
総合評価
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powered by ブクログサバイバーズギルトは初めて知った言葉だけれども、まさに生きるか死ぬかの瀬戸際を奇跡的にくぐり抜けた自分がいて、くぐり抜けられなかった大切な人がいて。しかも他者の無念が自分への温情に起因していたのなら、いくら責任を問われなくても、いいようのない罪悪感に苛まれるでしょうよ。原爆の悲劇、なによりも心に投下された悲哀を限りなく現実的に描く。はてしない絶望感と喪失感。なんとかそれを癒そうという愛情から作られた13月のカレンダー。その架空の時間が生んだ過去への回帰とは儚い幻想だった。それで終わればよかったのになぜ…。
0投稿日: 2026.02.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
主人公の侑平は、亡き祖父母の家で13月のカレンダーを見つけた事から、祖母寿賀子の壮絶な子供時代に遡っていく。 親友の喜代や、亡くなった兄の親友義夫との出逢い。 原爆投下の日、あの日に何が起きたのか。 生き延びた人達は被爆者だという差別に合う。 喜代の息子剛が白血病になってしまい、最後に『母さんも原爆の犠牲者なのになんで謝るんや』と言って最後まで被爆2世にはならないと抗っていた剛。 戦争の話は何処か遠い昔話になりつつあるけど、本当にあった惨く怖しい出来事だったんだと、改めて感じました。 最後にずっと寿賀子が言っていた奇跡に、思わず鳥肌がたってしまった。
3投稿日: 2026.02.06
powered by ブクログ中盤から、原爆の被害に合った日からの生々しい現状と、その後の被災者への壮絶な差別が描かれていて、読むのが辛かった。 語り継がれてきてはいるけれど、まだまだ知らない事があるんだという事も思い知った。 最終章は、 祖母の“13月はあったのよ”の言葉どおり 本当に起きていたんだ、という奇跡の展開で、 読了後、ジワジワきて 泣けてくるような、 ほっとしたような、 『あ~寿賀子さん、本当によかったね〜〜』と心から思った。 あの日に、運命を変えられてしまったたくさんの人々がいた事を絶対忘れてはいけないし、 改めて、記念日はもっとしっかり祈りを捧げようと思った。
5投稿日: 2026.02.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
え~~~っっっ、こんな奇跡が待っていたなんて!!!読んでいる間、こんな奇跡が起こるなんて想像できませんでした。 "13月のカレンダーが過去に、あの日、8月5日に戻してくれた"というだけではなく、さらに未来に続く、侑平自身に起こる奇跡だったなんて!!!なんて、なんて凄い奇跡なんだろう。 読み終えた時、ちょうど寝る時間だったのですが、この奇跡の興奮の余韻で、なかなか寝付くことができませんでした(笑)。 主人公の侑平が自身のルーツを知るため、祖母と原爆で亡くなった祖母の兄の友達2人に会うため、祖母の出身である広島に向かい、様々な話を聞くこととなります。作品の中で、原爆にあった2人の人物の凄惨な壮絶な体験が語られています。改めて原爆の悲惨さ、恐ろしさ、ただ「原子爆弾が投下されて、多くの人が亡くなり、街が壊滅状態になった」ということだけではなく、多くの人が運命に翻弄され、亡くなった人、亡くなった人の家族や友人一人一人に物語があった事を思い知らされ、深い悲しみや恐怖、怒りを抱き、この事実を教訓として未来に継承し、語り継いでいかなければいけないと、深く感じました。 でもこの作品は、そんな悲惨さで包まれた物語ではなく、原爆に遭うこととなったけど、そこで起こった奇跡が焦点で、言葉が適切かどうかわからないけど、侑平のおばあちゃんが起こした奇跡が凄く優しくてキレイで、あくまでフィクションの小説だとわかっていても、人ってこんな奇跡を起こせるんじゃないかって思う、凄く温かく素敵な物語でした。 読後、素晴らしい奇跡にドキドキする一冊に出会いました。
5投稿日: 2026.02.05
powered by ブクログ皆さんの本棚をにぎわしていた作品。 出版は、終戦から80年後の2025年。 そこに大きな意味があるのでしょう。 無謀な戦争に突入した日本。 原爆投下で終結をみることに。 日本に戦争を辞めさせるための手段だったという米側の理屈。 それはおかしい。 でも、日米共に愚かだった。 戦争を知らない世代は この史実を肝に命じなくては。 悲惨な場所で光る少年の優しい行動。 その行為が家族を苦しめ 後の世代に暗い影を落とす。 しかし、兄思いの妹が見た 13月のできごと。 それはきっと、後の世代に 奇跡として受け継がれる。 最後のサプライズに心が温まった。 重いテーマを扱いながらも 人が人を思う気持ちに溢れた物語。 素晴しい作品でした。
40投稿日: 2026.02.04
powered by ブクログ仕事を退職した時に父から連絡があり、もう十数年訪れてなかった父方の祖父母の家に行く事に。 すでに祖父母は亡くなっており、残されたものから足跡をたどると、祖母は広島出身で、兄を原爆で亡くしてた事を知る。祖母の知り合いを辿るうちに、被爆者差別や祖母の後悔、父の恐怖を知る事となり、自分自身の生き方とも向き合っていく。 原爆が落ちた時の描写が生々しく怖かった。また、被爆者達のその後の苦悩もよくわかるように描かれていて、良かった。
1投稿日: 2026.01.31
powered by ブクログまことさん、ひま師匠のレビューで、絶対これは読むぞぉと思っていたところに、かなさん、ミユキさんのレビューで、高いけど買っちゃいました(^◇^;) 良質のレビューが重なるとやっぱり買いたくなります。゚(゚´ω`゚)゚。 この作品も、素晴らしい作品でした! 買って良かった(*ˊᗜˋ*)♡ 来年の夏の読書感想文の課題図書にしても良いのではないでしょうか!? 主人公の 侑平 29歳は、過去に大きな迷いを抱え、勤めていたバイオ企業を退職していた。 両親は離婚していたのだが、疎遠になっていた父親から、父方の祖父母が亡くなった家を相続する話を持ちかけられ、 愛媛県松山市にある祖父母の家を訪ねる。 祖父母の家で、13月まであるカレンダーと、祖母の病状を綴った大学ノートを見つる。 その中に祖母言葉『十三月はあったのよ』」という謎めいた一文があった。 興味を引かれた侑平は、自分のルーツを知るため、周囲の人に祖父母の話を聞くことに。話を聞くうちに、やがて 広島へと着地する。 広島への原爆投下。 それだけでなく、その後を生きた人の理不尽な差別の問題。被爆者の生き辛さに心が締め付けられる、そんな一冊でした。゚(゚´ω`゚)゚。 いい本です。 読んで損はありません。゚(゚´ω`゚)゚。 ---------- 24日の土曜日は、会社の組合のツアーで、娘と2人でディズニーシーに行ってきました。 浜松→東京 新幹線 で舞浜までは、通常往復で 16,480円かかり、ディズニーシーのチケットはおよそ一万円。 これが組合のツアーだと、2人分で 新幹線、ディズニーシーチケット込み 給与引き落としで 32,000円ポッキリ。 2人でおよそ2万円お得♡ 社長〜安い〜(*´꒳`*) 24日、かなり混雑していました。 入った瞬間、ソアリンは売り切れ^^; 他にお金払ってまで乗りたいものが無かったので、食べ歩きしながらのんびり回りました。 先ずはフランダーのフライングフィッシュコースター 子供が乗るようなジェットコースターです。20分待ち。 次はシンドバッド。ここはいつも空いていて大抵待ち時間5分です。そしてその横のマジックランプシアター15分待ちへ。 娘が今回1番楽しみにしていたミルクティーのチュロスを購入。600円。私は一口だけかじりました。 お昼、こちらも娘が食べたがっていた ダッフィーのスペシャルセット ビーフ、シーフード単品、ビール、紅茶 3,860円 をモバイルオーダーしておいて、その間にニモ&フレンズ シーライダーへ。 その後頼んでおいた昼食を待ち時間ゼロで食べ、私はビールを堪能 (๑˃̵ᴗ˂̵)و うまいっ! 単品にしたので、ちょっと小腹が減っており、餃子ドッグ 600円 を購入し、食べながらダッフィーグッズのお店をあちこち渡り歩き、娘が帽子を購入。3,900円。 タワー・オブ・テラーの前でショーが行われていたので少し立ち見。 その後タワー・オブ・テラー80分待ちへ。 50分待ったところで、ハイタワー三世の説明の部屋に入れました。 その後ビールが飲みたくなったので、ニューヨークデリで、ビール&ポテトを購入し、休憩。1,080円。 この時娘は何も飲まず何も食べていないので、私が飲み終わると、ゴンドリエスナックへ移動し、娘はカフェラテ&マカロン。私はホットコーヒー。1,800円。 その後ファンタジースプリングスに移動するも、どのアトラクションも60分以上待ち。ピーターパンは140分以上だったのでこのエリアは諦め、100分待ちになっていたセンターオブジアースへ。 80分待ったところで乗車でき、最後にお土産9,960円を購入して帰りの新幹線へ。 新幹線前にコンビニで、おにぎり、ビール、つまみ合わせて 2,106円 合計、2人合わせて 55,906円の旅でした♪
113投稿日: 2026.01.25
powered by ブクログ評価が高い本でしたので読んでみたのですが、なんだかモヤッとする話でした。終わり方もここで終わるの?という感じで、、、 読み込みが足りないのかな。
13投稿日: 2026.01.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ひまわりめろんさんの本棚から 入院中に予約順番がきたので読めず、再度予約した作品、やっと読むことができました 会社を退職した主人公侑平は、両親の離婚で疎遠になっていた祖父母の住んでいた愛媛県松山市の空き家を訪ねることになります 侑平が祖父母の家で気になったものは ➀祖父が日々を書き綴ったノート ②13月まであるカレンダー ③祖母に送られてきた年賀状 過去にも未来にも向き合えない侑平が導きのような不思議なものを感じ、自分のルーツを探すことになります 第三章からは義夫、喜代の視点から原爆の恐ろしい描写が続きます ほんの些細な違いが人の生死を分けたこと 平常な日常が奪われ生活が一変したこと 戦争が終わって何年経っても被爆者に対する偏見と差別はなくならなかったこと ひとりひとりの人生の描写が丁寧だったこともあり、辛く悲しい体験談を聞いているようでした 寿賀子さんが言った 「きっと奇跡が起こるよ」 寿賀子さんにも侑平にも、そして私にも奇跡は起こったような気持ちになりました 自分自身を取り戻した侑平は、明日から一歩が踏み出せそうです 私は戦争、原爆を知らない怖さ、知ろうとしなかった怖さに気づきました 私もまた一歩が踏み出せそうです 出会えて良かった、購入して家族にも勧めたい作品です
78投稿日: 2026.01.17
powered by ブクログタイトルからは想像できない、家族の物語でした。そして、原爆にあってしまった方のその後の人生。やっばり戦争はしてはいけないと改めて思いました。 侑平が松山で見つけた13月のカレンダー。そこから繰り広げられる家族への想い。とても心にしみました。
16投稿日: 2026.01.13
powered by ブクログ2026/01/11日曜 13月のカレンダー 宇佐美まことさん 広島の原爆のお話 孫が、13月のカレンダーを見て、 ルーツを探る 今度、初めて広島に行く。 その前に読めて良かったと思う。 何気ない日常の積み重ねが平和なのだ。 八月六日、 コップ一杯の水を窓辺にお供えしたいです。
0投稿日: 2026.01.11
powered by ブクログ自分の過去をしらべて自分と向き合ってゆくストーリー 13月のカレンダーという謎を追ってゆくが、なぜ13月のカレンダーを送られた人がそれほど喜んだのかはこちらに分かりづらかった。 それが主題ではないのはわかるけど、調べてゆくきっかけなのだからもう少し読み手がなるほど!と思うストーリーが欲しかった。
0投稿日: 2026.01.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
初めて読む宇佐美まことさんの作品。多くのブク友さんが高評価なので間違えないと思って読みましたが、やはり心に残る読んでよかった作品でした。 両親が離婚して、連絡を取ることも無くなってしまった父親から空き家となった祖父母の愛媛の家をやると言われ、その家を訪ねることとなる。そこには自分の知らなかった祖父母の過去の出来事、広島の惨劇、自分のルーツそれら全てが今に繋がっていることを知る。最後は奇跡の縁が侑平のこの先を明るい方向へ導く、ホッとするような終わり方だった。
39投稿日: 2025.12.30
powered by ブクログ1つ1つ丁寧に読みたい&読ませる文章ですが、原爆投下後など、読んでいて辛い表現も多かったです。 主人公が祖父母の過去を探りながら自分自身と向き合っていく形をとることで、過去と現在をうまく結びつけ、戦争を過去の出来事として風化させまいとする気持ちを感じました。
52投稿日: 2025.12.25
powered by ブクログ被爆者としてのリアルな告白、生涯を閉じるまで奇跡を信じた一人の女性。次の世代にバトンを繋ぐ為に何か出来ることはないか。 それは確かに孫世代に受け継がれていった。重いテーマを軽やかに読ませるのが筆者の特徴だろう。読了させて頂きました。
0投稿日: 2025.12.24
powered by ブクログ研究で魔が差してやってしまった不正行為で失意の日々を過ごす青年が、懐かしい祖父母方を訪問し、亡き祖母の歩んだ人生を辿るうちに、考え方に変化が。 13月のカレンダーが起こした奇跡、家族愛、戦争の悲惨さ、友情と様々な要素があった。 もちろん感動的な場面も一杯あったものの、ここがポイントなのかと思うところがいくつもあり、主題がどこなのか分かりにくかった。 主題に沿って、もっと先まで続く物語をじっくり読みたかったと感じた。
44投稿日: 2025.12.13
powered by ブクログ奇跡があってよかった。色々なところで知らぬ間に縁ができてたりするんだろうな。それが思わぬところで発覚する。そんないい巡り合わせが多くあるといいな。
1投稿日: 2025.12.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
原爆による被害は世代を越えてくる。 足が向かなくなっていた祖父母の家で 戦時下を追体験することになる。 父親が物静かになったのは主人公の曽祖父が「被爆者手帳」を持っていたことが発覚したため。 「自身や次の世代まで原爆の被害が及ぶのでは...」 と不安になったことによる。
0投稿日: 2025.12.11
powered by ブクログ題名からは全く想像がつかない内容だった。広島に原爆が落ちたあの日、街の人たちがどんな目にあったのか、そんな本を沢山読んできた。 ここに出てくる人々は、みんな優しくまともな人過ぎる。そんなわけあるかい!と思いながらも、心地よかった。
1投稿日: 2025.12.06
powered by ブクログ今さらながら差別について考えさせられました。差別とは、絶対あってはならないもの。そんなことは誰もが自分の中の常識にきっとあると思う。でも、最近だったらコロナの時どうでしたか?今ではコロナに罹った人を偏見の目で見ることはないと思いますが、令和2年の頃だったらどうだろう?令和元年だったら?きっと自分が罹ったとしたら人に言えなかったんじゃないでしょうか? それが原爆だとしたら。 この物語は原爆の被爆者がいつまでも抱えている問題を浮き彫りにしています。そもそも差別って、差別される側は何も悪くないことがほとんどだと思います。例えば肌の色であったり、貧困であったり、差別されるべきではないのに差別される要素はたくさんあります。でも、それは自分ではどうにもできないこと。差別される側は『気にしない』『負けずに強く生きる』であったり、なぜ普通に生きることができないのでしょう? 被爆者は、近寄ったらうつると言われたり、子どもも障害を持って生まれてくるんじゃないかと不安になったり、いつまでも苦しむことになります。 この物語の主人公の侑平は、父親から実家を処分するから相続を持ち掛けられ、疎遠だった亡き祖父母が暮らす松山まで足を運んだ。祖父母の家で見つけた13月まであるカレンダー。その謎を突き止めるべく祖父母のことを知る人たちに会って色々な話を聞く。 これまで父親の態度を不審に思っていた侑平だが、色々な人たちからの話を聞くうちに合点がいくことになる。 読むのが本当に本当にきつかった。でも、ラストにはとびきりのプレゼントがあります。亡くなる前に祖母が言っていた『奇跡』とは。
28投稿日: 2025.12.05
powered by ブクログ原爆被害の記憶和田しっかり今に位置づけるとともに骨太の再生の物語に仕上げた作品だ。読後感も素晴らしい。しっかりと自分と家族と戦争に向き合った主人公の格闘に○。
1投稿日: 2025.11.29
powered by ブクログ妄想の中でも「人の生き死にに関わることは」 変えられなかったのに… 生きていれば奇跡は起こるのかもしれない! 今、生きている それは、奇跡の繋がりだった
2投稿日: 2025.11.22
powered by ブクログ皆さんが読んでいたこの作品、やっとレビュー投稿できます。一言で言うのであれば、読んでよかった!です。読むべき作品でした。 主人公は勤めていたバイオ企業を辞職した侑平、父方の祖父母が亡くなりその実家を売却すると父からの連絡を受けて、愛媛県松山市にある空き家を訪れていた。そこで見つけた13月まであるカレンダー、祖父が祖母の病状を綴ったノートには、祖母の寿賀子が「13月はあったのよ」と遺していた…。生前の祖母のことを関係者に訪ね歩く内に、祖母の兄は原爆の犠牲になっていたことを知り…。 1945年8月6日広島に原子爆弾が投下され、多くの方が犠牲になりました。生き残った方も被爆者であることで偏見の目に晒され、差別されてきました。本当に理不尽でやり場のない気持ちになりましたが、小説として読んだのは初めてだったかもしれません…。 13月までのカレンダーは祖父の祖母への愛の形、そして周りの人を幸せにするものでした。
91投稿日: 2025.11.11
powered by ブクログ修学旅行で広島に行き、リニューアル前の原爆資料館を訪れて、しばらく怖くて寝付けない夜が続いたことを思い出した。 戦争や原爆についてはなんとなく知っていたけど、それが現実に自分の国で起こったことなんだと実感してのは、多分あれが初めてのことだったはず。 語り部の方のお話を今でもしっかりと覚えている。 主人公の侑平は祖父の家じまいを託されたことをきっかけに、祖母が広島出身であることを知る。自分のルーツを遡っていく中で、リアルな戦争体験を知ることに。 これからどんどん難しくなっていくだろうけど、体験談を聞くことは大切なことだとつくづく思う。 日本被団協団体理事の松浦さんの言葉「被爆者の語り部活動に匹敵するほどの小説です」の通り、こうやって小説を通じて知ることも大事だなと。 8月にたくさんのフォロワーさんが戦争関係のものを読まれている中、つい避けていたことを反省。
50投稿日: 2025.11.04
powered by ブクログ宇佐美まことさんは、本当に素晴らしいストーリーテラーだな、とつくづく思います。映画を一本観終わったようなそんな感覚にさせてくれます。 両親の離婚後、会わなくなった祖父母。仕事がうまくいかず退職したばかりの29歳の侑平は、今は亡き祖父母の家を処分する前に見ておこうと松山へ赴く。 その家で見たのは、祖父が祖母を看病していた時の日記と13月まであるカレンダー。自分のルーツを探っていくうちに、広島の原爆投下の日に導かれていく侑平。 8月6日にどんなことがあったのか、目を背けたくなるような描写が続きます。そして、それから何年も経っても被爆者は差別の目で見られていたこと。同じ日本人でありながら。家族であったとしても。 私自身、高校の修学旅行が広島だったのですが、班ごとに現地で調べるテーマに原爆のことを選んだ班は一つもありませんでした。でも語り部の方の話を聞く時間もあり、その話を聞いた後、感想を聞かれたクラスメイトの「なぜ原爆のことを調べようと思わなかったのか‥‥」という後悔の言葉が忘れられませんでした。 現地に行く、当事者から話を聞くということはとても大切なことですね。教科書だけでは分からない温度が感じられます。 そして、自分のルーツに関わる祖父母や両親の話もたくさん聞いておくべきだな、とも思った一冊でした。
125投稿日: 2025.11.03
powered by ブクログ「原子爆弾が投下されて、十四万人もの命が失われた」という数字では到底表せない、一人一人の物語に想いを馳せる。 それぞれに名前があり、それぞれが悲惨な最期を迎えた事実に胸が締め付けられる。 私の祖母も被爆2日目に広島市内に姉妹を探しに行った“入市被爆者“だったけど、生きている間に原爆の話を聞くことはついぞなかった。 被爆者への差別や無理解は凄まじく、人間の弱さ、醜さを思い知る術となる。 テーマは重く、原爆の悲惨さを知ることのなかった人が読む分には良作なんだろうけど、13月にまつわるファンタジー要素や最後の奇跡的な部分が私にはちょっとはまらなかったのが残念。
1投稿日: 2025.11.01
powered by ブクログ侑平は15年ぶりに訪れた愛媛県松山市の祖父母の家で、祖母の闘病生活を綴ったノートと13月まであるカレンダーを見つけた。祖母が広島出身であったことを知り自分のルーツを辿っていく。 原爆を投下された時の広島とそこにいた人々がものすごくリアルに描かれていて読んでいて辛くなった。原爆の後遺症だけでなく、世代を超えて偏見と差別に苦しめられるていることにも。 祖父の祖母を想う気持ちと寿賀子の兄の優しさが13月のカレンダーという奇跡を生んだ。 「13月はあったのよ」 「きっと奇跡が起こるよ」 侑平の再生の物語でもあったと思う。
25投稿日: 2025.10.30
powered by ブクログ研究者としての道でなにかあって仕事をやめたらしい侑平は両親の離婚で疎遠になったが大好きだった祖父母の家に行くことになった。祖父母は他界しており、自分の仕事での過ちと、祖父母への疎遠になってしまったことへの後悔が混ざるように祖父母のルーツを探していく。そして知る、個人として見た、被曝した経験の悲惨さ。人生への影響。祖父母と関わりのある人たちの話を聞いた侑平は、自らの悔恨を見つめ直す。そして、奇蹟が起こる。 丹念に綴られる戦争の悲惨さが共感を持って感じられ、また、被害者であるのに、悪者のような扱いを受けるという継続的な二次被害の辛さも伝わってきた。タイトルにもなっている13月に起こった奇蹟がいまいち心に沁みなかったのが(個人的な感想です)残念だったけど、とても良い読書でした。 小学生でも大丈夫な内容ではありますが、人間関係の機微がちょっと経験必要かと思いました。高校以上くらいからが向いていると思います。
5投稿日: 2025.10.21
powered by ブクログ戦争を経験した祖母の悲しい記憶を辿る中で、最終的には祖母がタイムリープした結果、別の少年の命を助けていたという奇跡を主人公が知る。 悲しい話の中に救いがある。ファンタジー要素も少し。 戦争当時の状況も知る事ができた。
3投稿日: 2025.10.20
powered by ブクログ当たり前の日々を突然壊す戦争。不条理な差別と次世代にも渡る偏見と苦悩。閉ざすのではなく、対話をしなければ、前には進めない。 文体なのか流れなのか、この著者の作品は本当に読みやすい。簡単という意味ではなく、抵抗なく風のように頭に入ってくる感じ。心地よい読書時間になった。 ただ、不完全燃焼な箇所があってモヤモヤ。あの口癖はなんだったのか。それも含めてのキセキ? カレンダー…経緯は分かる。キセキとしてあの日を示すには長い気もする。私の解釈がまだまだ未熟なのだろう。また読みたい。
2投稿日: 2025.10.19
powered by ブクログ原爆の話で悲惨な情景が目に浮かぶ描写、そして1日の差で原爆を免れた人の罪悪感に心打たれ何故生き残ったのか、いわれない差別に心が沈む。そして主人公の改ざんをしたことに対する罪の意識や他人を疑ってかかる心理、父親の息子を遠ざけていた理由などなど暗くなる話なのに松山に住んでいた祖父母のルーツはあったかい気持ちになりと読むごとに心の状態が不安定になりながら読む。そして最後の3歳の時に助けてもらった話は一気に鳥肌が立ちクライマックスにこれかぁとラストまで心震える話だった。 懸命に生きていく姿勢が戦時、戦後、現在と世の中変わっても形が違うだけで同じなのだなぁと思う。何故生かされているのか、私の答えは見つかる事ができたらいいのに。と思いながら読了。
2投稿日: 2025.10.19
powered by ブクログ/_/ 感想 _/_/_/_/_/_/ 『13月のカレンダー』を読み終えて、本当に素敵な終わり方だと感じました。 途中までは「このまま悲しいお話で終わってしまうのかな」と思っていたのですが、最後がとても穏やかで、希望のある締めくくりだったので、読後はあたたかい気持ちになりました。 中盤からは被爆の体験が非常にリアルに描かれていて、読んでいて胸が詰まるようでした。 今の時代は、当時の写真や記録をすぐに見ることができるので、それらを確認しながら読み、物語の重さがより深く感じられました。 コロナ禍のときにも、人を避けるような空気があったと思います。「自分さえ良ければ」という風潮を思い出し、被爆者の方々が受けてきた差別や偏見の痛みを、想像することができました。そうした人間の恐れや弱さを描きつつも、それを乗り越えて生きてきた人々の強さに、心から感動しました。 被爆の犠牲は広く深く、その家族は長い年月をかけて向き合い続けなければなりません。けれど、全てを「そのせい」にしていては前へ進めないというメッセージに、強く胸を打たれました。 「曲がった指」という描写を読んだとき、最近亡くなった叔母を思い出し、とても悲しい気持ちになりました。人の死の悲しさと同時に、そこに宿る優しさや命のつながりの尊さを改めて感じました。 とても悲しいお話でありながら、読み終えると不思議と“生きる力”をもらったように思います。 今の自分がどれほど幸せな時代と場所に生きているかを実感し、そして「誰かのために少しでも役に立ちたい」という気持ちが、さらに湧き上がりました。 /_/ あらすじ _/_/_/_/_/ 物語は、大きな失敗をして落ち込んでいた侑平が、祖父母の家を訪ねるところから始まります。 そこで出会う人々との関わりや、過去に起きた出来事を通して、被爆の記憶や家族の歴史、そして隠されていた真実が少しずつ明らかになっていきます。 過去と現在が交錯するなかで、「生きるとは何か」「人はどう希望を見出すのか」を静かに問いかける物語です。 悲しみの中にも、確かに光が感じられるような一冊でした。 /_/ 主な登場人物 _/_/_/ #過去の回想 服部義夫 広島で被爆 新川喜代 被爆 新川三千代 喜代母 佐伯通孝 義夫友人、寿賀子兄 佐伯寿賀子 喜代友達、通孝妹 #今 上野侑平 29歳、親が離婚、母方の性 窪田和成 侑平祖父 窪田寿賀子 優しい、寅年 窪田一郎 侑平父、一人っ子、離婚 石丸奈穂美 研究室同僚 佐野美登利 隣のおばさん、よくしゃべる 佐野欣也 きんや、隣のおじさん、釣りが趣味 服部臣吾 義夫息子 森元喜代 新川喜代、生きていた 剛 喜代息子 美保 喜代娘 神崎 侑平母の再婚相手 神崎響子 侑平母 #夏井印刷所 富三郎 織江 富三郎妻 琢磨 富三郎息子、一郎同級生
73投稿日: 2025.10.18
powered by ブクログ私は広島在住なので原爆は学校などで学習し、知っているつもりだったが。 現代に生きる侑平と、祖母。祖母の友達の喜代。主にこの3人の過去と現在が交互に語られる。その中には日本人の差別意識も盛り込んでいる。今が本当に平和な世の中と言えるのか、この先10年がどうなるのか、とも考えさせられた。
18投稿日: 2025.10.15
powered by ブクログ両親が離婚後、疎遠になった父から他界した祖父母の実家を譲ることを告げられ、久しぶりに松山市を訪れた元研究職の侑平が、祖父の書き残したメモなどを手掛かりに原爆にあった人、その家族の思いに触れながら自分を取り戻していくお話。原爆投下後の広島の描写はこれまで他の多くの書籍で何度も読んでいるが、やはり辛い。そして辛い目にあったにもかかわらず差別や偏見で隠さざるを得なかった人は物凄くたくさんいらっしゃるだろう。小説の中で語り継いで同じ過ちを繰り返さないようにしたい。
0投稿日: 2025.10.15
powered by ブクログ視点が変わり当事者だけでなく世代や場所を超えて様々な立場の人の角度から原爆を語っていくため、原爆の影響力を改めて感じる話だった。
0投稿日: 2025.10.15
powered by ブクログ昭和20年8月広島に原爆が投下された。ほんの少しの違いが生死を分けた。生き残った人たちも心に傷を抱えそしてそれはずっと癒えることがない。投下時の描写、その後の生き様に涙がこぼれる。戦後80年、当時を知る人もどんどん少なくなっていく。でも決してそれは戦争が無かったことになるわけではない。誰もが忘れてはいけない。13月に奇跡は起きた。終わりも良かった。
0投稿日: 2025.10.11
powered by ブクログ心に深い傷を抱えている侑平は、両親の離婚後に疎遠になっていた父親から松山にある父方の空き家になっている実家を譲ると言われる。失業中で身軽だった侑平は、父親の実家へ行き、亡くなった祖父の机から13月があるカレンダーを見つける。なぜ13月があるのか、気になった侑平は亡くなった祖父母の軌跡を辿っていく。 8月6日生まれの私は、幼い頃から同居していた祖父母に誕生日の度に、広島の原爆について、戦争の実体験について聞かされてきた。でも、生まれも育ちも関東圏。原爆についての恐ろしさは戦争体験者の祖父母でさえもあまりよくわかっていないようだった。 なんの罪もない、ただ平穏な暮らしをしていただけの人々が一瞬にして地獄に突き落とされ、生き残った人たちも被爆者だと差別され、その子どもたちも被爆2世だといじめられる。世の中はなんて不公平なんだろうとつくづく思った。 義夫や喜代の被曝体験を聞き、何気ない日常の積み重ねが平和だと感じた侑平。自分の過去の過ちを見つめ直し一歩前に進む姿は頼もしくあった。
57投稿日: 2025.10.10
powered by ブクログ▼配架・貸出状況 https://opac.nittai.ac.jp/carinopaclink.htm?OAL=SB00560084
0投稿日: 2025.10.06
powered by ブクログ戦争の語り部のような良書。寿賀子と通孝の宇品港での別れ、差別や偏見で苦しみ続けた喜代…まるで戦時中にタイムスリップしたかのような、繊細でリアルな描写に悶え、落涙。戦争に対する怒りも沸き上がってくる。平和の尊さ、重さを感じられる貴重な一冊。
1投稿日: 2025.09.28
powered by ブクログ多くの方に読んでほしい作品です。 いまだに被爆認定されず苦しい思いをされている方もいます。80歳を優に超えてからやっと国が認定した方もいます。体の不調や周りからの差別で、どんなに辛い思いで生きてこられたか。
1投稿日: 2025.09.27
powered by ブクログ大学で研究に励んでいた侑平は一瞬、魔が差したことがきっかけで研究室を去ることになり、その後に勤めたバイオ企業も辞職した。両親の離婚後、父とは疎遠になっていたが広島にある祖父母の家を売ることになったと連絡あり幼い頃に何度か訪れたことのある家に行ってみたことから自分のルーツを知ることになる。時代は第二次世界大戦、原子爆弾が広島に投下された頃。その残酷な描写は肌で感じれるほどだった。ラストに残されていた奇跡に感動!これからの侑平の生き方に期待している。
8投稿日: 2025.09.22
powered by ブクログ原爆投下とその後一生続く苦悩を文字にすると胸が締め付けられ、苦しくなってきます。でも、目をそむけず語り継がなくてはならないですね。 そして、今も続いている多くの人を犠牲にしている戦争。一刻も速く終わらせるべきですね! いろいろなことを考えさせられました。
0投稿日: 2025.09.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
これ、八月に読むべきお話だった。 伝えていかなくてはいけないこと。 戦後80年目に当たる今年、特集番組が組まれ、太平洋戦争や原爆がテーマのドラマやアニメも新旧合わせて放送されたた。 そういう番組は何度も放送してほしいし、小説という、感情移入しやすい形で、誰もがいつでも手に取ることのできるこの本は、みんなに読んでほしいと思う。 上野侑平(うえの ゆうへい)は、疎遠になっていた父から突然の電話を受ける。 松山にある、今は住む人のない自分の実家を侑平にやる、と言うのだ。いらないと突っぱねると、では取り壊すと言う。 中三の時に両親が離婚して、侑平は母と二人で暮らすことになった。 父の実家の松山の家は、小さい頃は毎年夏休みに過ごしたところだった。 会社を辞めて暇のある侑平は、取り壊す前にと祖父母の家を訪ねる。 そこには、侑平が知らない、祖母の闘病を綴った祖父の日記があり、十三月まである、不思議なカレンダーも発見した。 そこに書かれた謎を解き明かすことが、侑平のルーツをたどる旅となった。 原爆の直接の被害の痛ましさもさることながら、被爆者に対する偏見と差別はひどすぎる。 それでも、死ぬ時までは生きていかなければならない、という被爆者たちの人生の頑張りには、尊敬と共に言葉を失う。 「被害者に対する差別」という風潮は現在でも無くなっていない。 主人公、上野侑平の父は、犯罪を犯したわけでもないのに、逃げ続けていた人生だった。 風評被害を信じ、家族の言葉を疑った己の性格も悪いと思うが、なんとも気の毒な人である。 自分で自分のルーツに偏見を持ち、差別してしまったわけである。 服部義夫さんや森元喜代さんの話は、父が自分で聞くべきだったのだと侑平は思ったが、この後、父・一郎の心が変わる日は来るのだろうか。 科学者を目指していた主人公の侑平には、実験のデータをまとめる過程で、間違いを犯してしまうという過去があった。 作品の中ではその関連性を匂わせることさえしていないけれど、原爆もまた、科学が犯した過ちだったのではないかと私は思う。 科学は、人類の幸せのためだけに使われてほしいと切に願います。 辛いことばかりの現実の中にポッとあかりが灯るような、奇跡がありました。 自分の好きなことを純粋に探究したいと言う人たちの、まっすぐな気持ちも温かかった。
5投稿日: 2025.09.18
powered by ブクログ私も長崎に住んでいるので小学生から高校までは毎年8月9日に平和教育を受けてきました でも、そんな私さえも想像を超える様な体験をしてきた人達がたくさんいるということを今更ながら思い知らされた気がします この体験はこれからもたくさんの人に語り継がなくてはなりません人類が同じ間違いを二度と起こさないためにも
0投稿日: 2025.09.14
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本屋さんでタイトルに惹かれて、今年の夏だからこそ読んでおかないといけないような気がして買った2冊のうちのもう一冊がこの本。終戦80年。恥ずかしながら原爆についてのメディアは小学生の頃に観た「はだしのゲン」くらいです。つまり文字で原爆についての描写を読んだのは初めてでした。同じ原爆投下後のシーンのはずなのに、服部義夫のセクションよりも、喜代のセクションの描写の方がより生々しくよりキツく感じました。実際のところより生々しくキツい描写に手法的にしていたのか、それとも対象が7才の女の子だからよりキツく感じてしまったのかわからないが、おそらく後者だと思う。とにかく読み進めるのが辛くなるくらい生々しく可哀想でした。この小説は、青年侑平の一夏の体験記で終わるのかなぁと思いきや、侑平自体が抱えている切実な悩みや後悔している過ちなども丁寧に描かれており、読み応えがあり感情が忙し過ぎました。忙しい感情の極め付けが最終章!なんとファンタジーなエンディング!いやファンタジーと言うと寿賀子に失礼になりますね?寿賀子にとってはファンタジー(幻想)ではなく現実の出来事だった。しかもその事を琵琶湖湖畔で隣同士でいま座っている侑平と奈穂美が証明していると考えると本当に鳥肌もんでした。このラストシーンを朝の満員通勤電車の中で読んでいた、涙は出てくるし鼻水は出てくるし、、。涙拭いてたの、鼻をやたらすすってたの周りにバレてたやろうなぁ。 この夏にこの本に出会えて良かった。
13投稿日: 2025.09.09
powered by ブクログ戦後80年。戦争に関する本を読みたいと思い、選んだのがこの本だった。 戦争だけを描いたわけではなく、家族とは夫婦とは、と考えさせられる物語。 涙なくしては読めなかった。 過去の戦争と、戦後の現在と… 幸せな事ではあるのだけれど、戦後が長くなって、戦争を知っている人が減って… 語り継いで頂きたいと思うけれど、語り継ぐことのツラさもなんとなく想像できて… 戦争について意識的に情報集収集しないと知ることすら難しくなってきている気がする。 忘れてしまわないよう、過去の戦争について知る努力をしたいと思う。 そして、ずっと戦後であることがどれだけ幸せかをしっかり感じたい。
1投稿日: 2025.09.09
powered by ブクログ「戦争も原爆もいずれ遠くなっていって、やがて消えてしまうのを、じっと身を縮めて待っているんだ」 宇佐美まことさんは凄惨すぎる原爆投下直後の広島の描写と奇跡のような物語によって、上のような姿勢に強烈に否を表明していると感じました その想いが、この一冊に濃縮されていました 濃縮果汁100%です松山だけに(今そういうのいらんねん) 目を背けずに語り継ぐこと、それこそが世界に二度と原爆の被害を起こさせないことに繋がっているのではないでしょうか だって忘れてしまったら、なかったことにしてしまったら、きっとまた人類は平気で同じことを繰り返すと思えるから 本当は忘れてしまいたいこと、思い出したくないことを懸命に語る人たちがいたからこそ、今、世界の指導者たち、あるいは独裁者たちが、ボタンを押すことを躊躇している そう信じようじゃないですか そしてそれこそが日本という国に生まれたものの大切な使命なんじゃないかな 語り継ぐひとりになれたことを誇り思おう
76投稿日: 2025.09.07
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原爆投下直後の広島の描写があまりにリアルで胸に迫った。わずかな違いが生死を分ける残酷さや、助かったのにデマで差別され続ける被爆者の苦しみには心が痛む。重いテーマなのに文章はすっと読めて、最後は強く心を動かされた。侑平が祖母の「抱えてきた物語」をしっかり受け取れたことも良かった。戦後80年の今年、この本に出会えてよかった。
0投稿日: 2025.09.07
powered by ブクログ仕事を辞めてしまった僕は、死んだ祖父母が遺した松山の家を見に来た。残されたのは13月まであるカレンダー。過去を調べてみると。 戦争体験を描く真面目な作品。広島にいた人達がどんな目に会ったのか、読ませる。
0投稿日: 2025.09.05
powered by ブクログ祖父が、祖母の寿命を少しでも伸ばしてあげたいという思いから作ってもらった、13月のカレンダー。それを見つけた孫の侑平は、長年不義理をしていた祖父母の過去を知ろうとします。事情を抱えた彼が、祖父母への思いと過去の自分に突き動かされて、行動します。 病床の祖母が会えて嬉しかったという二人の人物も体験した、8月6日。広島の原爆の瞬間とその後の有り様が詳しく書かれていました。その惨状は想像を絶するものでした。7歳と14歳の子どもが経験したことだと思うと、いたたまれませんでした。そして、ちょっとしたことが生死をわけたことに、怖さを感じました。 「ヒバクシャ」と言われ偏見を受けることに、隠れるのではなく怒っていい、声をあげていいと言う言葉に重みを感じました。 侑平がたどった自分のルーツ。知り得たことでこれからの生き方に大きな影響を与え、人としての芯ができたように思いました。 13月のカレンダーは、確かにありました。生きることは毎日の選択の積み重ね。そして、全てが奇跡なのかもしれません。大切に日々を過ごしていきたいと思いました。 〈目次〉 第一章 ヒナギク 第二章 瀬戸内海 第三章 閃光 第四章 折り鶴 第五章 奇跡
61投稿日: 2025.09.04
powered by ブクログ侑平は、研究者として尊敬する教授の下で働いていたが、研究データを捏造するという不正のために辞して違う会社に勤めていた。 だが人との交わりを避けているうちに誰ひとりとして親しくする者もなく、毎日鬱々とした生活に嫌気がさしてその仕事も辞めていた。 ある日、両親の離婚以来、疎遠だった父から父方の亡き祖父母の空き家相続を持ちかけられ、子ども時代の夏休みに遊び行っていたことを思い出し、15年ぶりに四国・松山に向かった。 そこで祖父の書斎にあった書類の中から13月まであるカレンダーと脳腫瘍を患った祖母の病状を記したノートを見つける。 侑平は、祖母が広島出身だったことやその兄が原爆で亡くなっていたことを近所の人から聞き、何も知らなかった、知ろうともしなかったことで、今になりもっと深く知りたいと思い行動する。 父が家族に対して深く関わろうとしなかった理由もわかった。 そして侑平自身のなかでも、いろんな人と話をするうちに変化していったように思う。 広島の原爆投下後の生き残った人も想像を絶する惨禍を経験したということが、頭ではわかっていても実際それが祖母に近しい人からの言葉で聞くとやりきれない気持ちだろう。 そして祖母もまた苦しんできたということを知ると生きている間に話を聞きたかったと思ったかもしれない。 生き残った者の罪悪感という、サバイバーズギルトにというのも初めて知った。 知らなかったことは無かったことではない。 知ってこれからどうするのかが大切だと感じた。
81投稿日: 2025.09.04
powered by ブクログ怪しげなタイトルだが、宇佐美さんにしては珍しくほぼ直球勝負の小説だった。 訳あって大学院を辞め、その後勤務した企業も辞めた侑平は、松山にある今は亡き祖父母の家を訪れる。きっかけは、離婚後疎遠となっていた父からの電話だった。 書斎に残されていた祖父のノートには祖母の病状が記されており、2008年のカレンダーにはあるはずのない「13月」が印刷されていた。 要約してしまえば、ここから侑平が祖母の過去を調べるだけの話なのだが、その内容が衝撃的過ぎて言葉が出ない。過去を知った侑平が生き直そうと決意する姿も好印象だった。 戦後80年となる今年、この本に出会えたことに感謝したい。
4投稿日: 2025.09.02
powered by ブクログ侑平は研究者として仕事をしていましたが、研究で不正を行ってしまい職を辞します。 侑平の父母は離婚していて侑平が中二の時に祖母の寿賀子を亡くしていました。 中学教師だった祖父の和成は5年前に83歳で亡くなっていました。 侑平はふとしたきっかけで祖母の寿賀子のことを知りたくなり愛媛県松山市の郊外にある町を訪ねます。 そこで侑平は寿賀子の為に和成が作った13月まであるカレンダーを見つけます。 なぜ和成は13月まであるカレンダーをわざわざ作ったのか…? 昭和20年8月6日、広島に原爆が落とされ苦しんだ人々が大勢いたこと。こんなに克明に描かれた文章を読んだのは私は漫画の『はだしのゲン』をずいぶん昔に読んで以来でした。 原爆投下の描写は凄まじくむごいものでした。 一瞬にして全身に大火傷を負い、「水が飲みたい」と言いながら死んでいく人々。 13月のカレンダーは寿賀子や周りを幸福にする奇跡のカレンダーでした。 今年の8月6日は過ぎてしまいましたが、核兵器が使われることがどうかもうありませんようにと思いました。
141投稿日: 2025.09.02
powered by ブクログSL 2025.8.29-2025.8.31 8月7日の広島、まるでドキュメンタリーのように惨状を描き出す。これが戦争、原爆の現実。たった一発の爆弾で街も人も家族もズタズタになる。被爆者たちは一生、いや子の世代までも被爆者であることに苦しめられる。ただその時にその場所にいただけなのに。 戦争のことも原爆のことも少しは知っていると思っていたけど、戦後の被爆者の苦労は想像を絶するものだった。 戦後80年、わたしたちはまだ親世代が戦争とつながっていたけれど、もうほんとに戦争がひと事になりつつある日本。せめてこういった作品を読んで何かを感じて欲しい。 多くのことを考えさせられる作品だった。
0投稿日: 2025.08.31
powered by ブクログ亡き祖父母の家を訪れた侑平が見つけたのは、13月まであるカレンダーだった。余命宣告をされた祖母のために祖父が作ったというそのカレンダーは気休めのようなものだったはずなのに、「十三月はあったのよ」と謎めいた言葉を残した祖母。祖父母の人生を辿ることにした侑平は、過酷な人生を生きぬいた人々の物語を知ることになる。 核にあるのは広島の被爆体験をした人々の物語。実際に遭った人のみならず、関わった人たちの人生にも波紋を起こし、さらに後々に至っても心理的な被害をもたらす原爆は本当に許されざるものです。実害はもちろん風評被害により人生が狂った人たちの物語も痛々しいです。しかしすべての不幸を原爆のせいだけにしてしまうのもまた新たな不幸を生み出すことになってしまうのか、という悲惨さもまたやりきれません。強い心をもって生き抜く人たちは頼もしいけれど、そうでない人もいますからね。 さまざまな人たちの物語を通じて前向きな心を取り戻していく侑平に力づけられます。そして最後に起こる「奇跡」のすばらしさ! たしかに十三月はあったのだとしか思えませんでした。
0投稿日: 2025.08.31
powered by ブクログ装幀からは想像つかない壮絶な作品だった。 物語は、仕事に挫折した主人公・侑平が、愛媛県松山市にある亡き祖父母の空き家を訪れる場面から始まる。 祖父の書斎で見つけた13月まであるカレンダーは何を意味するのか? 祖母の故郷である広島との関連性は? 1945年8月6日、広島へ原子爆弾が投下された一日が圧倒的なリアリティで描かれる。 戦争がもたらした数々の悲劇と理不尽、被爆者への偏見と差別は読んでいて苦しかった。 侑平が家族のルーツを探る中で辿り着いた真実と奇跡が涙を誘う。 今年は戦後80年、未来永劫この平和が続きますように。
14投稿日: 2025.08.31
powered by ブクログ戦後80年で、戦争を風化させない取組が小説界でも多いが、その中でも出色の出来の作品。ストーリテリングの上手さも人物描写・背景描写も流石で、ラストに回収される奇跡の物語には落涙必至。ホラーで一番怖いのはヒトコワと言われるが、原爆被害についても同じことがいえる。被害そのものではなく流言飛語と差別意識が一番恐ろしいことがよくわかる。13月のカレンダーに込められた想いはひしひしと伝わるが、それが13月あるカレンダーに必然性を感じなかったところが残念で、別のもっとしっくりくる題材があったのでは、とも思う。
1投稿日: 2025.08.29
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何もかもが奇跡という名の下にあるような気がした。 1番最後のこのセリフがこの小説の全てだと思った。 ここまで読んで最後にこの一節で締めくくるとは、なんと心を震わす言葉かと思った。 宇佐美まことさんの小説は羊は安らかに草を食みを読んでから生半可な気持ちで読むものでないと知り、今回も一文字一文字自分なりに丁寧に読んだ。 読み飛ばしなんて絶対にできないほどの気迫が伝わってくる文章で、ところどころ苦しくなるけれどそれでも読み進めた。 個人的には羊は〜の方が衝撃的ではあったが、今作も被爆した人たちのその後の人生を知り、果たして自分に一体何ができるのかとずっとずっと考えながら読み進めた。 13月はあったのよ ファンタジーとも取れるこのセリフだが、この小説に至っては全くファンタジーではない。 うまく言語化できない自分がもどかしいが、人の生死に関する運命は変わらないのだと。 けれど、誰かが死ぬ運命だったそばで、誰かが生きる運命にあったということは、今現在も確かに存在していて、それはファンタジーでもなんでもなくて、後悔をするけれど後悔をしてもというものであって、そこに誰かの生があるならばと慰められている気もして。 自分に何ができるのか、もはや知ることしかできない気もするが、それさえも怠っていた自分を恥じた。 よく分からない感情がごちゃ混ぜでしたが、読んでよかったです。
1投稿日: 2025.08.28
powered by ブクログ戦争や原爆のこと。 ひどい歴史だと思いながらもちゃんと自分が正面から向き合ったことはないような気がする。 この本を読んで、改めてそう思った。 自分の勉強不足に反省。
8投稿日: 2025.08.22
powered by ブクログ戦争は昔の話だとどこかで思っていたが、わずか80年前の出来事なのだと改めて考えると(特に自分の年齢を思えば)、ほんのついこの前のことだったのだなと恐ろしくなる。 14万人がお亡くなりになった広島の原爆投下後の様子がかなり詳細に書かれていた。知ったような気になっていたが、実は何も知らなかったことを思い知らされる。学生服を着た遺体を見れば飛んでいき、息子を死に物狂いで探す親の描写には、胸をえぐられる思いがした。またこの息子と共に国鉄で働かされ、一緒に探してくれた息子の親友も、なぜたったの14才で、そんな悲しい経験をしなければいけなかったのだろうか。 命は助かっても、顔に大火傷を負い、様々な病に倒れ、結婚や出産で悩み、その後何十年と苦しみが続いていた(る)方も居られる。戦争とは無縁の毎日を送り続けるために、出来ることを考えて行動しなければいけない。
70投稿日: 2025.08.21
powered by ブクログ研究者人生を絶たれ、鬱屈とした日々を送っていた侑平。疎遠になっていた愛媛の祖父母の家を久しぶりに訪れたところ、12月の次に「13月」がある謎のカレンダーを発見する。それが作られた経緯を追ううちに、祖母が広島出身であったことをはじめて知り、自分の人生とも切っては切れない原爆について深く学んでいくことになる。 「被爆者の語り部活動に匹敵するほどの小説」という被団協の方のコメントが帯にある通り、誠実に取材をされたのだろうなということが伝わる大作。その反面、特に過去パートでは良くも悪くもまさに当事者の方の「手記」を読んでいる印象で、会話文もほとんどないので小説としてのよさが生かされていないように感じた。全体的に暗いトーンなので(そう書かざるを得ないテーマであることは承知だが)、リーダビリティが高いとはいえず、小説として引き込まれながら読むというには難しかった。最後になって東日本大震災と福島の原発事故について言及があるのも、取ってつけた感があった。 戦争を題材としたこうした作品の場合、どうしても本作のように現在から過去を回想して少しずつ真実が明らかになっていく……という構造のものが多くなってしまうが、かなり見慣れた感があるので難しいなと思った。
1投稿日: 2025.08.18
powered by ブクログ戦後80年、決して忘れてはならない事実、そして命を繋げてくれた人たちに感謝を #13月のカレンダー ■あらすじ バイオケミカル企業を退職した侑平、日頃から不仲だった父から連絡があった。かつて祖父母が住んでいた松山市の住宅が不要になったため、侑平にくれるというのだ。 父の勝手な判断に怒りを覚える侑平だったが、久しぶりに祖父母の住宅を訪れることにした。そこでは生前の夫婦生活や、侑平自身のルーツをも知ることになってゆく。そして父の書斎で13月まである不思議なカレンダーを見つけるのだが… ■きっと読みたくなるレビュー こりゃ文学賞ありますね、力強い筆致で描かれる圧巻の人間ドラマです。 本作は退職の人生の岐路に立った青年が、これまで縁遠かった生存中の祖父母やルーツを知ることによって、自分らしく生きることや、価値観のアップデートを体現していく物語。 主人公の侑平は独身男性29歳、真面目で嘘がつけない、人と関わりあいが苦手、愛し愛される経験も少ない。父親との折り合いが悪く、会話をするといつも言い合いになってしまう。父親の性格や価値観を不満に思いながらも解決ができない。 私の20代も似たような感じで涙がでてくるよ…。イメージ通りに人生を泳げていない鬱屈した感覚。はー、思い出したくもない。 まず本作の一番の読みどころは、やっぱり家族や人間との絆ですね。人付き合いが下手っぴだった侑平が、多くの人生の先輩たちと繋がりを深めていくうちに、これまで疎遠だった「優しさ」「愛情」「犠牲」に触れるのです。 人生を長く経験している年長者ってやっぱり偉大ですよ、悩める青年に息吹を吹き込む力がある。そして侑平と父親の関係性がどうなるのか… 激熱ポイントですね、最後まで読み逃せません。 また本作は、この侑平と父親だけでなく、様々な家族の関係性が描かれていきます。亡くなった祖父母はもちろん、戦時中の親子・兄妹など、ドストレートな家族愛が胸を打つんです。私はここまで家族を愛せてるんだろうかと不安になっちゃうんです。 そして何と言っても原爆の恐ろしさですよね… 原爆投下直後の広島、犠牲になった人々が認められていくのですが、なんとも筆舌に尽くしがたいです。でもちゃんと読みましょう、我々日本人は心に刻んでおかなければならなりません。 さらに恐ろしいのは差別というやつでして… 人間ってのはどこまでも醜いし、どこまでも弱いんですよね。不幸が不幸をよんで循環となり、結果誰も幸せにならないんです。ほとんどの人は関係しない限り気にしてないでしょうが、今もなお続いてる悲しい現実なんすよね。 戦後80年たちました、しかしこの事実は決して忘れてはなりません。そして歯を食いしばって生き残り、命を繋げてくれた人たちに感謝を申し上げたい。生きてくれてありがとう。 ■きっと読みたくなるレビュー 本書のミステリー要素もエモくて好きですね、タイトル『13月のカレンダー』とは何だったのか。 まず祖父から祖母への愛情ですよ。こんなにも一心に自分の奥さんのことを想えたら幸せだろうなー。なんかいつも世話になってる妻にお礼を言いたくなった。 祖母が見た夢、そして奇跡ですよ。現実でも嘘みたいなことっていっぱいあって、ほんの少しの選択や行動で人生って変わっちゃうのよ。だからこそ自分で決めるってことが大切なんだと思いましたね。
118投稿日: 2025.08.14
powered by ブクログ宇佐美さんの圧倒的筆力を感じる作品だった。 被爆の悲惨さは知っているつもりだったが、この作品から伝わる凄さは言葉にできないほど心を揺さぶった。 タイトルもラストも素晴らしい! 戦後80年、沢山の人に知ってほしい作品。 下期直木賞にどうでしょう?
15投稿日: 2025.08.09
powered by ブクログものすごい読書だった。8月6日広島への原爆投下、どうなるかわかっていたのに何故こんな惨いことができたのか…何度も問いかけずにはいられない。あの日、たったひとつの行動で生死を分けた人々がいる。当時の広島の14歳の中学生、義夫と通孝の友情と7歳の喜代の壮絶な人生がたまらなく悲しい。生き残った人たちへの差別や偏見に憤りを感じ、結局人は変わらないのだと絶望すら覚えそう。タイトルの通り奇跡が起きたのだと思いたいし最後にやっとあたたかい穏やかな気持ちになれた。あまりに壮絶な内容だけど読んで改めて知れて本当に良かった。
19投稿日: 2025.08.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
13月?どゆこと?と思って手に取った一冊。 表紙を見る。 川べりの遊歩道を歩く二人の後ろ姿。向かう先には家族連れの姿が、川の縁には流れを見つめる老夫婦の姿が。 水をたたえ滔々と流れる川。山に降った雨がしみだし集まり流れとなって人々の暮らしを支えていく。同じ川でありながら常に新しい水を運んでいく、時間のように。とどまることなく海へと続く。その流れが人間によってせき止められた日。比喩でもなんでもなく、一発の爆弾によって町が、人が、命が焼かれ水を求めて川へとたどり着いた人たちが積み重なり息絶えた日。昭和20年8月6日のことだ。 毎年ニュースに合わせて一分間の黙とうをささげる。二度とこの国が戦争という道を選ばないようにと祈る。 原爆によって失われたのは、生きていた命だけではなく生き続けなければならない人生でもある。 被爆者という差別。自分や子どもたちが将来発病するかもしれない時限爆弾のような恐怖。そのひとつひとつの地獄のなかに、宇佐美まことは小さな奇跡をしこんでくれた。現代を生きる侑平が、80年という時を超えて手にした奇跡。 この小説で救われた気になってはいけない気がする。自分の中で完結してはいけないからだろう。 伝えていく。身の回りから戦争を知る人がいなくなっていく今だから、この小説を手渡していかなければいけないのだろう。
5投稿日: 2025.07.30
