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パンとペンの事件簿
パンとペンの事件簿
柳広司/幻冬舎
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総合評価

54件)
3.5
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24
18
3
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    このレビューはネタバレを含みます。

    大正の初めに社会主義者の集まりで会った売文社の物語。 「太平洋食堂」から続く社会主義者のシリーズとなるのなか。 登場人物は史実の人たちばかりで語りの「ぼく」だけが創作の人物かな。 悲哀もある中でわちゃわちゃとした社会主義者たちの活動が面白いのは大正ロマンでもある。 社会主義者たちのこののちの話はさらに厳しくなっていくので、もしかしたら別の作品で語られるのかもしれない。 大杉栄と伊藤野依の話は村山由佳の『風よ あらしよ』が詳しいです。

    0
    投稿日: 2025.12.30
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    この物語は革命の旗じゃない。理念の純度でもない。もっと低い場所、もっと汚れた場所にある、腹が鳴る場所。 迫害され、名誉を奪われ、働き口を閉ざされても、それでも人は今日を生きなきゃいけない。 そこで彼らは、武器ではなく、声の代わりに、ペンを握る。パンのために、そしてパンだけのためじゃない何かのために。 言葉が誰かの困りごとをほどき、誰かの孤独をほどき、時に小さな暴力を無力化する。ペンは剣より強いなんて標語じゃない。ペンは、剣を振るえない者が、それでも折れないためのもの。 そして″パンとペン″は、同じものを指している。生きること、語ること。腹を満たすこと、心を捨てないこと。

    0
    投稿日: 2025.12.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    目次 ・合言葉は”パンとペン” ・へちまの花は皮となるか実となるか ・乙女主義呼ぶ時なり世なり怪人大作戦 ・小さき旗上げ、来(きた)れデモクラシー 語り手のぼくは織物工場で働いていたが、工場主が変わり、労働時間が長くなったにもかかわらず賃金が下がったことなど、雇用状況の不満を訴えようとして、逆にお抱えヤクザにぼこぼこにされる。 そこを助けてくれたのが、堺利彦をはじめとする売文社の面々だ。 次の仕事が見つかるまで、売文社で半分居候のようになりながら、世の中のことをいろいろと勉強していく。 世間や政府やマスコミが言うことが無条件で正しいのではなく、自分の目で見て、角度を変えて見直して、本当にそれでいいのかを考える堺利彦や大杉栄たち。 もちろんノンフィクションではないけれど、彼らの業績は史実に沿っている(多分、わりと)。 社会主義者よりももっと危険視されていた民主主義者。 ところが、第一次世界大戦に紛れ込んで利益を得るために日本政府が掲げたのが「デモクラシーを守る戦い」。 これによって日本政府は、民主主義者を弾圧することはできなくなった。建前上は。 息苦しくなっていく世の中で、24時間警察の監視下にあってなお、明るく飄々と生きる彼ら。 ”社会主義の本当の担い手は、きみたちだ。(中略)労働者や小作人が主体となって、自分たちが望ましい社会へと変えていくのが本当の意味での社会主義だよ。(中略)僕たちがやっているのは本物の社会主義じゃない、所詮はインテリの道楽だ。(中略)道楽は道楽でも、命懸けの道楽もあるさ」 最後、ぼくは就職が決まって売文社を去るのだが、その後について書かれることがあるかもしれないらしい。 大杉栄のその後は知っているから、読みたいような読みたくないような…。

    0
    投稿日: 2025.12.20
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    主人公に感情移入できないくらい人間性が描かれてないように感じた。登場人物も個性的なんだろうけど、描ききれておらず情景が浮かばない。事件の謎もそこまで難しくなく読み応え不足を感じた

    0
    投稿日: 2025.12.06
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    大正デモクラシーの時期の堺利彦ら社会主義たちの時代に立ち向かいつつもおおらかに不屈に生きてきたことを描き出した良作。 どんな無理難題の文書依頼もペン一本で解決してみせる実在した堺利彦と「売文社」一味″をめぐる物語。 とかく暗く描かれがち思える題材を ユーモアたっぷりに描き出し生き生きとした人間として描き出していて楽しめました。

    0
    投稿日: 2025.11.05
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    この作家の書く大正時代からの話はジョーカーゲームを始めほぼ好きな作品ばかりで今回も裁判の話以外楽しく、そして編集長に振り回されながら時代を駆け巡るがごとく自分も一緒にいるような感覚に久々にこの世界に入ったと小学生の時の物語に入り込んでいた読書を思い出す。 最近戦争の話ばかりだったので心が枯渇していたのかも。ジョーカーゲームを再読したくなった。

    1
    投稿日: 2025.10.28
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    「文を売る会社」…文章に関する依頼を引き受ける会社で働く登場人物が遭遇する4つの事件のお話。そんなテーマに惹かれて期待した割には、各事件のオチや展開なら期待を超えずでハマれず。また大正時代の風景や人物描写にあまり慣れ親しんでおらず若干読みにくさも感じてしまった。

    7
    投稿日: 2025.10.22
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    2025/10/06 オーディブル ミステリーかと言われるとまた違うような? けど大逆事件について詳しく知りたくなった。

    2
    投稿日: 2025.10.06
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    「本書はノンフィクションではありません」って! この時代の空気の中で物事を見極めるのは難しかったろうな。

    0
    投稿日: 2025.09.23
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    大正、昭和時代も現在も、日本語しか分からないと世界の多様な価値観、思想に疎くなってしまうのだろうな。

    8
    投稿日: 2025.08.29
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    ※ 歴史を絡めたアニメで見ているようで、 するする状況が流れる。 テンポが良くて想像が途切れない。

    3
    投稿日: 2025.08.16
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    ジョーカー・ゲームが非常に面白かった印象の筆者は柳広司さん。今回は、少し時間を遡戦時中の日本が設定、なんでも文章にすることであればおまか絵sを。さて、その中で、いくつかの事件が起きる。そこに巻き込まれた、何も知らない男が主人公となり、ちょっとずつ、その能力を発揮し始める。というストーリーである。 短編型でまとめているが、その細部はまっすに全体の物語の方向性に合う形に変尿していくところが、非常に面白い。

    0
    投稿日: 2025.08.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    3.8くらい。 「合言葉は“パンとペン”」 売文社にどう流れ着いて、売文社がどう問題を解決するか、その手口を見せる話。 オーディブルに先行した作品のせいか、音で聞くと良さそうな構成となっている。 「へちまの花は皮となるか実となるか」 暗号解読の話。荒畑寒村と大杉栄の紹介がメインでもある。 「乙女主義呼ぶ時なり世なり怪人大作戦」 堺の娘の真柄も史実では活躍した人らしく、なるほどなという感じ。青踏とも関わりがあったのが面白い。 事件とその解決も簡単なものだけど、当時の女性が置かれた状況を端的に示していて良いエピソードだった。 「小さき旗上げ、来たれデモクラシー」 山崎今朝弥という弁護士の紹介。立て板に水でさらさらと弁論を駆使するのが心地よくて面白かった。 前に読んだ「アンブレイカブル」よりも話は軽くて、けれど思想はたっぷり入ってる感じ。 ジョカゲを期待するとがっかりすると思う。ジョカゲよりめちゃくちゃ軽い。視点が10代の何もわからない青年のせいもあると思う。 明治時代の社会主義とはどんな思想でどんな人間がいて、どんな世相だったか知る入門としては良かった。 ちょっと気になったのが、大逆事件で粛清され、大っぴらに活動出来ない雰囲気がありながら、仕事をしつつ、けれど司法の公平性や警察の横暴さが控えめであることを信用している感じに違和感。 第一次世界大戦中であり、大逆事件の処刑が1911年1月で、それから4年後だから、1915年の話か。 治安維持法と普通選挙法の1925年までこんな雰囲気だったのかな、と想像。

    1
    投稿日: 2025.07.26
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    明治を舞台に一つの主義主張を持った人たちが権力に対してペンを取る。大手のA新聞社もまだまだ本来の力を見せていた時代。貧しい青年を通して、権力と民衆の闘争を軽妙に描いた作品だが、自作があれば権力者の横暴と残虐さを描いて、それが今も続いている点を書いて欲しいな。

    5
    投稿日: 2025.06.28
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    日露戦争後の日本で軍国主義の中、新たな思想と信念を持って時代の荒波に立ち向かった実在した社会主義者たちの事件簿 ミステリとしてはあんまりだったがペン(文章)とユーモアを持って諸悪に立ち向かう姿はかっこいい 政治家に読ませたい 柳さんの他の本も面白い

    0
    投稿日: 2025.06.24
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    世紀の冤罪事件(と私も思うしこの本の中でもそういう扱い)大逆事件が起こるような暗い暗い時代を、ユーモアたっぷりに面白おかしく書いた作品。 織物工場で真面目に働いていた僕は、仲間に裏切られ、ヤクザものに痛めつけられ路上に放り出される。そこを通りかかり、助けてくれたのが、売文社社長である堺利彦(実在の人物です)とその一味?の面々。社会主義者として官憲に目をつけられながらも、明るく自由に?世の中を変えようとする人々を見るうち、社会主義者に対する印象がどんどん変わっていく。 暗号を解く、卑劣な工場主と結びついた権力者のうらをかく、人買いから女性を守る、など、痛快なシーンも多く、暗い時代の事件を、暗くならずに読み終えられたのは良かった。

    0
    投稿日: 2025.06.23
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    テーマは微妙に重いが柳さん特有のエスプリの効いた軽快な語り口は非常に読みやすかった。この物語の登場人物達は一部、思想的に尖った人もいるが政治形態に拘ること無く、人間が人間らしく生きる事を求めており、好感が持てる。ひるがえって、現代の様相を考えてみると体制側も改善を求める側も社会の複雑化に伴い、背後に広がる複雑な利害関係を勘ぐってしまう有様だ。社会の複雑化とそれが可視化されてしまった事で優柔不断な私はモノゴトの白黒を付けることが出来なくなった。 まあ、自分でも何を言っているか分からなくなったが柳さんの世の中に対するスタンスは、年を取って保守的になった老人でも受け入れられるバランスが取れたものだと思う。

    1
    投稿日: 2025.06.15
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    導入が易しく、読みやすい。 パンの会って、宮内悠介さんの著書で読んだな…と気づき、史実も結構入ってることに思い至る。 ただ、不勉強なのでWikipediaとにらめっこで、詳しかったらもっと深く読めるんだろうなと少し残念。 でも、詳しくなくても十分面白い。 最後の裁判での山崎弁護士の答弁のシーンを最も描きたかったのだろうか。 Audibleのほうも是非聞いてみたいなあ。

    0
    投稿日: 2025.05.25
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    快刀乱麻を断つ、というべきか事件へのその鮮やかな解決っぷりはもっともっと見ていたくなるのに、一気読みの傑作でした。 私の無知によるものですが、史実に基づくものと知らず堺利彦さんや「売文社」のあり方が今の時代にはないカッコ良さとしてみえ、その活動や言葉を聞いていると心酔してみたくなりました。 「命懸けの道楽」と言いきる胆力、そんな人今の日本にいるでしょうか。 理想に向かって進もうとしている人たちの生きづらい現実が、それでもユーモアやウィットに富んだ言葉で明るくつづられもっともっとその先も読みたくなりました。

    0
    投稿日: 2025.05.18
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    新聞でいちおしミステリーとして紹介されていたので、柳広司作品を初読み。 時は大正時代。新聞雑誌の原稿に、翻訳、暗号文の解読……。『文章に関する依頼であれば、何でも引き受けます』という変わった看板を掲げる会社『売文社』を舞台に、数々の難事件を解決する4編からなる連作短編集。 登場人物に堺利彦、大杉栄、荒畑寒村など実在の社会主義者が出てくるが、その辺の知識は無くてもキャラクターとして魅力的に描かれているので十分楽しめた。 2話目に暗号解読の話があって普通に読み進めてしまったんだけど、もう少しじっくり解読に取り組めば良かったと後悔。ちゃんと考えれば解読できたかもな〜

    94
    投稿日: 2025.05.18
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    ライトに読める連作短編。実在した組織なのに驚き。社会主義というと構えてしまうけど、理想とすべきことは現代の世の中にも言えることで、時代が変わっても日本って変わってないのかもしれないなぁと思ってしまった。

    0
    投稿日: 2025.05.17
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    SL 2025.4.29-2025.4.30 大正時代の実在の社会主義者たちにまつわるお話。大逆事件後のことなのに当時の実際の雰囲気とはかけ離れているくらい陽気な彼ら。それでも彼らの主義主張は真性のものだし、やはり社会と闘ったのも事実。陰鬱に暗くなることなく当時の社会情勢をうまく描いている。

    0
    投稿日: 2025.04.30
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    暴漢に襲われた主人公が「売文社」の面々に救われたことを機に彼らと関わっていく。堺利彦、大杉栄など日本史を勉強した人なら目を引く人物達が生き生きと自分の行き方を通す姿が読んでいて気持ちが良い。特に、最後の裁判の展開が痛快だった。民主主義の意味が問われる今の時代だからこそ、彼らの考え方に耳を傾けてみる時間も必要かもしれないな、と思った。売文社のメンバーと主人公のこれからの物語にまた出会いたい。

    1
    投稿日: 2025.04.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    史実とフィクションが絶妙に入り混じっていて面白い! 史実に詳しいわけではないので、途中どんな人かなと調べながら読んだところ、より面白く感じました。 主人公は「社会主義」について、少しずつ理解する。しかしそのまま売文社に居座ることはなく、植字工の仕事を見つけて出ていく。 やっぱり当時、(道楽といえども)社会主義活動をすることは容易ではないのだなと感じましま。 彼らのその後の人生、ぜひ知りたいです。

    0
    投稿日: 2025.04.24
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    新聞雑誌の原稿に、翻訳、暗号文の解読……。 文章に関する依頼、何でも引き受けます。 どんな無理難題もペン一本で解決してみせる〝売文社″のもとには、 今日も不思議な依頼が持ち込まれて――。 面白かったです

    3
    投稿日: 2025.04.12
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    以前読んだ「太平洋食堂」とも連なる作品なのか、その時代の社会主義者が集っている作品。 波乱万丈の実在の人物達が一時代でもこんなに楽しげに暮らせてたら、と思います。 「大いに逆さま事件」と名付けられた、幸徳事件。 その時の傷を持ちながらも前に進んで行くのは、現代よりももっと不安定で、生活は自分自身で切り拓く逞しさがあったのでしょう。 最終話の法廷に登場した弁護士は最高です。これだけでスピンオフが欲しいですね。

    32
    投稿日: 2025.04.03
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    シリーズ化できそうな構成 登場する大杉たちをはじめとした活動家たちのその後を多少知っている現代の我々視点から読むと、売文社に満ちている志の下に集まった人たちならではのカラリとした心地よい空気感が、刹那的なきらめきに感じてしまい、複雑だった。

    2
    投稿日: 2025.04.02
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    最終章の堺さんが僕に語った社会主義とは、のセリフは現在の私達にも響く マーガレット→真柄ってキラキラネームか?

    0
    投稿日: 2025.04.01
  • 実在した人たちだったの、びっくり。

    推理ものと思って読んだら、実在した人たちだったのはビックリした。のんき節とか、売文社とか、本当にあったんだな。社会主義って怖いイメージしかないけど、この時代や人物の勉強になった。 主人公が女装して潜入する事件は、ハラハラした。

    0
    投稿日: 2025.03.22
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    (Ⅰ)《僕たちがやっているのは本物の社会主義じゃない、所詮はインテリの道楽だ》p.225。《命懸けの道楽もあるさ》p.227 (Ⅱ)痛めつけられたうえ職を失った「ぼく」は「売文社」という得体のしれない人びとに救ってもらったがそこは蛇蝎の如き社会主義者たちがたむろする巣窟だった/堺さんから暗号解読してみよと命じられて/売文社に出入りする女性たちが何か企んでいる? 偵察を命じられた「ぼく」はエライ目に遭う…/堺さんが警察に連れて行かれ、頼った弁護士「ハクシャクドノ」はとんでもない変人だった。彼が活躍する法定モノ。 (Ⅲ)「大正デモクラシー」というくらいだからこの時代はもっと自由でおおらかだと思っていましたが、時代背景は意外に重苦しい。でもそんななか売文社に集まる人びとはどこか楽しげで救われます。 ■簡単な単語集 【荒畑寒村/あらはた・かんそん】売文社一味。いい人。「ぼく」にローマ字を教えてくれた。 【伊藤野枝/いとう・のえ】売文社に出入りしている女性。 【大杉栄/おおすぎ・さかえ】売文社一味。いくつもの外国語に堪能。誰にも遠慮しない。無政府主義者、無国家主義者。《社会主義なんて、大きらいだ!》p.65。《たとえ無政府主義社会が到来しても、なお反逆者でありつづけるのが本物の無政府主義者だ》p.67。どもりがあるがそれがさらに言葉の力を強めることにつながっている。 【小口みち子/おぐち・みちこ】売文社に出入りしている女性。明るく元気で江戸っ子気質。プロの美容師でもある。 【堺為子/さかい・ためこ】利彦の妻。 【堺利彦/さかい・としひこ】売文社の社長。謎解き好き。《僕たちは二種類のペンを持つ。生活のためのペンと、人助けのためのペンだ。》p.30。《しばらくは猫をかぶってやりすごす――というのも一つの手だ》p.60。 【堺真柄/さかい・まがら】利彦の娘。物語スタート時十二歳。外国の小説の登場人物であるマーガレットから取った名前。リボンが特徴。「ぼく」を救ってくれたがその後成長するにしたがってツンケンされるようになった。 【大逆事件】このお話の五年前に起こった。社会主義者が悪役となったきっかけでもある。売文社の面々は当時獄中にいたのでさすがに罪を被せることができず無事だった。もし外にいたらいっしょに死刑にされていたと思われる。世間で受け取られているのとはまったく逆のことが行われていたということで、ここでは「大いに逆さまの事件」と皮肉られている。 【社会主義者】悪の権化のように嫌われている。 【添田/そえだ】色白の少年。門番(玄関番)。 【添田啞蟬坊/そえだ・あぜんぼう】演歌師。添田少年の父。 【売文社】文を売る会社。文についての依頼はなんでもやる。「ペンを以てパンを求める」という意味でパンとペンが描かれたポンチ絵がトレードマーク。社員全員が社会主義者。 【パウリスタ】売文社御用達のカフェー。本格コーヒーの草分け。 【橋浦時雄/はしうら・ときお】売文社一味。二十四歳。 【橋浦はる子/はしうら・はるこ】時雄の妹。 【檜山/ひやま】売文社の小遣い。五十年輩の人のよさそうなおじさん。 【へちまの花】売文社が出している雑誌。 【メイゾン鴻ノ巣】日本にいち早く欧風文化をもちこんだハイカラな西洋料理店。「パンの会」も開催されていた。売文社女性陣の作戦会議が行われた。 【山崎今朝弥/やまざき・けさや】米国帰りの弁護士。自称「米国伯爵」て「ハクシャクドノ」と呼ばれている。売文社の特約執筆者の一人。真夏に褌一丁の真っ裸で、目鼻がわからないほど真っ黒に日焼けした男。豪快な変人。

    0
    投稿日: 2025.03.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

     年末だったか、新聞書評(日経新聞)で見かけて、図書館に予約を入れていたもの。ずいぶん待たされた感がある。「こんな本、予約してたっけ?」と、案内メールが来てもピンとこないくらい忘却の彼方だった一冊。  著者作品はお初だ。ライトな筆致で、こりゃ楽々読めるなと思ったが、大正デモクラシーの時代を扱った、社会主義者にとっての『冬の時代』をテーマにした内容は、意外や重い。また、その『冬の時代』は、息苦しさが充満する、21世紀の今にも通じるメッセージを孕んでいて、実に読み応えがあった。  お話の中心にあるのは、社会主義者堺利彦が創設した「売文社」。そこに拾われた「ぼく」が、“売文社一味”と称される、ひと癖もふた癖もある面々と過ごす日々が描かれる。四章で構成され、「ぼく」が売文社でやっかいになるきっかけとなった暴力事件、成金工場主ととりまきのヤクザをとっちめる話や、暗号解読、女性の権利庇護にまつわる移民問題、弁護士山崎今朝弥が活躍する法廷闘争など、お話もバラエティに富んでいる。  売文社一味には、錚々たるメンバーが在籍しており、主席の堺利彦をはじめ、大杉栄、荒畑寒村など、日本史の授業で名を知る人物が顔を出す。当時、明治から太平洋戦争敗戦までのイケイケどんどんの時代に、反戦、無政府主義、社会主義を掲げ、逮捕、投獄された人たちという刷り込みからか、どちらかというとマイナスのイメージが強い。  本書で、彼らなりの思想や考え方、人生や生活を垣間見ることで、人間性が加味され、アナーキストたちに対する見る目が変わる。  堺が時折、ぼくに語って聞かせる言葉は、十分、今の時代にも(今だからこそ?)訴えるものがある。 「ただ金持ちだからといって偉そうにしている現在(いま)の社会の在りようはまちがっている。同様に、ただ男だからといって女性に偉そうにしているのもおかしな話だ。家庭での男女の役割を見直すことこそが社会主義への第一歩である」 「いまの日本の社会は、“金さえ持っていればエライ”という、資本主義万能の世の中だ」  今の時代に、売文社というモチーフを見出した点に、著者の慧眼があると言える。  さて、本書。巻末に「※本作はノンフィクションではありません。」とある。フィクションである、と断わらない巧みさがある。  そして、主人公の「ぼく」については、特に実在を匂わせてはいなかったが、最後に 「このぼくが、その後どんな人生を送ることになったのか? それについては、いつかまた、どこかで話をする機会もあるんじゃないかと思う。」  と思わせぶりな一文。  日経の書評子によると、本書は、 “この作者の『太平洋食堂』『南風に乗る』などにつながる実名シリーズの新作だ”  とのこと。  主人公の「ぼく」も、のちのとある人物ではないか? と勘繰るが、どうなんだろう。  著者のほかの作品もだが、堺利彦や、大杉栄、黒岩涙香といった、当時の面々にまつわる著作にも触れてみたくなった。

    2
    投稿日: 2025.03.12
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    実在してたとは、参考文献見るまで知らなかった。社会主義って言葉だけ見ると敬遠するけど、こういう小説で一端に触れられるのは良い。

    1
    投稿日: 2025.03.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    大正時代に実在した人物たちを活躍させた、ミステリー。登場した「ぼく」には失礼なことだけれど大変楽しく読み終えた。 四話目の山崎弁護士の話は特に痛快! こんな裁判ネタならもっともっと読みたい。 時代は暗く、人が人を裁き国が人を押さえつける時代だったとは言え、名もなき人たちはみな、いつも何かと戦っているということに時を超えて感銘してしまう。

    10
    投稿日: 2025.03.05
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    堺利彦を主人公にした小説。当時の社会状況が浮かび上がる様。ただ、当時と現在の様子が似ている様な気がする。当時は新聞などで、今はSNSで。疑いを持たず信じる民がもたらす事が危惧される。語り手の男性が誰なのかが興味ある。

    11
    投稿日: 2025.03.02
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    独特の言い回し、時代的な言葉使いも 含めて少し個人的に読みづらかったが 為になりました クスッと笑える所もあり面白かった

    25
    投稿日: 2025.03.01
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    社会主義者たちが集まり、さまざまな文を書くことで生計を立てている「売文社」を舞台にした連作ミステリ。大逆事件が関わっていたり、大杉栄が登場していたり、とそのあたりを思うと重々しい印象かと思いましたが。実はとってもコミカルで痛快な読み心地の作品でした。 抑圧されているはずの売文社の面々がそんなことはものともせずに、数々の事件を策略でもってねじ伏せていくさまには胸のすくような思いです。解決の仕方がまた楽しいんだよね……「乙女主義呼ぶ時なり世なり怪人大作戦」が特に面白すぎます。「怪人大作戦」だけで笑っちゃうし、ラストの光景は実に愉快。女性たちの強さ賢さも見事です。 そして最終話の裁判シーン……これまた面白すぎるでしょうよ。それまでに登場したキャラクターも愉快な人たちばかりですが(実際にこんな人たちだったら凄いよなあ)、さらに上を行くぶっ飛びキャラクターが登場しましたよ。だけどこれもまた痛快極まりありません。

    2
    投稿日: 2025.02.24
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    堺利彦を中心とした人々を、少年の目から描く。 歴史を「今」に持ってくることが出来る作品。 「本作はノンフィクションではありません」も、また良い笑 柳さんは最近こういう作品が多い。筆力もあって考えさせられるが、『ジョーカーゲーム』のような作品もまた読みたい。

    1
    投稿日: 2025.02.22
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    時は大正、天皇を弑する計画が立てられたとして社会主義者ら12名が処刑される「幸徳事件」が起き、社会主義者が極悪人扱いされていた頃、主人公かやくざ者に襲われて死にかけていたところを巷で話題の社会主義者が助けるところから物語は始まる。 未だに腫れ物扱いされる社会主義・社会主義者だが、主人公を助けた売文社の社長・堺利彦が掲げる社会主義は、現在の私たちのイメージとは異なっている。 当初は怪訝な態度を取っていた主人公も、彼らと一緒に過ごしていくうちに「彼らがやろうとしている事の方が正しいのではないか」と心を変えていく 私も、社会情勢に応じて本気で社会の変革を目指していた当時の社会主義は悪くないのではないか、と本書を読んで思った 話は大正デモクラシーに差し掛かって締め括られる 最後は吉野作造が「民本主義」と訳したデモクラシーの達成・護持に向けて、民衆が自らの意思で立ち向かっていく希望をもたせる描写で感動した 浅学ながら知らなかったのだけど、本書に登場する社会主義者らと彼らの「拠り所」である売文社は実際に当時存在していたらしく、その点も踏まえて読むとまた一味違った感じを覚えるだろう

    2
    投稿日: 2025.02.07
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    労働環境の改善を工場主に訴えようと、従業員たちの代表に祭り上げられたぼくは、工場主が雇ったヤクザ者たちに半殺しにされて路地に放り込まれた。 倒れていたぼくを発見し、助けてくれたのが堺利彦(さかい としひこ)を代表とする「売文社(ばいぶんしゃ)」の面々だった。 堺は、うちで働けばいいと、二階に住み込みの部屋も与えてくれた。 「売文社」は文章に関することなら一枚五十銭で何でも引き受ける。今度「人生相談、探偵調査」も引き受けたいと堺。 ぼくはそこで、戦争成金と政治家の癒着を暴く場面を見たり、暗号を解いたり、女装させられたり、そして生まれて初めて裁判の傍聴もした。 堺利彦(さかい としひこ)をはじめ、大杉栄(おおすぎ さかえ)、荒畑寒村(あらはた かんそん)など、売文社一味は、みな社会主義者たち。 世間で言われているような怖い人たちではなく、変わり者ではあるが、意外に普通で面白い人たちだ。 社会主義者には、一人に一人、専任の警官が監視に付く。警官が常に近くにいることを逆手に取って事件を解決してしまうところなども面白い。 ぼくにやっと新しい就職先が決まった時、これからの社会主義の担い手は君たちだよ、と堺に言われた。 金持ちだけがうまい汁を吸うのではない、労働者や小作人もみんなが望ましい社会に変えていく、それが本当の意味での社会主義なのだから。 大逆事件を扱った『太平洋食堂』の数年後を少し軽いタッチで描く。 しかし、この後も決して労働者や国民一般にとって軽い時代ではないのだが・・・ もしかしたら続編もあり? 「ぼく」には最後まで名前が与えられていなかった。

    3
    投稿日: 2025.02.01
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    著者初読み。 大正、昭和と好きな時代。 知らないことも多く、読後もにわか調べで歴史を再認識。 この時代をモチーフに、見事にミステリーを組み立てる策士。 今の時代だからこそ、この本を読むこと、時代を振り返ることへのメッセージが含まれているような気がする。 著者本、まずは「贋作『坊っちゃん』殺人事件」を読んでみよう。

    15
    投稿日: 2025.01.30
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    自分の中での解釈の選択肢の重要性を教えてくれる小説 4つの短編集で、各章ジェットコースターみたいに上げ下げ上手、感心しながら読めました。また、時代背景を感じずスラッと読めます。 個人的には「乙女主義呼ぶ時なり世なり怪人大作戦」がハラハラして楽しかったです。 実在した組織とのことですが、自分が無知なので知らない人ばかりでした・・・ それでも楽しく読める小説でした。

    23
    投稿日: 2025.01.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    【収録作品】 第一話 合い言葉は〝パンとペン〟 第二話 へちまの花は皮となるか実となるか 第三話 乙女主義呼ぶ時なり世なり怪人大作戦 第四話 小さき旗上げ、来れデモクラシー ミステリ、という形を借りた、啓蒙書(といってしまうと敬遠する人もいるだろうが……)。 実在の人物をモデルにした物語は苦手なのだが、現代の不穏さを思うと、語れるうちに語っておくべきだ。そして、彼らが受けた不当な扱いを伝えるためには、彼らを描かなければならないわけで、納得である。 社会主義、共産主義というだけで毛嫌いする日本人の多いことに常々疑問を抱いてきたが、昨今では疑問ではすまない思いがある。 書き続けてくれる著者に感謝。

    9
    投稿日: 2025.01.09
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    柳広司なので読んでみた 実在の人物、実在の会社?による フィクションだった 全く知らない存在ばかりで 世の中知らないことしかないよ… って悲しくなったりする 内容はそんな暗いテンションではない 主義ってなんだろうなぁと ぼんやり考えてみたけど 知ってる主義が そもそもほとんどなかった 物を考えながら生きてる人は やっぱりスゴイナァ… 特別な思い入れを抱かなかったけど 概ね好印象なので 星は3つ

    1
    投稿日: 2025.01.09
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    やくざもんに襲われて気を失っている“ぼく”を救ってくれたのが堺利彦や大杉栄に荒畑寒村たち。それがきっかけで売文社に居候することになった、”ぼく”の視線で描かれる当時の社会主義たちの人たち。黒岩比佐子さんの「パンとペン」で僕は堺利彦のファンになったけど、この本でも堺利彦が魅力的に描かれている。そして山崎今朝弥弁護士。あの時代はほんまおもろい人がいっぱいおったんやなと感心する。

    1
    投稿日: 2025.01.04
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    『ジョーカー・ゲーム』で知られる著者の新刊。社会主義者という言葉が冒頭いきなり出てきて「今作は政治の話なのかな?」と思ったが、実際はエンタメに寄った群像劇。著者らしい歴史小説の側面もありつつ全体的にはポップで読みやすい。ただし、日本史すっかり忘れたという状態だと楽しめない部分もあるかも。小説の中身としては、やっぱり第4話の法廷劇の山崎弁護士の反論が面白すぎる。しかもあの屁理屈まがいの弁論が大正デモクラシーと絡めてラストに繋がったのはちょっと感動w

    1
    投稿日: 2025.01.03
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    社会主義者・堺利彦が起ち上げた【売文社】を舞台にしたエンタメミステリー。ヤクザ達に襲われ瀕死の状態だった〝ぼく〟を助けてくれたのは堺さんを始めとする売文社の人達だった。彼等は「大いに逆さまの事件」を免れた社会主義者・無政府主義者たち。売文社に持ち込まれる謎の依頼を解決していく4話収録の連作短編集だ。作者の『太平洋食堂』のスピンオフのような物かなと読んでいて感じた。エンタメ寄りで楽しんで読めるが、登場人物たちを検索すると理不尽な最期を遂げていたりで腹立たしくもなったり…。

    3
    投稿日: 2024.12.29
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    実に愉快な作品だった。特に第4話でははっはっはーと声を出して笑ってしまった。深刻にならずに読め肩も凝らず心暖まり読めたのは何よりだ。昔小生が小学校時代父がよく話していたポンチ絵とか歌ってくれたあの歌詞ラメチャンタラギッチョンチョンデパイノパイノパイ---やノンキ節ハハノンキダネ等々は懐かしかった!今生きていれば110才以上の年齢だな!兎に角愉快な話しだった。

    3
    投稿日: 2024.12.27
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    ジョーカーゲーム以来、久しぶりに読んだ。 キャラたちのクセの強さの描写は、マンガのようでもあり、単純に面白い。特に最後のあの人。

    2
    投稿日: 2024.12.26
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    社会主義を唱えると投獄されるような時代 文章に関する依頼、何でも引き受け、どんな無理難題もペン一本で解決してみせる「売文社」が舞台 彼らのなんとものんびりした姿勢が逆に日々の抑圧された生活に慣れざるをえなかった苦労が感じられる 内容は4編からなる短編集だが、ちょっとアッサリしすぎていて、物足りなさも感じた

    3
    投稿日: 2024.12.25
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    オーディブルで聴きました。 売文社って大正時代に実在していたということを知りびっくり。青鞜運動社のことも出てきて、女性はこのころから社会進出を頑張ってきたのね、と思う。令和になっても女性の進出はこんなもんかってことは、誰が悪いんだか。男か、政治家か、やはり女性自身か。というのは本筋ではないが、とにかく、展開がお洒落、登場人物も魅力的。 こういう小説が好きになりたい。でも私はもっと下世話なミステリーに惹かれるのが少し悲しい。

    3
    投稿日: 2024.12.21
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    社会主義を謳うと投獄される。 そんなすごい時代に社会主義を謳う勇敢な人達の物語。 武器はペン。 何でペンかは読んでのお楽しみ。 時々シリアスでかなりクスッと笑える武勇伝。

    3
    投稿日: 2024.12.20
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    予備知識無しに読み始めた。 初めは若い職工と社会主義者を公言する売文社社長の境との話かと読み進めたが、戦前の世に社会主義者を謳う売文社という存在の危機感を感じないではいられなかった。 幸徳秋水と意を共にした境は常に警察に監視されていた中での、戦争景気で成り上がった業者と政治家の密会や、悪徳移民ブローカーの摘発、売文社と社長の境に対する裁判など、物語は次第にエンターテイメント要素のある話に引き込まれていった。 実在の人物を取り上げた小説だけに、これから暗黒時代に入ろうとする事を暗示する結び方に、売文社や登場人物たちの行く末に不安を禁じ得なかった。

    1
    投稿日: 2024.12.20
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    社会主義者の集まる「売文社」を舞台にペンの力で事件を解決する4編からなるミステリーなかでも「乙女主義呼ぶ時なり世なり怪人大作戦」ハラハラドキドキの展開にあっと声が出てしまいそうなほどのおもしろさでした。大正時代の社会主義者実在も数々登場飽きさせない傑作ミステリーをあなたも読んで手に汗握って下さい。

    14
    投稿日: 2024.11.07
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    明治の激動の時代を舞台とした話。爪弾きにされた社会主義者達の日々起こる事件を誰にでも読みやすく書かれている。「社会主義」というと北朝鮮のようなものを想像したがどうやら少し違う。私達が現在当たり前に思っている、男女平等、女性も働く権利がある、金持ちだけが得をしない、長時間労働だめみたいなもののようだ。 実際に実在する人物がモデルになっているとは全く知らずに読んでいたが、ほんの100年前の日本が思想を自由に持てなかったのかと思うと驚く。そして、男の人が台所に立って料理をするというのが全くない時代に堺さんが率先してやっていたというのもこの時代。あまり時代ものを読まない私でも楽しく読め、登場人物が魅力的に描かれている。

    2
    投稿日: 2024.10.10