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サエズリ図書館のワルツさん2
サエズリ図書館のワルツさん2
紅玉いづき/東京創元社
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総合評価

12件)
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    わたしは、この物語が、とても好きです。紅玉いづきさんの描く物語は、核心に迫るものではない、と長年のファンながら思うのですが。どこかファンタジックで、懐かしく、情感を揺さぶるような身近なキャラクターたちを描くのが本当上手な作家さんだなと、改めて思いました。 図書館ボランティアと司書のワルツさんとのやりとりが温かく、地元の図書館への憧れもあって惹き込まれます。生きづらさを抱えながら将来に惑うチドリさんの心の変化がとてもしたたかで勇気づけられる物語だと思いました。天職だね、と言われたかったその想い。すごくわかります。 近未来でしか描けないような、でも、今にも現実になりそうな。曖昧な世界観の中で、鮮明に図書館という施設の面白みが伝わる、本のぬくもりが伝わる、愛情が染み渡るような物語が、箱の中にギュと詰まっているような本で。最後のタンゴくんの話が、キュ、と絞られるように胸に迫り、本当に面白かったです。ワルツさんの危うさが、とても愛らしい。 登場人物と、世界観と、テーマが本当に素敵で。これは、紅玉いづきでなければ描けない物語だ、ととても唸りました。また続きが出るなら飛びついてしまいそうな、近未来の図書館と素敵な司書さんの身近なお話でした。

    4
    投稿日: 2025.05.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    シリーズ2作目は、悩める就活生チドリさんと老修復家の物語を中心とした中編と、前作登場した図書館で働く人達の短編で構成。 タンゴ君の物語、ワルツさんもですが、二人の独特な距離感がこれから先どうなるか気になりました。

    0
    投稿日: 2025.01.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    タンゴくんが切ない。 今回はワルツさんの生きている時代の厳しさや、本を所蔵していることの弊害など、なかなかあり得そうな未来に考えさせられつつ、とにかくタンゴくんの気持ちに胸が痛みます。

    2
    投稿日: 2024.11.02
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    本が貴重な文化財となった世界での、私設図書館を舞台にした物語。 図書修復、電子書籍、本を残すということ。様々な形での本への想いや愛憎や執着。静かに、でも内に沸々と滾る想い。それは図書館という場所ならではかも。 嗚呼、本が好きだ。

    0
    投稿日: 2024.08.28
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    本のお医者さんはかっこいいです。本に未来はないのでしょうか?すべてが電子になる。そんな日が来ないことを願います。

    0
    投稿日: 2024.08.01
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    ☆3.5 シリーズ第2弾 前作ではワルツさんがメインのお話でしたが、今作ではワルツさんと共にサエズリ図書館で働く仲間たち(チドリさん・サトミさん・タンゴくん)にスポットを当てたお話でした。 物語は今作で完結とのことなのですが、何だか少し物足りないような気がしたので…評価は低めにさせて頂きました。 もしまた番外編のような形で、ワルツさんたちにお会い出来たら嬉しいです❁⃘*.゚

    23
    投稿日: 2024.06.17
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    「本の、価値を、知りたいんです」 なやみ、うなだれていた彼女に差し伸べられたのは、人々の羨望を集めた“神の手“を持ちながらも、紙の本が稀少化したこの世界に絶望した、ひとりの“図書修復家“の手だったーーーーー。 先に2を読んでしまった。 本好きとして、図書館ボランティアにとても憧れがあるけれど、とても大変だと言う事は聞き及ぶので、こうしてフィクションでも触れる事ができるとワクワクする。 (本が好き)それはまったくの本当のことではなかったけれど、という一文に千鳥さんの真面目さが伝わってきた。登場人物に「さん」が付いているのが珍しいと思いながら読み進めていたけれど、その敬称一つで、物語の柔らかさ、優しさが増していたような気がして、とても良かった。 修復家ももちろん憧れる!たまに修復動画など見ると魔法みたいだと思う。電子化と手仕事と、バランスのとれた物語だった。 水面下にうっすらと悲しみが揺れているストーリーは、紅玉さんならではだなぁと感じながら、楽しく読ませてもらった

    1
    投稿日: 2024.05.27
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    「サエズリ図書館のワルツさん」2冊目。 前半は、就活で落ち続け自信を失ったチドリさんと紙の本の未来に絶望する老図書修復家の出会いを描いた中編。 後半は、ワルツさんvs.「サエズリ図書館の書籍を全て電子化してほしい」と迫る電子図書館のヒビキさんの話を挟んで、カウンターに座るサトミさんと警備員タンゴくんの過去と本心が語られる短編3作。 私としては前作のほうが面白かった。 もとより“紙の本”推しの話ではあるが、今回は前作以上に“紙の本”に対するこだわりが色濃く出たような印象で、その分、前作から少し気になっていたワルツさんの頑なさが強調され、色々感じるところはあったもののお話全体としては一本調子に感じたところ。 前作のあとがきに『最初の刊行から、十年の月日が経ち、電子と紙、どちらが優れているとか、それぞれどうなっていくとか、それこそ本が生きるとか死ぬとか、そんなことはみんな、些末なことのように、思ったりもします』とあったので、「電子図書館のヒビキさん」ではどういう折り合いのつけ方をするのかと思っていたが、いやいや、ワルツさん、手厳しかった。 勿論、質量や姿かたちを持つその存在感や文字で追うことで物語に集中しその世界に没頭できる“紙の本”の良さに加え、形があるが故に朽ちていくものをどう残していくのか、それに必要な修復の職人技の継承などの課題もとてもよく分かるのだが、いささかそちらの主張が勝ち過ぎたように思えた。 カミオさんやコトウさんらの常連さんたちは引き続き好調。 サトミさんとタンゴくんの話はそれぞれなかなか興味深かったが、サトミさんの話はちょっと短くて残念。 ワルツさんの犬が怖いところは取ってつけたようで浮いた感じがした。

    51
    投稿日: 2024.04.07
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    今回は就職活動中の大学生、千鳥さんが主な主人公。自分の「天職」にしたい仕事が見つけられずに、大学教授に勧められたサエズリ図書館に来てみるが…そこで運命の出会いが待っていた。 自分の天職ってなんだろう?生涯をかけてやりたいことが見つからない。 「生きることは働くこと」という言葉が胸に刺さる。 漠然と働き、流されるままに生きていて、いいのだろうか? そんな不安を、一人の女性と老人の物語を通して、一筋の希望に変えてくれる。 就職活動中の学生さんだけでなく、すべての働く人にもオススメしたい。

    13
    投稿日: 2024.03.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    1巻よりも2巻の方が読みやすいと感じました。それにしても…ワルツさんは危険な目に遭いやすい体質なのか、2巻は警察沙汰になる事件が多かったです。サエズリ図書館が現実世界にあったら、是非行ってみたいです。

    1
    投稿日: 2023.08.18
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    本屋好き図書館好きなので、手にしたシリーズ2冊とも読み終えた。物質的に本が高価な世界となっていたので、一種のファンタジーなのだと思う。 図書館の周りの情景がこの世界になった理由と違和感を感じてしまうけど、人々の本との話がメインなので、そちらは楽しめたし、子供の頃に大好きだった図書館を思い出した。ユリユールによって装丁し直しされた雑誌の本や赤いビロードの絨毯。もうないのだろうと思うけど、いつかまた行ってみたい。

    1
    投稿日: 2023.08.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    前作より更にSF色が強くなった印象。登場人物の正体?も明かされていく。サトミさん、タンゴくんそんな秘密があったり、ワルツさんの弱点も晒される。 今が嫌で終末を期待する千鳥さんの気持ちも、わからないでもないし、自分もたまに考えてしまうこともあるけど若い人がそんな思いに囚われるのは悲しく感じる。 「生きることは働くことではないかね」 なりたい職業になれる人なんて殆どいない。 惰性と責任だけで働き、もう逃げることもほぼほぼできない現状の自分。後悔する余裕もないのだけども、 目指せるものがあり、障害があっても挑戦に向かう千鳥さんを少し羨ましくも思えるし応援したくもなる。 また本により、何か一時的にでも救われたりするのは年齢に関係なく同じなのだな。改めて再認識。

    3
    投稿日: 2023.07.26