Reader Store
鬼神の如く―黒田叛臣伝―(新潮文庫)
鬼神の如く―黒田叛臣伝―(新潮文庫)
葉室麟/新潮社
作品詳細ページへ戻る

総合評価

18件)
3.8
2
9
1
2
0
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     . 話題となった時代小説を次々と発表していた小説家、葉室麟。 残念ながら60代の若さで、2017年に亡くなってしまいました。 いくつかの作品は読んだことがあったのですが、他にも未読の小説があるだろうと探したところ、この長編小説に出会いました。 「黒田家に関係する話だろう」という程度の、わずかな事前知識で、読み始めました。 舞台は徳川第三代将軍、家光の時代。 杖術の修行を積んでいた深草卓馬と舞の兄妹は、豊後府内藩主の竹中采女正に召し出され、密命を言い渡されます。 その密命とは、筑前黒田家の重臣、栗山大膳のもとに間者として入り、黒田家の内情を探れというもの。 あわせて、黒田家には二つの問題があることが、兄妹に知らされます。 ・藩主である黒田忠之と、家老である栗山大膳とが不仲であること ・黒田忠之が、幕府に対して謀反を起こそうとしているとの情報が、竹中家に入ったこと 大膳のもとへ行った二人は、部下として取り立てられ、間者としての活動を始めます。 しかしこの大膳という人物は、得体の知れないところがあって・・・という始まり。 大膳が何をしようとしているのか、それは黒田家にとってどのような結果を招くのか。 徳川の治世が始まって30年あまりの、まだ不安定な部分が残る江戸初期の九州の情勢が、描かれていきます。 上記の黒田家の問題以外にも、以下のようなことが、物語の大きな要素になっています。 ・黒田家、加藤家、細川家、竹中家など、力を持ちながら弱みも持つ家々が、自家の存続をかけて他家の領地を狙っていること ・江戸幕府が、勲功ありとして取り立てた九州の諸大名についても、取り潰したり改易しようと考えていること ・九州にはかつてキリシタン大名だった家が残っており、かつ、幕府がこの時期、キリスト教の弾圧を強めていること 家同士の関係が複雑で、また登場人物も多いので、「この人は何家の関係者だっただろう」「誰が仲間で、誰が敵だったのだろう」と、読んでいて混乱する部分がありました。 とはいえ、随所にアクションシーンが挟まれ、宮本武蔵や天草四郎など”有名人”も登場するなど、エンターテイメント性も高い作品になっています。 黒田家の騒動、黒田家を含めた九州の争乱ともども二転三転あり、その行く末を追っていくのが、この作品の読みどころかと思います。 それとあわせて、徳川家と大名(特に外様大名)との関係や、幕府のキリスト教施策など、江戸初期の様子を興味深く読ませていただきました。 葉室麟についてはこれ以外にもまだ、未読の作品があるので、楽しみながら読んでいきたいと思います。  .

    0
    投稿日: 2025.12.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    歴史小説を描く多くの作家が重複して歴史的事実を角度を変えて描いている この作品の黒田藩の騒動も森鴎外が描いていると解説を読んで知った 人生どのように生きるべきか 蒼天見ゆでも考えさせられたが、この作品でも作者に課題を出されたような気がする

    0
    投稿日: 2025.08.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    忠義とは、誠とは何かが描かれている。 「わが主君に謀反の疑いあり」と、黒田藩家老の栗山大膳は主君の黒田忠之を幕府に訴える。それは幕府が黒田家の大名家取り潰しを画策していることを悟った栗山大膳が敢えて訴え出たもの。黒田家を守るために。 逆臣と思われ、命さえ狙われることになっても、見た目には裏切りに見えても、その忠義を貫き通す。 栗山大膳の生き方が本当に天晴れ。 天草四郎が出てくるのも面白い。イエス・キリストへの言及もあり、イエスの生き方と、栗山大膳の生き方を共に「宿命と戦って」生きている、と登場人物に語らせているのもまた印象的だった。 やはり葉室麟さんはいいです!

    0
    投稿日: 2024.12.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    黒田家の家臣で、主君に謀反の意ありと訴え出たということは、多分お家騒動物を何冊か読んでて、なんとなく知ってたんだけど。 物語なのでどこまでが事実なのかはわからなくとも、敢えて主君に謀反の意ありという家臣が悪役なのか…寵臣と言われていた家臣が本当に佞臣だったのか…。 書く人が違えばまた違った物語になるのだろうなぁ。

    0
    投稿日: 2024.10.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    宮本武蔵、天草四郎、柳生十兵衛など、歴史のヒーローを脇役として散りばめながら、黒田家の重臣栗山大膳を主人公に裏の裏をかきながら、歴史上の重鎮をあしらっていく様は爽快である。 葉室作品の小説としての面白さは随一であると考える。

    0
    投稿日: 2024.10.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読み終わった。司馬遼太郎賞を受賞しというので読んだが、宮本武蔵、天草四郎、柳生十兵衛、徳川家光、もうSFレベルで何でもありだなという感じ。それぞれの人物の造形と描写が薄く、いまいち入れず全てが軽く感じる。田舎の一家老が突然家光の前で能を舞ったりと、それぞれのシーンもあり得ない創作感で興ざめする。竹中と主人公の知恵比べぐらいにしておけばまとまりよく楽しめたかも。

    0
    投稿日: 2024.10.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    4/27読了 大善には原田甲斐、舞には甲斐に思いを寄せる若い女性、ころんだ外国人宣教師には小説「沈黙」.....ころべころぶが良い.....を思い出した。 歴史の解釈は別角度から光を当てることで180度変わる 良い小説だった

    0
    投稿日: 2024.04.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    有名な福岡藩のお家騒動を、稀代の忠義の人として知られる栗山大膳を中心に描いた作品。 葉室氏は福岡出身なだけに大膳贔屓のトーンであるが、戦国から江戸初期にかけての生き残りを賭けた騙し合いの延長にあるこの話はあまり共感できない。 清い生き様を貫く無名の志士の武士道がテーマになっていることが多い葉室作品において、ある意味では特殊な内容という印象。 とはいうものの、読み応えは充分だったので星4つ。

    0
    投稿日: 2024.02.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    司馬遼太郎賞受賞 舞と卓馬 最後の数ページはもったいなくて読めなかったぐらい 附箋 ・疎まれれば、疎まれるほど、忠義を尽くしたくなる天邪鬼でござる ・桜の精は、桜はどこに植えて欲しいと頼んだわけではない、さらには見物客が訪れるのを喜んでいるわけでもない、と言って 桜に罪はないのだ と説く。 ・葉室文学に描かれる人間の魅力が、日本社会の病根や日本文学の閉塞を、爽快なまでに治癒していく。賢人の「知」と女性の「愛」をキーワードにすることで、新しい歴史小説のスタイルを打ち立てた。

    0
    投稿日: 2021.08.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    面白かった! 第二十回司馬遼太郎賞受賞作品 途中、ぐっと来ました 三大お家騒動と呼ばれる黒田騒動をベースとした物語。 主君である藩主を謀反の疑いありとして幕府に訴えた栗山大膳。幕府の大名家取り潰しの標的となっていることを知りながらも、主君を訴えます。 その目的は? 細田家や将軍家光の目論見が錯綜する中、藩主に疎まれながらも、藩の行く末を思い、鬼となり幕府と戦っていきます。 そして、その大膳を支える卓馬と舞、権之助 ぐっと来たシーンは翌日を出陣の日として、決起・別れの場面。 卓馬と舞の想い、大膳とは二度と会えない可能性のある別れ。 大膳の戦いの結末は? 「もののふ」としての矜持を感じられる物語。心打たれる物語でした。 お勧め

    2
    投稿日: 2021.07.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    それぞれの登場人物がそれぞれに個性があり、また、一筋縄ではいかない人物として描かれているため、先の展開が常に興味が惹かれ、一気に読み進められた。

    0
    投稿日: 2021.06.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ーー「わが主君に謀反の疑いあり」。筑前黒田藩家老・栗山大膳は、自藩が幕府の大名家取り潰しの標的となったことを悟りながら、あえて主君の黒田忠之を幕府に訴え出た。九州の覇権を求める細川家、海外出兵を目指す将軍家光、そして忠之──。様々な思惑のもと、藩主に疎まれながらも鬼となり幕府と戦う大膳を狙い刺客が押し寄せる。本当の忠義とは何かを描く著者会心の歴史小説。司馬遼太郎賞受賞。ーー 策士である栗山大善の策はまさに綱渡り、少しの綻びで「策士策に溺れる」状況は、ミッションインポッシブルの時代物版ともいえるかもしれません。 本書には、天草四郎が登場してきますが、歴史の教科書にも載る人物なのに不明な点が多すぎ、かえって気になります。 天草 四郎は、江戸時代初期のキリシタンで、島原の乱における一揆軍の最高指導者とされる。 本名は益田 四郎。諱は時貞。洗礼名は当初は「ジェロニモ(Geronimo)」であったが、一時期表向きの棄教をしていたためか、島原の乱当時は「フランシスコ(Francisco)」に変わっていた。一般には天草四郎という名で知られる。寛永14年(1637年)に勃発した島原の乱ではカリスマ的な人気を背景に一揆軍の総大将となる。戦場では十字架を掲げて軍を率いたとも伝わるが、四郎本人はまだ10代半ばの少年であり、実際に乱を計画・指揮していたのは浪人や庄屋たちで、四郎は一揆軍の戦意高揚のために浪人や庄屋たちに利用されていたに過ぎないと見られている。(ウィキペディア)

    0
    投稿日: 2021.01.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「三大お家騒動」のひとつ黒田騒動を描いた歴史長編。 藩主に疎まれながらも自らを叛臣に装い、幕府による藩取り潰しの企みを阻止するのが栗山大膳。 さしずめ伊達騒動における原田甲斐というところか。 本書は、歴史事件に、柳生但馬守、柳生十兵衛、宮本武蔵らを絡ませ(彼らは黒田騒動に関わったという史実は?)、一大歴史エンターテイメントとなっている。 「武門は太平の世であっても常に戦をしておるのだ。武士が生きるとはそういうことだ」と言い切る栗山大膳。 彼と藩主あるいは幕府との知恵比べは、ミステリータッチな展開を示し、読者さえ翻弄する。大膳の眼のさきには、藩を越えて幕府の政策への諌止も。 黒田藩を守る秘策は、神君家康公から受けた関ヶ原感謝状。関ヶ原の折に、家康が発布したというこの種の秘匿文書は、作家の想像力を刺激するのか、種々の作品が生まれている。 その一つに安部龍太郎の『関ヶ原連判状』があり、隆慶一郎の伝奇小説『吉原御免状』も類する作品と言っていいだろう。 それにしても、著者の古典芸能に対する素養の豊かさには改めて畏敬の念を覚える。 『銀漢の賦』や『秋月記』などでは、漢詩を。 『いのちなりけり』『花や散るらん』『影ぞ恋しき』の三部作では、和歌を。 そして本書では、能を。 それぞれが小説の中で重要なコンテンツとして見事に融合し、その作品の魅力を高めることに貢献している。

    4
    投稿日: 2020.05.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    実に面白い作品だった。 沈黙を読んだことがあったから、あっと思った場面も多かったし、宮本武蔵も出てくるし、栗山大膳がthe武士って感じだし、気に入った。

    0
    投稿日: 2019.12.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    12月-5。3.5点。 徳川家光の時代、黒田藩の物語。 黒田家の家臣、大膳は殿に説教する等で、疎まれている。 長崎奉行から、兄妹の監視役を送り込まれるが。 面白い。大膳の幾重にも張った伏線が、ラストに向けて回収される。

    0
    投稿日: 2019.12.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    日本三大騒動の一つ、「黒田騒動」。「わが主君に謀反の疑いあり」筑前黒田藩家老・栗山大膳は、あえて主君の黒田忠之を幕府に訴え出た。その後の顛末は・・・。司馬遼太郎賞受賞歴史作品。

    0
    投稿日: 2018.12.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    第20回司馬遼太郎賞 著者:葉室麟(1951-2017、北九州市、小説家) 解説:島内景二(1955-、長崎県、日本文学)

    0
    投稿日: 2018.12.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    生まれて20年福岡にいながら、同著の「月神」で維新の歴史に福岡藩士が登場しない理由を知り、今回は三大お家騒動のひとつである黒田騒動を知る。藩主忠之に疎まれた大膳が命を賭して幕府と戦わなかったら、お家お取り潰しになって黒田の52万石も無くなっていたのだと分かった。 しかし、宮本武蔵と夢想権之助との剣術対決もあり、ワクワクしながら読むことができた。 ところで、神君家康より賜った関ヶ原感状は実在するのであろうか、一度拝見してみたい。

    0
    投稿日: 2018.02.19