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藍色時刻の君たちは
藍色時刻の君たちは
前川ほまれ/東京創元社
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総合評価

54件)
4.4
24
21
5
0
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    2023年度山田風太郎賞受賞作品です。 宮城県出身で看護師でもある著者の強い思いが感じられた作品でした。ヤングケアラーの高校生達のことが書かれた二段組の小説に、ぐいぐい引き込まれました。 精神を病んだ家族がどういう感じなのか、世話をすることがどれほど大変なのか。同情や憐れみ、褒めることはして欲しくないという気持ち。当事者にならないとわからないことを小説で知ることができました。 読み進めると、3人の高校生達の忙しい日々を東北大震災が襲いました。震災のときの記述はとてもリアルで、当事者以外が簡単にわかるとか、忘れないとか言ってはいけないと思いました。 その後、再会したあとの3人が揃って故郷を訪れたときの場面は、一つ一つがこれからのために大切な時間だったと思いました。 この3人の救いになっていた青葉さんの過去の真実と繋がっていた優しさには、前を向いて生きていく芯の強さを感じました。それは後悔がなせる技だったのかもしれません。 まだヤングケアラーという言葉もなかった時代に、家族の世話は家族がするのが当たり前と疑問を持たずにいた高校生達の物語は、多くの人に読んで考えてほしいと思わせてくれる良い作品でした。 〈目次〉 プロローグ 第一部 第一章 二〇一〇年十月 海沿いの #1 十月の手紙 第二章 二〇一〇年十一月 波打ち際のブルー #2 一月の手紙 第三章 二〇一〇年二月 星の感触 #3 二月の手紙 第四章 二〇一〇年三月 十四時四十六分 第二部 第一章 二〇二二年七月 川沿いの街 第二章 ニ○ニニ年八月 疎い法律 第三章 ニ○ニニ年九月 未完成の塔 第四章 ニ○ニニ年十月 藍色時刻の君たちは #4 君の羽を想う エピローグ あとがき 参考文献

    56
    投稿日: 2026.02.03
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    ヤングケアラー、東日本大震災、様々な重いテーマを内包した小説。作者は宮城県出身の看護師であるということで伝わってくる切迫感やリアリティが強い。 ヤングケアラーについては最近ちょっと話題になったし、物語を読んでいても感じたけど、これほど辛いことがあろうかという気持ち。 自分の現在、未来を犠牲にして家族の面倒を見ないといけない。逃げたくとも家族への情と責任があるから逃げることを自分自身が許せない。そうして疲れて追い詰められて‥。家族といえど、子供に背負わせるには大き過ぎる犠牲です。「いつかちゃんと、手を離しなさいね」という言葉の重みを感じました。 この本を読むことで考え方が変わった部分が確かにあります。読んで良かった小説です。

    42
    投稿日: 2026.01.26
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    すさまじい作品だった。まず読みやすい。そしてヤングケアラー、精神疾患、東日本大震災などさまざまな要素があり、読めない人も少なくないだろう。しかし愛ある作品だった

    0
    投稿日: 2025.10.11
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    ヤングケアラーの話はすごく考えさせられて、もし自分がその立場だったら?もしくはヤングケアラーと今出会ったら何ができるのだろう?と考えた。青葉さんのように手を離しなさいねと言ってあげられるのだろうか。 何事もそうだけれど経験した人にしかわからない痛みがあって、その痛みに簡単に寄り添えるわけがないけど寄り添いたい、でも本当にその痛みを理解するのは難しいのだろうな、だから経験者同士の輪というのも大切なんだろう。 また震災についての話も同様でこれも経験した人とそうでない人では理解の仕方が全く違うだろうし、その痛みを乗り越える、抱える、忘れる、向き合う、人それぞれなんだと思った。自分がその立場にいたら向き合えただろうか?逃げ道があることは心を保つ上でも大切だと思うし..とまあ、まとまりのない感想ですが、色々考えさせられた本でした。

    1
    投稿日: 2025.09.23
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    2024年 3冊目『藍色時刻の君たちは』前川ほまれ 読了。 ヤングケアラーと3.11という題材を取り扱った作品。読み進めていくうちに、物語に惹き込まれていく。 どうかこの3人の君たちが、これからも幸せでありますように。 「 冗談、冗談。多分みんなどっかで、必死に生きて るんだろうなって思ってたから。結局さ、人生は 「津波てんでんこ』でしょ。海が近くになくても」 地元の防災訓練で何度も耳にした合言葉が、胸に 響いた。津波てんでんこの果てに、私たちはどこに 辿り着いたのだろう。今は同じ部屋にいても、明日 にはそれぞれの場所で日々の営みを続けることになる。今の生活は自ら望んだのか、それともたまたま 流れ着いたのか。きっと私は、後者なんだろう。 #読書記録2024

    0
    投稿日: 2025.08.13
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    ヤングケアラーの毎日が、ここまで辛く大変なものだとは、全く想像も及ばなかった。父親が、自分の子供に親の介護を押しつけるなんてあり得ない!本人がSOSを発するのは難しいように思ったので、気が付いた周りに居る大人が、少しずつでも支援の手を差し伸べることができると良いが。

    56
    投稿日: 2025.07.07
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    ヤングケアラー×震災がテーマ。それでいて重くなりすぎない空気を纏ってるのはすごい。過去の自分と同じ立場の若い子に手を差し伸べてあげられる人になりたいね。宮城に来る前に読めて良かった! 明日は石巻に行く。

    0
    投稿日: 2025.05.07
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    読書備忘録907号。 ★★★★★。 ラスト。涙が溢れました。 テーマは東日本大震災とヤングケアラー。 軽々しく感動すべきテーマでも無いし、分かった風な評論をすべきでもない。 だけど、物語として心をえぐった。 物語の構造を備忘録として(ネタバレになっちゃうかなぁ・・・★ご注意★) 2010年。 宮城県の海岸沿いの架空の街、磯網地区。 主人公、女子高校生の織月小羽。 母は統合失調症で離婚。 プーちゃんが電波で攻撃してくると言う。 祖父もいるが脳梗塞で倒れる。 母の面倒はすべて自分がみている。 主人公の友人、松永航平。 母親は既に亡く、父は漁港で働き、祖母は精神疾患を患っている。 祖母の面倒はすべて自分がみている。 主人公の友人、住田凛子。 母親はアルコール依存症で使い物にならず。 幼い弟の面倒はすべて自分がみている。 そして、朝倉青葉。 小羽のじいちゃんが脳梗塞で倒れた中華料理店の店員。 ヤングケアラーの3人を何かとケアしてくれる。 家族のケアを自分がするのが当然のことと考える3人に、一人で抱え込むな!もっと人を頼って良いんだと。 ただ、そんな青葉に人殺しの過去がある、と噂が流れる。青葉はどこ吹く風。 章と章の間に青葉が先生?に宛てた手紙が差し挟まれる構成。ここがポイント! 青葉の過去に何があったのか? 2011年3月11日。 東京に戻っているはずの青葉は、小羽の母が気になり磯網地区に残っていた。 そして14時46分。地震が襲った。津波が襲った。 堤防で途方に暮れる小羽の母親。青葉は小羽に逃げろ!と言う。母は自分に任せろと言った! とにかく内陸の高台へ・・・。 時は2022年。 3人は東京に居た。 28歳の小羽は精神科の看護師になっていた。そしてパニック症を抱えていた。 28歳の航平は介護士をしながら、AYA世代の癌サバイバーとして戦っていた。 28歳の凛子はカレー屋を営んでいた。同性婚が許されていない日本においてパートナーの女性と一緒に。 震災が彼らから奪ったもの。忘れることが出来ないそれぞれの記憶。未だ地元に戻れない3人。 青葉の壮絶な過去・・・。 そして3人は共に故郷に向かう・・・。 エンディング。 見つかったプーちゃんの石細工。 「#4君の羽を想う」5ページの真実。 もうダメです。ここ!(٭°̧̧̧ω°̧̧̧٭) 作者さん。ほまれ、というからには女性かと思ったら男性だった件。 看護師をしながら執筆業もしていると。 夏川さんかっ! ちょっとこれからはフォローしてみるし。

    46
    投稿日: 2025.03.30
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     上下二段組350ページの中に、ヤングケアラー3人の、震災に直面するまでの日常と震災後の成長と再会を描く、量も質も重厚・濃密な小説でした。  第一部は、それぞれケアを要する家族がいる3人の高校生と、東京から移り住み彼らに寄り添い支えようとする女性が被災するまで。第二部が、震災から11年後、東京で再会した3人のこれまでの軌跡と今後が描かれます。  多くの今日的な社会課題を盛り込み、現代社会を淡々と炙り出し、人が人を支えることの難しさと尊さを描き出す内容でした。災害も含め、困窮している人に寄り添うという点で、周りの私たちの立ち位置として新たな視点を与えてくれる気がしました。  改めて痛感させられるのが、当事者の事情・家族状況・心情は皆違うということ。家族だからケアするのは当たり前と考え、距離を置けない現状です。自分の人生を自分で選択して生きていくために、第三者の気付きと支えは必要不可欠ですね。  震災への向き合い方も、消せない傷もあり〈風化させない、あの日を忘れない〉の裏に潜む、配慮のなさや傲慢さも自覚する必要があると思いました。  過去に折り合いをつけ、少しずつ未来へ希望を抱く結末の彼らの姿に救われますし、読み手の私たちも問題意識を持ち、何かできることはないかと考えるきっかけを与えてくれる物語でした。  ブルーモーメント(日の出前や日没後に空が濃い青色に染まる時間帯)を「藍色時刻」と表現し、彼らの人生の時と重ねながら表紙の色とリンクさせた工夫も秀逸でした。

    80
    投稿日: 2025.03.24
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    ヤングケアラーと東日本大震災と、その後のそれぞれの人生が描かれた物語。 特に、ヤングケアラーに関する描写は、当事者(ケアをする側)の意識と感覚を想像させられました。 「手を離す」という選択肢があまりにもピンとこない世の中であるが、その選択肢を必要世代に示すとともに、手を離すということに対する周囲の偏見を緩和させていき、根本的な認識から少しずつ変化させていくことが、今後の社会に求められるのかなぁと感じた。 このような本を沢山の人が読むことで、たとえ当事者にはならなくとも、身近な方や偏見がある方に「そうじゃないんだよ」と言えるような世の中になっていけばいいと感じました。

    1
    投稿日: 2025.02.05
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    ヤングケアラーの問題が表面化されてきて、まだまだ日は浅い 介護が当たり前に存在すると、疑問には思えなくなる それは、日常だから もっと手を差し伸べて もっと利用しやすい制度を そして、もっと周知を 誰でも自分の人生を生きていいはずなのに囚われてしまうのはなぜだろう 綺麗な言葉だけで片づけない

    7
    投稿日: 2025.02.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    高校2年生の青春ものだったらどんなに良かっただろう。ヤングケアラーとして家族を支える3人それぞれの終わりの見えない日々と友情、偶然知り合った優しい女性の励ましと支え、そして何もかも飲み込んだ震災。前半の重いテーマに胸ふさがりながら後半へ。11年後を描いた生き残った人の苦しみを読みながら、最後に明るい兆しが見えて良かった。

    1
    投稿日: 2025.01.09
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    暗くて地味で救いのなさそうな展開もジワジワと引き込まれていく筆力は経験者だからなのかと。被災者一人ひとり、考え方、乗り越え方は異なり、経験してない私達はただただ寄り添ってあげることが大事なのかなと考えさせられた。

    1
    投稿日: 2024.12.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2024/09/02予約 11 宮城県に住む高校2年の3人のヤングケアラーの日常から東日本大震災を経て東京で再開するまで。統合失調症の母を介護する小羽。双極性障害の祖母を介護する航平。アルコール依存症の母の介護と弟の面倒をみる凛子。 家族という名のもとに 存在する「福祉における含み資産」。とんでもない言葉が突き刺さる。「家族は支援者にはなれない」これも、その通り過ぎて、赤の他人に言われないと気づけないことかもしれない。 著者は男性だったんですね、勝手に女性だと思い込んでた。 ヤングケアラーにも、他にも福祉の谷間に落ちてしまう人にも、必要な支援が届くようになってほしい。 つらい話も多いけど目をそらしてはいけない、考えることの多い作品でした。

    1
    投稿日: 2024.11.15
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    前川ほまれさんの本はいつもグサグサくる。当事者でないからこそ感じておきたいし忘れずにいないといけない。

    1
    投稿日: 2024.10.22
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    苦しい ヤングケアラーの話 ずーっと、親の様子を伺いながら、学校行っている間も、帰ってきてからも、ずーとこれやってあれやって、親の相手して、あれやって、これやってと家事の段取りを考える。 その忙しさは、まるで赤ちゃんを育てながら仕事しながら家事をする親と一緒だ。 稼いでいない分更に辛く、 赤ちゃんではなく、親や祖母であるということも更に辛い。 統合失調症、双極性障害、アルコール依存症… 静かにずっとしんどい。でも続きが気になるし、どうにかいい結末であってくれと祈りながら読む感じ。 そしてさらにそこに震災も組み合わさってくる。 2010年10月 11月 2011年2月 3月と、 2022年7月 8月 9月 10月 の物語。 よく書ききったなと思った。 追悼の本だったのかな。

    21
    投稿日: 2024.09.08
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    構成が本当に巧みだった。医療用語が沢山出てくるので、少々堅苦しさはあるものの、ストーリーの構成や各キャラクターの掘り下げが上手く、最後まで飽きなかった。

    2
    投稿日: 2024.08.14
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    一気に読ませられた。かなりボリュームあるけど、読んでしまう。 ヤングケアラー、震災遺児、に反応してしまう場合は気をつけて読んだ方がいいと思うくらい、かなり人物の気持ちが四方八方から飛び込んでくる感じ。

    3
    投稿日: 2024.07.09
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    ヤングケアラーの問題と震災が絡んだ話なので、かなり重い題材です。 ただあまり重く感じなかった。小羽、凛子、航平たちが淡々と現状を受け入れているからかな~と思った。苦しくもがいているというより「淡々と」。そんな感じ。 最近はニュース等でヤングケアラーの問題が取り上げられたりするようになっているが、ただその状況を受け入れている子供たちがまだ多くいるのは変わらないと思う。 あくまでも小説の中の話だけれど、少しでもそんな子供たちの感情を知ることができてよかった。

    7
    投稿日: 2024.06.27
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    ヤングケアラー×震災×自身の生きにくさで激重な作品。統失の母を持つ小羽、アル中母と幼い弟を持つ凛子、ボケた祖母を持つ航平。全員片親。そこに降りかかる震災、その後も続く人生… 冒頭、殺人事件の公判から始まり、誰が殺しちゃうんだ…?と考えながら読んだ。 パニック障害、癌、セクシャルマイノリティにも触れられていて、ページ数のボリュームと相まって読み応え抜群だった。

    2
    投稿日: 2024.06.14
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    家族と家事のケアに縛り付けられて、閉塞した毎日と選択が狭めらめた未来を抱える3人の高校生と、手を差し伸べる青葉さんとの交流。そこに東日本大震災の津波がその日常をも飲み込んでしまう。どの描写もリアルで胸が詰まります。そして震災から11年後の3人は・・・ 羽ばたくことができないヤングケアラー、青葉さんの小羽たちへの想い。ずっしりした読み応えで、読む前にはなかったものが心に残されました。

    12
    投稿日: 2024.05.12
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     社会問題として認識されながら、潜伏して表面化しにくいヤングケアラー。かつて、ヤングケアラーとして苦しんだある女性と、いま(設定は2011年の震災前後)ヤングケアラーとして苦労している高校生男女3人の交流を描いた物語。  頑張りすぎて、助けを求められない高校生たちに、声をあげて良いんだよ、と優しく寄り添ってきた女性は津波にさらわれてしまう。  そして、10年が経ち女性と同じ歳に達した彼等が気付きはじめた女性の思い。  山田風太郎賞って、もっとエンタメ色強い賞だと思っていたけれど、こんな重いテーマでも受賞するんだね。  泣きはしないけど、感動的な話ではある。こういうのを有名なインフルエンサーは紹介して欲しいよ。うす~い、やつじゃなくて、こういう、ズシ~ンとくるものを。

    1
    投稿日: 2024.04.30
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    双極統失AL依存認知症など機能不全家族で自身も同性愛に貧困など生きづらさを抱え地域で生きるヤングケアラーの子どもたち、そこに震災が起きた。 彼女らの当時の苦悩の描かれかたが明晰で心をぎゅっと締め付けられながら涙して読んだ。 震災後にキーマンが浮上する状況に震えた。 一枚ずつめくられるように明らかになっていく事実に、指先が湿るような緊張を彼女らと同期したような気がした。 一文一文逃さずに丁寧に読んだ。 解説もあとがきも普段は途中で見がちだけれども物語が終えるまでは触れてはいけない気がした。 作品の経歴やあとがきからのバイアスを避けたいと思った。 物語を終えたどり着いたあとがきと経歴。 書いてくださってありがとう。

    2
    投稿日: 2024.04.20
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    小さめフォントと1ページに上下段構成で、なかなかの文字数です。 が、最後には泣いてしまってページを捲れません。あとがきにまで泣いてしまいました。 第一部は、ヤングケアラーからの東日本大震災とかなり重たく苦しい内容です。 家族なんだから、家族の面倒をみるのは当たり前。そんな環境で高校2年生の小羽、航平、凛子の3人は学校から帰ってきた後の時間を介護と家事に費やします。 藍色時刻。なるほど。 そして、被災。 第二部は被災から11年後。看護師になった小羽。震災後、連絡をとっていなかった航平、凛子との再会から当時に向き合うまで。 3人にとっての、青葉の存在の大きさ。 あとがきの最後には、心からの同意。

    7
    投稿日: 2024.04.13
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    前川ほまれさん著の『藍色時刻の君たちは』の概要と感想になります。重苦しい内容のため、ご注意下さい。 概要です。 小羽、凛子、航平の高校生三人にとって一度きりの青春時代は、家族の介護と東日本大震災という傷だらけの想い出を残して過ぎ去った。 ただ三人の救いは、震災前に出会った少し年上の格好良くて優しい浅倉青葉というお姉さんと過ごした日常。 三人は青葉さんにそれぞれの憧れを抱きながら大人へ成長するが震災後も未だに癒えない傷は多く、11年振りに奇跡的な再会を果たした三人は苦しさを承知で故郷を訪れる。 感想です。 本作でヤングケアラーという言葉を初めて知ったことと、私の読書歴の中で初の二段組の長編を読んだことで、なんとも言えない読後感を味わっています。 どのような感情を抱くことが正解なのか分からずじまいですが、自分の知らない日常と感情と闘っている人々の存在を他人事だと無視できないなと感じています。 相手を思いやる気持ちは大事ですが、本作で語られるような境遇にある人々は自分を責めずに、頑張ってきた自分をたくさん褒めて労って欲しいです。

    51
    投稿日: 2024.04.08
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    まず第一部が苦しい。 作品紹介に「3人は周囲の介護についての無理解に苦しめられ」とあるが、そういわれてしまえば、私自身も苦しめる側の無理解な人間だと思うし、読みながら自分の無力さと、小羽たちの重い日常と色々考えて、どんどん辛くなった。 そして第二部は震災後の苦しみ。 こちらもやはり、同じ経験をした者にしか心を開くことが難しいように思える… そもそも私が理解したいとか、寄り添いたいとか思うのは傲慢なのかもしれないなんて思ってしまったり…。 本当に難しい。 でも苦しみが少しでも癒えて欲しいと願う。 この物語の中で、小羽たちは青葉さんとの出会いで救われ、青葉さん自身も、この三人との出会いに救われていた。 沢山の苦しさの中からも、小さな温かい光が感じられたし、小羽が最後に一歩を踏み出せて良かった。 子どもたちへの温かな眼差し、忘れないようにしよう。 作者のあとがきは、必読だなと思います。

    12
    投稿日: 2024.03.23
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    ヤングケアラーという問題と被災者のメンタルヘルスの問題。大きな2つの問題について描かれた小説だ。両方ともあまりに大きな問題なので、両方詰め込むのはお腹いっぱいになりそうだが、ちゃんと整理されていて読みやすかった。 統合失調症の母を持つ小羽、双極性障害の祖母を持つ航平、アルコール依存症の母と幼い弟をもつ凛子。これでもかというほど苦難の連続でいっぱいいっぱいになりながら、現実から逃げることも許されずに頑張るしかなかった彼らに、手を差し伸べる青葉。 震災があって3人ともヤングケアラーではなくなった。ヤングケアラーではなくなったが震災は彼らに大きなしこりを残していった。 震災前の彼らの生活は、読んでいてあまりにもしんどかった。身内だからやるしかない。でも、彼らが頑張ってしまうから、大人たちは彼らのしんどさに気づかない。 手離したらいいと言われても、どう手離せばいいのか見当もつかない。 彼らみたいなヤングケアラーが問題視され始めてまだ日が浅い。今後、彼らを大人たちが守る制度ができてほしい。 震災についても、あの日を忘れない、がんばろう東北…と励ますためのキャッチコピーも、彼らを追い詰める言葉になってしまう。忘れさせて…もう頑張ってるよ…と思って歯を食いしばっている被災者がいるのだ… 能登被災者も、今も、そしてこれからも試練が続くのだろうと思うと心が痛む。メンタルヘルスは単純な問題ではないが、せめて物理的な不自由さから早く解放されてほしい…

    14
    投稿日: 2024.03.21
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    ヤングケアラーの同級生3人に寄り添う青葉さんという女性。震災で青葉さんは亡くなるが、彼女を忘れられない3人は成人後再会し、青葉さんの過去を知る人と知り合える。青葉さんが錦糸町の店と繋がる場面が少々強引な話の運び方とは思ったが、精神疾患を看護する家族の辛さは、身に染みる

    1
    投稿日: 2024.03.04
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    友人の紹介で拝読。ヤングケアラー,震災という重く暗いテーマに一筋の光が差し込む感覚がありました。印象的だったのは「手を離すことは、誰かに託すとか、他人に委ねるって言い換えることができるかもしれない」という言葉。どうか似た状況におかれている方々に寄り添える一冊となることを願います。

    1
    投稿日: 2024.02.18
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    作者の前川さんは、現役の看護師だけあって、医療関係の記述は疎かにせず、事細かく書き込まれてますが、読者にも呑み込みやすいように、表現を噛み砕く工夫があっても良かったと思います

    1
    投稿日: 2024.02.15
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    物語は子を殺した誰かが、裁判所で裁かれている所から始まる。一転、高2の三人の生活が描かれて行く。織月小羽は母が統合失調症。父は離婚して側にいない。航平は祖母が双極性障害。母は幼い頃亡くなっている。凛子の母はアルコール依存症で幼い弟がいる。父は家族に暴力を振るうような人で、耐えていた母は離婚した後、依存症になった。最初に三人の日常が丁寧に綴られていき、抱えている鬱憤や諦念のようなものが十分に共感させられる。そこに、近くの中華料理店になにやら訳ありそうな青葉という女性が来て、同じ高校で親しくしている三人とそれぞれ関わり始める。そんな日常を襲う東日本大震災。 後半は震災を経て日常が一変し、離ればなれになった三人が再会し、それぞれ過去を乗り越えるために当時を振り返る。青葉さんがどんなひとだったのかも後半に明らかになる。 内容としてはスカッとしないものなのに、読まされた。暗い話だと結構読むペース落ちるのだけどこれは青春時代なのと、再生の話なので、それが救いだったのかも。 ヤングケアラーは立場がピンキリだと思うけど、この三人のように、家族が頼れないと本当に厳しいと思う。 統合失調症やパニック障害など、普段馴染みのない症状も追体験できて良かった。 基本は中学校からだけど、長くてルビなしが問題なければ小学生から大丈夫。テーマは重いものが多そうだが、この著者の他の作品も読んでみたい。

    4
    投稿日: 2024.02.12
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    統合失調症の母をもつ小羽、母がアルコール依存症で幼い弟の面倒もみる凛子、躁うつ病の祖母を介護する航平の3人の高校生。似た境遇ゆえ夫々の置かれた状況をお互いに理解し合える友達である所謂ヤングケアラーであるこの3人に、東京から来た十程歳上の青葉さんは寄り添い、サポート、アドバイスをする中で、理解し合える様になってきた矢先に東日本大震災の津波に襲われてしまうという、なんとも切ない第一部。 第二部は、その12年後に彼らが再会し、青葉さんの実相に辿り着くという流れ。 家族の面倒をみる高校生達の本音であろう部分が変に感傷的ではなく淡々と描かれていると感じる。ラスト間際の、青葉さんが小羽の母親をおんぶして津波から逃れようとするシーンに特にそれを感じ、返って哀しさ、儚さが増していると感じた。 それにしても、老人介護は介護保険の整備など社会的認知も進み、所謂「家族が手を離す」事が進んでいるとは思うが、このヤングケアラーの方はまだまだだと感じる。

    11
    投稿日: 2024.01.18
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    震災を境目にしてものの見え方が変わる感じ。 大切な人がもういないという喪失感と、 生き残ってしまった罪悪感。 今普通に過ごせていることへの後ろめたさ。 今また震災があったこのタイミングで読むには身に迫り過ぎてしんどかった…けど今読んでおいてよかった。 他人に甘えることを教えてくれて、いつか手を離して自分の人生を歩めと言ってくれる人。 自分を愛してくれる人。 親じゃなくてもいい。そういう存在に出会えることは宝物のようなことだ、と思ったら涙がとまらなくなった。

    1
    投稿日: 2024.01.13
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    当事者とは言えないが、とても共感(という言葉が合っているのかよくわからないが)できた。 震災の話は正直に言ってまだ受け止めきれない。 でも読むべき本だったと確かに思える。

    2
    投稿日: 2023.12.29
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    こども家庭庁 HPより 「ヤングケアラー」とは、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っているこどものこと。 高校2年生の小羽は、統合失調症を患う母を。 凛子はアルコール依存症の母を。 航平は双極性障害の祖母を。 それぞれが家族を介護し家事も担う。 ある時から青葉という女性が3人に寄り添い支えてくれるように。 2011年、東日本大震災が小羽たちの住む街を襲う。 ヤングケアラーと震災をリアルに描く。 P131 〈私に、私だけの人生があることなんてわかっている。 教えて欲しいのは、そんな綺麗事じゃない。手を離すための具体的な方法だ〉 その方法を伝え、手助けをする。 どれほどの大人ができているだろうか。 前川ほまれさんの著書からヤングケアラーについて知るきっかけを得た。

    2
    投稿日: 2023.12.28
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    今までにもヤングケアラーを扱った小説は読んだことがあるが、この本は現役看護師ならではの目線だからかもしれないが、過度な描写、表現はないにも関わらず当事者たちのしんどさや辛さ、やるせなさなどが充分に伝わってくる。 装画、装丁も良い。 宮城県の港町に住む3人のヤングケアラーである高校生は、家族の介護と家事に忙殺されていた。 周りの無理解に苦しめられ、誰にも助けを求めることができない孤立した日常を送っていた。 同級生である3人だけが、家族の病で繋がった関係で、登校時だけ待ち合わせていた。 この短い時間の会話だけが、高校生であるということを感じていたのだろうか…。 小羽は、統合失調症を患う母を。 航平は、双極性障害の祖母を。 凛子は、アルコール依存症の母と幼い弟の面倒を。 その3人に優しく寄り添ってくれたのは、親族の家に身を寄せていた青葉という女性だったが、2011年の震災によって全てが一変してしまう。 消息もわからないままだった3人が、2022年に再会してから青葉の過去を知ることになり…。 青葉が先生に伝えていたこと 航平のことは、想像力のある、心優しい文学少年。 凛子のことは、一等星のように明るい子。 小羽のことは、名前からの通り、どこまでも羽ばたける子。 同じ経験をしたものは、辛さが自分のことのようにわかるのだろう。 今、このときにどうしたらいいのかが判断できるのかもしれない。 誰かに委ねてもいいのに、どうしたらいいのかわからないのが現状なのかも、と思うとヤングケアラーに気づくことが大事だと感じた。

    62
    投稿日: 2023.12.22
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    ヤングケアラーの主人公たちとその家族との介護生活の描写、震災で家族を失った描写などが、重くならず客観的に淡々と描かれるのは、実際に医療の現場で命の在り様を目の当たりにしている現役看護師ならではの感情に溺れないプロの目線のようなものを感じる。また主人公たちの、他愛のない会話だったり、町の風景だったり、変わりゆく空の色だったり、日常を描くまなざしはあたたかく優しい。この作品が言いたかったことは、人が困難の中で生き抜いていくためには、その時々でその人の心の負担を引き受けてくれる誰かが必要だ、ということのように感じる。そして誰もがその誰かになる人生のタイミングがあり、その時になったらできる限りその困難を抱えている人を助けてあげること、そして今度は助けに支えられ困難を乗り越えた人がまたそれをリレーのようにつなげていく、そうやって繋いでいく人と人の関わりこそが医療や福祉の救済がカバーできない、それらに勝る本当の強いケアなのだということのように感じた。それはまさに医療や福祉の現場のプロからの直言なのだと思う。あと、この作品の主人公の心のありようを見事にとらえたカバーのイラストが素晴らしいと思った。

    3
    投稿日: 2023.12.15
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    今までヤングケアラーを扱った本を積極的に読むことはありませんでしたが、3人の高校生それぞれの事情に東京から来た青葉さんの謎、そして震災が起こることはわかっているのでどんな展開になるのかと夢中で読みました。 辛い話の中にも希望も見えるのは救いでしたが、幼い雄大が出てくる場面は息子を持つ母親としては一番微笑ましく、そして泣けるところでした。 現代のいろいろな問題を取り上げながらそれぞれがうまくつながっている、読み応えのある良書。 多くの人に勧めたいです。

    11
    投稿日: 2023.11.22
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    山風賞受賞ってことで。にしても、まるで未知の著者の手になる、書評とかでも目にしたことのない作品にも手を出してしまうほど、同賞には信を置いている訳だな。さておき本作。賞への信頼を再確認させるに足る出来。東日本大震災とヤングケアラーを絡めて、視点人物や時代も変えて、多角的に物語が紡がれる。それぞれの震災との向き合い方もリアリティが感じられるし、久しぶりに帰った故郷におけるカタルシスもなかなかのものなんだけど、それだけに、最後のシーンが蛇足に思えてしまう。主人公と海のシーンで〈了〉で良かった。細かいことかもしれないけど。

    2
    投稿日: 2023.11.22
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    はい、今年(2023年)の山田風太郎賞受賞作です ちょっと気になる山田風太郎賞 今年で14回目となるんですが、受賞作はめちゃめちゃバラエティにとんでいて、バラエティにとんでいるのになんとなくどの受賞作も山田風太郎を感じる ちょっと不思議な山田風太郎賞 そう感じさせるのは選考委員の方々が「分かって」いるからだと思うし KADOKAWAのこの文学賞に向ける愛情みたいなんがほのかに感じられたりします そんな山田風太郎賞を少しづつ読み進めていこうとうっすらと決意したところで、まずは今年の受賞作を読んでみました そしたらもういきなりの異色作w もちろん山田風太郎賞としてはという意味で、山田風太郎さんの作風に一切ない感じが逆に山田風太郎賞にふさわしい感じもしてくるという不思議 山田風太郎さんてそういう人w はい、『藍色時刻の君たちは』の話しますよ! ヤングケアラー(とそれに付随して精神疾患)と東北大震災のお話 あとがきにもあったように作者の思いがぎゅうぎゅうに詰まったけっこうな大作 しかも章ごとにかわる一人称視点ときたのに 読みやい なんで?って考えたときにちょっと一歩引いた感じなんよね 一歩引いて冷静に冷静に話を進めていてそこが読みやすさに繋がっている 自分の思いがぎゅうぎゅうなのを自覚しつつ、客観性をとても大切にしてる だけど溢れちゃうところを無理に蓋したりもしていない 「伝える」ってことをとにかく重要視している そんな文章に感じました そしてこのこの話を読んで思ったのは、なんかまぁそれなりに色々あったけど、自分はまぁまぁ幸せな家庭に育ったなぁってことで、それはそれで感謝なんだけど それってこの物語に登場する3人のヤングケアラーたちが「不幸せな家庭」に育っているって決めつけてるってことで でもそのことが良いことではないにしても、普通のことなのか、悪いことなのかよく分からんな〜ってことでした 「不幸せな家庭」って思うから支援しようって行動に繋がるのも事実やしな~とかなんとか 難しな〜

    67
    投稿日: 2023.11.11
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    ヤングケアラーと震災で体験してなくても辛くなる。 私は忘れたい派だから、忘れない!を強要することにはついていけないと感じていたので、共感する部分があった。

    4
    投稿日: 2023.11.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2023/10/16 読了。 図書館から。 著者作初。 新聞で書評を見て気になって。 ヤングケアラーと震災と病気とLGBTと 今のいろんな要素が入った物語でした。 優しい人ほど抱え込んで潰れてしまうのかもしれない。 「家族だから手を離さなきゃ」という青葉さんの 言葉の重さはきっと最中にいる人には難しいのかもしれない。 作中で成長した3人が振り返った時、青葉さんのさりげない優しさが自分たちを何気なく救ってくれていたことを 思い出すのがよかったなぁ…。

    1
    投稿日: 2023.10.31
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    ヤングケアラーで東日本大震災まで体験しながら、真っ直ぐ成長した3人。まだまだ試練続くが心からのエールと「温かな眼差し」向け続けたい。「怒りとか憎しみとかよりも絡まった愛の方が厄介」「人生は喪失の連続」「私たちの日常は意外と、綱渡りのようなものだ。ある瞬間を境に、それまでの普通を失ってしまう可能性を孕んでいる。大事なのは綱の上の歩き方より、落下した時の着地の仕方のような気がした」初めての著者、次の作品も期待したい。

    4
    投稿日: 2023.10.29
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    責任感が強く、優しくて、面倒見がいい人ほど自分自身を責めてしまうような気がします。 様々な辛い出来事にあった人にかける慰めの言葉は人それぞれで伝わり方が違い、逆に傷つけてしまう事があるなと思うと言葉もでなくなってしまうけれど、それでもわかりたいという思いはなくさないでいたいと思う。

    15
    投稿日: 2023.10.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    この小説には嘘がない。いや、「小説」なのだから「嘘」というか「創作」ではあるのだけど。 それでも読み終わって思うのは、ここには「真実」があるのだ、ということ。 統合失調症の母を持つ小羽、双極性障害の祖母を持つ航平、アルコール依存症の母を持つ凛子。高校2年の三人はいわゆる「ヤングケアラー」。 学校が終わると家族の介護のため部活やバイトや友だちとの遊びを避ける毎日。同じ悩みと苦しみを持つ三人には三人にしかわからない感情を持っている。「同情されたくない」というその感情は、ある意味視野を狭めることにもなるのだろうけれど、それでもその一種の矜持でもってなんとか自分を支えてもいるのだろう。 そんな三人だけの関係にある日、突然関わり始めた一人の女性、青葉。 青葉の存在が三人それぞれの小さな灯となっていく。過剰にかかわるわけではなく、それでいて苦しい時にそばにいてくれる、そんな細くも強い関係が、2011年3月11日に終わりを告げる。 震災を描くことは諸刃の剣でもある。誰もが知っている、けれど、本当にそこであったことはそこにいた人にしかわからない。 あの日あったこと。あの日から変わってしまったこと。そこから始まった別々の道が、大人になった三人の中で再び交わる。変わらないこと、変わってしまったこと、それを確かめながら三人は新しい一歩を踏み出していく。 読むのが苦しくて何度も手を止めた。それでも読み続けたのは、三人の今が知りたいから。 世界に何万人もいるであろうヤングケアラーの、その存在を知ることから私たちは始めなければならないのだろう。 なにを始めるのか。まず、何を始めればいいのだろうか。

    9
    投稿日: 2023.10.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    初読みの作家さん 高校性の3人 小羽(こはね)、凛子、航平は、派手ではないが学生生活を送りながらも 家庭の問題を抱えていた。 精神疾患・アルコール依存・高齢者の介護 彼らは今でいう「ヤングケアラ―」 いっぱいいっぱいの生活の中で 優しく彼らを受け止め、話を聞き、時には代わりに世話を引き受けてくれる 青葉という女性の存在があった。 しかし 彼らが住む東北の海辺の町は2011年3月11日の震災によって 一変してしまう。 そして 彼らの人生にもそれぞれ 後悔と苦しい傷が深く刻まれてしまう。 内容が本当に読んでいて辛い。 そして アノ震災の傷跡が生々しく綴られていて 胸を締め付けられる。 病状に関しての説明は(さすが現役看護師作家)と話と共にいい勉強をさせてもらった。 まだまだアノ時の傷が癒えない方には おすすめできませんが、 家族間内で誰にも知られず重くのしかかる介護・看病など 多くの方に読んで欲しい作品です。

    1
    投稿日: 2023.10.04
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    ヤングケアラーと震災の消えない傷の物語。一気読みしながらなんとヤングケアラーというものは理不尽なのだろうかと思わずにはいられない。学業や青春に捧げる時間を家族の介護に費やさなければいけない。家族だから助け合うのは当たり前?いつか自分の人生を歩めるように、信頼できる大人が手を差し出してあげることができるシステムを早く構築してあげてほしいな…

    3
    投稿日: 2023.09.30
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    ヤングケアラーの苦悩、理解して支えてくれる大人の存在。 世界に一人でも味方してくれる人がいること。 世の中には色々な人がいて、それぞれが理解し合い、助け合い、また苦しむ人が頼れる(自分だけで抱えない)社会にならなくちゃと思うし、自分自身も視野を広く生きていきたい。

    6
    投稿日: 2023.09.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    宮城県に住むヤングケアラーの高校生3人が東日本大震災に遭遇。その後バラバラになった3人が約10年後に再会し、震災時のトラウマをちょっとずつ克服していく物語。 今、やっと問題視されるようになったヤングケアラーだが、ずっと前からあったことで、それはそれぞれの家の問題と考えられていた。だから、なかなか表立った問題にならなかったのか。3人の介護の様子が切なすぎる。 震災に遭ったことで、介護をしていた母を亡くした小羽だが、それにより肩の荷が降りたわけでなく、身近に面倒を見てくれていた青葉さんが行方不明のままということもあり、さらに心が重くなり、パニック障害となってしまったのは辛い。 震災で身内や親しい人を亡くされた方は一生重い十字架を背負わなければならないのかと切なくなった。 小羽が最後に10年ぶりに地元に帰り、震災と向き合ったことで、少しずつパニック障害を克服していく様に安堵した。 作者が宮城県出身の男性看護師さんと知り驚いた。 もっと多くの人に読んでもらいたい良作。

    11
    投稿日: 2023.09.04
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    いわゆるヤングケアラーたちの 未来が気になりつつ たびたび医療や介護に関する 専門的な用語が出てきて 話の流れに乗り切れなかった。 薬の種類だとか病気の名前だとか あんなに深く 細かな説明が必要だったのかなー? いろんな知識がそのまま 詰め込まれているからまどろっこしい。 それでも最後 初めは家族に その後は震災に囚われ続けた主人公たちが やっと解放される感じには救われた。

    3
    投稿日: 2023.09.01
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    「いつかちゃんと、手を離しなさいね」(p.131) 宮城県石巻市。 3人のヤングケアラー。 当事者でなければわからないギリギリの生活を、優しく見守る大人が現れる。 もちろん訳ありなのだけれど、その深い理解に、3人は心を許す。つかの間甘えることもできた。 しかし津波が彼らをバラバラにする。 3人は津波サバイバーとしても生きることになる。 トラウマを抱えながらも3人は、大人になって、偶然、東京で再会し、故郷へ、それぞれの傷痕を見つめ直す旅にむかう。 ヤングケアラーの厳しい実相が描かれる。 ケアの対象となる家族の症状や対応についての記述も詳細で、現役看護師という作者の書きぶりが説得力を持って迫る。 手を繋ぐこと、手を離せないこと、手を離してしまったこと、手を離すこと。 ケアラーであり、サバイバーである。 その困難が、「手を離すこと」という一点に集約されている。 私も宮城に住んでいて、東日本大震災の被災者だ。 震災の後、復興のキーワードとして声高に言われたのは「絆」だったが、私には違和感があり、その言葉を使うことはできなかった。本書にも「絆」は、出てこない。 ツナで縛りあったりはできないのだ。 ギリギリで手を繋ぎ、いつか手を離す。 それぞれの人生を生きるのだ。

    3
    投稿日: 2023.08.22
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    前半は高校生の時のこと。後半は大人になってからのこと。 大変すぎる。 高校生なのに、家にいる病気のお母さんの面倒を見て、家事をこなして、テスト勉強もしなければならなくて、 なのにおじいちゃんが脳梗塞で救急車で運ばれて。 書類を書きながら、頼れる親類はいなくて、 本当に大変! 友達も大変。 仲の良い3人。 織月小羽、航平、住田凛子、 お互いの家庭の状況を理解できるヤングケアラー達。 修学旅行にも行けない。 自分が頑張らなければ、家族のために。 そして浅倉青葉さん。黒い噂があったが恩人。 「いつかちゃんと、手を離しなさいね。小羽には小羽の人生があるんだから。」と言ってくれた。 素敵な人だった。 大人になり、パニック障害に悩む小羽。 青葉さんの過去の出来事を知る。 なるほど、辛かった。 複雑性悲嘆→遷延性悲嘆障害(PGD)は新たに定義された精神疾患。愛する人の喪失に対する特徴 的な反応。PGDの特徴的な症状(感情、思考、行動) 遷延(せんえん)→ のびのびになること。はかどらず長引くこと。 星野先生と会話した時に、号泣。 会ったことはないのに、3人のことをよくわかっていて、「青葉くんから聞いていたよ」と。 あとがきで作者を知る。男性。 看護学校の図書室で調べ物をしている時にあの震災に遭う。 前川ほまれさん、現役の看護師なので、医療系のリアルな話がたくさん。 わかりやすい。 ヤングケアラーの問題や、心に深い傷がある人などの問題など、考えさせられる。 泣ける本、良書。

    12
    投稿日: 2023.08.22
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    胸が痛くなる。 子どもが子どもでいられる間くらい、もっと自由に伸び伸びと生活出来たらと願わずにはいられなかった。 物語の舞台は宮城県の港町。 高校2年生の小羽は統合失調症を患う母を抱え、介護と家事に忙殺される日々。 友人の凛子と航平も同じような境遇に立たされている。 三人の頭の中はいつも段取りで一杯でその健気さに涙が滲む。 追い打ちを掛けるかの如く2011年3月に起きた震災で彼らの生活は一変。 苦しみと悲しみの連鎖に胸が締め付けられた。 三人に寄り添った青葉の背景までもが切ない。 ヤングケアラーの問題に深く切り込んだ一冊。

    3
    投稿日: 2023.08.12
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    読書メーター読みたい本ランキング第1位、そして、僕の生まれ故郷が被災した東日本大震災の影響を受けたヤングケアラーたちの青春と成長のストーリー。絶対に読みたい #藍色時刻の君たちは #前川ほまれ 23/7/28出版 #読書好きな人と繋がりたい #読書 #本好き #読みたい本 https://amzn.to/3DuAzjo

    6
    投稿日: 2023.07.28