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刑事何森 逃走の行先
刑事何森 逃走の行先
丸山正樹/東京創元社
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総合評価

39件)
3.7
5
13
15
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    何森刑事、なんかいい感じ。こんな人なら困り事を相談したくなるかもね。色々考えなければならない世の中なんだな。

    0
    投稿日: 2025.10.18
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    法律とは何かを守るため、守らせるために存在するのだろうけど、そのせいで思いもよらないかたちで被害を受けることもある難しいものだと感じた。法律による正義とは何かを警察である何森が問うのは立場的に難しい問題だけど、どうあるべきか考え続けることが必要なのだとも思う。

    0
    投稿日: 2025.05.22
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    外国人研修生の問題。その中でも、女性の。 といえば、坊やの私でも容易に想像がつくようになったのは、皮肉にも小説のおかげかもしれない。作中にもあるように、現代の日本がこんな国だったなんてというショックは、デフ・ヴォイスシリーズを通して何度も体験してきましたがいまだ慣れません。慣れないのは諦められないんだと思います。 ぶっきらぼうの刑事がどう怒るのかも手に取るように分かりました。かといって、オーロラのようなひだで守られた女性同士のコミュニティには何度も跳ね返され、不器用な自分まで涙目になってきます。 少しエキセントリックな考えですが、仮に中国人富裕層がさらに国を買い取った行く先には、誰が待つことになるのでしょうか。

    14
    投稿日: 2025.04.17
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    様々な事情で逃走する女性を追う何森。 逃走するのは社会的弱者である外国人労働者や女性である点が切なく、どんな美辞麗句を語ったとしてもそれが今の日本社会の縮図であると思う。 何森は決してかっこよくはないけど、頭のてっぺんからつま先まで全てが刑事。 みゆきとも、つくづくよいコンビだなあと思う。 続々編は出ないのかしら? ストーリーの攻め方も何森の立ち位置も魅力的だと思うんだけど。 版元さん、私の方からも何森シリーズをどうぞよろしくお願いします!

    11
    投稿日: 2025.04.12
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    ぶっきらぼうで謎めいた刑事の何森。彼の言動のベースは人としての正義感。海外からの技能実習生が企業にとって、いかに都合良く扱われているか。非正規労働者がいかに不安定な状況で転落しやすいか。不法滞在になってしまった外国人のこどもたちの将来が、行き止まりであることなど事件捜査する視点から見えてくる。それに対する法的な保護もないってことも。

    7
    投稿日: 2025.04.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2025/02/27 読了。 図書館から。 社会的に立場の弱い女性の起こした犯罪を追う 連作短篇集。 クーヴァンについては明かされるけど追えはしない。 何森さんも定年になってしまうし、 あとがきにもあったけど続くのは難しいのかな。 スピンオフだし。 読みながら実際にニュースで耳にした事件もあって、 物語によく落とし込んでいるなぁ…と。 読んでいて辛い面が多々ある。

    0
    投稿日: 2025.03.15
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    2024.11.29 福祉の仕事に携わる立場として筆者のミステリは問題意識といい、勉強の深さといい大変優れていると感じる。 あとがきにあるように「売れていない」としてもこういう本を求める土壌があることを嬉しく思う。

    2
    投稿日: 2024.11.29
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    オーディブルで聴きました。 時々新井家の様子がチラと見えるが、瞳ちゃんは元気に幸せに育っているか。みゆきが元気がないと気になってしまう。 今回の話も、実際に起こったあのニュースが出てきて、興味深かった。 外国人を見下したり、偏見の目で見てしまう日本人が、大勢いるのは悲しい。日本人である自分が、外国に行って外人として差別され、不当な扱いを受けたらどういう気持ちか想像してほしい。かといって、普通に悪い外国人もいるから、取り締まる側は難しいと思う。 とにかく、人権が尊重され、不公平な法律が改正されることを祈る。 クーバンについても、フオンについても、ちょっとミステリアス過ぎ、映画の世界過ぎて少し引いた。本当にそんな感じの組織があるのかな。あってほしいと思う。

    6
    投稿日: 2024.11.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    デフ・ヴォイスシリーズのスピンオフですが、本作ではろう者や手話については書かれていません。純粋に特定の社会問題を題材としています。 リアリティがあるだけに、正直、すっきり万事解決!とはいかないので、もやもやしたりするのですが、フィクションの中に現代の社会問題がうまい具合に織り込まれていて、色々と考えさせられる作品だと思いました。何森刑事は定年を迎えるため、最後の事件とのことなので、読後は何だか寂しくなりました。

    0
    投稿日: 2024.11.17
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    もうこのシリーズお気に入り。 オーディブル2024 135冊目。 コロナ禍での移民の人について書いてあったけど、確かに日本人も苦しい中、移民の人はもっと大変な状況だし借金もあるしっていう感じだったんだな

    0
    投稿日: 2024.10.18
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    外国人技能修習生の妊娠、非正規滞在外国人の仮放免、コロナ禍下での女性の失業と貧困。罪を犯さざるを得なかった女性たちの社会的背景を、彼女らを追う何森刑事が浮き彫りにしてゆく。 スポットを当てられた女性たちの問題は、どれも既視感のあるものばかり。その時々には、憤りを感じているものの、日々右から左に流れてゆく新しいニュースに埋没していた。外国人技能修習生の問題についてもそうであるが、「社会全体として難民問題に関心を寄せる人が少ない」との言には、ただただ耳が痛い。せめて、関わることのある留学生や外国人研究員には、寄り添える人間でありたいと気持ちを新たにする。 ぶっきらぼうな物言いは相変わらずなものの、回を追うごとに何森の弱者に向ける目が優しいものになってゆくのが嬉しい。デフ・ヴォイスシリーズ一作目での聾者への軽率な行動を思えば、荒井の影響を強く受けているのは明白で、人は虚心を心がければいくつになっても成長できるのだな、とわが身を顧みる。 「法律も決まりも、人がつくったものだ。先に法律や決まりがあったわけじゃない。まず人がいるんだ。だから、決めるのも人だ。つまり、お前だ。これからどうすればいいか決めるのは、お前自身なんだ。」 法律・制度の限界への憤りと職務のはざまでジレンマに苦しむも、最後に何森がとった行動は、かつて非行を繰り返していた少年時代に、少年係の刑事から受けた言葉に背中を押されてのものだった。相棒のみゆきに「全身刑事」とまで評された何森が定年直前に至って、刑事としてではなく、人間としての判断に従ったことは、定年後の何森の生き方を示唆するものであるに違いない。次作が待ち遠しい。

    6
    投稿日: 2024.10.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    問題提起も内容も本当に、本当に良かったけど それがファンと仁とのEternalだし が頭から離れなかった

    0
    投稿日: 2024.10.09
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    デフヴォイスの初期に出てきた何森刑事はデリカシーがなくて嫌な感じのおじさんってイメージだったけど、回を重ねるごとにイケオジになっていってる気がする

    6
    投稿日: 2024.10.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    オーディブルにて。 今回は海外の日本在住者に関する事件に関して。 個人的には、今までの障害者に関する話よりは興味が少ない分この評価になってしまったのであって、話の展開自体は前と変わらない。 残念ながらこれでデフ・ヴォイスシリーズを読破したので、また自分に合う本を探す旅が始まる…。

    1
    投稿日: 2024.10.06
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    何森さん、定年だったんですね。 今現在問題になってることをタイムリーに入れ込んだ短編。 問題になってるものの詳しく知らずにいた事もあったりしたので読んでて勉強にもなった。

    0
    投稿日: 2024.10.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    刑事何森シリーズ第2弾 実際に起きた社会問題が 基盤となっているので とても考えさせられる 昔気質の何森刑事だけど 凝り固まってしまってる訳じゃなく 毎回 理解しようと アップデートしようと している姿勢がとてもいい 残念ながら 刑事としての何森は最後らしい… でも 「間宮の当て」 が気になるので 今後また 彼のストーリーが読めるのを期待したい

    1
    投稿日: 2024.09.13
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    「デフ・ヴォイス」スピンアウトの何森刑事の続編。非常に難しい話ばかりの3作。こういう問題、何とかしていかなくてはいけないんだけど、そういう立場じゃない人でも救いが必要な人、世の中に沢山いるんだよな。本当に難しい・・・

    0
    投稿日: 2024.08.04
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    ベトナム人の技能実習生が上司を刺して逃亡した。刑事の何森はその行方を追ううちにその奥にある問題に直面する。 「デフヴォイス」シリーズの何森が主人公の話。入管やホームレスなどの問題が描かれていて、重たい内容だけど、ぐいぐい読ませる。

    0
    投稿日: 2024.05.18
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    「デフ・ヴォイス」のスピンオフ、何森編第2弾 短編二つは2021年、中編は2022年が舞台 前作の表紙は夜道を一人歩く何森…という感じでしたが、今回は夕日さす街を相棒と二人で歩いていく後ろ姿。じーん…

    0
    投稿日: 2024.05.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    デフ・ヴォイススピンオフ 定年間際の刑事何森。捜査の主軸からは外されたている何森と荒井コンビが追う、社会の片隅で生きる女性たちの罪。 技能実習生、単身女性の貧困、入管法…ほかにもまだある、見えないことにされている人たちの痛みと苦しみ。 知ってはいる、新聞で、テレビで、あるいはネットで取り上げられるたび心を傷めたりする。でも、すぐにその痛みも流れていってしまう。 そうやってなかったことにした痛みを、何森と一緒に感じ続けた。 生きていくことさえ困難な、希望の光もないこの国の生活で、それでも罪は罪だと裁くのか。 何秘湯解決しない事件たち。読後残る混沌と不全感こそがこの国の現実なのだろう。

    1
    投稿日: 2024.04.15
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    デフ・ヴォイススピンオフ、何森刑事が主役の第2弾。今度はフォンさん主役のお話も読んでみたく思ってしまった…スピンオフのスピンオフ!

    0
    投稿日: 2024.03.28
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    〈デフ・ヴォイス〉シリーズスピンオフ〈刑事何森〉シリーズ第二作。 はみ出し刑事・何森が、〈デフ・ヴォイス〉シリーズの荒井みゆきとタッグを組んで三つの事件の捜査をする。 読み終えて何ともモヤモヤする作品だった。 弱者の女性たちの犯罪を描いているのだが、何森とみゆきが犯人を捕まえてお仕舞いではない。それどころか捕まえることさえ出来ない事件もある。 作中に出てくる『クー・ハン』なる組織も、そこに助けを求めるしかない女性たちも、その先には何があるのか。 映画のようなハッピーエンドが待っていれば良いが、本当にそうなるのか。一生守られて逃げ続ける日々が続くのは辛くないのか。 今の日本社会にある様々な問題。救済が必要な人、救済を求める人がたくさんいても、全ての人を救うことは出来ない。そもそも今の日本にそんな経済力などない。みんなが今日生きるのにいっぱいいっぱいな、貧しい国になっている。 一方で様々な救済措置を悪用し、法の隙間をすり抜けて不法行為・違法行為をする人間がいるのも事実。得てしてそちらの人間に少ないペイが渡るのも事実。 最後の事件で何森は自分で選択して自分で女性を取り調べた。 女性は救われたのか、どうなのか。 何森は作品の最後でまもなく定年を迎える設定となっている。次の作品があるとすれば、刑事ではない何森としての姿が描かれるのか。第二の人生の舞台はどこなのか。そこで何森は何をするのか。機会があれば読んでみたい。

    44
    投稿日: 2023.12.29
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    「デフ・ヴォイス」シリーズのスピンオフ、“刑事何森”第二弾。 「逃走の行先」というタイトルにもある通り、“逃げる女”(逃げざるを得なくなった女)をテーマにした、連作三話が収録されています。 定年間近(!)の何森刑事とバディの荒井みゆきが追うのは、派遣先の上司を刺して行方をくらましたベトナム人技能実習生。その背景には非合法の救済組織があるようで・・(第一話「逃女」)。 丸山さんの作品には毎回考えさせられていますが、今回も、この国が抱える厳しい実情が浮き彫りになるような内容となっております。 技能実習生の厳しい現実を扱った、第一話「逃女」。 ホストに嵌った女性の末路・・売春斡旋、パパ活問題の第二話「永遠」。 難民申請の困難と非正規滞在外国人問題、そして高齢単身女性の貧困を描いた第三話「小火」。 各話、追い詰められた女性達の悲痛な思いが伝わってきて、読んでいて心がえぐられるようでした。 勿論フィクションではあるのですが、実際に起こった事件がベースになっているので、リアルな問題提起になってもいるのですよね。 という訳でスッキリ解決!という展開ではないのですが、本書を読んで“この国のセーフティーネットは一体どうなっているんだろう・・?”と、関心を向けるきっかけになりました。 さて、やりきれない事件への対峙でいつも以上に哀愁漂う何森さんでしたが、定年を迎えた後の彼の進路(?)も気になるところです。 あと、第二話で、捜査の為にホストクラブに通う羽目になったりと、本編シリーズとは違った面をみせてくれるみゆきさんでしたが、どうやら次女の瞳美ちゃんの学校の事でお悩みを抱えている模様です。 荒井ファミリーの状況が心配なので、本編シリーズの続きも是非お願いいたします~。

    13
    投稿日: 2023.12.23
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    ベトナムの人たち今はまだ日本に働きに来てくれているかもしれないけど、そのうち日本以外の国行っちゃうだろうな、もっと大事にしろよって思いながら読んだ。

    4
    投稿日: 2023.12.13
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    51/100 丸山正樹著 「逃女」 ベトナム人技能実習生による傷害事件 何森は、女性の逃亡を手助けする組織の存在を知り… 「永遠(エターナル)」 ラブホテルでの殺人事件の重要参考人は、パパ活をしていた若い女性だった… 「小火」 公園トイレの放火事件に、容疑者として浮かび上がったのは高齢者ホームレスだったが… 罪を犯さざるを得なかった女性たちに対峙する刑事・何森 定年が迫る中で下した苦渋の決断ー

    0
    投稿日: 2023.11.29
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    刑事何森、待望の続編。うとまれながらも、事件の裏にこだわる何森。荒井みゆきとのコンビは、しみる。 「刑事何森」の第2弾。 「逃女(とうじょ)」「永遠(エターナル)」「小火(しょうか)」の 三篇が収められている。 技能実習生、入管、難民、コロナによる解雇や雇止め、 貧困、ホームレス…。 作品には、社会に散らばる、積み重なる問題が満載されている。 どれも、すぐには答えが出ないものばかり。 だが、考え続けていかなければならないと、思い知らされる。 というか、何森が定年目前だと気づき、少々焦った。 理由もなく、何森は、若くはないが、脂ののった年齢、 渋い中年のオッサンと、思い込んでいた。 前作を読み返し、一話目の「二階の死体」から「ロスト」まで、 結構、年月が経っているんだと、思い出した。 あらためて、定年を目前にするまで、所轄をたらいまわしにされ、 仲間に疎んじられてきた彼の刑事人生を考えると、 切ない。 事件に少しでも違和感を覚えると、もう、 「全身刑事」になる。 誰が何といっても、止まらない。 やっかいな性格で、生きづらそうだなと思うのだが、 こちらから見れば、それは魅力の一つだ。 今の時代、正義は一つではなく、さまざまな正義があるような気がする。 こちら側から見ると正義とは思えないことも、 あちら側は正義だと主張する。 複雑、怪奇で、めんどうくさい。 だが、社会に散らばる弱者が踏みつけられ、傷つけられるのは、 正義じゃない。 そう、大きな声で言ってほしい。

    0
    投稿日: 2023.11.29
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    外国人技能実習生の妊娠問題「仮放免」、パパ活の実態、入管難民法の改正問題、の3話短編。 平和で閉鎖的な日本で起きている大切な問題提起本。 きっかけになれば、という思いか… あとがきに記載されたように、読者の人気次第で、定年何森刑事のその後物語、続編が出るか決まるらしい。読んでみたい気もするが、どうも理屈っぽさに飽きも感じる。 全世代で最も貧困率が高いのは、65歳以上の高齢単身女性。コロナ禍以前から4人に1人が貧困で、65歳以上だと2人に1人になる。 フードバンクの中に、支援したい人からの提供を受け付けることを「フードドライブ」といい、集まった食品を配布する場所や作業を「フードパントリー」というらしい。 名古屋の入管施設での死亡事故により、入管収容施設での人権侵害の実態から、収容、仮放免、難民申請、の問題が明らかに。

    4
    投稿日: 2023.11.16
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    「デフ・ヴォイス」スピンオフにして何森シリーズ二冊目の連作ミステリ。ここで描かれる物語はもちろんフィクションなのですが、現代社会で実際に起こっている事件そのものでもあると思います。決して絵空事でも他人事でもないのかもしれません。 外国人労働者や高齢女性ホームレス等、社会的弱者が関わった事件を担当する何森は、事件を起こさざるを得なかった彼女たちをなんとか理解し寄り添おうとするのですが、向こうからはなかなか理解してもらえないのがつらいところです。彼女たちからすれば、同じ立場の人間でなければ分かってもらえない気持ちが強いんだろうな……。それでも「犯人」を追うだけでなく、事件の根幹を知ろうとする何森の姿勢は優しさと頼もしさに溢れていると感じました。 お気に入りは「小火」。この問題はたしかに聞いたことがあったけれど、それでも日本人にとってはたしかになじみが薄いものだと感じてしまいます。蔑ろにしているわけではないけれど、知る機会があまりないのですよね。だからこそ知らなければいけないことなのだろうし、重要な問題でもあります。そしてこの事件に向き合った何森の願いは、人間としてはまったく正しいことだと思いました。

    0
    投稿日: 2023.11.14
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    法律は正義は全て正しいものなのか?弱者たる技能実習生、外国人、シングルマザー、高齢単身女性…罪を犯さざるをえない彼女たちの逃走の行方は。それにしても技能実習生や難民のことは知らなさすぎた。現実は相当厳しいようだ。正義とはなにかを考えさせられる。

    0
    投稿日: 2023.10.22
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    技能実習生、パパ活、入管問題を絡めた連作短編。その社会問題を背景に犯罪を犯してしまった弱い立場の女性たち。逮捕する事が決して解決に結びつかないじれったさ。何森の刑事の役割と信念で揺れる中での決着はモヤッとするが、それがこの作品のキモでもあるのではないか。著者からの問題提起が読後、大きな余韻となって残る。何森の定年直前の物語であり、定年後の何森も楽しみだが、若い頃の何森も読み応えがありそう。もっと読みたいシリーズ。

    0
    投稿日: 2023.09.05
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    【収録作品】逃女/永遠/小火 「デフ・ヴォイス」シリーズのスピンオフ。 すっきりしたミステリではない。むしろ、現代日本において弱い立場に置かれている人たちに焦点を当てた作品。解決よりも問題提起が重視されている。

    10
    投稿日: 2023.08.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2023/06/19リクエスト 7 ここ最近あった事件を下敷きに、一匹狼の何森刑事が相棒の荒井みゆきと捜査にあたる。 立場の弱い女性が関係する事件を組み合わせてあるので、どれも思い当たるものがある。 技能実習生の妊娠、出産。非正規滞在外国人の仮放免。 コロナ禍による失業。 罪を犯した、その罪は本当に罪なのか? そうせざるを得なかったのでは?という問いがこの本を通して見えてくる。

    1
    投稿日: 2023.08.23
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    刑事何森シリーズの2作目。 何気に気に入っているこのシリーズ。 何森さん、いよいよ定年となってしまい、 もっと続いてほしいのに… この先の彼がどうなるのか気になる。 作者があとがきにも書いているように、 作品に対して反響がなく、話題にならなければ このまま終わってしまうことになるのかも。 そうならないよう、祈るのみ。 今回も世の中でなかなかスポットライトの当たりづらい、しかし見過ごしてはいけない人々に対して問題提起している。 実際に起こっている事件や出来事が下敷きとなっていて、その悲惨さが胸を突く。

    20
    投稿日: 2023.08.16
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    刑事何森シリーズ第2弾。今の日本の社会の問題点を題材にしてる。外国人就労、貧困、差別、医療費問題点に絡めて書いてある。これが現在の日本の実情と言ってもいい内容。 今後日本はどうなるのか。 何森さんは定年したらどうなるのか。このシリーズまだまだ続いて欲しい。

    4
    投稿日: 2023.08.14
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    埼玉県警、ベトナム人技能実習生の女性が社員をナイフで刺した事件。ラブホテルで男性殺害される事件。公衆トイレの放火事件と難民認定。3つの事件の短編集。 丸山正樹はやはりいい。「デフ・ヴォイス」シリーズも素晴らしいけど何森刑事もいい。徹底してるのは弱者への優しい目線。宮部みゆきの時代物にも共通する。自分が優しくないからまぶしく見えるのか、自分が優しくされないからあこがれるのかどっちかワカランけど、いいものはいい。政治家や官僚など広く市民のために働く者たち必読。

    1
    投稿日: 2023.08.08
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    「デフ・ヴォイス」シリーズの刑事・何森が主人公の第二弾です。 何森が定年間近…哀愁漂ってます。 短編3作どの話も女性、外国人女性に関わる事件です。《技能実習生》《パパ活》《売春斡旋》など ニュースで聞いた事のある話とコロナによって仕事を無くした貧困を絡めて、やりきれない事件の真相に何森の苦悩が切ない(*_*)

    36
    投稿日: 2023.07.30
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    「逃女」「永遠」「小火」の三編収録。 埼玉県警・何森稔が相棒の荒井みゆきと共に事件を追う。 外国人技能実習生を取り上げた第一話から心を持っていかれる。 会社の上司を刺し、姿をくらましたベトナム人女性はどこへ逃げたのか、そしてその背景にあるものは。 私の暮らす街でも外国人技能実習生の姿を頻繁に見掛けるようになった。 架空の出来事ではなく、今ある現実を突きつけられる。 パパ活がテーマの『永遠』とコロナ禍の失業と貧困を描いた『小火』も非常にリアル。 社会全体に蔓延る問題について考えさせられ関心を持つ事の重要性を痛切に感じた。

    1
    投稿日: 2023.07.25
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    『デフ・ヴォイス』シリーズのスピンオフ第二弾です。 埼玉県警の何森稔(いずもりみのる)は優秀な刑事だが協調性がなく上司や同僚からも疎まれる存在だった。相棒の荒井みゆきはデフ・ヴォイスシリーズの手話通訳士・荒井の奥様。二人の娘である美和は高校生となり、瞳美は来春には小学生になるらしい。 外国人の技能実習生、パパ活、コロナ禍による失業と貧困、非正規滞在外国人などなど、罪を犯さざるを得なかった女性たちを描く3篇です。 もちろん罪を犯すことはよくないことですが、そこへ至った経緯を考えるとやるせなさを感じる事件ばかり。でもこれらは完全なフィクションとは言えないんですよね。現実にも同じような境遇の人たちがいることを、私たちは知らなくちゃいけないし、関心を持たなくちゃいけない。 あと2ヶ月で定年を迎える何森刑事。刑事ではなくなった何森さんはこれから、いったいどう社会と関わっていくのか…気になります。ぜひ続きが読みたいです。 草彅剛さん主演でドラマ化される『デフ・ヴォイス』も楽しみだし、そちらの続編も期待したいですね。

    2
    投稿日: 2023.07.23
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    「逃女(とうじょ)」ー ベトナム人技能実習生 「永遠(エターナル)」ー パパ活 「小火(しょうか)」ー 高齢者ホームレス 3つの事件が収められている。 どれも貧しく孤独な女性が加害者の事件で、事件によって現代社会の現状を訴える作品。 実際の事件や事象が書かれているので読みやすい。先2篇は小説というより作者の思いを書いたという印象が強かった。3つ目は1と2を受けて少し長く書かれているので小説感があって良かった。 作者の丸山さんはとっても優しくて良い人だなぁと分かる。弱き者が冷遇され見捨てられる国の制度への憤り、一個人ではどうする事もできないことへの虚しさ。作家として伝えたいという強い思いが作品になっている。ただ、現実要素が強いから主人公の何森刑事の考えというより作者の考えという感じがしてしまう。前半は小説というよりニュースを知った感想のような…。 個人的には長編にして、3つ目の感じ(読者に提唱する形)で、もう少し小説っぽさがあった方が読み応えが出るように感じた。

    2
    投稿日: 2023.07.20