
総合評価
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powered by ブクログ夏川草介の小説である「神様のカルテ」で主人公の医師が草枕の主人公に影響されていたり、草枕の有名な冒頭の言葉が引用されていたりしていたので、後で読もうと思って積んでいたものを、今回読了。 文学に疎い自分ですら名前は知っている言わずと知れた超有名小説です。なので思ったより理解できなかったことに多少ショック。 率直な感想としては、主人公、厨二病だと思いました。もし周りにいたら面倒臭い性格というか何というか。奇人扱いされていた作中の女性の方がまともで、その女性に対して主人公が最後に放った言葉、それあかんやろ。。と、思いました。皆さんの感想や考察はこれから調べたいと思います。 次は神様のカルテ2を読もうかな。。
35投稿日: 2025.11.22
powered by ブクログ『神様のカルテ』の主人公、一止先生がいつも読んでいる『草枕』が気になって、読んでみた。 『神様のカルテ』に草花の描写が多い理由がわかった。『草枕』の影響だなと。作者の夏川草介さんも夏目漱石が大好きで、一止先生と同じように『草枕』ばかり読んでいたに違いない。 『草枕』は、画家の目を通して語り、絵画のような小説だった。椿の描写は特に美しく、印象に残った。 私は、夏目漱石の『こころ』がめちゃくちゃ好き。一方で、夏目漱石の作品はほとんど読んでいない。『坊ちゃん』は登場人物もストーリーも知っているけれど、いつ本を読んだのか、全く記憶にない。読んだのが、子供の時だったから記憶にないのかもしれない。『吾輩は猫である』にいたっては、知っている気になっているけれど、冒頭の2文しか知らないかも。 夏目漱石は、書き出しが最高に上手い。 そして、夏目漱石は、『草枕』から読んではいけない。夏目漱石アレルギーになってしまう。美しい小説だけれど、夏目漱石初心者には難しい。 「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい」
47投稿日: 2025.10.07
powered by ブクログ言葉が難しい。笑 内容説明読んで、かなりそそられたので読んでみた。大筋の大筋だけは理解したと思うが、微細なニュアンスなどが取りきれてないと思う。 なんせ、言葉が難しすぎる。笑 でも、内容はとても魅力的なものだったと思う。
2投稿日: 2025.09.30
powered by ブクログ“山路を登りながら、こう考えた。 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角人の世は住みにくい。” 『草枕』の冒頭、受験勉強で暗記したので、今でも覚えています。しかし、 その先をこれまで読もうとしませんでした。情けないこと、この上なしです。 とにかく、今回読めて良かったです。芸術的感性が文章全体にあふれ出ていました。多彩な漢語が散りばめられていて、湯水のごとく出てくるようでした。東洋の神秘を感じました。 1人の青年画家が、絵を描くために温泉場にやってきて、那美さんという女性に出会います。2人はいい関係になるのかなと期待していたのですが・・・ 色々な人との世間話や絵画の世界、木蓮の花の描写、書や硯の話に興味がわきました。 読んでいる途中で、ストーリーの面白さというより、画家の混沌とした頭の中をのぞいていく感じでいいのかなあと思いました。 小説の終わり方が印象的でした。芸術の神様降臨!!って感じです。 最後に、この小説の内容と直接関係ないのですが、次の一文に引きつけられました。 “丹青は画架に向って塗抹せんでも五彩の絢爛は自ずから心眼映る。” 意味→絵の具をことさらキャンバスに塗って画を描かないでも、美しい色彩はおのずと心の目に浮かんでくる。 心眼=心の目 トルストイしかり、サン=テグジュペリしかり、そして漱石しかり。偉大な3人の書物に“心の目”の記述あり。
23投稿日: 2025.09.22
powered by ブクログ文体の美しさを絶賛されているYouTubeをたまたま見て、興味が沸き手に取った。 序文はリズム感があり、読めるかもと思ったのも束の間。読むほどに難しさが増していった。 画工の余(私という意味)は非人情を探し求め旅に出て芸術についてずっと考えている。ゆえに、画題が見当たらず全く絵を描かない。(笑) 非人情とは何ぞや。 余が出会う人々との会話をはさみ、芸術論を展開する。客観的に物事の美しさを捉える事が大事なのだと。 最後の那美さんの表情を見て、余は「それだ」と叫んだ。 ここまでに至る経緯ととっさに出てしまった那美さんの表情こそが芸術の素材となり得るのだ。 ここで少しわかった気がした。 これからも折に触れて読んでみよう。気の向くままにパラパラと開いたページを数行ずつ。 いつか理解できる時が来るかもしれない。
21投稿日: 2025.08.17
powered by ブクログ冒頭の有名な一節に惹かれて読み始めました 正直言って難しかったです 漱石の他の著書も文体や時代など、わかりにくかったけれど、”草枕”と”猫”は特に難しい 途中で挫折しそうになったけれど、内容的には興味深かったので、わからなければ、同じ箇所を2〜3回と音読して何とか理解しようとしました それでもわからないところは諦めました… 読解力の足りない私ですが、でも面白かった 心地良かった 何年後かにまた読んでみたいです
2投稿日: 2025.08.04
powered by ブクログ読了!めちゃめちゃ気持ちいい!! 美術に精通してないこともあり理解が難しい文章も多々あったが、総じて漱石先生の語彙力の豊かさに圧倒された!おしゃれな作品だと思いました。
2投稿日: 2025.05.15
powered by ブクログ熊本住んでた時にたまに行ってた温泉がモデルだったの思い出して積読だったけど読んだ。 『こころ』読んだ時とか正直あまりピンと季来なかったけど、 描写の表現が綺麗(特に前半)だと感じたけど途中話が急に飛んだ気がした。 こういう情緒のある出逢いに憧れたりする。
1投稿日: 2025.05.10
powered by ブクログううーん、ちょっと自分には難しすぎたかも…語彙の難しさ、その量の多さにちょっと途中からついていけなかった。 やはり、虞美人草は後回しにして正解だったかもしれない。 羊羹の部分は印象に残った。
0投稿日: 2025.02.15
powered by ブクログ古本屋で目に入ったので何十年か振りに返しまし た。 あの「智に働けば・・・」で始まる草枕です。 一人の画家のモノローグが主な内容になりますが、 このモノローグの語彙力は尋常じゃないです。 広辞苑で調べても載っていない言葉が次々と繰り 出されて、自分の見た事象や考えを表現していて 明治の知識人の凄みを感じます。 手に取った本は新潮文庫昭和61年2月25日82刷 あり、単価は何と200円です。 消費税なんて存在しておらず、バーコードもあり ません。 たった200円程度で最高峰の文学に触れることが できる国なんて他にあるのか? これはすごいことだと皆、思うべきです。
1投稿日: 2025.02.02
powered by ブクログ語彙がなかなかに難しいが、東洋的な教養があることの粋を感じることができた。 当時の雰囲気に馴染めるようになりたい。
0投稿日: 2025.01.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「非人情」をテーマとした作品。主人公が画家で、絵を書くために何がきっかけのようなものを探して最後には那美の憐れさが浮いた表情に惹かれるといった内容だと理解した。ストーリーよりも日露戦争という時代背景によって死地に向かう久一との別れに心打たれるものを感じました。
2投稿日: 2025.01.19
powered by ブクログ小説なんか本を開いたところをいい加減に読んでいるのが楽しいという主人公の青年画家に「筋を読まなけりゃ何を読むんです。筋の外に何か読むものがありますか」と、山里の温泉宿で出会ったわけありな宿の娘の那美が返すのだが、本作はその那美の台詞に応えるように、筋以上に素晴らしい「画」がたくさん出てくる。宿での中庭越しに、少しだけ空いた障子の隙間に、一人つかっている湯船の湯煙越しに、主人公がとらえる那美の姿。人が誰も入ってこないような森の奥の池の椿の大群生、那美の兄の家から眺める蜜柑畑の広がり、出征する那美の従兄弟を停車場に送るまでの舟からの通り過ぎゆく眺め。それらが画題を切り取るように画家の目を通して描写される。文中、画の対象がないその場の空気のようなものを描きたいと主人公が言う場面があって、それは漱石自らの創作上のテーマのようにも感じたが、漱石がタルコフスキーや溝口や小津の映画を知ったら、画や詩だけでは表現できなかった方法の答えになったかも。いやむしろサイエンス・サルのような制作会社のアニメ作品こそ草枕の世界を最もうまく描けるかも知れないなぁなんて思った。百花繚乱のような漢語の修飾、床屋問答みたいなゆるい会話だけのような場面の、西洋近代文学のアンチテーゼのような表現の創出や、ラスト近くの近代文明主義の批判などの舌鋒の強さに、現代の世界各国のミュージシャンや映像クリエイターがやっているように、当時の文化の第一線であったろう文学者たちもお互いにバチバチやってたんだろうなぁと思ったりしたのだった。
18投稿日: 2025.01.19
powered by ブクログ夏目漱石 (1867-1916)1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)に生れる。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学した。留学中は極度の神経症に悩まされたという。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表し大評判となる。翌年には『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、東大を辞し、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。
0投稿日: 2024.12.19
powered by ブクログ僕の好きな著者である夏川草介は、 夏は、夏目漱石。 川は、川端康成。 介は、芥川龍之介。 そして草は、草枕(夏目漱石 作)からとっていて、本作に興味を持った。 生きづらい世の中から煩いを切り離して映すことができるのが画や詩である。この非人情を主人公が求める物語。 知が働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。そんな生きずらい世の中は現代も同じだなと感じた。本作のテーマは「自分を主観で見るから辛い。自分を詩中や画中のように非人道(自分の利害を棚に上げる、他人事、都合の良いように)にする事で楽になれる。」だと思った。 しかし、当の主人公が水墨画でなく、絵の具を使った西洋画に拘っている。かと思ったら、西洋から取り入れた文明に対して並々ならぬアンチテーゼを述べていたり。 本作はそんな単純な話ではないと思った。また整理しながら読み直したい。
12投稿日: 2024.11.17
powered by ブクログほぼ随筆。劇的な物語はないものの、漱石先生の日々感じていることの片鱗が分かって面白かった。やはり文章は文句なしに綺麗。素晴らしかった。ただ、他の作品に比べて少し読みづらかった。
0投稿日: 2024.11.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2024.11.2読了。 「こころ」→「門」→「道草」のあとに読むと、非常に読みにくい。 なんか主人公鼻につく感じだし、漱石の教養披露の場であり俳句・漢詩の作品集であり芸術論(文学論)を述べるエッセイか?と思わないこともない。 読んだのが「道草」のあとだから青臭い感じもする。しかしこのときすでに漱石は40歳くらいなので青臭いというよりかは、これは主人公のキャラ、そしてこの小説の設定。 目の前の風景や主人公の頭の中が美的・詩的な言葉で綴られ過ぎて、話がなかなか進まない。 ただ解説を読むと、当時の近代小説が「現実」を表す記号として言葉を並べ立てただけなのに対し、本作は漢語を含む様々な“言葉“で徹頭徹尾織り上げられた、近代文学への批判的作品らしい。 作中で述べられる画工の芸術論はそのまま小説論である。ということは、本作は抽象画的部分もあるという認識でOK? それならこの作品の味わい方もまた変わる。 しかも非人情の旅にしようと最初に決めてきたのを読んだ時点で「フリか?」と思ったがフリではなく、最後まで非人情を貫いていたのは素晴らしかった。 異色で素晴らしい作品だけど、自分にはまだこれを楽しむ力量・余裕がないのと、好みとも少し違うので星3つ。
2投稿日: 2024.11.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
難しい作品だった。 解説を読むことにより、ようやくこの本の醍醐味が分かった。 この書物は、読むのではなく、軽く読み流すもの。 先に解説を読んでから、小説部分を読むのもいいのかもしれない。
1投稿日: 2024.08.17
powered by ブクログ言葉を、意味を指し示すという「機能」から解放してみる。 「なんかいい」という主観を、客観的に突き詰めて書いていく。 夢なのかもしれない、というストーリー。 風呂場に現れる女の幽霊のような姿。 画が浮かぶ。
1投稿日: 2024.08.15
powered by ブクログ2002年に留学先の和書コーナーで購入し、日本語の奥深さ・複雑さ・美しさに改めて感化した作品。 この作品が私を読書狂いにしている。 ◾︎ 再読記録@2024.08 2024年に後書きを含めて久しぶりに読み返し、 なんとも懐かしい思いになると同時に、 お終いはこういう終わり方であったか!、 (後書きを読んで) 漱石先生はかういう気持ちで買いたのか…、 など、昔は感じられなかった感覚があって面白かった
0投稿日: 2024.08.08
powered by ブクログ編集者の松岡正剛氏は、「日本のための5冊」と題したある講演で次のようなことを言った。 「我々日本人は『草枕』を継承していない」 本作を通して描かれているのは「幽玄の美」である。つまり、現実なのか夢なのか判然としない曖昧性の高い世界観である。古来、日本人はそうした幽玄の世界に日本特有の美を見出してきたのではないだろうか。だとすると、この世界観を現代で実装するにはどのような手段があり得るか。3DCGやメタバースといった仮想空間は1つの可能性としてあり得るだろう。そんな考えが本書を読んでいる際に頭をよぎった。
3投稿日: 2024.07.31
powered by ブクログストーリーはほぼなく、主人公が温泉場でひたすらああでもないこうでもないと考えを巡らしているだけなので、漱石の文章にハマれるかどうかで評価が180度変わりそうな作品。残念ながら私は魅力が分からなかったのですが、比喩に富んだ表現は刺激も多く、沼に嵌る人が多いのも分かる気がしました。
4投稿日: 2024.07.31
powered by ブクログ若き画家が温泉場に逗留する。その古びた温泉場で地元で悪様に言われてる出戻りの綺麗な娘、那美に画家として惹かれていく。 美しい自然のなかで、美しい女性を描こうとするとき、その女性に何か足りないものを感じる。その綺麗な女性の表情に足りないもの、漱石は、嫉妬でなく、憎悪でなく、神の知らぬ情、憐れとした。 人を馬鹿にする微笑い、勝とう、勝とうと焦る八の字。それだけでは、美術とならないのだ、 なんか深いですね。 難解なんだが、読み返せば、読み返すたび、なんか発見がある。
1投稿日: 2024.05.26
powered by ブクログ漱石先生的芸術論。難解。 自分の頭では恥ずかしながら三割も理解できないのが悔しい。 那美さんとの会話が知己に富み色っぽく、それだけでも読んで良かったなと。 後半の芸術とはの箇所はかなり情熱的で、若き漱石先生が俗世を削ぎ落とした先の「根本」みたいな物を掴んで引きずり出そうとするのが垣間見える・・・ううん、まだ咀嚼しきれてないし、感想を述べるのもおこがましい気がする。 「憐れ」が加わり画となる、か。 人生の修行をもう少し積んでから読み直したい。
1投稿日: 2024.05.01
powered by ブクログ20年余も積読だったようだ。 そもそも、夏目漱石の作品はあまり読んでこなかったのだけど、やはり読むべきかなと思ってしまった。 内容としては、小説とその登場人物の語りを借りた当時の芸術や社会に対する反論であると読み取った。 それ以上に感じたのは、作品を埋め尽くすかのようなレトリックの量と質だ。 冒頭文はあまりに有名だけれど、本文中のレトリックはそれをも凌駕する。 明治の文であり、また漱石の博学ゆえに難解な語もあるが、脚註に道草せずにその韻や語調を楽しみたい。
0投稿日: 2024.04.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
美しい。そして緻密。漢詩の引用とか、主人公が詠む歌とかもおそらくすげーのだろう。 心の余裕のある時に味わいたい。 感想が短いのは、つまり、自分の中で解釈しきれていないということですから、お目汚しして申し訳ありません…
3投稿日: 2024.03.24
powered by ブクログ人の世に疲れた主人公の非人情の旅ということで、あまり接点はないが、彼女に振られた悲しみを別の形に変えるべく70キロ自転車を漕いで大阪から滋賀まで行った当時の一人旅を思い出したりした。 正直かなり難しかった… 那美さんとの会話は自分も心地良くて、楽しかった。 読むにあたって文体そのものにも苦労したけど、1番は自分の頭の中に当時の様な情景を補完できる元のイメージがなさ過ぎる所。 頭で情景を組み立てながら読んでいるから、当時の日本の資料や写真だったりでイメージを作ってから読むのがいいかもしれない。
3投稿日: 2024.03.24
powered by ブクログ注釈だけで20ページ以上あるし言葉とか解釈が難しくて読むのが大変だった。でも全体的には面白かった。作中の「非人情の旅」って、今で言う「自分探しの旅」のようなものだと思うけど、100年以上前でも、やってる人いたんだという驚きと、それを物語にしたのも、全然昔っぽくないというか、なんか良いなと感じた。 仕事や人間関係などの人の世に嫌気がさして、山里に逃避した主人公の気持ち凄く分かるなーと思いながら読んでた。時代は違えど、人が生きる上での悩みや苦痛、葛藤や生きづらさなどの根本は変わらないのかもしれない。そう思うと昔の人たちも同じことで悩んでたんだな〜自分だけが抱えていた悩みではないんだなーと元気がもらえる。 特に現代はSNSの普及で人付き合いが密接になったり、見ず知らずの人から誹謗中傷されたり、いいねの数を気にしたり、幸せそうな他人と自分を比較したりと、昔より色々と便利にもなったけど、常に人から見られているようで、何かと生きにくい。 そういう他人と競っても自己満足にしかならないのに、無駄に見栄を張って対抗するから疲れてしまう。だから、人間関係とか全てリセットして、東南アジアに一人旅したり、主人公のように知り合いなんかいるはずのない田舎に逗留したりしたいなーと最近思ってる。 主人公のように芸術の才能は無いのかもしれないけど、モンゴルの遊牧民のように世界を転々としながら、その土地の自然やカルチャーや人々に触れて、感じたことを自由に文章にしたり、心の赴くままに生きたい、というのが自分の夢だな。 少し逸れたけど、物語に関しては、画家の主人公の思考(作品への苦悩や芸術の概念、芸術家の在るべき姿の追求など)がとても多くて、面白かった。こんなに一人で孤独に悩んで、思索して、創作するのがアーティストなんだなと思った。 那美さんのキャラも結構好きだったな。本性が掴めなくてフワフワしてる不思議ちゃんのような感じ。「久一さん。御前も死ぬがいい。生きて帰っちゃ外聞が悪い」 「動詞なんぞ入るものですか、それで沢山です」 那美さんの独特な言い回しというか強気な発言も面白かった。
8投稿日: 2024.03.08
powered by ブクログほんっっっっっとうに読むのが大変だった!!!!! この本を最後まで読めたことが、自信になった(笑) 読み終えて、最初の感想は「はぁぁ!??」でした。
5投稿日: 2024.02.13
powered by ブクログ人生初となる夏目漱石本、チャレンジしてみました。 読み始めてしばらくは、生きている時代の違いに加えて、文豪の操る空気感に圧倒されたというか、どう受け取っていいかわからない雰囲気だったんですが、これは通常の『話を楽しむ』という目線で見るのでなく、そもそもスタート地点から描かれているものの趣旨を理解することがとても大事だな、と、読み終わって一層感じてます。 最初に『智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。』と、有名な語り出しから始まるところは、究極な話、この核心的なところで、この主人公は自分の画業(または創作のヒント)のために気分転換をしに出かけた逗留先で、徹底的に第三者にこだわった立ち位置で、『スノッブにならず、誰とも程度をこえて干渉せず、かといって自分の創作にも必要以上に固執せず』というスタンスを一貫していて、まさにこれが冒頭の文言に当てはまってるんだと思いました。 主人公は、行く先々や、関わる人たちとのふれあいから、情景を読み取るために観察力をはたらかせることに最大限の力を発揮していて、そのほとんどは自分の思い通り頭にインプットされてはいたものの、とある女性の形容しがたい表情を見たことで、謎に対する自分なりの答えが導きだされるまで、いろんな角度から、ごく自然に、ときに不自然に、対象物を捉えていくシーンが描かれます。 特に愛着もなければ義務があるでもないにせよ、そういう自分の疑問に対して素直に真剣に取り組むことこそ、住みにくい世から煩いを抜いてありがたいものを作る、画業に就くものの役割だ、と、いうのが主人公のポリシーのようで、全体をとおしてのメッセージだったのかなと。自分はそんなふうに感じました。 人と出会って打ち解けて、ドラマがあって、ハッピーエンド・・・的なコテコテの話からは極限のねじれ位置にあるような、一種、不思議な読書体験でした。 漱石先生のほかの作品も是非とも読んでみたいと思います。 ここからは余談ですが、ミレーのお話が載っている、山本有三の心に太陽を持て、を読んだあとなんの意図もなくここにもミレーの話題が・・・ってとこに個人的に戦慄をおぼえました(笑)
11投稿日: 2024.02.08
powered by ブクログ冒頭を覚えたくて読みました。 最後まで見ましたが読めませんでした。といったのが正直なところ。 知識不足で会話がある部分しか理解が追いつかなかったので解説やあらすじ(Wikipedia)を見ながら一応こういう話だったのねって感じで終了
1投稿日: 2024.01.27
powered by ブクログ小説でもありながら、文学評、芸術評のような側面もある。 西洋の文明がもたらされ、一気に文明化が進む明治時代。その時代において、文明の恩恵を受けながらも、自然の中にある美的感覚や情緒が損なわれていくことへ危惧を覚えたり、気を揉んだりする人はいただろう。 本作は、そういったジレンマから生み出された小説のように感じた。 多彩な語彙と文章に美しさを感じたが、読みにくさはあった。また、ゆっくりと丁寧に読み返していきたい。
12投稿日: 2024.01.02
powered by ブクログ自分なんかが評価していい一冊ではない。 圧倒的な語彙と表現力。自分はその半分も理解できていないと思う。 どのような努力を重ねたら、このような日本語力を身につけることができるのだろう。漱石は確か英語もできるはず。 ストーリーというより、言葉の渦の中をゆらゆらとただ流されていくという感覚で読んだ。漱石の言葉の波の中をただ旅をするが如く。 途中で言葉の注釈を読むのをやめた。流れが止まるから。言葉の正確な意味などわからなくても、なぜかその情景、感覚が誌面から伝わってきた。不思議な感覚だった。 もっと言葉を知れば、きっとまた違った感覚を得ることができるのだろう。何度も繰り返し読むことで、きっと新しい画工や那美さんに出会うことができるのではないか。きっとそれは、何度も同じ場所を旅するが如く。
6投稿日: 2023.11.05
powered by ブクロググレングールドの愛読書と聞いて昔々に手を出した時は挫折してしまった本書、ようやく読み切ることができた。日本語の美しさに打ち震え、一字一字がそれぞれに絵と色彩を持った漢字という表現の豊かさと、それを理解できることの喜びに痺れる超ド級の名作だった。この本に出会えて良かった。
4投稿日: 2023.10.17
powered by ブクログとんでもなく難解。当時の人達は、注釈なしに読むことができたのでしょうか。軽い作品を読みたくて、薄めの本作を選んだのですが、これが全くの見当違い。本文と注釈を行ったり来たりしながら、ゆっくりゆっくり読み進めることになりました。 最初はなかなか入り込めなかったですが、徐々に波長が合ってきて楽しく読めるようになってきました。この作品は登場人物の「余」と同じように、「非人情」の心持で相対するのが良いのではないかと思いました。 ところどころにすごい描写がありましたが、特に印象に残っているのが那美が風呂場に現れる場面。これはとんでもないです。すさまじい語彙量におぼれそうになる感じが、「余」の驚きとも同調するようで息が詰まります。 面白いとは言えませんが、不思議な体験をさせてもらったな、という感覚です。
1投稿日: 2023.09.16
powered by ブクログ電車に揺られながら、こう読んだ。無理くり席に座れば角が立つ。流れに任せれば乗換駅を誤る。意地を通して突っ立っても窮屈だ。とかくに通勤電車は住みにくい。 住みにくさが高こうじると、家賃が高い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟さとった時、詩が生れて、画えが出来る。 世は両面を兼ね備えており、陰影が濃いほどまた光が際立つ。かと言うて1枚に世の光と影、哀れに愉快、全てを詰め込むのは難しかろう。難しいから画家は放浪し、湯治をし、飯を食って屁をする。その中で発見せし一瞬を映すこそが画家なのだろう。 と思った本でした。
1投稿日: 2023.08.04
powered by ブクログ智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。 なんかの本に引用されてた冒頭がかっこよすきて読んでみた。 親しみない言葉もでるから読破にめっちゃ時間かかったけど、なんか気になって最後まで読みたくなる作品。 ちょくちょく出てくるどストレートな本音めっちゃ面白い。 作品の設定も綺麗だなぁ~
0投稿日: 2023.07.12
powered by ブクログ最終盤で急に尾崎豊みたいなこと言い出す小説、と表現すれば読む興味も多少湧いてくるのではなかろうか。 文章は難しく、そして長い。頁をめくった時に目に見える範囲が丸々文字で埋まっていた時の絶望感。我慢して読むしかないが、正直内容はほとんど頭に残らない。 しかし、終章で様子が変わる。文章がスラスラと頭の中に入ってくる。そして現実へ引きずり出された余≒夏目漱石がどこか尾崎豊みたいな調子で汽車に詰め込まれた人間の個性について「あぶない、あぶない」と嘆き出す。 『草枕』と言えばその冒頭が有名だが、この最後の部分にこそ読者の心を動かすエッセンスに満ちていると思う。そして何よりラストの余韻。芸術の本質がほんの一瞬だけ覗いたような、そのとても美しい終わり方には惚れ惚れする。
2投稿日: 2023.05.24
powered by ブクログ「春は眠くなる。猫は鼠を捕る事を忘れ、人間は借金のある事を忘れる。時には自分の魂の居所さえ忘れて正体なくなる。只菜の花を遠く望んだときに眼が醒める。雲雀の声を聞いたときに魂のありかが判然する。雲雀の鳴くのは口で鳴くのではない、魂全体が鳴くのだ。魂の活動が声にあらわれたもののうちで、あれ程元気のあるものはない。ああ愉快だ。こう思って、こう愉快になるのが詩である。」 とても好きな部分
3投稿日: 2023.04.12
powered by ブクログ文章としては面白かった。ストーリーも、面白かった。しかしよくもまぁこれだけ御託を美麗に並べられるもんだと。主人公がクドクドクヨクヨやるラノベの原型は漱石だったのか。
1投稿日: 2023.03.02
powered by ブクログ展開するまで時間かかった…久しぶりの夏目漱石でこの文章を読む筋力が落ちてる。 何もせず2週間ぼんやりはさすがにもうできないけど、2時間くらいはそんなことをしたい。 非人情に小説を読む 非人情に惚れる 非人情ない画工 これが同一直線 あらすじや設定は必要としない こんな時代の、こんな身軽な逗留モノがやっぱり好き。 最後まで読み、結局ストーリーの動き少な、難解な語彙多、と思ったが、どこを抜き読んでも同じことという非人情をメタでやる趣向と、当時の文学界への皮肉という解説がはまる。やっぱりこれ奇妙で挑戦的な小節だったのか。
1投稿日: 2023.01.29
powered by ブクログうまい! 冒頭の文章、絵や風景の描写、会話、名文連発という感じ。 有名な冒頭の文の他にも例えば、 「まだ一枚の画もかかない。絵の具箱は酔興に、担いできたかの感さえある。人はあれでも画家かと嗤うかもしれぬ。いくら嗤われても、今の余は真の画家である。立派な画家である。こう云う境を得たものが、名画をかくとは限らん。しかし名画をかき得る人は必ずこの境を知らねばならん。」 とか好きだった。 特に大きな事件が起きるわけではないけど、一応の展開もある。 引用や絵画に関する描写が多くて、以前読んだ時は元ネタが分からなかったけど、自分が昔よりは少しはわかるようになったのと、知らなくてもググればどんな絵かわかるので、昔よりは読みやすいと思う。オフィーリアはびじゅチューンを見るとさらに楽しい。 漢文は相変わらず難しかった。 4.5
1投稿日: 2022.12.30
powered by ブクログ自分には敷居が高いと思っていたけれど、不思議なことにページをたぐる手が止まらなかった。 言葉のひとつひとつの意味は咀嚼できなかったけれど、山や花や鳥といった自然界の有様を、日本語という表現手段で、ひとつひとつ丁寧にはたを織るように描き出しているようでした。 それがまるで森林浴でもしてるかのような心地よさを呼んでいる。 それは絵画のようでもあり音楽のようでもあり。 これは小説を読むというより体験に近かった。
13投稿日: 2022.11.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「非人情」と「不人情」の違いが一度読んだきりでは分からなかった。再読必須。 那美さんの元旦那の満洲行きの動機も伏線があったかあやふや。「不人情」那美さんが金を拾いに行く旦那に焦らしまくった憐れを見せてくれるわけないので、死にに行くんだろうけど…わざわざ満洲へ? 謎!
0投稿日: 2022.10.09
powered by ブクログ漱石の本を5冊ほど読みました 語弊を恐れず言うと現代人からすると、漱石の中でも特に読み辛い本だと思います(追記:後日読んだ漱石入門の本でも難しい部類に分けられ強ち間違いではないかと思いました) 文語体であること、漢学表現に富み教養がなければ想像しにくいこと、何か刺激の強いドラマチックなストーリーではないことなど、他人にオススメできる要素は正直ありません ですが、それでも私が読んで良かったと思えるのは、話の冒頭と終わりのテンポとキレの良さ。 あとは漱石の人柄が知れたことかなと思います。 元来気性の荒い人だったそうですが、、、草枕全編を通して、自然主義文学や近代小説への批判ともとれる主人公を通した漱石の間接的な思想の代弁や表現手法、ストーリーからは漱石の熱い性格が窺い知れてそれが良い読後感にもなっています。 だから、万人にウケるものでは決してないと断言できますが、自分にとっては時間が経ってまた読み返したいなと思える数少ない一冊であり、誰かにとってもそんな本であるだろうと思います。 23年2月追記: 有名な話とのことですが、那美さんにはモデルがいるそうですね。漱石が旅先で出会った家の娘だそうで、お風呂で出会ったのも実話だとか。 ものすごく面白い女性だったそうで、漱石はずっと覚えてらしたそうです。どんな会話があったのかな、なんて想像するだけで楽しくなりますね。 23年8月追記: audibleで再読。 初読が難しかった分、繰り返し読むほど面白いなと思えて星4にしました。理屈っぽいパートと、直接的にも間接的に那美さんに振り回されていくパートのバランスが良く、結末として那美さんの素顔に我が意を得るというこの収まりの良さに感動しました。 理屈っぽいパートはいまだに全て理解できたとは言い難いのですが、主人公が漱石の思想を代弁しているようにも思えて、漱石ってこんな人なのかな?とか想像しながら読むとなお面白いです。
1投稿日: 2022.10.06
powered by ブクログ「吾輩は猫である」脱稿10日後に執筆開始、2週間で書き上げた初期作品らしい。「小説」の定義をつい考えてしまうほど、今作は小説としてかなり無秩序。夏目漱石による文明論と呼んでも問題なさそうな一冊。
3投稿日: 2022.08.31
powered by ブクログ難しい言葉がいっぱいだった 主人公の一人称が「余」なのが面白かったし理屈っぽくて絵描きなのに全然画を描かないじゃん 「憐れ」の意味の表現が好きだった
0投稿日: 2022.08.29
powered by ブクログ文章が綺麗。 リズムの心地いいこと。 でも全部読めなかった。ので、また読みたくなったらリトライ。 ・春は眠くなる。猫は鼠を捕ることを忘れ、人間は借金のある事を忘れる。時には自分の魂の居所さえ忘れて正体なくなる。只菜の花を遠く望んだときに目が醒める。
0投稿日: 2022.08.21
powered by ブクログ漱石の哲学を学ばないと理解は難しい。 芸術とは何か。夢幻能的な解釈を通じるとすれば、本編に登場するシテとしての女性人物の在り方を意識して読むことで死生観の理解が深まる。 春に読み返したい作品。
0投稿日: 2022.07.14
powered by ブクログ『草枕』 余の羊羹愛が溢出するとこ好きです。 "余は凡ての菓子のうちで尤も羊羹が好だ…あの肌合いが滑らかに、緻密に、しかも半透明に光線を受ける具合は、どう見ても一個の芸術品だ。ことに青味を帯びた煉上げ方は、玉と蠟石の雑種の様で、甚だ見て心持ちがいい" #読了 #君羅文庫
1投稿日: 2022.06.01
powered by ブクログ情景が目に映る。 赤い椿が池に次々と落ちる。 ミレーのオフィーリアが見たい。いつか日本に来ないかな。 那美さんの「憐れ」が見えるだろう。
0投稿日: 2022.05.29
powered by ブクログ美しい絵を見ているような作品。 「小説はどこから読んでも良い」と作中の言葉通り。ぼんやりと美しい風景を眺めるように読了。ストーリーについてはよくわからない。でも、それでいい。
1投稿日: 2022.05.21
powered by ブクログまずは読み終わった自分にお疲れ様と言ってあげたい。 最後まで訳分からなかったけど心に響く言葉はいくつかあった。夏川さんの解説を読んでかなり納得した。
0投稿日: 2022.04.15
powered by ブクログ夏目漱石の代表作のひとつ。『神様のカルテ』の主人公が傾倒している作品ということと、恥ずかしながらまともに読んだことがなかったため、何かの縁と思い読んだ。序章は田舎の景色をたっぷりとした語彙力で書き出され、(絵描きなのだが俳句を読むこともある)主人公が題材を探しながら旅情を楽しんでいる風もあった。夢十夜もそうだが、漱石の描く女性像は実に美しい。それから、食べ物に関する描写も素晴らしい。素人ながら漱石の描くつかぬまの旅を味わった。ついに有名文学のひとつをやっと読んだな、という思いであった。
4投稿日: 2022.03.06
powered by ブクログ昭和53年3月15日 64刷 再読 1906年 明治39年 「新小説」 洋画家の主人公が、山中の温泉宿を旅する。旅の間の、出来事・豊かな自然が、映画でも見ているように語られる。洋画家の一人称というより、ナレーターといった雰囲気。そこが、非人情の表現の一環かもしれない。 冒頭の「智に働けば〜」は、余りに有名。既に、主題はそこにあるのかと思う。 メインストーリーには、宿屋の娘とのあれこれがありますが、やりとりは大人の言葉遊びと言ったところ。 俳句の歳時記は、季節を表す言葉を、時候・天文・地理・人事・動物・植物 に分類してある。(最近覚えたて!)この作品は、それらが全て含まれた、吟行の雰囲気がある。おっとりと、旅先に紛れ込む。
9投稿日: 2022.01.25
powered by ブクログ引き継ぎ夏目漱石作品。読んだのは何年ぶりだろうか、普段から汚い言葉を浴びて、それを浴びせている私にとってこの美しい漢文調の文体は自身の汚れを落とすにはもってこいであった。 しかし、相変わらずだか、まあ、これは仕方がない事ではあるが、会話内容がどうもしっくり来ない、いや、しっくり来たら可笑しいのだ。当時はそうなのだ、キザなのだ。キザがいいのだ。キザな言葉で女性を落とす、それは私には不可能である。不可能を可能する事は出来ない。私は笑わせたいのだ、いや、笑われたいのだ、いやもうでどうでいい。何を言っているんだ私は。 最後の一文、そのオチの為に綺麗な文章が有る。今日は身も心も綺麗になった気がする。さあ、明日から違う私がいるかもしれない、もしかしたらタイツを履いて白馬に乗った私がいるかもしれない、おお、これなら皆んな笑ってくれるのかも、とそう思ったその一瞬の私の表情をこの主人公である洋画家はどの様に描いてくれるのであろうか。
2投稿日: 2021.11.15
powered by ブクログ椿が池に落ちる様は、毒々しくも鮮やかだ。詩的な文体がリズムを与え、画家の旅情を効果的に演出する。風景を孕みながらの展開が穏やかで、心情に迫る。読むのではない、言葉や音を聴き、映像にする。作者がその様に導いた。夢み心地の読後感に、またうつらうつら..夢をみる。
2投稿日: 2021.10.28
powered by ブクログきれいな文章でした。 知らぬ知識、単語、言い回しに溢れており、漱石の教養の幅広さに圧倒された。 春、旅の地で読みたい作品。
1投稿日: 2021.10.14
powered by ブクログなぜなんでしょう 昨今はストーリーを追うものより 言葉の美しさを楽しむものの方が 余計なことを考えずに 楽しめるようになってきた。
0投稿日: 2021.08.01
powered by ブクログ夏目漱石の作品は高校生の時に「こころ」を読んだ以来の2作目でした。 思いのほか読みにくくて、読み進めるのが大変でした。そのせいもあるとは思いますが、内容もいまいち理解できなかったかなという感じです。ただ一点、椿に対する漱石の感覚が私と似ているなと思い、その様子をここまで厳格に描写できる手腕はあっぱれだと思いました。
3投稿日: 2021.07.12
powered by ブクログ出だしが好きである。 「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。」吾輩は猫である、こころ、坊ちゃん からのこの小説は夏目漱石の印象を変えるものだった。
0投稿日: 2021.07.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
主人公が湯治に出掛けた先で自然の作り出す風景、出会う人々の中に芸術を見出しながら、自分の描きたい画について頭の中でこねくり回す話。 主人公は感覚ではなく理屈で芸術を捉えるタイプで、画家よりよっぽど小説家の方が向いていそうだった。 自分が絵を描くにあたって那美さんにはモデルとして何か足りないと失礼なことを言い、ラストで、「それが出れば画になりますよ」と上から目線で伝えたが、対象物に介入せず自然の成り行きに任せるのが主人公の言う芸術家的目線なのではないかと思っていたので、奇妙な行動だと思った。 ただ、注釈がないとわからない言葉ばかりで、正直読むのに疲れてしまって、ぼんやりと意味も分からず読んでいた部分がちらほらあるので勘違いかもしれない。 この小説は主人公のいう”開いたところをいい加減に”筋を気にせず読むべき話で、夏目漱石が語彙力を駆使して読むのを難しくすることで、読者にそうさせようとしているのかもしれないと思った。それくらい、通しで読むのはしんどかった。笑 なのに何故だか癖になるというか、自分の手元に置いて、時々いい加減に読み返したい気もしてくるから不思議。
1投稿日: 2021.05.15
powered by ブクログ書物というのは一種の箱庭だと思う この本は箱庭として極めて美しい 自然、生活、人間の描写いづれも優美だ 冗長でないため一気に読み通せる所もよい
0投稿日: 2021.05.13
powered by ブクログ粋な言葉を連ねた実験的な小説と感じたが、中盤から独善的な絵画論とペースを乱す女性の登場で緊張感が出てくる。芸術の概念と現実が交錯していくさまが面白い。 主人公には観念が先に行く知識人を風刺する部分もあるように思えた。
0投稿日: 2021.05.02
powered by ブクログ言葉の響き、その共鳴のみが後に残る。 詩はそこに溺れるわけではなく 詩はそれに反抗するでもない 批評すら許されない深淵にして手応えのない空間に連れて行く デンマークの映画「わたしのおじさん」でも感じたが、そこにある自然の営み、日常が文明に支配されないほど微動だにしない、そこに文学があるんだと感じた。 まだ言い表せない。もう一度読もう。 2021年3月28日 駒込図書館で借りる
0投稿日: 2021.03.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
絵描きの心得みたいなのがものすごく心に残って、考えさせられた。見たまま描いただけでは絵描とはいえない。見たものを自分なりに工夫して描いてこそ絵描きといえる。あとは、腹が立った時には俳句にしてみるというのがすごく気に入って、これからやりたい。終わり方も、独特で、よかった。
0投稿日: 2021.01.31
powered by ブクログ状況の描写が非常に細かく丁寧にされている。 御茶をご馳走になる章がすき。 那美さんとのやりとりも滑稽でおもしろい。
0投稿日: 2020.12.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
こんなに筆者自身が画家になりきれるとは凄いと感じ、画家としての知性が読んでいくごとに沢山詰まっている事が分かる。 例えば、(「然し日本の山水を描くのが主義であるならば、〜これが日本の景色とは云われない。」一五二頁引用)この日本人独特の雰囲気感というものだったり色使いというものは日本人にしか感じ取れないと思う。そして日本の美しいもので有ったり、言葉(詩でもそうだと思うが)でも、その国で生まれもった日本人にしかその素晴らしさを伝えることはできないと考える。 また、(「それじゃ、初めから読んだって、仕舞から読んだって、いい加減な所をいい加減に読んだっていい訳じゃありませんか。」一一三頁引用)この言葉の素晴らしさをより見出だせたのが次の言葉、(「何ならあなたに惚れ込んでもいい〜小説を仕舞まで読む必要があるんです。」一一五頁引用)これは、人生における教訓教えてもらえたような気がした言葉であった。自分ひとりの事ならいい加減でも良いと思うが、他人を巻き込むような事の場合はいい加減で有ってはいけないという事を夏目漱石から考えさせられとても深い意味の文章だった。 さらにまた、(「成程面白そうね。じゃ、〜画だって話にしちゃ一文の価値もなくなるじゃありませんか」一一五頁引用)この文章は深い意味を持つと考える。別に誰かに教えてもらったのでも調べた訳でもなく自分自身で読んだからこそ気づけたものであり、それこそがこの余が言う(画でも話でも)価値という意味になるのではないかと考えたのだ。つまり、誰かに教えてもらうのではなく自分自身が肌で感じた事が全てで、その全てが自分自身の価値へと繋がるということだ。だからこそ、文学作品の面白さが今現在でも高く評価されているのではないかと思った。 そして最後、(「髯だらけな野武士が名残り惜気に首を出した。」一七八頁引用」あの非人情の女がその野武士を見て(「今までかつて見た事のない「憐れ」が一面に浮いている。」一七八頁引用)これは、どんな人間にも備わっていると思われる「人情」なのではないかと考える。つまり、人間らしい心を持った人間こそが本物の画になると言う事であり、そして、きっとそういう画には見ると何か考えさせられるようなものや、自分自身の肌で感じられる何かがあるのではないかと考える。
0投稿日: 2020.11.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
(個人的)漱石再読月間の3。 「…とかくに人の世は住みにくい。」 芸術家は大変だな。 オフィーリアがこんなに重要なアイコンであったとは、昔は気がつかなかったよ。
0投稿日: 2020.05.05
powered by ブクログ樹木希林さんの『120の遺言』の装丁の写真がミレイのオフィーリアが元になってる(多分?)けど、ハムレットで出てくるオフィーリアそのままじゃなくて、草枕の主人公から見たオフィーリアの死生観のことを言ってたのかな〜って思いました。
0投稿日: 2020.04.28
powered by ブクログ(Mixiより, 2010年) うっ・・・。使われている言葉が難しい・・・所々にある漢詩の解釈が難しい・・・情景描写の理解が難しい・・・人物同士のやりとりの汲み取りが難しい・・・。多分作者の意図はほとんど理解できなかったと思います。好感を持てるのは、主人公が一人になる場面では深く考え込んでいるような重苦しい文体が続くのですが、そこに新たな人物が登場した途端、軽やかな会話文へとスムーズに転換するところ。こういう意識の流れって生活するリズムにすごく近いと思う。主人公が持つ「詩」「画」の考え方にも、ところどころ共感出来ました。こういった感性は大事にしていきたいですね。さらに、漱石流の美しい表現で、心に残るものがいくつかありました。それが一番の収穫と呼べるかもしれません。
1投稿日: 2020.04.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
主人公は世情から離れたところで絵を描きたいようだが、結局、作品中一度も描いていない。それでも、芸術家としては成立しているという考えだ。 那美は、挙動言動が読めなず、主人公は幾度も驚かされる。 いろいろ考察が多くて、難解な部分が多いし、登場人物も分かりにくい。ろう。 最後のシーンの那美の表情で主人公は那美を理解できる部分を掴み、それが絵のモチーフになると気付いたところで芸術は完結しているのだろう。
0投稿日: 2020.04.10
powered by ブクログ冒頭で心を掴まれた。漱石の芸術に対する想いが溢れた本だった。 文章自体は難解。有名な作品を挙げながらの描写が多いため、予備知識ない人は辛いところ。。 出戻りの那美さんがお気に入り。
0投稿日: 2020.03.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
夏目漱石ということで、こころのような雰囲気の小説とイメージしていたが、全体の7割くらいが主人公(画家)による語り(芸術論)であり、残り3割で旅先で出会った人々との何でもないやりとりが展開され、筋らしい筋は存在しない。 作中で主人公が語る芸術論はそのまま本作にも反映されており、その代表的なものが芸術作品に対して人情の介入を拒否する(非人情)というものだ。 おそらくそれの意味するところは、わかりやすくエモーショナルな出来事(ストーリー性)だけが芸術作品であるという考えに対する反論なのではないかと思う。 事実、ストーリー性がなくても漱石の多彩な語彙による美しい文体によって主人公のキャラクター、ひいては草枕という作品は成立しており、私は最後まで楽しんで読むことができた。
4投稿日: 2019.12.08
powered by ブクログ1行1行じっくりと、巻末にある字引を頼りに目で追っていく。不明瞭な言葉の意味が明らかになった時、数式の答えが出るようにぱっと光が射し、目の前が開け、訪れる素晴らしさに感じ入る。俗世界から離された自然の美しさを、人間の私情抜きで語ること。そこに本当の芸術がある。(ということか) 草枕を読み終えた時、迷い迷いつまづいてきた思いに終止符を打ち、真っ直ぐ進むための自信と勇気が得られるような気がする。 芸術とは自分が見たものや聞いたもの、感じたものを客観視する作業であって、他人のためではなく、自分のためから始まる。
3投稿日: 2019.09.07
powered by ブクログ初めて読んだのはまだ10代の半ばくらいだったかな。 例に漏れずその多感な時期の感動が今の価値観を作り上げている。 ってことで自分の思考の半分は「草枕」で出来ている。 人生のバイブルかな。 一番好きなシーンは那美さんの登場するところ。 まるで夢の途中のような、地域に残るお伽話から抜け出てきたような、幻想的な登場をする。 時折、この本をパラパラめくって前後も何もわからないページから読んでみる。そんな「非人情」の楽しみ方もこの本にはピッタリだ。
1投稿日: 2019.03.13
powered by ブクログ2009/11/23 友人の集まりで参加した旅行は、 漱石の草枕の足跡を 少しだけ辿るものでした。 漱石といっても、学生時代に読んだくらいかなぁ〜〜、せっかくだから 読んでみましょう! 2009/11/26 全集に収録されていたのを、読み始める。 その後、上記の本が手に入らず、全集を図書館で借りて、続けて読んででいるところ。 有名な出だしは、あまりにも人為的で好きでない。 その少し先に書いてあることに、共感できる。 『すみにくい世の中でも、できるだけよく生きよう! それには、人情を離れた芸術、特に美術がいい・・・。』 でも、途中であきてしまって読むのを中止。 『草枕』内容 : 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される−。 「いやな奴」で埋っている俗界を脱して 非人情の世界に遊ぼうとする画工の物語。 主人公の行動や理論の悠長さとは裏はらに、どこを切っても漱石の熱い血が噴き出す体の作品。 著者 : 1867〜1916年。作家。 全集 3 内容(「BOOK」データベースより) 「智に働けば角が立つ」から「しばらくでも塵界を離れた心持になれる」詩的天地に遊ぼうと、 旅に出た青年画家は才気あふれる女性・那美さんと出会う…。 清浄な“非人情の世界”を描いた『草枕』、 欲と金の社会を批判しつつ理想主義に苦悩する青年を描いて、のちの大作品群を予感させる『二百十日』と『野分』 ― 漱石初期の代表的中篇を収める。 若い読者の理解を助けるため読みやすい活字で詳細な語注を付した。
0投稿日: 2019.01.12
powered by ブクログ文豪の作品を読み慣れていない私としては、情景描写が細かくて読むのが大変だった。でも、女性の描写が本当に美しくて、媚びてない、凛とした女性が頭の中に思い浮かんだ。
1投稿日: 2018.11.03
powered by ブクログ古くからの物語や、物語を始祖に持つ小説というものに対して、読み手である読者は何かしらの意味を汲み取ろうとしてしまうのは、まさに「意味を巡る病」とも言える人間の古典的修正であろう。 夏目漱石の初期作品である本作は、そうした病に対して、明確な拒否を示していると言っても良い挑発的な作品として記憶されるべき作品である。 もはや漢文の古典的素養を持たない現代の読者たる我々は、本書の特徴的な叙述形態である漢語を駆使した独白の部分などは、何となくのアトモスフィアを楽しみながら読んだって何の罰も与えられないだろう。ただただそこにある言葉の羅列とそこから生み出される曖昧としたイメージを個々に描きながら単に小説を気持ちよく読む。そうした点に本書の特異性が表れている。
1投稿日: 2018.10.20
powered by ブクログ中学生のときに読んでめちゃくちゃ好きだなと思ったこと以外はおぼえてない、社会人になったら再読したいリストにははいってる。
1投稿日: 2018.10.14
powered by ブクログ非人情を心がけて表現をしようという男と歩く非人情那美さんの話 でも那美さんにも少し人情は滲んでなかったか・・・? 久一くんを見送るところの
1投稿日: 2018.09.25
powered by ブクログ芸術とは何かについて、漱石の考えを小説の形を借りて描かれている。漱石の思考の一端に触れられる。ただ、解釈が難しい部分もある。
1投稿日: 2018.04.29
powered by ブクログGlenn Gouldが、かつてこの草枕が大好きだったという逸話を最近知ったので再読してみた。ただ、まだ僕の感性では本書の内容についていけなかった。日本人の僕が日本語で読んでも追いつけないのに、Glenn Gouldは何語の翻訳本で本書に何を見出したんだろう。
0投稿日: 2017.10.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
自然を尊いと思う気持ちや、汚れた俗世界を一瞬でも忘れさせてくれる詩を求めている気持ちがよく分かる。 画家の話だからか、ただ宿に泊まるだけで見えている景色が美しい。言葉選びが美しくて絵画を見ているような心持ちになる。 那美との小説に関する話が面白い。一から十まで順序立てて知っていく必要はない。過程はどうでもよくて、こういう切り取り方をした気楽な楽しみ方もあるんだな。 那美の憐れがにじみ出た表情を見てそれだ!と言うところ、人の心がないくらいに見える。でも芸術が生まれる時ってこういうことなのかもしれない。
0投稿日: 2017.09.22
powered by ブクログ「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい 」 あまりに有名な冒頭。 このたびやっと読むことができた。 芸術家としての心持ちだとか自然に身を置く時の目のつけどころと感慨が、的確で含蓄があって、本当に名文だと感じた。そしてそれを表現するだけの漢文の素養も海外の詩にも詳しく、漱石の知識の豊富さを改めて知った。 ストーリーも、男女の恋心などは全く含まれていなくて、というかふわふわとりとめもなくて、良かった。
0投稿日: 2017.08.17
powered by ブクログこの作品の中で展開される思想というか気分には、青臭さを感じるものの妙になじむものがあって、一人旅に持ち歩きたい本だなと思った。
0投稿日: 2017.07.26
powered by ブクログ中学生の時に買ったが、難しくて枕にしていた。 今になって読むと、句読点のタイミングがとても心地よいのが好き。それと漢字の当て方。ヤンキー達が使っていてもおかしくないかも 猫も読んでみようか知らん
0投稿日: 2017.07.25
powered by ブクログ一度読もうとして、断念した作品を2017年新春に再度チャレンジ。 筋というものがほとんどないので、読みづらい。 ただ、夏目漱石の考える東洋文明と西洋文明の対比・芸術論などが漱石の豊富な知識量とともに感じられる作品。 熊本の小天温泉を舞台にしており、熊本復興のひとつになる観光資源になればと思います。
1投稿日: 2017.01.04
powered by ブクログ文体が古いので、すんなり読み込めない部分はあったけど、この小説のんびりしていて好きだった。主人公が旅先で散歩をしながら考える芸術観は、散歩をしながら浮かんだ感覚がよく表現されている。日常の隣に過酷な現実が待っている感覚はリアリティを感じた。
0投稿日: 2016.09.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
漱石の初期の代表作。山里を訪れた青年画工がそこに住む女性を絵に描こうとするが、女性の表情を描くのに、何かが足りない。その「何か」がわからず探求する話。詳細→http://takeshi3017.chu.jp/file7/naiyou8108.html
0投稿日: 2016.06.02
powered by ブクログ逗留する余と旅館の出戻った個性ある娘との一幕。 思いっきり綺麗に描写してる文学作品です。文学ってこうだぞ、どうだまいったか的内容で、作品として楽に楽しめるものではない。
0投稿日: 2016.05.18
powered by ブクログ言葉の音としての響き、言葉で描写される風景、どこをとってもとにかく洗練されていてのびのびとして、気持ちが良い心地に浸されました。 とても好きでした。
0投稿日: 2016.04.24
powered by ブクログ画家が世間を離れるために山奥の宿に泊まり、そこにいる出戻りの知的で美しい女に幻惑される。 何の話だかよく分からない。 語彙がありえないくらい難しく、註がないと読み進めることができない。註はものすごい量である。 漢詩の素養があったほうがよい。 しかし、文章も、描かれる光景も美しく、じっくりと浸ることができる。
0投稿日: 2015.12.31
powered by ブクログ難しい。知らない言葉が多すぎて、いちいち引くのが億劫に。 ただ一つ分かったことは、 町田康の「どつぼ超然」はこの作品のオマージュだということ。
0投稿日: 2015.12.01
powered by ブクログ解説などには「これを小説と呼べるのか?」というような評判も紹介されていますが、私はそれは不当だと思うんですね。 「余」という一人称で語り手として登場する画工の青年が、画題を探し山間の集落に立ち寄り、宿にした家のちょっと変わった娘――旦那の勤め先が戦争で傾いて失職したために離縁した、そして今では気が触れたとされている――を描きたいと思う。描きたいと思うけど何かが足りないと考える。そんな状況下で、この青年の芸術に向き合う様を中心に読んでいれば、ストーリーがない、なんてことはないんじゃないかと思います。 特に最後の1ページは最高です。娘、出征するその従兄弟、見送りに同行した青年らのそれぞれの頭の中には複雑な思いが交錯しているのだと思います。ラストシーンに向かうはゆっくりと進む小舟。 舟上で繰り広げられるやりとりは、ある意味でこれまでの日常の延長。しかし集落から下流に進むに連れて町に近づき、「余」が芸術活動の中で遠ざけたいと考える俗界に入っていく。娘を描きたい。しかし何かが足りない。 心の中が見えない娘。 出征直前の従兄弟。 駅に着き、別れの言葉を交わす。従兄弟を乗せた列車が動き出す。顔が遠くなる。その後に起こるできごと。そして、この小説はある一点に収斂する。意外。でも、それが一番しっくりくる締めくくりのように思われます。 本作に限らず、この時代の作品は、私たちにたくさんの日本語を失ってしまったことを思い起こさせます。 豊かな表現をもっていたのに。自分の気持ちを表現するのは1パターンだけではなかった。自然、草花の色や様。風の吹き方。雨の降り方。そのそれぞれに最も適切なものは、たくさんの抽斗の中にぎっしりと入っていたものの中から自由に選び出せたのに。今では、すっかりガタついて開かない抽斗が多すぎるのです。 私はこれらが永久に失われる前に取り戻したいと思います。
1投稿日: 2015.09.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
簡単に言えば、画家が絵を描きに温泉宿にいくけど、一枚も描かない話です。自然の描写や、出戻りの美女那美の描写など、とてもおもしろいです。漱石だから禅もでてくる。このなかに漱石一流の美学が語られていて、それが「非人情」なんだと思う。要するに当事者にならず、突き放して鑑賞するという態度なのであるが、それが積極的かつ情熱的な西洋の芸術と比べられていてたいへんおもしろい。那美は最後に「憐れ」の感情をみせるけれど、これが日本の美ということなのかもしれない。本の「非人情」な読み方がでてくるけれど、これは中国近代の士大夫などもこういう風に拾い読みをしていて、漱石はやっぱり士大夫なんだなと思った。 とにかく文章は美しい。そしてそれを楽しめばいいということです。エンタメじゃないんだから。
0投稿日: 2015.08.24
powered by ブクログ主人公の芸術論が延々と続き一文が難解なこと難解なこと。注釈を見ながらでもまだ❓が残ります。ヒロイン那美が登場し面白くなるのが半分すぎたぐらいから。夏目漱石が、絵画、俳句、詩歌の知識にいかに秀でていたかよくわかります。
1投稿日: 2015.07.03
powered by ブクログ絵を描く旅。 詩を読む旅。 もののあわれ。 その言葉で人の表情は、どう変わるのだろうか。 『坊っちゃん』や『我輩は猫である』の印象が強く。 なんだか、さらさら読める気でいたが、なかなかページをめくる手が進まない。 また機会が訪れれば再読したい。
1投稿日: 2015.06.27
powered by ブクログ小説、として読もうとすると肩透かしを食らうような 文の美しさは相変わらずですけどね。 とはいえ会話になった途端雰囲気が変わるといいますか、登場人物の瑞々しさは一体何なんだろう…漱石恐るべし。 芸術家の哲学。凡人の私には成る程なあくらいにしか理解できませんけども、共感を伴わなくても楽しめる文章っていいですね。
0投稿日: 2015.03.26
powered by ブクログ「智に働けば・・・」で始まる1ページ目の文章は印象に残り、諳んじてみたくなる。直後の文章も好きだ。「住みにくさが高じると、安いところへ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る」この世の中に心地よい理想の居場所など存在しない。そんな世の中を少しでも心安くするために、美しいものを生み出すのが芸術家の本分。難解な言葉が頻出で脚注だらけなので、全体的な読みにくさはある。それでも文章の流れに身をまかせて読み進めていくと、ハッとさせられる部分がある。何度か読み返したい1冊だ。
0投稿日: 2015.01.13
