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倭寇とは何か―中華を揺さぶる「海賊」の正体―(新潮選書)
倭寇とは何か―中華を揺さぶる「海賊」の正体―(新潮選書)
岡本隆司/新潮社
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総合評価

6件)
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    倭寇の本質として「華夷同体」という構造を見出し、「倭寇」的なものは、狭義の倭寇収束後も中国史の中でたびたび立ち現れているということを論じている。 近世・近代中国史を「倭寇」という観点で読み直すような試みで、知的面白さがあった。 著者の文章を悪文と指摘する向きもあるようだが、個人的には、昭和以前の歴史家のような、漢文の教養を感じさせる味のある文体だと思う。

    0
    投稿日: 2026.01.08
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    日本史の教科書で習った倭寇は知識としては一面的に過ぎません。この本が上梓されたのでもっと知る必要があると考えて読んでみましたが、生半可な歴史の知識では理解が覚束ない内容でした。そのため、今回は筆者にも失礼と考えてレビューの星印はつけませんでした。とはいえ中世の「倭寇的状況」(本文に説明あります)から現在に至るまで、中華に於いて「華夷同体」という事象がくびきのように離れず、香港の一国二制度も矛盾を孕みつつ最近まで続いていたのだとわかりました。台湾に対する態度も然り、彼の国の統治者にとって最早その矛盾は、許すわけにはいかないということなのでしょう。

    0
    投稿日: 2025.12.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    華夷同体を視座にして倭寇どころか習近平まで貫き通した、なかなかワクワクさせられた本。 しかし、もう少し読みやすくできたのではないか

    0
    投稿日: 2025.12.02
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    倭寇といっても、所謂前後期倭寇については前半で終わり。海域アジアが独自の統制で動いていたことを倭寇的とする。 それ以降は、いわゆる中華政府の影響から離れたところで、海外との交流や経済活動を行う「華夷同体」と言う語をキーに中国史における夷界との関わりを語る。 倭寇を知りたいという狙いとは異なるかも知れない。中国史の一視点。

    7
    投稿日: 2025.09.15
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    シナの海岸を荒らし回ったという、日本海賊、倭寇。 とはいえ、特に後半は日本人ではなく、シナ人も含む外国人も多かったのが実態だという。 それまで海から攻められたことのないシナにとって、東から海を渡ってくる東夷は、倭に相違なかった。 それが、他の民族であったとしても、シナには関係ない。 寇というが、要するに海の民の交易が平素で、それがまあ、乱暴ごとになったことも含むと。 14世紀の倭寇は治安の悪化による物だが、16世紀のそれは、日本は鎖国状態であったこともあるし、シナの政治形態と周辺の産業、生活乖離があって、中央の政治に従わない海の民が「倭寇」となった。 著者は、「華夷同体」という言葉を使う。 中央の矛盾に背を向けた「華人」が、「夷人」と協力し、またその力を借りてブイブイ言わす。それが倭寇の本質であると。 そんなとこか。 その観点から、アヘン戦争もそれ以降の紛争も、今の習近平に至るまで、中央と「倭寇」のせめぎ合いであると喝破する。倭寇とは中国そのものであり、そういう視点から中国を睥睨すれば理解できる。 いやその、多分、東洋史学の方はそう思うのかもしれませんが、世間一般は「倭寇」なんて言葉を使わないでずーっとシナの矛盾をそう捉えて来てる気がする。 生産と政治の矛盾を、政治が統制しようとする。 笑うね。 その矛盾から共産主義社会になると謳っていたと思うんだが、共産主義が、生産の矛盾を潰すんだって。 本筋ではないが、共産主義がいかに机上の空論かって笑ける。 しかし、本の内容は特に問題ないと思うが、タイトルを見てそう、こういう本が読みたかってっていう人、どのくらいいるんだろうか。

    1
    投稿日: 2025.09.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『倭寇とは何か』を読了しました。私個人的には非常に刺激的な内容で一気読みしましたが、読書会にはやや相応しくないように思いますので、皆様からの推薦書を待ちます。折角ですので、以下に要約を記載しておきますね。 本書『倭寇とは何か―中華を揺さぶる「海賊」の正体―』は、従来の「倭寇」像(「日本人海賊が暴虐をほしいままにした」という「常識論」や「倭寇図巻」からくるイメージ)が伝聞に基づくとして、その本質を根本から問い直します。著者は、倭寇を単なる「数百年も前の瑣事」とせず、現代に繋がる意義を持つと捉え、従来の日本史に偏りがちだった見方や16世紀末終息説に異を唱え、新たな「倭寇」像・「倭寇」観を提示しています。 本書の主要な論点は以下の通りです。 • 「倭寇」概念の再定義:その担い手は「日本人」ではなく、列島的な「コード」を共有する「倭人」と見なすのが定説です。特に「後期倭寇」は、中国人が主体で、ポルトガル人や朝鮮半島人も含む雑居連合集団でした。著者は、「倭」よりも「寇」に注目し、「前期倭寇」が治安悪化に伴う海賊行為だったのに対し、「後期倭寇」は国家統制を超えたグローバル規模の経済活動の所産であり、その発生メカニズムが大きく異なると強調します。また、漢語の歴史叙述においては文字通りの解釈を避けるべき「言葉と事実の乖離」があることを指摘しています。 • 「倭寇的状況」の継続と変容:日本が「鎖国」によって列島人が「海域アジア」から切り離され、狭義の「倭寇」が収束した後も、その背後にある「華人の貿易ネットワーク」を主軸とする「倭寇的状況」は東南アジアなどで継続し、あたかも国家的な存在にまで発展したと見なされます。 • 「華夷同体」構造と現代中国への連続性:「倭寇」は明代の「華夷同体」という東アジアの秩序構造に根差しており、この構造が時代を超えて形を変えながら発現し続けると論じます。例えば、アヘン戦争は、清朝の公式貿易と民間の非合法アヘン取引の乖離から生じ、「倭寇」と酷似した構造で発生したとされます。また、孫文の革命活動も、外国勢力の支援を求める行動様式が「倭寇」と類似していると指摘され、彼の「大アジア主義」もその体質を具現化したものと捉えられます。現代の「両岸三地」(中国大陸・台湾・香港)という概念も、「華夷同体」構造の矛盾を内包し、「一国二制度」の虚実を測るバロメーターであるとしています。 全体として本書は、「倭寇」を単なる歴史上の海賊としてではなく、東アジアの政治・経済・社会に深く根ざした歴史構造が時代を超えて発現し続けた現象として捉え直し、現代の中国(特に香港・台湾問題)にも通じる連続性を提示しています。 特に最終の毛沢東、鄧小平から習近平につながる、現代中国に関する記述は圧巻でした。

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    投稿日: 2025.08.08