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聖なるズー
聖なるズー
濱野ちひろ/集英社
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総合評価

55件)
4.3
22
20
7
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ・著者の悲惨な(と私は感じる)DV体験から始まり、ドイツの動物性愛者団体への取材を通じた実態の紐解き、という中々衝撃的な内容で、読み進めるのがなかなか辛かった ・ZoophiliaとBestialityの違い、動物性愛xヘテロ/ホモセクシュアル、動物からの行為の誘い、動物性愛への目覚め、妻/夫/パートナー/ペットの定義、ドイツ/西洋/日本の考え方の違い、など自身の創造を超えた切り口 ・理解は出来たけど、「本当に色々な人がいるんだな、、、」以上の消化が自身では出来ていない気がする ・誤解を恐れずに書けば、「動物を対等のパートナーであるとなぜ言い切れるのか」「人間が動物の生活を定義している時点で対等ではないのではないか」「アニマルセラピーと何が違うのか」「動物の声を聴くことが我々は出来ないのではないか」・・・など個人的な疑問は尽きないが、それらの表層的(?)かもしれない疑問を脇に置いて考えてみることは必要ではないかと思う ・朝井リョウさんの『正欲』を思い出した

    0
    投稿日: 2026.01.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    面白かった。「犬が誘ってくる」という部分にやたら懐疑的なのは、モロ出しのレトリバーに襲われかけた身としては「あんなわかりやすい欲望はねーだろ」ともどかしかったが…。 動物を性的対象込みで愛するというのは別に悪くはないし(怪我させなければ)、その道を選ぶ人は人間というものの立場というか存在自体に嫌気がさしてるのかもなと思ったり。種族の垣根を越えることになんらかの意味を感じてるんじゃないかと。 ただ…病気(病原菌的な意味の)マジで大丈夫かというのは心配です。みんな体が丈夫でよかったね…。

    1
    投稿日: 2026.01.21
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    動物と性的関係を持つズー。それだけ聞くとすぐ動物虐待と紐づいてしまうが、実際ズーは動物との対等性を重視し、無理やり関係を迫ることは決してしない。常に動物の動きや気持ちに気を配ることで、動物が性的興奮をしていることを察し、それを受け入れる。私からは考えられない世界だが、ペットに服を着せて去勢をし、永遠の子どもとして扱うのと、対等なパートナーとして関係を築くのと、どちらがノーマルでどちらがアブノーマルなのかは文化の中のみで判断されることで、本当のところは判断できない。価値観が大きく揺さぶられる一冊。

    10
    投稿日: 2026.01.15
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    人間と動物の性愛に関して、当事者の家に泊まり込み,共に生活をしながら執筆をした書籍 動物も繁殖をする生き物であるから性欲はあるとは思っているが、人間へサックスの誘いをすること、同意して行為に臨むことについては疑問が残る 巷でLGBTなどの性的マイノリティに関する保護や容認を持つべきという話がある以上、このような人たちに対しても容認すべきかどうかの議論はあって然るべきだと感じた コミュニケーションが取れることが必須要件なので対人間のみを対象としているが、例えばAIのような人間ではないがコミュニケーションが取れる存在や人と犬がコミュニケーションをとることができるような補助装置が開発される可能性も多いにあるので、これらの人々も踏まえて議論すべきなのだろう

    1
    投稿日: 2025.12.31
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    動物性愛者という聞いたことのない単語。自分のこれまでの人生では出会った事のない人々、感情の描写に読み進めることに拒否反応が出る部分も多々ある。 ただ読み進めるうちに、病気・変態という言葉で簡単に終わらせてはならないという気持ちにはなる。 言葉を持たない動物と愛なんて育めるのかと思いつつ、人間同士も真実かもわからない言葉で愛を育んでいるつもりになっているから同じことか。 一方、動物は言葉を持たないため、相手側が都合よく感情を汲み取っている可能性が人間同士より高く、ズーがパートナーと間違いなく愛があると考えている点には納得できない。 動物の意思とは関係なく避妊手術を行う事は自然の摂理に反することというのは理解するが、動物の性欲を人間相手で処理する必要はないし、なんなら動物の周りに同種の動物を準備せず、人間で処理しようとするのはその飼い主の都合すぎる。

    0
    投稿日: 2025.12.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    所々読むのがハードに感じる箇所もあったけれど、いろいろな考え方・思考を持った人たちがいる。ということは知っておきたいと思った。良いとか悪いとかそういう問題では無い。

    0
    投稿日: 2025.12.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    動物性愛のセックスの部分に衝撃を受けながらも読み進めていたが、終盤の「セックスは誰とであっても、素晴らしい経験になり得る。でもそれは、セックス以外の部分がうまくいっていることが前提よ。」という言葉にハッと思わされた。どんなセクシュアリティだとしても、互いの関係性が土台を作っているのだと。そこが愛だと感じる。図書館で借りたけれど、手元に持っておきたいから購入しようかな

    0
    投稿日: 2025.11.06
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    動物にも性があるってことを、今まで考えもしなかった。 ペットとして飼うことはあっても、対等なパートナーとして動物をみたことはなかった。いくら同じ家族だといっても、ペットは子どものような存在、癒してくれる存在でしかない。 読んでいてうっすら嫌悪を感じてしまったけどそれは、子どもとしての犬を性的な目で見ていると思ったから。でも違う、と読み終えた今では思う。ズーは犬などの動物たちを、私たち人間と等しく尊い存在として認め受け入れている。性的な目で見ているのではなく、彼らの性も含めて丸ごと全てを受けとめる。そこにこちら側の期待の押しつけがないとは言えないし、この本の中では綺麗な部分を選んで描かれているとは思った。 でも本音が分からないのは、人間同士のコミニュケーションでも同じことかもしれない。私たちは動物とは違い、言葉で自分の気持ちを表現できるというのに、いったいどこまでお互いのことを分かり合えているのだろう。 動物性愛について、理解はできなかったけど、知ることはできた。

    2
    投稿日: 2025.10.15
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    動物性愛についてはそこまで衝撃ではなく、こういう人達もいるよねとすんなり受け入れて読むことができました。それ以上に、動物性愛者が優しい人達なんだなと感じました。

    0
    投稿日: 2025.08.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    愛の意味、所在を考えさせられる本だった。特にクルトという人物が出てくる章は深く共感した。そして、意外と日本のアニメは自由度が高いんだなと感じた。 愛は、自己嫌悪を紛らわすための麻酔なのかもしれないし、たとえそれが人ではなくても、その手を取り合うための通行手形なのかもしれない。 愛を使う人によって、その定義が変わるのが興味深かった。

    0
    投稿日: 2025.07.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最初にこの本について知った時、正直言って気持ち悪かった。 本屋大賞のノンフィクション部門にノミネートされたからには読まなくては、とは思いつつ、気が重かった。 動物性愛者なんて、小児性愛者と同じくらい許せないと思った。 マイノリティの性癖だから気持ちが悪いと排除するわけではない、と思いたい。 許せないのは、合意を得ることのできない相手に、一方的に自分の性癖を押し付け、さらには相手に痛みや苦痛をを与え身体を損なうような行為を強要してまで、自己の快楽を優先するという心理。 ところがこの本を読んで、それは全くの思い込みであったことがわかる。 「動物性愛者」という言葉が呼び起こすイメージが、「性」の押し付けを思わせるのがそもそも違っていたのだ。 「ズー」と言われる彼らは、特定の一匹(一人)の相手をパートナーとし、お互いをかけがえのない相手と認識し、決して性行為を強要しない。 たまたま彼らのパートナーは人間ではなかっただけ、なのかもしれない。 それにしても、最初に感じた「気持ち悪い」という感情は、私だけが感じるものではなく、著者も「ズー」の人たちも、世間のそういう目にさらされる。 しかし、ヨーロッパに限って言えば、それはキリスト教によって戒められている行為であることも大きいらしい。 『旧約聖書』に、「近親相姦をするな、月経中の女性とセックスするな、姦通するな、男性同士でセックスするな」と並んで「動物とセックスするな」と定められているのだそうだ。 しかし、ということは、それ以前はさほど珍しいことではなかったということなのか。 石器時代の遺跡の中にも、そのような絵が残されているらしいので、古来人間と動物の間にそれほどのタブーはなかったということなのか。 性行為を伴わない「ズー」の人も最近は増えているようなので、「動物性愛者」という呼び方は、もっと現実に即したものにした方がいいような気はする。 私には理解のできない性的志向ではあるけれど、それはそれで尊重はする。 そこまでしか、今の私には言えないなあ。 でも、読んでよかった。

    2
    投稿日: 2025.06.27
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    星2.5くらい。興味深い体験談がいくつかあったが、そんなに想定外の話はでてこなかった。きれいな部分、見せられる部分のみを抽出した印象を受けた。 多くの人が衝撃と言っていることが衝撃。 獣姦や動物性愛は言及してないだけで多くの人が抱えているセクシャリティであるという認識が自分はあった。 犬やケモノの発情期には、飼ったことがある人なら遭遇したことがあると思う。動物の性欲を考えもしなかったというのは本当に?と思った。 海外ではケモナーやファーリーは日本より格段に多く、論文もたくさんある。せっかく途中でケモノキャラクターに興奮する人の話がでてきたのに、ケモナーやファーリーといった話には一切触れなかったのは寂しい。話が複雑になるのを避けてわざと言及しなかったのか、知らなかったのかはわからないが、まったく触れないというのは不自然に感じた。 自分の体験談が中心で、結局自身のメンタルケアのために研究したんだなと思ってしまった。

    3
    投稿日: 2025.06.25
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    色々と複雑すぎて、よくわからなかった。 動物性愛者がいる。動物を強姦するわけではなく愛がある関係性の上でセックスをする。けど動物とコミュニケーションを取れるわけではないから実際のところどうなのか。 すごく簡単にまとめるとこういうこと? 著者がズー(動物性愛者)に対して肯定的なのか否定的なのかわからないまま読み進めていたけれども、この本では著者がどちらの意見を持っているというよりは、両方の意見を持っていてその上で読者に議論を促しているのだなと、解説を読んで納得。 それを理解した上でもう一度読みたいけれども、情報量が多いのですぐには読み返せないと思う。 使っている言葉自体は簡単というか理解しやすいのに あまりにも非日常、自分の知らない世界すぎてなかなか読み進められなかった。難しかった。 知らない世界を知れて面白かった。ただ読むのは疲れる(笑)

    2
    投稿日: 2025.02.20
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    正欲を読んだあとと少し似た感覚がある。読む前の自分には戻れない感覚。動物の性欲を無視できなくなってしまった。 動物性愛としても、少数派の生き方としても、わたし個人にとってかなり興味深い本だった。おもしろかった。 "「病気」「変態」という言葉が示す排他性は危険だ。あの人たちは自分とは違う、という線引きをして、そこで思考を鈍らせる"

    4
    投稿日: 2025.01.03
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    石田衣良のオトラジでおすすめされているのを聞いて、読みました。 読み終わったら元の世界には戻れない。

    0
    投稿日: 2024.12.31
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    衝撃の一冊だった。動物性愛をテーマにした、何とも静謐なドキュメンタリー。「動物性愛」という言葉から予想されるようなグロテスクな描写はほぼありません。 性の問題。個々の人格的尊厳を主題にしている本です。 政治運動として展開されるLGBTやフェミニズムには正直批判な目を向けているが、本書に描かれているパーソナルに問題としての性や尊厳の問題には真摯に向き合うしかありません。

    0
    投稿日: 2024.11.19
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    「正欲」(朝井リョウ)の次に読んだ作品。 「正欲」が性を取り扱った作品だからこそ、本書を選んだ。 単に可愛いというだけで犬や猫を飼うが、 どこまで真剣に動物の性を考えているだろう。 自分たちが人を愛するのと同じ感覚で、動物を愛して、動物にも性欲があり、それをどう受け止めてあげることができるか、を考える人たちがいる。 動物性愛。 これを動物虐待と呼んでいいのか。 動物の声や気持ちを正確に分からない人間が、「それ」が愛なのか、虐待なのか、「それ」を法律や社会が決める事はできるのか。 自分にまったく発想もできない価値観に出会えることこそ、読書の醍醐味。 どこまで真剣に自分たち人間の性について考えているだろう、というところまで踏み込んで書かれており、作者さんの粘り強い取材のおかげで、深く、多面的な見方を学ばせていただいた。 性を扱うからこそ、人間の本質に迫ることができていると思う。

    4
    投稿日: 2024.09.28
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    普段の生活や属するコミュニティからは知り得ない世界。 これこそが読書体験か。 異世界からは幾分近づいたが、まだドイツ程の距離感

    0
    投稿日: 2024.08.27
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    パーソナリティとは、自分と相手の関係性の中から生じ・発見され・楽しまれ・味わわれ・理解されるもの。「キャラクター」が誰から見てもある程度変わらない固有の特徴なのに対して、パーソナリティは相互関係の中で生まれる揺らぎのある可変的なもの。 ズーたちは共通して動物にパーソナリティを見出し(見出され)ている。 ズーだけに限らず、自分と違う性癖に触れたとき、理解しようともせず真っ向から否定したり偏見を押しつけて相手を傷つけるのは避けたい。自分がどうあるべきか、正解はないことだからこれからも考え続けていく... 「誰かにとって、ある誰かが特別なのは、共有した時間から生まれるその人独特のパーソナリティに魅了されるからだ。それが揺らぎ続け、生まれ続けるからこそ、私たちはその誰かともっと長い時間をともに過ごしたくなる。同時に、その人といる間に創発され続ける自分自身のパーソナリティにも惹かれる」

    2
    投稿日: 2024.07.08
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    新たな世界 獣姦というではなく動物の意思をくみとり向こうがその気になればする 性的なことはタブー視とされるが最も原始的で感覚的なことだと思います そういう嗜好がない人も読んでみてほしいです

    1
    投稿日: 2024.06.29
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    こんな世界があったとは、読む前と後で動物性愛者「ズー」の印象がずいぶん変わった。 動物とセックスする人、についてこれまでの私の人生で耳に入ってきた情報といえば、岩井志麻子さんが5時に夢中で「田舎育ちは獣姦経験がある」と話していたことぐらいである。かなり昔のことだが、強烈すぎて忘れられない記憶だ。番組上ではネタとして扱われていたし、”現代ではありえない”と思っていた。 しかし、実際に愛情を持って犬や馬をパートナーとする人がいるという。人間の一方的な快感のために動物を利用するものと思っていたが、そういうことではないらしい。 ズーはパートナーの動物との対等な関係性を重視している。相手がしたくて、自分もしたいときにはセックスをするし、必ずしもパートナー関係にセックスは必要ではないようだ。そもそも餌をあげる側ともらう側で対等って成り立つの?というのが疑問ではあるが、誰に迷惑をかけるわけでもなく、本人と動物とが幸せに暮らしているなら外野が批判などする権利はないと思った。 ただ、私自身のセクシャリティの観点から気になることはいくつかあった。これはズーを否定するものではない。 ズーはセックスの始まりについて、「動物が誘ってくる」「自分にだけ特別な行動をとる」と言っているが、その人がいない時には他の人間を誘っている可能性はある。動物に対して共感性が高い人だけが、そのサインに気づいて、さらには動物を受け入れても良いと考えている人だけが、最終的な行為に及ぶ。 この本に出てくるズーの多くは、動物のペニスを肛門に受け入れる男性だ。その始まり方は動物の欲求のために共感性の高い人が利用されているようにも感じてしまうのだが、逆に動物が人間の欲求を嗅ぎ取って行動しているのかもしれず、動物の本音が聞けない以上、人間の解釈で物事は進んでいく。そしてズーたちが語るのは、パートナーとの関係は「愛」で成り立っているというものだ。 著者も触れているとおり、ズーのパートナー(多くの場合犬)は人間に惜しみなく愛をくれるし、常に人間を必要としている。だからこそズーは、自分の身体を、全てをパートナーに捧げられるのだろう。 人間同士の場合、粘膜と体液の接触で染症する病気が色々あるけど、人間と動物の場合はどうなるの?「犬の精液で子宮が満たされて幸せ」と語るズーの話があって、自分の感覚としては怖いなと思った。人間と動物、両方が性の対象となる人もいるそうなので、その辺りは気になるところである。

    1
    投稿日: 2024.06.17
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    ◎最近読んだ本で最もよかった。 動物性愛というテーマで、こんなにも自己と他者の対等性を考えさせられるとは思わなかった。 ◎「言葉を交わせない動物との間に合意はない」という非難が出てくるが、言葉が必ずしも対等な関係性を担保するわけではないだろう。 言葉が本当の感情や想いを表すことは少ないわけで、機微を取り零したり、そもそも本心とは裏腹のものであったりすることが多い。 また、言葉を発する前の関係性で、言葉には制限ができる(支配者―被支配者のような関係性では対等な言葉を交わせるわけはない)。 むしろ相手との対等性をおざなりにしてしまうのが、見せかけの言葉によるコミュニケーションなのではないか。 それに比べ、五感を研ぎ澄ませて、パートナーである動物の感情や欲望を察知し、対等な存在として共生しようとしているズーたち(動物性愛者)のほうがよほど他者に対して誠実だと感じた。 ◎日本での家庭動物(ペット)は、性欲をもたない「子ども」として扱われるという話もなるほどと思った。 ◎最後の、「友人」のくだりがとてもよかった。

    1
    投稿日: 2024.06.09
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    読んでよかった!!! 不思議な納得感とあわせて、最後愛について痛烈に批判した後、しかし果たして「愛なしで対等でいられたことがあったのか」「むしろ人間同士の方が対等であることの方が難しいのでは」と裏返っていくのが興味深い。 言及されているように、「対等性」が自分にとっても一番大きい問題点だったようにおもう。 言語や体格や種を凌駕して対等であるには、「動物は動物である必要がある」点こそ、「対等性」を解決しているようで、結局「支配」ともとれる余地を内包してしまっている。 >ズーたちにとって、ズーであることは、「動物の生を、性の側面も含めてまるごと受け止めること」だった。 これから生きていくにあたって、↑の文章が心に刻まれたのは間違いない!

    6
    投稿日: 2024.01.11
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    動物性愛者「ズー」を取材したノンフィクション本。ペット等と暮らした事がないので、最初は具体的な動物への性愛についてどこか遠い世界の事の様に読んでたけど…読み進めていく中で抽象度は高くなり、それは動物と人間の関係性だけでなく、人間と人間の関係性にも通じていき面白かった。愛とは何か?どうやって相手との対等性を維持するか?など、「愛」についての考え方の土台が揺らぎ、再構築された気がする。 愛は創造的である事を知った事や、新たな価値観をインプットできた事が良かった!

    0
    投稿日: 2023.12.29
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    動物と性行為を含めた恋愛関係を築くズー。共感はできないけど、この本を読んで少し理解できた気がする。気がするだけ。登場するズーたちの懐が深く、知的な人柄が印象的だった。 相手と対等に在るというのはすごく難しいと思う。色々と考えちゃったな。

    0
    投稿日: 2023.10.13
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    これは頭ぶん殴られた気分になる本。動物性愛といっても、さまざまにある。数週間動物性愛の「ズー」と共に暮らすことで、理解から入る。その愛が真実と語られるが、しかし、さまざまな視点からその性愛についてスポットライトを当ててゆく。どの立場の人たちの言葉にも理がある。反する立場の人たちにも別角度の理がある。そしてそれぞれに矛盾や都合の良い解釈がある。しかし、それは人間同士の性愛に対してもだ。遠い世界かと思っていたら、距離を詰められて殴られる感覚。一度読んでみてほしい。

    3
    投稿日: 2023.03.13
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    価値観を揺さぶる本。本書中のあるズーが語るように、セックスの話題はセンセーショナルだからどうしてもズーの話を性行為に限って取り上げてしまう。そのために動物愛護団体との対立も生じる。しかしズーたちの問題の本質はセックスではなく「動物や世界との関係性」にある。異種への共感、愛情。人間と動物が対等であるべきとの考え。性愛と対等性というテーマが、著者がかつてパートナーから受けていた性暴力の記憶と結びつき、愛とは何か、性とは何か、関係とは何か、人間とは何か、という問いになっていく。 著者も書いているが本書によって動物の性欲について知ってしまったあとでは、今後の人生で動物を飼うことに抵抗を覚えてしまう。性欲も含めた彼らの存在を丸ごと受け入れるだけの覚悟を持てる自信がない。

    1
    投稿日: 2023.02.26
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    動物性愛の取材というテーマもおもしろいし、さらに筆者のバックグラウンドも合わさってスパイラルのように進む考察もまたおもしろい。 大学院の論文がベースのようだけど、こんなに面白い論文が書ける筆者にはただ脱帽。

    0
    投稿日: 2023.02.12
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    動物性愛についてという、センセーショナルな題材のノンフィクション。とにかく文章がうまく、ぐいぐい読んだ。 いやらしさは全くなく、むしろ真摯で感動的。動物、考え方の違う他者との関係性について考えさせられる。 この本を読んだ後、動物をただ可愛がって性欲を無視する方が、ある意味虐待じゃないかとも思った。 文庫版あとがきに、「人間は共感すべき対象を無意識にあらかじめ選択しているのかもしれない」という問題提起もあり、興味深かった。 そっちの方面の研究を押し進めた本も、ぜひ著者の濱野さんに書いてほしい。

    24
    投稿日: 2023.02.10
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    犬を愛しすぎる人や自分のセクシュアリティについて迷いがある人なんかも得るものが多いと思う。読んで良かった。 あとドイツに対してもいろいろ知れる(逆に食べてみたいクヌーデル笑)。ドイツに暮らせる犬たちは幸福なんじゃないかなと思ったら今すぐ愛犬連れてドイツに行きたい。 性暴力の描写もあるので注意。動物への虐待のエピソードも例として書かれてるので動物好きはつらい。 文庫版あとがきも秀逸。文庫版にして良かった。

    1
    投稿日: 2023.02.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    たしかTwitterでおすすめのような形で気になっており、たまたま書店で見つけたので一読。 今まで「動物性愛」について考えてきたことはなかった中で、日常生活でも溢れるペットの性欲の視点は今までになかった。 動物との対等な関係性を考えることは自分自身の他者へ関係の仕方を改めて考えるトリガーになりました。 すぐには答えが出ないし、考え続けるべきものであることは間違えない。

    1
    投稿日: 2023.01.02
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    動物性愛者をめぐるノンフィクション。著者の体験からセックスのことを理解したい、という強いおっもいがあり、ただのびっくりノンフィクションとは全然違う、切実な内容。 対等、ってなんだろうなあ。愛がないとセックスってしちゃいけないのかな。etc... 「タブー」とされることに切り込むのがノンフィクションの意義である。必読。 ペットの去勢も、これまでは動物の健康上の理由から当然のことと思っていたが、これを読むとまた考えてしまうな。

    1
    投稿日: 2023.01.01
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    ズーや性に関する、筆者のインタビュー活動を基にした文章はまるで論文を読んでいるかのよう。 性にまつわる過去の傷があったからこそ、ズーを通してそれを考え直すことを選んだそう。 動物にも性欲があるのか…。「彼らがそう主張しているだけでは?」と思ったが、確かにたまに発情期とか見る。 これから拡大し、議論が起こっていく性的指向であることは間違いなさそうだ。

    2
    投稿日: 2022.10.28
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    オトラジきっかけ。ややミーハーな気持ちで手に取ったけど、好奇心を凌駕する未知の世界をみせつけられ、途中からはもうとても丁寧に読んだ。著者さんの切実な研究・執筆動機。動物との恋愛、性愛、マイノリティ、カミングアウト、自分らしく生きること、自分に嘘をつかないこと、動物は嘘をつかない、犬の方が人間を誘ってくる、恋愛なんて本人たちにしかわかりません。動物虐待? DVは被害者にも落ち度があったのか。愛、関係性、言葉に置き換えていくとわからなくなることがたくさんあって、言葉で誤魔化されているものがたくさんあって、絶対わたしは真実にたどりつきたい、わたしはわたしの目でわたしを肯定する現実を得たい、生きたい。そんな著者の切実が、それでもまったく湿っぽくない淡々とした文章で書かれていました。一度読んだだけではわからないけど、一度読んだら世界変わる。玉書。

    1
    投稿日: 2022.10.04
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    動物のことを人一倍考えていると少しばかりの誇りを抱いていた癖に動物の「性」に関しては去勢以上のことを考えていなかった地盤がとても恥ずかしく感じられ、また自分自身を思い返してみると、これはとても言えないことだったので書かない。

    0
    投稿日: 2022.09.15
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    おもしろ半分、興味本位で読んだら痛い目を見る。 愛とは、セックスとは、人間とは。さまざまなことを考えられる一冊。

    0
    投稿日: 2022.09.14
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    夏休み-17 しらひなが、【私が読んだ中で一番ロマンチックで愛のことを真摯に考えた本】と推してくれたから、私は手に取れた。 性暴力を受け続けた著者が、セックスと愛を捉え直すために、ドイツで動物性愛について調査をする。ズーと呼ばれる動物性愛者と寝食を共にしながら、彼らの考えや、それを否定する愛護団体の声や、人間のセックスについても広く耳を傾けながら、考え続けるノンフィクション。 テーマが衝撃的/未知の世界すぎて、正直読むのが怖かった。(セックスという言葉が出てこないページがない)なんかまだ、自分の言葉で語れないけど、動物の性欲にも目を逸らさず、丸ごと愛す生き方を一貫しているズーたちの言葉が、なんかたしかに非現実的でどこまでもロマンティックだなと思ってしまった。 でも著者は一冊を通して(あとがきでさえも)常に冷静で、ズーのことを受け入れたい、理解したいという気持ちでありつつ、どれか一つのセクシュアリティを肯定したり、否定したりしない。自身の経験から何か一つの正解に縋りたい気持ちではあろうに(ごめんなさいこれは勝手な見解です)、ありのままの彼らの言葉を受け止めて、濱野さんなりの考察をすすめていく考え方/書き方が、とてもよかった。 朝井リョウ「正欲」を読んだときには、"水"に性的興奮を覚えるセクシュアリティ(言い方合ってるかな)が大きく扱われていて、でもこれは「どうしようもないもの」であり、それを受け入れられない世の中に閉口するしかない/諦めた当事者のやるせなさを痛感した。 セクシュアリティ関連といったらそうだが、この本の中には、「ズーという生き方を知って、ズーになった」という人物が出てくる点で、「正欲」とは全く違うと確信した。「これはクルトの個人的な、性差別に抗う政治活動なのだ」という文、これだ。私たちは(少なくとも私は)限りなく狭いセクシュアリティと性に対する価値観しか知らない中で生きてきたということを突きつけられた。 最後には、人間より明らかに短い動物の寿命と死、出会ったズーの一人一人と向き合い続けたことによってできたパーソナリティ、ここまできてなお、ズーのパートナーとなるのは言葉でコミュニケーションを必要とする/裏切る「人間」ではなく、言葉の要らない/一生裏切らない「動物」と感じていることなど、考え続けて何年経っても湧き続ける疑問や新しい現実が畳みかけてくる。ぜんぜんまとまらないけど、とにかく読んでよかった。しらひなありがとう。

    1
    投稿日: 2022.08.25
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    ドキュメンタリーであるが、筆者の文章や描写が非常に上手く小説のように読めた。 愛や対称性ついてなど…いろんな角度から考えることの多いテーマだけど、読む価値あり。おすすめできる一冊。

    2
    投稿日: 2022.08.07
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    自分以外の生き物との対等な関係とは何だろう? 答えはまだ見つからないけど、考え続けたいと思った。 著者から切実な問いをいただきました。

    0
    投稿日: 2022.06.26
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    ・ドイツではかつてユダヤ人への虐殺が行われており、それに付随する形で同性愛者などへの弾圧も激しかった。そのため戦後のユダヤ人差別の撤廃運動に伴い、様々な「性」を背景とする人々の抗議活動が活発化し、ドイツ社会そのものが性に関する活動にも寛容?(ある程度受け止める、認めるための土壌が構成されるよう)になった。 →これまでドイツは性に寛容というか、SMなどを含む性活動に他の国よりも積極的なイメージがあったが、それが戦後の抗議活動を基とするものだとは思ってなかった。 ・作者が「暴力は意外にも生産的な行為である(怒り、悲しみなどを産むから)」と述べていたが、上記の性に寛容な文化の形成のように、戦争とDVも規模が違うだけで同じ性質を持っているのだと改めて感じた。 ・動物(パートナー)をありのままに受け止める・対等になることがズーの方たちの愛し方で、セックスはあくまで発生する事象に過ぎないというところが興味深かった。 セックスを愛に付随するものとして大切にしている人にとって、何かしらの理由・言い訳が必要な刹那的なセックスを肯定できないというのは動物性愛/人間性愛に関わらず理解できる価値観だと思った。

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    投稿日: 2022.06.15
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    著者の渾身の文章に引き込まれた。 動物の性欲を尊重し、動物と性行為をする人々が存在するということに驚かされたが、読み進めていくうちにそういうこともあるのかも知れないと思えた。 セックスとは何なのかということに対してもう一歩踏み込んで欲しかったが、自分の常識が覆される貴重な体験が出来る本だった。

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    投稿日: 2022.06.13
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    動物性愛者を取材し、考察し、一緒に生活もしてみた筆者のノンフィクション。 少しだけエグい描写はあるが、色々と勉強になったし、考えることが増えた。筆者も述べているが、動物を飼う、一緒に暮らすということについて、ハードルが上がってしまった。 パートナーである犬や猫とは対等な関係だと、人間が言っており、そこら辺はどうにも。対等とは。

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    投稿日: 2022.06.11
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    思ってたよりエグくなくて助かった。 ズーたちが理論武装してる感じにずっとモヤモヤしながら読んでいたが、第6章末文でそのモヤモヤが的確に言語化されていてスッキリした。

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    投稿日: 2022.05.26
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    すげぇ本です。このテーマで本にしたところがすげぇ。性虐待をテーマにしているのかと思いきや、読み進めると、虐待は性の一つの姿で、性(ジェンダー)そのものをテーマにしている。し、考察が深い。動物愛という超超少数派を対象を仔細に観察することで、ジェンダー全体に思慮が及ぶというスキームが素晴らしい。 動物愛をヘンタイとして差別視することを否定も肯定もしておらず、(公平な考察のため、友好的なインタビュー関係を築くため、動物愛を肯定発言するシーンは多いが、それに影響うけることなく、冷静な視点が続く。と同時に、否定もせず、筆者自身が受けて来た性虐待と動物愛はどちらが醜悪か比較するシーンもあり、さらに性虐待すら悪いと言ってない節すらある。)最後まで読み進めると、動物愛がヘンタイか差別対象か醜悪か、などの議論が、もはや「どうでもよくなる」という不思議。その境地に至って初めて触れることのできる「性(ジェンダー)」の真理がある気がする。、、、って、気にさせてくれる。。。

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    投稿日: 2022.04.18
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    朝井リョウの正欲が水を性的対象とする人間を描いた生ぬるいフィクションだったが、こちらは動物を対象とする人たちに迫ったドキュメンタリー。 知らないことだらけで衝撃だった。

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    投稿日: 2022.04.05
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    ノンフィクションライターで、人類学のセクシュアリティ研究者、濱野ちひろによる、彼女の修士論文を土台としたノンフィクション。ズーフィリアのある団体に所属する人たちを中心に行った人類学的調査の記録。ズーフィリアの人たち(本書では、「ズー」と略される。本稿でも以降、ズー。)は、日本語で動物性愛者といい、一般的には異性愛や同性愛のように、動物への性的な興奮を覚える人のこと。本書では、一般的に「異常」「動物虐待」と捉えられかねない動物性愛のイメージに反して、聖人のように厳格な倫理のもとで動物を愛するズーの人たちを描いている。これを読むことで、ズーといわゆる獣姦と何が違うのかがわかる。また、全体を通してズーではない人間が社会をどう規定しているか、パーソナリティとは何なのか、愛とは、と多くのことについて自分の常識が狭い枠組みにとらわれていたことに気づかされる。

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    投稿日: 2022.03.18
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    こんな愛もあるのかと衝撃だった。私も最初の頃の筆者同様、ゼータの人々に対して偏見や多少の緊張を持ちながら読んでいたが、動物へ無理やりという訳では無く安心してしまった。固い内容かと思ったがどんどん続きが気になって読み進めてしまった。

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    投稿日: 2022.03.06
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    全て理解は出来ないが、今までの自分の世界にはない考えに触れられた 新聞の読書欄で知ったが万人にすすめられるかというとそうではないような……

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    投稿日: 2022.02.18
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    理解出来たかと読み終わってかなり考えてしまいました。差別はしないし、批判もしないけれど…本当の意味で理解は出来ていないのだと思います。日本だから攻撃とか酷い批判が無かったのではないか、と考えました。アロマンティック・アセクシャルがドラマのネタになるくらいなのでこの本も理解はされづらくはあっても批判は来ないのかもしれません。

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    投稿日: 2022.02.08
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    動物に愛着、ときに性的欲望を抱く「動物性愛」をテーマにした本書。 動物性愛擁護団体「ゼータ」のメンバー中心に、動物性愛者、通称「ズー」に密着したノンフィクション。 まず私も勘違いしていたことだが、「獣姦」と「動物性愛」は似て非なるものだ。 獣姦は動物とのセックスそのものを指し、そこに愛があるかどうかは全く関係がない。そのため、ときに動物への暴力行為をも含むとされる。 一方で動物性愛は、心理的な愛着が動物に対してあるかどうかが焦点となり、決して動物に危害は加えない。 ズーは動物ならなんでもいいわけではない。 ズーは自分の愛する特定の動物の個体を「パートナー」とし、パートナーはズーひとりにつき一頭の場合が多い。なぜならばその一頭だけがそのズーにとって特別な存在だからだ。 ズーはパートナーである動物にパーソナリティを見出し、自分との対等な関係性を愛する。 動物性愛を紐解く鍵は対等性にある。 対等性とは、相手の生命やそこに含まれるすべての側面を自分と同じように尊重することだ。 動物性愛を語るときにしばしば話題にあがる小児性愛。 人々がこの二つを並べがちなのは、「人間と動物」、「大人と子ども」という違いはあれど、いずれも「対等ではない関係」という認識があるからだろう。 動物は言葉を話せず、小児も小さければ小さいほど言葉を操れない。 日本でも飼い犬を我が子のように扱う「犬の子ども視」は一般的だ。 一方、ズーは成犬を「成熟した存在」として捉え、対等に扱う。 ズーは小児性愛を「性的な目覚めがない相手に性的行為を強いる間違った許せないもの」として嫌悪し、動物性愛を「成熟した動物には性的な欲望とその実行力があり、人間の大人と対等である」と正当性を主張する。 ズーは「パートナーとの対等性」を重視するためパートナーにセックスは強要しない。 セックスのための性的なトレーニングも行わない。 セックスするときはパートナーが誘ってきたときだけだ。 そのためズーの中にはパートナーとのセックスを一度も経験したことがない人も多くいる。 この「犬などの動物が誘ってくる」ということが私には理解できなかった。 ズーのいう犬の性欲は、犬がごはんを食べたがるのと同じくらいわかりやすいそうだ。 自分も犬を飼った経験から犬には発情期があるので性欲が存在することは理解できる。 でも、その性欲の対象が人間に向くことはあるのだろうか。 あったとしてもそれはその犬が人間社会の中で生きているため、他の犬とセックスする機会を持てないから人間に向いただけなのでは、という疑問が残る。 ズーのなかにも、色々な違いがある。 まず、性的対象となる動物の種類。 犬をパートナーとする人が圧倒的に多く、次いで馬が多い。 猫は人間との体格差が大きく、かつ性器も小さいのでセックスが成り立たず、パートナーとする人はいない。 ズーは動物を愛し、危害を加えない。 だから動物のサイズの問題は大きく、猫にとどまらず小型の動物はパートナーとはならないのだ。 次に、性的対象となる動物の性別。 自身が男性で、パートナーがオスの場合は「ズー・ゲイ」、自身が女性で、パートナーがメスの場合は「ズー・レズビアン」、パートナーの性別を問わない場合は「ズー・バイセクシャル」、自身とは異なる性別を好む場合は「ズー・ヘテロ」となる。 また、パートナーとのセックスでの立場が受け身の場合は「パッシブ・パート」、その逆を「アクティブ・パート」という。 つまり、ズー・ゲイの男性がオスのパートナーとセックスときは動物のペニスを自身の肛門に受け入れる方法をとる。 このとき自分のペニスを動物に挿入することはない。 その次に、自身がズーであると自覚したなり立ち。 ズーたちの大多数は、生まれながらの動物性愛者だそうだ。 しかし、自ら考え抜いて「ズーになることを選んだ」人もいる。 彼らはすべての時間と経験をパートナーと共有することでまるごと向き合い、共に生きるための新たな生き方としてズーになることを選んだという。 ズーは自分たち動物性愛者のことをラグジュアリーだと考える。 なぜならばパートナーの一生を、最初から最後まで受け止めることができるからだ。 動物をパートナーとする以上、どうしても人間との寿命の違いの問題がつきまとう。 最愛のパートナーを看取ることは辛く悲しいことではあるが、そのズーの考え方は素敵だなと思った。 動物性愛は、ある人にとっては犯罪に等しい行為であり、ある人にとっては人間と動物の境界を再考させる行為とされる。 私はこの二つの間で揺れ動いているが、この本を読むことで後者の考え方を知ることができてよかったなと感じる。 ぜひたくさんの人に、この本を読んでもらいたい。

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    投稿日: 2022.01.21
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    人間の性愛、動物との関係性に関する自分の中の常識や思い込みに、まったく違う視点が与えられた気がします。 DV被害者である著者が、犬や馬をパートナーとする、いわゆる動物性愛者へのインタビューを通じ、人間の性愛や暴力性について思索していくノンフィクション作品です。 動物性愛という言葉自体は初耳でしたが、世の中にはいろいろな性があるから、動物に性的興奮を覚える人もいるのだろうな、ということはなんとなく考えていました。 一方で獣姦という言葉や行為も自分は知っていて、そうした人たちと、その行為を半ば無意識的に自分の中で結びつけて、そうした人を一種の性的倒錯者のように思っていたところも、今思うとあったように思います。 実際に読んでみると、動物性愛者の人たちは決して異常な人ではない。LGBTの人たちが自身の性自認に悩んだように、彼らも自身の性自認に悩み、パートナーに対しても、決して性的快楽を得るための道具として扱うのではなく、人間のパートナーと変わらない愛情や慈しみを注ぐ。 その姿は人間そのものだと思うし、著者自身も思うようにある意味では人間の関係性以上にロマンチック、あるいはイノセンスなものを感じさせる気もします。 実際に読んでいると、自分たちは動物と性というものを切り離して考えていることにも気づかされます。日本ではペットの去勢は普通のこととして受け取られているものの、それは倫理的に正しいのか。動物であるパートナーの性を考えている彼らの方が、ある意味では動物愛護の姿勢としては正しいのではないか。 社会の常識、自分の中の概念が、そんなふうに揺らぐことが読んでいるうちに何度もあったように思います。 性的志向や関係性は暴力や支配とも結びつきます。著者が取材した動物性愛者の団体「ズー」はドイツにありますが、ドイツでも動物とのセックスは動物愛護法と人々の自由や権利との間で揺れ動いています。もちろん動物性愛者に対しての視点は社会的にも厳しいのが現状。 動物たちは本当に人間との性的関係を望んでいるのか? そこには全く暴力的なものも、支配の感覚もないのか? 個人的にズーの人たちの言い分は説得力あるものもあるし、同意できないものもあります。ただ著者はそこで思考停止するのではなくさらに思索を深め、人間が持つ性に対する偽善的な部分や、支配・被支配、力関係、暴力性に焦点をあてていきます。 著者自身の体験によるものもあると思うけど、その思考があるからこそ、この本は下世話な表層的な部分で終わるのではなく、人間の本質の部分に触れるような作品になったように思います。 正直最初は、自分も下世話な好奇心からこの本を手に取ったところがあります。それでも読み進めていくうちに、この本が問いかけたかったものが心の中に降りてきて、否が応でも考えさせられたように感じます。 第17回開高健ノンフィクション賞

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    投稿日: 2022.01.11
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    読む前は動物との性愛というイメージから嫌悪感を抱いていたが、読んでみると想像していた嫌悪感は感じられなかった。そもそも、「動物性愛」と「獣姦」が似て非なるものだと知らなかったからだ。 「動物に対して感情的な愛着を持つ」というのはわかるが、「性的な欲望を抱く性愛」とは理解しにくいところだ。しかし、人間に対してであれ、動物に対してであれ、愛するという行為は人それぞれだ。 動物性愛者の存在、そして動物にも性があるということへの理解を通して、自分自身の視野が広がったような気がする。だから、読書は面白い。

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    投稿日: 2021.12.31
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    以前に単行本で読んでいたので、文庫版あとがきと解説を読みました。ズー達のその後が知れて良かった。解説もわかりやすく、面白かった。

    0
    投稿日: 2021.12.16
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    ここ数年でいちばん面白く、刺激的な本でした。 2〜3ページおきに目から鱗が落ち続け、この3日でデスク周辺に鱗の山ができた気がします。生まれ変わったように、視界が開けた。 濱野氏の冷静で穏やかな取材は、言葉を引き出すに止まらない深い観察眼を得て、この研究に辛く苦しい動機を持つ彼女にしか到達できない知の淵に我々を泳ぎ着かせてくれます。 すべてのセクシャリティ問題に、社会的マイノリティ問題に、性役割問題に、アンコンシャスバイアス問題に、これまで考えたこともなかった、重大かつ本質的な視点があることに気付かされる内容でした。 衝撃的な内容ですが、とても平易な言葉で読みやすく、構成も見事で引き込まれます。

    3
    投稿日: 2021.12.16
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    知らなかった世界を垣間見る。 構成が平易でわかりやすい。著者とともに、考えていく過程を辿っているかのように感じた。 人とは、人間とは何かを改めて考えることになる。人と動物の関係だけでなく、社会の在り方そのものへの、問題提起。 著者の取材にも脱帽。ドイツのセクシュアリティ状況も、日本からは考えられない。 犬を連れている人を見ると、少し考えてしまう。 しかし人間は裏切るが、動物は裏切り らない。友情は理解することであり、理解されること。動物にもパーソナリティがあり、それを発見することが愛なのか。 ホロコーストの対極の動物愛護のナチス、価値観だけでは計り知れないセクシュアリティは、今後も深く考えていく必要がある。想像以上に刺激を受けた作品。

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    投稿日: 2021.12.04