
総合評価
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powered by ブクログノンフィクション作家による紀行文。マカオ、上海、シルクロードが多めな印象。紀行文以外はボクシング、オリンピックなどに関する筆者の過去のノンフィクション作品の舞台裏に関する記述というか、宣伝がいくつか。 「桃源郷」では世界の国々を見てきた筆者が、改めて日本の美しさ、特に田園風景に心を奪われた描写が印象的だった。普段意識することはないが、稲作民族であることを再認識し、田園の美しさに惹かれる経験をしたこともあり個人的に刺さった。 「鏡としての旅人」はその土地を訪ねる旅人を通して現地人は自国の良さを認識するという話。1960年代、高度経済成長の過渡期にあって、三島由紀夫の投じた「世界の中の静かな中心であれ。」という言葉を、忘れるべきでない、という論説は興味深かった。
0投稿日: 2025.09.07
powered by ブクログ槍ヶ岳山行に持っていき、2泊目で読み終えたので、本書の内容に引き込まれたと言っていいと思う。 1994年から25年分のエッセイのえり抜きが本書で、『そう、その通り』と、うなずきながら読み進める。若いころから著者の作品が好きでよく読んでいたが、本書のエッセイの中に、『四十年ほど前、二十代の半ばだった私は、…』と深夜特急の旅に触れたエッセイがある。まさに、今の私と同年代の頃に書かれたエッセイだ。来し方は大きく違うが、共感するところが多くある。特に本書のタイトルになっている『キャラヴァンは進む』だ。 ある年長の作家に「本を処分するとしたらすでに読んでしまった本と、いつか読もうと思い買ったままになっている本のどちらか」と、たずねられた時、若かった著者はすでに読んだ本を処分すると答えた。それに反し、年長の作家は「読んだことのない本は必要なくなってくる、そして実は大事なのは読んだことのある本なんだ」と言われたと。 これはこたえた。衝撃を受けた。著者も、年齢を重ねた今はそれに同意すると書いているが、まさにその通りだと思う。私は今まで読んできた本で思考を膨らませている。本多勝一さんや丸山健二さん、片岡義男さんや大藪春彦さん、思考だけでなく、娯楽の方向性も読んだ本により発展させてきた。その他のエッセイも、私も60歳を過ぎた今だからこその理解があったように思う。 やはり、僕は山登りをしていたあいだ、本書に引き込まれた日々を過ごしていたと思う。
0投稿日: 2025.09.04
powered by ブクログ沢木耕太郎の25年間のエッセイ集。深夜特急の旅、オリンピックの取材、作家との対談、ボクシングについてなど、どれも彼の世界の真ん中にあるものですね。25年にわたって、彼のシンプルで鋭い文体が全く変わっていないようにみえるのもまたすごいことだなと。
0投稿日: 2025.09.04
powered by ブクログ「深夜特急」の著書沢木耕太郎のエッセイ集。個人的には「凍」を書くきっかけになった山野井夫妻との対話が心に残った。できるだけ眼に見えるように書く、文章の書き方は的を得ているように思った。
16投稿日: 2025.07.16
powered by ブクログ沢木氏の文章は沁み入ってくる。 不思議と引き込まれる。 旅に関する経験値が豊富で現地の温度や湿度、空の色や埃まで感じ取れ、あたかもディープな疑似旅行を体感させてくれる。 スポーツへの造詣も深く当事者はさることながら見守る著者の心理も対比され、こちらも引き込まれる。 タイトルにもなっている文中にあるアラブの諺、「犬は吠える、がキャラヴァンは進む」は自分も心に刻んでおきたい。 読点「、」を打つ位置でこの諺の真理が伝わる。
9投稿日: 2025.06.22
powered by ブクログ深夜特急を夢中で読んだ頃を懐かしく感じて手に取ったけど、書くことについての各章が一番面白かった。 (ボクシングとオリンピックはあまり興味無く…) まだ読んでいない「凍」に興味を持ち、次に読んで見ようと思う。
0投稿日: 2025.03.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
深夜特急で有名な著者によるエッセイ集。旅に関するものが半分、スポーツ、特にボクシングに関するものが半分というところ。後者についてはあまり感動するところがなく、この評価とした。 カポーティ「犬は吠える」を折に触れて再読する習慣について綴った「キャラヴァンは進む」が最も印象に残った。「犬は吠える、がキャラヴァンは進む」はアラブの諺で、行手を阻む障がいがあろうとも自分の人生は続いていくというような意味らしい。人生における困難を肯定も否定もせず、突き放した感じにむしろ励まされる気がする。
0投稿日: 2025.02.24
powered by ブクログ古い、そしてとても短いエッセイを再編。「深夜特急」「凍」「一瞬の夏」「オリンピア」「壇」等々の長編ノンフィクションの周辺。 いつもの沢木。
10投稿日: 2025.02.20
powered by ブクログ深夜特急ほどは楽しめず。 ボクシングと井上康生の話は興味持てなさすぎて飛ばした。 井上康生セクション長かった。
0投稿日: 2025.02.09
powered by ブクログ2025年2月読了。 246ページ「失われた古書店」の書き出しが20代から30代にかけての沢木さんのハワイでの休日の過ごし方で、この箇所は以前に読んだ気がするんだがこの過ごし方は何度読んでも秀逸だと思う。 朝食後にハワイ大学で読書して昼になったら学食で昼食を済ませ3時過ぎに大学を出てアラモアナ公園に行きビーチに遊び帰りには夕食の買い出しなどをして帰宅したらビールを飲みながら晩飯を作って食べちょっと飲み足りなかったらクヒオ通りの酒場でまたちょっと飲む、というもの。 休日かくあるべし、そして沢木耕太郎に似合う休日の過ごし方だと思う。 私の休日もこうありたい。
1投稿日: 2025.02.08
