
総合評価
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powered by ブクログ最初の1行が秀逸だと思ってる。 本の表紙を見て本を手に取るのと一緒で、最初の1行を読んだだけで、心がときめいてしまう作家さんだ。 「鍵」 うしろ姿に胸がときめいたのは、生まれてはじめてのことだった。 「大聖堂」 リンゴン、リンゴン、と聞こえるのは、二号室の人の目覚ましの音だ 「ずっと雨が降っていたような気がしたけれど」 とろりとした繊細なブラウスだった。 「二人でお茶を」 今日のあたくしの服、ちょっと痛い、って言われたの。それってどういう意味? 「銀座午後2時 歌舞伎町あたり」 どうして私は今、こんなところにいるんだろう 「なくしたものは」 起きたらすぐおまじないを唱える 「儀式」 私の一日は、とても静かです。 「バタフライ・エフェクト」 二階堂梨紗 「二百十日」 風の強い日だった 「お金は大切」 はい、と差し出された金を、財布に入れた瞬間の自分の指先やそそけた財布のいつもの開き具合や、店にかかっていた音楽のリズムは、今もはっきり覚えている。 「ルル秋桜」 深緑色の缶の、ふたを開けると、幾人もの死体が入っている。 「憎い二人」 行きの新幹線の中から、私はその二人連れに注目していた。 「ぼくの死体をよろしくたのむ」 で、ほんとうに、死ぬの? 「いいラクダを得る」 土曜日の午後二時。 「土曜日には映画を見に」 日曜日は、いつもとても静かだ。 「スミレ」 引越しトラックは、午後にやってきた。 「無人島から」 とらおの部屋は、川のほとりにある。 「廊下」 日曜日の夕方というのは、どうしてこんなにいつも心ぼそいのだろう。 全部書き出してみてしまった。 書き出しが私はどれも好きだ。 強いて言えば、「ルル秋桜」、次に「廊下」かな。 短編の中で、時々繋がりの見えるお話がある。 短編と言いつつも、全て一つの世界で起こっていて、どこかで、小さく繋がっているのかもしれないと思い、繋がりを見つけようとしていた自分がいた。 詩のように、読めた。 圧力がなく、すーっと染み渡る。 ずーっとずーっと川上弘美さんの言葉を感じていたいと思った。 自己啓発本の様に、私達は何か正解というものに引っ張られていきそうになるけど、正解なんて無いんだ。 正解がほしい自分がいるだけ。 誰かに正解って言ってほしい自分がいるだけ。 そして、正解なんてない、という正解を持っている自分がいるだけ。 正解が無ければ、どんな自分でも良いと肯定できる様な気がする。 川上弘美さんの文章を読むとそう思える気がする。 きっとそう思えたら、誰かの事も受け入れる事ができる様になるのかな。 どれが1番好きだろうか… 選べないな。 強いて言えば、 「銀座午後2時 歌舞伎町あたり」だろうか。 ななおさん、に私もあってみたい。
0投稿日: 2025.12.19
powered by ブクログ2025.12.14 どの短編も好きだけど特に好きなのは ルル秋桜 憎い二人 土曜日には映画を見に 廊下
10投稿日: 2025.12.14
powered by ブクログ不思議なお話がたくさん 私が、このお話を楽しめるだけの想像力を持ち合わせていなかった 1話は10ページくらいだけど、読み切るのにとても時間がかかってしまった。 いつか楽しめるようになるのかもしれない 「うまれつき」っていい言葉
0投稿日: 2025.11.10
powered by ブクログ・ 初めて読んだ川上弘美さんの作品。 タイトルに惹かれて買いました。 ・ (印象に残った部分) たくさんの形の「好き」が表現されていて、1番良いなあと感じたのは“土曜日には映画を見に”かな。私は主人公は妥協して選んだ人なのかなと感じたけど、それぐらいの方がのびのび生きていけるのかなとも感じました。私にしかわからない彼の良さ、彼といる時の私、ちょうどいい彼との距離感。そんなことは2人にしかわからなくて、理想だなと思いました。特に残っている言葉とかはないけど、ぼんやりと素敵だとずっと思える話でした。 ・
0投稿日: 2025.11.02
powered by ブクログ現実の死角で起きてるような不思議なリアル感。 サラサラと読めて、フワフワした感触の読了感の短編集。 なんだか感じたことのあるような気がする感情や感覚がリアル。 精神年齢が見た目に反映する宿舎や、偶然出会った小人の恋人を猫から救う戦いなど現実に起こり得ないことを描いた物語もあるけれど。 でも、リアルな現実世界の描写+不思議な出来事が絶妙なバランスを生んでいる。 ありそうで、あり得ない。 たぶんどこかにはあり得る話。 短編集とした時の、その物語の配置も絶妙なんだろうなー。 周りで起こる、些細な不思議を探したくなる一冊。
24投稿日: 2025.08.24
powered by ブクログ何の前触れもなく、急に不思議な路地裏に迷い込むような感覚の短編集。 表題作はタイトルからは想像がつかないような、心が温まる縁のお話だった。 表題作に限らず、どのお話も家族や友人、果ては見知らぬ人への親愛がじんわり染み込んでいるようで、柔らかな心持ちになれた。 精神年齢の見た目で生活する話は、実際にこの制度があったらこんなことで悩みそう、などとあれこれ空想してしまう程パンチのある設定だった。
0投稿日: 2025.08.16
powered by ブクログ表題作と、ふたりでお茶をという作品が好きでした。 いくつか面白いお話もありましたが、短編集全体に一貫性は特になく、読み通す価値は感じなかったです。 お話の内容も薄いし、描写も丁寧とは言い難いです。その割に人物の心情描写が厚く、バランスが悪い印象でした。 楽しみ方がよくわからないというのが総評です。 あまり好みではありません。
1投稿日: 2025.07.04
powered by ブクログ不思議な本だった。すごく感動するとか、心打たれるとか、そういうのは一切なくて、なんだろう‥めちゃくちゃシュールな本だった。短編集なんだけど、現実的な内容と現実離れした内容があって、今回の話はどっちだ?って戸惑いながら読んだ。個人的には「土曜日には映画を見に」が1番好き。
1投稿日: 2025.06.24
powered by ブクログ読み終わった後に待っている普段の日常で、なんてことのない瞬間にこの本に出てくるいろんな人を会話を情景を思い出して、あれこれなんやったっけ?ってふと思ってあぁこの本のお話かって読み直してみたり、思い出せないままちょっとした違和感を残してまた日常に戻ったりするんだろうなという本でした
1投稿日: 2025.06.05
powered by ブクログタイトルと表紙のインパクトにつられて買った。 最初はなんだかふわっとして不思議な世界観が今までには読んだことのない感じで、好きなタイプの本じゃないかもと思った。でも読んでるうちに、これは理解するとか共感するとかではなく、雰囲気を楽しむ、身構えずに私もふわっと読むと楽しめることに気づいた。 「逆行サークル」の話は年齢が近いこともあり、どちらかというと共感だったかも。 印象的な言葉が多く、おもしろい設定なんだけど全体的にきれいなお話が詰まっている。
2投稿日: 2025.06.04
powered by ブクログちょっぴり生きづらい人たちのお話。生きやすく生きられるならとっくにそうしてるんだけど、今の生きづらい生活もちょっぴり愛おしい。窮屈なのがかえって心地いい。そんな人たちのお話。 「ずっと雨が降っていたような気がしたけど」「銀座 午後二時 歌舞伎座あたり」「儀式」「二百十日」「土曜日には映画を見に」がとくに好き。サブカルチャーとはこういう作品だと僕は思う。孤独を孤独のままに受け止めてくれるもの。いつも僕はそういうけど多分この本みたいなことなんだと思う。どれもマジックみたいなお話だった。どのへんがマジックか、実はあんまりピンときてないんだけど、「マジック」って言葉が頭のなかに浮かんでる。だからマジックみたいなお話。
1投稿日: 2025.05.03
powered by ブクログ川上弘美の作品は、高校の現国の授業以来、「神様」以来だ。神様も、不思議ですべてを語らない感じが好きだったのだが、この作品も多くを語らない不思議な世界観が好きだ。短編集ということもありすんなりと読めてしまった。特に天罰を下す人間(?)の話と3人の女性が旅館で2人の男性に出会う話が良いと思った。また彼女の作品を読みたいと思えた。
0投稿日: 2025.04.03
powered by ブクログ大聖堂 不動産屋 1匹だけ動物飼うという設定 面白い なかなかない 1号室のカーブァーさん じつはキレイな人 ずっと雨が降っていたような気がしたけれど 普通でない、変わった、その人しかないもの 女性ってひかれる? 同じものを2つ買う主人公 好きな男の人のスペアもほしいという 世界に二人といない珍しい男になりたいというのに惹かれた 光月と出会って、スペアのことを考えることやめた 二人でお茶を トーコさんはっきり発言していて、自分の素直な気持ちそのまま言えてる。純粋、うらやましいとも思ってしまった。 なんだかんだ、トーコさんとミワさんがニコイチで息が合ってるのかな 銀座 午後2時 歌舞伎座あたり ロマンチックなのか…小さな人を助ける姿とか、猫のアジトとか、屋上行って、おれから離れないようにとか守ってる姿…魅了されるものか… なくしたものは 鳴海と成田と、渚、犬の小太郎、それぞれなくしたものあり、虚しさを感じたりするけど、だからこそまだ先があり、キラキラしているものもある、希望がある 儀式 人間の姿した、神様…? バタフライエフェクト 二人ともパートナーのこと触れてる、相手を探してるかのような感じ 結局二人は会わなかったんだ 出会いはいつあるのか分からない、蝶で見て通り過ぎてしまったと一瞬の出来事。不思議なストーリー 210日 るかの姿をしてまで、主人公の女性と会いたかったんだなあと。 姿を変えられる魔法使えるのいいなと。 お金は大切 和田さんという不思議な存在 ダンスを習い始めてるのも和田さんの影響 にくい二人 よく二人食べるなと、食べるとこしか書いてないからか。 よく会う人って、いたりする 3人そろって、楽しそうと思った 逆行サークル ハブられることで、よりそのサークルの仲が深まってくだろうな、自分もあったら入ってみたいと思った 会えなくなったら、寂しいだろうな 土曜日には映画を見に 小西さんでいいの?結婚と読んでるこっちも思ってしまったけど、なんか二人だけの空間を大事にしてるというか、幸せなのかなって思った。 スミレ 結婚しようという気持ちあったのに、精神年齢が増し、時がたってそんな気持ちなくなってった。気持ちというのは時たつにつれ、変わっていく。 村松さんはほんと大人と思った 親のことを、名前で呼んで、家族をやめた 家族解散がそんなことあるみたいな 甘えちゃいけないんじゃなくて、当然と考えるのが、甘えなの 印象的 最後、好きっていう言葉に、安心感めちゃめちゃあったんだろうな 廊下 飛夫、忘れそうになってる自分が悲しくて泣いてたんだろなと。 不思議なエピソードの数々 ファンタジー
0投稿日: 2025.03.20
powered by ブクログ選書サブスクで届いた一冊。 本が届くまではタイトルや著者は明かされず、簡単な紹介だけで三冊の中から一冊選ぶサービス。 そんなサービスあるの?って気になった人もいるでしょう?「チャプターズ」で検索してください。(非PR) タイトルがわりと自分好みだったのでテンション上がった。 中身も面白かったけどそこまで刺さらず。自分にはちょっと抽象的過ぎた感じがする。
0投稿日: 2025.03.08
powered by ブクログ2025/03/01読了。 川上弘美さんの作品の中で最初に読んだ本。 少し不思議で面白く切ない素敵な物語の数々でした。 少ない言葉数でも分かりやすい文体でした。 登場人物の説明が簡潔で、人物像の曖昧さがあったり、結末を描きすぎない所があったりと、読み手が想像する余地を与えており、そういう所に魅力を感じました。
0投稿日: 2025.03.01
powered by ブクログあまり理解できなかったのが正直なところです。 内容というよりその言葉や空気感を出したくて使っているようなアート的な作品だと思いました。 ストーリーというよりは、空気感を楽しむ小説。
0投稿日: 2025.02.27
powered by ブクログ人を好きになった時の解説として、しっくりくるものがあった。この人のどこが好きなの?と聞かれた時の答えって、うん…えっそこ…?みたいな部分だから。
0投稿日: 2025.02.26
powered by ブクログ川上さんの短編は好みです。何冊か読んだので、少しずらしたような部分を、これこれ、と楽しみながら読み進めたり。 解説にある 脳内のワイルドな部分をより味わえる が共感です。
0投稿日: 2025.02.16
powered by ブクログ味わったことのない読後感。 現実と狂った世界を行き来してるような不思議な気持ちになった。 続きが気になるとかではないけど「もうちょっと読んでみたいかも」という気持ちが最後まで続いた。 人々の会話の中の抜け感や、『間』が心地よい。 それぞれの生死観で、それぞれの人の愛し方がある。 『この感覚っておかしいのかな?』というような個々にしか発生し得ないような気持ちを丸ごと受け止めてくれる作品です。
1投稿日: 2025.02.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
寂しくてあたたかい不思議な短編集だった。 誰を好きになってもいいし、歳の離れた友人がいてもいいし、自分の気持ちを大事にしていいんだよと気付かされるような、自由な感覚を取り戻させてくれる作品が多かった。 特に印象に残ったのは6作品。二百十日、ルル秋桜、ぼくの死体をよろしくたのむ、土曜日には映画を見に、スミレ、廊下。どれも劇的な展開や強い感情や、そういった派手なものは書かれていないのだけれど、悲しくて優しくて胸がざわざわして惹きつけられる。 作者の書く、ミステリアスで余裕のある魅力的な女性が大好き。
1投稿日: 2025.01.15
powered by ブクログ中年期に差し掛かる人々の恋愛模様をメインとする短編集。最後の「廊下」が特に秀逸。 何もかも失う展開に、終盤はただ「消えないで…消えないで!」と悶えてしまった。 年始からじんわりさせられたな。
1投稿日: 2025.01.12
powered by ブクログ短編集。何話かダンベルおじさん(ブルーシートおじさんでもいいけどなんだか長いしイメージ違う)で繋がりを感じてうれしかった。 人の心の奥深い部分に触れてるみたいな感覚だった。
0投稿日: 2024.12.24
powered by ブクログ短編なので1つ読み終わる度に何度も読み直しました 日々生活していく中でのザワザワを引き取って助けてくれるような感覚になります 人間関係だったり、時間の流れだったり、日々なんとなく通り過ぎてる感情にきづいたり 読み返す度心の中がじわっと暖かくなります たぶんこれからも何度も読み返すとおもいます
4投稿日: 2024.11.17
powered by ブクログ短編集。 やはり川上さんの作品好き。 普通に生きる人々。でも、ちょっとだけずれている。でも別に、斜に構えてるわけでもない。主人行も含め、(私にとっては)小気味よい、登場人物たち。 あっという間に読み終えた。 一番好きな話は、土曜日には映画を見に、かな。
0投稿日: 2024.11.10
powered by ブクログ奇妙で愛らしい登場人物の世界に寄り道できる短編集。彼らをもっと追いたいと思う頃にストーリー終わっちゃった。寝る前に一編ずつ読んでいて、いい現実逃避になった。
0投稿日: 2024.11.08
powered by ブクログ優しい暖かさに包まれたいならこの一冊。初めての川上弘美作品。完全に惚れた。 感想を無理に言葉にしなくてもいいのかな、と思えたのが感想。笑 全ての物語が完全には理解できなくて、だけど愛おしくて。 初めてこんな文章を書ける小説家になれたらいいなという(今まで小説家になりたいなんて思ったことはない)想いを抱いてびっくり。私、こういう表現が好きなんだ。27歳になってもまだまだ自分の知らない部分は多い。 特に好きだったのは、以下。 大聖堂、ずっと雨が降っていたような気がしたけれど、ぼくの死体をよろしくたのむ、いいラクダを得る、無人島から
40投稿日: 2024.09.16
powered by ブクログ小さい人とか魔法とか色々。不思議な雰囲気の短編集。前に少し読みすすめ、長らく放置していたが、ふと思い出したように続きを読み出して読了。もともとタイトルに惹かれた。この表題作もなんとなく好き。全体的にふわふわした心地で読んでいると、ふとした瞬間に、幸せとは何か、強さとは何か、を考えている。無視しても差し支えないが、意識するとどこまでも気になるキーワードの散りばめ方が絶妙な感じがした。
2投稿日: 2024.09.16
powered by ブクログあなたは、こんな依頼を受けたとしたらどうするでしょうか? 「ぼくの死体をよろしくたのむ」 いやいや、これはまずいでしょう。『ぼくの死体』というからには、目の前の人がこれから死にゆくことを意味します。どう考えてもやばい、やばすぎる!止めなきゃ!一刻も早く!そうあなたが行動すべき場面なはずです。 もちろん必ずしもこれから死を選ぶ人を前にした緊迫感のある場面とは限らないのかもしれません。病気療養中にある方から遺言のようにお願いを受けている場合かもしれません。しかし、どのような場面であっても『死体』を『よろしく』とたのまれることには動揺も走ります。 さてここに、「ぼくの死体をよろしくたのむ」という、言われた側が動揺を隠せない言葉を書名に冠した作品があります。短編を得意とされる川上弘美さんの18もの作品が詰まったこの作品。ものものしい書名に思わず手が伸びるこの作品。そしてそれは、さまざまな短編が同居する川上弘美さんの不思議世界を楽しめる短編集です。 『うしろ姿に胸がときめいたのは、生まれてはじめてのことだった』と、『半袖からのびた腕は、ほどよく日焼けし』、『三頭筋と二頭筋がきれいなバランスで上腕をかたちづくっている』という、『その人』のことを意識するのは主人公の鈴音(すずね)、35歳。『右のてのひらに』『小さな銀色のものを握っている』と気づいた鈴音は『そっと近づい』て、それが『ダンベル』であることを確認します。そして、『近づけば近づくほど、その人の筋肉が美しく張っていること』にも気づきます。『これまでのわたしの人生、筋肉なんていうものには、これっぱかしの関心も持ったことがなかったのに』と自問する鈴音は、『恋だ』と『直感し』ます。 場面は変わり、『次にその人を見たのは、公園だった』という鈴音は、『すべり台をはさんだ反対側』で『その人』が『腕立てふせ』をしているのを見つけます。『はっ、はっ、はっ』と『規則正しく、そして荒く、いつまでも続』く『息の音』。しかし、『砂場の子供がこぜりあいをして声をあげ、ほんのわずかな間気を取られているうちに、その人は姿を消し』てしまいます。『わたしは、恋をしたことがほとんどない』という鈴音は、『どうやって』『「つきあう」行為が始まるのか、実のところ』よくわからないという中にいます。『わたしは、一回も誰かに「告白」したこともないし、されたこともないのだ。いつも始まりは、なんとなく、だ』と思う鈴音は、『「つきあった」男の人は、三人いる』も『どれも、恋ではなかった』と『その人に会う』ことによって知りました。そして、『その人のすまいを、見つけた』鈴音。『そこは、公園のすぐ裏側にある神社の、小さな林の中』でした。『きれいに並べられたいくつかの箱と、青いビニールシートが、その人のすまいをかたちづくっていま』す。『静かにビニールシートの屋根の下に寝そべり、息をし』、『目を閉じ、あおむけになっていた』という『その人』。それを見て、『あれは、死体のポーズだ』と思う鈴音は、『ヨガの教室で、わたしがいちばん好きなポーズ』だと思います。そして、『寝そべっていると、立っている時よりもさらに、その人の体のうつくしさは際立』つと思う鈴音は、『ふらふらと』『その人の方へと歩いてい』きます。『青いビニールシートのすぐ端に』立ち『その人の髪は短かった。白いものが少し混じっている。ひげはたくわえておらず、眉はふとい』と思う鈴音は、『その人と、目があ』いました。『澄んだ、目だった』と思う鈴音に、『その人』は七生(ななお)と名乗ります。『七番目の子供だから』と、『口少ななその人にしては珍しく、自分から名前の由来を教えてくれ』ます。そして、『その人とは、このごろはいつも公園で会う』ようになったという鈴音は、『銀色のダンベルを一つ、もら』います。『欲しそうにしてるから』と言う『その人』。『その人の持っているものならば、わたしは何でも欲しかった。そして、その人が欲するものならば、何でもあげたかった』と思う鈴音。そして、『その人への恋は、完全な恋だった』という鈴音と七生のそれからが描かれていきます…という最初の短編〈鍵〉。大切な誰かのことを思う主人公が登場するこの作品のオープニングを鮮やかに見せる好編でした。 “恋でも恋じゃなくても、大切な誰かを思う熱情がそっと心に染み渡る、18篇の物語”と内容紹介にうたわれるこの作品。「ぼくの死体をよろしくたのむ」という物々しさ漂う書名にまず目を引かれるこの作品ですが、一方で魚が四匹描かれた表紙を見てなんだか意味不明感も漂うとにかく不思議な作品です。そんな作品は、内容紹介にある通り18もの短編が収録されています。文庫本304ページに18編ですから一編あたりの分量は16ページ程度にすぎません。実際油断して読んでいると突き放すような唐突な幕切れに焦ってしまうような作品もあります。ただ、これはどんな短編集にでも言えることですが、”当たり外れ”は間違いなくあります。誤解を解くように言い直すとすると、その人に合う合わないという作品は必ず出てくるというところでしょうか?残念ながら私にもよく分からずじまいという作品が複数ありました。 では、18の短編から私の印象に残った三つの短編をご紹介したいと思います。 ・〈ずっと雨が降っていたような気がしたけれど〉: 『とろりとした、繊細なブラウスだった。店先で、そこだけにスポットライトが当たっているように見えた』というのは主人公の静香。『欲しい、と思った』静香ですが、『その日は、見るだけにしてお』きます。『迷えば迷うほど、手に入れた時の快楽は高まるんだよ』と『教えてくれたのは、慶太』だと思う静香は、『ください。はい、そのベージュの。いえ、一枚じゃなく、二枚。ええ。サイズも色も、同じのを』と買います。『同じものを、二つ。それがあたしのいつもの買い物のしかただ』という静香の部屋には『慶太だけが、ごくたまに』きます。『静香、まだそれ、続けてるの』、『そのマグも、二つあるの?』と訊く慶太…。 ・〈銀座 午後二時 歌舞伎座あたり〉: 『どうしてわたしは今、こんなところにいるんだろう』と、『銀座のビルの、屋上で』『途方に暮れ』るのは主人公の寧子。『すぐ後ろには、男が一人いる』、『わたしは男の名前を知らない』という寧子は『わたしたちはこれから、一人の人間の命を救いにゆくのである』という今を思います。『そもそもの始まりは、男とぶつかったことだった』と振り返る寧子は、『男も、わたしも、互いに下を向いて』歩いていた中に、『体と体が、ぶつからんばかりにな』ります。しかし『ぶつかる瞬間に男が斜め前方へととっさに飛んだ』ことで最悪な事態は免れます。そんな時、寧子は『それ』を見つけます。『人間そっくり』という『それ』は『十五センチくらい』の『小さな人』でした…。 ・〈バタフライ・エフェクト〉: 『二階堂梨沙』と『手帳の、九月一日の欄に』『書かれてい』るのを見て『これ、誰だ?』と『首をかしげる』のは『後藤光史』。『梨沙という名前の知り合いも、二階堂、という名字の知り合いも、一人として思いだせな』いのに『自身の手書き』があるのを見る光史。『同じころ』、『後藤光史』と『手帳の、九月一日のところに』『書かれている』のを見て、『みずからが書いた文字』にも関わらず、『その名には、さっぱり覚えがなかった』と『やはり首をかしげ』るのは『二階堂梨沙』。『九月一日は、三週間後の週明けの月曜日だ。会社に行き、家に帰るほかは、今のところ予定はない』と思う梨沙。なんの繋がりもない二人に訪れるまさかの瞬間が描かれていきます。 3つの短編に漂う違和感に気づかれたかと思います。『十五センチくらい』の『小さな人』という記述に違和感満載な〈銀座…〉などは川上さんの不思議世界がそのまんまに現れていそうですが、『同じものを、二つ』揃えることを常とする主人公に隠された理由が語られると思われる〈ずっと…〉にも興味が募ります。そして、〈バタフライ…〉については、『バタフライ・エフェクト』という言葉をご存知の方はその効果を結末に見る短編に興味がわくと思います。ここに紹介できなかった他の短編もそれぞれに面白さの視点の異なる作品が収録されています。これらの短編は、元は雑誌「クウネル」に連載されていた作品を再録したもののようですが、そのことについて作者の川上弘美さんはこんなことをおっしゃられています。 “最初の頃はよく、同じ号の「クウネル」の小特集から連想していました。ただ、途中からそれもやらなくなって、思いつくまま自由に書くようになりました”。 18の短編を読み終えて感じるのはまさにこの印象そのままです。川上さんが一切の制約を受けず思いつくままにその想像力を駆け巡らせた先に誕生した18の物語。ファンタジーっぽい作品から、ちょっと不思議な恋の物語、そして表題作でもある〈ぼくの死体をよろしくたのむ〉などなど、そこに展開するあまりにバラエティー豊かな内容には驚かざるを得ません。ただ、緊張感を呼ぶ書名から勝手に抱いた内容とは少し違っていたかな、そんな印象も受けることにはなりました。 『ぼくの死体と 晴美と さくらを よろしくたのむ』 表題作に登場する『紙片』に書かれた謎の記述の意味を思う作品をはじめ18もの短編が収録されたこの作品。川上弘美さんの短編世界の魅力を感じるこの作品。 あなたもきっと気にいる短編を見つけることができる、川上さんが綴る非常に幅の広い物語世界を味わうことのできる作品でした。
263投稿日: 2024.08.05
powered by ブクログあたたかい気持ち、さみしい気持ち、物悲しい気持ち、まろやかな気持ち、静かな気持ち。「ルル秋桜」、「ぼくの死体をよろしくたのむ」、「廊下」が好き。
1投稿日: 2024.07.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
短文だけど、とっておきの一文が来る感じ。小説と詩の間みたいな文章だった。展開もロマンチックで、一話は短いものの、満足度が凄い。後味が残るから、すぐ次に行かずに、暫く余韻を感じていたいと思えた。 お気に入りの話は二百十日、土曜日には映画を見に。 p200 弱いってことは、とても強いことなんだな。 p216 好物じゃないネタの回転寿司のお皿が流れ去る、みたいな感じだな p238 あのころ、わたしは小西さんと知りあったばかりで、小西さんとセックスしたり共に生活したりするさまを、ほんのぽっちりも想像できなかった。小西さんはでぶで汗かきでオタクで全然魅力的ではなかった。 でもわたしは、小西さんのことをなぜだか「いいな」と思ったのだ。今まできちんと考えてみたことはなかったけれど、たしかにそうだったのだ。
1投稿日: 2024.06.29
powered by ブクログ非現実だと気づいた瞬間スッとその世界に入り込んでしまう 着地点が想像できずふわふわと読み進められて心地良かったです 一編が短いのに登場人物がどういう人なのか分かりやすく書かれているから読みやすくて楽しめた 川上弘美先生の本は初めて読みました、一見ミステリーのようなタイトルなのにゆるいかわいい表紙でどんな本なのだろうと買ってみたのですが見事にハマりました。 他の本も読みます。
1投稿日: 2024.06.29
powered by ブクログ川上弘美さんのお話は とっても不思議でどこか共感できるそんな感じがします 自分のできる事の60%くらいで 生きてていいんだなぁと思ったりしました 「いいラクダを得る」「二百十日」がよかったです
2投稿日: 2024.06.01
powered by ブクログ丁寧に作られたパフェを食べているようだった。 おやこんな展開、おやこんな設定、おやこんな描写…と新鮮な驚きが続き、驚きつつもどれも心地よい驚きだった。 「風が吹いて、何かの匂いをはこんできた。それはきっと、失われたたくさんのものの、きれいなきれいな匂いだ。」 娘を胸に抱いたときの温かさや重み、娘のつむじの優しい香りは、いつかわたしがそれを思い出せなくなっても、風に吹かれて心地よいと感じたときに、風と一緒に運ばれているのだろう。
1投稿日: 2024.05.25
powered by ブクログなんてことない日常の中に紛れるはずの無い違和感が当たり前のように存在していて、読んでいて脳がバグったしとても不思議な気持ちになった。 こんな話の内容、ジャンル?に出会ったことがなかったため非常に新鮮な気持ちになった。
0投稿日: 2024.05.25
powered by ブクログ18の短編集から成る本作。 どの物語もユニークで不思議で完璧。 特に良かったのは、"いいラクダを得る"。 アラビア語を履修している5人組が創設した、流行と逆のことをする逆行サークルを巡るお話。 若いラクダという意味の名前のバクル先生。ラクダのこぶという意味のバクル先生の母親のヒンド。バクル先生の双子の娘は、アラワとリム。山のヤギと白いカモシカという意味。 偶蹄目がキーになっていてなんだかおもしろい。 "スミレ"も良かった。 技術が向上し、特定の施設の中では精神年齢が見た目年齢に反映されるようになった世界。(設定にすこしナオコーラさん味がある) 実年齢53歳・精神年齢が18歳の主人公は、実年齢14歳33歳の松村さんと恋愛をしている。この精神年齢はずっと一定ではなく突然一気に年を取ってしまうことがある。もちろんそれに伴い、見た目の年齢も年を取る。 年齢による隔たり。切ない。 ラストの"廊下"もいい。 主人公の前から突然いなくなった飛夫。結婚と出産を経た十年後、美術館の廊下であのころと変わらない飛夫の姿を見かける。 こちらもじんわり切なく愛しい物語。 こうしてみると後半の話ばかりなので、前半は単に忘れてしまっているだけかもしれない。 また読み返したい一冊です。
12投稿日: 2024.04.06
powered by ブクログ川上弘美先生の本、『センセイの鞄』以来、二作目でのチャレンジ! 『センセイの鞄』も不思議な感覚で読みましたが、やはり独特の世界感を持つ作家さんなのかなぁ。決して、読みにくいわけではありません。でも、登場する人物は、私の周りにはいない変わり種の人物かも。 短編集で、皆、変わり種で楽しめました。
11投稿日: 2024.04.05
powered by ブクログ不思議な読み心地の本でした 後半につれて好きな話が多かったです 『ルル秋桜』『土曜日には映画を見に』『無人島から』『廊下』が特に好きでした 日常から少しずれた人たちがたくさん出てきて、熱烈な愛ではないけど、誰かを思う大切な気持ちがたくさん描かれている柔らかな短編集です
0投稿日: 2024.03.17
powered by ブクログ帯にある解説の美村里江さんが書いてる通り、「日常と非日常を暖簾一枚の気軽さで行き来する」という表現がピッタリ。 ハッとするタイトルが印象的。18編の短編でよくわからない話や不思議な話が多いです。フワッと軽く読ませます。穏やかな文体で、激しさはなく、最後にそっと余白を残す感じ。 余韻が心地よいのですが、、、感想が難しいです。 バタフライエフェクト、二百十日、お金は大切、土曜日には映画を見に、あたりが好きです。 隙間時間に読むのにオススメです。
10投稿日: 2024.03.10
powered by ブクログ18篇から成る色々な「思慕」のお話。恋なのか愛なのか、そういうものとはまた違う相手への感情ってありますね。簡単に名前の付けられない思い。様々なシチュエーションで、何気ない生活の狭間からだったり、ちょっと不気味だったり、異次元に踏み込んでたりと、豊富な世界観で贅沢に楽しめる作品でした。
5投稿日: 2024.02.17
powered by ブクログよくわからないまま終わる話もあるけど、それでいいやと思えるような軽さ、日常感があった。最後の話「廊下」がとても良かった。淡々とした人生をたどるような話もあり、本を読んでいるのに、余韻はあまりなく、不思議な読書体験だった。
2投稿日: 2024.02.13
powered by ブクログちょっぴりミステリアスな登場人物達と、 どこかシュールでどこか温かい18の短編集。 ありそうでないようなお話しや SFチックなお話しもあってまるっと楽しく読めます。 ひとつひとつ短く、とても読みやすいので 寝る前読書にも、もってこいな作品だと思いました! どことなくアンニュイな雰囲気漂う1冊。
1投稿日: 2024.02.05
powered by ブクログ昨晩読み終えた。個人的好きと「うーん?」の反復横跳びだった 全部ひっくるめての「好き」じゃないけど、局所的な「大好き」がたくさんって感じだった。特に後半にかけて お気に入りは表題作と『二人でお茶を』
1投稿日: 2024.01.23
powered by ブクログなんか、全部よかった!! 深緑色の缶に死体を集める話、駅弁をちょうど半分まで食べて交換する2人組の話、恋情とは別の愛の話、不思議な美術館の廊下、ふわふわとした雲みたいな掴みどころのない、だけど心にすっぽりはまる短編集だった。 私も日曜のお昼は決まってそうめんを食べるようにしてみたい。
1投稿日: 2023.11.07
powered by ブクログ「ぼくの死体をよろしく頼む」が良かった。 「土曜日は映画を見に」は、これまでだったら好きだったはずなのに気にいることができなくて悲しかった。
0投稿日: 2023.10.10
powered by ブクログ穏やかに読んでいると、ん?とヘンテコさが顔をのぞかせますが、それも当たり前のように描かれてて穏やかなまま読めます。 川上弘美さんの世界も好きです。面白かった。 歳が離れてたり、親族でも友人みたいな関係なのが良いなと思います。死者と生者の間も近くてよい。 「二人でお茶を」「儀式」「二百十日」「ルル秋桜」「廊下」が特に気に入りました。今回また装画が食べ物になってるのも好きです。
3投稿日: 2023.10.07
powered by ブクログ寝る前に1話読むと穏やかに睡眠に入れる一冊。ドラマチックな展開はないけど、日常や人生をこんな視点で描くと幸せがひょっこり現れるのか、といった発見があって面白かった。どの話も登場人物がよかったな。
0投稿日: 2023.09.29
powered by ブクログお薬みたいな一冊。 考えない、突き詰めない、人間の余白がふんだんにあって心が落ち着く。小説だけど、この一編ずつが本当に世界の一部でささやかに存在するお話であればいいな、と思ってずっと読んでいた。
0投稿日: 2023.09.10
powered by ブクログ書けそうで書けない、謎の短編集。(誉めてる) タイトルに一目惚れして借りたけど、淡々と進む雰囲気がよい。こんなに有名なのに恥ずかしながら初めて読んだのだけど、私の好きな「女性らしい感性」を感じられたのでこれからもちょくちょく読むと思う。 短編はどれもファンタジーと現実のちょうど間をせめてくる設定で、たいてい変な人や変な自分が主人公。でもなんていうか、この社会にあまりない、お互いにありのままでいられる「理想のコミュニケーション」が描かれている気がする。今現実を生きている私にもこんなコミュニケーションあったらいいなというか、こんなことを望んでいたなという昔の経験や思いがひっかかってきて、何だか切ない気持ちになった。 表題作の「ぼくの死体をよろしく頼む」が何だかんだ印象深い。私が常々思っている「弱い人は強い」ということをいってくれた上に、「弱い人は他人に弱さを何とかしてもらおうとするけど、それは無理」というニュアンスのことを言ったのは驚いたけどそういうこともあるよなと思った。 私も良いラクダを得たい。
0投稿日: 2023.09.09
powered by ブクログ気軽に読める短編集。 ジャンルは特に決まっていないようだが、どれもこれも後味が良い。 全体的にファンタジー要素が強い気もするが、読み終わった後の気持ちよさは何とも言えない良い気分だ。
0投稿日: 2023.08.21
powered by ブクログさらりと、 日常からあっちのどこかへ繋がっている世界は、 夢のようで、 リアルのようで、 すぐ隣にありそうで。 『廊下』を読んだら涙が出て、 なぜだか「ずるい」という感情が出た。 このような物語を紡ぐことができる作者の才能になのか、 このなかで語られる物語になのか、 主人公になのか、 そのすべてなのか。 哀しみと喪失と、 愛おしさがいつも同居している。
1投稿日: 2023.08.15
powered by ブクログ川上弘美さんの小説は、私にとってどちらかというと詩のようだ。物語の中で時は瞬く間に経過し、次の行ではまたあっという間に10年、また10年と過ぎていたりする。登場人物はみんな不可思議や日々の小さなかなしみを当たり前にしなやかに受け止めているようで、そんな軽やかさを見習いたくなる。
0投稿日: 2023.08.09
powered by ブクログ日常と非日常のあわいの短編集。 なんともない日常に心細くなったり、このままで良いのだと肯定されたり。 しかし、この作者の登場人物は何故にこんなに魅力的なんだろう。 どこにでもいるようで、どこにもいない人物たちに思いを馳せつつ過ごす休日の夕方にうってつけの短編集。
3投稿日: 2023.05.04
powered by ブクログ川上弘美の感性はとても好き。 とはいえ作家を追いかけているわけではなく、ふと思いついたときに紙で文庫を買う。 この本は、読んでいると、こころのざらざらが少し丸くなる。けれど少しそこにでこぼこは残って、すべすべにはならない。
3投稿日: 2023.03.26
powered by ブクログ「大きな鳥にさらわれないよう」もそうだったが、今回も何やら思わせ振りなタイトルに惹かれた。 15頁前後の短いお話が18篇。全編に日常の中の非日常感とでも言うか何か不思議な感じが漂い、はかなさやさみしさを感じさせる話が多い。 買ってからこういう掌編集ってあまり得意でないことを思い出し、だからでもないが、私にはふわふわしていて掴みどころがない話が多くあまり刺さる話がなかった。 しいて挙げると「いいラクダを得る」と「土曜日には映画を見に」あたり。図らずも設定に非日常感が薄かった話になった。
32投稿日: 2023.03.06
powered by ブクログどれも少し不思議なお話。 二百十日が一番好き。亡くなる前に、最後に会っておきたかったって来てくれたら、寂しいけど嬉しい。
3投稿日: 2023.02.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
一見普通の人だけどどこか奇妙な嗜好があったり、平凡な日常の中で不思議な出来事にあったりする18の短い物語。一つ一つ楽しく読めました。ホームレスの30以上年上の人に恋をしたり、死体の写真をラミネートで保護してコレクションしている女の子がいたり、太って汗かきのオタクな男性と結婚する事になったり…日常と非日常が混在してわくわくしました。共通してみな読後に心に暖かいものが残りました。何度も読み返したい本になると思います。
1投稿日: 2023.02.15
powered by ブクログさらさら読めるおとぎ話のような寓話のような、かと言って何か教訓めいたものがある訳ではないけれど、いつもの風景のお隣にはこんな世界もあるのかもしれない
1投稿日: 2023.02.07
powered by ブクログ分からないような分かるような、やっぱり分からない不思議な短編集でした。難解過ぎて読むのが苦痛だったけど「鍵」「ルル秋桜」「土曜日には映画を見に」は分かりやすくて楽しめました。しかし私にこの本はまだ早かった。
3投稿日: 2023.02.02
powered by ブクログ川上さん特有の味わいのする18の短編集。 物語に身を置くのにちょうどいい感じで、この長さが私にはしっくりとくる。 人との距離感とか、縁のようなものが、短い文章の中に存分に描かれている。 出てくる人たちはみんな健気で、はかなげで、不器用そうな人たちばかりなのだけれど、自分がふだん思っているよりも、人間っていいなぁって思えてくる。 生と死が隣りあわせだということも含めて、たった一人で生きているひとなんていないんだなって、何故かしみじみ思ってしまう。 魔法を使って大事な人に会いにくる伯父さんの話や、緑色の缶に切り抜きの死体を入れている話、そして表題作の「ぼくの死体をよろしくたのむ」が印象的だった。 実年齢ではなく、精神年齢に伴う外見で日常生活をするための宿舎を描いた「スミレ」。 家族解散の話「無人島から」。 市の美術館での不思議な出会い「廊下」。 読み進めるうちに面白さがどんどん加速して、繰り返し読みたくなる。
31投稿日: 2022.12.28
powered by ブクログなくしたものは が好きだった。 他者性に意識的で読み手と世界を信頼した書きぶりと、一方通行な思いや勘違いの連鎖を描いた物語がマッチしていると思った。 好きだったフレーズは↓ たまに会うと、子供の進学の話や夫の悪口や介護の苦労話を、みんなはした。なんだかみんな、楽しそうじゃないなと思った。でも本当は、楽しそうじゃないことこそが、楽しいことなのかもしれない、とも思った。 でも、よくよく考えてみれば、家族だからどんな時でも無条件に助けてくれる、なんていう保証は、最初からなかったのだ。
1投稿日: 2022.12.26
powered by ブクログ独特な文体。 まるで夢のような繋がりの無さ。 読むのにかなり時間がかかりましたが、涙が出る話もあり、読んでよかったと思えました
1投稿日: 2022.12.24
powered by ブクログうーん、おもしろかった…のか?自分の中には全然ない感覚で、なんというか、透明なカーテンの向こう側からぼやけた感じで届いてくるような、ふわふわした文だった。短編集なんやけど、1つ読んだらもう速攻で1つ前のやつ忘れる。掴みどころがないというか。レビュー色々読んでみたら、「なんかいい夢見た気がするけどなんだっけ…みたいな感じ」って書いてる人がいたけど、めちゃ同意。文章の中の余白が多くて、書き込まれてないから、自由に受け取るしかなくて、それでよけいにふわふわする。うーん…なんか、のめり込んで読めなかったけど、それが持ち味なのか??うーん…。
3投稿日: 2022.12.14
powered by ブクログ18の短編、それぞれに不思議感満載で、読み耽りました。また再読したくなります。美村里恵さんの解説も読ませるなあ。
2投稿日: 2022.12.01
powered by ブクログこういう短編集すきです その一瞬を切り取ったようなお話が なんだか自分の生きているこの時間と 交われる?重なる?きがして 優しい言葉もたくさん散りばめられていて すぐに読み終わりました
0投稿日: 2022.11.28
powered by ブクログじんわりと後から染み込んでくるような短編集。 さほど大きな出来事は起こらない。物語の人物それぞれの日常が文章にしてあるような感じ。それでも、なぜか印象に残る。 私にとっては、大作を読んだ後の箸休め的な一冊だった。
0投稿日: 2022.11.16
powered by ブクログ入口は平凡な日常、中には不思議な世界。 クスッと笑えるお話もあれば、感動する、ちょっと鳥肌が立つものまで。 さまざま対象への恋や愛の形。凝り固まった偏見や枠組みを壊してくれる素敵なお話たちでした。
10投稿日: 2022.11.13
powered by ブクログショートショートくらいの短編集。 好きなのは 「銀座 午後二時 歌舞伎座あたり」 「なくしたものは」 「バタフライ・エフェクト」でした!
0投稿日: 2022.11.12
powered by ブクログんん〜、なんかちょっと期待していたものと違うのかな?途中まで読んだのですが、あまり入り込めず。不思議感があってそれは楽しめるものの、いま私が読みたい本じゃないだけなのかもしれないです。
3投稿日: 2022.11.08
powered by ブクログタイトルが素晴らしく、ジャケ買いした一冊です! ちょっと不思議な感じだったりと、とっても素敵な短編集でした。 1話目の「鍵」がすごく好きな話でした。 そこに出てくるナナオが別の話にも出てきたのは、 ちょっと嬉しかったです。 あと、タイトルにもなってる「僕の死体をよろしくたのむ」も素敵な話でした。
19投稿日: 2022.11.04
powered by ブクログ4よりの3 川上さんの文章。 小品集にありがちのナルシストさや、いいでしょういいでしょう感がなく、甘っぽすぎず、淡々としているんだけどかといって乾きすぎてもない。 押し付けがましくないのにナチュラルに感受性を刺激してきて、こちらが勝手に感傷的になったりしみじみしたりする。 川上さんの文章ってだから好きなんだ
0投稿日: 2022.11.02
powered by ブクログずっと雨が降っていたような気がしたけれど 2人でお茶を 銀座 午後2時 歌舞伎座あたり 儀式 ルル秋桜 憎い二人 ぼくの死体をよろしくたのむ 土曜日は映画を見に が個人的にささりました!
0投稿日: 2022.10.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
短編集18編 一つ一つ設定も味わいも違っているのにどれも愛おしくなるような手触り感のある物語の数々.そして挟み込まれるエピソードやちょっとした仕草など本当にうまい. 駅弁をきっちり二人で分ける男二人,一晩中ワルツを踊ったり、日曜日のお昼はそうめんと決まっている.そんなことが,その物語を際立たせているのに感動すら覚える.
0投稿日: 2022.10.25
powered by ブクログちょっと変わった短編集が読みたくてチョイス。 期待どおりのやわらかい文章でした。 広い意味での家族が出てくるはなしが多かったようにおもう。 特に好きだったはなし。 儀式…とあるものの1日のルーティン お金は大切…お金で買われたらしい僕と和田さんの一晩のはなし ルル秋桜…死体の写真をスクラップしている女の子の日々 無人島から…1年のうち十ヶ月は3人の家をぐるぐるしている女の人のはなし
0投稿日: 2022.10.18
powered by ブクログうーん、なんと言ったら良いのか。一言で言えば少し不思議な話。とはいえ、藤子不二雄F先生のSF(少し不思議)とは違うのです。サイエンスフィクション的な不思議よりも日常的で、また人と人とのまぐわいの中で起こりえている事、それに気づくことなく通り過ぎている事、すなわち実は見落とされてしまっている事のお話しのように感じられ、すごく温かく優しい。好きです。
7投稿日: 2022.10.16
powered by ブクログ久しぶりに手に取った川上弘美作品は、やはり私を幸せにしてくれた。ファンタジーのようで現実、またはその逆。それでいい?それでいいのよ、そんな声が聞こえる。
4投稿日: 2022.10.07
powered by ブクログかなり好き 表現や言葉が押し付けがましくなくてサラッと読めるのになんだかいいなって気分になるからずっと読んでいたくなる 静かで心地いい
1投稿日: 2022.10.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
どのお話も静謐な雰囲気があってとても好きな短編集だった。川上さんの作品の特徴なのかな?もっと色々読んでみたくなった。 二人でお茶を 二百十日 ルル秋桜 憎い二人 ぼくの死体をよろしくたのむ 廊下 が特に好きだった。 こうして振り返ると、解説にもあったように死がとても自然に描かれてることがわかる
0投稿日: 2022.09.29
powered by ブクログいろんな登場人物の 日常の一場面を切り取って描いた短編集です。 どのお話も 現実の世の中とはズレや歪みがあります。 そのズレや歪みの幅は物語によってさまざま。 そんなことは絶対ないよなぁというようなものから、 絶対ないとは言い切れないけど、 おおむねあり得そうにないんじゃないのかなぁ、 なさそうだけどなくもないかもなぁといったものまで。 現実にはなさそうだけど現実感のある、 そのあたりの匙加減が絶妙です。 べそかきアルルカンの詩的日常 http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/ べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え” http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ” http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
0投稿日: 2022.09.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
17つの物語がつまった、短編集 P175 弱いっていうことは、とても強いことなんだな。 ガツンと来た。 全体的に不思議な世界。 〝精神年齢にともなう外見で日常を生活したいもののための宿舎〟がすごく不思議。そんな世界があるのもおもしろい。
0投稿日: 2022.09.23
powered by ブクログなんかこんな気持ちになったことがあるかもしれないという不思議な感情が蘇って、何回か読み直さないと、その感情がなんだかわからない。
0投稿日: 2022.09.11
powered by ブクログ感想 日常にひょっこり顔を出す裂け目。そこに気づいて足を踏み入れる物語。日常にも起こっているが覗き見る勇気がないだけなのかも。優しい不思議。
1投稿日: 2022.09.07
powered by ブクログ生と死、出会いと別れを描いた、ちょっと不思議で心和らぐ短編集。ふわりと漂うような非日常的なお話が多いのに、読んでいる自分の輪郭はくっきりとなぞられてゆくような気がした。命をもって今ここに存在していることを、この本は教えてくれる。そしてそれが、いつか失われていくことも。 わたしがなくしたもの。もう見つけてあげられなくても伝えたい。あなたがあけた隙間で、わたしは今でも待っていると。
3投稿日: 2022.09.04
powered by ブクログ読みやすい言葉で綴ることが、どれほど技術を要するのか。川上弘美さんの小説を読むと、毎度それを痛感します。 日常の中に空想というか"変な瞬間"が混じっている。でも違和感なく「そういうもの」として受け入れて読めてしまう。非日常とは思わず、日常と地続きの感覚が途切れることはありません…とは言え、やはり"変"かもしれない(笑) 川上さんの小説を読むと、自分の日常と対比されてふわっと現実が浮くような気持ちになります。
2投稿日: 2022.09.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
どの物語もとっても良かった。 短編集はいつもはいり込むと同時に終わってしまって物足りなさを感じることが多いけど この短編集はどの章も最初から入り込めて、終わる頃には納得して終われる。 その中でもいいラクダを得るが好きだったなぁ 全部それぞれ良かったけど。 短編集で全部の話が好きな本に出会えた。
1投稿日: 2022.09.02
