
総合評価
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powered by ブクログ良い タイトルの「蛹」には作者の櫻田智也さんが自身を重ねたような色合い 本作の次作『失われた貌』で国内ミステリーランキング三冠と見事に羽化しましたね ちょっと一回整理しよう コスパだタイパだと現代人はすぐに次から次へと気移りしてしまうが、時には立ち止まりじっくりと考えてみることも必要だと思う そして実際に考えてほしい わい、今ものすごいうまいこと言わなかった?言ったよね?蛹に掛けてさ、ミステリーランキング三冠を羽化に例えて 実際痺れたよね はい、主人公の魞沢泉君がどんどん人間になっていく なんていうすかご〜く描写力が上がっていってるのが分かる なんかカクカク動いてたのが、滑らかになる感じ 現場がめちゃくちゃ頑張って実現した動きを設計部門とか品質部門が俺たちもうるさく言った甲斐があったな〜とか言うやつね やかましわ!好き放題言いやがって!100こっちの手柄だわ!っていうね いやなんの話やねん!( ゚д゚ )クワッ!!
61投稿日: 2026.01.13
powered by ブクログ今回も各話名作ぞろいです。 後半で登場人物が繋がっていたと分かるのも(その繋がり方も)おこがましい言い方ですが見事でした。
10投稿日: 2026.01.09
powered by ブクログこの3作目で終わりなのかな?たぶん終わりっぽい感じがする。 1作目の短編集より面白いのが1つもなかった。 2もそうやったけど、短編集として2と3は弱かった。今年著者の失われた貌はランキング1位でかなり盛り上がってるけど、たぶん自分には合わない気がする。 この主人公はかなりの変わり者ですから、もちろん恋人もいないし、定住してるのかも定かでない。 そりゃ毎回事件や揉め事に首突っ込んでたらこうなるわって感じの人物造形でそこは納得出来ます。けどもこの人をずっと見ていたいって魅力はない、かなぁ。やっぱり1の時からじんわり気持ち悪い感じが消えてなくて、3ではもうお腹いっぱいです。
46投稿日: 2025.12.22
powered by ブクログ『蟬かえる』に続く、魞沢泉シリーズ最新作。 昆虫好きの心優しい青年魞沢泉(えりさわせん)は、行く先々で事件に遭遇してしまいます。 そこで彼は謎を解き明かし、事件関係者の心の痛みに寄り添うのでした。 ハンターたちが狩りをしていた山で起きた銃撃事件の謎「白が揺れた」。 一年前に季節外れのポインセチアを欲しがった少女の真意を読み解く「赤の追憶」。 遺品から、一枚だけ消えた楽譜の行方を推理する「青い音」などの全六編。 すべてがつながっているよう感じもある、珠玉の短編集です。
0投稿日: 2025.12.08
powered by ブクログこのシリーズ、すごく好きです。 本作は泣ける話が多かったと思います。 特に短編の「赤の追憶」が、ベタな展開ですが一番良かったです。 今の時点で病に冒されていなくとも、限りある人生、一日一日を大切に生きていきたいと思わせてくれるお話でした。
2投稿日: 2025.11.23
powered by ブクログ櫻田智也さんの「魞沢泉」シリーズ3作目(2024年作)は、あとがきにも書かれているように、前作で『連作のひとつの区切り』となったことから『心機一転』した新たな部分と、更に切れ味の増したミステリの素晴らしさが合わさった正統進化版と感じたものの、櫻田さん自身は色々と悩まれた執筆だったようで、それは『物語の自由度を高めようとするほど、不思議と作者は不自由になっていくようだ』や、いつになくネガティブで弱気な、本書の魞沢自身とも呼応しているように感じられた。 そうした中で今作は、それぞれに違う色をタイトルに付けたコンセプト連作集という試みに加え、更に本のタイトルが収録作のそれと被らないオリジナルの『六色の蛹』であることに、櫻田さんの最も伝えたいメッセージが込められていて、それは登場人物たちが『昆虫の形態の中でもっとも脆く傷つきやすい蛹の姿と重なった』ことから、人それぞれが内に抱える、様々な色を放ちながら今にも崩れ落ちてしまいそうな、そんな繊細で大切な部分に優しくも勇気を出して寄り添おうとする魞沢の姿を描いていながら、六つの短編全てで彼自身が他の登場人物と同じ立ち位置である点にも、櫻田さんの思いが込められているように思われたのだ。 最初の「白が揺れた」では、人の死というのはこんなにも簡単に訪れるのだということを悲しいほどに突き付けられて、それは『俺も銃を手にしたら、命を奪って平気でいられる人間の感覚が、理解できるんだろうかと思ってな』と、負の連鎖へ陥る危険性もあったものの、その裏には被害者側が何故こんな思いをしなければならないのかという観点から、人の命よりも大切なものなどあるのだろうかという問い掛けと共に、自分が体験した悲しみを他の誰かに与えようとしているだけだったことへの気付きも促せてはくれたものの、私は『愚かだと分かっていても、やらずにはいられなかった』という言葉にも、情を持った同じ人間として共感せずにはいられないものがあった。 「赤の追憶」は一度アンソロジーで読んでいたので、謎の真相が明かされることによって世界が反転する物語の素晴らしさは知っていたものの、他にも魞沢の被る帽子から「白が揺れた」の後の物語と知ったことや、一見何でもないようなものに実は誰かを大切に思う、その人の並々ならぬ思いが込められていたことなど、時が経過することで実感させられた感慨深さが印象的だった反面、ミステリの構図として、『聞こえぬ声を聴きとろうと一心に耳を傾けている』と、『わたしにはいまもうるさいほどに話しかけてくれる娘がいる』とが、見事な対比をなしている上手さも感じられたが、そこには技法だけではなく切なさも募ることに、櫻田さんの物語ならではの素晴らしさがあるのだと思う。 次の「黒いレプリカ」では、そのタイトルにもある『レプリカ』に何重もの意味合いを込めていることに切なさがあって、それはミステリの真相に絡めた非情さの他にも、「甘内」が魞沢に求めていたのは何だったのかという葛藤から、『人は、人を信じるという思いをどれだけ貫くことができるのか?』ということについて考えさせられるものがあり、それは『甘内さんを慰めているふりをして、ぼくはきっと、自分を慰めているんだ』の真意を知ることで、より胸に迫るものがあったのだ。 ここからは単行本書き下ろしとなり、その最初の「青い音」も「赤の追憶」のような対比が沁みてくる物語で、それはサウンド(音)ではなくトーン(音色)であったり、泣いているのではなく雨が降っているのだという気持ちであったりと、そうした繊細な違いを、ここではかつて母とだけ一緒に暮らしたことのある子どもの視点から見た、両親それぞれの悲運な人生とはまた対照的な彼らの愛の深さに擬えているのが切なく、ここでの魞沢は、まさに彼の人生と家族の名誉を救い出した大活躍ぶりでありながら、これを彼の回想だけで解き明かすミステリとしての面白さは、最後のあっと驚くお洒落なトリックも合わさることで、爽やかな読後感も運んでくれたのだ。 次の「黄色い山」は、これまたシリーズ初の試みである先に発表された短編の後日談で、ここでは「白が揺れた」の未来の物語と共に、そこで起きた過去の真相も明かされることで、先の短編を補填する役割も兼ねているのが斬新に思われたのだが、そこには被害者家族と共に、加害者家族や彼らを思う人たちの心の内も繊細に描いていて、改めて人には情というものがあるからこそ、いろんな方向に走ってしまうのだろうと感じられたことには何とも言えないものがあった一方で、これら二つの短編が『里にあらわれる鹿や熊は年々増加傾向』と、ハンターを題材としていることには、前作同様に櫻田さんに備わった先見の明を感じたのであった。 最後の「緑の再会」も後日談にあたるのだが、ここでは時の流れによって、魞沢が確実に年齢を重ねていることを痛感しつつも、これに関しては探偵が魞沢ではなく、作者櫻田智也が魞沢に優しく寄り添った物語なのであり、魞沢が救われた物語であったこと、それが全てなのだと思うが、ちゃんとミステリとして意外性のある面白さも入っているのが、また心憎い。 これで全ての物語について書き終えたが、まだ書き足りないことがあって、それは冒頭にも書いたように、「どうした魞沢くん!」ってことで、君はあれだけ一生懸命に様々な人の心を救ってきたというのに、何故そんなに悩み苦しんでいるのだと言いたいけれども、きっとそれこそが彼の良いところなのだろうし、彼ほどにその表向きの愛嬌の良さの裏に繊細さを抱えた人間も中々いないからこそ、他の人の悲しみや繊細な部分にも優しく寄り添えるのだろう。 そんな君も実は他の登場人物から、『よほど人付き合いの悩みが多いようだ』と心配されていたり、彼自身、『深夜に布団のなかで思い出して大声をだしたくなるくらいには』後悔することがあると言っているのを知り、そんな純粋さが諸刃の剣とならないように、ここで君がどれだけ周りの人の救いになっているのかということを列挙しよう。 『不思議だった。なぜだか魞沢のほうが、追いつめられたような顔をしているから』 『張り詰めていた気持ちの、逃げ場になってくれるような』 『魞沢は大袈裟だと思うくらい驚き、おまけにちょっと悲しそうな表情をみせたので、甘内はなんだか嬉しかった』 『五月に彼の喪服姿をみたときも、同じことを感じた。黒いスーツがぜんぜん似合わなそうな人なのに、実際に着ている姿をみると、やけにしっくりくるのだ』 あとがきで、今回『蛹』をタイトルに使ったのは、「文庫版『蟬かえる』」での法月綸太郎さんの解説がきっかけとなったことを知ったとき、それが櫻田さん自身も魞沢同様に周りの人の思いを大切にしている証と思われたのだ。
57投稿日: 2025.11.20
powered by ブクログ1作目はそんなに惹かれるところはなかったけど、2作目3作目と進むにつれて切なさが増して印象的になっていく まだまだ続きそうだわね
0投稿日: 2025.11.07
powered by ブクログシリーズ第3弾。 相変わらず虫を追いかけている魜沢くんだけど、今回は、遺跡の調査に関わったり、ピアノのコンサートに赴いたり、少し文化的な活動もしている。 飄々としながら何気なく謎を解き明かす流れは変わらず、いつもちょっと間抜けな姿を見せながらも、なぜかスマートな謎解きになっていて、なんだかわからないけど素敵。 (私は虫は苦手なので、仲良くはなれないだろうけど…) 今後の活躍にも期待!
13投稿日: 2025.10.25
powered by ブクログタイトルに色が含まれる6つの短編(蛹)から構成され、謎解きされるとともに美しい蝶(今回はクワガタが相応しいか?)へと変わる。
1投稿日: 2025.10.18
powered by ブクログ虫に誘われふらっと訪れる先で、人見知りでいてなお必ず人と関わり、人の内を意に反してでも暴いてしまう。 ミステリーを読んでいるのにとても心が温かくなる、そんな物語ばかりです。 櫻田さんの作品はどれも大好きで、もったいなくて「終わらないで」と思いながら、少しずつ読みました。 長編のドラマを見終わったときのような、ずっしりくるものが残ります。ほんとうにお薦めしたいです。 鮮やかな想像力と心に余裕のある方、ぜひ読んで下さい。
0投稿日: 2025.09.29
powered by ブクログこの作家さんが初読みでしたので、最初主人公は串呂かと思いました。 その後「昆虫好きの優しい青年」魞沢泉だとわかる。 ただ、主人公にしては外見とかの描写がないな、と。 表紙の青年を思い浮かべましたが。 そしてこの、観察眼と推理力がすごい飄々とした青年像はすでに「ミステリと言う勿れ」の久能整がいる。今後の差別化に期待したい。
3投稿日: 2025.09.23
powered by ブクログ主人公は昆虫好き この設定が如何なく発揮されているかは微妙でしたが、彼の洞察力・推理力が対した人の心の氷を溶かしていくミステリー作品 主人公の性格が優しさはあるが、ベタベタとした人との関わり合いをしないところが好感を持てました その優しさ故に関わる人の闇に光を当て、打ち解けていく物語の展開は良かったです 短編なので読みやすく、シリーズものらしいので他の作品も読んでみたいと思いました
9投稿日: 2025.08.01
powered by ブクログさすらいの昆虫オタク魞沢泉。天然ぶりは装ってるのかどうなのかは不明ながら、いいモン持ってる。思いのほか世に通じていて、所作につられて侮れない。出会う人びとの悲哀を慮りつつも、最後には鋭くもあけすけに推理を披露し、そのお見事な探偵ぶりに胸がすく。銃撃事件はちょっと込み入ってて白から黄へのつながりに惑ったけど、赤と緑は伏線回収に安堵と喜びがこみ上げる。「え~、翠里さん救われなかったの」と悲しませといて…。娘の真名め、言葉足らずもなにもそれ絶対に作戦でしょ(もちろん作者の意図ですから)。タイトルは再会だもんね。
1投稿日: 2025.08.01
powered by ブクログ虫好きの魞沢泉。虫に絡んで出かけた先でトラブルに巻き込まれる。 虫の知識も興味深いし、何より優しさに溢れている。巻き込まれる事件は、猟銃で殺されたりと日常の謎では無いが裏にあるストーリーを感じ取り推理していくスタイルは分かりやすく、文章も読みやすい。 今回は推理に虫が重要な役割を示した話は少ないが、それでも様々な虫知識があり、それも面白い。 あとがきで書かれているように色縛りも良かった。
1投稿日: 2025.07.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
文体がえらく読みやすく、ミステリの肝であるトリックにつながる違和感もわかりやすく示されており、とにかく自然に楽しめた。あとがきにもあったとおり、タイトルの色縛りはいまいちハマっていなかったとは思うが、欠点はそれぐらいしか見当たらない。シリーズ三作目だったようなので前二作も急いで読みたい。お気に入りの登場人物は「白」「緑」の串呂さん。
1投稿日: 2025.07.12
powered by ブクログ虫好きの魞沢泉がどの話にも登場する連作短編。 誤発射事件からちょっとした謎まで、彼は行く先々で何かしらのアクシデントに遭遇する。 色と虫縛りの本連作短編は、話も多岐に渡り読みやすさも様々。「赤の追憶」が読みやすかったな。 独立していながらもそれぞれに繋がりがあるのが面白い。 でも、なんといっても作者あとがきが一番良かった。
16投稿日: 2025.07.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
魞沢泉シリーズ第三弾。 魞沢はへぼ(クロスズメバチ)獲りを学びに行った山中で、銃撃事件に遭遇する。状況からは獲物と間違えて撃たれたと思われるが…『白が揺れた』 花屋の店主は一年前に来店した少女と季節外れのポインセチアを入荷する約束をして…『赤の追憶』 工事現場で土器の破片と白骨が発見された。近くの埋蔵文化財センターでは過去に捏造事件があり…『黒いレプリカ』 魞沢は偶然知り合った男性に、音楽家である父が遺した楽譜の話を聞く。発見した隣人によると一枚失われたと言うが…『青い音』 へぼ獲りの名人が亡くなった。名人が棺に入れて欲しいと言い遺した一体の木製の仏像に秘められた秘密とは…『黄色い山』 魞沢は再び花屋を訪れる…『緑の再会』 今回も魞沢泉は神出鬼没。スズメバチを獲りに山に入ったり、埋蔵文化財センターで働いたり。前回よりも人間味が感じられた。過去作では直接繋がりのある話ってほぼなかった気がするけれど、今回は直接繋がりのある話が収録されている。花屋の『赤の追憶』と『緑の再会』がよかった。店主の人柄なのか、他の話と違ってどことなくあたたかい印象。
0投稿日: 2025.06.24
powered by ブクログ昆虫好きのちょっと抜けたような優しい青年が、ちょっとした気づきから出来事の真相に迫っていく短編昆虫ミステリーww 前半のお話が後半別の視点からのお話になるとこなかなか面白くて、猟師が誤って撃ってしまったけど実は?みたいな、季節外れのポインセチアを欲しがった少女のその一年後みたいな 読みやすく映像化なりそう! あんぱんの原豪役の俳優さんイメージです
29投稿日: 2025.05.25
powered by ブクログフッ軽で昆虫が大好きな青年エリ沢が行く先々事件と謎が生まれる。 自分が気づかなければ出会った人々を不幸にしたり傷つけたりしなかったのではないかと時悩み涙を流しつつも、人の痛みに寄り添いながら鋭い洞察力で真実を解き明かす。 赤い追憶で虫の名前に似た花に釣られた主人公が面白かったし、実際に花屋で名前だけ見たら自分も驚いて店に入っちゃうよなーと思った。
11投稿日: 2025.05.24
powered by ブクログ昆虫好き青年、魞沢泉の短編集。虫つながりで狩場、花屋、文化財センターなどに顔を出して事件と遭遇する。最初の2編の後日談が最後にあったのは嬉しい驚き。特に「赤の追憶」からの「緑の再会」は泣けた。また、狩猟場での銃撃事件を描いた「白が揺れた」は狩猟の実情がわかって面白かった。
2投稿日: 2025.04.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「白が揺れた」 猟友会の誤射事件。ガサドン、ガサガサ音がした方に無思慮に発砲すること 「赤の追憶」 花屋さんを巡る物語。ポインセチアを買う少女。 ちょっとしんみりさせる良い話 「黒いレプリカ」 縄文式土器の埋蔵&発掘問題。被害者側の行動には? 「青い音」 音楽ネタ。よく分からない。 虫瘤から作るブルーブラックインク。 青から黒に色が変化する。 元々色は分からないくらい薄く、それでは不便なので青色を着けた。 化学反応で黒くなり長持ちする 「黄色い山」 「緑の再会」
1投稿日: 2025.04.26
powered by ブクログやっぱりこのシリーズ好きだなぁ。犯人だと推測していてもその人の心情を想像してあげられる、心優しい魞沢くんだからこそ、出会う人たちも普段は人に話さないようなことまで喋ってしまうんだろうな。優しいがゆえに、自分のしたことで人に不幸を呼び寄せてしまってるのでは、と涙がでるほど悩んでしまう彼をこの先もずっと見ていきたいと思う。今作の中では特に「白が揺れた」が好きで、その後の編で登場人物たちのそれからが見られたのも嬉しかった。
10投稿日: 2025.04.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
シリーズ第3弾 6篇の短編集 昆虫好きの魞沢 泉。人間関係が下手でやや空気が読めないところがあるが、物事に対する深い考察力と記憶力、そして相手への優しさで、心に影を落とす人を癒し、真実の形を伝える。 特に「赤の追憶」がウルッときました。自分自身が母にとっての娘であり、娘たちにとっての母だからでしょうか。 そして後日譚の「緑の再会」にホッとし、魞沢さんの優しさを感じました。 「白が揺れた」と、その後日譚「黄色い山」を読み、タイトルである「六色の蛹」は、全て羽化できたのか、少し切なくなりました。 「蛹の中で幼虫はとけてもう一度自分をつくり直す。昆虫がしばしば転生の象徴として扱われるのもそれ故です。 人間にも蛹の時期があって、それ以前の後悔をすべて忘れて生まれ変われるなら、この世はもう少し生きやすいかもしれません」 「誰もが秘密を抱え、いつかそれを打ち明けたいと思いながら、自らの弱さに負けて叶えられずにいる。潰れた先端が歪な短い羽のように広がった弾頭が、何度も羽化を試みては失敗し、ついに生まれ変わることのできなかった小さな蛹に見えた」
66投稿日: 2025.04.06
powered by ブクログエリ沢泉シリーズ、3巻。 まず最初に、読み方の注意! とにかく目次どおりの並び順で読むこと! 時系列順に(何年も)経っており、1話目2話目の盛大なネタばらしがその後繰り広げられるので……! わたしは短編集は好きそうなものから読んでしまうので、ものすごいショックを受ける羽目になりました。自業自得( ω-、) 昆虫探偵から、自然文化民俗全般にジャンルが広くなってきて、エリサワ探偵の心優しさもいっそう増している。 今巻は、著者が後書きでいわれているように、「事件が解決したあとの割り算の余り」が深く沁み渡ってくる佳品が多く、まさに今後のエリサワ探偵ものの在り方を堂々と示してくれている。 「自分が関わると、相手を不幸な目に遭わせてばかりいる気がする」 という苦悩は、現代の探偵にはお馴染みのテーマだが、がっつり泣いちゃうエリサワくんはかなりかわいい(笑) そして、全6話にて、きちんとアンサーが付いていたことにもホッとした。 優しく、しかしそれだけではない弱さ卑怯さ苦しさも含めて、大人のための読後感の心地よい連作短編集。 白が揺れた 赤の追憶 黒いレプリカ 青い音 黄色い山 緑の再会
2投稿日: 2025.04.01
powered by ブクログこの方の作品が好みだったので続けて3作品目も読ませていただきました。 相変わらずのテイストで面白かったです。自分が一番印象に残ったのが、「赤の追憶」でした。子どもが出てくる話は、特別に感情的になってしまいます。
1投稿日: 2025.03.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
昆虫好きの優しい青年は、人の心の痛みに寄り添う名探偵日本推理作家協会賞&本格ミステリ大賞を受賞した『蟬かえる』に続く、〈魞沢泉〉シリーズ最新作! 昆虫好きの心優しい青年・エリ沢泉(えりさわせん。「エリ」は「魚」偏に「入」)。行く先々で事件に遭遇する彼は、謎を解き明かすとともに、事件関係者の心の痛みに寄り添うのだった……。ハンターたちが狩りをしていた山で起きた、銃撃事件の謎を探る「白が揺れた」。花屋の店主との会話から、一年前に季節外れのポインセチアを欲しがった少女の真意を読み解く「赤の追憶」。ピアニストの遺品から、一枚だけ消えた楽譜の行方を推理する「青い音」など全六編。日本推理作家協会賞&本格ミステリ大賞を受賞した『蝉(せみ)かえる』に続く、〈エリ沢泉〉シリーズ最新作! 著者あとがき=櫻田智也 ■目次 「白が揺れた」 「赤の追憶」 「黒いレプリカ」 「青い音」 「黄色い山」 「緑の再会」
1投稿日: 2025.03.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
短編集なのかと思って読み始めた。 けれど、とても心優しい青年とその出会う人々が年を経てもなお場を賑わせて(場を和ませ沈ませて)くれる、連作短編集でした。 読者をも翻弄させながら、えりさわ青年は 辿々しくも明るく聡明に謎を解決してくれてミステリーながらいつのまにか優しい気持ちを抱かせしんみり、泣きたくなるような気持ちにさせてくれました。
7投稿日: 2025.02.25
powered by ブクログシリーズを重ねるごとに魞沢泉の人物像が見えてきて楽しい。 謎解きをするうえでここまで心優しい謎解きをする主人公を見たのは初めて。 謎が謎のままな事が穏便に平和になってるのに謎を解き明かすことによって傷つく人が出てくる。でも謎をそのままにしてしまうと被害者、被害者家族は苦しいまま。でも加害者も苦しいままなのかも。 どっちの方がいいのかな。
2投稿日: 2025.02.22
powered by ブクログ魞沢泉 わたしが知っている探偵?の中で一番優しく癒される人だ。探偵そんな知らないけど。 第三弾です♪待ってました〜! 短編6つですね 癒されたわ…ちょっと泣けたし… 殺人とかアリバイがとかそんな話じゃありません。 ちょっとした事件?出来事? それに何故か関わってしまう。 そして関わった人の痛みに寄り添って気づくと解決してるんですね〜。 これドラマとかならないかなぁ… まだこのシリーズしか作品書いてない新しい作家さんなので楽しみです\(//∇//)
39投稿日: 2025.02.21
powered by ブクログ魞沢泉シリーズ第三弾。連作短編集です。なんか虫にまつわるあれこれからのミステリだったように記憶してましたが、今回は虫要素は少なめ。虫に関する雑学的なものはわりに興味深かったのでちょっとだけ残念。そのあたりのことはあとがきに少し書かれてました。 短編集なんですが、話にバリエーションがあって飽きさせない作りだな、と。実はこのありふれた日常の裏でも・・・という真相がちょっとイヤミスっぽくなるのばっかかと思いきやハートフルなものもあったりと。。 そして最後にエピローグ的な一編が入ってなんかきれいにまとまった感じしましたね。そしてこの手のミステリではお約束ですが「探偵役はやたら(殺人)事件に遭遇する」ということに対して「自分がかかわるといつも人が不幸になってしまう」と気にしているのがある意味斬新にすら思えました。そして久々に会った関係者が生きていた時に思わず涙してしまう場面はなんだかちょっとこっちもグッときました。
0投稿日: 2025.02.21
powered by ブクログずっと待っていた図書館本。やっと順番が来たので早々に読みました。 前回、前々回に比べるとそこまで虫に関わっている感じの印象は受けず(虫がタイトルに入っていない影響もあるか?)、日々の中の何気ない事件を静かに解いていくのは変わらず。「白が揺れた」と「赤の追憶」「緑の再会」が好きでしたね。特に赤からの緑は後日談で、最後はホッコリしました。あと主人公の悩みも解決?できたみたいで。いつも飄々としてるからそんな風に思ってたのか?ってなったし、虫以外にもちゃんと興味あるし、本当に優しい人だなと思いましたね。
4投稿日: 2025.02.11
powered by ブクログAmazonの紹介より 昆虫好きの優しい青年は、人の心の痛みに寄り添う名探偵 日本推理作家協会賞&本格ミステリ大賞を受賞した 『蟬かえる』に続く、〈魞沢泉〉シリーズ最新作! 昆虫好きの心優しい青年・エリ沢泉(えりさわせん。「エリ」は「魚」偏に「入」)。行く先々で事件に遭遇する彼は、謎を解き明かすとともに、事件関係者の心の痛みに寄り添うのだった……。ハンターたちが狩りをしていた山で起きた、銃撃事件の謎を探る「白が揺れた」。花屋の店主との会話から、一年前に季節外れのポインセチアを欲しがった少女の真意を読み解く「赤の追憶」。ピアニストの遺品から、一枚だけ消えた楽譜の行方を推理する「青い音」など全六編。日本推理作家協会賞&本格ミステリ大賞を受賞した『蝉(せみ)かえる』に続く、〈エリ沢泉〉シリーズ最新作! ■目次 「白が揺れた」 「赤の追憶」 「黒いレプリカ」 「青い音」 「黄色い山」 「緑の再会」 個人的にシリーズ初参加だったのですが、魞沢のキャラが印象深く、心の傷を抱える人に言葉や雰囲気で優しく接している描写に、こちらまで温かい気持ちにさせられました。といっても、相手が犯罪者のパターンもあるのですが、優しいミステリーだなと思いました。 内容としては、6つに区切られていますが、一部は前半にあった短編の続編として、後半に短編として描かれているので、ちょっとしたサプライズ感があって楽しめました。 メインの登場人物は魞沢ですが、章ごとの主人公は異なっていて、魞沢を俯瞰的に描写されています。 昆虫好きと紹介されていますが、そういった描写は少ない印象でした。事件に貢献しているわけでもないので、あくまでもこの作品では、オプションとしての立ち位置かなと思いました。 全体的に苦く切ないミステリーの数々でしたが、魞沢の推理には柔らかさがあって、じんわりと温かな気持ちになりました。ズカズカと相手に迫るのではなく、言葉や行動で静かに迫る印象が柔らかさに繋がっていて、憎めない印象だなと思いました。それでいて、推理は鋭いので、そのギャップが良いなと思いました。 余韻を楽しむかのような雰囲気があって楽しめました。 個人的に好きだったのは「赤の追憶」でした。そして、その続編が「緑の再会」なのですが、セットで楽しむと、クスっと笑みがあったり、感動したりとアクセントが際立っていて、楽しめました。 他にも「白が揺れた」とその続編「黄色い山」も魅力的で、犯罪者に寄り添う描写が、何とも言えない気持ちになりました。
5投稿日: 2025.01.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2025/01/05 読了。 図書館から。 魞沢泉すきだわー。 連作っぽくなっていてまとまり感がよかった。 誰もすごい悪者ってわけでもなく、 仕方ないからいい訳でないけれど。 犯人とも友情があって、それが切ないし寂しい。 最初と最後の翠里さんの話がいいですね。
1投稿日: 2025.01.08
powered by ブクログ虫好き探偵が、真実を解き明かす6編。繋がりがある話もあり、面白いし感動もした。初めて知った作家。ほかの虫探偵シリーズも読んでみたくなりました。
7投稿日: 2025.01.08
powered by ブクログ魞沢 泉シリーズ最新作 専門的なトピックが多く、些か読みづらさも感じた 色をトピックのテーマは良いなと思った 2.4.5が個人的に好き
0投稿日: 2025.01.06
powered by ブクログ昆虫を愛する、少し頼りなくて対人関係に苦手意識を持っていて、推理能力が高い主人公。どこかとぼけた雰囲気が亜愛一郎味あるなと思ってたら作者さんが泡坂リスペクトを公言されてた。苦手といいつつも事件の関係者に自覚的に関わっていく主人公の姿が好ましい。どの事件も些細な伏線から思いも寄らない真相が明らかになる、とても端正なミステリ短編集。1作目の「白が揺れた」から面白く読み進め、最終作「緑の再会」でほっこりと本を閉じました。前作も読んでみよう。
0投稿日: 2025.01.02
powered by ブクログエリサワと言う昆虫好きな青年が行く先々で出くわす事件や謎を解き明かすと共に、関わる人の心に寄り添う様を描いてる。それぞれ色をモチーフにした6篇からなる短編集。優しい気持ちになれる読後感が良い。
7投稿日: 2024.12.25
powered by ブクログ昆虫好きの優しい魞沢くん第3弾。このシリーズの魅力は何といっても魞沢くんの純粋さや素直さ。今作では虫以外での魞沢くんの博識ぶりが分かる。事件そのものも切なさや優しさが見え隠れし、真実が見えたとき救われる心があったりして本当に好きな作品。
0投稿日: 2024.12.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
白から黄色、そして緑への流れがとても好きだった。 なんだかんだ、どこに行ってもするりと愛される魞沢というキャラクターが活躍するところをもっと見たい。続編がたくさん出るといいな。
1投稿日: 2024.11.22
powered by ブクログ昆虫好きの優しい青年は、 人の心の痛みに寄り添う名探偵 日本推理作家協会賞&本格ミステリ大賞を受賞した 『蟬かえる』に続く、〈魞沢泉〉シリーズ最新作! 昆虫好きの心優しい青年・エリ沢泉(えりさわせん。「エリ」は「魚」偏に「入」)。行く先々で事件に遭遇する彼は、謎を解き明かすとともに、事件関係者の心の痛みに寄り添うのだった……。ハンターたちが狩りをしていた山で起きた、銃撃事件の謎を探る「白が揺れた」。花屋の店主との会話から、一年前に季節外れのポインセチアを欲しがった少女の真意を読み解く「赤の追憶」。ピアニストの遺品から、一枚だけ消えた楽譜の行方を推理する「青い音」など全六編。日本推理作家協会賞&本格ミステリ大賞を受賞した『蝉(せみ)かえる』に続く、〈エリ沢泉〉シリーズ最新作! 何気にずっと追いかけてるシリーズ物のエリサワくん。相変わらずとぼけた感じですごくいい。エリサワくんが行くところで出会う人たちと事件を解決してしまう感じがすごく好きだし、エリサワくんが出会った人たちに好かれるのが分かる気がする。 今回の作品で好きだったのは、「赤の追憶」かなぁ。お花屋さんがお店にきたエリサワくんと出会う話。そして、季節はずれのポインセチアの謎。すごくよかったし、きっと彼女は間に合ったんだと信じたい。そして、その話を聞いただけで真相を突き止めるエリサワくんが本当にすごいし、「緑の再会」であったエリサワくんの勘違いも可愛らしくていい。 「白が揺れた」は、少し悲しい話だったけど、きっと彼はエリサワくんがいたことで救われたんだと信じたいし、「緑の再会」での話の中で出てきたオレンジの帽子の話は本当にグッときた。出会いはなんだか大変なかんじだったけど、彼はエリサワくんと出会って本当に良かったんじゃないかと思った。 エリサワくんは、最後に「自分と出会った人たちが不幸にしている気がしている」という話していた。だけど、ずっとシリーズを追いかけている私からしたら、絶対にそんなことはなく、たとえ犯人だったとしても、エリサワくんと出会ったことで救われている人のほうが多いと思うんだ。そして、「緑の再会」での花屋の店員さんの反応や「蝉にかえる」のときのペンションのオーナーさん、さまざまな人がエリサワくんのことを好きになって、再会を喜んでいるんだから。彼は憎めないそんな男の人なんだと思う。 まだまだ続いていてほしいエリサワくんシリーズ。次は、どんな人とどんな事件と出会うのか楽しみだなぁ。 2024.11.16 読了
0投稿日: 2024.11.16
powered by ブクログ昆虫好きの青年が探偵役になって、出会った人の謎を解き明かしていくパターン。どうやら前作があったらしいが、読んでいなくてもそう支障はなかった。 おもしろいのだけど、ところどころ分かりにくい部分もあって、物語りに没入しにくかった。 説明が分かりにくいのか、話が専門的すぎるのか… 前作も読んでみるかどうか悩ましいところだ。
13投稿日: 2024.11.14
powered by ブクログ昆虫愛好家の探偵が織りなすミステリー短編集。各話の結びつきが強い連作で、タイトルの「六色の蛹」が表すように「白が揺れた」「赤の追憶」「黒いレプリカ」という風に色を題材にした各話の構成がお洒落。 シリーズを重ねる毎に探偵役の人間性が深みを増していて、愛着が増していくのがこのシリーズの特色だと思う。
0投稿日: 2024.11.06
powered by ブクログやっぱ魞沢くんいいです(^^) 今回は彼の能天気に見えて人知れず悩んでる部分も見えたりしてよかった。 このシリーズは最高です。
3投稿日: 2024.10.31
powered by ブクログ昆虫好きの魞沢泉シリーズ3作目。虫は苦手だけどこのシリーズは大好き。魞沢の優しさやちょっと勘違い多めなところや勘の鋭さ、知識の豊富さが堪らない。ピカシェットの家を調べ見たらその美しさ、礼拝堂まである広さなのにタイルがとても細かく素晴らしい作品で圧倒された。いつか行きたい。緑の再会での勘違いに魞沢同様嬉しくなったと同時に、ものごとを悪い方へ考えてしてしまうと涙する魞沢が切なくなってしまいこちらも涙が滲んだ。人が人を想うこと、色んな後悔、すてきな奇跡、ほんとに楽しい読書だった。また魞沢泉に会いたい。
1投稿日: 2024.10.28
powered by ブクログ「蝉かえる」の続編。 六つの短編。それぞれ別々の話かも思っていたけれどリンクしてて所々で泣けた。最近万年筆使ってませんでしたが、ブルーブラックのインクは私たちが使っているものも、時間がたつと黒くなるのでしょうか?過去に描いたものを確認してみようかな?万年筆また使ってみたくなりました。
0投稿日: 2024.10.23
powered by ブクログ昆虫好きで普段はマイペースなのに時に鋭いエリサワ君の推理。 殺人事件だけではないコージーミステリーもある6遍の短編集。最後で前の方に出てきた人との再会もあるなど連作っぽくなっている。 エリサワ君が優しさと、それぞれの事件は少し切なくて余韻が残る感じがとても良い。 大好きなシリーズ。シリーズの表紙の絵も好き。 いつかまたエリサワ君に会えるといいな。
2投稿日: 2024.10.18
powered by ブクログ昆虫好きの心優しい青年(エリサワ)が、活躍するシリーズ第3弾。 6編の連作短編集。今回は、色シリーズとなる。 昆虫に関わることが多いので1話「白が揺れた」は、山で起きた銃撃事件に遭遇するところから始まる。 ちょっと空気の読めないところやそそっかしいところ、でもとても優しいところは変わらないまま、鋭い観察力や記憶力で謎を解くのはさすが。 山で始まったけれど2話の「赤の追憶」は、花屋での出来事だったり、4話の「青い音」は、ピアニストの遺品であったりと出会う場所が今までとはちょっと変わったことで違う一面、哀愁のような、ちょっと切なさもあるような雰囲気を感じた。
56投稿日: 2024.09.23
powered by ブクログ昆虫好きの心優しい青年、魞沢泉が、昆虫目当てで各地に現れ事件に巻き込まれるシリーズ第三弾。魞沢の空気読めなさ加減と、飄々とした雰囲気に似合わない感の鋭さは相変わらずで、面白かった。泣ける話が多い。 最初の2話の後日談が後半にあって、明るい話もあるけど、ちょっと苦い結末もあって、必ずしもハッピーエンドにならないところがこの物語の良さの一つな気がする。時々クスッとなりながら読めるので、喜怒哀楽の塩梅が私にはちょうどいい感じだ。 1話目の「白が揺れた」の小さなエピソードが、別の話である最終話の「緑の再会」の最後に繋がる演出、これにはグッときた。 魅力的な登場人物ばかりだけど、中でも、親戚からも「名人」と呼ばれる、狩猟の名人がいい味を出してる。 本のタイトル「六色の蛹」は、収録作のタイトルではない。その理由を、あとがきで作者さんが書いている。なるほど〜と思った。 そして装幀。私は、紙の本の外見も気になるので、装幀の感想を書く事も多い。この本の装幀も素晴らしい。後ろ姿しか見えない魞沢と、幻想的な自然描写、表紙の手触り、全部好みだ。 気が早いけど、次回作が楽しみ。
10投稿日: 2024.09.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
魞沢泉シリーズ第3弾。 今までの短編集と違い、今回は連作短編集。 特に後半は前半の短編の後日談になっていて嬉しいサプライズとなった。 いつもの昆虫ネタは少々少なめ。けれどその分人間たちの心象がクローズアップされてあり、読んでいて何度も心動かされた。 魞沢の人付き合いも分かって嬉しい。 彼の風来坊さが際立っていた。こんなにあちこちへ旅していて、彼は一体どうやって収入を得ているのかますます気になった。 今回の謎解きも切なくなるものばかりだった。 人の行動は全てにおいてその人なりの理由がある。その理由は他の人には理解されないかもしれないけれど、それはその人だけの矜持なのだと思った。相手を思いやる、その真心に泣けた。 「虫って不思議ですね。完全変態でしたっけ。蛹のなかで幼虫は溶けて、もう一度自分をつくりなおすとか」 「昆虫がしばしば転生の象徴として扱われるのは、それゆえです。人間にも蛹の時期があって、それ以前の後悔をすべて忘れて生まれ変われるなら、この世はもう少し生きやすいかもしれません」 人間も蛹になれたらいいのに。残念ながら蛹期間のない我々は、何かにつまづいた時それを自分で蛹期間と割り切って生きていくしかないのかもしれない。 いつもと同様、魞沢に背中を押された登場人物たちの未来は、きっと明るい。 第4弾も楽しみ。早めに出してほしい。
31投稿日: 2024.09.21
powered by ブクログふと立ち寄った書店で、書店員のオススメとして 紹介されていたので、気になって買いました。 読み口として、とても爽やかな印象を受けて また推しの作品を見つけてしまいました。 主人公のエリサワの物腰の柔かさと、昆虫に 対する探究心が心を踊らされます。 で、後から気づいたのだが、今作はシリーズの 3作品目で、前作もあることを知らずに読んだの ですが、短編集なので、そこまで、時系列を追わずに楽しめると思います。
39投稿日: 2024.09.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
シリーズ3作目だったのね。。。 もちろん例のごとく、1作目2作目は読んでません。 でも全然気にせず読めたし、内容も面白かった。 この間、「やっぱり俺は長編が好き」的な事言ったばかりだけど、短編も良いよね。 気合い入れずに読めるし、「寝る前に1話だけ。」って感じで1話読んで感想をまとめながら寝る。みたいな。 好きだった話は「赤の追憶」かなぁ。 完全に騙されたし、悲しくて泣いた。 けど、お母さんに赤いポインセチア渡せて良かった。 こうやって色々な想いを繋げていくのが泉くんの良さなんだろうね。 全体的に凄く雰囲気が良くて、読みやすかったし情景が想像しやすかった。 非常に面白かったです!! 以下、自分の備忘録 ・白が揺れた 狩りの最中に殺人が起きる話 面白かった。 「あなたが銃口を向けていたのは、あなた自身でした。」 痺れた。 ・赤の追憶 花屋と少女の話 泣いた。 健康って大事よなぁとしみじみ。 「娘さんからのプレゼントです」 ・黒いレプリカ 発掘してたら人骨が出た話 犯人は予想通りで、トリックもなんとなく予想できた。 天内さんの気持ちを思うといたたまれない。。 ・青い音 ライブ前にカフェでお茶する話 話してる相手が石戸檸檬とは気付かなかった! 普通に物語として過去話が面白くてそこまで頭が回らなかった。 インク、楽譜の謎、記された音の意味。 全てが繋がって鳥肌が立った。面白かった。 ・黄色い山 白が揺れたの続き 過去の事件の真相が分かりかけたりそうじゃなかったり。 新しい情報が手に入る度に真相に近づいていく感じ好き。 最期明言せずもやっと終わらせるのも嫌いじゃない。 ・緑の再会 本作品の総まとめ いやー翠里さん(母)が生きてて良かったー!! すっかり騙された!!けど生きてて嬉しいから許す!! 前の5編が全部つながる感じ大好き。 あとがきも面白くて次回作、前作、前々作も読みたくなった。 虫嫌いだからちょっと手に取るの迷ってたけど、まったくの杞憂だった。 万人にオススメできる作品。
0投稿日: 2024.09.03
powered by ブクログ昆虫好きの青年・魞沢泉(エリサワセン)を探偵役にした連作ミステリの第3弾。 白、赤、黒、青、黄、緑とタイトルに6つの色を使った短編をまとめ、「六色の蛹」とした作品。蛹という言葉が象徴する意味を知る作者あとがきが深い。 虫以外のことにはぼんやりしているかと思えば、妙に鋭く謎を解き明かす魞沢泉という主人公がこのシリーズの魅力。 謎を解き、事件を解決に導いても決して得意げではなく、むしろそういう行動に至った者の気持ちに寄り添い、共に苦しむ姿が人間味に溢れていていい。 ミステリだけど、明快に謎を解いて「はい終わり!」ではない余白の魅力がこのシリーズにはある。 エピローグ的に置かれた「緑の再会」が特に好き。関わる人を不幸にしているかもしれないと密かに悩む泉の涙。青い帽子と引き換えに彼の元に帰ってきたオレンジの帽子。泣きました。 全体としてとてもよくまとまった味わい深い作品。また、魞沢泉に会えますように。
2投稿日: 2024.09.01
powered by ブクログ大好きなシリーズの第三弾 前作、前々作と比べてより人と交わるようになってる気がする。だからこそ事件の痛みも深く感じるんでしょう。 飄々と事件を解決して、あっさりしてるようで人情深い今までの魞沢泉も好きだし、こんな風に人との距離が近くなった彼もまた好き。 そして何より【あとがき】にうるうるしてしまった。 次、いつ会えるかな…。単発でも連載でもいいから会いたいなぁー。
3投稿日: 2024.08.28
powered by ブクログ最後の短編「緑の再会」を読み終えて余韻にひたっている 前3作は独立した短編、後ろ3作が書き下ろしで連作のような構成 「赤の追憶」が特に印象的で心に残ったので、ラストの「緑の再会」では感慨ひとしおだった 6編全て人の死が関係しているストーリーだが、どれも味わい深く六色の贅沢な読書体験をさせてもらった あとがきでは、制作の過程やタイトルについて語ってくださっている またちがう色の翅を楽しみに泉くんとの再会を心待ちにしています
6投稿日: 2024.08.23
powered by ブクログ昆虫マニア魞沢泉が事件の謎を解く。事件解決に絡む魞沢の惚けた人柄に癒される。 ☆白が揺れた:へぼ獲りと銃撃事件 ☆黒レプリカ:遺跡で人骨発見 赤の追憶・青い音:日常の謎 黄・緑:後日談,羽化不全
15投稿日: 2024.08.21
powered by ブクログ連載誌で読んでいたので、新鮮味がないかと少し寂しく感じていたけど、再読分も面白かったし、書き下ろし分も素晴らしかった。 サーチライトのときは、結構笑った記憶があったが、今回はしんみりする話が多かった。
0投稿日: 2024.08.11
powered by ブクログ今回はセンチメンタルな話ばかりで心臓がキュッとなる。 普段から読み飛ばすなんてことはしないけど、どの話もじっくり読んで味わった方が良いと思った。 個人的に『赤の追憶』が好き。 思わず泣きそうになった。 あと、いつの間にか魞沢泉に年齢を抜かれていたことに軽く衝撃を受けたわ。
3投稿日: 2024.08.08
powered by ブクログ変わらず道中で不思議な事件に遭遇する主人公とよく知らない虫の知識の掘り下げは勿論、主人公と旅先で出会う人とのやり取りや事件を解決する度に葛藤する主人公の姿が物語の良いアクセントになり、またシリーズを重ねる毎に人間ドラマの深みが増していくと感じた。改めて「どこまでも優しい主人公だなぁ。」と暖かい気持ちになった。
2投稿日: 2024.08.04
powered by ブクログ昆虫好きな風来坊青年、魞沢泉(えりさわ せん)を探偵役に、彼が遭遇する様々な事件とその後を描く連作集。 シリーズ第三作。 今回はタイトルにあるように様々な色を題名にした六話が収録されている。 「白が揺れた」 鹿猟の最中に起きた銃撃事件。二十五年前にも起きた銃撃事件による悲劇の再現なのか、誤射なのか。 「赤の追憶」 花屋の女性店主が節外れのポインセチアを特別に仕入れてまで待つ客は…。 「黒いレプリカ」 八年前に起きた遺跡の捏造事件。工事現場から遺跡と共に発見された遺体はその容疑者のものなのか。 他三編。 個人的に好きだったのは「赤の追憶」。ここでのある誤解が、続編である「黄色い山」でも再び出てくる。 全体的には切なく苦い話が多く、魞沢が『ぼくと関わる人を、みんな不幸にしているような、そんな気がしていて』と感じるような事件が多い中で、この連作はホッとする感じがあって良かった。 また第一話で出てきた青いキャップが最終話で黄色いキャップに繋がるところなどは上手いなと思った。 あとがきではまだ魞沢シリーズへの意欲があるようなので、気長に待ちたい。
45投稿日: 2024.08.03
powered by ブクログ虫が大好きな青年、エリサワ センが 関わった人たちとの何気ない会話から 謎を解き明かす、シリーズ第三弾。 今回はおちゃらけた雰囲気はさらにトーンダウン。 全体的にしっとりとまとまった短編集。 エリサワくんも少しずつ空気を読む大人となり、 行く先々で知り合う人々と その場限りではない関係を築き始めた様子。 シリーズ、この先も続くといいな。
17投稿日: 2024.07.31
powered by ブクログ魞沢泉、第3弾。どんどん面白くなっている。話の構成、世界観、でてくる人間、余白(一方的にしゃべられるじゃなくて、相性の良い人との心地良い間の感じというか) 全てのクオリティーが高くて、最高の本でした。
2投稿日: 2024.07.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
【収録作品】白が揺れた/赤の追憶/黒いレプリカ/青い音/黄色い山/緑の再会 シリーズ第3作。 きれいにまとまっている。 魞沢自身が「よけいなことばかりしている」「なんだかぼくは、ぼくと関わる人を、みんな不幸にしているような、そんな気がしていて」と語っているので、自覚はありつつ、気づいたことを口にしてしまうところが彼らしさ。これで覚悟があれば名探偵かな。
6投稿日: 2024.07.14
powered by ブクログ★5 きっとあなたも癒される、虫好きの青年が人の痛みに寄り添い… 魞沢泉シリーズ第三弾 #六色の蛹 ■きっと読みたくなるレビュー ★5 癒される… また癒された。 昆虫が大好きな魞沢泉、旅先で出会った人たちと交流を深めるうち、彼らの心の傷に寄り添うストーリー。完成度が鬼高だった前作『蝉かえる』に続く、魞沢泉シリーズの第三弾。 今回も人が支え合うという、生きる上で一番大切なことを描いてますね。作品全体から温もりが伝わってきます。謎解きはもちろんあるんですが、作風としては前作よりも文芸寄りになっていると思いました。登場人物の心情や会話、その場所の自然環境表現が豊潤なんすよ。じわっと心に語りかけてくる、いい作品集です。 ●白が揺れた【おすすめ】 魞沢が蜂の子を追いかけて森の中を彷徨っていると、鹿猟をしている男たちと出会う。すると近くで起きた銃撃事件が発生、不思議なことに遺体は鹿と誤認されてしまうような白いタオルを持っていた。なぜ目立つような白いタオルを持っていたのか… 魞沢が謎に迫る。 いやー短編がお上手ですよ、重厚感のある人間の関わり合いをシンプルかつバランスよく物語にまとめるという技術。あっぱれですよね。人の痛みに思いやりを示しながら、その人の力になっていくというこのスタイルが愛せます。 ●赤の追憶【おすすめ】 カフェを併設したお花屋さん、かつて少女が桜の季節にポインセチアを買いに来たというのだ。魞沢が彼女の意図を推理するのだが… 私、お花や草木が大好きなんですよね~ 眺めているだけで心が癒されるの。しかも本作は親子の絆を描いた作品で、ラストは涙が止まらない。もうやめて。 ●黒いレプリカ 北海道で埋蔵文化財センターで発掘をしていた魞沢、作業をしていると土の中から人骨が見つかってしまう。どうやらセンターには複雑な人間関係と背景があったようなのだが… 珍しく人間の欲や醜さが浮きぼりにされる作品、思いもよらない物語の筋に驚かされる。人間ってどんなに正当で強い思いを持っていても、ひとりでは判断に間違うこともあるんですよね… ●青い音 青年と魞沢が文具店で出会う。彼の父親はピアニストであり、母との関係も芳しくなかったよう。魞沢は遺品である楽譜について推理していくのだが… 楽譜とかインク瓶とか、小道具の使い方が素敵ですね。昆虫との関係性もさりげなくって好き。前向きになれる終わり方が読者を救ってくれる作品。 ●黄色い山 『白が揺れた』の後日談、過去の事件にさらなる真相が… 推理の密度が濃く、櫻田先生のポテンシャルをひしひしと感じる作品。ずっと読んできたこのシリーズですが、はじめて魞沢の嘆きが垣間見れる。 ●緑の再会 『赤の追憶』の後日談、花屋を再度訪問した魞沢だったが… 作品全体をまとめたような一編で、魞沢の人柄と行動がもたらした成り行きが優しく伝わってきました。 ■ぜっさん推しポイント 人間って決して一人では生きられない、誰しも強みもあれば弱みもある。支え合いこそ大事なんですよ。そして繋がりができることによって、人々はサナギから成長していく。どこかの組織や国で自分自身の業や欲を誇示している人たちにも届いてほしいと願わずにはいられない。 『蝉かえる』と共に二作読んできましたが、櫻田先生の人間性が伝わってきましたね。しかも作品やキャラクターが主張しすぎないところがいいんすよね、日本人の優しさみたいなものを感じるんです。ぜひ本シリーズ以外の作品も書いてほしいと思いました!
97投稿日: 2024.07.13
powered by ブクログ昆虫好きな青年・魞沢泉シリーズ第3弾。それぞれのタイトルに色の名前が付いた6話収録。色んなシチュエーションでの謎解きが見られて面白かった。山の中での銃撃事件を描いた『白が揺れた』が特に良かったので、その後のエピソードでもある『黄色い山』も白の伏線回収のような箇所が見られて面白かった。工事現場で発見された骨からの謎解き『黒いレプリカ』は後悔と悲しみのラストがなんとも切ない。どのエピソードでもちょっと変わり者な魞沢青年だけど優しい気持ちも感じさせてくれる。特にラストの勘違いからのあれは微笑ましかった。
3投稿日: 2024.07.05
powered by ブクログおっとりした性格っぽいのに時々鋭い。パズルのピースから全体像をつかむのがうまい主人公なのに、思い違いをしてしまうこともあるし、妙に人間くさくて親近感がわく。個人的に虫が苦手なので、一緒にいて虫の話をするのは勘弁してほしいけど、きっととてもいい人。短編とはいっても、バラバラな話ではなく、つながりのある構成になっている。
2投稿日: 2024.07.05
powered by ブクログシリーズ第3作目。昆虫好きの青年、魞沢泉を探偵役にした連作ミステリ短編集。とぼけた雰囲気の魞沢君が行く先々で謎を解いていく。タイトルにあるように6つの短編が入っているが、後半2作は後日談的な話になっている。 また魞沢君に出会えたことがとても嬉しい!この先も末永く続いてほしいシリーズ。 特に好きだったのは、山で猟友会の人間がライフルで撃たれて殺される事件が起きる『白が揺れた』と、とある花屋に入った魞沢君がそこで店主から1年前に店を訪れた少女と交わした約束について聞く『赤の追憶』。
1投稿日: 2024.06.29
powered by ブクログ抜けているようにみえて案外勘が良い。抜け目ない観察眼でホワットダニット(何が起きていたのか?)を鋭く洞察する。一方で勘違い多めのおとぼけキャラクター。昆虫好き探偵•魞沢泉(えりさわ せん)は、行く先々で遭遇する事件や人物の裏側に潜む真相に迫る… 「蝉かえる」に続く《魞沢泉(えりさわせん)シリーズ》第三弾。全6話からなる連作短編集。 なんといっても魞沢泉のキャラクターが魅力的。ただ単に謎を解くだけでなく、関係者の心に寄り添う優しさが溢れている。天然で時たま失礼な発言もあるけど、憎めないヤツなのだ。 「白が揺れた」 本格ミステリ的にコレが一番まとまってる印象。何気なく伏線を紛れ込ませる手腕はさすが。レッドヘリングも効いている。 「黄色い山」 「白が揺れた」を伏線に使う大胆さ。多重構造過ぎてやや脳が疲れた。昆虫が物語のキーとして上手くハマっている。 「黒いレプリカ」 犯行プロセスは無理くりだが、切ないラストは胸を打つ。 「青い音」 これも切ないけど、仕掛けを活かしつつ前向きな気持ちになるプロットが良い。 「赤の追憶」 魞沢泉の洞察力が光る。ハートウォーミングな展開で読後感良好。 「緑の再会」 「赤の追憶」の後日談でありつつこれまでのエピソードを上手く絡ませ、連作短編集のトリを飾る役割も担う。コミカルな掛け合いと甚だしい勘違いが微笑ましい。 週刊文春ミステリーベスト10 13位 このミステリーがすごい! 10位 本格ミステリ・ベスト10 3位 SRの会ミステリーベスト10 5位 ミステリが読みたい! 8位 《魞沢泉シリーズ》 1.サーチライトと誘蛾灯 2.蝉かえる 3.六色の蛹
21投稿日: 2024.06.28
powered by ブクログ前半は単発で文芸誌に掲載された作品、後半は単行本としてのまとまりを意識した書き下ろし、計六作を収録した短編集。 本書内でのまとまり以外に、過去作品とのつながりが見える箇所もあった。もちろん、前作を読んでいないと楽しめないということは全くないが、単に「この言及されているエピソード知ってる」と思えるという以上に、魞沢くんの物語の深まりが感じられ、読み応えあるなあと読書の喜びを噛みしめた。 あとがきで、ミステリというジャンルの魅力と自分の作品について櫻田さんが語っている言葉もまた印象深い。「ミステリーらしい/らしくない」「ミステリーなのに」というような表現はあまりしたくないが、魞沢くんシリーズを三冊目まで読んでみて今このシリーズに対して抱いている印象は、「ミステリーであることを忘れて読んでた」という感じ。良い短編を読んでいるなかに、そういえば謎解きの気持ち良さもあった、みたいな読み心地だ。 このたび三省堂書店で購入時限定の特典という特別書き下ろしなるものが読みたくて、幸い行こうと思えば行ける距離に店舗があったのでただ買えばいいだけだったのだが個人的に色々あって、すったもんだの末やっと読めた。図書館生活に慣れてしまい新刊本購入は躊躇しがちだったが、満足度の高い買い物ができて嬉しい。これからも推していきたい。今使っているスマホではエリの字が打てずこれまではカタカナにしていたが、ファンとしてまずは「魞沢」を辞書登録した。 以下は、個人的備忘メモ。 ■白が揺れた 「俺はそれを、どぶに捨てた人間だ」「拾って洗えばいいじゃないですか」 ■赤の追憶(既読) ■黒いレプリカ 信じ、疑い、離れ、喪い、閉じていた蓋がまた開けられる時に、魞沢くん。 ■青い音 櫻田さん、音楽もいけるのね。倍音。 ■黄色い山 魞沢くんシリーズの深み極まれり。 ■緑の再会 魞沢くん初登場時の、亜愛一郎風と思われたおとぼけ会話を彷彿とさせるところがありながら、これまでの魞沢くんの物語を読んできた私はもう魞沢くんの涙を唐突とは思えない。 ■ミツバチと押し花※ やさしかわゆしロマンス ■青の追憶※ 書き出しは笑いました ※三省堂書店限定特別書き下ろし
18投稿日: 2024.06.24
powered by ブクログ虫好きの魞沢くんが探偵役としてさりげなく謎を解決するミステリの三作目。相変わらずどこかとぼけた風貌の心優しい魞沢くんが、ささやかなヒントから謎を鮮やかに紐解いていく物語。 ではあるものの、あくまで「真実を暴く」のではなく、「当事者の心痛を取り除く」ために寄り添うように彼が存在しているのが好きだなと思いました。 今回の作品集ではとりわけ「赤の追憶」が好きです。号泣しました。ささやかなところまで無駄なく敷きつめられたミステリらしさの完璧さと、登場人物たちの想い、切ない希望まで同時に描き上げた、秀逸な一編だと思いました。大好きです。
8投稿日: 2024.06.24
