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大東亜共栄圏のクールジャパン 「協働」する文化工作
大東亜共栄圏のクールジャパン 「協働」する文化工作
大塚英志/集英社
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総合評価

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    現在日本のアニメや音楽が世界から注目を集めているが、国はクールジャパンの名目でこの流れに乗っかり日本をアピールしようとしている。これには戦時下の文化工作と酷似する点が多くあり、文化工作の様相を詳しく見て行きながら警鐘を鳴らす趣旨の本。 漫画、映画、アニメ、音楽、文学が今でいうメディアミックスの形式で、プロパガンダに利用される様を具体例を見ながら学べる。 音楽業界の端で働く私としては、四章に音楽の話が多くて興味深かった!「椰子の実」は最近だと朝ドラのあんぱんで流れていたが、劇中では出征する寂しさを歌っているように思われた。しかし、本書によると椰子の実は南方政策の正当性を説くために利用されていたとのこと。タカシやノブちゃんが何気なく歌っていた歌が、実はプロパガンダによる刷り込みがあったという別の視点ができて面白い。 また南方政策の論拠の一つとして、スメル文化圏という虚偽の主張があった話も面白い。デタラメの学説で戦争を正当化していたということになるが、これはSNSで陰謀論が蔓延る現代で特に危惧すべきことだろう。 本書では戦時下の文化工作の考察のみだったが、次作では是非今のクールジャパンの施策について詳しく切り込んでもらいたい。

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    投稿日: 2025.08.23
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    昭和研究会が提唱した協同主義に基づいて、戦時中に漫画・映画・小説等が果たした役割(文化工作)について検証しており中々の力作。興味深いのは「程度ノ低キ」「遅れた種族」を相手にこれらを活用することが、外地へのプロパガンダに有効であると考えられており、随所に「アジアの盟主」としての認識が伺える点である。この工作が実際に有効だったのかどうかまでは検証されてはいないが、あくまでも日本の支配が及ぶ「外地」向けであり、「国際社会」向けのプロパガンダが別途必要であったことは言うまでもない。それに失敗または何もしなかったのも敗戦の一因と言えるだろう。 では、一応国際社会向けとされている「クールジャパン政策」はどうなのか。著者は戦時中と現代のある種の類似性に危機感を抱いているようだが、ここは分けて考えて別途検証する必要があるだろう。また同様のことは世界各国で行われているわけで、戦後日本はアメリカ文化にどっぷり漬かってるし、21世紀になると韓流ブームがあったりと、日本が特別な文化工作をしているとは思わない。が、各国で違いはあるだろうからその比較をしてみるのも面白いのかもしれない。

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    投稿日: 2022.05.12