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まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書
まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書
阿部幸大/光文社
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総合評価

63件)
4.3
28
16
7
2
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    論文を書く必要性にせまり、この本をよんでみました。私のかく論文は人文系ではないので、どの程度、役に立つかわからないのですが、この本を読んだ後、やる気がわいてきました。内容は一部、難しかったです。

    1
    投稿日: 2026.03.16
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    幼馴染の友達からおススメされました。前半は論文を組み立てる方法をテクニカルかつ論理的に解説、後半は人文系研究の意義のような部分をより根源的に説明している。論文の価値はアーギュメントの良し悪しで決まるという主張を筆者はしていて、アーギュメントとは何なのか、どうやってアーギュメントの組み立て方を段階を追って解説している。そして、この筆者はよく研究でやりがち「先行研究でやっていないからこの穴を埋めるために研究します」みたいなGap spotting手法ではない研究の問いやアーギュメントの作り方を提示していた。私は先行研究や文献を読み始めるとその海に溺れて書き始められなくなる、情報の整理や批判、アウトプットが進まなくなる傾向があるので、この本はとても良い戒めになった。おそらく今後も論文を書くにあたり、逐一この本を参照するだろう。

    0
    投稿日: 2026.03.09
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    この本は弱腰な意見の表明を淘汰する。 人文学での論文の書き方、読み方について書かれているが、非常に面白かった。慣習や既存の見方を批評し、刷新するのが人文学の機能の1つらしい。私は自然科学分野の卒業論文しか書いたことがないので、未知を既知に変えるのが論文だと今まで思っていた。このライティング、リーディング方法は、クリティカルシンキングを鍛えるのにも良さそう。 何回読みながら、文章を実際に書いてみたい。

    0
    投稿日: 2026.02.19
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    引用と否定。Argument。著者が人文系の研究者であるため、自ずと人文寄りの論文の書き方にはなっているが、理工学系にも共通する内容に主眼は置かれている。通読の過程で書評を書いて、自分でその論文を要約することは書き慣れる良いアプローチ。イントロは冒頭部分、先行研究、argument 、synopsisの四部分からなる。

    0
    投稿日: 2026.02.02
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    書きたければ読め、読みたければ書け、を、科学的に解きほぐした一冊。 科学的であるので、再現性があるということである。 次回学術書を読むときは、ここで学んだ方法を試してみるか。 アーギュメントは何か、これだけを意識して読んでみる。

    1
    投稿日: 2026.02.01
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    「まったく新しい」と銘打っているが、中身を読めばわかる通り、言っていることの9割は15–20年前の英語圏アカデミック・ライティングの標準教本(Swales, Booth, Graff & Birkenstein, They Say / I Say など)の焼き直しだ。 ✌︎ アーギュメント中心主義 ︎✌︎ They say → I say のテンプレート ✌︎ 先行研究への「批判的引用」こそが価値を生む ✌︎ Introductionで全てを決める(CARSモデルそのもの) これらは「新しい」どころか、もう古典。阿部さんがやっているのは、これを日本語の人文学徒向けに極めて攻撃的に、かつ自信満々に再パッケージしただけ。 「日本でまだ本気で輸入されていなかったものを、かなり遅れて全力で輸入した」というのが正確。 まず、「人文学の論文に問いはいらない」という主張は極端すぎて有害そのもの。本書の最も目立つ(そして最もバズった)ポイントは、戸田山和久さんの『論文の教室』の「論文には問いが必要」という定説を真っ向から否定した部分。 確かに「問いありき」で形式的に書いてしまう学生は多い。でもそれを「問いはいらない」「主張(アーギュメント)だけあればいい」と極論化するのは、人文学の知的営みそのものを貧困化する危険がある。 人文学で本当に価値ある仕事の多くは、「良い問いを立て直す」こと、「問題の枠組み自体をずらす」ことであって、最初からクリアなアーギュメントを打ち立てることではない。阿部さんモデルに従うと、「問いを立てる段階」を飛ばして、いきなり結論ありきの論文量産マシーンができあがってしまう。 結果として量産されるのは「きれいな形をした、でも何も新しいこと言ってない論文」になる可能性が極めて高い。 また、アンパンマンでトップジャーナルを目指すというギャグは、実は最大の自己矛盾である。本書最大のネタでありウリである「アンパンマンは男性的な暴力装置である」系の極端な練習問題さん。 これを「どんなトンデモ主張でも、先行文献への批判的引用さえできればアカデミックな価値を持つ」と説明しているが、これは論理的に破綻している。 なぜなら「アカデミックな価値」とは、その分野の知のフロンティアを本当に1mmでも前に進めたかどうかで決まるものであり、架空の先行研究をでっち上げて批判しても、現実の知の蓄積は何も進まないからだ。 つまり本書が最も得意げに教えている「批判的引用による価値創造」のモデルは、練習段階では機能するが、現実の研究ではほとんど機能しない。これを学生に「これでトップジャーナルも狙える」と言い聞かせるのは、ある種の詐欺に近い。 「独学でトップジャーナルまで」という約束は、現実とあまりにも乖離しすぎている。筑波大助教の立場で「独学で世界のトップジャーナルまで」と豪語するのは、無責任過ぎやしないか。 トップジャーナルに通る人文学論文の現実は、 ✌︎ 査読者3〜5人の極めて主観的な判定 ✌︎ 何年にもわたるフィールドワーク・史料発掘 ✌︎ 指導教員・同僚との何十回もの議論 ✌︎ 学会発表での袋叩き経験 これらをほぼ全て「独学」「本1冊」で代替できると考えるのは、フィクションだ。 学生がこれを真に受けて「俺はこの本さえ読めば、Nature Human Behaviourも狙える」と勘違いしたら、相当な精神的ダメージを負うだろう。そんな人いないと信じたいが。 総括として、良い教科書ではあるが、「革命」ではない。結局この本の真の価値は、日本でアカデミック・ライティングの「主張至上主義」「批判的引用至上主義」を、初めてこれほど攻撃的に、体系的にぶち上げたこと。かなり多くの大学生に「論文ってこういうゲームなんだ」と気づかせたこと。 これらは確かに功績だ。でもそれは「新しい」からではなく、日本が遅れていたものを、ようやく大声で叫んだからに過ぎない。 「まったく新しい」というのは、単なるキャッチコピーでしかない。 むしろ「ようやく普通になったアカデミック・ライティングの教科書」と呼んだほうが、よっぽど正直で正確だと思う。 繰り返しになるが、中身は、英語圏ではもう15年以上前に終わった議論を、日本で一番大きな声で新しいと叫んでいるだけの書物だ。英語できない日本人をターゲットにしてカモにした感は否めない。 ……と、ここまで書くと、阿部さんには相当嫌われるだろうけどね。私は普段レビューをしないということで察していただければ。

    0
    投稿日: 2026.01.21
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    何度も繰り返しながらようやく読み終わった。 意外と普段から意識せずにやっていることが、そういうことだったのかと裏付けられたことも多かった。 正しい綺麗事だけでなく、本音がチラチラしているところも好ましく、良書であった。 人文科学だけでなく理系も含めてあらゆる分野で通用する普遍的マニュアルであるとも言えそうである。

    0
    投稿日: 2025.12.30
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    <OPAC> https://opac.jp.net/Opac/NZ07RHV2FVFkRq0-73eaBwfieml/AoSHoLZkSHhlyimLZE2WIGQe4vb/description.html

    0
    投稿日: 2025.11.14
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    大学の卒論以来やってきていなかった論文と向き合う必要が出たため手にとった。 論文の基本が全く分かっていなかったことを思い知りつつ、読み解き方、論文を論文たらしめるものが何か、を教えてくれた一冊。 これから論文を書いていくが、おそらく何度も読み直すことになると思う。読んで良かった。

    0
    投稿日: 2025.11.08
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    <OPAC> https://opac.jp.net/Opac/NZ07RHV2FVFkRq0-73eaBwfieml/AoSHoLZkSHhlyimLZE2WIGQe4vb/description.html

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    投稿日: 2025.09.04
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    学生時代、ゼミの先生からもらった、たった一言のアドバイスをもとに、四苦八苦しながら書いた卒論。その時、自力で試行錯誤した方法がここにあった。 たった一言、とはいえ、先生のアドバイスはなかなか的を射ていたのだと、数十年経ってあらためて感じた。ちなみに先生は、その後京大へ移り、教授になられた。 「書けないやつは読めてもいない」というのは本質で、書くためにはまず精緻な読み方を体得しなくてはならない。それにはなかなかの時間を要するが、逆にそこをしっかりやれば、その後の書く作業は、飛躍的に上達する。 本書ではその具体的なやり方がドリル形式で解説されるのだが、例文として著者がつくった「アンパンマン」を題材にした文章がなかなか面白かった。 現在は論文執筆とはまったく関係ない生活だが、機会があればまた書いてみたいなぁ、と思ってみたりした。

    21
    投稿日: 2025.08.06
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    まずは基本や型の習得、反復をしよう。テンプレを全活用することで、ひとまず「楽に」論文を書くことができる。でもその先に、「自分のやり方で」書けるようになってほしいーー。 実によくわかる方法論だ。文章を書くにあたって、(ある程度までは)センスも何も必要ない。テクニックにすぎない。だったら、まずは合理的に最短距離でテクニックを習得しよう。ようは「やり方」だ。 でも、そこで終わってはいけない。大事なのは、ここから。型を習得し、自分のものにできた先に、本当の自由がある。 だけで終わらないところが本書のすごいところ。手に入れた「自由」は何のために使うのか。その答えが実に素晴らしい。同感。というか、まったく同じことを考えていた。プロセスも、結論もほぼ同じ。思いを形にしてくれた気分。いい本に出合えた。 本書の内容を、こんな感じに言い換えられるかな。 本質にいきなり到達しようとはせず、まずは形式をうまく活用しとけ。いつしか本質が見えてくる。そして、見えてきた本質は「世のため」に使え。

    0
    投稿日: 2025.07.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    本文は、パラグラフライティグで。守りの文章。丁寧な論証が必要。 イントロダクションにすべてを込める。査読者はここで判断する。

    0
    投稿日: 2025.07.08
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    単なる論文の書き方を論じた本ではなかった。  発展編で論文の書き方を通じて人文学の意義について(「人文学という学問が公的機関において保護・支援されてよいのか」)も考察されていた。 「世界から暴力をなくしている」という著者の主張はなるほどと思ったが、費用対効果の観点から効果が明確でないため公的機関が保護・支援する必要性はないのではないかという反論がでてきそうな気がした。現状、一部にそういう空気感があるように思う(そういう空気感はなくなってほしい)。 あと先行研究における会話に参加するという説明があって、そういう感じでサーベイしてみようと思った。 とりあえず、論文の書き方については参考になった。

    0
    投稿日: 2025.07.01
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    書名にまったく偽りがない小気味の良い教科書。精神論やふわっとした語り方で、結局どうすれば良いかわからないということがなく、きちんと実行すべきハウツーがていねいに語られている。余計な配慮とか言い訳が一切ないので、読んでいて純粋に気持ちが良かった。 論文に限らずまとまった文章を書く人なら一読しておいて損はないと思う。

    2
    投稿日: 2025.06.29
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    流行りの本なので、読もうとと思っていたがなかなか読めずにいた。読んでよかった。 この本から学んだのはアーギュメントの概念、パラグラフの概念で、それが今まで受けてきた説明とは異なった。 これまでは私はパラグラフライティングを学ぶ立場でも教える立場でもあるのだが、AREA, OREOという構成で教えていたし、学習者としても学んでいた。しかし、このアプローチだと互いに意味的にマッチしないことがある。それぞれ独立したものとして、書き手が書いてしまい、トピックは関連したものの、どこか理由が噛み合わない。一貫性に問題があるライティングになりがちだった。 しかし、この考えを知っておくことで、一貫した英文をそれなりに書くことができるのではないかと思っている。機会があれば高学年で実施したい。 なお、私はこの書籍を探究の時間で紹介した。アーギュメントの考えは論文講読で必要な考えだと思う。

    0
    投稿日: 2025.06.21
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    研究者ではなく、論文を書く予定のない自分のような人間でも大変面白く読めた。 先に論文集『ナラティヴの被害学』の方を読んだので、その種明かしをしてもらった感じ。聞き慣れない「アーギュメント」が最重要なキーワードだったのか。 ・論文に問いは必須ではない、アーギュメント(主張)こそが大事。あとはその論証。 ・掲載誌のパラグラフを解析して研究すべし。 ・結論はアーギュメントを超越してよい。 ・論文が書けた後どうする?人文学の究極の目的は暴力の否定である。

    0
    投稿日: 2025.06.20
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    原理編、実践編でおなかいたいぃ…と思ってたら、第9章で思いもよらずうるッときた。「人文学の究極目的は暴力の否定である」と書き切れる本がこの世に何冊あるのか。抱きしめたい。

    1
    投稿日: 2025.06.18
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    この本自体は、出始めの頃にTwitterで話題に上がっていたのを見て、ずっと気になっていた。 そして、そこから少し経ったときアウトライナーの使い方という動画を発見し観てみると、わかりやすく、喋り方も好きで見入ってしまった。 詳しく調べてみるとこの方が『まったく新しい アカデミック・ライティングの教科書』を書かれている方だとわかり、ついに手を伸ばした。 自分は理系の学生であるため、人文系の論文がどういうことを目指しているのかというところを知れてとても面白かった。 さらに、自分の論文を書くために必要な考え方をたくさん学ぶことができた。 この本の存在が、そのままこの本に書いてあることの裏付けになっているのがかっこいい。

    8
    投稿日: 2025.06.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    keyword:論文,論文の書き方,アカデミックライティング,アーギュメント 「論文の書き方」みたいな本はたくさんあるが,この本はそれらとは違う.本当に「まったく新しい」という感じだ.この本には,論文の書き方というより論文を書くための考え方が載っている.(もちろん書き方も書いてある)そして,論文の読み方や論文とは何か,先行研究とは何か,まで書かれている.また,この本は読者のためにスモールステップから始めてくれている.「論文とは,ある主張を提示し,その主張が正しいことを論証する文章である」この一節から少しずつステップアップしていくのである.「論文とは何か」そんな問いにぶつかったときにはぜひ読んで欲しい一冊だ.

    0
    投稿日: 2025.05.27
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    論文と聞くと、きちんと書いた経験がないということもあり、かなり苦手意識を持っていたが、反証可能なアーギュメントをパラグラフライティングを用いて論証することである、という筆者の主張はビジネスの場でも通用する内容で非常に分かりやすかった。また、アーギュメントの作り込みや論文の読み方に関する演習、具体的にどの程度の引用をすれば良いかなどの指示もあり、論文に関するモヤモヤは取り払われた。

    5
    投稿日: 2025.05.18
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    単純な感想として、文章がとても読みやすい。書かれている内容は決して柔らかいものではないので、それにもかかわらずこれだけスルスルと読めてしまうのは、著書のパラグラフライティングの賜物なのだろうと思った。 そして、このパラグラフライティングは、紙の本よりも、ウェブ上の記事や仕事のメールや文書の記載時に真似すると有効だろうと感じた。 というわけで、このブクログの感想も、本書のパラグラフライティングを参考にして書いてみている。本書をもっと読み込んでパラグラフライティングを自分のものにしたいなあ。 それにしても若いのに大したものだなあ(本書に対する自信もすごいです。これは逆に若さのためかもな)

    0
    投稿日: 2025.05.15
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    すごく読まれていると以前から見聞きしていてすごく興味があったので買ってみた。 私の頭では一度では理解できなかった。 というか、書かれていることを実践に落とし込んで初めて意義がある本だと思う。 8章まで読むとアンパンマンを深く知ることができるのがまた面白いところ。

    0
    投稿日: 2025.05.08
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     論文を書くような大きな仕事は、そのレンジを把握できないため、中々一歩を踏み出すことができない。だが本書はその縁取りを露わにし、我々の背中を押してくれる。  この構造化の方法は様々なものに応用できる。国語の現代文読解にしても、物語を作るにしてもである。もちろん一辺倒の方法だけを信じ切ってやっていく危険性はあるが、ある視野を手に入れて物語を観察することと、その視野を相対化して再評価することを忘れてはならない。

    0
    投稿日: 2025.05.06
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    【序論】 著者は日本のアカデミアに世界レベルのアーギュメント提示力を最短で構築し、特に若手の研究者および実務家を通じて社会変革しようとしている。私自身も本書中で言及されている、いわゆる「レポート・論文作成指南書」を数冊読んだことがあるが、本書は方法論に留まらずアカデミックな態度そのものを問うている。 本文を読むと、著者が人文学は社会変革の力を持つと信じていることがわかる。その一方で、近年の人文学の価値軽視に対する強い危機感も伝わってくる。一般的なハウツー本の射程を越えてこうした主張を行う背景には、人文学は単なる「研究というゲーム」ではないという著者の強い思いと原体験があるのだ。そして、「まったく新しいアカデミック・ライティング」を大学生や若手の研究者およびビジネスパーソンをターゲットに展開することにより世界で戦える学術的体力を持つ世代を可及的速やかに育てようとする姿勢も垣間見ることができる。以下に、本書の引用も交えながらこれをまとめてみたい。 【本論】 < 究極目的は、人文学による社会変革の実現 > 著者は、人文学は社会変革の力を持つと強く信じ、実際に日本においてこれを実現させようとしている。これは、「実践編」と位置づけられる第9章「研究と世界をつなぐ」と第10章「研究と人生をつなぐ」の内容から伺うことができるが、総じて著者は論文による社会変革、特に「暴力の否定」を人文学の究極目的のひとつであると述べている (p. 138)。そして、「論文を書くとは、世の中になんらかの新しい主張をもたらし、それを説得的に論証することで、人々の考えを変えようとする行為にほかならない。」(p. 150)、「人文学とは本質的にポリティカルな営為である」(p. 151) とまで言い切っている。一般的なアカデミック・ライティングの指南書であれば第8章までのノウハウで十分にその価値を全うしているが、こうした一般的には "付録" に過ぎないとも捉えられる著者自身の主張が、著者の本書執筆の動機とも言える内容が鋭い筆致で書かれているのだ。つまり、「論文というのは究極的には手段にすぎない」(p. 130) と自ら述べているように、本書もまた究極目的たる人文学による社会変革実現の手段に過ぎないと言える。 < 研究に内発的動機を与えよ > こうした著者の主張の背景には、著者自身の原体験・内発的動機があり、さらにそのような内発的動機づけを研究にも適用すべきであると勧めている。もともとは日本の大学で研究を行っていた筆者であるが、「日本の大学教育ならびに学術界(アカデミア)のカルチャーに限界を感じた」(p. 9) と述べているように、日米の論文執筆における態度やその質的差異、そしてジャーナルの論文採択基準を身を持って体験するなかで、論文観そのものが変容していった過程を本書の随所から読み取ることができる。実際に、著者自身の過去の論文観への自問自答─村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』 の「作品論」を論じていた過去の葛藤─を踏まえて、以下のような著述があった。 「問題は、わたしたちは人文学というゲームの価値を無批判に前提しており、そのゲームをうまくプレイすることがすなわち研究者である自分の価値の証左であると錯覚しているのではなかろうか」(p. 133-135) これは、著者が日本のアカデミアの態度に疑問と危機感を覚えたことの現れと言えるだろう。 狭い範囲の「ゲーム」ではなく、社会変革を見据えたアーギュメントを提示するべきだ─これこそが著者が読者に問うているテーゼであるが、 第10章では研究に対するモチベーションについて言及した上で、「自己から湧き出るリサーチ・クエスチョンが重要」であると述べている (pp. 144-149)。「世界から暴力を減ら」す (p. 139) ことを人文学の価値のひとつであるというのが著者の主張であり、私もこれに同意する。このような目的において、自らが社会的マイノリティであったり、何らかの弱者性を持つ立場であればアーギュメントは自ずと鋭いものとなる。一方で、「なんとなく」テーマやテーゼを立てている研究者には、内発的動機づけを勧める。著者は、千葉雅也『勉強の哲学』における「欲望年表」の作成と、自己の内発的動機と研究との接続を推奨している (p. 147)。 < 新しい世代を可及的速やかに育てる > このような著者自身の内発的動機に裏付けられた人文学の価値を、著者は大学生や若手の研究者およびビジネスパーソンをターゲットに展開することで、世界レベルで戦える学術的体力を持つ世代を育てようとしている。そもそも、本書は学部レベルの研究初学者や若手研究者を対象に書かれているが、「本書が提示するアカデミック・ライティングのルールと価値観、いわば論文観は、現在の日本の人文系のアカデミアにおけるカルチャーにそぐわない部分がある。」(pp. 9-10) と明記されている。なるほど、確かに既に自らの研究作法が確立された中堅・ベテランの研究者に「まったく新しいアカデミック・ライティング」を実装することが困難であることは想像に難くない。まだスポンジのようにアカデミック・ライティングの作法を吸収できる段階で、社会変革性のあるアーギュメントを立てられる力を涵養することが重要なのである。事実、本書は全国の大学生協で1位の売上 (https://book.asahi.com/article/15620332) であり、大学生に売れに売れているのだ。上述した記事中で筆者自身も「大学生に読まれるのがいちばん嬉しい」と語っている。「本書は、『研究』のスタート地点に最短で立つためのガイド」(p. 10) という記述や、大学で教鞭をとる研究者にはまだまだ珍しい個人の YouTube チャンネルを通じて情報発信を行っていることからも、彼が、可及的速やかに「うねり」を起こそうとしていることが読み取れる。 【結論】 本書は、一介のレポート・論文指南書を越えた人文学の価値を再発見するための入門書であり、希望の書である。人文学には社会変革─特に暴力を減らすこと─を実現する力がある。それは、社会が人々の営為であることからも明らかであろう。人には、その暮らしの中で何かしらの不満や不都合や不便があるものである。しかし、それは決して平等ではない。いつの時代にも、直接的・間接的な暴力によって虐げられている人々─特に社会的マイノリティ─が存在する。公民権運動、フェミニズム、クィア─社会が無自覚にふるってきた暴力性を減らしてきたのは人文学の力であった。 (もちろん、科学の力も人々に多大なる幸福をもたらしてきた。) 人々が自分自身に感じる非合理や他者に与えている暴力性に目を向け、内発的動機に基づいて社会を少しでもよりよく変えていくためには、新しい世代を可及的速やかに育てる必要がある。しかし、これは若い世代に限った話ではないだろう。いつだって、遅すぎることはない。 本書を読んで、自分がなぜアカデミアと人文学に惹かれるのか─経済論理だけでは捨象されてしまうものへの憧憬─が言語化されている感覚を覚えた。田舎で生まれ、世界の狭さを感じながら育ち、不条理なことに疑問を抱きながら、もっと知りたいという欲求に駆動され今に至るが、本書は似たような境遇にいる方には (論文執筆そのものには興味はなくとも) きっと共鳴するところがあると思う。 この文章は本書で語られていた手法をもとに書いてみたが、まだまだ拙く理解が及んでいない部分、著者の解説をうまくテキストに反映できていない部分、そしてアーギュメントそのものが間違っている可能性も大いにあるだろう。しかしながら、カール・ポパーが言うように「反証可能性」こそが社会をよりよくする希望なのだ。

    0
    投稿日: 2025.04.28
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    初学者が独力で学術論文を書く方法を指南する本。 ただし人文学系のレポート、論文を念頭に置いている。 書くまでに必要な作業は以下のような感じ。 (なお、以下はメモを作って、先行文献や資料を集めて詠み込んで…という作業は行ったり来たりするのだろうから、単線的な「手順」というのはふさわしくない) 1 論証が必要な命題である「アーギュメント」を作る 2 アーギュメントを鍛える 3 メモからパラグラフを起こす 4 先行研究のフォーマットを研究し、パラグラフ解析をする 5 抽象度を調整し、必要な情報を組み合わせて論証する「長いパラグラフ」を書く 6 先行研究を批判的に引用し、自分のアーギュメントのアカデミックな価値を示す 7 研究の応用可能性を説く結論、イントロを書く *イントロにはアーギュメント、先行文献の批判的な引用を通して示すアーギュメントのアカデミックな価値、論のプロセスを示す「シノプシス」を含める 「まったく新しい」と銘打つだけのことはあって、これまでの類書にはない、明快な印象を受ける。 例えば、参考文献はどれくらい読むべきかについて、ジャーナル程度のサイズの論文なら、30~40本、と示してある。 論文投稿を目指すなら、徹底的に狙う媒体に載っている論文のフォーマットを研究すべきという。 できればその媒体に複数の論文を載せている著者のもの、なるべく新しいもの、フォーマットを厳格に守る傾向が強い若手研究者のものを選べ、とアドバイスは具体的だ。 パラグラフ解析は、自分でもやってみたいと思った。(まあ、やってみるときっと、これってどう考えたらいいの?と困惑することは目に見えているが。) ただ、ひとたび本を置くと(出た、自分のいつものパターン!)、いや、初学者(本書の対象には講義で課されたレポートを書く大学生も含まれている)にとって、アーギュメントの価値を判断できないんじゃないかとか、そもそもアーギュメントを作れないんだって、とか言いたくなってくる。 そこはやはり大学の講義で繰り返しトレーニングして体得するところなんじゃないかなあ。

    0
    投稿日: 2025.04.20
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    まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書。阿部幸大先生の著書。アカデミック・ライティングは難しい。アカデミック・ライティングは奥が深い。頭が良くて成績の良い学生でもアカデミック・ライティングを身につけていないことが多い。アカデミック・ライティングを身につけるだけで評価が上がることだって多い。アカデミック・ライティングを学べる良書。

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    投稿日: 2025.04.20
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    コンサルの仕事の中での論理構築に役立つかと思ったが、論文を書くわけではないので途中で読むのを止めた。「アーギュメント」という言葉を使っているが、MBAで出てきた「イシュー」と同義と捉えられるし、1パラグラフ1メッセージは1スライド1メッセージだろうし、通じるところはやはり多々あった。

    0
    投稿日: 2025.04.19
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    論文とはどう書くのが正解なのか。 人文社会科学系の研究の手法を明確にしてくれる好著。 仮説にこだわりすぎなくてよいのは少しホッとする。 こういう考え方もアリなのね。というかスタンダードなのね。 アーギュメントの価値については特に印象に残った。 アーギュメントはアカデミックな価値を持たなくてはならないということ。当たり前なんだけど、はっきり言いますね。アーギュメントにアカデミックな価値がないかぎり、論文として成立しないというところも、サクッと本質に切り込んでいて気持ちいい… だから、論文とは、アーギュメントを提出し、それが正しいことを論証するもの。 アンパンマンで例文が書かれているのが、今時(朝ドラね)でなんかちょうどよい笑 パラグラフの分量にまで言及してて、親切。 これなら書ける、という人多いのでは。突き放してなくて(つまり偉そうでなくて、手を差し伸べてるところが)とてもいい。千葉雅也が推薦するのも納得です。

    20
    投稿日: 2025.04.14
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     具体的に論文やレポートの書き方を教えてくれ、さらに、人文学とはなんのためにあり、研究とはなんのためにするものなのかまで語りかけてくる熱い内容。今年の研究発表は、この本を適宜参照しつつ取り組んでみようと思います。

    1
    投稿日: 2025.04.13
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    率直に、私には難しすぎました。 「書けないやつは読めてもいない」は、まさにその通りだと感じました。 ただ、論文を書くための考え方はよく分かりました。

    1
    投稿日: 2025.04.07
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    読了 論文を書こうとしている学生にとても参考になる 教える方も、ネタとして、エッセンスとして、必読書だろう

    0
    投稿日: 2025.03.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    単なる参考文献や章立ての方法ではなく、実際の文章の書き方である。結構売れている本である。アーギュメント(意見)を中心にしてどのように書けばいいのか、ということや査読論文の方略まで書いている。大学院生に最適である。文系向けということであるが、教育学部でも役立つであろう。ただし、レイアウトの形式が非常に読みにくく、古色蒼然であり、国文学部の論文の書き方の本のようである。理系のためのアカデミックライティングの2色刷りの本と比較すると雲泥の差である。そのために、文学部以外の学生として、教育学や社会学に関連する学生は敬遠してしまうかもしれない。

    0
    投稿日: 2025.03.23
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     おそらくこれが役に立つのは、院生以上かと思います。入門者ではなくて、既に論文を書いて躓いた者にとって最良の参考書。

    1
    投稿日: 2025.03.10
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    人文系の論文やレポートを書く人のための、アカデミック・ライティングの教科書。ちょっとした演習を途中にはさみながら、読んでもらえる論文を書くコツを示している。若者(?)には読みやすい文体で、スラスラ読むことができた。 それだけでなく、人文学の研究と世界、研究と自己とのつながりについても考察を促すよう述べており、論文執筆のモチベーション強化(あるいは維持)を勧めている。こちらの方もこの本の価値を高めているように思う。

    1
    投稿日: 2025.03.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    すごい。教本なのに面白かった。 アカデミックライティングの教本を他に読んだことがないため比較はできないが、非常にわかりやすく丁寧で論文執筆へのハードルが下がったように感じる。演習編には解説も含まれているため取り組みやすく、パラグラフ内の一文一文がどのような役割を持っているのかを考える作業はとても楽しい。 個人的には9章・10章の内要に感銘を受けた。研究の存在意義、自分はなぜ研究をするのか、それらの答えを持つことは研究を行う者として大切なことであり支えともなるんでしょうな。

    1
    投稿日: 2025.02.24
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    物性研の所内者、柏地区共通事務センター職員の方のみ借りることができます。 東大OPACには登録されていません。 貸出:物性研図書室にある借用証へ記入してください 返却:物性研図書室へ返却してください

    0
    投稿日: 2025.02.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ◆著者インタビュー(好書好日 2025.2.13): https://book.asahi.com/article/15620332

    1
    投稿日: 2025.02.16
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    文系の論文の型が気になっていたことと、話題だったので手に取ってみた。 内容は平易ではないが、興味深かったり、目から鱗の記述が多く、新しいという書名を体現していると感じられた。 難しすぎると感じたら、後ろの9章から読んでみるといいかもしれない。

    1
    投稿日: 2025.02.05
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    学問にかかわるすべての文章を書くために必要なテクニックや考え方を実践的に紹介した本。演習もある。 論文は反証可能なアーギュメントを持ち、受動態ではなく、他動詞で書く、という前提を知ることができた。一文一文の分析のしかたなども書かれており、実践的に思う。

    1
    投稿日: 2025.02.04
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    巷で話題の本なので、買ってみた。自分のためだけでなく、学生の子ら三人の誰かの参考にもなるかもしれないという下心もあり。

    2
    投稿日: 2025.01.24
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    2025年1月18日読了。SNSで話題になっていた本を購入・読んでみたがなるほど…!冒頭から提示された「謎」がピタピタと検証されていく快感を味わい、さらに終盤には謎を超えて「人類全体への価値」に向けてメッセージが昇華していき、かつ著者の個人的な体験や問題意識についても共感を得られる…という、極上のミステリ小説の読後感を超えた「すごいものを読んだ…!」という読書の喜びを得ることができた。かつ、「いかにして論文を書くか」という自分を含めた初学者の悩みにも精神論でなく実践的に答えうる本と感じる。すぐれた本というものは、「なんで今まで誰もこんな本を書かなかったんだろう」と疑問に思うほどに普遍的なメッセージを含むものなのではないだろうか。

    7
    投稿日: 2025.01.20
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    論文を書くにあたっての理論がまとめられていて、本当に助かる。文章に関しての見識も深めてくれる一冊だと思う。

    1
    投稿日: 2025.01.19
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    まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書 著:阿部幸大 アカデミック・ライティングとは、論文を書くための方法論である また、論文とはなにかを、何度も深堀を繰り返し、ブラシュアップする その本質を明らかにするための長い旅のような書である <アーギュメントをつくる> ■ルール1:論文は、アーギュメントをもたなくてはならない 定義:アーギュメント:論文の核となる主張内容を一文で表したテーゼである 定義:テーゼ:論証が必要な主張である 「論証を要求する」を満たすためのシンプルな方法論とは、アーギュメントを、「この論文は~を示す」という構文で書くことである ■ルール2:アーギュメントは、論証を要求するテーゼでなくてはならない ■ルール2´:アーギュメントは、反論可能なテーゼでなくてはならない 定義:アーギュメントを鍛える。それは、「AがBをVする」という形式の文に落とし込むことである これを他動詞モデルとよぶ ・論文とは、あなた個人の主張を提出し、それを論証する責任を負う 読者は、あなたのアーギュメントにかならずしも反論しないが、ともかく、そのアーギュメントが十分に論証されたと考えるまでは、その意見を受け入れることはない ・論文とは、アーギュメントを論証する文章である <アカデミックな価値をつくる> ・アーギュメントの価値の内実を正確に言語化する必要がある ■ルール3:アーギュメントはアカデミックな価値を持たなくてはならない ・論文とは、アーギュメントを提出し、それが正しいことを論証する文章である ・論文には問いが必要である。  第1:その答えがアーギュメントと呼べる主張になっていること  第2:そのアーギュメントにアカデミックな価値がないかぎり、論文は論文として成立しない ・だれも話していないトピックについて、イキナリアーギュメントを提出してもダメである ・他人の意見を引用しないかぎり、自分のアーギュメントにアカデミックの価値があるということを示すことが構造的に不可能である ・論文はつねに、一種の反論として書かれる ■ルール4:アカデミックな価値は引用と批判によってつくられる <パラグラフをつくる> ・論文には、イントロ、本文、結論とうい3種のセクションがある ・パラグラフは論文執筆においてもっとも重要な単位である ・論文は飛躍せずして、飛躍しなければならない  飛躍をともなうアイデアでなくてはならないが、その飛躍は論理によって解消されなくてはならない 定義:パラグラフの重要な点  1)一つのパラグラフは1つのトピックについて書く  2)パラグラフは冒頭のトピック・センテンスとそれを支えるリポート・センテンスからなる ・トピック・センテンスとは、小さなテーゼである 定義:トピック・センテンスにおかれるテーゼを、パラグラフ・テーゼ、と呼ぶ ■ルール5:パラグラフは冒頭にパラグラフ・テーゼを持たなければならない ・飛躍のないもの、それは、ファクトと、ロジックである ・パラグラフ・テーゼをつくるさい、メモに書かれているファクトをロジカルに組み合わせれば論証できそうなテーゼを捻り出せばよい ・パラグラフとは、パラグラフ・テーゼを事実と論理によって論証する単位である <パラグラフを解析する> ・執筆力よりも読解力のほうが高い。ようは、書けないやつは、よめてもいない ・わたしたちは、書いたそばから、それを読者として読み、出来不出来をジャッジして、修正しながら、書き進めていく ・自分で良く書けているとおもった文章を実力者に批判される、といった経験を積むことが極めて重要になる ・論文を、書くまえに、もっと分析的な読解力を身につける必要がある 定義:プラクティカルなリーディングの方法論、テクニックの総体を、アカデミック・リーディングと呼ぶ ・初学者の文章は、  1)パラグラフの平均的な長さが短く  2)パラグラフの総数が多い ・パラグラフが短いということは、そのパラグラフで提示する、パラグラフ・テーゼの論証が不十分であることを示唆している ・段落が多いということは、ひとつの論文で提示する、パラグラフ・テーゼの数が多すぎるということを示唆している ・このためには、もっと長いパラグラフを書ける必要がある ・ハイヨのパラグラフ解析の手法は、センテンスを抽象度に応じて1から5までのレベルで分類する  レベル1とは、完全に純粋なデータ、エビデンスであり、抽象度ゼロのファクトだ  レベル5とは、もっとも抽象的で、一般的で、理論的な言明である ・抽象度によるパラグラフ解析は、どのレベルの記述にどのくらい字数を割いているかを、数値化、可視化する作業にほかならない <長いパラグラフをつくる> ・プロの査読者は論文を評価するとき、冒頭を読むだけで採否をほとんど決定している ・ここでの困難は、遭遇した情報を記録して文章に盛り込むという一連のプロセスにある  細部を積み重ねてゆくことでこそ、一文一文のもつ情報量が増える。  文章全体の重厚さは増し、あなたの文章は、そのトピックに精通している専門家のそれへと接近していく  それはつまり、読者の信用を生むということにほかならない ・トピックについて、メモをとっている過程で、いままで、スルーしていたがパラグラフに盛り込める可能性のありそうなデータを片っ端からメモする ・レベル4の記述は、ファクト・観察・解釈からレベル5のテーゼへの接続、つまり、具体から抽象への接続の役割を果たす  文章がファクトの羅列ではなく、筆者の思考のプロセスであるという印象をうみだす ・実際に、パラグラフを執筆していて、もう一文必要な気がするが、なかなか出てこない、というときは、たいてい、レベル4の記述で迷っているケースである ・当該パラグラフの論証が十全になされたかどうかという読書の印象を、その一文は大きく左右することになる ・調べものをしながら、どのようなメモをとっているのか、どういった細部について調べたのかなども、参考になるかもしれない ・パラグラフを書けるかどうかが、論文を書けるかどうかを左右する <先行研究を引用する> ・論文はかならず、引用を必要とする。先行研究への言及は構造的に必要不可欠なのだ ・読むことと、引用するすることには距離がある。読んだからといって、引用できるわけではない ・論文を読む、とは、まずなによりも、アーギュメントを発見することにほかならない  アカデミックな文章においては、内容を読むだけではなく、テーゼを発見しなければならない ・そのためにどうするか  まず、アブストラクト(要旨)がついていたら、それを精読してほしい  アブストラクトがついていなければ、第1に確認するのは、イントロダクションであり、第2に確認するのは、コンクルージョン(結論)である ・アーギュメントがなんたるかを正確に理解していなければ、そもそも、アーギュメントに該当する箇所を読んでも、それがアーギュメントであると判断することができない ・アーギュメントを見つけたら、自分の言葉で、パラフレーズし、それを書き記せ。それは、どういう論文だったか、という問いに、一文で答えを出すための読解方法だからだ ・先行研究をみずからの議論に組み込むという目的の達成にあたっては、本文を通読する必要などまったくない ・研究書を手に入れたら、最初に読まなくてはならないのは、裏表紙である、裏表紙には推薦文と、著書自身がかいたアブストがある。ここから、書籍全体のアーギュメントを抽出しよう <イントロダクションにすべてを書く> ・論文はイントロダクションがすべてである。  1)イントロダクションにはその論文でやることのすべてを書かなくてはならない  2)査読者はイントロを読んだ時点でその論文の評価をほぼ決定してしまうので、イントロですべてきまってしまう ・イントロがダメならその論文はダメだといえる。 ・イントロの3点セット  アーギュメント  アカデミックな価値  シノプシス(第1節で、Aを述べる、第2節で、Bを述べる、……) ・シノプシスは、イントロの最後に置かれる。シノプシスに1パラグラフを書くことを推奨する ・アーキュメントを詳述するパラグラフを1つ用意する  アーギュメント・パラグラフでやることは2つ  1)アーキュメントの真意を伝えるために必要かつ十分な周辺情報や文脈を盛り込む  2)抽象度や視点を変えながら、アーギュメントを何度か、パラフレーズする ・アーギュメント・パラグラフと、アブストは、ほとんど同じものである ・イントロダクション冒頭についてのポイントは親切さである  過剰なくらいていねいな説明を盛り込み、親切な導入を書く  それは、この論文は面白そうだと思ってもらうこと 親切な冒頭のアプローチは、大きな見取り図からのズームインである ・冒頭のもうひとつのアプローチ、意外な冒頭は、驚きだ。読者の意表をつくことでその心をつかむ。そのアプローチは、細部からはじまってズームアウトしていく ・イントロは、冒頭部分、先行研究パラグラフ、アーギュメント・パラグラフ、シノプシス・パラグラフの4つの要素からなる <結論する> ・コンクルージョン(結論)の重要度は、イントロや本文よりも低い ・結論とは、議論の要約ではない  要約:議論の全体を圧縮したもの  結論:総和の外縁を閉じることで議論を終わらせること ・コンクルージョンはイントロのアーギュメントよりも高い位置にある ・コンクルージョンでは、その論文内で、論証が不可能かつ不必要な大アーギュメントによって、イントロのアーギューメントを超える ・結論ではあなたの議論の応用可能性に言及せよ。 目次 はじめに 原理編  第1章 アーギュメントをつくる  第2章 アカデミックな価値をつくる  第3章 パラグラフをつくる 実践編  第4章 パラグラフを解析する  第5章 長いパラグラフをつくる  第6章 先行研究を引用する  第7章 イントロダクションにすべてを書く  第8章 結論する 発展編  第9章 研究と世界をつなぐ  第10章 研究と人生をつなぐ 演習編 あとがき ISBN:9784334103804 出版社:光文社 判型:A5 ページ数:176ページ 定価:1800円(本体) 2024年07月30日初版第1刷発行 2025年01月20日初版第8刷発行

    22
    投稿日: 2025.01.11
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    恥ずかしながら50代も半ばを過ぎてから大学院で学ぶべく、入学は許可されたものの、来春から途方にくれないかソワソワしていたところに日経新聞に紹介されて急いで手に取った。著書の中で参照されている「論文の教室」を支えに取り組もうとした甘い考えが早めに打ち砕かれて良かった一方、本書は一度では消化しきれなかった為、繰り返し精読をしたい。

    1
    投稿日: 2024.12.29
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    論文とは何か?「ある主張をし、その主張が正しいことを論証する文章である」とされ、この主張のことをアーギュメントという。このアーギュメントを述べるために、論文は書かれる。その点を軸に語られる論文づくりの説明がとても興味深かった。論文を書かなくても何かに応用したい気持ちが芽生えてくる。 本書の半分以上をパラグラフの分析に費やし、いかにこのアーギュメントを論証していくかについて一冊通して理解を深める。反論可能だからこそ、主張はアーギュメントたりうる。 アーギュメントは飛躍しており、だからこそその飛躍を論理的なパラグラフで埋めていく。これが論文だと言われる。 引用されていたヘイヨットの抽象度についてのグラフの話は、論文に限らず活用できそう。抽象度が低い順にレベル1〜5まで、パラグラフ内の文章を分ける。抽象度の高いレベル5がアーギュメントとなり、それを論証すべく、レベル1〜4の文章で補い、最終的にU字型(5→1〜4→5)となるパラグラフが完成する。 何かを説得する時の話し方や資料作りにも繋がる考え方なのだろうな。半分以上パラグラフ分析で構成される本であることも新鮮な感じでそこにも面白さを感じた。「原理→実践→演習」で構成されるこの目次自体も論文構成のメモの機能を果たしているように見えてくる。 あと帯の読書猿さんの「韜晦」という単語を恥ずかしながら初めて知った。

    1
    投稿日: 2024.12.11
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     文学部出身で、今では「かならずしも研究対象を文学作品に限定する必要はないと気づき、あらゆる言説が分析対象」(p.139)になっており、日米文化史の研究者と名乗る著者による、人文系の著者による論文の書き方を指南するもの。最終的には人文学研究の意義とは、研究者として生きるとは、といった大きい話まで含んでいる。  若い研究者らしく鋭い指摘、頭キレキレ、勇ましいといった感じで、良い論文を書くために「必要となる条件を、徹底的に要素分解し、極限までプラクティカルに解説」(p.7)することで、日本の「現在の大学教育がうまくカリキュラム化できていない」(p.8)状況に「終止符を打」つとともに、「日本の学術的なカルチャーに精通した著者がアメリカの研究スタイルを輸入することで日本の人文学の刷新を目論んで」(p.11)書かれている。  研究者を育てる、ということが目的の本としては、おれが16年以上前に読んだ英語史の専門家による『文科系ストレイシープのための研究生活ガイド』という本があったが、もう内容は忘れてしまったが、ブクログのおれの感想を読む限りでは、たぶんそれとは全然違うものなのだと思う。とにかく早く論文を書く、たくさん書くために、まず論文=「アーギュメントを提出し、それが正しいことを論証する文章」(p.31)と定義し、アカデミックな価値があるアーギュメントの設定の仕方と、そこから始まるパラグラフ・ライティングの方法について、演習問題も入れながら具体的に解説している。目的ではなく手段としてのパラグラフ・ライティングの指南書。  確かにこの本におれも大学生の時に出会っていたら、その頃ちょっとは大学院で研究、みたいなことも考えていたから、論文を書いてみようかなという気がもっと起きたかなと思う。さらに、学部生の時にやってしまった若気の至り(それはおれが学部生の頃に書いているこのブクログの感想にも表れているが)の例もたくさん載っていて、こういう本欲しかったなあと思う。「あなたは自分の意見に価値をもたせるために、だしぬけに奇抜なことを言っても無駄である。それは面白そうではあっても客観的には価値評価できない意見として宙に浮いてしまう」(p.33)とか、学部生の終わりの頃にこういう感じのレポートをいくつか書いてしまった気がする。そして、「辞書学」という授業のレポートで偉そうに自信満々で奇抜なことを書いて、「可」という評価だったのをもらって、なんか恥ずかしかった。「論文の主張を否定することは、どんなに無知な者にでも可能な捜査である。だからそれは濫用すべきではなく、わたしたちはなぜ先人の知見を否定・批判することが重要なのかをきちんと説明する責任がある。」(p.35)という態度をもっと理解しておくべきだった。  あと本当にプラクティカルだったのは、「ワンパラグラフ・ワントピックの法則」(p.48)というのは高校でも指導することだけど、ということは「いいかえれば本文全体においてパラグラフとトピックの数が一致するというルール」(p.48)という、全く当たり前だけど、そこまで長い文を書く指導をしたことないので、目からうろこだった。  あとはおれは研究者ではないからふーん、っていうところのメモ。「『ある文章が研究とみなされるか否か』という大きなコンセンサスが数十年単位でゆっくりと、しかし根本的に、変化してゆく」(p.62)というのは、そうなんだ、って感じだった。あと一文に細部を盛り込む、というのは確かにやることかもしれない。「これは姑息な字数稼ぎだと思うかもしれないが、まったくそうではない。こうして細部を積み重ねてゆくことでこそ、一文一文のもつ情報量が増え、文章全体の重厚さは増し、あなたの文章は、そのトピックに精通している専門家のそれへと接近してゆく。それはつまり、読者の信用を生むということにほかならない。」(p.79)らしい。そして先行研究の読み方、どう引用するのか、という話もあるが、「多くの初学者は文章を丁寧に通読して、自分が気になった鋭い洞察をふくむパッセージを好意的に引用したり、あるいは瑣末なミスを批判したりすることが引用だと考えている。」(p.96)って、まさにおれがこのブクログでやってることだよなって思った。別にこれは論文でもなんでもないんだけど。確かに学部のレポートでもそんなことをやったと思う。「同意するにせよ反論するによせ、アーギュメントをダイレクトに議論に組み込むのがもっとも誠実な引用の形式」(同)ということだそうだ。あと面白かったのは、「結論セクションで提示するテーゼは、論証に論文1本を要したアーギュメントよりもデカくて十分に論証などできない。にもかかわらず、あなたはそれを結論で書いてよいのである。つまりそこでは、あの『飛躍』というタブーが許容される」(p.119)って面白いなあと思った。結論って前に述べたことを要約して繰り返すだけじゃないんだ、って思った。  あと文学の研究ってほとんどおれは知らないのだけど、これを読んで日本の文学研究の「作品論」がどんな感じなのか、というのを知った気がする。「作家に、作品に、真摯に向き合わなくてはならない。精読あってこその文学研究である。こうした考えは、いわゆる『文芸批評』と交流・合流しながら発展してきた日本の文学研究の伝統」(p.137)らしい。でも確かに作品論って、「一歩引いて眺めてみれば、『作品をこんなふうに面白く読めますよ』という、すこしばかり気の利いた解釈の提示にすぎない」(p.134)という、でもこれが文学研究できる人って頭良いなあって昔から思ってたけど、確かにこれが何のための解釈の提示なのか、という部分が重要、というのもよく分かった。そして人文学の意義としては、著者なりの答えが示されていて、どうしても鵜呑みしそうになってしまうが、たぶん研究者なら自分なりの答えを出さないといけないのだろうと思う。最後に英語の教員として役に立った部分は、「英語論文に特有の問題だが、現在の英語圏のアカデミック・カルチャーにおいては、アーギュメント・センテンスをhow節で書くことが一般化していおり、この第一文もその例である。」(p.167)ということで、This research shows how SV.という形は結局I argue that SV.と同じ、というのは、「状況のhow」を教える時に言及してもいいことかなと思った。  帯には「東大・京大で1番読まれている本」とあって、なんかこういう文言が逆に安易な感じがして(というのはおれがあまのじゃくだから?)ちょっとイヤだけど、でもやっぱりここまで実際的、実用的に書かれた本というのも初めて読み、おれも大学生の時に出会いたかったなあと思うとやっぱり良い本だと思う。文学研究で大学院まで行っているうちの学校の何人かの先生たちだったらどういうのか知りたい。あと、p.147あたりで紹介されている千葉雅也の『勉強の哲学』の「欲望年表」ってどんなんだろ、って興味が湧いた。(24/12/09)

    1
    投稿日: 2024.12.09
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    一部でもてはやされていたミステリ方面は一切ピンときませんでしたが、論文を書くにあたって必要な構造の部分を明快に紐解いていて、「人文学の研究の目標は世の中を良くすること」という話も大変よかったです。ちょっと論文書きたくなりますね。

    1
    投稿日: 2024.12.08
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     レポートの書き方が分からず、やりたくなくて後回し。提出日に急いで仕上げ、出来たは良いがゴミレポート呼ばわり…そんな負のループから抜け出すヒントが、本書には詰まっています。論文の核「アーギュメント」という概念を軸に、先行研究との付き合い方や実際の論文執筆、また研究人生に至るまでを、華麗に乗りこなしていくスキルが解きほぐされているのです。しかし、本書の魅力はそれだけではありません。もちろんそれらのスキルも魅力的なのですが、鮮やかに言語化された本書の文章そのものが、これからレポートや論文に向き合う私たちに、大きな力を与えてくれます。何度読みかえしてもおいしい教科書を、ぜひお試しあれ。  また、本書の刊行時にCEGLOCで開催された、阿部先生のワークショップの参加体験記を、以下のリンクからお読みいただけます。 https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/lib/ja/support/Prism (ラーニング・アドバイザー/人文 MASU) ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/opac/volume/4205657

    1
    投稿日: 2024.12.03
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    配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。 https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=10281038

    0
    投稿日: 2024.12.02
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    ●「論文はアーギュメント(主張)をもたなくてはならない」、そういうことさえ知らなかった自分にとって、普通にためになる内容だった。また、勉強となる内容というだけでなく、読ませる文章で面白く読めた。

    1
    投稿日: 2024.11.28
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    私は大学院に通っている。前期課程(修士課程)の1年生なので、修論を2026年の1月頃までに書き終わって提出し、アクセプトされれば修士号を取得できることになる。 大学院生とは言っても若くはない。大学を出た後、企業に長年勤め、引退した後で勉強し直そうと思って大学院に入学したのである。 修士論文を書くことは簡単な話ではない。論文のテーマを決め、リサーチクエスチョンを決め、先行研究を調べ、整理する。研究室の教授の指導を受けながらではあるが、それは手取り足取りというわけでもなく、ある程度、自分でやり方を考えながら進めていくしかない。 これまで身を置いていた会社の中でも、何かを主張することはもちろんあったが、企業の中で何かを主張するために資料を作成することと、アカデミックな論文を書くことには大きな違いがあり、修士論文を書くことは、これまでの経験とは、かなり異なったチャレンジである(もちろん、これまでの経験が生きることも多いが)。 本書は、その「論文の書き方」を、かなり実践的に解説したものである。 【引用】 おそらく本書を手に取る人は、レポートや論文の書き方がわからなくて困っている人、あるいはすでに何本かは書いてきたものの、よくわからない点や改善したいと感じている点も多く、これからもっと良いものを書きたい、そう願っている人が多いはずだ。本書ではその悩みを解決するために必要となる条件を、徹底的に要素分解し、極限までプラクティカルに解説する。 【引用おわり】 筆者が「極限までプラクティカルに」と言っているだけあって、論文作成をどのように進めていけば良いのか、実際にどのように書いて行けば良いのか、について、なるほど、と思えるような指摘が山盛りで、とても役に立つ本だった。 それは、確かに役に立ったのであるが、しかし、この本で最も印象的だったのは、「第10章 研究と人生をつなぐ」の部分であった。 【引用】 自分はなにを「言いたい」のか、どんなことを主張する研究者として生きてゆきたいのか。(中略)ほかならぬあなた自身が「自分はこの研究をやっていて正解なのだ」という手応えをもって研究を継続してゆくために、ぜひ向き合うべき問いなのだ。 【引用終わり】 要するに、「自分は何のために研究を行っているのか」「自分の人生にとって、研究するとはどういう意味を持つのか」ということを問うことは(も)重要だよ、ということである。 自分自身のことを考えると、会社を引退した私の年齢になってから、「研究者になる」道を目指すことは現実的ではなく、私が大学院で勉強している、研究しているのは、単純に「そうしたい」からというだけが理由である。人事管理関係の研究室に所属し、これから1年強かけて、人事管理関係の修士論文を書いていくことになる。どのようなテーマを選択するのかはだいたい決めているが、そのテーマの問いを発することは、自分自身にとって、どういう意味があるのか、ということを考えることは、あなたの人生にとっても無駄なことではないよ(というか、実際問題重要なことだよ)ということを教えてもらった気がする。

    22
    投稿日: 2024.11.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    アカデミアってこんなことを習っているんだ (いや習わないから皆困っていてこ本が出て話題なんだ) 独学者としてはほぼ手に入らない情報が安価に手に入れられる素晴らしい世

    3
    投稿日: 2024.11.02
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    論文の書き方を端的かつ再現性のある方法論としてまとめた良書…を最後の章で超えていった。これは売れるわと思いました。

    4
    投稿日: 2024.10.29
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    論文に到底縁が無い社会人が興味本位で読んでみたが、論文の書き方の近道を習う機会がないというのは教育現場の問題点だと思った。解説内容や演習方法についてはさもありなんといった印象。段落ごとに空欄を設けているのはページ稼ぎか、それとも読みやすさのためか? それにしても人文科学の存在意義について、それは暴力を減らすためだと主観的な主張をしてるが、文学部の学生や同じカテゴリーの学者もこれに納得するのだろうか? そうではなくて、文化を理解して伝統を大事にするとか、そこが本来の意義なのでは?著者の専門も文化史だって書いてるし… 演習編で出てくる論文例は政治や政策ばかりで、人文科学ではなくて社会科学とか政治学のジャンルみたいだが、自分のカテゴリー分けイメージが今は違ってきているのだろうか

    3
    投稿日: 2024.10.23
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    人文系の論文の書き方を解説する。演習問題もふくまれた教科書だ。 アーギュメントが全体のキーワードで、これは理系の論文作法に見られるリサーチクエスチョン主義、あるいはデザイン思考にみられる問い中心主義を相対化するものだといえるかもしれない。 パラグラフを部品として分析し執筆していく方法も精緻に紹介されている。アウトライナーのWorkflowryも出てくるし、アウトラインを使って書いていくというのとも近いが、抽象度が少し高い。 結論はアーギュメントを超えていくという。イントロの枠組みをこえて非対称のU字を構成し、学問論へと到達するだろう。 全編でオリジナルのサンプルとされているアンパンマン論もおもしろい。

    1
    投稿日: 2024.10.20
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    確かに、他のハウツーめいた同種のタイトルの本とは、アプローチが違うようだ。やや冗長とも感じられる説明で、他書が言語化してくれていない、一段階上流工程での考え方を説明してくれている。

    9
    投稿日: 2024.10.19
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    論文の書き方をシステマチックに指南する本。バチクソに面白かった。 論文はアーギュメント(主張)が決定的に重要で、何を論じるのか、それが論じるに値する事柄なのかを、丁寧に検証する必要があるというのは、ビジネスにも通じることだと思う。アーギュメントは従来の常識からは「飛躍して見える」が、そこを目指して、階段を一段ずつ登るように、論理を組み立てるという世界観が提示されるのも、個人的な好みに合う。 あと、本書では、文章を膨らませて文字数を稼ぐことにかなりの分量を割いていて、少し笑った。 ビジネス文書を作る際は、どうでもいい箇所を削って、要点をコンパクトに説明するよう修正することが多いが、アカデミックだと初学者は反対の悩みを抱えがちらしい。ビジネスとは、厳密さとスピード感のバランスが違うので当たり前だけど、違いがちょっと面白かった。 また、第一部 原理編、第二部 実践編で、システマチックに、ある意味乾いたテクニック的なものをたっぷり論じた後に、第三部 発展編で突然著者が自我を出してくるのも面白い。自分の人生の意味と、自分がやっている研究が接続してると、そりゃあ充実するよね。仕事に関しても、プライベートと分ける風潮が強い昨今だけど、こういう熱い思いがあるのは、なんか良いね。

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    投稿日: 2024.10.14
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    日経新聞の広告で激賞されていたので、試しに読んでみた。 東大京大でバカ売れ!ってことで、やはり少し難しい内容だったが、、、パラグラフの文字数の増やし方など、期末レポートや論文執筆に迫られる学生にとってはとても実務的な本で、好評なのはよく分かった。 ただ、なるべく文字を削ぎ落としたパワポで勝負する我々サラリーマンには、なかなか使えそうなものはなかった。。我々の文章は、アカデミックではなくビジネスライティングだから。。。 論文にはアーギュメント、論証が必要な「主張」が必須! 人間の知識の総量をちょっとだけ拡大する仕事が研究論文だ! ※少しずつ専門性が高まっていき、年輪のように広がり、最後にちょっとだけ脱線する「円」の見せ方は秀逸! パラグラフは思考のリズムを手に入れるための単位!アーギュメントとパラグラフ作成のコツが掴めれば、論文執筆のハードルはかなり下がる。 長いパラグラフを作るのは簡単。まず、シンプルに伝えたいことを書いて、それぞれの言葉の出典や背景を肉付けして、文字数を増やせば良い!

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    投稿日: 2024.10.10
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    日本語で書かれたアカデミック・ライティングの本としては秀逸。人文系の院生には必ず読んでもらいたい一冊である。学部生にも背伸びして読んでもらいたい。中心となるのは、「アーギュメント」とは何か、ということだが、それに関わって、問いとは何か、パラグラフはどう構成すべきかなど、大事なことがコンパクトにまとめられている。 注意事項としては、イントロの焦点が当たっており、その他の部分は他の本でしっかりと学ぶ必要がある。

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    投稿日: 2024.10.08
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    自分の主張(アーギュメント)の中心地まで、読者の手を引いてゆっくりと案内する方法を書いた本 アクションアイテム ・各センテンスの役割を考える

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    投稿日: 2024.08.18
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    メモ→ https://x.com/nobushiromasaki/status/1822423014820237688?s=46&t=z75bb9jRqQkzTbvnO6hSdw

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    投稿日: 2024.08.11
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    オリジナルですばらしいと思うが、修士院生とかが鵜呑みにするにはいろいろ注意点とかあるような気もする。あと、作品論とか批評文を念頭に書かれている割合がそれなりに高いかなと。

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    投稿日: 2024.07.26