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鳥の歌いまは絶え
鳥の歌いまは絶え
ケイト・ウィルヘルム、酒匂真理子/東京創元社
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総合評価

22件)
3.7
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8
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    物語の舞台は、シェナンドー渓谷に位置するベルファミリーの所有する研究施設 世界的な不妊化が進むなか、彼らは人類を存続させるための切り札としてクローン技術の研究を進めます。 やがて人類の大半が死に絶えるなか、ベルファミリーの研究所だけが、クローンによって命を紡ぎ続けることに成功します。 しかし、クローンたちは通常の人間とは異なる特徴を持っていました。彼らは強い集団意識を持ち、個性を否定する傾向にあります。また、芸術的創造性や独創性を欠き、従来の人間社会とは全く異なる価値観で生きていくようになります。 本作の特徴は、クローン技術がもたらす倫理的・社会的問題を、単なるSF的アイデアとしてではなく、人間の本質に関わる深い問題として描き出している点です。個性と集団性、創造性と効率性、多様性と画一性など、現代社会にも通じるテーマが繊細に織り込まれています。 タイトルの「鳥の歌」は、失われていく自然と、それに伴う人間性の喪失を象徴的に表現しています。環境破壊、生物多様性の損失、そして人類の存続という問題を、クローン技術という切り口から深く掘り下げた本作は、現代においてもなお強い示唆を与え続ける作品となっています。 #鳥の歌いまは絶え #ケイト・ウィルヘルム

    0
    投稿日: 2024.11.24
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    CL 2023.12.4-2023.12.6 三代にわたる年代記。 放射能によって絶滅の危機に瀕した人類はクローン人間を生み出し種の存続を図るが、クローンたちは旧人類を排除し始める。 やがてクローンだけの社会となり、そこでは「個人」はなく、強い共感性でまるで姉妹兄弟で一人の人間のようになっている。その中でモリーは「私」を発見しマークを出産する。クローンではなく。 そしてクローンではないマークが、衰退していくクローン社会に抗い、新たな人類社会を築こうとする。 個と共感。1976年の作品ながら全く古びることなく、現代にも通じる問題とも言える。 それにしても素晴らしい邦題。

    0
    投稿日: 2023.12.06
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    面白すぎる。素晴らしかったです。 そしてタイトル邦訳があまりにも美しい。 三代にわたるSF年代記。 核によって生殖能力を失い滅びゆく人類のうち、サムナー一族だけがクローン技術という慧眼によって生き延びます。 しかし、クローンたちは旧人類にはない共感能力を有しており、やがて旧人類を排除するようになりました。 クローンの中でも孤独を経験することで「私」を獲得した女性による第二部、谷で唯一クローンの兄弟を持たない少年による第三部。 共感能力に優れたクローンたちが、やがて創造性を失っていく展開に圧倒されました。 芸術とは、表現とは、共感によってのみ評価されるのでも理解されるのでもないんだと思います。

    5
    投稿日: 2023.10.28
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    「共感」と「自我」は相対するものなのか……。 1976年のSF小説 出だしは“ある田舎の集落”で育った少年の成長が描かれている。 でもその陰には伝染病、不妊、飢饉、戦争などで人類の終焉が忍び寄っている。 成長した少年とその一族は、人類維持のための医療・研究とともにひそかにクローン研究を始める。 生存率、生殖率が「劣化する」というクローン技術の研究は、当初人間(原種)が行っていたが、次第に「クローン」自身の手で行われることになる。 クローンには従来の人間とは別の特徴があった。 同じ元からクローン培養された子供たちは「兄弟」「姉妹」として、同じ外見のみならず互いに共感しあうことで精神の安定を図り、社会を形成する。そこには利己的で「何を考えているかわからない」人間(原種)は、次第に隅に追いやられていく。 二部以降では、人間(原種)はもう存在せず、クローンたちの「兄弟」「姉妹」での社会が形成されているが、問題は解決されていないどころか、元の科学技術を発展させることも次第に廃れていく。 そこに登場したのが、クローンの中で異質な経験をもとに自然出産で生まれた、「兄弟」を持たない少年。 彼がクローン社会に巻きおこすものは、人類の未来にとって光明か弊害か……。 作者は当時の思想である「社会主義」「全体主義」から「個性と集団社会」をテーマにSF小説として描いている。 現代、「教育の画一性」と「共感力を求める社会風潮」が、SNSの発展とともに問題化している。 今、我々は、この物語のクローンたちの社会と同様に破滅に向かっているのか……。

    3
    投稿日: 2023.06.03
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    環境破壊により不妊が蔓延した人類は滅亡の危機に瀕していた。クローン技術に活路を見出すも、異変が起こり……。 都市は滅び、動物たちが姿を消し、氷河期が迫るという世界観。人類の存続のために生み出されたクローンの人間たちは強い共感力を持つが、同時に個として生きる力を失っていく。徐々にディストピア化していく世界の変遷が切ない。三部構成のそれぞれが異なる趣を持ち、味わい深いものがある。科学と文明がもたらすもの、人間と自然の調和というようなテーマ性。ラブストーリーを基調に三代に渡って展開する壮大な物語。手塚治虫を彷彿とさせると誰かが言っていたが、確かに。タイトルの名訳から受ける印象通りの傑作だった。

    0
    投稿日: 2022.07.08
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    環境破壊が進み、病気や災害などにより人類が滅亡の危機に追いやられる所から話はスタートする。 作り出されたクローンたちによって 小さく社会は維持される。 とても優秀に見えるクローンたちだが 人間が持つ喜びというものを知らない。 芸術や音楽、娯楽などもない。 ただ生きるために作られたクローンたち。 「個」の意識を持つ者は異端とされ排除される。 描写がとても美しい本だった。 始めは読みにくいかと思ったけれど 少しゾワゾワ、あとはウットリとしたまま読了。

    1
    投稿日: 2022.05.24
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    この作品は1976年に書かれているが、この作品の中の世界では、放射能によって大気が汚染され、旱魃と洪水が起こり、飢饉と感染症がひろがり、地球上の生物が生殖機能を失っていく、とある。 今、この作品をSF小説、ファンタジー小説、と簡単に思えない複雑な心境だ。 ある谷に住む一族は研究所を作り、クローン技術によって人類を存続させようとする。 クローンを生み出すディヴィッドたち人類の章。 クローンたちがその独自の性質で作り出した世界の中で、自己を見つけ出し出産したモリーの章。 モリーの子として生まれ、クローン社会の中で孤独に生きるマークの章。 この中で特に、モリーの章は印象的だった。 クローンと人類との対比となっているが、今の人間社会の中でも似たような問題はあるように思う。 物語としては、もっと一つの話として引き込まれたかった感じはあるが、抒情詩のような美しい文章とタイトルもあり満足です。

    8
    投稿日: 2021.09.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    陰鬱に展開し、新しい世代が登場して終わるが、鳥や川魚が居なくなった世界でクローンの社会が果たして持続可能とは私には思えないので希望を感じられなかった

    0
    投稿日: 2020.12.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    戦争と気候変動に加え、世界人類は放射能汚染により生殖能力を失ないつつあり、滅亡に瀕していた。 シェナンドア一族は、人類の生き延びる道をクローン技術に求め、汚染を免れた清浄な水を得られる谷の上流に密かに研究所を建設する。 一族の一員で、生物学者を目指す青年デイヴィッドは、有性生殖を数世代経ることにより再び生殖能力を取り戻す可能性があるという研究により、未来に望みを託して一族のクローンたちを生み出すが… 面白かった! しかも、ものすごく格調高い解説で知った、この作品が1976年の作品で、1982年にサンリオSF文庫から刊行されたものの復刊だということ。 それを知ると、今読んでもストーリーの瑞々しさ、荒廃した都市の描写の生々しさに、再び驚かされた。 東逸子さんのイラストも、その頃のものなのですね!またまた嬉しい驚き。 デイヴィッドと、彼らの世代が生み出したクローンたち、そしてさらに数世代を経たクローンたち。 第一部では、こりゃ完全にディストピアSFだと思ったけれど、第二部のモリーは、想像力/創造力の大切さを問い、第三部ではモリーの子・マークが新たな道を切り拓く。 ディストピア…で終わらなかったのが、いい。 より優位な種族による、旧種族の淘汰。 ヒトは遺伝子であらゆる事を決定づけられてしまうのか、それとも後天的な要素や学習で変化し得るのか。 何度も繰り返し取り上げられているテーマだけれど…この作品は、クローン技術のごく初期に書かれたものだけれど、まだこれからも通用しそう。 たぶんまだ、もうしばらくは… フォロー中のいるかさんのレビューのおかげで、読むことができました。 そして、ネタバレ注意で読了するまで我慢していた地球っこさんのレビューも、すごく良かった。 おふたりとも、どうもありがとうございました!

    9
    投稿日: 2020.11.29
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    図書館の新着コーナーにあり、いくつか賞も受賞しているようなので読んでみました。著者の作品は初読です。クローン技術で人が増えるということがどういうことか、倫理的な側面からではなくて生物学的?に起こり得る現象が描かれており興味深く読みました。物語の設定・展開に説得力・納得感があります。後半は冒険譚の要素もあって荒涼としながらも美しいイメージに引き込まれました。

    2
    投稿日: 2020.11.22
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    ちょっと『エデンの東』的な。しかし70年代の本とは思えないぐらい現代的なテーマ。谷のエリート主義のホモソーシャリティが意識的に描かれている(巻末解説から)というのが際立っていた。

    0
    投稿日: 2020.09.25
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    SF。クローン。終末。ディストピア。 全体的に静かで美しい作品。 2部のラスト、モリーとマークのやりとりがとても好き。 サンリオ文庫からの復刊助かります。

    0
    投稿日: 2020.08.30
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    人間がいた時代、その後のクローンの時代、またその後のクローンと有性生殖者たちの対立の時代。この三部構成はとても壮大かつ野心的な設定ではあるのですが、なぜか盛り上がりには欠ける作品。 もちろん、その盛り上がりのなさを、時代の推移を叙事詩のように描いていると捉えれば、それは本作の魅力となるのでしょう。しかし、そのドラマ性の無さにどうしても気持ちがついていかなかったというのが実情です。ただ、くり返すと、読む人が読めば、きっと面白いからこその復刊なのでしょう。 一つだけすごいと思えたのは、人間がいなくなるという、まさしくポストヒューマンな世界を幻視したことです。本書の発表が1970年代であったことを考えれば、慧眼であったと言ってよいでしょう。

    2
    投稿日: 2020.08.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    環境汚染の影響で人間を含む生物が極端な不妊傾向に陥りつつある世界。シェナンドアの谷に住む一族は、密かに谷一帯に研究所や病院を建設し、一族のメンバーをクローニングすることにより人類文明の継続を図る。その一員・デイヴィッドは、従姉妹シーリアとの許されない恋に悩みつつ、クローンたちの面倒をみていたが、新たに生まれ続けるクローンが自分たちオリジナルとは異なる精神世界を持っていることに気づく・・・ 美しくて、切ない物語。 3篇の中篇による、シェナンドアの一族による年代記の体となっており、第一部は一族のオリジナルであるデイヴィッド、第二部は数世代後のクローンであるモリー、第3部はモリーが有性生殖で産み育てた息子マークがそれぞれの物語の主人公を務めます。 オリジナルの世代が全資産を投入して決死の覚悟で生み出したクローンの子供たちは、オリジナルには理解できない共感覚を持ち、意識も価値観も共有して常に同じクローン同士で行動し、オリジナル世代を忌み嫌います。個性を持たない彼らは、世代を経るに従い、指導者層と労働者層に分化し、指導者層は需給バランスに応じて労働者層の「生産」と「訓練」をもコントロールするようになっていきます。 しかし、クローンたちには「想像力」と「創造力」が決定的に欠けていました。物事を概念的・普遍的に捉えることができず、新たなことへのチャレンジを極端に恐れる彼らの社会は、ある時突然生まれたモリーの「個性」を理解することができません。モリー自身もまた、自らが獲得した「個性」を持て余し、クローン社会から放逐されて緩やかな破滅の道を進んでいきます・・・。 語弊を恐れずに言えば、とても「わかりやすい」作品です。 オリジナルとクローンの対比が明確で、ラストシーンでクローン社会の滅亡とマークの一族の繁栄を描くことで、個性を持った人間の勝利をこれ以上ないほどわかりやすく提示し、「やっぱり人間はこうじゃないとね!」との明確なメッセージ性が感じ取れます。 ただ、そのわかりやすさ故に、中盤ぐらいから「あー、この後こうなっていくんだろうなぁ・・・」と先が読めてしまい、ラストシーンに至って「まぁ、これまでの流れだったら、そりゃこうなるよねぇ・・・」と全く盛り上がらず、感動に至らなかったのが、鴨の正直な感想です。情景描写が濃密で、読み応えのある作品ではありますけど、思ったよりも内容はイマイチ、と言わざるを得ない感じ。全体的に古い、という印象もありますね。 この時代のSFは、これに限らずメッセージ性の強い作品が多い印象で、時代の必然なのかな、とも思います。

    2
    投稿日: 2020.08.09
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    放射能汚染により、繁殖能力が低下した社会で存続するためのクローン技術を適応させた世界、という設定。ちょっと古い時代に書かれた話なんだろうな、というのは「放射能」という設定で思ったり。今のSFはコロナのような感染症拡大後とかになるのかなぁ。 設定されている土地がバージニアなのがなんか懐かしい。南北戦争ではあそこは南側だったし、ちょっと反体制なイメージがありましたよね、今はどうかわかりませんが。 というわけで単体繁殖の共同意識はわかる気がするんですが、同じ遺伝子構造でも年齢が違ったらその共有は無理そうな気がするんですがどうなんだろう。ま、クローン技術がまだそこまで追い付いていない現代での仮定の話ではあるんですけどね。 変化に対応できない単一化社会という辺りは少し現代と重なるところがあるかもな〜とか思いながら読みました。面白かったです。

    0
    投稿日: 2020.08.02
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    地球上のあらゆる生物が生殖機能を喪失しつつあることを知ったデイヴィッドは、クローン技術をつかい種の保存を画策する。仲間とともにシェナンドアの谷に研究所を創設し、研究に明け暮れる彼は、ついにクローン人間を誕生させる。クローン人間はオリジナルと寸分違わない容姿と申し分ない才能を発揮。研究所を発展させ、人類存続の要となるはずだった。だが、クローン人間はオリジナルとは相容れない存在であることを悟ったデイヴィッドは… 人類がクローンを生み出す一部、クローンだけの谷で異端児が生まれる二部、逼迫するクローンの谷とその行く末を描く三部構成で描かれる本書は、ヒューゴー、ローカス、ジュピター三賞を受賞したケイト・ウィルヘルムの代表長篇です。 地球上の生物が生殖機能を失う理由を本書では核兵器はじめとする放射能汚染と説明付けています。核兵器の脅威と対面する当時の時代背景を感じられますが、本書の主題はそこにはありません。 ではクローンが主題かと問われると果たしてそうなのかなぁと首を傾げてしまいます。もちろん、本書の主役はクローンです。本書で描かれるクローンには幾つかの特徴があり、例えば共感性がとても強く、仲間のクローンと離れることを極端に嫌います。クローンも世代を経るにつれ、その特色が強まり、やがては個人(=個性)という概念がなくなります。個性を失くしたクローンは創造性を失い、突発的なトラブルに対処できなくなります。そういった状況にある谷で生まれた異端児、マークはクローン社会の限界を感じ、ついに行動を起こします。これが本書のラスト。こう振り返ると、クローンはあくまで外側であって、大事なのはその中身ではないかと思うのです。多様性というと強引なまとめ方かもしれませんが、生物がその種を連綿と受け継ぐことのできただろうその特性にシンプルに目を向けた物語かなと。ちなみに、そんな物語なのに、デイヴィッドやクローンどもが近親相姦を求める姿には、何か皮肉めいたものを感じざるを得ませんでした。 いまでこそ多様性というと、ダイバーシティと横文字になり、オーソドックスなテーマなのかもしれません。にも関わらず、本書に魅力を感じたのは、情景豊かな描写により醸し出される荒廃した世界観と、メインとなる登場人物(デイヴィッドやモリーなど)の末路があまりにもマッチしていたからかと。特に二部が印象に残ります。モリーが個性(というか自我?)を獲得する姿は感動的で、まるで人類が火を獲得したかのよう。そんなモリーの結末には、「えぇ、まじか」と思わず声が出てしまうばかり。喪失感を味わうのだけど、それが一番しっくりくる終わらし方。この辺りのうまさにこころを揺さぶられました。最後は(たぶん)希望の持てる幕引きでもあったしね。いい作品でした。

    1
    投稿日: 2020.07.26
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    おもしろかった。わりと重いテーマだと思うのですが、3部構成ですっきりまとまり、読後感が軽くすんでいる。

    0
    投稿日: 2020.07.23
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    海外文学はあまり読まないのですが、ブクログでフォローしている方のレビューを見て、どうしても読みたくなった一冊。 とっても面白かった。 日本語訳なので、最初は少し読み慣れないところもあったけれど、物語の面白さにどんどん引き込まれていってしまった。 3部からなる物語。 第一部は核実験などによる放射線障害で人間が住めなくなる環境で、なんとか人間が生き延びるために実験室でクローンを作り出そうとする。 第二部は、統一されたクローンたちの中で、個人として生きることに気づいた一人。 第三部ではその子供がさらに個として生き、統一された集団から離れていく。 物語 本編の最後 バリーの一言「なにもかも、そのためだった。」 が衝撃的。 全然違うけれど、映画「カサブランカ」の警部を思い出してしまった。 読み応え抜群。 本当に読んで良かったと思いました。

    42
    投稿日: 2020.06.14
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    出版社のSNSで目にしたあらすじがおもしろそうだったのと、東逸子さんの表紙イラストに惹かれて、馴染みのないSFではあったが予約購入をしてまで挑戦してみた。80ページくらいまでは忍耐が必要だったし、日々の疲れに邪魔をされたりもしたが、100ページくらいからは一気に読めた。つらい場面が多々ありおもしろかったとは表現しにくいが、それでもこの2020年に読めたことが意味を持つのかもしれない。『シェナンドア』の章でモリーが獲得していくものを見守るのはつらくもあったのだけれど、それでも彼女の様子はとても感動的だった。

    1
    投稿日: 2020.05.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    かつてサンリオSF文庫から刊行されていた長篇が復刊。 『クローン』というものに関する浮世離れした描写にはやや違和感があるものの(現代ではこのような描かれ方はしないだろうな、という感じ)、面白かった。

    0
    投稿日: 2020.05.20
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    77年のヒューゴー賞受賞作だが、その前後はというと、  75年 ル=グウィン「所有せざる人々」  76年 ホールドマン「終わりなき戦い」  77年 本作  78年 ポール「ゲイトウェイ」  79年 マッキンタイア「夢の蛇」  80年 クラーク「楽園の泉」  81年 ヴィンジ「雪の女王」  82年 チェリイ「ダウンビロウ・ステーション」  83年 アシモフ「ファウンデーションの彼方へ」  84年 ブリン「スタータイド・ライジング」 と、ある種の政治的状況下にあった、といえなくもない。 まぁ、ファンダムのことも当時のアメリカ社会の空気感も判りはしないのだけど。 で、帯ではティプトリーやル=グウィンと並べられているけど、ご当人に女性SF作家としての自意識が強かったとも思えない。 この後、主戦場をミステリーに移していることをみても、SF作家ではなく商業作家として身を立てることへのモチベーションが強かったんだろう、と思う。 本作自体は、3つの中編から構成された年代記で、今なら三部作として一編毎に500ページくらい費やされていたのだろうな、と思ってしまう。 個人的には、普遍的な名作、ではなく、時代の産物、と感じるところだけど。 今回のカバーイラストも、サンリオ版の「誤読」を引き継いで弓矢を持った女の子(ビーチクは無し)が描かれているけど、これでないと文句言われると思ったんですかね…

    0
    投稿日: 2020.05.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    物語の背景に、今回の疫病騒ぎが重なる。 かつて、恐竜達が滅んだように、人類もいつか終わりを迎えるのだろう。 その中で足掻く人々。その遺産を食い潰す新人類。そしてまた、彼らにとっては異端と思える新しい人類が誕生し、彼が成長した時に破綻は訪れる。 誰が正しいのか、何が正しいのか、それは読んだ人間か判断することだろう。 ただ、私は自らの生き方に責任を持って、顔をあげて生きたい。 そう強く思える作品だった。 流石、名作である。

    10
    投稿日: 2020.05.06