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グ、ア、ム(新潮文庫)
グ、ア、ム(新潮文庫)
本谷有希子/新潮社
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総合評価

42件)
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    あなたは、『グアム』に行きたいですか? 日本からわずか四時間で行ける海外、しかも南国の観光地である『グアム』。米国と日本による占領と支配の歴史の先にリゾート地としての地位を築き上げた『グアム』は、日本人にとって長らく観光旅行で行きたい国の上位を占めてきました。観光客全体の8割を日本人が占めた時代もあったという『グアム』。 しかし、近年そんな日本人観光客の減少が叫ばれてもいます。かくいう私も『グアム』を訪れたことはありません。とは言え、たった四時間で行ける海外リゾートという距離感はどこまで行っても魅力的に響きます。『グアム』とは、どんなところなんだろう。『グアム』には、どんな魅力があるんだろう。そして、『グアム』に行くきっかけが欲しい!まあ、色々なことを思ってもしまいます。 さてここに、書名にそのまま「グ、ア、ム」と冠し、『グアム』を訪れる女性三人が描かれた作品があります。対象的な性格の娘二人とそれを見守る母親が描かれるこの作品。そんな三人がはじめての『グアム』をエンジョイ?するこの作品。そしてそれは、読後あなたが絶対に『グアム』に行きたくなくなるという、『グアム』への旅行を予定している人は絶対に読んではいけない負の感情に満たされる物語です。 『北陸の天気は基本的に曇天』と思いつつ『十八年間、その地ですくすく育って』きたのは長女。『腰を悪くした父親がキングサイズのベッドを新しいものにした』ことで、『両親が使っていたベッドを』譲り受けた長女は次女とその端と端で眠ります。『まだ使えるものを何もわざわざ捨てる必要はない、という家庭内教育』で育った二人。そして、長女は『高校を卒業し』、『なんの目的もなく田舎を飛び出し』東京の『大学に通って』います。一方で、『堅実と言われた』次女は『学校の推薦枠もあって高卒で信用金庫に内定』しましたが、『勤務地』である大阪へと移り住みます。夫婦二人暮らしになった中に、『そういえばあんた、休み取れたんかいね』、『取れたよ。三日間』、『子供たちは?』、『下は有給使うって。上はバイトやからいつでもいいんやと』と会話する二人。そして、父親は『三人でゆっくりしてくるこっちゃ。わしはあんたらのスポンサーや』と言い、『母親はバッグから手帳を取り出すと、三月の六、七、八の空白に「グ、ア、ム」と書き込』みます。一方で、『来週には母と、姉と、グアムに行かねばならない。父親がどんな気の遣い方なのか、やたら「女三人旅プラン」を薦めてきた』と思う次女。それに対して、『タダだから行くんだよね?家族旅行って。親の金で豪遊しにいくイベントだよね?』と同棲している恋人に言われる長女。 いよいよ出発当日となり成田空港で合流した三人は、『パスポートあるか、ちゃんと確認しといてや』、『そういうあんたこそ、あるんかいね』、『チケットはあんたら、絶対なくすからお母さん持っとく』と慌ただしく会話します。『母親が近所の奥さんに相談しながらパンフレットを見比べて選りすぐったパッケージツアー』という『二泊三日』の『グアム』への三人旅。離陸した三人は機内でもあれこれ会話を続けます。『あんたは何がしたい?』と訊かれ『なんでも』、『アドベンチャー・リバー・クルーズっていうやつ』と『興味なさそうに』ガイドブックを指す次女。それに、『駄目や。見てみ。四時間かかるって書いてあるやん。こんなんずーっとただ船に乗っとるだけやぞ。飽きるわい絶対』と反対する長女。やむなく『この、ディナーショー・オン・アイスってやつ』と代案を出す次女に、『これ、スケートしとるところ観て、ご飯食べるんやろ?思いっきり室内やん。グアムの意味ないやん』と返す長女。『じゃあこの水中歩行』と言う次女に、『二百ドルやんか。一人二万円って高くない?海の中、歩くだけなんやぞ。お前、本当にそんなことしたいか』と返す長女。二人の間に座る母親は、そんなやりとりの中に『風見鶏のようにちょこまかと向きを変えて、落ち着きどころをなんとか見つけようとし』ます。そして『相変わらずの姉の身勝手ぶり』に辟易する次女。そんな中に、『前方の通路、それぞれからワゴンを押した金髪のキャビンアテンダント二人の姿が見え』ます。『ビーフオワチキンの時間がやって来た』と『家族は一斉に、緊張に、身を強ばらせ』ます。そんな三人のドタバタした『グアム』への旅行の様が”シニカル”な表現の中に描かれていきます。 “北陸育ちの姉妹。長女は大学を出たもののバイト生活を送る、いわゆる「ワーキングプア」。そんな姉を反面教師にした次女は、高卒で信用金庫に就職。姉妹は母も交えた女三人でグアム旅行に出かけることになるが、長女の身勝手な行動のせいで、早くも旅は不穏なムードに…”と内容紹介にうたわれるこの作品。文庫本170ページというあっという間に読み切れる分量の中に本谷有希子さんらしい”シニカル”な筆致に振り切った物語が展開していきます。 そんな物語の読みどころはやはり「グ、ア、ム」への母と娘二人による二泊三日の珍道中だと思います。飛行機の中の『ビーフオワチキンの時間がやって来た』という先行き不安になるような展開を経て目的地へと降り立った三人。そんな三人を待っていたのが、 『グアムは生憎の雨だった』。 という『生憎』の空模様です。しかし、本谷さんは単に『生憎』では終わらせずその空模様をこんな風に描写します。 『雨と呼ぶにはまだ早い。台風の直前のような生温かい風が、パンフレットの碧空の写真とはおよそ似ても似つかないみすぼらしいネズミ色の雲を、早送りされた映像のようにぐるぐると掻き回していた』。 本谷さんはこれでは止まりません。さらに、普通にはありえない言葉をもってその雰囲気感を煽ります。 『歓迎してくれるはずのヤシの木が、まるで自殺者の縄掛けでも待っているかのように、不気味にしなっていた』。 『自殺者の縄掛け』って…。ここは『グアム』ですよ!『ヤシの木』からよくそんな表現が思い浮かぶものだと思います。まさしく”シニカル”という言葉そのものです。しかし、本谷さんはこんな程度では終わりません。三人がはるばるやってきた『グアム』の情景をこき下ろしていきます。 ・『今乗っているバスや、広めの道路を走っている車は大体が日本で乗り古された廃車同然のものを買い取っているらしく、まるで海外に来た気がしない』。 ・『グアムの道路沿いには、どうやって商売として成り立っているのか想像もつかないような荒涼とした店がゴーストタウンのように軒を連ねていた』。 ・『海沿いのホテルはどれもこれも潮風で茶色く変色し、白壁を貧乏たらしく剥落させている…長女がパンフレットを思わず丸めて握りしめてしまうのもしょうがないほどに、リゾート地はむごたらしく廃れていた』。 いかがでしょうか?『グアム』への旅が描かれた旅行記のような小説を期待する方には衝撃的な描写がこれでもか!と相次ぎます。本谷さんはさらにこんな表現でダメ押しします。 『天候もますます荒れ出し、今やスカートを穿いた歩道の女性の尻くらいなら観光客にサービスさせられるほどの風が吹いている』。 いやあ、どうでしょうか。私は『グアム』に行ったことはないですが、どんなところか興味はありました。しかし、この作品を読み終えて絶対に行くことはないだろうという確信を覚えました。この作品の末尾には、”参考文献 グアム政府観光局HP”という記載がありますが、グアム政府観光局の方が読んだら驚愕されるのではないでしょうか?しかも本文にはこんなひと言もあります。 『これまた地味に、ぼろっちい砲台があった。なんとか観光スポットを、とやっきになっているグアム政府の思惑がひしひしと伝わってくる』。 ここまで特定の観光地をこき下ろした作品、よくクレームで発禁にならないものだと感心する他ないレベルです。まあ、もちろん天候が最悪という状況での観光ということはありますが、でもね…。ということで、近々『グアム』に旅行する予定!とおっしゃる方は、絶対に読んではいけないのがこの作品です。間違いなく読後間髪入れずにキャンセルの手配をすることになると思います。それにしても凄いなあ、この作品。本谷さん、『グアム』に恨みでもおありなのでしょうか?さて? そして、この作品のもう一つの楽しみどころは母親と娘二人の関係性をこれまた”シニカル”に描いていくところです。この作品は全編にわたって三人称で描かれており、それもあって三人を冷たく突き放した視点が一貫しています。物語ではそんな三人の名前は一切登場しません。母親、長女、次女という言い方が徹底しています。では、対象的な性格を見せる姉妹を簡単にご紹介しておきましょう。 ・長女: 25歳。『高校を卒業し』、『なんの目的もなく田舎を飛び出し』東京の『大学に通』う。『あらゆる入社試験に落ち』、恋人と同棲し、『ワーキングプア』へ…。 ・次女: 21歳。『堅実と言われ』る。『進学するだけ金の無駄』と考え、『学校の推薦枠もあって高卒で信用金庫に内定』。『現実主義の人』。『Sっけがある』という恋人がいる。 世の中に姉妹は数多いると思いますが、性格が似ているというより、全くの正反対というようなことはよく聞きます。物語は、そんな長女と次女が『グアム』への二泊三日の旅行を共にする中で時に対立し、時に妥協する他ない、極めて危うい関係性が(申し訳ないですが読者には非常に面白く)伝わってきます。そして、そんな二人に挟まれ、『空気の悪さに母親がハラハラしている』という姿を見せる母親に同情を禁じえない姿に痛々しさを感じもします。三人の主人公を登場させる物語は数多ありますが、母親 × 長女 × 次女という組み合わせで描くこの物語の人選、とても絶妙だと思いました。そして、もう一点、『グアム』への旅路に同行せず、『楽しんで来て下さいませ。わしは、あんたがたにケツの毛まで毟り取られますので』という言葉を残して北陸の自宅で一人待つ父親が、時に国際電話で、時に三人の会話の中に登場して良い味を醸し出してくれます。この作品の登場人物はほぼこの四人に限られ、かつ、名前も登場しないという設計が独特な雰囲気感を生み出しているのだと思います。”時代の理不尽、血の繋がった女同士のうっとうしさを、’シニカル’な筆致で笑い飛ばす、奇妙で痛快なホームドラマ”と位置付けられるこの作品。あっという間に読み終わる物語が強烈なインパクトを残すのを感じました。 『来週には母と、姉と、グアムに行かねばならない。父親がどんな気の遣い方なのか、やたら「女三人旅プラン」を薦めてきたのである』。 母親と娘二人の二泊三日の『グアム』旅行が描かれたこの作品。そこには、『グアムは生憎の雨だった』という中に、マイナス感情しかない、とほほな旅路の様子が描かれていました。なんとも危うい関係性の姉妹と、それを取り持つ母親の姿が描かれるこの作品。『グアム』に旅したいという気持ちが完全に萎えるこの作品。 細かなエピソード盛り沢山でやけにリアルに語られる『グアム』の旅路が故に、余計に『グアム』を醒めて見てしまう、摩訶不思議な位置付けの作品でした。

    189
    投稿日: 2023.12.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2011年に購入していた積読本。苦笑 数年前に7ルールというTV番組で著者を拝見し、 こんな方なのか!と驚いた記憶です。 帯は、 ------------------------- この人たちに自分のペースを乱されたくない。 この、自己顕示欲の塊たちに。 母・姉・妹の女三人海外旅行 イタくて笑えるゼロ年代の家族小説 ------------------------- 北陸育ちの姉妹。 姉は上京するが、就職できずワーキングプア。 妹は姉を反面教師として、高卒で地元の信用金庫に就職。 姉妹の間をとり持つように、折衷案を提示し続ける母。 女たちにケツの毛まで毟り取られた父。笑 姉妹の微妙な関係や距離感と、 両親の二人への愛情(?)と。 父と飼っているウサギはお留守番で、 姉妹と母でグアム旅行に行く話。 いるかも、あるかも、こういう家族。 私だって兄とべたべた仲良い訳ではないし、 思春期の頃なんて本当に仲が悪かったし。 姉妹で仲良い友達を見てうらやましかったり。 どちらも可愛い子どもという、 両親の気持ちも この年になってわかるようになった気がします。 以前、7ルールに編集者の助宗さんが出ていて、 家族というのはチームプレーで、 家族というチームをみんなでうまく回していくための 役割でしかない、みたいなことを言っていて。 だから誰が稼いでも、誰が家事をやっても、 それは家族としてバランスをとって 機能していくための役割だと。 この本を読んでいて、 なんとなくそれを思い出しました。 グアムで珍道している間に、 父は父で戦いを繰り広げていた…みたいな最後は特に。笑 完全に余談ですが、 どうして今…みたいなタイミングで生理になっちゃう気持ちも痛いほどわかりました。笑 短くてすぐ読み切れます。 今いくらなのかわからないけれど、362円(税別)と書かれた値段に「安っ!」と思った私です。時代ですね。苦笑

    6
    投稿日: 2023.08.05
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    東京で垢すりマッサージのアルバイトをしている長女と、大阪で堅実に信用金庫に就職した次女、そして2人の母親が、今にも爆発するのではないかという一触即発の関係を抱え込んだまま、台風のさなかグアム旅行に出かけるという話です。 1970年代に、著者と同じく劇作家の山田太一が『岸辺のアルバム』で当時の家族の問題を鋭く衝き、大きなインパクトを与えましたが、本作にも現代の家族の問題を描きつつ、コミカルな方向へ突き抜けるような衝迫力を感じました。 前作『生きているだけで、愛』もシニカルなホーム・ドラマで、やや印象が重なるところはありますが、おもしろく読めました。

    0
    投稿日: 2017.07.21
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    性格真逆で不仲の長女と次女、そんな二人の間でおろおろ仲をとりもとうとする母。 そんな女三人の三泊グアム旅行。 フリーターでわがままの身勝手な長女と、信用金庫勤めで堅実な現実主義の次女という組み合わせが妙にリアルだわ。 姉はしっかり者、妹は奔放マイペース、みたいな世間一般のイメージとは違いますよね。 私自身は姉でもあり妹でもある立場なので、両方の言い分に共感できました(どちらかと言えば妹寄り)。 物語にただよう一触即発の空気と、本谷有希子の独特なユーモアセンスにニヤニヤがとまらなかった。 旅行終盤のがむしゃらとまで言える決死の思い出づくりから、ラストまでの展開もこの家族らしさがあって良かった。 本谷有希子の小説すべてがツボだわ。

    0
    投稿日: 2017.03.02
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    我が儘な姉、しっかり者の妹、日和見的な母の3人がグアムに旅立つことになる。 心がばらばらでスタート。 途中で、心のうっぷんが湧きだし、もめる。 いい方向にまとまらず、3人が抱え持つ問題も解決せず、不運続きなだけの旅行が終わる。 人気の作者さんらしいけど、我が儘で無計画なだけの姉が鼻につくだけで、中身がなかった。。。

    0
    投稿日: 2017.01.23
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    姉妹ってこんなにもいがみ合うものなのか? わたしは弟なのでこんなに距離感が近くない 兄弟でもどこか他人なんだな。 でも下の子は上みたいには絶対ならないとかああいう風にやったらいかんとか反面教師で生きてるから世渡り上手だし、逆に上はやって学ぶから図太くなれるし 家族それぞれのポリシーがある 嫌いあっているようで根っこはお互い信頼してる くだらない言い合いこそ家族 渦中にいるのはしんどいだろうけどいい家族に出会えた

    0
    投稿日: 2016.05.04
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     父を日本に残し、母と姉妹の三人でグアムへ旅行する話。家族同士の滑稽でくだらないやりとりの描写が絶妙で何度もクスリとした。家族の嫌なところはたくさんあるけど縁が切れるわけでもないので我慢するしかないという諦念や、母や姉(妹)のようにはなりたくないという反発、同じ女同士だからこその対立など、あるあると頷ける感情がそこかしこに散りばめられていたけれど、結局は嫌いになりきれないものだなぁと思う。皮肉とおかしみがちょうど良く混ざりあっていてとても面白い作品だった。

    0
    投稿日: 2015.12.17
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    電車内で笑いをこらえるのに苦労した。 そういう経験がなかなかない私には稀有な小説。 「テロリストやと思われるぞ、おかん」 裏日本からは逃れられない。 装丁もGOOD。

    0
    投稿日: 2015.09.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    【本の内容】 北陸育ちの姉妹。 長女は大学を出たもののバイト生活を送る、いわゆる「ワーキングプア」。 そんな姉を反面教師にした次女は、高卒で信用金庫に就職。 姉妹は母も交えた女三人でグアム旅行に出かけることになるが、長女の身勝手な行動のせいで、早くも旅は不隠なムードに…。 時代の理不尽、血の繋がった女同士のうっとうしさを、シニカルな筆致で笑い飛ばす、奇妙で痛快なホームドラマ。 [ 目次 ] [ POP ] 北陸出身の姉妹と母が3人で初の海外旅行へ。 東京在住の姉はワーキングプアで自分勝手、ギャルファッションに身を包む妹は姉のようになるまいと堅実に暮らす。 ぶつかる2人の間で気を揉む母はどこかマイペース。 ハプニング続きの道中と独特のセンスが炸裂する会話に笑いながら、リアルな心情に胸を突かれる。 劇作家として活躍する著者の新感覚家族小説。 [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ]

    0
    投稿日: 2014.11.06
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    ほんと面白かった。 娘しかいないお父さんって、このタイプ多いよね、と。 サービス精神が溢れてしまっているかんじ。 方言の会話がテンポ良くて、読んでいるうちに自分が おもち(何代目?)になって一家と一緒に過ごしているような。 帰宅時に何か読みたいなと職場の文庫書架で目についた一冊を考えなしに手に取ったのだけれど、この直前に『死刑のための殺人』を読んで「砂漠のような家族」に戦慄していたので、「大丈夫、こんな家族もあるよ」と慰められた。 こういうことがあるから本の虫は止められない。

    0
    投稿日: 2014.06.03
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    現代的な質感の言葉を繰り出しテンポよく笑える、よく出来たコント。父親の飄々さが、物語を可笑しいペーソスの上に支える。 実体不分明な匿名多数という権力としての「社会」が、誰でもない誰かを、「何か」として範疇化する。そうした言語による概念的規定を通してでしか他者を視ることができないのなら、そこに在るのは、当の個人そのものではなく、「社会」が機械的に撚り出していく言葉の束以上ではない。手垢に塗れた意味の塊でしかない、という無意味、物。逆に、その範疇を通してしか自己を視ることができないのなら、「社会」という権力に翻弄された自己喪失でしかない。 「社会」に対する態度は、闘争か逃走か、二つに一つだ。取り憑かれてはいけない、翻弄されてはいけない、意識を乗っ取られてはいけない、言葉を簒奪されてはいけない。 "お前、あたしにどんだけでかいもんに勝たせようとしとれんて! 無茶言うなや! そんなん勝てんぞ! 勝てるわけねえがい! 社会やぞ?" 自分を取り巻く不全感・閉塞感の原因を自分の人生がくぐり抜けさせられた社会情勢のせいにして、自己憐憫と他世代への嫉妬に精神的平衡を保とうとする「姉」のこの科白は、「社会」が媒体を通じて流通させている「ロスジェネ世代」という用語で以て自縄自縛している当の「姉」自身への批評へと、読む者を向かわせる。 上手い具合に、針が振り切れていく以外に、無いのだろうか。 "・・・、苦悩なんて誰にでもできるということに気づいて、じゃあもうそういうのは他の人に任せよう・・・" それでも、彼女の日常は、どうしようもなく続いていく。 この作品自体、「社会」に対する笑いを帯びた一つの悲鳴じゃないか。

    0
    投稿日: 2013.10.05
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    いがみあってる姉妹と母親、三人のグアム旅行は生憎の雨。行く先々でも日々の生活同様に、全然思ったようにいかない。妹からの提案で、母親のためにも旅行中は仲良くしようとするが、、、

    0
    投稿日: 2013.09.16
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    本谷有希子は人間のリアルな感情を文章にするのが上手い 劇団の脚本家はそんな傾向があるのでしょうなぁ 個人的にはお父さんのキャラクターが好き

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    投稿日: 2013.07.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    今まで読んだ『江利子と…』と『腑抜けども…』が私的にはありえないくらいだから何?って言う感じと、文章のひどさにあきれていたので、「あ、上手くなったな、ちゃんと小説になってきたな」と思えた。意外にも。 場面場面がはっきりしているところが演劇の脚本家である彼女らしく、ちょっと過度になるかどうかっていうすれすれで、面白く演出してもいるのだけれど、読み通してみて結果的に「描写がうまくなった」っていうだけだな、という気がした。もちろん描写から深みが生まれてくるっていうのもあると思うけれど、彼女の場合ただ場面の描写が小説の技巧的に上手くなったってだけで、この作家が奥行きがある人物だとは、私には到底思えない。

    1
    投稿日: 2013.05.21
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    母と娘二人の3人でグアムへ旅行。楽しいはずの旅が様々なアクシデントに見舞われ・・・。 元々ソリが合わない姉妹に、間を取り持とうとするもどこか間が抜けて空回りする母。 楽しいはずのグアム旅行も、着いてみればまさかの台風直撃。妹は歯痛に苛まれ、母は生理痛。 自分の境遇に満足せず時代を恨み妹を羨む姉に、姉を反面教師に堅実に生きてきたが社会人生活がしっくりこない妹。 元々ソリが合わない二人は、旅中に重なるアクシデントや互いの理解できない振る舞いにストレスが重なり、常に険悪ムード。 間を取り持とうとする母も、肝心なところでサンダルで足を痛めてたり、睡眠導入薬を間違って娘に飲ませたりと、いい感じに水を差す。 誰もが幸せに生きたいと思いながらも答えを見いだせず、せめてこの旅行は楽しく過ごしたいと思っても全て空回り。 そんな現代人の悩みを軽快にさらりとシニカルに書き切って、一気読みできる佳作。 でも自分が、いま置かれている境遇に満足しているタチなので、共感はできず。

    0
    投稿日: 2013.05.12
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    母、姉、妹でグアムに旅に出たよ。という話。 こじんまり、だけど、おおらか。 家族の女同士の人間関係。そこに少し社会的な要素を入れてみたり。 でも、結局社会的な要素なんて、個人の言い訳にすぎなかったり。 本谷有希子はちょっと照れ屋。 レトリックに走らずに、変にコミカルな感じのオチをつけたがる。

    0
    投稿日: 2013.04.06
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    女三人母、長女、次女でいく、上手くいかないグアム旅行。 いい意味でどんより(笑) 仲良くない姉妹の鬱屈した感情がばっちり笑いに昇華されてました。 留守番の父親がいい味だしてます。家族が旅行に出てからの父親だけを追った話が読みたいくらい。

    0
    投稿日: 2012.11.19
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    母姉妹の三人がグアムに旅行に行く話。長女と父親の会話がおもしろかった。 読んでるうちに私もグアムに行きたくなりました。

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    投稿日: 2012.09.04
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    完敗。 テンポよい北陸の方言での会話や、“おもち”のネタでゲラゲラ笑って勢いよく読み終えてしまったけれど、解説を読んで本谷さんの鋭さを感じて怖くなってしまった。まるで、頭のキレるやり手芸人だー。(なぜか残っているつまらぬ芸人ではなく、頭の冴えたずるがしこい人間。) 母、姉と3人で私もグアムに行ったことがあり、小説に登場するナイトマーケットの情景が容易に思い描けた分物語の迫力が3倍増しくらいになった。      なんて書きたいわけではなく、、、 本谷さんの表現する対象が、とっても好ましい! 痒い所に手が届く とはこのことであろう・・・   生きることに大半の時間を割いている つまらぬ日常をぬかりなく切り取って説明してくれる。   読解力のない自分には、こういうことぐらいしか本谷さんの魅力は解らないのだろう・・・ ああ悲しい。 家族の存在を確認するためにも。もう1回読みます。  オススメ!!    生きてるだけで、愛 を読んでウツウツさで苦手な方も グ、ア、ム は読めると思います。     

    0
    投稿日: 2012.05.03
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    薄かったので購入。いい話か救いようがない話かと思ったけどどちらでもなく。ちょくちょく面白いフレーズとか出てくるけど全体的には普通です。

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    投稿日: 2012.03.28
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    とてもシンプルな本。 ちょっとだけにやにやしながら一気に読めた。 本谷有希子の作品は一見普通のエンターテインメントっぽいので大して深く考えずにどんどん読めてしまう。 何かくだらないものに動かされている感の続く三人の、あまりに居心地の悪い旅行譚の中で時折り垣間見える「素直さ」みたいなものが待ち遠しくなる。 それはベランダで電話を切った後の妹であったり、母と妹が快晴のグアムを前に眠ってしまい、いびきの歯ぎしりの中での長女の思案であったりする。 それは絶望状態でも希望状態でもない、フラットな何かであったりする。

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    投稿日: 2012.03.01
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    母と姉と妹の3人(父は留守番)で、いざ南の島へ。だが女3人、遺伝子は一緒なのに、どうしてこんなに違うのか。それってやっぱり世代のせい? 家族って大変だ! 緊張感漂う2泊3日、壮絶で痛快なホームドラマ。 映像化、あるいは舞台ならそこそこ面白いかもしれないけれど、小説としてはそれほどの魅力を感じなかった。登場人物のキャラはよく立っていたが…。 (D)

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    投稿日: 2012.02.25
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    ロストジェネレーション世代の姉と堅実な妹と折衷主義な母がグアムに行く話 たまに出てくる父とおもち(うさぎ)が面白かった

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    投稿日: 2012.02.03
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    うん、おもしろい! いそうなキャラを極度にデフォルメして、それを普通の人の視点で描くといった本谷有希子のお得意パターン。 会話やモノローグが相変わらず隙間をつついた感じで笑える。

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    投稿日: 2012.01.16
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    誰にも感情移入できずイライラ。 ようやく少し楽しめそうかなと 思った所でまたイライラ。 こんなに不愉快な気分の読後感も 珍しいくらいひどい本だなと思って 他の方のレビューをみたら、 そういう作風なんですね。 ここまでいらっとさせるのを あえて作ってるのだとすると すごいかも。

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    投稿日: 2012.01.13
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    ロスジェネ世代に生まれた無防備な姉と、その少し下の世代の堅実な妹、それに間に立たされる母のグアム女三人旅の物語。 家族の間にある微妙なあの感じを描くのがうまくって、思わず自分も兄との気まずい会話、微妙なあの感じなんかを思い出してしまった。

    0
    投稿日: 2012.01.07
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    設定がでたらめに好きでした。 姉の気持ちいいほどの自分勝手っぷりと母のなんとなく姉妹の間に入っての切ない感じ、妹の真面目な正しさのトライアングルがすごく心地よかったです 方言も上手い具合に嫌みでない感じに使われていて物語に入っていきやすかった! 初めての3人での海外旅行がこんなに悲惨だったらもう、ほんと常に泣きそうになってしまうだろうなあ で、後で盛大に笑い話にしてやりたいです!笑 本谷さんの本、これからちょっとずつ読み進めていきたいなーと思います 私は立場的には妹ですがワーキングプアの刹那主義なもんで、現実主義者でちょっとぼーっとしている姉を思い出しました 私たち姉妹も性格が全く違うのでいつか旅行とかいってみたいですね もちろん母と3人で

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    投稿日: 2011.10.17
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    『時代が時代なら「うつけ者!」と斬りつけられてもおかしくないほど集中力を欠いた状態である。』 『人の顔に点在するほくろを線でつなぐと何かのメッセージが浮かび上がってきそうで怖い…だの。』 『長女は「妹をアリバイ工作に利用した、睡眠時間経過の誤認トリックを思いつきましたので」と泣き、「わけが分からん!」と父親からさらに怒られていた。』 『うるさいな、おとん! あほ! おとんがあほや! おとんが将来ぼけろ! ぼけ老人になれ! ー ぼけたらほっぽり出してやる! 裸で近所、うろうろしろ!』 『ちなみに長女が状況する際、彼が同様に出した条件は"AV女優にならないこと"だった。』 『信用金庫の同僚ともそれほど信用のある付き合いはしていない。』 『今のはたぶん「オランジィ・ジャゥス、プリーズ」と発音せねばならなかったに違いない。 ー 「オランジィ・ジャゥス」と言わなかったばかりにトメィトォ・ジャゥスが目の前に来てしまった。』 『「ビーファーチッキン?」もうビーファーとしか聞こえない。どうせお前ら分からないだろうと高をくくり、本当にビーファーと言っているとしか思えない。』 『あー、何が幸せなのか分からないけど、今が幸せじゃないことだけは、分かる。』 『ああ、一人って楽だな。人間って他人といなければストレスなんて発生しないんだな、と思えてきた。』 『やきもきー、と実際に声に出して言ったのは、彼女にとってもこれが人生で初めてのことである。』 『やがて次女が死刑台にこれから上がろうとするかのような表情でバスルームのドアを重々しく開けて現れ、そこから一歩も動こうとせずに声を発した。』 『お前はいっつもそんなんやからやろ? なんでお前はいっつもそんな自分が正しい、みたいな言い方するんじゃ。なんの、どんな根拠があってお前が正しいんじゃ。』 『もういい。なんでもいいから、おかん、喜ばせよう ー 楽しいふり、しよう』 『甘酸っぱ辛い!』 『苦悩なんて誰にでもできるということに気づいて、じゃあもうそういうのは他の人に任せようと目をつぶった。そうだ、苦悩なんて誰にでも、できる。』

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    投稿日: 2011.10.16
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    『腑抜けども…』のような爆発的なトンデモなさはないけれど、この人の描いていきたい「家族」というものが、フツーに伝わる一冊になっています。 なぜ、『グ、ア、ム』なのか。 そしてそれをタイトルにする感覚、好きだー。

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    投稿日: 2011.10.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    物語後半に出てくる姉妹の口喧嘩が一番好きでした。 おねえの言ってることはあからさまにイロジカルなのですが、そうだと分かっていても、自分の現状を全部人のせいにしてしまいたくなる気持ちに、ちょっと共感。

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    投稿日: 2011.09.18
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    母と娘二人でグアム旅行に行く、というお話なのですが、登場人物が半端なく個性的で、そのドタバタぶりに読んでる方もなんだか同じように慌てふためくようなテンションで読まされちゃったような印象。自分もその場にいるような気持ちになりつつ「あ〜いるよね、こういう困った人」と客観的に共感しながら読むのは楽しかったです。 それにしても本谷有希子さんの作品に出てくる人は、みんな性格がトンがっていて強烈ですねぇ。何となくですが、どの作品も舞台映えしそうな気がします。(舞台あんまり見に行ったことないけど、なんとなくそんなイメージってことで…)

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    投稿日: 2011.09.10
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    人間(特に女性)のマイナス感情を描かせたら右に出るものがいない本谷有希子。 今回は、母・姉・妹の女三人グアム旅行という楽しそうな題材にも関わらず、やっぱり本谷ワールド全開。 ワーキングプアな姉は、自分の現状を「ロストジェネレーション」のせいにし、そんな姉を反面教師にして堅実に生きる妹はギャル風ファッションに身を包む。 そして、母親はそんな二人に気を使い過ぎる折衷主義の人。 家族小説風なストーリーでありながら、ユーモア小説風(?)の結末。 登場人物のキャラクタが明確なところは、劇作家としての一面が表われているのかもしれませんが、物語としてはとてもわかりやすいです。 本谷さんの話としては、「歪み」度が甘いかもしれないけれど・・・。

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    投稿日: 2011.08.21
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    金沢弁全開のセリフが懐かしい。 互いに反発しあうおねぇとチビ助、その二人の間を取り持とうとするおかんのハッピーでない物語。なかでも、グアムに行かずに呑気におもちと過ごすおとんのキャラが好き(笑) (2011/8/14)

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    投稿日: 2011.08.14
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    むっちゃ笑った。家族構成がうちと一緒で、色々わかる!ってとこもあっておもろかった。けど、心にずしーって残るわけじゃないかな~とにかく笑える!

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    投稿日: 2011.08.07
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    刹那主義的にフリーター生活を続ける長女。そんな姉を反面教師にして、高校卒業後に地元の信金に就職した、堅実な次女。2人の仲を取り持とうとする折衷主義の母。 三者三様の女性の日常のちょっとしたトラブルを、スラップスティック調で描いたホームコメディ小説。 ストーリーは、女性3人がお互いをどんなふうに見つめ、分析し、現在に至ったのか。そして、人生初の海外旅行(inグアム)でのドタバタぶりを描くという展開。 物語を通して、【世の中は「是か非か」「イエスかノーか」という単純な二者択一で割り切れるようなもんじゃないんだよ】というメッセージを読み取ることができる。それ故、今作では「3」という、2つで割り切れない数字が大きな意味を持って、随所に現れる。 女性3人であることはもちろん、3日間のグアム旅行、ダブルベッドとエキストラベッドのくだり、チャモロ族の身分の3階層、トリロジー(3連)のダイヤ、そして『グ、ア、ム』というタイトル…。 作者の「工夫」せんという思いは理解できるが、ドタバタ部分が長すぎて、やや悪乗りに過ぎる思いがした。チャモロ族のナイトマーケットでの、感情の爆発・シリアスな展開もいささか唐突だ。 「ユニーク」な作品であることは確かであるが、おもしろいかどうかのツボは人それぞれか。本谷さんの小説群において、本作は僕にとっては外れ。

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    投稿日: 2011.07.27
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    自分に姉妹はいないけど、この感じわかるなー。お父さんのキャラがいい。本谷さん初めて読んだけど興味出てきた。

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    投稿日: 2011.07.19
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    私の目標として、オカンをドイツ旅行に連れて行くってのがあって、多分その時には妹も来るんだろうけど、確ッ実にこれと同じ状態になるやろな。

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    投稿日: 2011.07.14
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    決してウマがあうわけではない母娘3人が「最悪の」グアム旅行に出かけるコメディ。 チャモロ村に到着してからの「家族」の力、じわ~と温かい展開が好き。 道は違えど、3人がんばって生きている。ひとり日本で留守番する父親もいい味。 MVP:おもち(かわいいから)

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    投稿日: 2011.07.13
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    本谷有希子にしては毒が少ないというか、パンチが弱いというか。 姉のキレっぷりでいえば「腑抜けども〜」の方が面白い。

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    投稿日: 2011.07.07
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    女三人家族の話。社会人になり、それぞれの道を行く長女と次女。彼女らが社会人になっても陰ながら支える母親。血でつながった彼女たちがある日「家族旅行」としてグアムへ行く。そこで待っていたのはとんでもないグ、ア、ム……。 全編一貫した家族特有の「遠慮ない痛々しさ」に満ちている。最近、国外の古い家族小説を読むのだが、それらには家族は社会の縮図という普遍的なテーマが分かりやすく隠されているのに対して、この小説は社会の入る余地がない、殻としての居心地良い家族小説に仕上がっている。 ちなみに父親もいる。うさぎのおもちもいる

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    投稿日: 2011.07.07
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    うーん。これはつまらなかったなぁ。 ドタバタ騒ぎが続き、そのまま収束していって終わっちゃった感じ。あえて言えば、お父さんがでんと構えていて素敵だった。お父さんとうさぎのお話を描いたほうが面白かったかも。

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    投稿日: 2011.07.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ******引用******  調子が悪いのは、歯のせいだ。  でもそうだとしたら、こんな少しの痛みごときで、自分がようやく長い時間をかけて形成させたと思っていた人格が揺らいでしまっているとは何事だろう。私が姉を反面教師にして培ってきた人間性がヤワなはずなどないのに。まさかこんなにも呆気なく、人生を賭けて「得た」と思っていたものが崩壊するのか。 ―― 『グ、ア、ム』 p.108

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    投稿日: 2011.07.06