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杏っ子
杏っ子
室生 犀星/ディスカヴァー・トゥエンティワン
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総合評価

18件)
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    室生犀星の自伝的長編小説。 私生児として真っ直ぐな愛情を受けずに育った自身の遍歴と、その自分にできた娘の成長と苦しい結婚生活を描く。 子が父をさん付けで呼ぶような、家族のかたちとしては奇異ではありつつも、端々に温かく滲むような親子の愛を感じた。 親の苦悩、子の苦悩、物書きの苦悩、夫婦の苦悩、結婚の苦悩、都会の苦悩、生活の苦悩、そしてそのすべてを補って余りあるほどの(この)親子の愛。 ほんとうにいい本を読んだ。

    0
    投稿日: 2026.03.22
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    杏子はこのどうしようもない夫となぜ別れないのか、まだ別れないのか、まだかまだかと苛々しながら読み進むうちに600ページ読み終わった。いろいろフラストレーションがたまる作品だった。 杏子に息子との付き合いをやめさせるよう親が依頼に来たときには、相手の家にまで乗り込んでいった平四郎なのに、なぜ杏子と夫を無理矢理にでも別れさせないのか。また、息子の嫁に対しても娘の夫に対しても甘すぎる。おまけに息子はいい年して定職に就かないプー太郎。杏子と夫の夫婦喧嘩の場面は同じことの繰り返しでうんざりした。結局、登場人物のだれにもシンパシーを感じなかったし、感情移入もしなかった。 詩人として評価の高い室生犀星だが、小説に関して言えば短編を含め、あまりすぐれた作品とは思われない。少なくとも自分の好みの作風ではない。今度は是非、犀星の詩を読んでみたいと思う。

    0
    投稿日: 2024.10.20
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    表題の語感とはかけ離れた重厚な内容。 600p弱のボリュームだが、非常に細かく区切られていて当時にしては読み疲れのしづらい構造になっている。 作者とその娘をモデルとし、娘の人生の荒波に浮き沈みし流転する日々が克明に描かれる。 現代とはかけ離れた価値観と家族への愛情を持つ作者の特異性を存分に感じれる必読の一冊。

    6
    投稿日: 2023.10.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    前半は親友芥川龍之介が出てきて、天然ぷりが面白かった。 後半。娘婿は酷いやつで、最終的に離婚し戻ってきたので良かったが、息子ものらりくらりやっている風、奥さんは寝たきりで、主人公一人がこれだけの家族を食べさせているというのも、いくら大作家とはいえ大変な事だと思った。当時はこういう事はよくある事なの? 杏子は働かない亭主にばか呼ばわりされ何かと助けてくれる父親まで悪く言われて散々だが、夫婦喧嘩のシーンは言いたい事を鋭く切り込んでいて格好良かった。そこが一番好き。ただしそれが通じない亭主なんだけど。

    0
    投稿日: 2023.08.06
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    私生児であったのも驚きだけど、生まれてすぐ、ごうつくばばあに育てられるのも、明治生まれの常識なのかな。しかし、室生犀星が侍の子であることは確からしいし、それが文筆の才や娘の美貌に繋がってるのかな、と思う。 やっぱり、血筋、遺伝なのだろうな。

    0
    投稿日: 2023.01.11
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    結婚生活において女性に使役を課すことを当然と考える男たちと、それに抵抗し続ける女達。後半の、犀星自身がモデルである父親の超然ぶりが面白かったです。

    0
    投稿日: 2022.06.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    文豪、室生犀星を初めて読む。 前半は氏自身のことを、後半は自身の娘である杏子のことを中心に書いている。軽井沢に疎開してきたところまでは淡々としており、作者の嫁とのエピソードも最小限だし(ほかの作品で描き切ったのか?)正直これと言って平坦で感情移入が出来ず、分厚い本を持て余す気分だったが、杏子が見合いを始めたあたりから急激に面白くなり一気に読めた。物語には悪者が必要なのかな、と感じる。杏子の夫は理屈の通らないひどい野郎だし、息子も職にも就かず嫁とは3か月で離婚、嫁のりえ子は病気になるしで散々ではある。息子の嫁探しのところで、バスで同席する人を探したりするところが可笑しい。 杏子との作者との掛け合いがとても楽しく、杏子が最後に家に戻ってくれるところで一応のハッピーエンドですね。 執筆を通じて母に会うことができ幸せと書いているが、自身の身に起こった不幸を作者に読んでもらう幸せもあるかと思う。ここまで赤裸々に書くのも恥ずかしいとは思うが。 こまやかな感情表現を美しい言葉で綴っており、読了後の充実感がよいです。 新聞の連載であったこの作品は読む気にさせるユニークな題名がついていて楽しく、小さな章で連続されているのも読みやすくて良いです。

    0
    投稿日: 2022.01.10
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    題名からは、少女の成長を想像したが、相反して特に後半は、夫婦の愛憎劇。とても子供向けの小説ではない。父親の傍観を装いながらも愛情もって娘を見守る姿が痛々しくも幸せそうである。2020.10.27

    0
    投稿日: 2020.10.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    こういう父娘もいるんだなと思った。父の幼少期の悲惨な感じに比べると、娘と息子が甘やかされてる感じもした。娘婿のモラハラぶりは読んでてもとても嫌だったが、この婿のひがみもまあ致し方ないような。ちょっとあまりに父親にべったり甘え過ぎ。息子も無職のように描かれてて、これも、え?なんで?って感じでした

    0
    投稿日: 2020.03.13
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    平四朗が娘(杏子)の交際相手の親から、もう付き合わないように娘に言ってほしい、と言われ、激高してある行動とるのが一番印象に残った。親ゆえの業であろうか。結局娘も息子も結婚に失敗してしまう。自らも私生児であったのも因果なのだろうか。興味深かったのがこの時代、男が無職で女が仕事していて結婚できたことである。

    0
    投稿日: 2015.01.07
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    じぶんのなかで室生犀星についての勘違いをしていたに違いない。ある日突然、このお金が全部なくなってしまうにちがいないというように何となく絶望を感じながらページをめくったけどそんなことはなかった。 かわいいものをめでてだけいるというのと親になるということは違うのだなあ。今は親になるということがしみじみと身にしみる。

    0
    投稿日: 2013.01.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    室生犀星の自伝的長編小説。 文庫で600ページ超という長さだし、50年以上前に書かれた小説。 正直、途中で挫折しても仕方がないと思っていたが、読んでみたらするする読める。知らない言葉もたまに出てくるが(重畳、●●輩など)、勉強になるので良かった。 作家平山平四郎が生まれるところから物語は始まり、金沢で不遇の少年時代を過ごす。大人になった平四郎は東京で作家として生計をたてるようになり、やがて娘の杏子(きょうこ)が生まれる。 杏子の成長を軸として、戦時中の暮らしなどが綴られ、何気ない日常の一コマでも当時の人々の息遣いが感じられるようで興味深い。 平四郎は杏子を自分の好みの美しい女性としてつくりあげようとしていた。これはまだわかるとしても、杏子の少女時代の友達である、美しいりさ子の足を意識して見ていたりする。とにかく「美しい女性」という存在を礼賛している。醜いよりも美しいほうがいいのは当然だけど、平四郎の女性観は少し歪んでいる気がした。 そして平四郎好みに育てられた杏子は、美しいかどうかはよくわからないが、嫁にいくことになる。物語の後半は、杏子の夫の亮吉のクズっぷりについてばかり。どうなってしまうのと思っていたら、杏子が出戻ったところであっさり終わってしまった。 ストーリーと言えばこれだけなのだが、読後の満腹感はすごい。 「作家はその晩年に及んで書いた物語や自分自身の生涯の作品を、どのように整理してゆく者であるか、あらためて自分がどのように生きてきたかを、つねにはるかにしらべ上げる必要に迫られている者である」 「私という一個の生き方に終りの句読点をも打ちたかった」 とあとがきにあるように、これは室生犀星の人生を詰め込んだ叙事詩だ。 きっと何度読んでも、読む度に違う感想が得られるだろう。 平四郎が杏子に向けるあたたかい愛情、思いやり、信頼、そして自分で決めさせようという突き放した厳しさ。自分の父親も、自分に対してこんなふうに思っているのだろうかと思って少し涙ぐんだ。 間違いなく心に残る一冊。

    1
    投稿日: 2012.07.06
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    「あんずっこ」こと主人公の娘、杏子が非常に魅力的。 家族から向けられる父親への視線が注目される点。

    0
    投稿日: 2012.03.05
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    古本屋で何か惹かれるモノを感じて数年前に読みました。 とても長い作品なのですが、飽きません! 古さを感じさせず、読みやすかった記憶があります。 今度、再読しようっと。

    0
    投稿日: 2012.02.02
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    「菜穂子・楡の家」と共に軽井沢にちなんだ本として紹介されていたので読みましたが、 文章時代が読みにくく、また内容的にも惹かれなかった為、途中放棄。 普通に読んだら良かったのかもしれませんが、 「軽井沢」という好きな土地のことが書かれていると思っていたので残念感がたっぷり。

    0
    投稿日: 2011.03.18
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    浦野所有。 ◆以下、ネタバレ注意◆ 作者の室生犀星が詩人であるという先入観のためか、全体的に詩的な雰囲気のただよう作品でした。詩というにはあまりにも長い、父娘ふたりの数十年の歩みをつづっているわけですけど、ほとんど直観的に筆を走らせ切ったのではないか? と思ってしまうほどストレートで、よどみなく、流麗な筆致でした。 また、抽象的な心理描写が多いことも特徴といえるでしょう。父と娘の会話も、核心のところまでは言葉に表さないですし、会話以外の部分(全体は三人称形式なのですが)でも、あまりにも細かすぎる心理描写はでてきません。それゆえ、父――平山平四郎――や、娘――杏子――ら、登場人物の表情や息づかいが、読者の頭のなかで容易に思い描くことができるのです。現代小説にありがちな、あまりにも細かすぎる、ありがた迷惑的な描写はありません。実に快く読み進められる作品でした。 ところでストーリーに関していえば、この作品は悲劇なのでしょうか。 平四郎は杏子を日本一の娘に育てあげようとしながらも、結局は平平凡凡な女にしかならず、その杏子も結婚後の生活は泥沼で、たった4年で離婚してしまいます。物語の前半から中盤にかけて、杏子の存在は、平四郎にとっての宇宙のすべてであるかのように語られます。ところが物語の後半になると、今度は平四郎が、杏子にとっての全宇宙になっているのです。 好意的にみるとこの父娘は、互いによき理解者であり、幸福そうに思えます。けれども冷静に見れば、お互い、自分の存在価値を認めてくれる肉親がいることに安心しきってしまい、自分の世界にひきこもっているだけといえなくもないような気がします。 人の一生など、思いどおりに行かないものです。夢も希望も、いつの間にか現実の前に消えてなくなり、いまの暮らしに妥協するともなく、漫然と毎日が過ぎてゆく……。まさにいまの私がそういった状況であるので、『杏っ子』の作品世界には共感できると同時に、社会を生きることの虚しささえも感じてしまうのです。 物語は全部で600ページ以上。実に起伏に富み、平四郎の出生にはじまり、苦悩に満ちた少年時代、結婚、杏子の誕生、東京大森の新居住まい、軽井沢での疎開生活、杏子の結婚と、核となる出来事が見事に連ねられています。杏子の夫・亮吉のくすぶりっぷりはあまりにも惨めですが、そもそもこの話は実話なのでしょうか? まあ、その辺のことはさておき、これほど読みごたえがある作品は久しぶりでした。「10年前に読んでおけばよかった」と思うと同時に、「何年後かに読みなおせば、きっと違った感想をもてるに違いない」と確信できる、貴重で崇高な作品だと思います。

    0
    投稿日: 2010.05.06
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    これ読んで室生犀星の文章に嵌りました。こんな父娘関係かっちょいいです。「父親にとって娘とは最後の女である」。深い…。

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    投稿日: 2007.01.20
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    長編だけど、気軽に読めるお話。はっと(ほっと?)する様な描写に、作家と娘、その周囲で起こる日常生活。お気に入りです。

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    投稿日: 2006.05.08