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謎とき村上春樹―「夢分析」から見える物語の世界―(新潮選書)
謎とき村上春樹―「夢分析」から見える物語の世界―(新潮選書)
河合俊雄/新潮社
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総合評価

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    導入に「村上春樹の作品は読んでいる時はすらすら読めたけど、読み終わってからなんだろうと思い始めた」という感想は正しいとある。私の素直な感想をまずは肯定してくれたので、まずは安心して読み始められたのは大きい。 村上春樹の作品は、一見すると謎のようであっても、物語としては意味をなしている。そして、決してナンセンスではないが、作者によっても読者によっても明らかな意味もない。この辺りが夢と似ている。ユング派の心理療法では夢が何を意味しているのかを分析する。本書は、ユング派心理学者が、村上春樹の作品を夢のように内在的に理解し、謎解きをするという試みだ。 ユング心理学×村上春樹なので、私的には読まずにはいられなかったのだが…10年以上前に読んだ作品(主に1Q84が分析されてた)の分析は、私が忘れていることも多く、「そうだったっけ?」みたいになってしまって勿体なかった。村上作品を再読してから、この本は読むべし。 割と最近読んだ、「騎士団長殺し」と「街とその不確かな壁」の分析はけっこう楽しく読めたかな。 心理学で扱う10歳エピソードが1番勉強になった。子どもから大人への成長ということを考えると「性」が一般的には重視されがちだが、心理学領域では10歳前後において自分で自分を意識するという自己意識が確立するとされているという話。風景画法の話が興味深い。10歳前後に遠くから物事を見る意識が成立し、それは自分を自分で見る意識にもつながっている。ただし、すぐに遠近法のような視点が完成するのではなく、極端な飛躍や否定が通過儀礼として必要になることが印象的である。

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    投稿日: 2025.11.16