さんがどういう人か?という事には、今まで関心が無かった。  表紙の紫陽花が咲く野原で、雨の雫を手に取る女性の姿が素敵だった。  猿橋さんの、根気強さ、忍耐力、真理をどこまでも追求する姿勢に圧倒された。こんな素晴らしい日本版キュリー夫人がいたとは。  「アメリカに道場破りに出かけ、大将を倒した」というくだりが、胸がすく思いだった。  もっと早くこんな素晴らしい本に出会いたかった。

    5
    投稿日: 2025.09.23
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    科学者の猿橋勝子さんの物語。 好きな作家さん。読むのを楽しみにしていた作品です。 猿橋さんの研究に取組む姿勢に胸熱くなりました。当時は女性が学ぶこと自体が本当に大変だったと思う。猿橋さんのことを全く知らなかったからこそ、この作品を読んでよかった。 猿橋さんの活躍のきっかけにもなった恩師も素敵な人でした。

    14
    投稿日: 2025.09.23
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    猿橋勝子さんの研究に対する姿勢に心打たれた。 この小説に早くに出会っていたら研究への向き合い方も変わったのではなかろうかと思う。 研究者を志す若い人たちにぜひ読んでもらいたい。

    1
    投稿日: 2025.09.23
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    猿橋勝子の自伝風小説。戦前から戦後にかけて、女性ながら物理化学の世界で研究を続け世界にも認められるその一生にハラハラどきどきしながら読み進めました。 本人の資質は勿論ですが、彼女は三宅先生という素晴らしい師に出会えたことそして理解のある両親や兄がいたことが本当に良かったです。

    1
    投稿日: 2025.09.23
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    研究者猿橋勝子ドキュメント。 この人知らなかった。この人もそれを小説にする人もすごい。 原爆がなぜいけないのか、ヒシヒシとわかる。

    1
    投稿日: 2025.09.19
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    主人公の猿橋と聞いてすぐに「猿橋賞」を思い浮かべたが何を成し遂げた人かは知らなかった。 静岡県民にはよく聞く「第五福竜丸」にも関わったんだね。また日米相互検定の結果には溜飲を下げた。

    1
    投稿日: 2025.09.17
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    知られてほしい生き様ではある。 しかし、しんどい。 今なお、女性科学者を始めとする「女性」たちが置かれている状況が決して好転してはいないことを感じるだけに。

    9
    投稿日: 2025.09.17
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    科学者、猿橋勝子の物語。科学者が作り出した原子爆弾とは。科学が戦争に使われるという悲劇を繰り返さないために、科学者に何ができるのか。女性が下に見られていた時代に勝子がやったことは。戦争が終わった後でも水爆実験で放射能汚染の犠牲になった人がいたこと。話は難しかったけど、猿橋勝子について、もっと知りたくなった。

    0
    投稿日: 2025.09.16
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    科学者・猿橋勝子さんの史実をもとにしたフィクション。といえど、実験や研究の記述がとても多くて、途中ちょっと挫折しかけたぐらい詳細な内容。 戦前・戦時下・戦後にわたって活躍され、日本の女性科学者の未来を切り拓き、地位向上に尽力された偉大なお方だった。 〈何より大事なのは、どんな状況にあっても、科学の火を絶やさずにいること〉 放射能研究の第一人者でもあり、放射能汚染の実態を世界に先駆けて明らかにしたりと、その並々ならぬ貢献が記されていた。

    14
    投稿日: 2025.09.16
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    女性科学者・猿橋勝子の話。 読むのにほぼ一日かかってしまった。実験の説明がいくら読んでも頭に入ってこないのよ…。何となくは分かるんだけど、かなり薄ぼんやりとした理解。 まあそんな私の勉強不足は置いといて、勝子は凄い人物だった。子どもの頃から夢を持ち、憧れの人からの心無い言葉を逆境にやりたいことを見つけていく。 とにかく研究熱心で、微量分析では右に出る者はいないと言っていいほどの技量も持っている。 私が特に凄いと思っているのは、勝子の芯が通っているところだ。戦争のために科学を利用するのではなく、いつか科学が社会のためになると信じて、研究を続けている。研究への姿勢は妥協を許さず、自らにも他人にも決して甘くなかったであろう人柄を見るに、たしかに「面倒くさそう」な人だったのかもしれないが。 あとは、米国の権威者と実験対決をするため、単身渡米し、1人で実験を全てやり遂げたフィナーレも最高だった。弱気になったときもあったが、なんて強い人なんだろうか。 しかし、こういう女性が活躍することの難しい時代に見事な活躍をした話を読むと、同性として恥ずかしい気持ちになる。比較するのも烏滸がましいが、世のため後進のためと動いている勝子に対し、私には社会を良くしたいという思いが欠けているのだ。ああ…泣

    8
    投稿日: 2025.09.15
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    本書を読むまで猿橋勝子という科学者の存在は知らなかった 女性が学ぶことが難しかった時代に「なぜ雨は降るのだろう」という、当たり前だと思っていたことに疑問を感じ、科学の道へと進んでいく 戦前・戦中・戦後と、時代の波に翻弄されながらも、ただ研究し続ける姿に感服する 勝子の情熱を支え、導いてくれる人々に出会えたのも幸いだったのだろう ただ科学に疎い者にとっては作中の実験過程が辛い その分、勝子という人物の内面を読んでみたかった

    1
    投稿日: 2025.09.15