玉石混淆が激しいアーススターコミックスの内の「石」にあたる作品。 日本人が死んで乙女ゲームの悪役令嬢に転生、家を追い出され極貧の辺境に飛ばされ、あまりの貧困に見かねた主人公は領地改革をする…というあらすじ。 内容ははっきり言って酷いの一言。 本作は一応悪役令嬢物だが、実のところ主人公にチート能力を使わせる理由付けのために、「チート魔法を使えるゲームの悪役令嬢に転生」という設定にしただけである。序盤以降は悪役令嬢要素は一切活用されず、ヒロインも婚約者も破滅回避もなーんもない。なんてテキトーな設定だろう。 主人公は実家を追放されて極貧の辺境に追放されるが、その理由が「大声で騒いでいたから」というこれまた超テキトーな設定。もう少しまともに考えてはどうか…。 そして主人公は男爵家とはいえ一応は貴族令嬢なのに、所作も口調も一般人のそれであり、貴族令嬢っぽさの欠片もない。「乙女ゲームの悪役令嬢」「貴族」という設定を使う必要性があったのか…。 この手の粗製乱造作品にありがちな事だが、主人公が使える魔法はもう本当に何でもあり。思い付いた事は何でも実現できるってレベルで何でもあり。しかも当初は魔法を使えなかった主人公が使えるようになった理由が、「使おうと思ったら使えた」というこれまたあまりにテキトーな設定。原作者はどういう頭をしているの？ 唯一の長所は、作者の画力がとても高い事。この点だけは手放しに褒められる。 しかしそれ以外はてんでダメ。そこらの一般人に書かせた方がマシってレベルで酷いストーリー。これを読む時間があるなら「はらぺこあおむし」を読んだ方がマシです。こんな物語のコミカライズをさせられた作者が本当に可哀想…。