
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
すごいもんを読んでしまった。 絵が可愛らしく、テンポが良い。1話が15ページ前後なので、ハイスピードで読める。全64話を一日で一気に読んでしまった。 一方で、よく描かれた漫画であるからこそ、かなり内容が禍々しく、凶悪だと感じた。アイドルモノは世の中にたくさんある。「普通の女の子がひょんなことからトップアイドルと恋愛!?」みたいな作品はいくつも読んだし、見てきたが、どれもファンタジー要素が強いので、素直にキュンとできる。この作品はなかなかに「キュン」としづらい。大筋は「そんなことあるかよ」の連続だが、ディテールが妙にリアルで、読んでいてずっと顔をしかめてしまった。コレに「キラキラアイドル漫画」のカバーをつけて出すあたりが「集英社」であり「マーガレット」だなと思う。私はあんまりこれを中高生に読んでほしくはない。 アイドルが好きだと思う気持ちが若さゆえに暴走し、その気持ちを悪い大人に利用されて、性消費される乃愛(のあ)。そこそこ売れているがまだそこまで売れていない25歳のアイドル優衣人(ゆいと)は、ハタチの女子大生である主人公・桃に飲み会で声をかけ、さっさとホテルに連れ込む。昼ドラか? まず、第一話からして邪悪である。アイドルのために若者が3桁CD積んだ上に(※積む=大量に買う)、飲み会でアイドルと繋がるような不健全な展開。CDを積むのは、分かる。分かるのだが、CDを積むという行為は、大人が自己責任で、可処分所得の範囲内でやってほしい。「アイドルは自分の老後の面倒を見てくれない」ということをイマイチ理解していなそうな主人公が「今日30秒お話するのに桃がいくら使ったと思う?1600円のCD×100枚=16万円。2か月分のバイト代だよ。でも桃はこれを高いとは思わない。」と言っているのは「や、やめろ……」と思わず声が出た。しかも、憧れの優衣人(ゆいと)と繋がってしまった桃は、「ラインひとつ来たら会えるのにCD積む必要あるのか…?」などと言い出す(第7話)。もう終わりだよ。 そして凶悪な女、乃愛(のあ)。彼女は、優衣人(ゆいと)と同じアイドルグループのメンバーである律のファンである。律に「ガチ恋」するあまり、大学に入ってからラウンジで働き始める。「どこかで律くんと繋がれるチャンスがあるかもと思ったから」。やめてくれ!ラウンジで働くこと自体に問題は無いのだが、そういった職にはリスクがあるということを……理解した上で就労してほしい。結果、乃愛は、「律と知り合いだよ」と甘い言葉で誘惑するエロオヤジの毒牙にかかり、ホテルでエロオヤジに体を預けてしまう。く、くたばれ!!!エロオヤジ!!!乃愛は、エロオヤジのコネで、律が出席するパーティーに潜り込む。律を見つけ、「わ~偶然~」などと話しかけ、「よかったら連絡先とか―…」と言うが、律は「すいません、こういうの迷惑なのでやめてもらえますか」。 り、律―――――!!! これがあるべきアイドルの反応だと思う。優衣人はクズ(自分でも言っている)。 体まで売ったのに律に振られた乃愛は、能天気に「優衣人くんすきすき」などとお花畑全開な主人公に腹を立て、同じ地獄に引きずり込もうとする。戸惑う主人公を、アイドルが来る飲み会に誘ったり、「優衣人くん、可愛い子なら遊んでくれるらしいよ」などと言ったりする。凶悪だな。 こういった感想を抱くのも、ディテールがしっかりしているからである。本作はとんでもないスピードで話が進むため、第2話で主人公が25歳アイドルによってホテルに連れ込まれるのだが、アイドルの下着がカルバンクラインである。なんでアイドルってみんなカルバンクラインなんだ?割引制度とかあるんだろうか。ライブで「天井席」があるような規模感のアイドルがファンと不用意に繋がること以外のリアリティが無駄に高い(無駄ではない)。それにしても、身を持ち崩すスピード感がすごい。この世で一番不要なスピード感。「この主人公がSNSでアイドルの寝顔を晒す真正のクズ(真正のクズ?)になるまで見守りたい」などと思ってしまった。 補足しておくが、私が推しているアイドルはもういい歳であるため、インスタライブで下着のブランドを開示している(こちらは求めていない)。そういった公の場で「こいつもカルバンクラインか」などと思っているだけであり、非公式の情報として下着のブランドを知っているわけではないことはご了承いただきたい。 第14話では、主人公・桃が、優衣人(ゆいと)に対して、デートの見返りに30万円渡そうとするドクズ展開。読みながら「うわー!」と言ってしまった。そういうのは本当によくない。 主人公・桃の大学の友達である吉澤が出てきた時には、私は拳を突き上げてしまった。「吉澤!!!!お前!!!お前しか居ない!!!!!主人公を、この腐食し切った金属クズに金メッキ被せたような悲惨な状況から救い出してくれ!!!!!」しかし、吉澤は早々に戦線を離脱し、たまに当て馬として戻ってくるだけで、本筋には関わってこない。 また、第24話にて。フェスで推しの優衣人(ゆいと)が別のファンの子にファンサ(ファンサービス)をして、その子が「もう死んでもいい」と泣き崩れるのを見た主人公・桃の気持ちが、「あの頃のピュアな自分を殺してしまった」ではなく、「どれだけの人を傷付けるのかって全然分かってなかった」なのは、最悪すぎて笑ってしまった。桃の中で「推し活」と「恋愛」は地続き。桃がそれを「当然に全アイドルファンに当てはまる」と思い込んでいることが伺えるエピソード。私や私の周りは基本的に推しにガチ恋をしていないので、このように「自分とアイドルの恋愛が他のファンを傷つける」などと思い上ったことを言われてはたまらない。アイドルと恋愛してる女が、アイドルのファンに「申し訳ない」などと世迷いごとを言い出したら殴ってしまうと思う。何を勘違いしているのか。「非日常」を楽しめなくなる破滅の道を、こっちは羨ましいなんて微塵も思っていないのに。こういったケースで傷つくとしたら、「優衣人(ゆいと)が他の女とっ!」などというボンヤリした失望ではなく、「うわ……ファンの女子大生に手を出したのか」という部分である。 そのため、第25話で主人公・桃がやっと「優衣人くんの彼女になりたいです〜!!」と言ったときには「それでいいんだよ!」と思った。真剣交際をしろ。 ただし、優衣人には一貫して「くたばれ」という感想しか出てこなかった。「知ってる人間のためにしか頑張れない」などと平気で言う。アイドルやめろ。大きな売上をあげるには、ひとりの顧客を満足させても意味はなく、多くの顧客を満足させる必要があるのであって、だから中学生アイドルですら、自分が「ファンの皆さん」から何を求められているか分析して実行しているのに、それも出来ない25歳まだ売れてないアイドルの需要とは?本人も、そんな自分はアイドルに向いていないという自覚があるようだが。恋愛は好きにすればいいが、ファンのために頑張れないアイドルはちょっと。 優衣人と同じグループのメンバーであるYは若干まともな人間。優衣人に対して「でも、そういう優しさはあの子にとっては残酷なんじゃない?期待持たせて付き合ったって、未来ないじゃん。アイドルと一般人の恋愛なんて。『何かあったら一緒に考えよ』って本当に?本当にそうなった時、責任取れるの?あの子の人生。」と言い放つ。言ってやれ!言ってやれ!! 他にも、「超国民的アイドルグループがコンプラ違反で失墜!23時間テレビのメインパーソナリティとして、『人数が同じだから』という理由で優衣人のグループが大抜擢!」「就活が上手くいかない主人公が、ひょんなことからスタイリストとしての才能を開花させ、ファッション業界にミラクル就職!」など、「んなわけ」な展開が盛りだくさんだが、漫画が上手いのでおもしろく読めてしまった。パリ旅行中に黒髪になったり金髪になったりする優衣人には驚いたが。ウィッグなんだろうか?生えてるように見えるが。 こういうファンタジーにツッコミを入れるのも野暮だと思うが、 ①絵が可愛らしい ②アイドルモノとしてキラキラした描写だが内容がえげつない ③ところどころリアリティがある の3点により、読んでいてかなりの「うわ!!!」があった。猛毒を読者に飲ませる時は、警告色をまとってほしい。マーガレットに対するお願いである。
1投稿日: 2025.09.15
