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なぜ逃げるんだい? 僕の召喚獣は可愛いよ
なぜ逃げるんだい? 僕の召喚獣は可愛いよ
夜迎樹、スコッティ、バリキオス/KADOKAWA
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総合評価

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    見た目から得られる印象って恐ろしく決定的。だから見た目が異形ならば悲鳴を上げ逃げ出してしまうのは仕方ない話。一方で見た目なんて慣れる事はできるから、本作の主人公もそういうタイプなのかと思いきや… 異形の召喚獣・ハッピーはそういう次元を超越していたし、相方のヘレシーもどうやら只者じゃ無さそうで ハッピーは表紙に描かれた見た目の時点でこの世に在ってはならないのだと直感させられる存在感。その上で相対すれば精神ダメージさえ周囲に振りまくようで ハッピーを直視してしまったレティーシアなんて精神崩壊から極度の依存だなんて振り切れていたりとハッピーのヤバさを端的に示しているね…… 小説媒体である為に読んでいるこちらはカラーイラストで描かれた姿や翻訳された少女然とした口調から可愛らしさを感じてしまう瞬間も有るのだけど、あの異形を眼の前にしたら流石に腰を抜かす気がする… だとしたら、そんなハッピーが傍に居ても平然としているヘレシーも大概可怪しいのではないかという気がしてくる。当初は軽くフザけたノリと思えた文体も、他者視点の際に落ち着いた文面となる事で彼の異常性を間接的に伝えてくるね それだけにヘレシーが新たに呼び出した召喚獣・ハイドラが普通に見えてきてしまうね! ハイドラとて学友から魔獣と恐れられる見た目をしているのに、事前にハッピーやヘレシーの異常性を見せつけられているから、ハイドラ程度じゃ驚かない。むしろハイドラに対して「ビジュアルが普通!」とのたまうヘレシーに同調しそうになるほど ハッピーという強烈な存在感を持つ異形が目眩ましのように居るからどうしてもまともな分析が難しくなるヘレシーの人間性 作中でも彼の性質に疑問を持つ人々が次々に登場するかと思いきや、まともに考えているのはコン子くらいで他の人々は溢れ出る邪悪さからむしろ彼の人間性を決めつけてくるね そこで、味方となる人物が都合よく勘違いするのではなく、敵となるべき人物が都合悪く勘違いして事態が悪化していくのはもう笑って良いのやら何やら… ここまで来るとハッピーよりもヘレシーの方が邪悪な存在に近いのではないかと思えてくるほど だからヘレシーに真っ先に敗北したジェイドが彼の人間性を誤解(?)しつつ、裏主人公のように困難を乗り越えていこうとする姿に納得できるんだよね というか、ジェイドが持つ性質は素晴らしいね。ヘレシーを庶民と馬鹿にするし、あいつさえ居なければ!と呪いさえする。他方で自分の弱さも直視できている そうした人間である為か、ハッピーへの恐怖を胸に宿したままでも貴族として民を守る為に再始動できる、邪教の企みを打破する為に使命へとひた走れる そうして事態が急転直下した際に護陣塔まで急行してヘレシーと対峙したのは良いのだけど、あれって結局どちらが正しい陣営に居たと言えるんだろうね…? 読者的にはジェイドが勘違いしているのは判っている。ただ、ヘレシーも完全に邪神と関係が無いとも言い切れない。召喚されたフィリエルも物騒なこと言ってるし世界にとって味方かも怪しい ただ、邪教の暴走を止められたという点においてはヘレシーの曖昧な正体が役に立ったと言えるのかな? 終盤は超展開の連続でありながら、集う者達の背景が見えない為に何が行われているかも不明瞭 果たしてハッピーは邪悪なる存在なのか?果たしてヘレシーは洗脳されただけの器なのか 第1巻を読んだだけでは見極められない本作の本質、ハッピーの存在にビビりつつも読み解いていきたいものですよ

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    投稿日: 2025.02.01