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ひらりと天狗―神棲まう里の物語―
ひらりと天狗―神棲まう里の物語―
明里桜良/新潮社
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総合評価

8件)
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    このレビューはネタバレを含みます。

     日経新聞書評(2025/8/7)で見かけた一冊。  図書館に予約して借り出してみた。今年(2025年)の日本ファンタジーノベル大賞だからか、蔵書もあった。  ファンタジーだし、表紙の感じからも、ゆるゆるな内容とういのは想像がつく。  それを日経が? と思ったのが興味のひとつ。書評子曰く、 「主人公ひらりは、まず公務員として田舎に赴任。市民相談窓口での業務内容が、微に入り細を穿(うが)って、丁寧に活写される。」  なるほど、地域格差、地方の問題を物語に落とし込んでいるのだなと。これ興味のふたつめ。  こちらも、たびたび信州の寒村に引き籠ることがあるので、どれどれお手並み拝見と、地方暮らしを垣間見るつもりで図書館に予約してみることにしたもの。  物語の内容は、引き続き、書評子の言葉を借りれば、以下。 「ひらりの家は代々特殊な役目を負っていたが、本人はそのことを知らない。ただし、たしかに、公務員の司(つかさど)る公共サービスとは、昔はちょっと不思議な力をもつ名家の長が仕切っていたのかも。そんな気配が濃厚になるにつれ、ひらり自身の心理も変化し、過去との連続性を再発見する方向へ足を踏み出す。」  こうして、村におこる事件や、村民の頼み事を、解決していく様子が描写される。  村でおこる問題とは、少子高齢化や過疎化、地域災害という、地方のあるあるのお話だ。子どもが行方不明になり、捜索隊が組織されるが、神隠しかもしれないとなり、天狗が登場する。高齢化が進み、いわゆるオレオレ詐欺的な事件に高齢者が巻き込まれると、タヌキの化け能力を使って解決が図られる。 最後は、台風が来て避難しない高齢者が…… とまぁ、実は、ありきたりのお話。  それに対応する市役所、主人公のひらりの動きが描かれるであるが、これが、「市民相談窓口での業務内容が、微に入り細を穿(うが)って、丁寧に活写」なのか? とやや鼻白む。  市役所や、役場の人に実際に取材はしたのだろうか? 〈すぐやる課〉という安易なネーミング、地域活性の食フェアや婚活イベントなど、想像の範囲で書けそうなこと。そこに、あとの解決は、天狗やタヌキ、山の神の不思議な力というお手軽感。  まぁ、これがファンタジーノベルの味わい、と言われればそれまでなのだが。  土壇場で、神頼みしない、ひらりの態度に神が驚くシーンで、ひらりがこう言うのは面白かった。 「どの程度何をしてくれるのかわからない。もしかしたら全部解決してくれるかもしれないけど、もしかしたら何もしてくれないかもしれない、なんて、そんな、不確かなものに頼っている場合ではないですから。今、自分にできることをしなくては。ということで、急ぎますので、失礼します」  でも、これも、タイパ、コスパ重視の、昨今の若者の思考なのかもしれないと思ったり(作者は40前後、ギリ昭和世代だが)。  天狗や、不思議な力を持つ有力な一族の存在は、ある意味、地方の役所的な存在だという気づきは面白い。  最後に、天狗に諭される 「人に頼るっていうのは、人に迷惑をかけることじゃないんだよ。(中略)君は君にできることをして、できないことは人に頼んで、そうやって協力し合えば、できることの範囲が広がるんだよ」  という教えは、地方の生活の良さを表現しているとも読める。  今は、失われた不思議な力を再び現代に呼び戻すことも、日本の古き良き文化風習を見直そうという呼びかけになっているものとは思う。  誰に向けた一冊だったのか? ファンタジー小説としては良作なのかもしれないが、日経新聞の読者層向けではなかったような気がしないでもない(苦笑)

    1
    投稿日: 2025.10.31
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    カフェのオーナーの天狗、博物館の館長の氏神様、スーパーのレジの山神様。主人公のすぐやる課、大月ひらり。ひらりは、自分のナカヤシキという家柄の役目について、何も知らず、次々と起こる事件や出来事に振り回されながら、役目を継ぐ事にした。決心するまで色々迷い、恐れていた。迷う事や、恐る事は何だか悪いことのようなイメージがあったが、それは、慎重に物事を見極めている事でもある。ひらりは神様達と触れ合うなかでゆっくりとであるが、自分で判断して、自分の道を決めた。人それぞれのやり方があると思う。自分のやり方で決断すればいいと思う。

    1
    投稿日: 2025.09.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    天伯(豊橋)市出身で、母の実家がある豊穂(豊田?)市に勤務する入庁2年目の女性職員が実家に縁がある天狗と絡む話。天狗とその眷属がチート過ぎるが、市役所の仕事ーすぐやる課の苦情処理、婚活イベント、空き家対策、防災は実情を反映しリアルで興味深い。

    0
    投稿日: 2025.08.25
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    真面目に市役所での仕事をこなすひらりさん。 派手な振る舞いや手を抜いてサボるなんてもってのほかと 地味にコツコツと身の丈にあった生き方をしているのに [なかやしき]の孫だから、とふりかかる不思議。 その不思議が、 なぜか? そうよね~そんなことあるわよね~ と思わせる自然さ。 宴会のメンバーにキツネが居なかったのは菰田補佐と関係が? なんて考え過ぎね。 天狗に願掛けの作法講座を修めたひらりさんの次の活躍を読みたいです。

    1
    投稿日: 2025.08.23
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    気楽に読めるファンタジー。地方の役所に勤める女性の周りで起こる不思議な出来事。日常生活がメインで、ファンタジー要素はそっと寄り添う感じなのでがっつりファンタジーが苦手な人にも読みやすいと思う。何より動物たちが可愛い!!

    8
    投稿日: 2025.07.24
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    もう少し時代を遡ってみたら良かったかな。例えば明治時代あたりではきっと面白いかも。しかし肩が凝らなく娯楽性があって楽しかった!

    1
    投稿日: 2025.07.23
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    ファンタジー小説としてまだ荒削り感はいなめませんが、今後の展開に期待出来る小説でした。 今までになかった人物設定で、びっくりです。市井で生活する? さて誰のことでしょう…

    4
    投稿日: 2025.07.12
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    はい、まだあまり世間に知られていない作家さんをいち早く読んで後々売れっ子になったとき、まぁわいはだいぶ早いうちから目を付けてたけどね!って言うための企画「発掘王への道」#11です 前回に続き「日本ファンタジーノベル大賞」受賞作となりました 「日本ファンタジーノベル大賞」は過去には今回審査員をつとめた恩田陸さんや、森見登美彦さんを輩出した文学賞で、今後も大注目です そしていつもならここで作者のプロフィールをチェックするんだけど、作者の明里桜良さんは1985年、愛知県生まれで、今作が初めて書いた小説だったということくらいしか経歴が明らかになってないんですよね てはでは、中身ね うん、良い ぽわんぽわんして良い 物語の空気感と文体にすごくギャップがあって、最初は少し読みづらさが先に来ちゃうんだけど、慣れてくるとこのギクシャクした感じが、主人公のひらりのキャラクターにぴったりとしてぽわんぽわんしてくる いやぽわんぽわんて何やねん 設定がわい好みってのもあるけど、とにかく主人公ひらりのぽわんぽわん感を楽しんでほしいな〜 神様とか天狗とか、普通に喋る動物たちとかが沢山出てくるんだけど、もうびっくりするくらい特別感がないのね、もう最初から日常なのよ 日常に埋没する天狗さま デビュー作で、当たり前に読者を巻き込んで、「?」を感じさせずに物語の世界に引き込むって、けっこうすごいことだと思うんよね またまた先が楽しみな新人が現れたで! 要チェックやで!

    72
    投稿日: 2025.07.08