
総合評価
(14件)| 4 | ||
| 5 | ||
| 2 | ||
| 0 | ||
| 0 |
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
人間讃歌、と言う言葉が自分としては一番、しっくり来る作品だった。人物が(少数の例外はあれど)皆、それぞれの形で人間と世界の善性を何処かしら信じている、何かトラブルや不幸があったとしても、きっと乗り越えて行けるという、宗教で刷り込まれたような頭での信念と言うよりも、魂の奥にある性向とも言うべき心が感じ取れる。 世界とは、本来そういうものなのだ、そうあるべきなのだという、サローヤンのメッセージと受け取れた。不幸があっても、周りが支えてくれる、自分を想ってくれる人が必ず居る、だから「それでもなお」と思うことが出来る。 最後には(予想通り)マーカスに不幸が起こるのだが、それでも暖かな感じが残るのは、おそらくそのようなメッセージが感じ取れるからか。 コメディ、とは、元々悲劇で無い劇を指すものであったのならば、この物語は正に、そう言う意味でのコメディ以外、何物でも無いだろう。 サローヤンの私生活を思うとやや見え方も変わるものの、解説にあるように、そう在りたい、あって欲しいと言う信念ないしは願いが込められている作品とも思える。 個人的に好きなエピソードはいくつもあるのだが、一つ目はホーマーがサンドヴァル夫人に電報を届ける時の居た堪れないような怒りの気持ちと、それを母に話すところ。やり場の無い無念、それが、自分たちと関わりのない場所で、安全な場所から人を害するだけの強欲な存在によって引き起こされていると言う怒りの感情は、本当に言葉にし辛い。 他に好きなのは、ハードルレースで不実を働いたバイフィールドに対して、「弁明の機会を与える事こそアメリカ」「それを理解しない者こそ外国人」と言われるシーン。我が国も含めた今の世界を思うと、この言葉を言える事こそ、本当の誇りだと思えてしまう。
3投稿日: 2025.07.20
powered by ブクログ第二次世界大戦中のアメリカを舞台にした物語。戦時中の人との繋がりや人間性に訴えてくる心に響く良書である。 現代(2025)においても、残念ながら戦争は起きている。ニュースやネットでは戦争の様子が直ぐに状況が反映され、それらの情報の正否や偏りは正確にはわからならいが、現地で起きている凄惨なことが起きていることは想像に難く無い。 この作品においては、戦争中には人と人との繋がりを強調している。そして、多様な価値観だろうが、人種、宗教関係なく、困難な時代を生き残るために、皆で支え合う姿がとても心にくるものがある。 この作品で好きな言葉がある。「悲しいときほど、人に優しく」だ。この言葉は戦時中でも現代の私たちにも活かせる言葉だと私は思うのだ。
0投稿日: 2025.05.11
powered by ブクログ優しい文章で読みやすかった。 戦時下、アメリカの小さなイサカの町で繰り広げられる人々のあたたかなやり取り。 私もイサカに行ってみたくなった。 優しい気持ちになった。
4投稿日: 2024.08.24
powered by ブクログいろいろわかっているつもりで、半分もわかっていなかった。すべてを理解するには一生あっても足りないかもしれない。誰だってそんなものなのかもしれない。でもぼくは知りたいんです。知らないままで終わりたくない。
0投稿日: 2024.05.24
powered by ブクログ素直に良い本だと思いました。 4歳から少年兵まで、何気ない日常にいろいろな感情、気持ちをおりまぜて、うまく表現されています。 ふつーにという感じですが、それをこんな風に書けたらいいな、と思う内容でした。 だんだん、悲しいような感じがするんですが、でもす~と読み終えました。
2投稿日: 2024.01.12
powered by ブクログ表題ほど明るいわけでは無いけど、希望を感じることができるお話しだった。 日本が太平洋戦争で世相が暗くなる一方の中、太平洋の向こうの「敵国」で生きる、貧しき市井の人が、どういう生き方をしていたのかを感じることができた。 民主主義に対する絶大な信頼とか、健気に生きるホーマー少年に対する電報局長の優しさとか、兵士が敵兵を恨まない姿勢とか、アメリカ人のアメリカ人たる所以とも言えるような美点を感じることができたのは良かった。 P276 「名前は両親にではなく施設でつけられ、両親がどんな人物なのかも知らず、どこの国の人かも知らず、自分が何人の血を引くのかも知らないのだからね。(中略)」 「きみはアメリカ人だ」マーカスがいう。
5投稿日: 2023.08.08
powered by ブクログtwitterで日本の古本屋さんが年に一度は読むと紹介していたので、飛びついたのですが、そこで紹介されていたのは恐らくバルザックの方。でも、結果間違って良かったかも! マコーレイ家のホーマーの健気なこと、老電信士との心温まる交流…戦争や老いによる死からは逃れようもないけれど、それでも人間は、人間の良心は素晴らしいと思いました。 世の垢にまみれた心を洗い流してくれる一冊でした。 私が読んだのは晶文社 文学のおくりもの16 小島信夫訳のです。
4投稿日: 2023.02.19
powered by ブクログ第二次世界大戦中、アメリカの田舎町イサカ。 若い男たちは戦争に出ている。 残った少年が老人と共に電報配達の仕事に従事する。 届けられる電報の多くは、若者の戦死を告げるものだ。 この戦争の敵国が日本であることを思うと辛いけれど、もっと普遍的な、人間と、家族と、近隣と、都市と、国家の関わりを噛み締める、優しい物語。 最後、母は息子の友人を家に迎え入れる。 WELCOME STRANGER 本書の冒頭、アルメニア移民としてアメリカに育ったサローヤンが母へ捧げた献辞に帰ってくるラスト。「平易」で「実直でからりと明るい」小説だった。
0投稿日: 2023.02.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
森下の古本屋で小川敏子訳で出ているこちらと、関汀子訳で出てる人間喜劇が並んで売っていた。人間喜劇のほうは700円で、こちらは400円だった。 関さんの訳が好きだけど高いからヒューマン・コメディにしたのだ。 あくまで訳文という印象から抜け出せぬまま終わってくやしい。古典を古典として読まなければいけないのはなかなか心苦しかった。状況やおこなわれている会話は分かるけれど、上手く自分のなかに入ってきてくれなかった。けれどもこの話自体が面白くないということではないのだとおもう。関汀子さんのほうでもう一度読んでこの小説をちゃんと味わいたい。
0投稿日: 2022.02.25
powered by ブクログサローヤンの少年時代と、主人公ホーマーを重ねて読んでみると面白い。 いろんなストーリーが組み込まれている物語
0投稿日: 2022.02.03
powered by ブクログいっぱい本読んでると、またこの展開か、またこういう設定か、と「自分は一体なんのために本を読んでいるんだい?」と頭がぽわわすることがある。(ほぼ毎日)しかしだな、この本はだな、第二次対戦の最中の、耐えしのぐ国民を近所ぐるみで描いているのだが、いちいち心持ってかれるのよ。ホーマーつう14歳の子がもぐりで電報配達の仕事してる。そうさ、大体が「息子が戦死しましたよ」つう内容。皆呆然として、ホーマーを抱き締める。その日はショックで、次の日のご飯の時におかんにポツポツ話す。4歳の弟もアイドルみたいに可愛い。
0投稿日: 2020.10.28
powered by ブクログ大好きな音楽アーティストがこの本を何回も読んだと言っていたので、読んでみました。 本を読む習慣がなかなか身に付かない私が古典作品を読んだので、なかなか読み進められなかったですが、心が温かくなる良いお話だと思いました。 すごいな、強くて優しい人だなって思う登場人物が印象的でした。主人公も頑張って生きててすごく優しいなと思いました。
0投稿日: 2020.06.18
powered by ブクログ苦しみや悲しみなど、否定的なもの全てを含んでも、それでも人生は生きるに値するものだと…。悪人は登場せず、悪く思えても必ず何かしらの頷ける理由があり…。 みんなが「一生懸命」なのです。 「古典」が古典たる所以を教えてくれる一冊でした。
0投稿日: 2018.02.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
図書館のなかに入ると、しんとしている。おごそかなまでの静寂だ。さきほどの葬儀の続きか、と錯覚してしまうほどだ。老人はそれぞれに新聞を読み、賢そうなおとなたちが本の山に向かい、ハイスクールの生徒たちは調べ物をしている。物音ひとつしない。彼らは偉大な知恵を求めてここに来ているのだ。膨大な数の本のなかからそれを探し出そうとしている。ライオネルはひそひそ声になっただけではなく、つまさき立ちで音を立てないように歩く。この静寂は本を読んでいる人の邪魔をしないためのものではなく、本そのものに敬意を示すためだと感じたらしい。ユリシーズもライオネルにならってつまさき立ちで歩き、ふたりは図書館を探検して宝物をたくさん見つけた。ライオネルは本を。ユリシーズはたくさんの人を。ライオネルは本は読まない。図書館で本を借りるつもりもない。眺めるのが好きなのだ。何千冊もの本を眺めてごきげんだ。棚に整然と並ぶ本をライオネルはユリシーズに指し示す。「これぜんぶ、本だぞ。あれもぜんぶ。赤いのがある。こっちもぜんぶ本だ。緑色のがある。これみんな本だぞ」(p.234) 仲良し二人は謎と冒険がぎっしり詰まった世界の奥へと進む。ライオネルはずらりと並ぶ本をユリシーズに指さして見せる。「これも。あっちも。こっちにあるのも。みんな本だよ、ユリシーズ」少し足を止めてじっと考え込み、ユリシーズに話しかけた。「いったいなにが書いてあるんだろう」広々とした空間を占める5つの本棚にびっしりと収められた本を指さす。「これぜんぶに、なんて書いてあるのかなあ」ライオネルは一冊の本に目を留めた。芽吹いたばかりの草のような明るい緑色だ。「ほらごらん。きれいだろ。ユリシーズ」 ライオネルはおそるおそるその本を棚から取り出し、そのままじっとしていたが、思い切ってページをひらいた。「見ろユリシーズ!本だよ!これが本だ!見て。なにか書いてある」ライオネルは文字をひとつ、指さした。「『A』だ。これは『A』っていうんだ。ほかの字もある。なんていう字かなあ。一つひとつちがうんだ。言葉も一つひとつちがう」ライオネルはため息をついて本棚を見わたした。「ぼくにはきっと読めないんだろうなあ。なんて書いてあるのか知りたいなあ。あ、絵がある。女の子の絵だ。ね?」ライオネルはページを繰っていく。「字と言葉がずっと続いている。最後までぜんぶだ。これが図書館だぞ、ユリシーズ・ここは本だらけなんだ」ライオネルはあこがれのまなざしで文字を見つめている。そして読んでいるつもりでぼそぼそとなにかをつぶやく。しかし、あきらめたように首を横にふる。「なにもわからないや。字が読めないとだめだ。ぼくには読めない」 ライオネルはそっと本を閉じてもとの場所にもどした。仲良し二人はつまさき立ちで音を立てずに歩いて図書館を出た。ユリシーズは片足をぽんとうしろに蹴り上げ、新しいことを学んだよろこびをあらわした。(pp.236-237) 「人の苦しみや悲しみを自分のこととして受け止めたから。だから泣いたのね。それができない人は、人として本物とはいえない。世の中の苦しみに対して涙を流せないのは、まだ人として未熟ということなのよ。世界から苦しみが消えることはないでしょう。だからといって絶望しないで。すぐれた人はあえて世の中の苦しみに目を向けるわ。愚かな人は、自分が苦しいときをのぞけば人々の苦しみに気づかない。心が貧しい人、邪悪な人、運に見放された人は、いく先々で苦しみを周囲に押し付け、まき散らす。それはたぶん、だれの罪でもない。だって人は自分で望んで生まれてくるわけではないんだもの」(p.224)
0投稿日: 2017.11.14
