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その時鐘は鳴り響く
その時鐘は鳴り響く
宇佐美まこと/東京創元社
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総合評価

43件)
3.8
11
11
13
1
1
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    ドラマになりそうなミステリー。30年前の女子大生転落事故とタバコとコロンの匂いをまとった男の殺人事件。監察に目をつけられている刑事と若い女刑事が事件を追う!読み応えありました。

    5
    投稿日: 2025.06.06
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    永遠無駄話を聞かされてる気分になってイライラした 半分まで飛ばし読みして、そこで完全に読む気が失せて10章とエピローグだけ読んだ 私には合わなかった

    2
    投稿日: 2025.05.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2つの事件がどう結びつくのか考えないようにしながら読み進めていたが、だんだんと解明されていくにつれてなるほどと思った。 時に良いことに、時に悪いことに繋がってしまうような色々な偶然が重なり合って人は生きているのだと感じた。 瞳と高木の回想シーンで終わる最後の終わり方が非常に綺麗でした。

    0
    投稿日: 2025.04.27
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    こんなにボリュームたっぷりな小説は久しぶり。 まさに読み応えのある一冊だった。 どこでつながるんかなぁ、あ、やっと同じ線上に…と気づいてからは、先が気になって気になって。 込み入った部分がさっと説明に終わった感じは残念だったけれど、そこまで詳しく書いたら上下巻になりそう。それだけ複数テーマがあり、でもたくさん人間が出てるんだから、それだけの背景はあるよな、一人一人の人生の物語の絡み合いが、人間関係ってものだしな。 たぶん一人一人を大事に描いてくれている、思いを込めているんだろうな。 最後は切なかったけれど、こんな終わりの作風もありかな。

    0
    投稿日: 2025.04.26
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    2025.4.18 大学生の転落事故と30年後の資産家殺人事件。 同時に2つの話を読み進めていて、最後一気に繋がった。

    0
    投稿日: 2025.04.25
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    好きな作家なんだけど。 殺人事件の刑事ものというか、薄れていく青春の日の輝きみたいな雰囲気がなかなか切ない。

    0
    投稿日: 2025.04.12
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    30年前の出来事と現代の事件が最後一気に繋がり面白く読みやすかった。 前半のちょっとした事が、あとあと重要になる感じが自分的には好きな作品だったので5つにしました。

    8
    投稿日: 2025.04.11
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     人を殺すことは良くないこと。これはもちろん誰もが知っている当たり前のこと。でも、どうしても殺したくなることってあると思う。例えば理不尽に自分の家族が殺されたとしたら。自分の大切な人が殺されたとしたら。法に則って罰してもらう。そんな悠長なことを言ってられるだろうか。  この小説には2つの物語が存在する。1つは大学でマンドリンクラブに所属する学生たちの物語。合宿中に1人の女子学生が崖から転落死をした。その過去を引きずった仲間たちが30年振りに集まり、部室に行くと、黒板に【その時鐘は鳴り響く】という仲間たちにしかわからない文字が描かれていた。  もう1つは、殺人事件を追う刑事たちの物語。中年男性が腹部と頸部を刃物で刺され、殺される。血溜まりの中に、ハート型で切り抜いたような模様が残されていた。黒光亜樹は、本庁の榎並というやる気のない男とコンビを組まされ、事件を追うことになる。榎並はどうやら警察全体を揺るがす地雷を握っているらしい。  この2つの物語がどう結びつくのか。いつ結びつくのか焦ったい思いで読んでいくうちに気づく。あの時にはもうヒントが隠されていたんだなと。  とにかく榎並がカッコいい。ラストも爽やか。でも、あの頃に戻りたいだろうなぁ。

    23
    投稿日: 2025.04.02
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    赤羽台団地棟殺人事件、松山大学マンドリンクラブ転落事故、警察官ピストル自殺。個別事件が時を経て繋がり、鮮やかに伏線回収。権力に立ち向かう榎並と復讐を決意する高木。二人の親友を想う気持ちにじんとなった。

    1
    投稿日: 2025.03.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    東京・赤羽の路上で資産家が殺害された。 赤羽署初の女性刑事・黒光亜樹は、本庁から来た癖の強い先輩刑事とコンビを組まされ、彼と対立しながらも懸命に捜査を続けるが、なかなか容疑者は浮かんでこない。 同じ頃、松山大学マンドリンクラブのOG・国見冴子は、仲間二人と母校の取り壊し予定の部室棟を訪れていた。 すると部室の黒板に、三十年前に失踪したクラブのメンバー・高木圭一郎が最近書き残したと思しき「その時鐘は鳴り響く」を見つけて驚く。 それは四年生の夏合宿で事故死した篠塚瞳を含め、五人の間で頻繁に言い交わしていた言葉だった。 瞳の死後に失踪した高木は、なぜ今になって部室を訪れ、この言葉を残したのか?  冴子たちは当時の事故について調べ始めるが……。 (アマゾンより引用)

    0
    投稿日: 2025.03.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    合宿中に滑落事故で友人を亡くしたマンドリンクラブサイドと、公園でおこった殺しを追っている刑事サイドの話が交互に展開されるミステリ作品。 一見なんの関係もなさそうな2つの物語がゆっくりと交差していき、そして急激に進展していく。いままで無関係だと思っていたものが、ピタリと重なっていく様は読んでいてとても心地がいい。 ゆっくりと、だが確実に真実へ迫っていく刑事たちの執念、本庁と所轄のわだかまりや葛藤などがしっかり描かれており、最後まで楽しく読むことができた。

    1
    投稿日: 2025.03.11
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    感動する本の後に読んだので余韻に浸れなかった。でも過去の事故死から現在の殺人事件に繋がる話は想像を超えていたしマンドリンという楽器やガラシャの音楽、幻の邪馬台国。知らない曲名があり縁があったら聞いてみたい。

    2
    投稿日: 2025.02.25
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    1冊なのに同時に2冊読み進めているようだった。まったく繋がらない話。でもそれぞれで興味深く。それが最後の最後でスッとつながる。

    1
    投稿日: 2025.02.18
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    現在の事件と過去の事件と繋がる… こっちの事件と離れた事件と繋がる… って好きなんだよね〜:.゚٩(๑˘ω˘๑)۶:.。♡︎ 地道な捜査で刑事が偏屈とか変わり者とか? キャラが大事です♪ ありがちでもいいです笑 大好物です! ただ一つだけ… 実は血気盛んな女性刑事は嫌いなタイプなので ☆一つ減りました♪︎~(・ε・。)

    44
    投稿日: 2025.02.16
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    大学のマンドリンクラブの活動に一生懸命取り組んで培った友情があった。しかし、何かの事件らしき出来事で仲間は散り散り。その一人である冴子目線と、全く異なる所での殺人事件の所管刑事、黒光亜樹目線が交互に語られる。殺人の方は合同捜査になり、本庁から特捜本部に入った訳ありっぽい榎並(えなみ)と亜樹の捜査が少しずつ進む。最初は冴子と亜樹目線でいきなり場面が切り替わるのにやや戸惑うけれど、この2つが一気に収束を見せるところが、読んでいてものすごく気持ちいいです。 ミステリーになれていない人にも、人間ドラマのように読み進められる展開。音楽好きなら、さらにオススメです。 殺人ありなので、中学校以上。エログロ低めなので個人的なら早成小学生には読ませてもいいレベルかと。

    7
    投稿日: 2025.02.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    30年前に愛媛県、松山大学マンドリンクラブの女子学生の転落死。 現在 東京の赤羽付近で起きた殺人事件を調べる女性刑事。 2つの話が、交互に語られる形式で、もちろんどこかでつながるんだろう・・・と思って読んでいるんだけれど、これが、ぜんぜん接点がなくて、違う2つの話をずっと読んでいる感じ。 リンデラっていう森の香りの香水、ちょっと試してみたい。 真犯人、まあ切ないけどさぁ、そんなに用意周到にできるなら、殺人などせずに警察に訴えて正規に捕まえてもらえばいいんでないのかねぇ・・・ と、これがどう関係するのか? 全く予想出来ずに読み始める。

    0
    投稿日: 2025.02.13
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    ヒューマンドラマでは定評のある作家だが、警察組織目線でのミステリだと筆致のライトさゆえの説得力・リアリティのなさに読む気力がところどころで萎える。 クライマックスもふわっとしてて、青春ドラマじゃないんだから、と思わず突っ込みたくなった。残念。

    2
    投稿日: 2025.02.10
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    30年前の四国松山でマンドリンクラブの合宿中に起こった事故と東京での不動産屋の殺人事件とが交互に描かれて、最後に結びつく。それぞれが抱える悲しみや決意も含めて読み応えのある物語でした。

    0
    投稿日: 2025.02.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    30年前に愛媛でマンドリンクラブの合宿中に起きた転落事故と東京で起きた不動産を営む男性の殺人。マンドリンクラブ廃部により備品等の整理のため30年ぶりに会うかつての仲間たち。そこで事故により亡くなった瞳とその死に自分を責めて姿を消した高木に想いをよせる。やりきれない事故と殺人捜査が交互に描かれていてどう繋がるのかと思っていたら、何とも切ない殺人者の姿が出てきた。30年も経っているのに、でもそれほどふたりの繋がりは特別なものだったのだろうと思うとより悲しい。

    0
    投稿日: 2025.02.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    30年前、愛媛の大学のマンドリン部のお話と現代の赤羽でおきた資産家殺人事件。二つのお話が進んでいくというつくりはまあよくある感じで・・・だんだんと二つのお話がリンクしていく・・・と思いきやこれがなかなかリンクしない。どちらも興味深い話ではあるのでつまらないということではないんですが、気を持たせるなあ・・と。 もちろん最終的にはきちんとお話がつながっていくわけですが。本のボリュームのわりにはお話が結構盛沢山でしたね。国見冴子さんの娘さんの結婚うんぬんとか過去の警察の腐敗がーとか。若干話の核がぶれるような気もしないでもないですが、それでも楽しめました。 あと犯人は最後どうしたかったのか?とは思いましたが。警察が迎えに来るのを待ってるんだ的なことを言ってましたが、自分の中で本懐を遂げたなら自首したらいいんじゃないですかね?待つってなんだ?ちゃんと逃げるでもなく往生際がいいんだか悪いんだか。

    1
    投稿日: 2025.01.31
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    東京は北区赤羽の路上で、不動産業者が刺殺された。 女性刑事・黒光亜樹(くろみつ あき)が地元の聞き込みに回る。 「ワインと煙草の好きないい人だと思うけどなあ」被害者行きつけの居酒屋の店主はそんなふうに言った。 やがてその貌は書き換えられて行く。 一方、愛媛の松山で。 松山大学マンドリンクラブの夏合宿で、コンサートミストレスを務める篠塚瞳(しのづか ひとみ)が崖から転落して命を落としてから30年が経った。 当時、指揮者だった高木圭一郎とともに篠塚瞳と親しかったOBの、国見冴子と南田、安原は、心に小さな棘を刺したまま、現実のせち辛い世をなんとか生きて五十代を迎えた。 しかし卒業を前に姿を消した、高木は・・・ 彼ももちろん、同じように歳を重ねているが、心はあの時代に置いて来てしまったのかもしれない。 瞳が合宿所を飛び出す前に、高木は演奏方法をめぐって彼女と言い争いをした。そんなことはよくある事だったけれど、高木は自分と言い争わなければ、と良心の呵責を感じたのだろう。 彼の過ごした根無草で世捨て人の30年は想像するに余りある荒野の風景である。 今、彼の心は平安だろうか。 彼の心にはまだ音楽があるのか。 街角で、イージーリスニングのコンサートのポスターを見かけたら聴きに入るのだろうか。 そこに瞳が待っていると信じて・・・ 『プロローグ』 『第一章 血だまりの中の花びら』 『第二章 事故人材』 『第三章 音叉(おんさ)の響き』 『第四章 ペルセウス座流星群』 『第五章 黒文字(クロモジ)』 『第六章 高潔と無邪気』 『第七章 束縛と依存』 『第八章 署名行為』 『第九章 星の精』 『第十章 散りぬべき時知りてこそ』 『エピローグ』 警察の捜査システムの詳しすぎる説明と、内部告発事件の取って付けたような説明は、どういうふうな理由で必要だったのかなとちょっと思った。

    2
    投稿日: 2025.01.20
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    すごい本だった。赤羽で発生した殺人事件と、三十年前にマンドリンサークルの合宿で起こった死亡事故と失踪。全く別物のような二つの出来事が鮮やかにつながった。鍵となったのはクロモジという植物から作られたコロンの匂い。匂いは何よりも強く記憶を呼び起こすというし、悲しい話なのだけどドラマチックだった。1点、血だまりの中につけられたマンドリンピックの跡がその後何時間も残るものかというのは引っ掛かった。

    0
    投稿日: 2025.01.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ぐんぐん話に引き込まれて一気に読むことができた。 2つの事件が繋がっていく過程のどきどきわくわく。犯人のやりきれなさと絶望、そして決意。 救われることを願わずにはいられない。 途中から結末がなんとなく読めても怖いもの見たさにどうしても先に進んでしまうし、読後のスッキリ感がすごかった!

    0
    投稿日: 2025.01.13
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    30年前に愛媛で起きた大学生の事故死。30年後に東京で起きた資産家殺人事件。二つの出来事がどう絡んでいくのか読み応えがあった。一人の男のせいでたくさんの人の人生が狂わされた。過ぎさった30年の間、どのように折り合いをつけて生きてきたんだろうか。そして、鐘が鳴り響いた時の気持ちを思うと苦しい。エピローグが本当に切なかった。

    0
    投稿日: 2025.01.12
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    赤羽の路上で不動産業で財を成した男が刺殺される事件が発生し、現場に向かった黒光亜樹刑事は独特の香りと血痕の中に残されたハート型が気にかかる。並行して30年前、愛媛県の女子大学生がマンドリンサークルの合宿中に崖から謎の転落死を遂げた過去について、友人だった冴子の視点で描かれていく。読み進めると何となく犯人像が浮かび上がるが、黒光刑事がどのようにしてその2件を繋ぎ合わせていくのかが読みどころ。相棒になった本庁の刑事も謎めいていて、一気に真相が明らかになっていく終盤がとても面白い。

    3
    投稿日: 2024.12.29
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    プロローグは1997年、松山大学マンドリンクラブの部員の四年生、高木圭一郎と篠塚瞳が二十年後、三十年後の部員たちがどうなっているかという会話から始まります。 瞳は言います。 「日本のどこかの街で、偶然に私たちは同じポスターを見て、こんなふうに引き寄せられて再会するかもしれないね」 そして高木は 「ポスターを見た時、皆の頭の中で鐘が鳴り響くんやな」 と答えます。 そして第一章からは現在になります。 赤羽で殺人事件が起こります。 殺されたのは60過ぎの体格のいい男性で首を切り裂かれています。左手の薬指に古い傷があり指が無くなっているという特徴があります。 赤羽署に捜査本部がおかれ赤羽署の刑事黒光亜樹32歳と本庁の刑事の榎並がペアになります。 亜樹は殺害現場に血だまりがハートの花びらの形を作っているのに気づき何か手がかりがないかと生花店に花の名前を調べに行きますが…。 二つの話が交互に語られます。 三十年前のマンドリンクラブだったメンバーの再会と警察が追っている赤羽台路上男性殺人事件。 一体この二つの話のどこに繋がりがあるのかと思いながら読みました。私は全然わからなかったのですが、勘のいい方なら二つの物語の繋がりに結構早く気付いてしまうかもしれないと思いました。 とてもせつない物語。 せつなき殺人者のお話でした。

    129
    投稿日: 2024.12.27
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    赤羽駅近くの団地で資産家男殺害。30年前松山大学マンドリン部女子学生転落死&男子学生行方不明。 自分が生まれ育った赤羽が舞台だった。しかし二つの事件を強引に結びつける。強引過ぎじゃないか?観やすいけど何も残らない2サスっぽかった。

    2
    投稿日: 2024.12.18
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    ▼配架・貸出状況 https://opac.nittai.ac.jp/carinopaclink.htm?OAL=SB00556627

    0
    投稿日: 2024.12.17
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    Amazonの紹介より 愛媛で起きた学生の事故死と、三十年後に東京で起きた資産家殺人。過去と現在が交錯する時に明かされる真相とは? 強い絆で結ばれていたふたりの音楽仲間。ひとりは転落死し、ひとりは失踪した。 日本推理作家協会賞受賞作家の新境地、慟哭と郷愁のミステリー 東京・赤羽の路上で資産家が殺害された。赤羽署初の女性刑事・黒光亜樹は、本庁から来た癖の強い先輩刑事とコンビを組まされ、彼と対立しながらも懸命に捜査を続けるが、なかなか容疑者は浮かんでこない。同じ頃、松山大学マンドリンクラブのOG・国見冴子は、仲間二人と母校の取り壊し予定の部室棟を訪れていた。すると部室の黒板に、三十年前に失踪したクラブのメンバー・高木圭一郎が最近書き残したと思しき「その時鐘は鳴り響く」を見つけて驚く。それは四年生の夏合宿で事故死した篠塚瞳を含め、五人の間で頻繁に言い交わしていた言葉だった。瞳の死後に失踪した高木は、なぜ今になって部室を訪れ、この言葉を残したのか? 冴子たちは当時の事故について調べ始めるが……。 宇佐美さんの作品というと、一見まったく関係の2つの物語が、同時進行していくので、どちらか関係なくない⁉と思ってしまいます。ところが、後半になると、それが上手い具合に一つの物語としてかみ合っていくので、繋がれたことによる爽快感や驚きがあるのが印象深いなと思いました。 今回も、そういった志向になっていました。 愛媛で起きた学生の事故死と、三十年後に東京で起きた資産家殺人ということで、場所も違うし、年代も違うので、どう結びつくのか気になるばかりでした。 愛媛でのパートでは、30年前を振り返る形で、あの日あの時何が起きたのか、過去を懐かしむような雰囲気で進行していきます。当時活動していた部室棟が取り壊されるということで、再び集まった元部員。 このパートでの主人公は、30年の間に色々な出来事が訪れます。離婚や仕事、そして娘の結婚など、主軸となるものとは異なるのですが、度重なる苦労が窺えます。 その状況の中で、起きた部室棟の取り壊しと昔の謎の転落死。前半と後半では、空気感がガラリと変わるので、飽きさせませんでした。 もしかして転落死って・・といった疑惑がずっと渦巻いていて、それがどう東京での殺人事件に結びつくのか、頭をフル回転しながら読んでいました。 まさかこう繋がるとは・・カチッと頭の中で合わさるので、妙な爽快感がありました。 東京でのパートでは、女性刑事が主人公です。ここでも、主軸となる事件とは異なる要素も魅力的でした。 相棒となる本庁の刑事が謎めいていて、何かあるのでは⁉と興味をそそられます。 地道に捜査していくうちに、掴んだ事件の全容とは? そして、先輩刑事が抱える事情とは? 警察パートと愛媛でのパート、それぞれだけでも楽しめたのですが、2つに合わさったときの物語も面白かったです。そういうことだったんだといった納得感がありました。それぞれの要素を補うかのように、こちらで不思議に思っていたのが、もう一つのパートで解決していくので、それがジッパーのように合わさっていくので、楽しめました。 ただ個人的に惜しいのが、最後でした。というのも犯人はわかるものの、ここで終わり⁉という思う所で終わってしまうので、その後が気になってしまいました。 多分、こうだろうとは思うものの、ハッキリと文章に書いてほしかったなと思ってしまいました。 それでもミステリーとしての面白さがありました。 一つに合わさった瞬間の驚きと爽快感がある一方で、事件に対するそれぞれの人達の心情にやるせなさを感じました。それでも、それぞれが使命感で実行する姿は、輝かしく映りました。ただ、その光景はあまりにも代償が大きく切なすぎるなと思ってしまいました。

    7
    投稿日: 2024.12.16
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    現在の事件を追う警察の姿と、30年前のマンドリンに打ち込む大学生の姿が交互に描かれる。 30年前の様子が色鮮やかに描かれ、それとは対照的に現在が描かれているように感じられ、そこにひきつけられた。 そして現在の事件と30年前の事件が結びついた時にはやりきれなさを感じずにはいられなかった。 30年の時間が変えたものはなんだったのか。変わらなかったものはなんだったのか。変われなかったものはなんだったのか。 あえて描かれなかった30年間に思いを馳せずにはいられなかった。

    2
    投稿日: 2024.12.12
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    並行するストーリの人間描写・周辺描写の上手さと、そのストーリがひとつに収斂していく鮮やかさはもう名人芸を見ているよう。マンドリンのストーリがメインではあるが、事件を追う刑事のサイドストーリもサイドにするには勿体ないぐらい上手い。別々の曲を1曲にしたら名曲になったような作品。なんか大きな賞を取らせて、もっと宇佐美作品が多くの人の読まれることを切に願う。

    1
    投稿日: 2024.12.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    好きな著者だったので。 早々に殺人事件が起こって安心した、という感想はおかしい。 だが、この著者の他の作品を読んだことがある人なら共感してもらえると思う。 今回の作品はホラーではなく、ミステリーだったかと。 それもちゃんとした殺人事件だと安心する気持ちを。 赤羽で起きた殺人事件、被害者の男性は不動産会社の社長だった。 もの取りではなく怨恨と思われたが、 男性の周辺には犯人と思われる人物が浮かび上がってこない。 赤羽署の女性刑事、黒光亜樹は、 監察に呼ばれたが処罰されることなく帰ってきた本庁の刑事と組まされ、 繁華街の聞き込みにあたる。 事件の捜査と並行して語られるのが、 松山大学のマンドリンクラブの廃部の話。 「荒城の月」を「工場の月」だと思っていたような学生たちが音楽にかけた青春を、懐かしむOBとOGには忘れられない合宿があった…。 マンドリンクラブのコンサートミストレスの事故死が、 事故でないのだろううとまでは見当がついたが、 それが三十年後の殺人事件とどうつながるのかは、 ぎりぎりまでわからなかった。 卒業する前にいつか再会する時を語り合う姿はせつなく、 強く明るい光でできた長く暗い影を生きる中で 突然ある匂いで過去に引き戻された瞬間は、 描かれてはいないがまざまざと目に浮かんだ。 もちろんマンダリンという楽器は知っていたが、 YouTubeで曲を聞いてしまったのは私だけではあるまい。 鐘が鳴り響く「細川ガラシャ」、良い曲だった。

    1
    投稿日: 2024.12.09
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    東京で事件を追う女性刑事と、松山で学生時代の辛い思い出を振り返る仲間たち… #その時鐘は鳴り響く ■あらすじ 東京の路上で刺殺死体が発見される。赤羽署に勤務する女性刑事の亜樹は、初めての特別捜査本部で気合が入っていた。しかしバディを組まされた本庁刑事は、どうやら特別な事情を抱えた人物のようで捜査に苦労していた。 一方、愛媛松山大学の卒業生でマンドリンクラブに所属していた冴子と仲間たちは、久しぶりに寄り集まっていた。当時メンバーで合宿をしてた際、亡くなってしまった瞳と行方不明になっている圭一を思い出して… ■きっと読みたくなるレビュー キレイでいいお話… ちょっと泣きました。 本作は二つの視点で物語が進行していく。まず東京北区の赤羽署で女性刑事として奮闘する亜樹。とっても分かりやすい性格、正義感を丸出しの頑張り屋。真面目で優しく、みんなが応援したくなるキャラクター。 一方、何じゃコイツってのは本庁刑事の榎並。まるでやる気がない挙動に亜樹もイライラ。読者もイライラ。それでもこの二人の地道な聞き込み捜査が読み応えあるんですよ。二人の微妙な距離感にソワソワしちゃうし。 そしてもう一人の視点人物である冴子、もう若くない年齢の女性。学生時代の仲間たちとの再び交流を深めるんですが、今の境遇と若かりし頃の思い出の格差が何やら切なくってさー、私も同世代でして、青春時代を懐かしんでしまいましたね。 さてこの二人の視点、序盤から中盤あたりまでは繋がりがさっぱり見えないんですが、ある小道具をきっかけに一気に繋がってくる。進むべき道が明確になった頃には、亜樹と榎並の関係性にも変化が訪れ、物語の魅力が倍増していくんすよね。いやー、後半はエンタメマシマシの怒涛の展開、面白かったなぁ。 本作は実はかなり色々な要素を入れてるんですが、シンプルにすっきり書くのがお上手なんですよ。分かりやすいっていうのは読者にも伝わりやすいし、共感も得られやすい。この作品の強み自体はめっちゃ光ってるので、素晴らしい書きっぷりだと思いました。 そしてクライマックスですよ。物語の終盤、プロローグとエピローグ。きっと人生経験が豊富な人こそ胸に響く結末が待っていますよ。ええ話やった… ■ぜっさん推しポイント 冴子とこれから結婚する娘との会話が良かったなぁ~。使命感、責任感ってのは大事だし、誇らしいものだけど、柔軟性っていうのも生きていく上で重要なんすよね。 母の想いはしっかりと娘に伝わってるし、娘は自分の力で気づきを得られた。母娘ともに辛いことはあったけど、幸せになれる成果が出ていると思います。人生って、素晴らしいね。

    84
    投稿日: 2024.12.05
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    愛媛で起きた女子大生の転落事故と三十年後東京・赤羽で起きた殺人事件。これが繋がることは想定内で読んだけど、何せ余計な描写やエピソードが多くて辟易。 主人公は女性刑事の亜樹?ならば冴子の離婚絡みの娘のエピソードまでは要らないし、榎並の監察案件、警察スキャンダルも中途半端。 亜樹も、小説で女性警官が描かれる時にありがちな自意識過剰、被害者意識丸出しの直情的な女性でうんざり。 タイトルの言葉も、学生たちの合言葉的なんだろうけど取ってつけ感が否めない。 事件の解決も色々偶然が多すぎて萎えるし、全体的なまとまりに欠ける印象。 残念でした。

    3
    投稿日: 2024.12.05
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    いい時のまことさん! はい、ぜんぜん関係ないと思われていたふたつの事件が繋がります ネタバレごめん!ていや繋がるでしょそりゃ!( ゚д゚ )クワッ!! ぜんぜん関係ないと思われていたふたつの事件が関係ないまま終わる小説見たことないわ ただの二本立てだわ! なので問題は繋がり方なわけよ 鮮やかだったな〜 それになんかこう宇佐美まことさん特有の人の哀しみみたいな うまく表現できないけど誰もが持ってる感情が込められてる気がしたんよな そしてまぁしかし宇佐美まことさんの引き出しの多さよな〜 ほんとなんでも出来る 宮部みゆきさんに通じるところあるね 名前漢字+ひらがなだし よし向日葵めろんに改名しよう (なんでそこ行くか)

    66
    投稿日: 2024.12.05
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    途中から犯人のシルエットが浮かんできたが、登場人物達の様々な湧き上がる感情に押され、のめりこむように結末を追いかけた。マンドリンの調べと警察組織のリアルな現状が対照的だった。

    1
    投稿日: 2024.12.05
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    他の方の感想にもあるように、東京での殺人事件と、過去の女子大生転落事故がどう繋がるのか、わからないまま読み進める。 終盤、話が繋がっていって一気に真実へと近づく。 なんとも切ない…

    10
    投稿日: 2024.12.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    犯人のいた店の従業員が偶然住居知ってたり、 犬が証拠品をたまたま咥えたり、 ジャケットをホームレスが拾ったり、 都合がいいなぁと思った。 殺された女性と、人を埋めた犯人がもみくちゃになっていたなら、指紋とかついてるのでは? 人を埋めた家に、痕跡とか全くなかったのかなぁ。 殺されてしまった女性の友達の、娘さんの結婚式とか今回の大筋に全くいらない話。 老舗旅館のしがらみ?? いらんいらん。 女刑事が刑事になろうと思った過去… いらんいらん。ありきたりすぎて書いた必要性が分かりませんでした。 掴みどころがない、刑事と警察の不正。 数少ない熱血女刑事。 ありがちー。定番すぎるというか薄っぺらい。 事情を聞くために、捜査情報話しすぎでは? エピローグは必要ない中身だった。 そもそも、殺されてしまった女性たちのエピソード自体が長いし、現代の時間軸との話の間に、挟むたびに場面が変わって読みづらい。 話のボリュームを上げたいがために必要ないところまで肉付けしてる感じ。 そもそも、表紙を見て買ったら こんな繋がりがあったとは!みたいな、話くるかと思ったら死体を埋めてる場面に出くわしちゃったというオチだったので、期待してた分冷めてしまった。 資産家の妹の証言だけで生きてることになってたところとか、その妹と結婚したやつも最初強気だったのに急にペラペラ喋り出すし、物語進めるために強引すぎないか。 それに、最後犯人が捕まったらどうなったのか。 復讐する気持ちはわかる。ただ、証拠を残していって警察が辿り着くようにしてる?というのがよく分からない。 復習した理由を死体のそばに紙で書いたりしたやつを置いておけばいいのでは? 証拠を残す割には、住処かえたり、職場変えたり、逃げたいのか捕まりたいのかわからん。 結局犯人の人物像に共感できないというか、ほぼ一切出てこないのでどんなやつか分からん。 匂いが特徴的なのもひつこいぐらい書いてあるなー。 わかった。重要な事なのはわかったから、 もう少し簡潔にできないかなと。

    5
    投稿日: 2024.11.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    赤羽の路上での殺人事件と、30年前の友人の事故死を巡る大学マンドリンクラブのOB・OGの話。どこに接点がと思ったら、意外に普通だった。 最初の被害者がもう少し賢ければと思うと、愚かさは自分一人ですむ話ではないのだな。 警察内部の腐敗の話や、離婚したOG母娘の話がそれぞれに挟まれる。前者は真相を暴く過程で絡まなくもないものの、後者は必要性がよくわからない。人物に厚みを出すためかな。

    8
    投稿日: 2024.11.26
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    SL 2024.11.23-2024.11.25 東京の殺人事件と30年前の愛媛の転落事故が繋がるのが第八章。どう見ても共通の登場人物がいないのでどう繋がるのかと気になって次へ次へとページを捲る。 マンドリンクラブのパートは心揺さぶられる。宇佐美さんのこういうところが好き。 そして犯人を指名手配した時の亜樹の心情を読んでいるとなぜか涙が出てくる。 余韻の残る終わり方もまたいい。

    2
    投稿日: 2024.11.25
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    東京・赤羽で起きた殺人事件と30年前に愛媛県での学生の転落死、これがどう関係するのか? 全く予想出来ずに読み始める。 赤羽署の女性刑事・黒光が本庁から来た癖が強く何か問題ありそうな気配の刑事とコンビを組まされながらも粘り強く事件を追う。 かたや30年前に亡くなった女子大生と失踪した高木と同じ松山大マンドリンクラブのOGは、廃部になった部室の荷物を処分のため、仲の良かったサークルの3人で集まる。 そこで目にしたのは黒板に書かれた文字。 それを書いたのは…。 30年前の夏合宿での転落死を思い出した彼らは、その跡を辿る。 少しずつ確信に近づいていく刑事たち。 真相がわかったサークルメンバーたちの哀しみに言葉もない。 この事件と同時に警察内での過去の隠蔽もあったが、証拠がいつの間にか消えていて無かったことになっているという事実と30年前の転落事故死に対しての事細かな調書がそのまま残っていたからこその辿り着いた二重の殺人事件。 香りを嗅ぐことがなければ…思い出すことも…こんなことになることもなかったのだろうか。 復讐だと思いたくないが、しっかりと跡を残した悲しい復讐劇だった。

    58
    投稿日: 2024.11.16
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    一つの殺人事件から過去の出来事の真相が明らかになっていく過程が丁寧に書かれていて読みやすかったです せつないお話でしたが前向きになれる話でもありました。

    1
    投稿日: 2024.11.04
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    時間、場所とも全く異なる事件がリンクする瞬間が、まさに刑事達と一緒にガッツポーズをしたくなる。臨場感たっぷり。 ああ、そういうことだったのか〜という謎解きのカタルシスも大。 かつて大学のマンドリンクラブで活動していた彼らは多分私と同年代。 私もかつて大学時代におなじような音楽サークルで彼らのようなサークルべったり、かつ濃い人間関係の中で生活をしていたこともあって、 その頃の空気感もとても懐かしく思い出されたな。

    2
    投稿日: 2024.10.14