
総合評価
(7件)| 0 | ||
| 4 | ||
| 0 | ||
| 0 | ||
| 0 |
powered by ブクログ温泉保養地が舞台。 妻がいるトランペット奏者が看護師を孕ませ、堕胎するよう彼女を説得するけれども、それぞれの思惑がぶつかって思い通りにことが運ばない。 身勝手な人間ばかりの円舞、その滑稽さを描いた喜劇だと読み進めていたところに、ヤクブという亡命者によってもたらされた、「人間は生きるに値するか」という悲痛な問い。 チェコからフランスに亡命したクンデラは、音楽史での国民楽派のように、祖国への思いがひときわ強かっただろう。 そしてかれは、歴史に翻弄されてそのつど変わる人間、その可塑性を作品のテーマとせざるを得なかっただろう。 人間は、「抽象的な観念のために他者の生命を犠牲にする世界」に生きている。 そんな人間を、一旦突き放してから抱き寄せ、慰撫しているように、この作品では感じとれる。 恋愛も歴史も、冗談のように偶然に降りかかり、人間の本性を試すものだ。 軽い筋に重い主題をのせたvaudevilleの作品。
9投稿日: 2022.07.07
powered by ブクログ本人がフランス語で書いた小説である。結末は簡単に推測できるので、推理的な面はない。訳者があとがきで記載しているのは、クンデラは小説にユーモアを入れたかったという。そこで、チェコのユーモアを読み取るためには良い素材であろう。
0投稿日: 2021.05.27
powered by ブクログテンポよく読めるけれども、テーマはそこまで軽くない。トランペット奏者は話のきっかけなのであってどんどん存在感がなくなっていく。亡命を計画しているヤクブが主人公に近いのか、ラスコリニコフと自分の比較をする部分は面白かった。にしても医者スクレタ、グロテスクすぎる。
0投稿日: 2017.03.22
powered by ブクログ人生の滑稽さ、喜劇的な儚さみたいなものが上手く描かれた秀作。やっと文庫になった。。。。時機を逸した感は否めない。。。
0投稿日: 2014.12.21
powered by ブクログ軽やかに踊ることで別れを告げる相手は一夜限りを共にする相手なのか、それとも二度とその地を踏まぬと決意した祖国に対してなのか?クンデラにしては比較的オーソドックスな形式で描かれた5章‐5日間の協奏曲。ダンスのパートナーが次々と入れ替わるように、対比的な会話が次々と交差し、愛という観念は決して留まることなくその印象を変えていく。そして嫉妬や後悔、情念といった感情を精緻に明晰に切り取ってしまうクンデラならではのその筆力が、普遍的な恋愛物語を悲劇と困難に直面した歴史のメタファーとして成立させているのだろう。
0投稿日: 2014.09.16
powered by ブクログ8人の男女を中心にして語られる、ある田舎の温泉地での5日間の出来事。 次々と視点を変えて紡がれる物語はとてもテンポが良くて、まるで本当のワルツのように、くるくると回るように進んでいく。 そして彼らが描く円の中心には何があるのかと言えば、それは死と、生と、愛、罪、罰、そして一夜の情交のように儚い喜びである。 男と女は、どうしてこんなにも分かり合えない。
0投稿日: 2014.01.21
powered by ブクログクンデラの第三長篇。 単行本が出たのは1993年とのことで、『笑いと忘却の書』と同じく20年経っての文庫化。 クライマックスのシーンがなかなか強烈。
0投稿日: 2013.12.25
