
総合評価
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powered by ブクログ倭寇といっても、所謂前後期倭寇については前半で終わり。海域アジアが独自の統制で動いていたことを倭寇的とする。 それ以降は、いわゆる中華政府の影響から離れたところで、海外との交流や経済活動を行う「華夷同体」と言う語をキーに中国史における夷界との関わりを語る。 倭寇を知りたいという狙いとは異なるかも知れない。中国史の一視点。
7投稿日: 2025.09.15
powered by ブクログシナの海岸を荒らし回ったという、日本海賊、倭寇。 とはいえ、特に後半は日本人ではなく、シナ人も含む外国人も多かったのが実態だという。 それまで海から攻められたことのないシナにとって、東から海を渡ってくる東夷は、倭に相違なかった。 それが、他の民族であったとしても、シナには関係ない。 寇というが、要するに海の民の交易が平素で、それがまあ、乱暴ごとになったことも含むと。 14世紀の倭寇は治安の悪化による物だが、16世紀のそれは、日本は鎖国状態であったこともあるし、シナの政治形態と周辺の産業、生活乖離があって、中央の政治に従わない海の民が「倭寇」となった。 著者は、「華夷同体」という言葉を使う。 中央の矛盾に背を向けた「華人」が、「夷人」と協力し、またその力を借りてブイブイ言わす。それが倭寇の本質であると。 そんなとこか。 その観点から、アヘン戦争もそれ以降の紛争も、今の習近平に至るまで、中央と「倭寇」のせめぎ合いであると喝破する。倭寇とは中国そのものであり、そういう視点から中国を睥睨すれば理解できる。 いやその、多分、東洋史学の方はそう思うのかもしれませんが、世間一般は「倭寇」なんて言葉を使わないでずーっとシナの矛盾をそう捉えて来てる気がする。 生産と政治の矛盾を、政治が統制しようとする。 笑うね。 その矛盾から共産主義社会になると謳っていたと思うんだが、共産主義が、生産の矛盾を潰すんだって。 本筋ではないが、共産主義がいかに机上の空論かって笑ける。 しかし、本の内容は特に問題ないと思うが、タイトルを見てそう、こういう本が読みたかってっていう人、どのくらいいるんだろうか。
1投稿日: 2025.09.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
『倭寇とは何か』を読了しました。私個人的には非常に刺激的な内容で一気読みしましたが、読書会にはやや相応しくないように思いますので、皆様からの推薦書を待ちます。折角ですので、以下に要約を記載しておきますね。 本書『倭寇とは何か―中華を揺さぶる「海賊」の正体―』は、従来の「倭寇」像(「日本人海賊が暴虐をほしいままにした」という「常識論」や「倭寇図巻」からくるイメージ)が伝聞に基づくとして、その本質を根本から問い直します。著者は、倭寇を単なる「数百年も前の瑣事」とせず、現代に繋がる意義を持つと捉え、従来の日本史に偏りがちだった見方や16世紀末終息説に異を唱え、新たな「倭寇」像・「倭寇」観を提示しています。 本書の主要な論点は以下の通りです。 • 「倭寇」概念の再定義:その担い手は「日本人」ではなく、列島的な「コード」を共有する「倭人」と見なすのが定説です。特に「後期倭寇」は、中国人が主体で、ポルトガル人や朝鮮半島人も含む雑居連合集団でした。著者は、「倭」よりも「寇」に注目し、「前期倭寇」が治安悪化に伴う海賊行為だったのに対し、「後期倭寇」は国家統制を超えたグローバル規模の経済活動の所産であり、その発生メカニズムが大きく異なると強調します。また、漢語の歴史叙述においては文字通りの解釈を避けるべき「言葉と事実の乖離」があることを指摘しています。 • 「倭寇的状況」の継続と変容:日本が「鎖国」によって列島人が「海域アジア」から切り離され、狭義の「倭寇」が収束した後も、その背後にある「華人の貿易ネットワーク」を主軸とする「倭寇的状況」は東南アジアなどで継続し、あたかも国家的な存在にまで発展したと見なされます。 • 「華夷同体」構造と現代中国への連続性:「倭寇」は明代の「華夷同体」という東アジアの秩序構造に根差しており、この構造が時代を超えて形を変えながら発現し続けると論じます。例えば、アヘン戦争は、清朝の公式貿易と民間の非合法アヘン取引の乖離から生じ、「倭寇」と酷似した構造で発生したとされます。また、孫文の革命活動も、外国勢力の支援を求める行動様式が「倭寇」と類似していると指摘され、彼の「大アジア主義」もその体質を具現化したものと捉えられます。現代の「両岸三地」(中国大陸・台湾・香港)という概念も、「華夷同体」構造の矛盾を内包し、「一国二制度」の虚実を測るバロメーターであるとしています。 全体として本書は、「倭寇」を単なる歴史上の海賊としてではなく、東アジアの政治・経済・社会に深く根ざした歴史構造が時代を超えて発現し続けた現象として捉え直し、現代の中国(特に香港・台湾問題)にも通じる連続性を提示しています。 特に最終の毛沢東、鄧小平から習近平につながる、現代中国に関する記述は圧巻でした。
0投稿日: 2025.08.08
powered by ブクログ1. 「倭寇」の概念と歴史的背景 - 「倭寇」の定義: 日本からの海賊行為を指し、日本人だけでなく中国人やポルトガル人も含まれることがある。 - 歴史的な影響: 16世紀から17世紀にかけて、倭寇は中国や朝鮮の沿岸を襲撃し、貿易秩序を乱す存在として認識されていた。 - 倭寇からの転換: 徳川時代における鎖国政策によって、倭寇的状況は変化し、貿易が制限された。 2. 商業と貿易の変遷 - 密貿易の役割: 王直のような商人が密貿易の中心的存在となり、信頼を集め、交易を促進した。 - 「互市」の開始: 明朝の海禁政策の緩和に伴い、日中間の貿易が活性化し、民間の商業活動が増加した。 - 経済的影響: 17世紀後半、貿易の減少が物価の低下を引き起こし、デフレ状態に陥った。 3. 海関と貿易の制度 - 海関の役割: 内外の貿易を管理し、税収を確保するための機関として機能した。 - 制度的な枠組み: 海関は貿易の実態を把握できず、商人に対する監視が主な役割となった。 4. 近代史と国際関係の変遷 - アヘン戦争: 明朝の海禁政策の緩和とともにアヘン貿易が拡大し、結果的にアヘン戦争を引き起こした。 - 条約港の成立: 外国との貿易関係が深まる中で、条約港が設立され、外国勢力の影響が強まった。 5. 「華夷同体」の構造 - 内外の関係: 「華」と「夷」の境界が曖昧になり、経済的および政治的な相互依存が進展した。 - 国民政府と帝国主義: 日本と西洋の帝国主義的政策に対抗する中で、国民政府は「民族主義」を掲げつつも、外部との関係を強化した。 6. 現代における影響 - 社会構造の変化: 現代中国においても、経済発展と外部勢力の影響が続いており、内外の矛盾が顕在化している。 - 「倭寇」との類似性: 現代の経済的な依存関係や外的な圧力に対する反応が、過去の「倭寇」と類似したメカニズムを持つことが示唆されている。 7. 学問的なアプローチ - 研究の進展: 「倭寇」や貿易に関する研究が進み、新たな視点から歴史を再評価する動きが見られる。 - 多様な視点の重要性: 歴史的な出来事を理解するためには、多様な視点からの考察が重要であることが強調されている。
1投稿日: 2025.03.11
