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プーチン戦争の論理(インターナショナル新書)
プーチン戦争の論理(インターナショナル新書)
下斗米伸夫/集英社
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総合評価

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    ソ連〜ロシア研究の専門家によるウクライナ戦争の解説。 ウクライナ戦争については、どうしてもウクライナ側、欧米側にたった記事や論評が多く、ロシア側からみようとしていても、実は、ロシア側というより、反米という視点にたったものが多い感じがする。そういうなかで、長年、ソ連〜ロシアを見てきた著者による本は、新しい視点を与えてくれた感じがする。 著者は、この戦争は、長い時間軸のなかでみることの必要性を述べていて、どこが起点になるかというとキリスト教化、正教化した時点となる。 そして、ソ連という建前上、無神論の時代においても、実は正教的なものが指導者の間にもあって、ソ連崩壊後は、それが前面にでてきているということ。 つまり、いわゆる安全保障のための力の論理だけでみることができなくて、宗教を理解することの必要性を説明している。 その指摘の正しさについて、論評はできないが、そういう視点もあるのかということで、いくつもの発見はあった。 本当にそういう因果関係なのか、もしかするとそういうストーリーがあとで構成されているのかは不明だが、プーチンやロシアの人々が生きているストーリーとしては、リアリティがあると思った。 ロシア側の視点を理解することは、今、ロシアがやっていることを幾分も正当化することにはならないのだが、良くも悪くも理解することは、一定レベル、その行動を許してしまうことにもつながる感覚もあり、その辺りが悩ましいところ。 この本は、どうしてプーチンがこの戦争を始めたかということの説明ではあるが、どうしてこうした過酷で残虐な戦争行為がなされているかの説明にはなってないような気がする。 本のなかでも、あまりそうしたことへの言及がなく、その辺のバランスの悪さは感じるところ。 もしかすると、ロシア側からの情報を得るためには、そういうことに言及することで、ルートがなくなってしまうことを恐れ、その辺りは他の著者にお願いというスタンスなのかな? という前提をおけば、他の本とは一味違う見解がわかって、有益だと思う。

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    投稿日: 2023.07.19