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その対応では会社が傾く―プロが教える危機管理教室―(新潮新書)
その対応では会社が傾く―プロが教える危機管理教室―(新潮新書)
田中優介/新潮社
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総合評価

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    なかなかの良い内容だった 企業に「感知・解析・解毒・再生」という四つのステップを意識して行動することを提唱 場当たり的な言動をしてしまわないため 理論 感知ー「現場は必ず嘘を言う」「露呈した不具合は氷山の一角」「水平・垂直に事実を調べる」 解析ー「二つの見えにくい罪がある」「二つのトウソウ本能に留意せよ」「岸の発想を持て」「被害者は社会的な弱者か否か」 解毒ー「公益を意識して語る」「被害者の気持ちを自ら代弁する」「作用と反作用に留意する」「痛みのバランスをとる」「反省・後悔・懺悔・贖罪」「(被害者は)癒される・腑に落ちる・受け入れる・忘れようとする」「再発防止はフールプルーフとフェイルセーフで」 再生ー「オーバーシュートを避ける」「予め再出発の策を仕込む」「ステークホルダーへの根回し」 謝罪会見も法廷も常に解毒を念頭に置くべし 危機管理に失敗する五つの要因 ①気が動転して思考停止に陥る 私もあなたも、人間は誰でもいざという時には、気が動転する生き物 ②事態の展開の予測を誤る 展開を予測しておかにいも、後手に回ってしまう ③多方面からの助言に惑わされる 企業が不祥事を起こした時の危機管理でも、様々な助言を真に受けて裏目に出ることがある 窮地に陥った際、危機の際にこそ助言を精査する必要が高まるが、往々にしてその逆の行動を取ってしまうことが多いことを忘れてはいけない ④罪の重さの変化を見落とす 他者に責任を分ける姿勢を弊社では「他分け」と呼んで企業に注意喚起しています。「他分け」をしても、決して己の責任は軽くなりません。 数年前ならば被害者として同情されたような案件でも、現在ならば加害者と認定されてしまうことは決して珍しくありません。常に「罪」についての常識をアップデートする必要があります ⑤二つのトウソウ本能に支配される 「闘争」と「逃走」 危機を素早く「感知」し、現状と展開を「解析」した後に、詳しい説明や謝罪などで「解毒」したうえで、窮状からの「再生」を図る 危険発生時にまず問うべき五つのポイント ①思考停止に陥っていないか。あらゆる可能性を検討しているか ②今後の展開を冷静に予想できているか。希望的観測に基づいていないか ③寄せられた助言を冷静に評価できているか。鵜呑みにしてはいないか ④古い価値観や常識で「罪」を評価していないか。軽視してはいないか。他人のせいにして済ませようとしていないか ⑤トウソウ(闘争・逃走)本能に支配されていないか。問題の本質を正視しているか 成功のための二つの課題 ①危機管理の理論を習得する リスク・コミュニケーションの一つである謝罪会見は、危機管理の四つステップ(感知・解析・解毒・再生)の中の解毒のために行うもの 細かくいえば、確実に解毒をするためにも「反省・後悔・懺悔・贖罪」という四つのステップがあります。この順番を間違えると解毒はできない ②他者(他社)の事例を疑似体験する 普段から最近発生した他社の事例を取締役会の議題にして、対応の疑似体験をしておくと良いでしょう。自分たちならどんな初動を行い、どの段階で会見を開いて、何を語るのか?Q&P(ポリシー)を議論する 危機管理に必要な技能 ①展開の予測力 弊社は毎週月曜日の午前中に"展開の予測会議"を行っています。この会議では三名の取締役が「楽観論者」「悲観論者」「標準論者」の役割に就いて、感覚的ではなく明確な根拠を示して予測を語ります。そして、時間の経過とともに根拠が崩れないかに注目して、どの予測が正しいかを選択し体制を整えていきます。 ②人心を掌握する話術 心構えとしては、「相手の言葉をバットで打ち返さずに、一旦はミットで受け止めてから返す」となります。もしも、反対意見を言う必要があるなら、「YES、BUT」方式にする。たとえば、ムリな提案をされても、「それは出来ません」と言うよりも「良いご提案かと思いますが、私の一存では決められないので少しお時間を下さい」と回答するのです ③整理して事務処理をする能力 "段階的に行動を起こす" 「現時点で」と断った上で、判明している事実と原因を公表し、同時に今後の調査の予定および次回の情報開示の予定を示す、図を利用した分かりやすい資料を作成 加被害混合案件は危機管理の鬼門 危機を網羅するための16分野 天災と人災の2つに分類する、その二つのそれぞれに加害者と被害者がありこれで4つに分類、その4つをさらに"人""物""金""情報"の四つに分類 キョトンとした顔は無実の顔と反応、反論は逆に怪しい クレームは6種類 ①勘違い②ストレス発散③良心的④平均的⑤厳し目⑥法外 危機管理には四つの戦略 「折れる」「戦う」「かわす」「防ぐ」 他者の事例を疑似体験する事が大切 「折れる」というのは、言い訳や反論を我慢して、謝罪や弁償をすること 危機の本質を見極める方法は四つ ①被害者が社会的な弱者か否かを考える ②社会の処罰感情が高い旬な事案か否かを考える ③自分の置かれている立場が、加害者の岸に近いか被害者の岸に近いかを考える ④期待に反する度合いが、高いか否かを考える 代表的な失敗の原因は「二つの見えにくい罪」 一番目は"変化する罪"もう一つは"悪意なき罪" 情報流出には28パターンある 原因を7つに分類 ①情報の入った機器を紛失した。盗まれたものも含む ②売名や自己顕示欲を満たすのが目的 ③興味本位による情報の閲覧が目的 ④顧客情報をネット上に公開して恥をかかせるのが目的。犯人が現役の社員の場合もあるが、不満を持って辞めた元社員が多い ⑤情報を無形資産として入手するのが目的。幹部社員が転職先に手土産として提供するケースが多い ⑥順客情報を名簿業者に売却する、または企業を恐喝するのが目的。すなわちお金目当 ⑦システムの不具合による情報の流出 それぞれに四つのレベルがある ①社会的な弱者のリストで、センシティブな情報あり ②社会的な弱者のリストで、センシティブな情報無し ③社会的な弱者じゃないリストで、センシティブな情報あり ④社会的な弱者じゃないリストで、センシティブな情報無し 嘘を見抜く方法は、"鳥の目"と"虫の目"を持つことを心がける 情報を取るには、聴覚と視覚と嗅覚をフル活用 (1)現場の嘘を見逃していないか (2)露見していない問題を見逃していないか (3) 全体像を把握しているか (4) 現場の細部を把握しているか。実物を見ているか (5)一つの視点からのみ見てはいないか (6)報告書を鶏呑みにしていないか 楽観論と標準備と悲観備。この三つの推論と、実際に起きてくる様々な事象とを対比していく。 そこから、どの論が当たっているかを判断し、未来を予測して対策を練っておく。それが、危機管理を検討する会議の、望ましい進め方です。 解毒をするには、"反省・後悔・懺悔・贖罪”という四つのステップがあり、順番に全てを網羅する必要がある ①反省ー自ら引き起こしたことの影響について深く考えたうえで、どこがいけないかを自ら言語化する ②後悔ーなぜ自分がそのようなことをしたのか、心理的な原因を分析して考える ③懺悔ー①②を踏まえたうえて、外に向けて語るべき言葉、謝罪の言葉を考える ④贖罪ー③だけでは「口先では」との疑念を払うことはできないから、何らかの罰、ペナルティが必要 謝罪に使ってはいけない言葉 「誠に遺憾」「誤解」「お騒がせし」「知らなかった」「邁進する」 悪い謝罪10種 ①言い訳まじりの謝罪 ②嘘や隠蔽が含まれた謝罪 ③遅い謝罪 ④曖味にボカした他人事のような謝罪 ⑤役者不足の謝罪 ⑥足並みが揃わない謝罪 ⑦詫びる相手の優先順位を間違えた謝罪 ⑧時間不足の謝罪 ⑨賠償が先走る謝罪 ⑩処分が伴わない謝罪 被害者の視点 まずは最初のステップとして「癒される」必要がある 癒されて少し冷静に考えられるようになった後は第二のステップとして「腑に落ちる」が来る必要がある 第三のステップが「受け入れる」 四つ目のステップが「忘れようとする」 再生のステップで留意すべき失敗のパターンは三つあります。 第一に、事態の沈静化を焦ってオーバーシュートをしてしまう。すなわち発言や行動が大げさになってしまったために、身動きが取れなくなったり、莫大なコストがかかってしまったりすることがあります。 第二に、早い段階で出口戦略を仕込まないと間に合わなくなってしまう。解毒が終わってから再生の策を打ち出すべきではありますが、どう再生させるかについて解毒を終えてから考えていてはスムーズな再出発ができなくなってしまいます。 第三に、取引先などのステークホルダーへの情報提供を怠ってしまう。そうすると、不安や動揺から情頼を揺るがし、良い関係でいられなくなることに繋がります。 この三つの失敗に注意しないと再生が遅れてしまいます。 マスコミの大義名分 ①被害の拡大防止、②再発防止、③ステークホルダーの知る権利を満たす、④良き社会を実現するための権力者の監視 マスコミは三つの壁に守られている 公益の壁、引用の壁、反論の機会提供の壁 「褒め記事は叩き記事の母」 総じて情報に対する感度を高めるためには「やみくもに情報を扱わない」という点が大切です。 収集力の感度を高めるには、常に情報を疑ってみることが大切です。そして、その情報の根拠に辿り着く習慣を付けると良いでしょう。 分析力の感度は、多角的な視点を持つことが重要です。違う立場から見れば全く違う見え方をしていることがあります。 伝達力の感度は、発する情報の影響や反応(相手にどう受け止められるか)を予測しながら方法と時期を決めることが大切です。 機密力の感度は、発した情報の流れ方や悪影響を考えながら行うことによって高めていくことができます。 人間関係を築くには五つの能力 ①開始する能力(フックを探す) ②デザインする能力(距離感) ③維持する能力(お礼とか) ④修復する能力(最初は聞く、次にお願いする、ダメなら要望する、改めない場合は措置を通告、最後の手段でデザインを変更、段階的に行うのが秘訣) ⑤収束させる能力(円満に解消する、付き合った時間と同じ時間を費やして別れる、急いではいけない) コミュニケーションにおいて最も難しくて、かつ重要な危機管理の場面 ①断る②説得する③謝る④叱る⑤共有する 叱る場合は相手との温度差を解消する 当事者が複数の場合、"合同で記者会見"という鉄則を記憶しておく 危機管理のガードを固めるには上下左右のアドバイザーが必要 上:その道の専門家で、俯瞰して人生の先を見通せる人 下:イエスマンではなく、フォアザカンパニーで意見を出せる人 左:違った分野の視点を有し、岡目八目で考え方をアドバイスできる人 右:弁護士や医療など専門的なサポートができる知識や技術を持った人 何かをすれば必ず反作用は起きます。したがって、常に反作用を最小限に抑えられるよう考えながら対策を打つ必要があるのです。 コメント 「責任の所在を明確にして、私も含めて厳しい処分を行います」。処分という言葉なら、必ずし、離任しなくても済みます。 経営トップの辞任は、解毒の切り札なので、有効に使うには、タイミングも大切 A4用紙一枚か二枚程度のQ&Pを作成することを企業に推奨しています。Pはポリシーという意味です。質問に対する回答のポリシーを決めておいて、どんな角度から聞かれても回答がブレないようにするのです。 作る際のポイント * その事案に向き合う基本姿勢を決める * その段階で開示して問題ないと判断した情報を箇条書きにする * その段階で開示できない情報を盤理したうえで、開示しない理由をまとめておく * 次に開示するタイミング、なぜそのタイミングかも含めてまとめておく * 予期しない質問、答えに詰まる質問へのスタンスを決めておく 生存競争のために必要な八つの能力 1.共感力 その人にはその人なりの事情がある 2.通達力 相手の理解と記憶を手伝いながら語る 総論から入って各論を語る(又は聞く) 3.協働力 共通の課題を示す、問いかけを忘れない 4.新和力 苦手な相手とも適切な人間関係を構築する能力 田中角栄は長けていた 5.発動力 自己叱責力の欠如、言葉の鞭を持つ 6.確動力 当たり前と思われている事を当たり前に行う能力 7.論理力 第1ステップー現状の問題点やニーズの把握 第2ステップー原因の究明 第3ステップー対策の立案と実施 第4ステップー 効果と費用の確認 第5ステップ ー残された課題の考察 8.創造力 他者の意見やアイデアを決して否定せず、欠陥があると思ったら改善案を加えて同調する

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    投稿日: 2025.08.17