
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ストーリーはありふれている 若くしてがんになった遼賀 弟の恭平、母、偶然再会した元同級生の矢田泉、勤務先のアルバイト高那 視点が色々かわりつつ、遼賀の闘病を支えていく物語 ありふれた物語なんだけど、なんでこんなに感動したのかな 家族のきずな、なんて言ったらあまりにもベタすぎるけど 嫌な奴が出てこないのが読後感のいい所以か ただ、恭平に妻と子がいるのに一切出てこないのがちょっと不自然かなぁ、と思った
0投稿日: 2026.02.02
powered by ブクログ本読んで泣いたのは久しぶりな気がする。 やっぱりわたしは藤岡さんの書く文章が好きだなぁと思った。難しくなく、でも繊細で、切ないとかやるせない中にも希望のような温かいものがある。そう感じる。 第一章は遼賀自身の目線、第二章は遼賀の母親・燈子、第三章が遼賀の同級生矢田泉、第四章は弟の恭平、第五章はまた遼賀目線だけど職場の高那の話がクローズアップされたり過去を探しに行くような話。そしてエピローグは… 病と闘うとは、闘う人を支えるとは、をリアルかつ繊細に、でもやさしく温かく教えてもらった気分。 第五章の終わりのほうを読んでいると、タイトルの「オレンジ」がすごく効いてきて、うってなる。 癌や大病って大抵「どうしてあの人が!?」とか「なんで自分なの」と思ってしまうほど意外なタイミングで訪れる。この物語の遼賀だって、特別な何かがあったわけじゃないのに。だからこそ、後悔がないように日々生きなきゃなと思った。立派なことなんてなくていいから、時々振り返りながら、考えながら、大事に日々を重ねたいなと。 解説に、「人は生きてきたようにしか死んでいけない。」とあって、ハッとした。 P319 人は死んでも、誰かの心を震わせることができる。
14投稿日: 2026.01.14
powered by ブクログ今年最後にして最高の作品に出会えた。隠れた名作です。 自分は何者でもないけど生まれてきてよかったと思って最期を迎えたいものです。
10投稿日: 2025.12.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
誰かを幸せにすると、必ず幸せは自分に返ってきます。そして自分の家族にも幸せは返ってきます。 遼賀は自然に、周りの人に幸せを与えて生きてきました。 遼賀は癌を患って短い人生になったけれども、遼賀に関わるたくさんの人に無条件の幸せを与えてきたから、みんなの心が荒むことなく、誰かを傷つけることなく、優しさや希望を持って、最後まで共に過ごせたはずです。 遼賀は、いつもの風景に咲く優しい花のような存在。普段は忘れちゃってるけど、本当はずっと心の中にいる。そんな人が近くにいたら、、素敵ですね。 どんなに苦しくて辛い状況でも、人を思いやる人生を送っていれば、幸せな最期を迎えられるのだと、希望をもらいました。
9投稿日: 2025.12.14
powered by ブクログすごく心に響く一冊だった。 33歳という若さで突然のがん宣告を受けた遼賀。 人生が180°変わってしまった彼のこれまでと宣告後の生き方、家族の存在に感情が揺さぶられっぱなし。闘病は壮絶なのに温かな空気は優しく伝播していく。 藤岡陽子さんは初めましてだったけど、とても読みやすくて温かみのある文章を紡ぐ方だなぁと感じました。他の作品も読みたい!
19投稿日: 2025.11.29
powered by ブクログこの本は、「生きろ。」とは言わない。 「生きている。」ということをただ知らせてくれる。 生きていれば色々なことがある。いじめから逃げる日々、ゲームに突っ込んだ青春時代、初めて成功を手にした大学受験、親友の死、仕事、結婚‥。 そういった経験を重ね、歪な形ではあるだろうが、今日も僕は生きている。 そして今も大変だが、きっとなんとか生きていく。 それでいいじゃないか。
0投稿日: 2025.11.24
powered by ブクログじんわりと心が動いていくような小説だった。周りの人たちに支えられながら遼賀が闘病していく様子は自分の人生を振り返ってまた生きていく時にあたたかいエールを送ってくれるような気がした。
17投稿日: 2025.10.12
powered by ブクログ若くしてがんを告知されるところから話が始まる。病気との闘い、同僚や家族や同級生との関わりの中で自分の人生について見つめ直すことになる。悲しい話だけど、読んだ後には温かい気持ちになる一冊。
2投稿日: 2025.10.04
powered by ブクログ読みながら、涙が止まらなくて困りました。 命について、生と死について、生き方について、深く深く心に沁みてゆき、自然と出てきた、そんな涙でした。
3投稿日: 2025.09.20
powered by ブクログ主人公の遼賀は芯が強くて心根が優しい。その遼賀の優しさをよく理解する人たちに最後は支えられる。 当たり前に家族であるのではなく、家族になる決意を持ってつながっているから、より感謝や絆が深いのかもしれない。 母の燈子の章はとても切ない。 自分が一番大変なとき、誰に電話するだろうと考えてしまいました。 藤岡さんの作品なんか好きです、また読みたい。
60投稿日: 2025.09.20
powered by ブクログ人生これからって時に胃癌になって 生きる為に治療に望んで頑張って でも願い叶わず身体の限界がきてしまって 残された時間を自分らしく生きる。 そんな遼賀と それを支える家族や幼馴染みが描かれている。 フィクションだから 誇張されてる部分もありそうと思ってたけど 全然そんなことなくて 私が看護師として働いてきて ずっと目の当たりにしてきた現実が そのまんまこの本の中にあった。 突然の癌の告知。 告知から治療の選択まで時間が短いし 気持ちの整理もつかないままとか 現実感を感じないままとか 患者の立場にたったら過酷だと思う。 でも 治療は1日も早い方が良いって知ってるから 早く選択してもらいたくて焦るし 本人の気持ちを置いてきぼりになりそうになるのも すごく分かる。 がん治療は終わりが中々見えないし どんな選択が正解か悩みながら 患者も家族も選択していることを知っているから どんな選択をされても その選択を支持し支えるつもりでいるけど 状況によっては本当にこの選択で良いのかな 後々後悔されないかなって思う時もある。 そんな思い通りに進まない治療、 治療の終わりが見えない不安や恐怖、 治療や辞める選択をする葛藤などが 患者・家族や看護師視点で描かれいて 読みながら色々考えさせられたし 自分が行っている看護を振り返ってた。 結末は亡くなってしまうけど 悲しい・辛いだけじゃなくて 家族の繋がりや温かさ QOLを維持することの大切さなど もっと沢山のことが伝わってきて 読んで良かったと思える本でした。
9投稿日: 2025.09.15
powered by ブクログ出だしからグイグイ持っていかれました。 病気は人を選ばない。真面目でも節制していても。主人公の遼賀は本当に強い。きっと自分はすぐに逃げようとして、でも逃げられないことに絶望してしまいそう。遼賀を支える母や弟や祖母や同級生やアルバイト同僚。あったかくて涙が出る。 中学生で雪山遭難した時の両親への手紙。 「ぼくの人生が短くてかわいそうですか?」 精一杯やって、やりたいこと後悔なくやって、短くてもいい、と思えるような人生を送りたい。
2投稿日: 2025.09.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読んでいて辛い箇所もあるが、それ以上に主人公(遼賀)や周りの人の言葉に勇気をもらえる本でした。 どんな人でも、必ず人生を終える日がくる。 与えられた限りある命を、その人なりに よりよく生きることが大切。 そして永遠に、周りの人の心の中で生き続ける。 遼賀は、秀でた能力があったわけではない。 しかしここぞと言う時、周りの人を支えて生きてきた。 普段「ありがとう」と言われることは、気に留めていなかったが、「ありがとう」の意味をもう一度考え直す機会にもなった。 この本に出会えてよかったです。
4投稿日: 2025.09.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
やっぱり悲しくて。 所々読むのが辛かった。 遼賀は生きたかっただろうと。 誰よりも優しくて誠実だった遼賀。 周りの人もみんな優しくて、だからこそ辛くて。 そして、どんどん迫り来る病の恐ろしさも感じた。
11投稿日: 2025.08.30
powered by ブクログ○本のタイトル『きのうのオレンジ』 ○著者名 藤岡陽子(ふじおかようこ) ○装丁 宮口瑚 ○装画 しらこ ○出版社 集英社 ○ジャンル 医療小説 ○入手方法 図書館 ◯どんな本? 胃癌と闘う青年の物語。 彼は家族や友人の温かい支えを受けながら、過去の登山での遭難の経験も思い出していく。 どんなに大変な状況でも生きること、希望を持ち続けることの重要さを教えてくれる感動的な作品。 ――――――――――――― (主な登場人物の魅力や特徴) ○笹本遼賀(ささもとりょうが) ・主人公 33歳 ・岡山県出身 ・都内のイタリアンレストラン「トラモント」の店長 ・胃癌の診断を受ける ・優しい性格 ○笹本恭平(ささもときょうへい) ・遼賀の弟…… 顔がそっくりなので双子だと思われていることが多い ・岡山県の高校の体育教師 ・野球部の監督 ・既婚者、子供もいる ・思ったことがすぐに顔に出る ・目配りができる ○高那裕也(たかなゆうや) ・「トラモント」のアルバイト ・遼賀に採用してもらったことをとても感謝している ・働き者 ・見た目だけでは判断できない価値や能力を持っている ○矢田泉(やだいずみ) ・遼賀の高校の同級生で美術部 ・都内の病院の看護師 ・頼りになる存在 ―――――――――――――― (舞台や世界観) 舞台は、都内のイタリアンレストランと主人公・遼賀の故郷である岡山県だ。 33歳の遼賀が胃癌の告知を受けるところから物語が始まる。 この作品では、病気と向き合う遼賀が、家族や友人からの愛や支えを感じながら、心の葛藤を乗り越えていく姿が描かれている。 人の絆や生きる意味を考えさせられる内容で、命の大切さやつながりの価値が伝わる温かいストーリー。 ―――――――――――――― (ページをめくりたくなる展開) 主人公の笹本遼賀は、病院で高校時代の同級生・看護師の矢田泉と偶然出会う。 遼賀は胃の不調を薬で押し込めながら仕事を続けていたが、ある日、検査で胃癌と告げられる。 彼の普通の日常は、突然の入院によって一変してしまう。 急に入院が決まったことで、生活がどうなるのか不安で混乱してる気持ちがよくわかる。 まさに誰にでも起こり得る現実が描かれていて、最初から最後まで目が離せない。 思わず自分のことのように感じてしまい、ページをめくる手が止まらなくなるだろう。 遼賀の周りには悲しむ人たちや、助けてくれる人たちがいる一方で、彼は「自分のせいで迷惑をかけている」と心の中で葛藤するシーンも。 そして、生きたいという強い思いには共感した。 人の手を借りなければならない現実に申し訳なさや虚しさを感じつつも、彼の姿勢には勇気をもらえた。 この物語は涙なしでは読めない感動作だ。 読むほどに心に響くストーリーに、あなたもきっと心を動かされるはず。 ――――――――――――― (ひとこと) 病気になるのはとても辛いことです。 「どうして自分だけが…」と思うこともあります。 そして、普段の悩みが死ぬかもしれないという事態と比べると、小さく感じてしまうこともあります。 私も病気を抱えていて、経過観察のために定期的に病院に通っています。 以前は、長く生きられないかもしれないと、すごく不安になったこともありました。 その時、まだ1歳にも満たない娘を抱いて泣いたことを思い出します。 この作品を読むことで、そのような気持ちを再び思い出し、登場人物の気持ちに共感しました。 読み進めるほどに、主人公がどんな困難に直面するのかを考えると、辛くなることもあったけれど、希望を持ち続けて読み進めました。 重い内容でしたが、読んだ後は心が温かくなり、今この瞬間に感謝し、日々の一瞬を大切にしようと思いました。 この作品は、勇気をくれ、生きていることの大切さを再確認させてくれる素晴らしい内容でした。
30投稿日: 2025.08.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
主人公が癌発覚初期と後期で心境が変化していく感じ、登場人物の主人公に対しての優しさ 決して明るいストーリーではないのに、この温かくて愛でいっぱいの作品とても素敵でした…。
2投稿日: 2025.08.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
『きのうのオレンジ』は、死と生に向き合う物語でありながら、不思議と重苦しい雰囲気はありませんでした。主人公や周囲の人たちの葛藤や辛さはしっかりと描かれているのに、現実世界まで差し迫ってくるような苦しさは感じませんでした。 この作品は、死や生を「鋭く突き刺すように」描くのではなく、その部分に優しく触れてくるような印象がありました。その優しさが心に沁みて、気がつけば涙があふれていました。 物語に登場する人たちは皆、思いやりを持っていて、苦しい状況を抱えながらも優しい世界を形づくっていました。その温かさが、作品全体を柔らかく包んでいて、読む私自身もどこか救われるような感覚を覚えました。 『きのうのオレンジ』は、重いテーマを描きながらも、優しさをもって生や死に寄り添ってくれる物語でした。私にとってこの本は、「生きる意味を問いながらも、優しさを見出せること」を教えてくれる一冊だったと思います
3投稿日: 2025.08.25
powered by ブクログ登場人物の誰もが愛に溢れている 三浦綾子さんを思わせる苦難の連続のストーリーだが 愛が救ってくれる 生きるとは 家族の在り方は など考えさせてくれる一冊
14投稿日: 2025.08.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
これといった特技がなく、また自分をそっちのけに他人のことを考えてしまう遼賀に自分を重ねてしまった。遼賀ほど清らかな心は持ち合わせていないけれど…。 病気や命、生死をテーマとするストーリーは涙なしには読めない…遼賀も、遼賀を支える家族、友人、職場のアルバイトも暖かい人ばかりでそれぞれの視点で書かれていることもあって余計に。 生まれてきてよかった、なんて最期に思えたらそれ以上のことはない。自分らしさを大切に毎日を生きていけたらそう思えるようになるのかな。
3投稿日: 2025.08.11
powered by ブクログいい小説だった。 闘病生活というほどではないが、30代半ばで癌を患いそれからの生活模様が描かれ、家族の暖かさが伝わってくる。 しんどい描写などはないので、暖かい気持ちになりたい人におすすめ。
10投稿日: 2025.08.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
突然がんと言われた主人公が、昔の記憶や思いを大事にしながら生きていく点が良かったです。 個人的にも入院経験があり、登山経験もあるので感情移入しやすかったです。
3投稿日: 2025.07.28
powered by ブクログ笹本遼賀は33歳、独身で 都内のレストランで働き、まじめに生きてきた。 なのに、胃の不調で受けた検査で、がんと診断される。 懸命に生きようとする遼賀と 彼を支えようとする家族のあたたかさに 前半から涙が止まらなかった。 10年前に母をがんで亡くしているので なんとなく、思いが重なってしまって 心に響いたのかも。。。 この作家さんの本は3冊目で 友人に勧められるまで、知らない作家さんだったけれど 私好みで読みやすいので、 別の作品も、もっと読みたいって思っちゃう。
3投稿日: 2025.07.26
powered by ブクログ33歳でがんになってしまった笹本遼賀のお話。 2章以降、遼賀の母、同級生の看護師、弟視点の物語で、遼賀への想いが伝わってきてずっと泣きながら読んでいた。 みんなの視点からの物語を読んでいて、遼賀の周りにあったかい人が多いのは、遼賀があったかい人だからなんだなとわかる。 病気のショックに戦いながらも、過去の体験から覚悟を決めた遼賀の姿に、 生きようと進んだ経験が、未来の自分の背中を押してくれるんだなと感じた。 頑張ろうってなった。
7投稿日: 2025.07.22
powered by ブクログ2025年7月16日読了 読んで良かった〜〜 まずこの一言。 人並みに真面目に、コツコツ腐らず生きてきた33歳、胃の不調を訴え病院に行ったら癌でしたな本。 素敵な人の周りには似たような人が集まってくるよなぁとしみじみ実感。フィクションだけど、登場人物の人柄にリアリティがあって最近よくあるような小説に見られる謎の綺麗事や都合の良さもなく、読んでいてつっかかりや疑問もないのでこの作品をすんなりと受け入れて、良かったと感じることが出来た。人物の考えや在り方がちゃんと一貫しているんだろうね。 作品全体があたたかい空気に包まれていて、優しくなれる感じです。私も前向きになろうと思えるし、日頃から自分に正直に、よくしていれば見てくれている人は絶対いるんだと思える。解説もすごく同意! この作者さんの他の作品も読んでみたいと思った!
4投稿日: 2025.07.17
powered by ブクログ主人公の遼賀は自分の事より相手の事を考えるような好青年なので、遼賀の周りにいる人たちも、遼賀の性格が呼び寄せるのか良い人ばかりで、闘病ものなのに暗くならず、とても温かい気持ちで読み終えることができました。 藤岡陽子さんて看護師さんなんですね〜
10投稿日: 2025.07.14
powered by ブクログもし、自分が癌になったとき 何を思うだろうか? もし、家族が癌になったとき 何ができるだろうか? そんな事を考えずにはいられない。 病気を背負ってしまった側、 病気の人を支える側の不安や苦悩がまざまざと 描かれていて心揺さぶられます。 看護師として働いてきた著者だからこそ、身近にみてきた生と死がリアルに表現されている。 読後、切ないけれど不思議とあたたかな気持ちにさせてくれる物語。 主人公の遼賀が重い病と向き合い最期まで 自分らしく悔いのない人生を生きた。 この物語は看護師の矢田なしでは語れない。 矢田は遼賀の元同級生でもあって、看護師と友人として遼賀を支えていきます。 偶然訪れた病院に看護師として矢田が勤務していて、親身になって寄り添ってくれたことは 遼賀にとってかなり心強い味方だったと思います。 友人であり看護師だからこそ、家族に言えない 本音や心の弱さを吐き出すことができる唯一の相手なのだと思う。 看護師という体力的にも精神的にも過酷な仕事の合間をぬってひたむきに寄り添う姿は、少しでも良くなってもらいたいという気持ちが伝わってきます。 遼賀の台詞が印象的でした。 「男は女の人の手に包まれて生きている」 男にとって女性の優しさ、あたたかさって何か特別なんだと思う。 矢田と遼賀の関係がとてもあたたかく感じた。 「もし生まれ変わったら結婚がしたいな。 結婚をして自分が育ったような家庭を持ちたい。」 出来ることなら矢田と幸せになってもらいたかった。でも病がそれを許してくれなかった。 それでも悔いのない人生を送れたのは矢田の力が大きいと思う。 だからこそ誰もが遼賀のような悔いのない人生に憧れ、オレンジ色の希望の光や優しさが読後のあたたかさを感じさせるのだろう。 結局、支える側は願って、励まして、寄り添うことぐらいしか出来ないのかなと思う。 同じ癌だからといって人それぞれだから同じ薬が効くとも限らない、大丈夫とか治る保障もないのに安易に言えないし、苦しい思いをして頑張っているのに、もっと頑張れとも言えない。 ネットで検索しても悪い事しか出てこない。 寄り添うことしか出来なくて無力さを感じる。 だから矢田のような人が明るく親身に寄り添ってくれるのは本当に心強いと思う。 最期を迎える時に私は何を考えるだろう? 人生の終わりに後悔ではなく、ありがとうと感謝の言葉をいえる、そんな人間になりたい。
34投稿日: 2025.07.06
powered by ブクログこんなに号泣する作品は、そうないと思う。 でもそれは、ただ闘病ものだというだけではなくて、笹本遼賀という青年が真摯に自分の生命に向き合う姿と、彼を支える家族や周りの人達に心が震えたから。 間違いなく、自分的に今年のBEST3に入る作品。
18投稿日: 2025.06.29
powered by ブクログ33歳。突出した功績は無くとも真面目に生きてきた笹本遼賀は、胃の不調で受けた検査の結果、がんであると宣告される。 主人公・遼賀の出身地や年齢、上京してからの境遇が自分自身と近似しており、自己投影してしまった部分もあって久しぶりに泣いた作品。 情景描写が秀逸且つ、死に向かって生きる人間とそれを支える人たちの心理描写が丁寧な文章で語られていく。 読み終わって、本を閉じて表紙を眺めていると、その美しさと儚さにまた泣けてしまった。
5投稿日: 2025.06.28
powered by ブクログ主人公の遼賀は33歳。優しく誠実に生きてきた。突然受けたがんの宣告。そんな彼を支える家族、旧友、部下。支える人たちの気持ちや行動を通して、遼賀のこれまでの生き方が感じられた。オレンジ色の登山靴と夕陽。オレンジが生への活力を象徴しているように映った。
18投稿日: 2025.06.24
powered by ブクログ家族愛や人を思う気持ち、命、教育など、テーマがいくつかありましたが、どれも他人事とは思われず、「あなたはどう思う?」と問われているような感じで、読み進めました。 次の恭平の言葉に、深く深く共感しました。私も、教育者のはしくれとして、そうしたことを強く危惧し、日々、子ども達と向き合っています。 「浅井がこのままの性根で社会に出たならもっと酷いことになりますよ。自分に非があるにもかかわらず、そのことを上司に叱責されたら、そこでもまたパワハラだと訴えるんですか。悪いのは自分だ、だから叱られて当然だ。そういう思考を身につけないまま社会に出たら、泣きをみるのは浅井自身ですよ。」 世の中には自分の非を認めない人間が多すぎる。自分に不利なことが生じれば、すぐ他人のせいにする。「怖かった」「傷ついた」と訴えれば誰でも被害者の顔になる。
42投稿日: 2025.06.22
powered by ブクログレストランの店長として働いていた笹本凌駕が突然ガン宣告を受ける。 弟の恭平、母親、祖母、 病院で偶然再会した高校の同級生、矢田。 レストランのバイトの高那。 様々な人たちの温かさに囲まれ、凌駕は命を燃やしつくす。 いつも人を思いやり、人の事ばかり気遣っていた凌駕が、矢田に対して「病気になってないのに俺の気持ちが分かるなんて言ってほしくない」と言い放った時は、私も心が苦しくなった。 たくさんの患者さんと向かい合っている看護師さんをされている藤岡さんだからこそのリアルな描写だろう。 登山靴のオレンジ、蜜柑のオレンジ、夕陽のオレンジ、レジャーシートのオレンジ。 命の炎のオレンジが沁みる作品でした。
3投稿日: 2025.06.16
powered by ブクログ最期までどう生き抜くか。 周りからみたら、目立った功績や反対に悪いこともしていない、いわゆる平凡な人生なのかもしれない。それでも、丁寧に誠実にさまざまな物事に向き合ってきたからこそ、最期にひとが集まってくるんだろうなと思いました。 描写が丁寧で情景が浮かびやすく読みやすかったです。
15投稿日: 2025.06.09
powered by ブクログ泣いた。何回泣いたかわからない。 主人公の意志の強さや優しさ、弟や友人たちと織りなす物語がとても感動的。闘病という暗いテーマにも関わらず、爽やかなカラーがかかっているような、素敵な作品だった。
2投稿日: 2025.05.10
powered by ブクログ決して特別ではない、側から見ればありふれた普通の人生を送る人が最期を迎えるまでの間の人とのやりとりや、自分と向き合う様子に心をぎゅっと掴まれるような気持ちになった。優しさとか失う悲しさとか一言では表せられない感情が湧き上がる。
2投稿日: 2025.04.25
powered by ブクログ私が闘病生活したら支えてくれる人ってどれだけいるのかな。 家族はいるとしても、遠くからお見舞いに来てくれる友人なんていないだろうな。 登場人物がみんないい人で。
1投稿日: 2025.04.17
powered by ブクログもし自分が主人公と同じ状況になった時に、こんな風にいられるだろうか。 人の強さはこういう状況に置かれて、初めて真価が発揮されるのだと感じた。 そういう意味で、この主人公は強い人だと、また、彼を支える家族、友人もとても魅力的だと思った。
17投稿日: 2025.04.15
powered by ブクログ感想 何かで目立ったことはないが精一杯生きた。それが一番素晴らしいことではないかとしみじみ感じるような作品。 あらすじ 笹本遼賀は33歳独身。イタリアンレストランのチェーン店で働いている。身体の不調で病院に行くと胃がんを宣告される。そこで高校で同級生だった矢田が看護師をしており、再会する。 放心状態の中、同い年の弟と15歳の頃に雪山で遭難したことを思い出す。弟の恭平は、遼賀を励まそうとあの日、山に登って兄から借りたオレンジの靴を送ってくる。 手術には母親が付き添う。恭平は実は母親の妹の子供であることを思い出す。手術は無事に終わったが、医者より膵臓に転移していたことを知らされる。 遼賀は、岡山に帰ることを決め、実家で母親と過ごしながら治療を続ける。母親に最後にお願いしたことは恭平と遭難したあの山に再度登ることだった。 遼賀は33年という短い生涯であったが、自分らしく生き抜いた人生だった。
24投稿日: 2025.04.02
powered by ブクログ自分の寿命が日に日に近くなる恐怖と、治療の苦しみなど苦境に立たされているときこそ本性が垣間見えることもありそうなものだけど、どこまでもみえる思い遣りと優しさ。 遼賀の生き方や人柄にとても惹かれました。 さり気なくて、健気で、優しくて、自分を受け入れている感じ。小さい頃からずっと、優しいのです。 遼賀の母、弟、担当看護師の目線で話がすすめられていきますが、皆それぞれの立場で優しい。優しい人たちの目線で遼賀が描かれるのでさらに遼賀の優しさが際立つようにも感じられ、、、。 病状の変化の残酷さ、周りの気持ちの揺れややるせなさなど読んでいて苦しくなるところもありますが当人の遼賀が癒してくるという 不思議な感覚でした。 気持ちの繊細な部分も丁寧に描かれているので感情が揺さぶられ夢中で読みました。
12投稿日: 2025.03.29
powered by ブクログ主人公は33歳、イタリアンレストランの雇われ店長。胃の調子が悪く病院へ行くと精密検査の必要があると言われ、その結果、胃がんの宣告を受ける。 どうして自分が…人並みに真面目に生きてきたのに…そんなやるせなさに苛まれながら、支える家族・友人の優しさに包まれながら治療を続ける。 こちらはもう若くはなく、還暦を過ぎた年代だが、先日の人間ドックで再検査を受けたばかりなので、結果がもしも悪かったらと、我が身に置き換えて、いつのまにか入り込んで読んでいた。 作者の藤岡陽子さんは、作家でもあり看護師でもあるようだ。医療の現場を知っているからこそ、病気になった患者さんの心情などがわかり、表現に説得力が生まれるのかな。 (実際にがん患者さんと接している20代、30代の看護師さんに取材させていただいたとのこと) 恐怖、不安、後悔など、さまざまな感情を抱えながらも自分の人生を前向きに受け入れようと生と死の狭間で苦悩しながらも生き抜こうとする主人公は尊く、ラストシーンには涙を禁じ得ませんでした。優しい、そしてステキな物語でした。 物語が進むにつれ、表紙絵の意味がわかり、また目頭が熱くなります。
0投稿日: 2025.03.04
powered by ブクログ上京・仕事・闘病・家族・再会・別れ…かつての遭難の記憶を足がかりに、主人公が自分の人生と大切なひとを想う物語。「強い」というのはこういう人のことを言うんだろうなあ。
0投稿日: 2025.03.03
powered by ブクログ登場人物がみんな優しくて、遼賀を懸命に励ます描写が美しかった。ほっこりした。タイトルのきのうのオレンジは何を表しているのか考えてみた。オレンジは15歳のとき、雪山で遭難した時に履いた、そして恭平と取り替えてあげた登山靴だと思う。死が近づいていることを自覚した時に、同じくらい死をリアルに意識して、でもちゃんと生きて帰ってこれたあの日のオレンジが、今の自分に勇気を与えてくれていると感じなのかなと思った。人に優しくしたい時、人の優しさに触れたい時に読み返したくなる。
8投稿日: 2025.02.26
powered by ブクログ図書館本 ★4.5 一万円選書でお勧めされた本です 後半になってきたら、自宅で読むことをお勧めします 33歳で癌になった主人公 15歳の時に故郷の雪山で遭難したことがあります 双子とみんなに思われている兄弟とは離れて、東京で暮らしている時に、病気が判明し、岡山の実家に戻ります 高校の同級生が看護士になっていて再会したり 家族とは 人の縁とは 生きるとは死ぬとは を考えさせられる内容です 読んでよかった。生きることを当たり前と思ってしまうけど、「今」がとても大切だと思い出させてくれました。
128投稿日: 2025.02.12
powered by ブクログ藤岡陽子さんの作品は今回で5作品目 読み進める度に何度も瞼が熱くなり、 感極まって一旦ページを閉じる・・・ そんな風にようやく読み終えた作品。 『きのうのオレンジ』 胃がんの宣告を受けた33歳の主人公 笹本遼賀 遼賀と双子ということになっているが 実は一歳違いの弟 恭平 彼らの母 燈子と祖母の富 高校時代の同級生で看護師となった矢田泉 遼賀が店長を務めるお店のアルバイト 高那裕也 遼賀と彼を取り巻く人々との生きた交流を描いた本作 ガンの闘病小説ではあるが、小説の軸となるのが主人公の笹本遼賀が生きてきた道。 否応なく病状が進む一方で、遼賀が自らの生きてきた道を振り返り、そして何を感じ、何を思うのか。 読者はそれを静かに見守りながら読み進めるこになる。 看護師の藤岡陽子さんだからこそ描くことのできる緻密でシリアスな情景描写と、真面目で温かい遼賀の人間性に深く惹きつけられた。 生きていくことの延長線に死にゆくことがある。 そんな当たり前のことを、現実的でありながら重苦しくならず、自分ごととして捉える力を与えてくれるような作品だった。
57投稿日: 2025.01.19
powered by ブクログ登場人物それぞれに心動かさせる作品だった。感動させられる1冊だった。年の初めにこういう作品に出会えるともっといろんな本を読みたいなと思えるので読書を楽しむ1年に出来そう。
2投稿日: 2025.01.09
powered by ブクログまたまたいい作品に出会えたなと思える1冊! よくある(というのも失礼ですが。)主人公の闘病生活を描いた小説かと思いきや、それだけでなく、彼の強さや人柄、家族への思いを感じられた。 リアルな病気の宣告やそれに対する思いが実体験しているかのように感じられた。 作者は看護師だったことから、病院内の事情や看護師の働き方などもリアルに細かく描写されていた。 2024年までに読み終わりたかったけど、ギリギリ間に合わなかった。
13投稿日: 2025.01.02
powered by ブクログ33歳でガンになってしまった遼賀と家族とまわりの人たちのお話。 遼賀は特別に秀でた才能を持っているわけではないけれど、とても優しく強い人。同級生が表現したリモコンの5の点の様なという表現がとても気に入りました。派手に振る舞わないけど、支えてくれてるこういう人に目を向け感謝できる矢田さんもとても素敵でした。出てくる人がみんな優しくて病気のお話ですが、温かい気持ちになれました。 2024年、最後にこの本を読めてよかったです
14投稿日: 2024.12.31
powered by ブクログ33歳で癌を患った男が家族や大切な人たちに見守られながら生涯を閉じていく物語。この著者の作品はこれが初めて。やたら専門的な医学用語が多いなと感じたら、文学部を出ていまは病院で働く看護師なのだそう。 どんどんと転移する癌を前に患者は何を思うのか、深く考えさせられた。インフルエンザを患っただけでもあまりの辛さに絶望するのに、回復する見込みのないトンネルの中でどんどん蝕まれていく身体、人生。若くて健康なことはそれだけで有り難く、色んなことに挑戦したい。将来同じように死を待つ状態になってなるべく後悔しない人生を歩みたいと思った。
10投稿日: 2024.12.30
powered by ブクログ家族になろうとして、家族をしていた笹本家。でも、家族って血のつながりに関係なくそうあってほしいと思ってしまう。 遼賀の真面目さがとても好きで、母の思いが私の母と重なって、最初からずっと泣いていた。 どうして生きていて欲しい人ほど病気になってしまうんだろうと、どうしようもないことを考えていた。
1投稿日: 2024.12.28
powered by ブクログ優しさのてんこ盛りでした。 人は誰しも自分の良さには気がつかない のかもしれない。 何処にでもいる平凡な人に スポットライトを当てて こんな素敵な物語に出来るって… さすが藤岡陽子さん。
21投稿日: 2024.12.11
powered by ブクログ闘病する立場、周りで支える立場、将来どんな立場になるかわからないけれど、どんな立場になっても助けになってくれる本だろうと思った。 遼賀のように、周囲の人をほっとさせられる、周りの人に感謝できる、そんな優しくて暖かい人間になりたいと思った。
14投稿日: 2024.11.30
powered by ブクログめっっっっっっっっっっっちゃくちゃ良かった。 積読にしてたけど、もっと早く読めば良かった。 主人公の人柄が、温かくて優しくて素敵。
2投稿日: 2024.11.24
powered by ブクログ「あかん…惚れてしまう…」 遼賀の人柄がわかってくると、ついついそう思ってしまう。病気を治して、矢田と幸せになる結末を祈りつつ、最後まで猛スピードでページをめくった。途中、何度か涙した。通勤途中で読み始めたけど、中盤以降を家で読んでいたのは正解だった。電車で読んでいたら「アンタ、大丈夫なんか?」と知らないオバチャンに声をかけられたかもしれない。いや、東京ではそんなおせっかいなオバチャンはいないか。 岡山の言葉が優しく耳に残る。 数年前、岡山の方々には仕事でお世話になった。遼賀の母・燈子と同世代の方たちは、温かくて優しい方たちばかりだった。「うちの庭になってな、食べ切れんのじゃ」と言って、大量に柿をいただいたことを季節柄思い出した。那岐山のことは全然知らなかったけど、登れるチャンスは私にもあった。今は難しいけど、いつか訪れたい。 本書は、フォローしている方が何人か5つ星をつけていて、気になっていた。夫の母は40代で亡くなっていて、もうすぐ私も夫もその年齢に近づく。癌だったと聞く。 最近義父から法事の連絡がきて、ふと本書を思い出した。法事の前に読んでおきたいと思って、図書館で取り寄せた。 33歳で癌か…。 高校の同級生同士だった遼賀と矢田が病院で再会したのとは少しシチュエーションが違うけど、私と夫も高校の同級生で、再会したのは30代半ばだった。松原が矢田に放った別れのセリフは、私もどこかで誰かに言われた覚えがあって、矢田には心から幸せになってもらいたい思いでいっぱいになった。 まぁ結婚することだけが幸せのカタチではないんだけど。 本書を詠んている間に、夫とまたケンカをした。 子どもたちを、「勉強ができるのは当たり前」で、勉強以外に「ちょっと変わった才能」を開花させて、尖った人に育てる。それが夫の思いで、その話になると毎回ケンカになる。 自分が叶えられなかった夢を子どもに押し付けるなよ、と。平凡でも健康にとりあえず生きていけばなんとかなるよ、と。夫は当然納得しない。遼賀だったらなんと言ったかな。 燈子のセリフが泣けた。 私も息子のいいところをたくさん見つけたい。 病気に倒れる同級生が出始めている。 会社の同僚でも、突然倒れて亡くなった40代の人がいる。 私にとっても他人事じゃない。 ちなみに、「『きのうのオレンジ』の『きのう』と『オレンジ』が示すものを、次の中から選びなさい」という問題が仮にテストで出題されたら、正しく答えられる自信がない。 オレンジはともかく、『きのう』を読み解けなかった。 でもモヤモヤ感はなく、とてもいい話だと思った。 息子が33歳になったら、燈子の立場に近いところになったら、また読みたい。そのとき、私は、夫は、元気で生きているだろうか…。 この作者の作品を初めて読んだ。と、思ったら『金の角持つ子供たち』を読んでいた。どちらもとてもよかったので、他の作品も読んでみたい。
28投稿日: 2024.11.19
powered by ブクログ・テーマ/世界観 ★★★★★ ・背景描写 ★★★★★ ・キャラクター ★★★★★ ・インパクト ★★★ ・オリジナリティ ★★★★ ・テンポ/構成 ★★★★★ ・文章/語彙 ★★★ ・芸術性 ★★★ ・感動/共感 ★★★★ ・余韻 ★★★★★
2投稿日: 2024.11.01
powered by ブクログ人に気を遣わせることすらさせない優しさって極地かもしれない。 小説は非日常な物語を通して、日常への洞察を言語化して教えてくれるものであるのかな。
12投稿日: 2024.10.26
powered by ブクログ最後まで自分らしく生きた遼賀。自分らしく生きようとしたのではなく、人のいないところで活躍する遼賀はそのまま命を全うしたのだ。 最後は矢田と結ばれてほしいと思った。でも、病はそれを許してくれかなった。でも、遼賀は矢田がそばにいて看護してくれて、感謝とともに染み渡る幸せを感じながら逝ったと思う。 最後の最後まで家族を心配する遼賀。 遭難したときの遼賀と恭平の手紙は 慈愛に満ちていて、身体の芯まで届いてきた。 藤岡陽子さん、ありがとうございました。
104投稿日: 2024.10.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
悲しくて、でも心が温かになる物語だったけど、私はあまり心が動きませんでした。 2人の生い立ちや山での出来事、登場人物の日常など、興味深く読んだのだけどなぁ。 すべて普通だった主人公が、実はすごく幸せだったとわかり、私の普通の人生も、終わる時に悔いはないと言えるような生き方をしたいと思いました。
2投稿日: 2024.10.17
powered by ブクログ心が夕日に染まったと感じるくらい温かいお話だった。 遼賀のように家族を大切にし、人を見かけだけで判断せず、皆から信頼される存在になりたい。 『人は生きてきたようにしか死んでいけない。それはごまかせない。そうして、どう生きるかというのは己の意志で形作られる。それはまた、周囲にも伝播していく。影響し、影響され、世界は作られる。』という解説の言葉すごい好き。 自分が死ぬ時、誰か1人でもいいから泣いてくれる人がいて、死なないでほしかったと思ってもらえるような生き方をしたい。
2投稿日: 2024.10.15
powered by ブクログ人は病気になった時、どれくらいの人が心配してくれるかで、今までやってきたこと、どう人生を生きてきたかが測られる気がする。 また病気という、自分ではどうすることもできない大事に直面した時どう行動するかに、その人の内面がはっきり浮き彫りになると思う。 その両方において、主人公の遼賀のさりげない優しさは、人生のいつにおいても、目立たなくても、ちゃんと周りの人に届いていて、一番大事な時に本人に返ってくるものなんだ、ということを実感させられる話だった。 遼賀をユニバーサルデザインのボタンの突起に例えたのも、とてもよかった。それを泉が教えてくれて、遼賀が今までは自分の人生に価値を見出だしていなかったけど、自分の人生をちゃんと生きてきたんだということに気づいて、私まで涙が出るほど嬉しかった。 優しい人の周りには、優しい人が集まってくるって本当だね。 藤岡陽子さん、大好きな作家さんの一人に加わりました。
3投稿日: 2024.10.14
powered by ブクログ泣けた、遼賀の優しさ家族の優しさ同級生の想いやり。心に沁みる一冊です。身近な人にいつも「ありがとう」を言える素直な心を持ちたいものです
1投稿日: 2024.10.12
powered by ブクログ遼賀くんのような宿命は、きっと明日の誰か。 ふつう、当たり前、毎日。 それって幸せなことなんだよ、と、みんな口々にするけど、 嫌味なく、自然にそう思わせてくれる。 天才なのかな、藤岡先生という人は。 染みる話でした。
18投稿日: 2024.09.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
涙を我慢することは出来ませんでした。 死は、病気は、身近な出来事ではなく、縁遠いものだと…毎日生活していると、ついそう思ってしまいますが、いつ、誰にだって起こり得ること。 初読みの作者さんでしたが、すごく読みやすく、引き込まれ、あっという間に読んでしまいました。 命の尊さ、家族のありがたさ、それを改めて感じる事が出来るお話でした。
21投稿日: 2024.08.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
働き盛り、仕事熱心の主人公が、ある日癌を告知されるところから物語が始まる。 主人公は幼い頃から、勉強、スポーツ、どれも特に目立った成果を出しておらず、地味な存在だった。けれども、常に感じが良くて、人を騙したり嘘をついたりせず、自己主張もせず、優しさに溢れていて、周囲に頼られて・・・という設定。 これはマズイ、、、冒頭から、主人公の行く末が不安になってしまった。「良い人から先に亡くなる」なんて言葉をよく聞くのだが、私の身近でも事例があるため、切なくなってしまった。ところが、情けないかな、悲しい展開を知りたい気持ちもあり、所々「うっ!」と涙が出そうになりながら、ついついページをめくってしまう。 主人公の穏やかな性格が文章にそのまま反映され、病の進行という恐ろしい事態も淡々と表現される。オレンジ色に煌めく瀬戸内の夕景のように、ゆっくりと物語が進んでいく。以前読んだ『ライオンのおやつ』のようだ。そして、主人公の人柄が家族や同級生達に伝播し、主人公を取り囲んで優しい光に包まれながら、最終章へ向かっていく。穏やかな進み方だからこそ、中盤、矢田へ感情をぶつける場面は、とても心を震わされる。 主人公を愛する人達は、血が直接繋がっていないものの、1つの家族のような絆で繋がっている。主人公が、15歳の時も、33歳になっても変わらず「自分の人生は、愛する人に囲まれて“幸せだった”」とブレずに思い続けていられるのだから、頭が下がる。他人の目に見える結果を持たずとも、決して周囲の評価を求めてアピールせず、利他の精神を持ち続け、黙々と丁寧に日々を送ることは尊いことだ。 この数年間、自分本位な生き方をしてきた私自身としては、理不尽な目に合ったことばかりを頭の中で反芻し、イライラしている。生きることと幸せについて、この本を再読しながら、もう一度考え直したい。
30投稿日: 2024.08.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
オレンジの登山靴、 瀬戸内の蜜柑、 山の稜線に沈むオレンジの夕焼け空、 作中に様々なシチュエーションで出てくるオレンジ。 作中で起こった事実だけをみると、やりきれなく、悲しいラストなのだけれど、読み終わったあと心に残ったのはあたたかな感情でした。 終始穏やかに物語が進んでいき、章ごとに主役が変わるのも、物語が暗くなりすぎずメリハリがあって良かった。 遼賀をはじめ、周りの人たちが皆優しくてあたたかくて、自分も優しい気持ちになれました。
3投稿日: 2024.08.16
powered by ブクログ現在のところ、マイ・ナンバーワン藤岡陽子さん。がんとの闘い、運命を受け入れる話と、家族愛、恋愛要素も重なって本当に読みごたえがある。藤岡さんは元新聞記者だったからか、時間の使い方が見事。洟をすすりながら、何とか読了。
6投稿日: 2024.08.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読了。 AYA世代の終末期在宅療養がテーマ。重いテーマだが閉塞感なく爽やかに読み進められた。 ありがとうは、よいことばだ。 読んでよかった。
11投稿日: 2024.08.11
powered by ブクログそれぞれのエピソードに説得力があって、読み応えがあった。 いつ誰に起きてもおかしくない病が主軸なので、人の最後がどうあるべきかも問われる。
2投稿日: 2024.08.08
powered by ブクログ33歳でがん宣告を受け、ひたむきに生きる彼は強い。支える家族の絆と関わる人たちみんな生について誠実に向き合ってる。
1投稿日: 2024.07.31
powered by ブクログ目立たないところで目立つ人、どこまでも優しくて強い人、彼を支える家族や友人もとても温かくて、読みながら何度も何度も勇気づけられた。
12投稿日: 2024.07.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
33歳と若い主人公の癌の告知から高校時代の同級生の看護師、弟を軸に話が進む。なんと言っても主人公の実直な性格が胸を打つし逆に悲しみを誘う。本当ならもっともっと周りに当たったり、自暴自棄になるだろうに自分ならとどうしても考える。そして、もしそれが自分の近しい人間であったなら。誰でも生まれてくると死ぬ運命、主人公が遭難した時に書いた手紙のように思えたら。 ただ、親より子が先に亡くなるのは耐えられない。
2投稿日: 2024.07.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
いわた書店 読みやすい文章でした 突然の癌宣告を受けて電話する相手は誰かいるだろうか? 強く生きることができるか? 最後にやりたいことを選んで抗がん剤を中止するだろうか? 恭平 母の姉の子供 を引き取って育てる子供ながらにその気持ちを引きづりながら生きる辛さもある
2投稿日: 2024.07.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
笹本遼賀 三十三歳。カジュアルなイタリアンレストラン「トラモント」で店長として勤務している。胃がん。 矢田泉 遼賀と高校で一緒だった。ナース。およそ三年間松原と付き合っていた。 恭平 遼賀の弟。地元で高校の体育教師をしている。 松原皆人 消化器外来の医者。遼賀の担当。東北の系列病院へ異動する。 高那裕也 トラモントのアルバイト。定時制高校に通っている。 戸川佐和子 トラモントのアルバイト。夜間の専門学校に通っている。 燈子 遼賀の母。 昌美 恭平の妻。中学の理科教師。 富 燈子の母。 音燈 燈子の双子の妹。生まれつき心臓が悪く、若くした亡くなった。 唐津教授 消化器外科病棟のトップ。 森 看護師長。 水戸光男 五十七歳。膵頭部にがんが見つかった。 三木正子 七十代女性。肝臓への転移で入院。 柏原 新人医師。遼賀を担当する。 諸田 恭平とバッテリーを組んでいた。いまは弁護士として地元の法律事務所で働いている。 野口真実 入職二年目の看護師。 宮村 恭平が働く高校の校長。 出っ歯のおばちゃん 倉敷に住む遼賀の母の従姉。保険会社に勤めている。 道平 訪問看護師。 柿本 腫瘍内科の医師。 吉田 臨床研究コーディネーター。
3投稿日: 2024.07.15
powered by ブクログ33歳でとつぜんがん宣告を受けて、それからの人々のやり取りの物語。 やさしさについて、改めて思いを馳せる事ができる話でした。 とくに、アルバイトの高那君がいい味出してる。 2時間ドラマを見ているような感覚で読了しました。
4投稿日: 2024.07.15
powered by ブクログ闘病生活の描写がリアルなのは、作者が看護師経験があるからでしょうか。 でも、ガンがテーマであるにも関わらず、周りの人々の温かさがあり暗さがなく、死を考えると同時に生き方をもっと考えたいと思った一冊。
3投稿日: 2024.07.14
powered by ブクログこれはよかった。また良い本に出会えた。 初読みの作家さん いろんな気持ちになる本だった。 患者側も、母親側も。ほのかな恋愛要素もあり。 それらをところとごろ、オレンジ色の情景が包み込む。 「肉腫かもしれない。より詳しく調べたいのでMRIで検査して来てください。」 そう言われて急遽MRIを受けに行くとになり、悪性だったら癌なのか…? 癌だったらいろいろ始まる…、死がとても身近になる…と、つい最近経験したばかりだったので、CTの恐怖とか勝手に涙が出るとかいろいろ自分の経験に近い小説だった。 (余談だが、その後別の病院でもMRI検査をし、結果、悪いものではないと思いますと言われる。そうでないと感想を書けていない。たぶん) 話それました… 小説では看護師の同級生も出てきて、病院側の話、親側の目線など癌患者側一辺倒でない物語構成も良かったし、検査や術後の描写も現実的で良かった。 藤岡陽子さんのご経歴を見たら、小説の傍ら看護師の資格を取り病院勤務とあり納得。 だからとてもリアルに感じたのだなと、 読めてよかった。 藤岡さんの他の本も読んでみたい。解説含め良かった。どう生きるか、どう死ぬか。今まで読んだ本の中で一番好きな主人公かもしれないな。 竹垣を造ったじいちゃんの気持ちを、 凌駕がわかるところが印象に残った。
28投稿日: 2024.07.06
powered by ブクログ33歳で胃癌を患った遼賀と、闘病を支えていく人たちの物語。 こんな若さで闘病生活になった時、自分は遼賀の様に生きられるだろうか… また家族や友人、ましてや自分の子供が若くしてがん宣告されたら冷静に支えていけるだろうか… 遼賀よりひとまわり多く生きている今でも、できる気がしない。 最後にみたい景色なんてまだわからないし、老後があることを当たり前のように生活している。 家族が風邪をひいて体調不良なだけでも、大変心配で気を揉む。 考えれば考える程、答えを見つけれない。 という循環に陥ってしまうので、日々当たり前のことを感謝して生きることしかできないでいる。
5投稿日: 2024.06.28
powered by ブクログ本当の兄弟ではない遼賀と恭平、その事を知った後の中学時代の那岐山での遭難。家族の絆はそれ以降強くなる…癌に侵された遼賀は最後に再び那岐山へ…ストレートな文章で読み易く、感動。 #きのうのオレンジ #藤岡陽子
0投稿日: 2024.06.22
powered by ブクログ藤岡陽子さんの作品は いつも考えさせられることの中にたくさんあたたかな気持ちになって明日も頑張ろうって思わせてくれる作品ばかりで大好きなのですが 今回は、闘病のお話でつらい 重い感じのお話なのかなぁ。と 実は、積読したままの作品でした。 けれど読み始めてみると たしかに闘病生活や、つらい部分もありますが、それを覆いかぶせるように家族や兄弟、友達 仕事の仲間たちの愛がいっぱいで 何度もも涙しながらも とても温かい気持ちになりました。 そして何より主人公本人の 人柄がとても温かく大きく 小さい頃から 目立った子ではなかったけれど、 相手を思いやり、気づかれない部分でいろんな人の手助けができる いうのは簡単だけど並大抵のことではない事をさらっと 普通にやっているそんな人なのです。 みんなに心配かけないように 一生懸命頑張っている姿に何度も泣いてしまいましたが さみしく悲しい終わり方ではなく 主人公の人柄のように温かく 優しい終わり方に 心がじんわり癒されました。 素敵な本に出会えて良かったです。
21投稿日: 2024.06.16
powered by ブクログブグログの評価、レビューで手に取り読んだ1冊。 読み始めすぐ涙がこみ上げてきてラストは涙がとまりませんでした。一気読みでした。 自暴自棄になった時、この本を思い出し読みたい。
40投稿日: 2024.06.11
powered by ブクログ誰かのおすすめでこの本のことを知った。 同級生の同性の主人公がガンになるという話で、自分の生き方や死に方を少し考えていて、もっと考える必要があると思っていた自分に合っていると思い、読みたかった。 主人公の遼賀、弟の恭平、母親、同級生看護師の矢田泉、同僚の高那など、遼賀の周りの様々な人の視点から話があり、遼賀ぐらい周りのことを考えている人でも、周りの人が見えなくなることもあり、自分を見失うこともある。作者の藤岡陽子さんは看護師ということもあり、実際にいろいろな患者をみてきてのことだと思うが、若いうちの大病はやはり厳しいと思った。 自分は、ガンを「ガン」と打ち、「癌」と漢字で表記するだけでもためらっている。そんな自分は、癌だと告げられたら、癌でなくても余命宣告されたら…落ち着いていられるのか。受け入れられるのか。なってみないと分からないのかもしれないが、真剣に自分のことや近くの人のことを考えて、行動したい。
4投稿日: 2024.06.10
powered by ブクログ藤岡先生の作品の出会いは『手のひらの音符』でした。とても気持ちを揺さぶられた作品でしたので、この本もすぐに買い求めました。ところが読むまでに、自分がガン告知を受けたのです。手術を受けるまで色々なことが起き、気持ちも揺れ、この本を手に取る勇気がありませんでした。でも、せっかくの先生の本との出会い。治療の目処がたったある晩、読もうと決めました。主人公と自分の出来事がリンクしてたくさんの感情が溢れ、一気に読まずにはいられませんでした。今は普通の生活に戻りつつあります。そうでなかったら、主人公のように穏やかに自分を受け入れられたか。私だったらどう選択したのだろうか。本当にたくさんのことを考えた本でした。一生のなかで、こんなにも劇的な出会い方をした本は初めてでした。
8投稿日: 2024.06.10
powered by ブクログ2024.5.31 読了 ☆9.4/10.0 「弱音を吐かない人は、いつだってひとりで闘っている」 がん宣告を受けた<彼>と、彼を支える<家族>の物語。心揺さぶられる感動長編。 「おれはまだ生きたい」懸命に前を向く遼賀と、彼を支える家族を通して誠実に“生”と向き合った傑作長編。 この作品を知ったきっかけは、BOOKOFFの小説コーナーの一角に設けられた、まさにこのサイト「ブクログ」の高評価レビュー作品を集めた本棚に並べられていたことでした。 読み終えてすぐに、あの時手に取って良かったと感じました。 身の上話を挟み恐縮ですが本作の感想を綴る上で不可欠なので書かせていただきますが、闘病ものは、自分自身もかなり大きな病を経験し実際に治療の苦しさや副作用の残酷さ、入院患者側の気持ちなどが少なからず手に取るように分かるからこそ、余計にリアリティを帯びて迫ってきます。 病に大小はあるとは言え、その辛さは人それぞれでも、本作に登場する主人公の遼賀の過酷な運命と現実は自分の日にならないと感じました。 それゆえ、比較対象が自分の中に実体験に基づいて存在してるからこそ、彼を待ち受ける現実が恐ろしく感じるのです。 彼や彼を支える側の人々の辛さ、苦しみ、優しさ、葛藤、不安などさまざまな感情に、何度も心揺さぶられました。 だけど同時に彼は、どう生きるかという意志を、どう生きていくかという覚悟を絶対に手放さない。 病に冒されても、深刻な状況に陥っても、死が目前に迫ってきても、彼はどう生きるかという己の意志を貫くのです。 そんな彼の生き様に、生きることと死ぬこと、というか、死ぬこととは生きること、生きることとは死ぬことなんだということを読者に痛感させてくれます。 本作は闘病生活を綴る作品でありながら、遼賀の弟の恭平や母親、同級生で担当看護師の矢田泉、職場同僚の高那など、遼賀の周りの様々な人の視点から見た遼賀が語られ、その一つ一つに涙が零れました。 特に印象的なシーンがあります。 遼賀が矢田に対して自分の苦しさを「わかるなんて言ってほしくない」と辛く当たる言葉に、矢田が返した言葉に乗せた想いは著者の藤岡陽子さんが最も伝えたいメッセージだと胸深く刺さりました。 “時々、どうせ死ぬのならこんなに辛い治療を受けることもないかと思う自分もいる。なにもできないんだ。副作用で死んだようにただ横になってるだけで、ただ時間だけが過ぎていくんだ、おれにとっては貴重な時間が・・・」 「遼賀くんの気持ちはわかるよ」 「いや、わからない。たとえ矢田がこれまで何百人の患者を看ていたとしても、この先何千人の患者と出会ったとしても、この苦しさは絶対にわからない。わかるわけがない。 ・・・わかるなんて言ってほしくない」 どうして私にはわからないの?」 「矢田は病気じゃないから」 「なにそれ」 「私だって・・・私たちだって一生懸命やってるよ。義務、惰性、意地・・・いろんな感情を抱えながら毎日毎日、それこそもう何千人もの患者さんの看護をしてきたの。少しでも苦痛が和らぐようにって、必死になって。疲れが溜まった体を引きずるようにして出勤することだってあるの。次から次に割り当てられる仕事を必死にこなして、休憩を取る暇もない日もあって、それでも患者さんの苦しみを完全になくすことはできなくて、懸命に治療を続けてきた人が亡くなることもあって、自ら命を絶つ人もいて・・・。でも落ち込んでる暇もなくまたベッドを作り直して新しい患者さんを迎えるの。もう毎日めいっぱい。余裕なんてどこにもない。それでもね、私はいつも思ってる。この患者さんの病気がよくなりますようにって。それだけはちゃんと絶対に願ってるの。だってそれしかできないから。願って励まして。それ以外になにができる?」” この場面に、自分と同じく涙した人も多いのでは… 遼賀も特段メンタルが強固なわけでもなく、まだ30代の若い一男性です。 当たり前だけど悩み、落ち込み、狼狽えます。しかし、周囲と共に生かし生かされていることに気付き、(生を諦めるのではなく)優しさ・目標を取り戻していきます。 そんな遼賀の姿を追ううちに、もしかしたら自分も厳しい状況下で、変われるのかな、希望を捨てちゃいけないなと思えました。 読み手だけでなく、登場人物皆が明日への希望をもらえた気がします。 〜〜〜〜〜印象的な言葉〜〜〜〜〜 “大学病院で医者をやっていたら、がん患者なんて珍しくもないだろう。それは十分にわかっている。それでも、あのいきなりの告知はあまりにも非情ではないだろうか。どう告げられても悪性は悪性だが、でももう少し違う言い方があったんじゃないのか。それに明日入院しろというのも無茶な話だ。こっちは定年退職して隠居している身じゃないのだ。仕事の引き継ぎもしないまま入院なんてできるわけがない。 怒りをぶつける相手が他にいないのでひとしきり松原を恨んだ後、それは違うぞと自分に言い聞かせる。がんの告知をする直前に見せた、松原の表情。あの医者も悪い結果の告知をしたかったわけではないのだ。あの人はなにも悪くない。自分が病気になったのは、誰かのせいではない。” “ひとりで生きるというのは、自分の弱さや脆さにもひとりきりで立ち向かわなくてはいけないということなのだ。そんな当たり前のことを病気になってようやく実感する。ひとりは気楽、自由だと言っていられるのも、降りかかる火の粉を自分で払いのける力があるうちだけだ。若かろうが老いていようが、男だろうが女だろうが、病気は怖いし、死ぬのはもっと怖い。その底知れぬ恐怖を垣間見たいま、この先ひとりで生きていく覚悟を持たなければいけない。” “恭平の怒り。矢田の落胆。母の狼狽、それらを引き起こしているのが自分の病気だと思うと、遼賀は情けなくてたまらなくなった。自分がこんな病気にさえならなければ、家族や友人をこれほど苦しめることはなかった。迷惑をかけることはなかった。どうすればよかったのだろう。東京でひっそりと死んでいけばよかったのかもしれない。独りで病気に向き合う恐怖に耐えられなかった自分を、改めて恥じた。 「やめてくれよ」 「おれは、お母さんや恭平や矢田が言い争うのは見たくない。喧嘩の原因が自分だと思うと、本当に・・・辛いんだ」 家族や友人が自分のために時間を削っている。神経を摩り減らしている。だからこれまで弱音を吐くことは許されないと思っていた。恭平も母も矢田も、忙しい日々の中で自分の生活を支えてくれているのだ。もうひとりでは、病院に出向くことすらできなくなった自分のために。だから前向きにならなくてはいけないと奮い立たせてきた。でも自分のことで周りの人たちが疲弊していく姿を見るのは、耐えられない。 “怠くて重くて、体のあちこちに痛みがあるこの体はもう元通りにはならないいだろう。それでも心は、心だけはこのところ一日一日軽くなっていくように感じる。いまはそばにいる恭平たちよりも父や祖父のほうが近くに思え、二人が死を目前にして考えていたことがわかる気がする。自分はいい人生を生きた。悔いはない。二人とも、そう思っていたに違いない。 みんなにありがとうを伝えたい。 忙しい日々の中、闘病を支えてくれた恭平に。どんな時でも変わらない愛情を差し出してくれる母と祖母に。そばにいるからと故郷に戻ってきてくれた矢田に。いまも変わらず慕ってくれる高那に。いまはただ感謝を伝えたい。 最期に人はたったひとつの気持ちをもって逝くのかもしれない。このところ、そんなことをよく考える。 遼賀は草木の匂いを思いきり吸い込み、両目を閉じた。 「みんな、ありがとう」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 本作に登場する登山靴、実家や店舗に植えられた蜜柑、夕陽に染まる故郷の山…それらが放つ暖色のオレンジがとてもいい味を醸し出している、愛あふれる物語でした。
150投稿日: 2024.06.03
powered by ブクログガンになった青年とその回りの人々のお話。 途中からは辛すぎて涙がとまらない。 私の兄も白血病になり、生死をさまよったことがあります。お陰さまで今は寛解し回復していますが、その時と重なってたまらない気持ちになりました。 樹木希林さんがガンになったのを公表された時 「いつ死ぬかわかっているなんて最高じゃない」 とおっしゃっていましたね。 死を目の前に見せられた時の自分の気持ちは想像もできません。 優しく、ゆっくりと、労りと尊敬を持って病気と向き合う姿が描かれた名作でした
13投稿日: 2024.06.02
powered by ブクログ最後は涙、涙でした。 人生の最後を迎える時、何を思うのか。 考えさせられる作品。 主人公は、スポーツや勉強とか、 何かで抜きにでていたわけではなかったけれど 目立たないところで目立っていた。 皆んなの拠り所となっていた。 そんな人になりたいと思っても なかなかなれるものではないけれど 時々この物語を思いだしてみようと思う。
16投稿日: 2024.05.12
powered by ブクログ闘病ものは苦手だ。どうしても死に向かう結末を想像してしまうし、その過程を読むのも辛い。 この本は、33歳という若さで癌になってしまった遼賀が主人公。しかも子どもの頃に一度雪山で遭難して死にかけたことがあったり、弟が実の家族ではなかったりと、事実を並べると一見過酷な人生を送っているのだが、本人からはあまり鬱々とした感情は読み取れない。 もちろん闘病の辛さや自分の在り方について、苦しんだり悩んだりしているのだが、何故だか致命的な悲壮さがない。それは、彼が周りの人に優しさを与える人であり、人から与えられる優しさを感じられる人だからだと思う。 本書では章ごとに、遼賀、遼賀の母、弟、担当の看護師の視点でそれぞれ物語が語られる。みんながみんな、遼賀を好きで、彼の幸せを祈っている。病と闘う当人だけでなく、周りの人の受け止め方を読めるという点でも勉強になる。また、闘病中の人は周りから助けられるだけでなく、周りの人を励ましたり心を癒したりすることができるということを知れたのも、大きな収穫だった。 自分が病気になった時に読むには、現実逃避にはならないし辛くなるかもしれない。それでも、最後まで希望は消えず、残り続けるものがあるという事実を教えてくれる、優しい本だと思う。 著者が看護師として勤務しておられるということを知り、なおさらこの本への信頼が増した。 闘病ものは苦手だが、この本は読めて良かった。
14投稿日: 2024.05.08
powered by ブクログフォローしている多くの方が読んで推しておられた本。 読んでみれば、それらのレビューに違わず、とても佳いお話だった。 チェーン店のレストランを店長として切り盛りする遼賀(33歳)に突然のがんが見つかるところから始まる物語。 そこからは、当たり前の日常が一変する中で、遼賀がどう病気(≒死)と向き合ったか、家族や周りの人たちと彼がどう付き合ったかが描かれる。 私のようにこれまで生きてきた時間よりも多分残りの時間のほうが少ない者でもその告知を聞けば怖れや絶望感を抱くと思うが、働き盛りでまだ将来がある青年がその状況に直面したらその受け止めはいかばかりのものか。 不安や後悔ややるせなさだけでなく希望や感謝なども加えて語られる彼の様々な思いに、自分だったら治療に堪える気力が湧くだろうかとかしっかり受け入れて前向きになれるだろうかなどと思いながら読んだ。 遼賀が自らの人生をして『新聞に載るほどの良いことも悪いこともせず、特に目立つこともなく生きて……。でも、間違いなく自分は幸せだった』と顧みる場面があるが、同じく平凡な人生であったとしても最後に『自分は幸せだった』と言える人生でありたいと思う。 『リモコンの5の部分についている突起みたいな感じ(=困った時に思わず探してしまう)』と評された遼賀をはじめとして周りの人もみんなが出来た人だったのがお話として少し喰い足りなかったところはあり。
66投稿日: 2024.04.30
powered by ブクログうっかりバスの中で泣きそうになりました 闘病記でもない、でも、病気になった自分の話 死ぬときに私は何を思うんだろう
4投稿日: 2024.04.26
powered by ブクログ癌宣告を受けた青年の闘病の物語。 登場人物はみな良い人ばかり。 生ききることを感じる物語でした。 都内のレストランの店長の遼賀。胃の不調から検査をうけた結果、癌。 その病院で偶然再会した高校の同級生の矢田。 遼賀は弟の恭平と連絡をとります。 そして、遼平から届いた荷物は、オレンジ色の登山靴。 遼平と恭平は15歳の時に、雪山で遭難し、死にかけた過去を持ちます。その時の登山靴。 この経験が、この後の闘病でたびたび思い出されます。 そんな遼平の闘病とそれを支える恭平、矢田、母親、そして良い味出しているレストランのバイトの高那。 恭平と遼平の関係。 手術、辛い抗ガン治療、治験。 そして、以前に遭難した山に再び挑みます。 そこで過去の遭難時に書いた手紙には熱いものがこみ上げます。 生ききること。 みんなにありがとうを伝えたい。 温かく優しい気持ちになれる物語でした。 お勧め。
93投稿日: 2024.04.21
powered by ブクログストーリーを知らずに、なんとなくブクログの評価が良かったので読み始めたら、とまらなくなり、一気読み。 第1章から5章まで、章ごとにメインが代わる。 そのおかげで、登場人物たちの心情が痛いほど伝わってくる。 遼賀(本来の主人公)の人柄がとてもとても響いてくる。 『新聞に載るほどの良いことも悪いこともせず、特に目立つこともなく生きて……。山に生える、一本の木のような人生だ。 でも、間違いなく自分は幸せだった。〜』(280頁) この一文を読んで、何にも起こらない、ただ毎日、在宅で仕事をこなし、週末にはショッピングや、プールに行く。そんな自分の日常も、間違いなく幸せなのだと、改めて感じた。 やっぱりこの作家さん、好きだなー。。。
7投稿日: 2024.03.21
powered by ブクログ笹本遼賀、33歳。都内のレストランで働きながら、人並みに、真面目に生きてきた。だが、胃の不調で受けた検査は予想外の結果──がんだった。どうして自分が? 絶望に襲われた時、弟の恭平から荷物が届く。それは遼賀が15歳の頃、故郷の山で遭難した時に履いていたオレンジ色の登山靴で……。「おれはまだ生きたい」懸命に前を向く遼賀と、彼を支える家族を通して誠実に〝生〟と向き合った傑作長編 読んでいて、もうこの世にはいない両親と 遠く離れた所で暮らしているので 年に1回くらいしか会わなくなってしまった上の子のことを考えてしまった 上の子は遼賀と同じような歳だからかなぁ…自分の事と置き換えてしまう… 人の死は皆等しく いつかやってくるのだけど 遼賀のように若くして逝ってしまう人や 自分より先に子供を亡くす人の気持ちは想像するのも難しい 登場人物が温かい人ばかりで 何度も涙が出てしまった… この方は初読みの作家さんかな?と思ったけど 『満天ゴール』を5年くらい前に読んでいた ☆4つつけているので 読んで良かったと思った作品なんだろう…なのに内容がうっすらとしか思い出せない(^◇^;)
21投稿日: 2024.03.18
powered by ブクログ私はこの方の作品が好きかもしれない。 心が温かくなり、今この瞬間を大切に生きようと思いました。平凡な人生がどれだけ素晴らしいか気づかせてくれる作品でした。
6投稿日: 2024.03.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
突然がん宣告を受け、闘病することになった主人公と、それを支える人達の物語。 死に際してその人の生き方がより際立ってくる。自分が死ぬ時に家族以外で、矢口さんや高那くんのように支えてくれる人がいるのかどうか‥‥。 地味だなんだと言われても、結局こういう誠実さが1番眩しく感じます。
12投稿日: 2024.03.04
powered by ブクログ闘病のお話ですので、悲しみはあります。けどそれで涙が零れたわけではない。主人公の遼賀という人柄に、そしてその家族の絆に涙しました。
6投稿日: 2024.02.29
powered by ブクログ癌に冒されて弱っていく遼賀も、家族、友人、みんなが真っ直ぐで愛に溢れていた。闘病している人を支えるのは闘病している本人も周りの人も心身ともに本当に大変。それなのに、誰ひとり愚痴をこぼすことなく、さりげない優しさとお互いを思いやる気持ちに何度も涙が込み上げてきた。2人の手紙には親を思う気持ち、兄弟を思う気持ちが描かれていて、読み終わったあとに表紙の絵を見ると、遭難した2人を見つけた時のお父さんの声が聞こえてきそうになり、また心が温かくなった。家族っていいね。
2投稿日: 2024.02.19
powered by ブクログ主人公が癌を告知されてから亡くなるまでに自身を振り返りその心情が真っ直ぐに伝わってきます。 どう生きたいかは病気になってからも本人の意思があります。 今までの人生がなんだったのか自分の存在はどのようなものだったのか、意味を探します。 最終的には誰を愛して誰に愛されていたのか、誰に愛を伝えたいのかではないかなと、私は思っています。
34投稿日: 2024.02.12
powered by ブクログ第4章のおばあちゃんとのやりとりから泣いた。 目立たなくても 誠実で優しい人の所に人は集まる。 遼賀の人を思いやる優しさ、恭平の真っ直ぐな心の強さ、そして家族、遼賀を慕う人達の温かさで 病に侵される悲しいお話というより 人の強さ、温かさ、家族のあり方を考えさせられるお話だった。 人間いつ何が起こるかわからない。毎日を丁寧に生きたいと思った。
4投稿日: 2024.02.11
powered by ブクログ33歳の主人公が、突然末期の病気にかかってしまうことになるというあらすじを見て、自分に近い年齢であることから、手に取りました。 ストーリーは概ね想像した通りになります。 私は第4章の主人公の弟のパートが好きでした。 で、気に入ったフレーズは主人公のお母さんの言葉。 結局、生きることって毎日の積み重ねであって、付け焼き刃に変わることは出来ないんだよなって思いました。 以下、お母さんのフレーズ。 p198雑草は目についた時に抜いておくのがええ。そうすると庭はいつもきれいなままじゃ。雑草を放っておくと、いつしか庭は草に飲み込まれてしまう。雑草を抜こうという気持ちも萎えていく。雑草が蔓延った庭が当たり前になる。やがて雑草が雑草に見えなくなる。 毎日を丁寧に生きるというのは、雑草を抜くことと同じじゃよ。雑草はどんな庭にも生える。家庭という庭にも生えるんよ。だからお母さんはこうして毎日雑草を抜いているの。家族みんなの心に、いつもきれいな庭があるように。
19投稿日: 2024.02.03
powered by ブクログ2024.0201〜0203 後半、涙目になりながら、鼻を咬みながら読んだ。 父を思い出した。病院のベッドの上で、何を思い 、何を考えていたのか。話すこともできず、一日中、横たわっていたとき、後悔の念が強かったのか、それとも楽しい思い出に包まれていたのか。 遼賀のように、最期は、穏やかであったと思いたい。そして、私も、最期は感謝の気持ちで、生を閉じたい。 高那、いい奴だな。
10投稿日: 2024.02.01
powered by ブクログこれは泣く。 病気っていつ自分に襲いかかるか分からんからね。本当に健康でいる事の有り難さを思い知った。 遼賀なんよ。遼賀の性格がほんまええんよ。憧れるわ。スポットライトを浴びるタイプじゃないけど、しっかりみんなを支える。そんな人になりたい。 地元から離れたとこでキレイになった同級生に会うとかエモすぎる。そのシチュエーションにも憧れるわ。
12投稿日: 2024.01.24
powered by ブクログオレンジ色の光は温かくて優しくて心がほっとする。 物語の結末は寂しいが、全体を通して、終始あったかい気持ちになれたのは、岡山の自然と主人公の優しく強い人柄からだ。 人生の締めくくりはみんなくる。 主人公は最後まで自分の人生を、自分で決めて歩き抜いた。 素晴らしい生涯だ。
6投稿日: 2024.01.23
powered by ブクログ図書館本。 一気に読みました。 33歳でいきなりがん告知を受けた遼賀。双子じゃないけど双子の恭平。 兄弟の秘密と雪山での生還体験、オレンジの靴。 雪山エピソードを絡めつつ、遼賀が普通に生きてゆくさまが心にグッときます。 みんな、自分にできることをしながら、現実を受け入れていく。静かに。 家族や友人の支えもまたあたたかい。
21投稿日: 2024.01.23
