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百合中毒
百合中毒
井上荒野/集英社
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総合評価

9件)
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    設定がキャッチ―なだけで、登場人物がみな凡庸で、人と人との関係性に距離があり、親子も夫婦もみな遠慮し合っているのがもどかしい。なぜ、思っていることを口にしないの?そこはちゃんと話そうよ、相談しようよ、対話が必要じゃないの?という局面で、誰もが言葉を飲み込んでいる。夫が自分を捨てて他の女に走った段階ではともかく、その後将来を共にしようというパートナーとめぐり逢ったときになぜ夫と離婚しようとしなかったのか、謎。それを要求しなかった(もしくは問いたださなかった)パートナーの蓬田も謎。夫の病気のことをなぜ娘たちに話せない? 人と人との心理的距離があってそれが縮まらないのと、読者と作品の距離が縮まらないのが比例する感じで、没入できなかった。とくに女性たちが男の機嫌を損ねることをおそれて言葉を飲み込むような場面を作者は何の批判的視点もなく、よくあることとして何度か描写していて、悪くもないのに「ごめんなさい」と謝ることさえしている。それらの遠慮は思いやりや思慮深さとは別物である。その上で最後に「これは愛なのか、それとも...」的なことを問われても...である。 是枝裕和監督が『真実』を撮ったときにフランスの女優が脚本を読んで「フランスの女はこのような場面で謝ることはあり得ない」と書き直しをくらったという話をどこかで読んだ。フランス人のようであれとは言わないけれど、日本の女性もそろそろ、というか、ほんとうはとっくに、こういうしぐさから脱した方がよいと切に思う。自戒を込めてだけれども。とはいえ、最後のシーンの母親歌子さんの心情はよくわかる。もしかしたらここだけが唯一の彼女の切実さが伝わってくるところかもしれない。不治の病を抱えながら孤独に死んでいこうとする夫を放っておけない、なんとかしなくては」という思い。 百合中毒のエピソードも防犯カメラのエピソードもあまり効果的とは言えない気がするし、サクソフォーンを妻に内緒で練習していました、のところにおいては蛇足では...

    1
    投稿日: 2024.11.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    明らかに毒とわかるものと、家族間でも一人の存在が、もたらすものの差が違う。 問題を先送りにする者と、非難する者と、完全に受け入れたわけじゃないけどそばに置く者と、それをただただ静かに見つめるしかない者と。 第三者から見たら明らかに毒でも、捉え方は様々。 その存在が、今までうまくいっていた家族の流れを変えているのに。 毒がまわって致死量にならなければいいが…と思って読む。 それでも一緒にいる理由、家族だから…?それだけか…。 父親も25年経って、相手の国には行かず、家族のもとにすんなり帰ろうとする、感覚が怖い。 姿を見せなくなる、またいなくなったのに「存在する」とわかると、探してしまう矛盾。 毒と共存したいのか、それとも…。 猫に百合は毒。わかってすぐポスターを客と作って店に貼るという行動力。 自分のこととなるとそれは難しい。 物語に大きな変化はない。旦那の秘密も、別居も進めているがどうなるかはわからない。家族という集合体。時間がかかる問題ばかり。 ななかまど 微量の毒 保存料としての役割も。(熟しても腐りきらない)生には向かず、お酒として加工。 →25年経っても来れば受け入れてしまう母親。腐りきれたら終われるのにって言うこと?形が変わっても存在すること、が、彼女の行動を矛盾させる。

    0
    投稿日: 2024.10.06
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    タイトルで選んだら思ってたのと違ってそりゃそうかってなったのですが荒野さんの作品って明確なメッセージがなくて(私が気づかないだけかもしれませんが)でも私はそんな感じの作風がなんとなく好きなんです。

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    投稿日: 2024.09.07
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    猫が中毒を起こした!どうしてくれる! とクレームをつけてきた客に対する 解決策に、唖然とするも爽快な気分になった。 そうきたかw

    1
    投稿日: 2024.07.08
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    ヨソに女を作って出ていって 25年も音沙汰無しだったのに、 ひょっこり戻ってきた夫をノーコメントで受け入れる歌子さん(恋人あり)。 ガンになって行方をくらます夫を恋人と一緒に追いかける歌子さん。 愛しいとも憎たらしいとも書かれていないけれども、 夫の出現によって恋人の存在は希薄になっているように見えるし、『存在する限りは追い続けるだろう、もしかしたら存在しなくなっても追い続けるかもしれない』という記述は気狂いじみていて、執着のようにも見えるけれど、やっぱり愛だと思った。

    0
    投稿日: 2024.07.03
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    二十五年前に二十歳下のイタリア女性と恋仲になった父親が突然家に戻ってきた。 長野県を舞台に父親の行動に家族の右往左往を描いた物語。 井上さんの作品は「あちらにいる鬼」を読んでインパクトがあったので、 この作品を手に取りましたが、今回はそれに比べると少しインパクトが弱く 登場してくる人達が中途半端だったので全体的に モヤモヤと不完全なまま終わってしまいました。 一番賢かったのはイタリア人女性の勢いある行動力でした。 この中では一番若い年代だったこともあったり、 お国柄もあったのかなとも思ってしまいました。 不倫をしていた夫が突然家に戻って来るだけでも、 家で待っていた家族としてはどう対処して良いのだろうと考えてしまうので、 一波乱、二波乱あっても良さそうでしたが、そんなこともなく、 妻は他の男性と新しい人生を考えていたり、長女夫婦の夫は謎の行動をしたり、 次女は不倫をしたりと、家族全体がバラバラの生活をしているようで 何だか空虚感のようなものを感じました。 特に次女の不倫相手の行動が自分本位すぎて嫌悪感を持ちました。 こんな状況であっても家族という形は保っているので、 家族とはいったい何なんだろうと疑問抱きました。 こんな複雑な気持ちが起こる一方ですが、 このような生活を実体験している著者にしてみれば、 日常的な風景であったと思うので何か思うでもなく、 何か慌てて行動するでもなく平静に受け止めて日々を送っていたのかと 思うとこの作品のような日常になるのかなとも想像しました。 夫婦だからこそ他人には絶対に分からない結びつきがあったり、 家族だからこそ見えない深い繋がりもあるのかと思いました。 「結局のところ愛したり恋をしたりするという行為は、  一種の病気かもしれない。  それが本当の愛だったとか偽物の恋だったとか、  そんなことはそれが終わってからしか言えないことなのかもしれない。」 というのが印象的でこの事に尽きるのかなとも思いました。 百合中毒だけでなく、美しい花にも毒があるので、 美しいものには毒あるという忠告のような意味もある 作品であると思ってしまいました。

    1
    投稿日: 2024.05.30
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    読み終わってもなんだか毎晩ふと思い出しては考えてしまうので久々に感想を少し。 25年前にイタリア人女性と不倫して出て行ってしまった夫が帰ってきたことから始まるお話。 結婚する前だったり、新婚の頃だったりしたらきっと奥さんである歌子さんの気持ちや行動は理解できなかったと思う。 陳腐な表現だけど、情で繋がっている夫婦の絆のようなものを感じた。これは同じ家族でも娘には絶対理解ができないことじゃないかと思う。夫婦だからこその不思議な繋がり。 私もきっと最後の歌子さんと同じ行動をすると思う。その自分を突き動かす理由がなんなのか分からなくても。 それぞれの今後がどうなったかは描かれていないけど、これから夫婦生活を送って行く中で、自分自身が思う結末はきっと違ってくるんだろうな。 また時間をおいて読みたくなる一冊。

    7
    投稿日: 2024.05.28
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    なんだか、全員中途半端で決めきれずに彷徨っているような物語だった 結局誰が悪いのか、何がいけないのかも曖昧で、その曖昧さが心地よいような気もする読後感。 家族を捨て戻ってきた父親にはイライラするけど、同じように他の登場人物にもイライラしてしまった…

    2
    投稿日: 2024.05.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    書店で文庫の裏書を読んで、興味を惹かれて購入。園芸店を営む家族の、母、長女夫婦、次女(不倫中)、その不倫相手、母の恋人、25年前に出て行ってイタリア人と同棲している父、そのイタリア人女性の物語。夫婦って何?25年前に出て行って、恋人に捨てられたからって戻ってきた父親を、家族はどう受け入れるのか?(もしくは受け入れないのか?)やきもきしながら読み進める感じになります。私としては、次女の不倫相手の身勝手ぶりが印象に残りました笑。妻が癌かもしれない、となったら恋人と別れようと思い、癌じゃなかった~と安心してヨリを戻そうとしたり。不倫する男の都合ってだいたいそういう感じなんじゃないかな。 不倫相手と別れようと思ってるけどずるずると別れられずにいる女性はこれ読むといいと思います(笑)。 一方で、25年も不倫関係(内縁の夫婦)を続けていたイタリア人女性と園芸店の父親との関係も、実はうまくいっているとは言えないものだった。 夫婦の結びつきってなんだろう? それぞれの目線で淡々と描かれていながら、なかなか深く考えさせられる小説でした。

    8
    投稿日: 2024.04.29