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花生師 岡本典子の花仕事
花生師 岡本典子の花仕事
岡本典子/誠文堂新光社
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総合評価

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    花を束ねる。美しい写真とともに、丁寧に考えを言語化。 色彩、質感、毒気、色気、フォルムと有機的、幻想的な要素を見つけて花を選ぶ。 作品の8割を決めるところにどう係わるか。

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    投稿日: 2022.05.01
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    花生師、岡本典子は「私のスタイリングの源泉にあるのは、記憶に残る美しい映像の欠片たちです」という。あえて「欠片」というところの感性がいい。「五感に刻まれた刺激」、直感的でほとんど無意識に行う花合わせを言語化する。「作品の8割は花選びで決まる」「どれかひとつを主役を選ぶのでなく、すべてが主役という気持ちで花に向き合う」 すべてが主役という発想が意外感があるが画像を見ると納得できる。 キーワードは、「複色」ひとつの花にいくつもの色がグラディエーションしている。「質感」ツルツル、カサカサ、ふわふわ、トゲトゲ、もこもこ。「毒気」花の中に毒が潜んでいる。「色気」うつむいて咲く花のうなじ、だらしなく開いた花びら、自由に咲き乱れる花の持つ魅力や色気。「フォルム」花の形のユニークさと花の動き。「有機的」タネから育って、花が咲き、散って枯れていくプロセス。「幻想的」要請が住むような世界をイメージする。「主役を作らない」花選びでバランスをとる。マス的な花は控えめに。チラリズムで目だ立たせない。 この選ぶ視点は、花の持つ多面的な魅了をいかに引き出すかがよく理解できる。 花の持つ質感をどうつかみ取るかだ。90の画像があるが、それぞれが特徴的だ。 花を主役を選ばない。そうすると限りなく緑や茶色に近い色のテイストになる。自然や地球のカラーになっていくのだ。それを季節の中でどう表現するか? 花束として、渋みがある。枯れる直前の危うさを孕んでいる。侘び・寂びの世界を演出する。 いや、卓越した感性を持っている「花生師」である。 本書を眺めているだけでも、楽しい。見ながら、花にとって美しいとは何か?ということの観察力が養われる。

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    投稿日: 2021.09.19