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カット・イン/カット・アウト
カット・イン/カット・アウト
松井玲奈/集英社
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総合評価

22件)
3.8
3
10
6
0
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    ※ 元子役のアイドルと長く下積みを重ねてきた 50を過ぎた舞台俳優 正反対の二人が一つの舞台で出会った 束の間の関わりから、互いの立ち位置が ガラリと変わっていく。 若さ、年齢、実績、経験、伸びしろ、 あるものと無いものがライトの光を受けて 交錯する。 演じることに魅入られた人たちの物語。

    9
    投稿日: 2025.11.04
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     ある舞台。  ヒロイン役に抜擢されていた元人気子役で今はアイドルの中野もも。その彼女が舞台の開幕2日前に降板。代役に抜擢されたのは50を越えたいつも端役の無名の女優。  まさか、この交代劇が、それぞれの道を変えてしまうことになるとは。  演劇、芸能界を通じて各登場人物本当の自分探しが開幕する。  舞台で演劇で無名の50代の女優のシンデレラストーリーかと思いきや、本当の自分ってなんなのだろかを作品を通じて問われているように思う作品。  読んでいて、相手から「忙しいから仕方ないよな」と言われることって嫌味もあるかもしれないけど、言われるとしんどいよなぁと率直に思ったし、演劇に限らず、仕事と呼ばれるものは基本的に楽しいものじゃないなどなど、演劇の世界に触れたわけでもないのに、妙に共感できることが多いなと思いました。  代役に抜擢された無名の女優も、ただラッキーだけで代役になったわけじゃなくて、誰もみていないところで日々努力していたからこそというのがよく、ご都合主義ではないというところも好きです。  私の生活では、テレビの中や舞台の上の世界の話で全く縁のない世界を舞台にした作品でしたが、気づきが多い作品だなと思いました。  ただのシンデレラストーリーでは収まらない本作品。  なかなか濃い読書体験をさせていただいたなと思いました。

    3
    投稿日: 2025.09.30
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    二人の女性と、それを支える人たち。 読みやすいながらも、自分の軸がブレることへの外と中の欠落していく過程が丁寧に書かれていたと思う。 はっきりとした前向きさがあるわけではないが、それは私たちの人生と同じで、小さな灯火のような核が持つエネルギーの大事さを感じた。 面白かった!

    0
    投稿日: 2025.09.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    坂田まち子、52歳の舞台俳優。仲間たちからはマル子と呼ばれている。舞台では脇役ばかりだったがあるときヒロインの代役をすることに。その演技が素晴らしいと話題になる。 中野ももはアイドルグループスピンズに属している元子役。舞台のヒロインに抜擢されるが体調不良で降板する。 話に引き込まれた。よくある表現だが、つづきが読みたくてページをめくる手が止まらないとはこれの事だ。 アイドルから俳優となった松井玲奈さんだから書ける作品ではないか。 今作も食べ物の描写にこだわっているように思えた。出てくる食べ物みんな美味しそう。 全6話構成。1話は坂田まち子、2話は中野ももファンの大学生、3話は中野もも、4話は坂田まち子のマネージャー、5話は舞台降板から2年後の中野もも、最終話はその後の坂田まち子の視点で描かれている。 みきちゃんがまち子さんと呼びたいと言ったシーンがよかった。かめちゃんは亀の子たわしなのか。 人の悩みの解像度が高い。 p.212、まち子に対するアゲハのことば 「大丈夫ってなんとなく迷惑をかけたくなくて口にするじゃないですか。でも言われた方はそこから手の施しようがなくなってしまう。力になりたくても、大丈夫って言葉が自分に無力さを突きつけてくるんです。俺、頼りないですか?」 刺さった。 最後はよかったーとウルっときた。 映像化してほしい。

    1
    投稿日: 2025.09.11
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    SKEトップアイドルで、誰よりも結果を重視した松井玲奈氏が、こういう本を書いた心境の変化が気になる。亀ちゃんの結末は。

    1
    投稿日: 2025.08.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

     最後の最後まで展開が見えなくて、最後はビックリしました。  代役を演じるとはどういうことかを改めて考えさせられました。  この本を読み進めていくと、アイドル女子と中年世代の女性との人間模様がわかりやすく描かれていました。アイドルがヒロイン役を務めることが難しいことだと、改めて思いました。 この本を読み終えて、アイドルと女優についていろいろと考えることが増えて、面白い作品でした。

    1
    投稿日: 2025.07.26
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    役者さんの裏側を知ることができて面白かった。 登場人物は皆、相手を思いやる優しい人が多くてこれは作者の願望なのか、それとも芸能界には本当にこういう人が多いのかと、ふと疑問に思った。 日々さまざまな芸能ニュースが流れてくるけれど、芸能人も私たちと同じ“人”なんだよなとあらためて感じた。 仕事の悩み、人間関係の葛藤、そういうものから逃れられないのは芸能人でも一般人でも誰でも同じ。 キャパオーバーになると、心も身体も壊れてしまうことがあるし、自分ではなかなか気づけない。 役者という仕事についての知識はなくても、感情の機微が繊細に描かれていたおかげで、すっと物語に入り込めた。

    27
    投稿日: 2025.07.17
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    登場人物の名前をハッキリ書かないので、モヤモヤした。食事や料理の場面が浮いている。 登場人物がみんな同じ雰囲気なのが残念。 ももは、松井玲奈を投影しているのかもしれない。 モヤモヤしたストーリーでした。

    0
    投稿日: 2025.07.09
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    松井玲奈さんの小説3冊目。今回は長編小説。章ごとにそれぞれの主要な登場人物の目線で描かれます。最初は短編なのかなと、何気なく読んでいましたが、クライマックスに向けて全てが1つに集約する見事なまとめ方です。すっかり作家さんになりました。最後に、ももちゃんが報われて良かったです。

    4
    投稿日: 2025.07.06
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    装丁が素敵で思わず手に取った。 カバーを外したハードカバーの部分もかっこいい。 いわゆる中年の域に入った一人の女優。 目立たない役でも、自分の役割を考えて。全体が良くなることを考えるマル子。 突然倒れた主役の代役。マル子はどう考えて演じていたのか。 1人の人間のかっこいい生き様を見せてもらった気分。

    14
    投稿日: 2025.07.05
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    松井さんの作品は初めて読みましたが、繊細できれいな文章を書かれる方だなと感じました。癖がなくとても読みやすかったです! 元子役のアイドルと舞台俳優の中年女性の運命が、ある舞台をきっかけに大きく変わっていくストーリー。 元アイドルの松井さんだからこそ、リアルに書けたのかなと思ったりしました。

    18
    投稿日: 2025.06.22
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    脇役の舞台女優と、主役のアイドル。どんどん成功していく舞台女優が羨ましかった。努力を続けてチャンスを掴めということかな。なかなか面白かった。

    69
    投稿日: 2025.06.13
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    全然売れなかった舞台女優が代役を演じて有名になり、子役から活躍していたアイドルが挫折から這い上がる様などリアルで感情移入しやすく途中で止めたくなくてどっぷり浸かった。 有名になっても余裕ある時間がなければ心が病んでしまうのだなぁ。そしておいしく食べる事が生きる力になると教えてくれた一冊。

    3
    投稿日: 2025.05.25
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    元アイドル、現在は俳優で作家として活躍する松井玲奈さんの最新作。 「私は誰のために」 「僕は何のために」 「みんなのために」 「あなたのために」 「オーバーラン」 「カット・イン/カット・アウト」 六話で構成された作品。 メインとして描かれるのは元国民的子役のアイドル・中野ももと、売れない中年女優・マル子(坂田まち子) 自分の居場所を模索し葛藤する二人の女性の心情が丁寧な筆致で綴られる。 一話のラストで衝撃を受けこの物語から目が離せなくなった。 演劇界を舞台に繊細な描写が光るエンタメ小説。 対照的な二人の行く末を見届けて欲しい。

    10
    投稿日: 2025.05.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    書評記事から、冒頭のあらすじ。 『人気劇団の新作公演に女中(2)役で起用された52歳の売れない実力派舞台女優、通称マル子さんが主人公。劇中劇のヒロイン役は子役出身の人気アイドルだが、厳しい稽古の過程でどんどん追いつめられてゆく。初日の幕が開いた時、対照的な二人の運命が一転する。』 体調不良のヒロイン役の人気アイドル・中野もも、他の人の台詞と動きを覚えているマル子さんが稽古の代役を務める。そして初日を迎える直前、ももは倒れてしまい、舞台監督はマル子を主役に公演を行うと宣言、歳も見た目の姿も違いすぎる二人だが、マル子は演技が絶賛され、テレビドラマや映画に出演する人気俳優になっていく。 50歳を過ぎて環境、仕事、生活も一変したが、自分を見失わず、周りに感謝しながら、演じることに一所懸命なマル子の姿がいい。

    8
    投稿日: 2025.05.11
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    れなっちの本でなかったら、この本を手に取っただろうか。と第一章をよんでいる間中、ずっと頭に引っかかっていた。SKEでは珠理奈推しだった私にとって、「じゃないほう」のマツイだったれなっち。でも、小説を書いたり、海月姫での演技は素晴らしく、大好きになりました。役者おばさんの話かあ、52歳って、こんなにばあさんに思うのかね。実際、舞台では50代の女優さんなんて、ヒヨッコみたいにされてたのを見たことがあるんだけど。私が、元アイドルに期待する小説は、斜線堂有紀の「愛じゃないならこれは何」のばねるりみたいな、アイドルの内面とか、佐原ひかりの「スターゲイザー」みたいなものだった。でも、きたりえの「めだか荘」は結構好き。だからアイドルが書いても別にアイドル話でなくても良いのだけど。ダラダラ話になってしまった、結論はやっぱり好き。劇団潮祭で、また書いて欲しいです。スピンズもアゲハくんも、社長も長瀬くんだって、スピンオフ見たいです。そして装丁、装画が美しくて素晴らしい。れなっちの書いた本でなくても、手にとって読んでいたことでしょう。ありがとうございました!

    1
    投稿日: 2025.04.22
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    想像以上に重くて暗い。けど読みやすかった。 売れない50代の劇団女優と、子役出身で演技が怖くなったアイドルが、もっと絡むかと思ったらそこまで絡みがなくて、でもその2人を色んな視点で見守る…みたいな感じだった。 アゲハくんがすごい好きになった。気遣いの人や。かっこいいなぁ。 みきちゃんの株も私の中であがった。 松井玲奈のインタビュー記事を読んだら、 「マル子さんにはモデルになった俳優がいる」そうで、 誰なんだろうなぁ。めっちゃ気になる。 『立ち止まっても、そこから一歩進めばそれが新しいスタートになる』 終わり方は結構すきだった。 カメちゃんの正体も面白かった。 『推しの子』とか『推し燃ゆ』とか、視点が変わるのは『人魚が逃げた』とか好きな人は、これも好きかも。 《勝手にキャスティング》 マル子さん しゅはまはるみ、池谷のぶえ スピンズ フルーツジッパー

    6
    投稿日: 2025.04.14
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    芸能界の事は全く知らない小生としてはマアマアこんなものかなと思いながら読み終わった。もっといろいろ展開が欲しかったかな。

    1
    投稿日: 2025.04.10
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    Amazonの紹介より あの日、演劇(フィクション)のような、人生が始まった。 著名な劇作家・野上が主宰する劇団の新作公演初日まで、残り3週間。晴れてヒロインに選ばれた元国民的子役のアイドル・中野ももは、野上の厳しい指導に応えることができず、徐々に追い詰められていた。長年売れず、端役を手にすることしかできなかったとある中年の女優は、中野ももが憔悴していく様子を気に掛ける。 そして、やってきた公演初日。幕が上がった瞬間、二人の人生は大きく変わる!俳優としても活躍する著者が3作目の舞台に選んだのは、「演劇」の世界。二人の女性が織り成す関係は、ゆっくりと、繊細に、絡み合う。現実にうちひしがれる絶望、強運を手にして舞い上がる歓び、突然やってくる予想外の衝撃。幾つもの感情を抱えた先の終着点で、それぞれが決断した選択とは――。 「演じる」とは何かを問う、唯一無二の物語。 俳優として、アイドルとして、様々な経験をしたからこそ、それぞれの苦悩が丁寧に描かれていて、知らない裏側を垣間見ました。 個人的に松井さんの作品として、特徴的なのが、一人になった時の淡々と語っている雰囲気が独特だなと思いました。文章がというわけではありませんが、まるで松井さんが言葉を発しているかのような語りだったので、それが独特だなと思いました。 一つの舞台に情熱を注ごうとする2人。一人はアイドル、一人は舞台女優の脇役。 アイドルはヒロインで初舞台なのですが、あまりのプレッシャーに押しつぶされ、しまいには・・・となります。 そこでキーパーソンとなるのが、もう一人の主人公となる脇役の舞台女優です。 これを機に、2人の人生は大きく変わっていきます。人生どうなっていくのかわからないものだなと思ってしまいました。夢だったものが現実となり、そして体験することで、見えなかった苦労も垣間見えていきます。 章を追うごとに、それぞれの立場での苦労がわかっていくのですが、文章から感じ取れる苦労の何倍もの苦悩を実際にしているのかなと思いました。 その辺りは、松井さん自身が今迄体験したからこそ、文章から滲み出ているものがあり、それも特徴的かなと思いました。 決して、大きく盛り上げることなく、淡々と語っているのですが、その分、松井さんならではの世界観もありましたし、芸能界での表現することの大変さを感じました。 大きく飛躍しながらも、心は舞い上がることなく、初心に立ち返っている姿は好印象でしたし、今でも感謝を忘れることなく活躍している姿に自分も分野は違いますが、参考になりました。 人生どう転ぶかわかりませんが、常に感謝の心を忘れないようにしたいと思います。

    3
    投稿日: 2025.04.09
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    カット・イン/カット・アウト #読了 一人称多視点?というのかな、松井さんお得意の執筆方法。 ヒロインから逸脱したももに代わり、端役の中年女優マル子に白羽の矢が立った。 逸脱したアイドルの人生、白羽の矢が立った女優の人生を様々な人間の視点から描く物語。 『大丈夫です』って便利な言葉ね。 個人的に松井玲奈さんは『累々』が1番好きな作品です。

    1
    投稿日: 2025.04.04
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    文中に出てくる物の例え方であったり、心情の表現の仕方が繊細で上手だなと思いました。 読んでいて綺麗な文章を書くんだなと思いましたし、これまで芸能人が書かれた本はリアリティに欠けてリタイアすることも多かったのですが、こちらの本は読み進めていくことができましたし、読みやすい本でした。

    4
    投稿日: 2025.04.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『カムフラージュ』『累々』と人間の本質、特に女性の内側にある暗さ、醜さ、エグさを描き出してきた松井玲奈が、「表現」という人間の外部へと目を移してきた感じ。 自らの経験を最大限に生かした一冊、松井玲奈にしか描けない世界。 子役からアイドルになり、舞台女優としてのチャンスをつかんだももと、実力はありながらもその力を主演という形では求められてこなかったマル子。 ふたりの女優がとある舞台で共演することになりその稽古から、物語は始まる。日なたと日かげ。人気アイドルと無名女優。すべてが違う2人のそれぞれの語りのパート。演じることへの二人の思い。同じ舞台を目指しているのに、重ならない思い。 舞台初日を境に、二人の運命が動き始める。 舞台と映像の違いに、マル子と一緒に、なるほど、そうなのか、頷きながら読む。 演じることが日常の二人。いま、ここにいるのは自分なのか、自分を演じている誰かなのか、あるいは誰かを演じている自分なのか。 それぞれが探し続ける「自分」という形。 この小説を読みながら、ももの中に、マル子の中に、自分と同じカケラを見つけてしまう。全然立場が違うのに、わかるわかると思ってしまう不思議。 願わくば、わたしがわたしでありますように。 希望がひかるラストの気持ちよさよ。

    5
    投稿日: 2025.03.26