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powered by ブクログいつも利用している図書館の書架を眺めていてタイトルが気になったので手に取ってみました。 著者の古賀太さんは実際新聞社の事業部で美術展を企画してきました。 その古賀さんが、様々な観点から昨今盛んに開催されている「美術展」の実態を紹介していくのですが、通常では伺い知ることのできない内容ばかりでとても興味深いものでした。
0投稿日: 2025.11.22
powered by ブクログ東博や西洋美術館の常設展示が大好きですが、いつもガラガラでもったいないと思っていました。共感できます。
0投稿日: 2025.10.05
powered by ブクログ日本の美術館という施設が、世界的に見ると悪い意味で異例という事実を、「そこまで厳しく言わないで!!もうやめて!お願い!!」と耳を塞ぎたくなる(目を瞑りたくなる)くらいまで語ってほしいドMの方がいました、どうぞこちらの本を手にお取りくださいませ。 ムチが止まりませんよ笑 でも本当に、美術館によく行く人、たまに行く人、これから行ってみたいと考えている人みんなに読んでほしい!!! これはぜっったいに知っておいた方が良い現実。 古賀太さん、自分が嫌われるかもしれない、悪者になるかもしれないというリスクを背負って、この本を書いてくれてありがとうございます。 そして日本の美術館に希望を捨てずに、最後は「信じている」という言葉で終わってくれてありがとうございます! 愛を感じます。 古賀太さんのご興味、感性が、自分に結構ドンピシャだったので、古賀太さんのおすすめの美術館を知れたのもとても嬉しい。 さぁ、みなさん、少しでも美術に興味があるなら、美術館という場所が好きなら、この本を読みましょう。 そして美術ではなく、人の頭を見に行ったのかな?と思うような混雑している展覧会に対して疑問を抱きましょう。 公立の美術館は、何で所蔵作品(コレクション)を大々的に見せるのではなく、巡回している特別展ばかりやっているのか、疑問を持ちましょう。 「◯◯美術館展」(例えばルーブル美術館展)のような、大きな海外の美術館のコレクションの展覧会をそのまま日本でやる裏の事情を知りましょう。 今までのように楽しめなくなること間違いなしです。 でもその代わりに、本当に意義のある展覧会に行けるようになると思います。 さぁ、みなさんも扉のこちら側へ(手招き)
0投稿日: 2025.09.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
新聞社やテレビ局などのマスコミに頼らざるを得ない日本の美術界。学芸員が「雑芸員」となっている現実。お金を出して日本美術展をやってもらうという国際交流基金による土下座外交の弊害。などなど。まさに美術展の裏側に潜む闇を覗くことができた。
1投稿日: 2024.12.10
powered by ブクログとても腹落ちした内容だった。 日本は美術展だけが人気でいつも混んでいる。 美術館・博物館の入場者数では日本はトップ10には入らない。 海外は常設展を見に行くが、日本は企画展を見に行く 日本の美術展はマスコミ主催である 主催の名前は最初が主導 テレビの主催よりは新聞社主催の方が工夫はされている 美術館展は比較的やりやすい、個展は相当難易度が高いのでお金で解決している 美術館展は所詮倉庫の物を見ているようなもの、そこに人がごった返してゆっくりと作品を鑑賞出来ない 海外に日本美術を出す時は逆にお金を負担してあげているという矛盾(国際交流基金) マスコミ系は国立新美術館に行き、次に国立西洋美術館に行く、東京国立近代美術館は本来の役割を取り戻した 国立館の不都合な真実はマスコミ主催の企画展を開催する場合、基本的に国立館が予算を出す必要はまったくない 常設展もご覧いただけますでしっかり徴収していて、主催者はそれに上乗せしている 讀賣新聞社が立ち上げた美術館連絡協議会というのは年会費を納める代わりに展覧会の巡回を斡旋 バーンズコレクション展がひとつの転機 儲かると思った 画壇が力を持っている 画壇は派閥を持っている 画壇系と現代美術系に分かれる 海外に通用するのは現代美術系になり、画壇系は国内のみ 最も見逃せないのは、東京国立近代美術館 難しい個展をたくさん行っている 展覧会のおもしろさは、マスコミの事業部に頼らずに学芸員がどれだけ独自の視点で展覧会を企画しているかにかかっている 企画会社はマスコミ主導の展覧会よりさらに日本の美術界にとって問題 トリエンナーレや現代美術展が賑わっているのは日本独自かもしれない、そこが日本の強みになるかもしれない
0投稿日: 2024.12.09
powered by ブクログマスコミ主導の企画展と学芸員の待遇について興味深く読めた。 日本の国立館が世界水準になるには企画展頼みの動員を改めて常設できる彫刻などを目玉にする提案には納得。海外からは作品を貸し出してお金を得る存在としか思われていないからだ。 よく行く町田市立国際版画美術館には今のように小ぢんまりでよいので個性的な企画展を頑張ってもらいたい。
0投稿日: 2024.08.25
powered by ブクログ長年、美術館通いをしていると書かれていることが「やっぱりね」と分かってくる。 だから読後感は買うほどのことはないなと。美術館、美術展に興味のある者には一読を勧めたい。 賛同したい点は多々あるが特に館長天下り問題と学芸員の低待遇問題。 しっかりした常設展はもっと鑑賞すべき。だから常設展のない新美術館は箱モノ行政の典型ではないか。 企画展は、国内でまとめて鑑賞できて日本語の解説などの便宜もある。歌劇の来日公演同様、ある程度高額なのは仕方ないとも思う。ただ〇〇美術館展は現地が改修とか閉館していれば別だが、まず大物は来ない。そりゃあ現地に目玉がなかったらねぇ。実際に欧州で「只今、日本に旅行中」と張り紙のあった時があった。そう思うと中学生の時、数時間並んだ「モナリザ」は良く来日したものだ。昔は「ミロのヴィーナス」や「ツタンカーメン」のマスクも来たらしい。 気になったというか反論したい事が日本の地方美術館は交通の便が悪いという点。公共交通機関から徒歩20分位を私は遠いとは言わない。海外に行ってもこの程度のアクセスは結構ある。観たい意欲と行くのが面倒だ意識との兼ね合いではないか。私は観たければ日帰り圏位までは腰も軽く行動している。奈良の正倉院展とか今は亡き名古屋のボストン美術館とか。
0投稿日: 2024.05.19
powered by ブクログ新書は自分の知らないことを学ぶ事のできるツールだ。しかもその時勢に即したものも多く、インプットに最適だと感じている。 なぜ現代においてここまで美術展の入場者数が多くなってきているのか、お金にまつわる話等、興味が尽きない。読んで感じたこととしてはテレビ局が主催となる宣伝しまくっている美術展を観る価値はもはやないんだろうなということ。エンタメとして最も目立つ作品が一つ二つある美術展に価値を見出だせなくなってしまった。それであれば分かりやすい映画でも観ればいい。真実って知らなくても良かったこともあるな。
4投稿日: 2024.05.04
powered by ブクログおもろ コロナ禍から美術展見に行き始めたけど、美術館も良くも悪くも影響受けたよな〜と思った この1年でほぼ毎週美術展に行ってみて、 メディアで大々的に宣伝されてるやつはいつ行ってもめちゃくちゃ混んでるな…というのは体感できたので、いろいろ納得できて面白かった(あと都内で回ってると分かる場所が多い) 今年はお金の匂いがあんまりしない美術展をメインに巡ろうと思う
0投稿日: 2024.02.03
powered by ブクログマスコミ(新聞社·マスコミ)主導の企画展が中心の日本の美術館は世界的にみて特異であり、もっと魅力のある常設展を作ったり学芸員主導のオリジナリティのある企画展を沢山やるべきという主張が繰り返しなされる。 確かに自分が美術館や博物館に行きたいなと思うきっかけは有名な作家や美術館の展示を広告で見る時が多いし、広い大衆にも美術館·博物館に足を運んでもらい、文化に親しみを持ってもらうという点では意味があると思う。筆者の言うとおり売上至上主義が行きすぎて落ち着いた空間でじっくりと一つ一つの作品と向き合うことができない現状はおかしいとは思うが。 味のある展示をやっている美術館などはいつか行ってみたいな、と思った。
0投稿日: 2024.01.21
powered by ブクログ2023.12.14 美術館の館長の本を読んだすぐ後に、今度は元新聞社の美術展担当の方の本を読んだ。どちらも裏側に踏み込む内容だが視点の違いもありとても面白かった。美術館にも一般の人ではわからない裏側があってとても楽しく読み進めることができた。
0投稿日: 2023.12.14
powered by ブクログ美術館によく行く私としては興味があるタイトルでした。 といっても、悪徳なビジネスをしているということではなく、普段は垣間見れない美術展の諸制度がまとめられています。若干、日本側の動きでおかしい点もありますが楽しめました。
20投稿日: 2023.10.03
powered by ブクログアートの世界、なんかハードルが高いと言うか、気安く語れない引け目を感じてしまいます。が、本著は「美術展」の裏事情の本で、アート業界の構造をわかりやすく紐解いてくれる1冊です。こちらも友人のオススメにて読了。 読んでおくと、少し切り口の違う業界知識が手に入るので、この種の話題が出てもそこまで気後れせずに話ができるんじゃないか、と淡い期待を抱けるようになりました(笑 日本の大きな美術展が「土下座外交」を繰り返し、世界の美術館の良い金づるになってしまっている、と聞くと、マスコミ主導で大混雑の「○○展」に足を運ぶ気持ちにはあまりならなくなってきます。 加えて、日本の美術館の在り方についても課題提起がされていましたが、「○○展」のような企画展をやる貸し会場=美術館というのは、確かに観光立国を志す中では少々お寒い状況だなと。常設展を充実させ、そこに行くだけの理由がある場所とするのが本筋なんでしょうね。 本著でオススメされていた竹橋の国立近代美術館、昨日行ってみたのですが、常設展は500円で日本の近代以降の画家の作品が歴史の流れに沿って展示されている上に、ピカソやマティス(1点ずつ)まで見られて、税金払ってる甲斐があるわ…レベルでした。 しかも、週末にも関わらずお客さんがあまりおらず、間近で作品見放題。当日に国立西洋美術館がリニューアルオープンした影響もあったのかもしれませんが、定期的に通いたくなったくらいでした。あらためて、好きな絵や画家さんを見つけていければと。
8投稿日: 2022.06.05
powered by ブクログ美術展のからくりを知りたい方には有用。はっきりとは 知らないまでもまあそんな仕組みかなあと思う程度の内容であった、しかしそれでも一点でも見たい作品があるなら見に行くだろうし、少しでも良心的本当に見たい人が見られるお値段で開催してほしいしお金に余裕がある大人は料金もグッズ購入も可能であろうからやはり大学生までに幅広く安いチケット代または無料で美術館博物館特別展示など見て欲しいと願う。 自分が若い頃に比べたらキュレーターさんのセンスも素敵な館も多い情報も溢れてる、でも若い頃見た刺激はなかなか忘れ難いものだ、、などと感無量に。本書内容とはあまり関係ないかもだが。
0投稿日: 2022.01.28
powered by ブクログそう言う話が一番知りたい笑 でもその分、知れば知るほど心がざわつく覚悟はしておかないといけない。 企画展をド派手に宣伝&どどーんと集客率を上げるのは日本くらいだと聞いていたけど、とりわけマスコミ主催のものは予め企画内容が決められており開催先の学芸員の出る幕はほぼ無しとは奇妙すぎる。 その学芸員も海外と比べたら立場が弱い(その割にポストが空かない)というのも聞いていたけど、学芸員どころか観客の見る目まで育たない。こんな調子で何が芸術鑑賞だと筆者の嘆きが怒りに変換されて伝わってくる。(「踊らされている」側だから尚更) 内情がお粗末すぎて「筆者の主観?」と思うこともしばしば。でも朝日新聞社で展覧会の企画まで携わってはったからほぼ仰る通りなんだろう… 思えば、この話の主人公は学芸員かもしれない。 筆者曰く彼らの最大の仕事はコレクションの形成・保存・展示。美術作品は食材で学芸員は料理人。そのプロをよそに企画展を「自社もの」と呼ぶマスコミ。 後半は新しいアートの在り方って具合で悪いことづくしでもなかったけど、やっぱり↑の構造が出来上がっていたことに対するショックは拭えない… 明らか並ぶような企画展には行かないようにしてきたけどプラスでこれからは派手な宣伝や目玉作品に惑わされず、創り上げた中の人にも関心を持たなきゃいけないのは確か。
12投稿日: 2021.10.25
powered by ブクログメディアの企画展も美術館の常設展も両方行きますが、お金の流れについては知りませんでした。あくまでも筆者は朝日の方なので他社の流れが全く同じかはわからない。美術館主催の常設展にたくさんお金を落としたいなあと思える本でした。現代美術の記述については納得かな。
0投稿日: 2021.10.19
powered by ブクログ【感想】 土日の美術館は、人混みを縫うように歩きながら作品を鑑賞する場所だ。 てっきり私は、美術館が混雑しているのは世界標準だと思っていたし、現にルーブル美術館でも、モナ・リザの前は人であふれている。 しかしながら、こうした人混みの中で作品を鑑賞するのは異常であり、特に日本の混雑ぶりは酷いらしい。 混雑の理由としては、「マスコミによる宣伝効果」が大きな要因だ。 日本では新聞社やテレビ局が展覧会を企画することが当たり前になっているが、これは世界的に見ても極めて珍しい。美術展の開催には5億円を超す経費が発生するが、それを回収するために、繰り返し自メディアに記事を書き宣伝する必要が生じる。この宣伝効果によって普段美術館に来ない人(常設展ではなく企画展目当ての人)が大勢押し寄せ、ゆっくりと作品を鑑賞できなくなってしまう。 この混雑ぶり、そして他の諸要因と合わさって、日本のアート界は世界的に特異なものとなっている。どんな具合かをまとめると、 外国の美術品を借りてくるときは日本だけが金を払っているため、美術館が自前で開催できない→代わってマスコミが金を出して展覧会を開こうとする→収益構造上、自前で個展を開くよりも確実に儲かるため、美術館側はそれに乗っかる→マスコミや広告代理店が主催すると、宣伝が増える→美術館の混雑に拍車がかかる。また、マスコミの案に乗っかってばかりいると、学芸員が育たなくなる。 といった感じだ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― 筆者は、マスコミや広告代理店、展覧会企画会社を批判している。 しかし、マスコミ主催の展覧会が、一般の人にどれだけ美術館の敷居を下げたかを語らなくては、フェアではないように感じる。 「平成になって、展覧会に行くことが高尚な趣味ではなく、普通の人々にとって映画や買物に行くような行為になったのではないか。少なくともディズニーランドに行くよりも気軽に足を運べるようになった。」 本書の中でもこう語られているとおり、昭和の時代は、美術鑑賞とはあくまでニッチ向けの趣味であり、芸術に詳しくない一般人が美術展に足を運ぶことは珍しかった。それをより気軽な趣味として位置付けることに成功したのは、ひとえにマスコミの宣伝効果のおかげだと思う。 筆者が美術館展に警句を鳴らす裏には、「人がごった返すなか作品を鑑賞するのは有意義なのか」という考えがあるのだが、かといってじっくり時間をかけたからといって、アート意識が醸成するわけでもない。そもそも、マスコミを活用せざるを得ないのは美術界における日本の立ち位置がズレている――日本の作品の貸し出しにも、外国の作品のレンタルにも「日本側」が一方的にお金を払っている――からであって、マスコミに乗っかるだけ乗っかった挙句パトロンを批判するのはいかがなものだろうか。 少なくとも、ある程度の商業主義のもと芸術は発展してきたわけであり、今も昔も収益や動員とは切っても切り離せない関係にあることを忘れてはいけない。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― 【まとめ】 1 まえがき 日本の美術館や博物館、あるいは展覧会の世界は国際的に見たらかなり歪んでいる。本書で、少しでもその歪みを知る観客が増えて、日本の美術界がより良い方向に進めばいいと考えている。 2 混雑する日本の美術展 日本の展覧会は世界的に見ても混んでいる。世界の美術館一日当たり入場者数のランキングに、日本は2つの展覧会がランクインしている。一方、年間入場者数のランキングは、17位に国立新美術館がランクインするだけだ。 これは、常設展に人が来ず、企画展にだけ人が来場していることを意味する。美術館や博物館はその所蔵作品を見るものでなく、国内外から作品を集めた企画展、つまり一過性のイベントを見る場所として認知されているのだ。 日本の美術展の特徴としては、新聞社やテレビ局が展覧会を企画していることだろう。美術展の開催には5億円を超す経費が発生するが、それを回収するために、繰り返し自新聞に記事を書き宣伝する必要が生じる。結果的に押すな押すなの観覧となってしまい、ゆっくりと作品を鑑賞できなくなる。 加えて、博報堂や電通などの大手広告代理店が「主催」をしているのも、混雑の一因だ。展覧会に出資することで主催に与れば、広告の扱いを自社だけで独占できる。結果として新聞やテレビ以外の多様なチャンネルで宣伝できるため、消費者が広告に触れる機会が増え、人気に拍車がかかる。 3 海外とのパワーバランス テレビ局は時間のかかる出品交渉を嫌う傾向にあるが、新聞社は日本の学芸員とじっくり話し合って、多くの内外の美術館から作品を借りる手間をいとわない。 テレビ局は内容をすべて先方の学芸員に任せ、海外の有名美術館に億単位の金を渡して「〇〇美術館展」を開くのだ。企画するのに難易度が高い個展と違って、美術館展なら一か所から借りればいいため、開催が楽であり、作品数も確保できる。 わざわさ海外に行かずに済むのであればいいじゃないか、と思うかもしれないが、いくつか問題がある。 まず、たいした作品は来ない。美術館展のタイミングは、相手の美術館が改修中で、多くの作品が倉庫に眠っているときになる。そのため、目玉作品は動かせない。 また、受け入れる側の学芸員の意思が反映されず、マスコミと貸す側の2者間でコーディネートが進んでいく。これでは学芸員が育たない。 海外の作品を日本に集めるときは、日本が借用料を払っているのに対し、日本の作品を海外の美術展に展示するときは、「国際交流基金」という日本の団体が間に入り、資金を援助している。この構造上、日本は両方の意味で、世界の美術館にとって永遠に「金づる」でしかないのだ。 4 予算構造 国立館がマスコミ主催の企画展を開催する場合、基本的に国立館が予算を出す必要はまったくない。 いったい収入はどう配分されているのか、というと、当日券1700円のうち、常設展の金額1000円前後を、国立館がマスコミの共催者に対して払っている。借用費や輸送費などの経費は5億円近くかかるため、黒字化には約57万人の来場が必要になる。 裏を返せば、国立西洋美術館や東京国立博物館は、自前の予算では企画展示室の「特別展」を開催できないということだ。そのため、学芸員はマスコミにおんぶにだっこの関係となり、学芸員の自主性が損なわれていく。(マスコミはそこまでして儲かるのかといえば、多分儲かっていないと思う) 日本の国立館が世界標準になるためには、企画展頼みの動員という考え方を根本的に改め、マスコミの資金や宣伝力が支えている構造を変える必要があるだろう。 各自治体は、美術館を「イベント会場」だと思ってしまっている。地域に根ざした収蔵品のコレクションを形成し、じっくりと見せてゆく活動よりも、華やかで入場者数の多い展覧会を重視し、実際に新聞社との共催事業を望んだのだ。 5 学芸員の仕事 観光立国が叫ばれる今日、日本の美術館・博物館にも、観光客が常設の目玉作品を見に行くような環境づくりが必要ではないだろうか。そして、そのためには学芸員の存在がカギを握る。 学芸員の最大の仕事は、収蔵するコレクションの形成とその保存及び展示だ。それなのに、ほとんどの美術館・博物館では、学芸員は企画展を担当し、広報、展示デザイン、作品チェック、協賛集めまで担当させられる。欧米のミュージアムではそれら専門の職員がいるにもかかわらず。まさに「雑芸員」だ。 また、館長が文科省の天下りポストとなっており、コレクションの形成や学芸員の調査研究よりも、観客の動員と収益の増加のみを考えていることも大きな問題だ。 6 これから 展覧会のおもしろさは、マスコミの事業部に頼らずに学芸員がどれだけ独自の視点で展覧会を企画しているかにかかっている。館によって、館長によって、学芸員によってその差はかなり大きい。 平成の30年で、日本の美術館はずいぶん増えた。展覧会に行く人の総数は飛躍的に増えたといえる。 しかし、それは主にマスコミが主導する「企画展」の話であって、美術館の本来の目的であるコレクションの充実と常設展示に関してはほぼ停滞したままだ。次の30年はそこを充実させていかないと、いつまでたっても世界水準には追いつけない。 美術館の基礎力の底上げこそが、最終的に「アート市場の活性化」にも「日本人作家及び近現代日本美術が国際的な評価を高めていく」ことにもつながってゆくことは間違いない。
19投稿日: 2021.07.26
powered by ブクログ好きで見に行く美術館の"特別展"や"企画展"。行列、人気の理由はそういうことだったんだなー、と知る。まぁ、ビジネスなんだからなにかしら"わざと"とか"仕組み"があるのは当然。メディアやお金にまつわる、観客に不都合な事実があっても腹は立たない。ただカラクリをちょっと知っておくとおもしろいな、というのはある。 海外と日本ではずいぶん美術館(展示)の在り方が違うというのも、興味深い。海外のはメトロポリタンしか行ったことがないけど、日本の美術館とは全く異なる雰囲気だったのが驚きだった。こういう雰囲気、日本にもあればいいのになと思ったものだが、学芸員の能力、活力を十分に活かせるような状況ではないらしい。そのことは改善されてほしいなあと思う。
2投稿日: 2021.07.10
powered by ブクログ美術館関係の仕事(←どうとでも取れるカッチョいい言い方)に2年ほど携わったことがあるけど、 いや~… 「美術館関係の仕事に2年ほど携わったことがあってね」(キリッ) とかコレ読んだらもう言えねえわ。 無知晒すことになるわ。 作家個展やコンセプト展(?)観によく上京するけど、残ってる半券見たらほぼ東京都美術館だったよ。 読んでいるといかに自分がアート好きぶってる凡人かと思い知らされるわけだけど、芸術は自分の今いるレベルでしか楽しめないわけだから、結局は今好きだと思えるものを今後も愛し続けるしかないな。 好きだと思える気持ちが美学で芸術振興だよな。
0投稿日: 2021.06.20
powered by ブクログ良い点 美術館、展覧会の仕組みを説き明かしており、実体験に基づいているのでわかりやすい。 いただけない点 評価、指摘の部分は軸がぶれていたり、定量的なのか、定性的なのかがわからないことが多く、わかりにくい。 何をもって「良し」としているのか、何をもって「成功」「うまくいっていない」などというのか根拠が不明瞭。 これでは説得力に乏しい。 オススメする人 美術関係者や展覧会の好きな方がどう感じるかわかりませんが、地方公務員の観光関係者、教育関係者、財政関係者にはオススメです。考えるネタになります。私も教育委員会事務局の職員として、美術館の管理、学芸員のあれこれに関わった経験があるのでトライしてみました。
0投稿日: 2021.05.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
連休中に優雅にクラシックを聴きながら芸術に触れてみるかと手に取ったが、本の題名の通り、美術展の不都合な事情というか、日本の常識は世界の非常識ということが分かり、かつ、自分も有名展示会は見に行っていたので、マスコミに踊らされていたのがよく分かった、という本。 美術館は確かに●●美術館展と称した、イベント的なものしか行っておらず、ビジネスパーソンとして、アートも知らないと恥ずかしいとか意識高い系を、無意識に気取っていた自分が恥ずかしい。常設展示などで質の良い近代美術にも触れないといけないかな、と反省したものの、尖った・現在に物議を醸す近代美術にあまり惹かれないことも改めて認識したので、ま、いっか、と自分で突っ込みました。 自分も見に行った、フェルメール展(2回ほど)、ツタンカーメン、カルティエ展、ブリューゲル展などが書かれていて、ちょっとだけうれしい感じでした。 気になった点 ・新聞社やテレビ局がスポンサーになって、海外美術館からドンと供用料払って「●●美術館展」が定着したのはバーンズ・コレクションから。たまたまバーンズ・コレクションは門外不出だったが、インフラ工事のために貸し出されたということ。そもそもマスコミが借用料を払うこと自体が海外では異例で、良い作品を持っている美術館同士、無料で貸し借りを行っている。 ・地方の美術館は、現在、入場者数が少なく苦戦しているとのことだが、いわゆるハコもの行政で、そもそも観客が行きたくてもアクセス悪いところに作った行政の責任は重大である。不便な場所で、最終入場が17時とか、お役所仕事的な運営では観客は増えるわけがない。 ・東京国立近代美術館、国立新美術館は通常、文科省の天下り先。
1投稿日: 2021.04.30
powered by ブクログ美術展の裏側が知れて驚きと、それでも美術展好きだなと複雑な気持ち。ただ常設展にもどんどん行ってみようって気持ちになった。ロスコルームは絶対行きたい!
0投稿日: 2021.04.18
powered by ブクログ古賀太「美術展の不都合な真実」https://shinchosha.co.jp/book/610861/ おもしろかった、良書!もうね近年なぜ美術館の大型企画展がこんなに悪質なのかほんと不満なんだけど、事情を知ると更に足が遠のくな。学芸員に期待しても無駄という状況も判り、という訳でわたしは今後もギャラリーを訪れるわけです(おわり
0投稿日: 2021.02.27
powered by ブクログ1.あんまり美術館に行かないのですが、先日面白そうな展示会に行った際、面白いと思えなかったことがきっかけで、この本を読んでみようと思いました。 2.海外の美術展と違い、日本はイベント性を重視しているため、新聞社や広告代理店の影響が強くなっています。また、館長と呼ばれる人材は政治家からの天下りが多く、専門性に欠けているため、美術への理解がないまま仕事をします。彼らの考えることは利益と保身であり、学芸員と同じ姿勢で臨むことはありません。このようなことから、日本の美術展は感動を生みにくい環境が生まれたという仕組みになっています。 ただ、それだけではなく、良い美術展にするために様々な施策を施している美術館もあります。美術展がなぜここまで低下したのか、歴史と合わせて述べられています。 3.予想通り、天下りによる人材の質の低下とスポンサー都合の展覧会によって海外と異なる形で根付いてしまったという形でした。しかし、私が問題としているのは、「そもそも日本人に芸術教育がまともにされてきたのか?」ということです。私の記憶を振り返った限り、絵を書いたり、彫刻をしたりしただけで終わった記憶があります。作品について議論したり、感性を養ったりすることが教育されてこなかったので、単なるイベントとしてみてしまうのかもしれません。そうなってしまうと、一概に美術館が悪いとも言えなくなってしまいます。視聴者としてある程度の知識を持ったうえで感性を養っていくことは当たり前なのでは?と思います。視聴者の目が厳しくなれば、供給側もより良いものを提供していかなければならないと思います。ただ、日本には、そのような環境は整っておらず、今後も見通しがないことが残念です。
3投稿日: 2021.02.21
powered by ブクログ内容は、業界の人にはよく知られていることかもしれないけれど、誰も公然と語ろうとしなかったことを語ったのはすごいと思います。著者の勇気に敬意を評したいです。決して暴露本の類ではなく、公平に書かれていて好印象でした。 本書がきかっけとなって日本の愛好家の行動がもっと多元化して、美術を消耗させることに歯止めがかかれば、と願いたいです。
3投稿日: 2021.01.13
powered by ブクログ国際交流基金や朝日新聞社で展覧会企画に携わった経験を持つ著者が、美術展の実態と問題点について述べた本。前半に書かれている、美術展の企画から実施に至るまでの過程については、知らなかったことが多く参考となった。また今まで行われてきた美術展の入場者数や、年度毎の日本の美術館設立の諸データも参考となった。問題点や課題も多数述べられているのだが、意見が主観的であり、主催者や政府、関係機関が本当にそう感じているかどうかが確認できず、説得力に乏しい。関係者の一意見ととらえておく。また、後半の様々な美術館等の取組や展覧会の評価についても個人的な意見であり、あまり興味は持てなかった。 「新聞社やテレビ局が展覧会を企画するのは、日本独自の方式である。海外で新聞社が展覧会の企画をしていると言うと、まず驚かれる」p24 「企画展の出品作品をすべて海外から借りてきたら、輸送、保険、借用料、展示費用、宣伝、会場運営など総経費は5億円を超すことが多い。3か月で開催日が80日間だと、平均単価1500円計算で1日5000人来たらようやく6億円になる。総来場者は40万人。そんな「大成功」でも、人件費を生み出すためには、これにカタログやグッズの収入を足す必要がある。収益が出れば主催者で出資比率に応じて分配となる」p29 「混雑の中で作品を見せられているのが、日本の展覧会の悲しい現状であり、有名作品の前で「立ち止まらずに歩きながら見てください」と叫ぶ係員の声を聞きながら見る展覧会のどこが「文化」だろうか」p30 「「主催」の中身は色々だが、観客に対しても展示物に対してもあらゆる責任を負うことだけは間違いない。「後援」は名前を貸すだけで何もしない。「協賛」はお金は出すが、収益は配分されない。その代わりにチラシでのロゴ掲載や社員特別内覧会などの具体的なメリットを受ける」p38 「通常、話題になるような大きな展覧会は3〜5年くらい前から準備する。その理由は、国立博物館・美術館など、話題の美術展をマスコミと共催で開く館はだいたい2年先までは企画が決まっているからだ」p39 「国立の美術館はそこに勤務する専門の研究員が中身を作ることが原則である。だからメディアが企画したものを「そのまま受け入れる」ことはない。交渉しながらの内容作りは1〜2年に及ぶ」p40 「1、 2年かけて話し合って最終的な展示リストができあがるのが、展覧会の1年前くらいだろうか」p42 「テレビ広告の長期的な減少に悩む民法は「放送外収入」として通販や映画製作、イベント、配信など、テレビ番組のスポンサー収入以外の収益を求め始めた」p48 「世界の美術界で日本は単なる「金づる」「展示会場」としてしか存在せず、本来の国際的な美術館のネットワークにはまず入れてもらえない」p54 「画壇のトップクラスの美術作家は国から年金の出る芸術院会員などになるし、その作品には国内では高値が付くが、海外では全く通用しない」p146
1投稿日: 2020.12.03
powered by ブクログ確かに海外の美術館は自分達の所有してる作品をメインに展示している一方、日本の美術館は企画展のレンタルスペース的な場になっている事が多い事は気付いていたし、きっと作品のレンタル料も法外な値段で取引されているのかなぁと薄々は感じていたけれど。 ただ日本にいるだけで世界の名だたる美術館の作品を1700円という価格で見れるという恩恵をありがたがっていた私もその責任はあるような気がした。見る側ももう少し意識を高めて足を運ばないといけないな。
9投稿日: 2020.09.06
powered by ブクログ最近の美術展の異常なほどの混雑・行列。それに集い話題の展覧会に行ったことをSNSに投稿するファッション美術好きに辟易してるへそ曲がりの私。 (というわたしは美術を専門に学んでも、仕事にしてるわけでもない。 この私こそがファッション美術好きかもしれない。) 美術館には小さい頃から親に連れて行って貰っていた。 混雑のイメージがなかったので最近の展覧会の行列も、というか日本中に溢れる飲食店、限定品を求める行列が異質に思えてとにかく嫌いだ。 なにを思って並んでいるのやら。 一昨年イギリス、大英博物館、ナショナルギャラリーその他さまざまなミュージアムを訪れた。 どこも夏休みということで混雑はしていたけれど 建物が大きいからか旅行ハイだからか嫌な気はしなかった。 と思っていたが 本作を読んで常設展だからそこまで混雑していなかったのかもしれないと思った。 『ナショナルギャラリー 英国の至宝』というナショナルギャラリーについての映画で ダヴィンチの企画展を行った際は行列など並ばないと思っていたイギリス人が並んでいて驚いた。でも日本の行列の比では無いと思う。 ナショナルギャラリーでは、作品を前にベンチで模写をしている人や、小さな制服を着た子供たちが団体で見に来ていたり、この類稀なる素晴らしいミュージアムが人々の身近にあるのだなと関心した。 本作で言及されている、企画展の展示場となってしまっている日本の美術館の現在。 本作を読んで ほ、ほんとだ!と気付きました。 その歪んだ構図の裏側にある 営利目的の人々の行動。 自分たちが良ければそれでいい、今現在甘い汁を吸えていれば後世のことなんか知るか、という人が日本の権力を持つ人々にどれだけ多いことか…。 政治だけでなく美術界にまでその悪習が、魔の手が来ているのかと残念な気持ちになりました。 でもこうして指摘してくださる人、この本を読んで気づく人、今現在日本中の美術館博物館で懸命に頑張っている人々がいるのだから 諦めず 鑑賞者側の自分も意識を変えていかないといけないなと思わされました。 最近の日本の美術展に疑問を抱いている人には是非読んでもらいたい本です。
0投稿日: 2020.08.23
powered by ブクログ美術展の現役ではないからこそ書けた所もあるかも知れないが、元内野が書いた身内話、の域を脱していない様に感じた。 東京に住んでいて「横浜が遠い」と言っている様では、守備範囲が狭い。 お手軽な新書を読みたい時にはふさわしいか。 紀伊国屋書店天王寺ミオ店にて購入。
0投稿日: 2020.08.16
powered by ブクログ美術展を巡る様々な裏話が明かされる好著。薄々「そうじゃないかなあ」と思っていたような内容ではあるが、元関係者の著者が書くと説得力がある。とは言え、千葉の片田舎に住み、東京に行くことすら面倒なぼくにとっては、マスコミ主催の大規模展示“○○美術館展”はありがたいのも事実。まさに痛し痒しである。コロナ禍で日時指定制が導入されたが、2018年のフェルメール展ですでに導入されていたのは知らなかった。現在の感染予防の観点とは異なるため大人数を受け入れていたようだが、今後は人数を絞った日時指定が主流になるのだろうか? そうなればいいなと思う。
0投稿日: 2020.07.27
powered by ブクログショッキングなタイトルだが、始めて明かされたことは少ないのではないか。『美術館の舞台裏』『美術館へ行こう』『超・美術館革命』『フェルメール最後の真実』などに類する本だ。美術展評に関しては、展示好きのブログレベルだが、参考になる。
1投稿日: 2020.07.07
powered by ブクログへぇー知らんかったー、と何回も言わされます。普段美術展みててうっすら疑問に感じてたことをはっきりさせてくれた。いち美術ファンとして賛同できる部分が多く、データも多いので面白い。様々、現代の日本の美術界隈の問題提起しておきながら、解決策を一切示さず、やばいねー、で終わってく感じ、、、、アートってるねv
4投稿日: 2020.06.25
powered by ブクログなかなか知る事の出来ない美術展の裏側がわかりやすく書かれている。日本独自に発展をしてきた美術展を欧米などの展示の成り立ちと比較をしたり、日本の課題などをあぶり出している。
0投稿日: 2020.06.24
powered by ブクログこれまで気にしてこなかった主催や協賛などの関係性やビジネスモデルなど美術展の構造を知ることができたのは貴重で、また、 「なぜこの美術館で別の美術館の物を大々的にPRしていることに疑問を持たなかったのか?」という基本的なことを考えられていない自分に向き合えた。 読了後、もはや日本の美術館はライブ会場と同じハコ物に成り下がってしまった印象を受けたが、 現代美術や体験を求める時代においては、これまでのやり方や海外のやり方を見るのではなく、 日本独自のやり方で美術を捉え直す良いタイミングでもあると感じた。 美術館の企画展は、1日1万人入れば凄く、 3か月ほどの期間で30万人動員すればヒット。
0投稿日: 2020.06.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
まあ日頃から薄々感じていたことが多くて、全体的にふーんやっぱりねえ、って感じだが、「有楽町の国際フォーラムと木場の現代美術館を入れ替えたら」案は、大いに賛成だ。ナイスだぜ、そいつは!
0投稿日: 2020.05.18
