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閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済
閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済
水野和夫/集英社
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総合評価

25件)
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    幾人かの学者らが、資本主義、近代が終焉に向かっている事を指摘するが、本書の著者・水野和夫氏もそうである。 水野和夫氏は、マクロな視点で歴史に注目し、超低金利が、『長い16世紀』が利子率革命により、中世を終わらせ、近代システムが開始したように、現在の低金利が、資本主義と近代システムを終わらせるという。 その先の未来は、『世界は複数の『閉じた帝国』が分立し、その帝国の中で幾つかの『定常経済圏』が成立する。』状態がしばらく続くという。 その閉じた帝国の分立状態を、彼は、『長い21世紀』と呼ぶ。 『長い21世紀』とは、『長い16世紀』が国民国家が分立していたように、新たな中世のような状態『新中世』を意味する。 『長い21世紀』の始まりは、1973年のオイルショックであった。 『長い21世紀』は、今から2100年頃に完成するというポスト近代のシステム完成迄の過渡期である。 この時代のモットーは、『より近く、よりゆっくり、より寛容に。』だ。 つまり、近代システムの真逆だ。 『長い16世紀』の時代に、誰も次の時代がどんな時代になるか予想できなかったと同様、近代システム終焉後の新たなシステムは、誰も予想出来ないという。 ホイジンガが中世から近代への移行が、小さなさざなみが、やがて大きな波に変わっていったと表すように、ポスト近代のシステムもそのように完成して行くだろうという。 そして、縁故資本主義など、『悪しき中世』的な現象は、既に見られている。 これは、富める者の資産の三分の一は相続によるものなどを指す。 つまり、中世の王侯貴族のように、エリートら富める者が固定され、世界を支配しているということだ。 これらは、先日読んだ『ポスト・デモクラシー』のエリート企業が、ロビー活動で政治を支配し、民主主義の状態は、中世に逆戻りだという主張に通づる。 世界は閉じていくであろうというのは、経済的には僕にはわからないが、政治的にはそうであろうと思う。 何故なら、一国では対応するには難しい問題が幾つも存在し、各国が緊密に連携する必要があるからだ。 水野和夫氏も紹介するように、国民国家というシステムは、過渡期的存在であるというが、なるほど、国民国家の上位に位置する存在が無ければ、世界で何かを決定したり、アクションを起こすには、非常に難義である。 また、水野和夫氏は、『長い16世紀』において、『陸』の中世封建システムから『海』の近代世界システムへの大転換が起きたと述べる。 シュミットの言うように、世界史は、陸の国と海の国の戦いであるという。 『海の国』アメリカの時代は、終わりつつあり、『陸の時代』への移行期に現代はあるという。 近代システムの一つである『より遠く』のフロンティアが、最早存在しない。 金融の話で解り難い部分があったが、後半は読みやすく、よく理解できた。 また、水野和夫氏は、一見マイナーでありながら興味深い著作を読んでおり、読書家の一人としても参考になる。 本書は、ウォーラーステインの世界システム論に開かれており、必然的に、『近代とは?』や今後の資本主義に考えねばならず、読み応えがあるのは確かだ。 他に、本格的に資本主義とは異なるシステムに持っていくには、現在の株式会社と投資家の関係を変えて行く必要があるように思えた。

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    投稿日: 2021.06.06
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    水野は「海の国」である英米が海洋から「金融・電子空間」にシフトしたものの、ゼロ金利時代を迎えた今、資本主義が滅びることは避けられないと説く。資本主義後を提示するのは困難極まりないが、「閉じた帝国」になると予測している。 https://sessendo.blogspot.com/2019/10/21.html

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    投稿日: 2019.10.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2019/06/14:  600年続いた、西欧の資本の蒐集による資本主義は、未開拓の地がなくなったことで、限界に達した。  アメリカが電子空間を新たな未開の地としたが、一時的な者だった。  これからは、再び帝国の時代に、それも「閉じた帝国」の中で、資本の拡張を前提としない「定常経済圏」による社会がうまれる。 --- という内容。以前民主党が政権をとっていたとき、仙石さんのブレーンとして内閣官房の内閣審議官をやっていた人。 --- 海の帝国の時代から、再び、陸の帝国の中国やロシアが勃興し始めたとも書いている。日本の向かう「閉じた帝国」は、どこって考え始めると、それは中国じゃない、アメリカは没落するので、もしかして、ロシアとかインドとか??とか、考えると、閉じた帝国ってのも、なかなか難しいと思う。

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    投稿日: 2019.06.15
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    70年代以降の新自由主義的グローバリゼーションに対して、世界は閉じていくプロセスに突入した。歴史の危機の解決策は、この国民国家へのゆり戻しの延長には無い。5百年続いた近代システムそのものが資本主義とともに終わりを迎えつつあるからだ。 帝国というと、ダースベイダー、悪い皇帝が支配するイメージでしたが、国家を超えた大きな閉じた経済・政治圏ということなら、ありかも、と思いました。

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    投稿日: 2019.04.14
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    今後の世界経済の動向を見据えた上で日本がどの方向へ行くかを示唆した一冊。 ただ、抽象的な話が多く、正直あまりよく理解できなかった。 最後の「日本がEUに加盟すれば」というのも荒唐無稽すぎ。

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    投稿日: 2019.01.18
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    前作を受けて、「長い21世紀」の果てに、世界はどうなるのか、といった問題について、著者の展望が述べられている。それは十分に説得力のあるものだ。ヨーロッパはやはり底力がすごい。米国追随一辺倒のこの国に未来はあるのか?あきらめないことが大事と著者はいう。

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    投稿日: 2018.12.05
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    【由来】 ・図書館の新書アラート ・楽天ポイントで失効するのが1100ポイントあったので、買った。 【期待したもの】 ・ ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。 【要約】 ・ 【ノート】 ・ 【目次】

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    投稿日: 2018.10.28
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    経済の専門家による、資本主義について述べたもの。資本主義は資本の増加により成り立っており、経済規模が膨張することによって万民に富が行き渡り、それによって民主主義も成り立つ。今後、フロンティアがなくなり資本が増えない状況では、資本主義は成り立たないため、閉じた社会へと変革が必要だと著者は述べている。ピケティの考え方にも同意しており、格差の拡大に警鐘を鳴らしている。ウォーラーステインやケインズにも触れ、歴史的分析もされており、面白く読めた。 著者の考え方には概ね同意するが、閉じた社会に移行しつつある欧州との意見には、ドイツの状況を見る限り疑問。今後、日本のとるべき方向についても、単純には同意できない。今後の生き残り戦略を考える上で、閉じる社会や陸上国的考え方の導入は、わが国には困難であろう。 「日本の賃金は、1997年以降、現在に至るまで下落傾向が続いています。その一方で企業の当期純利益は2001年度をボトムに増加基調に転じ、2015年度の最終利益はリーマンショック前の最高益を49%も上回っているのです」p21 「アメリカに流入する国際資本は、2007年の最盛期には対GDP比で26.6%もあったのですが、2016年1~9月期には8.8%へと、およそ1/3にまで低下しました。これは、1982年の8.7%とほぼ同じ水準で、グローバリゼーションのスタート時点に戻っていると言えます」p26 「資本と国家が円満な結婚生活を送るためには、パイの拡大、すなわち経済成長が必須条件です。逆に言えば、経済成長が止まれば、民主主義と資本主義の両立はできなくなります。その転換点となったのが、1973年のオイルショックでした。これが「長い16世紀」に匹敵する歴史の転換期、「長い21世紀」の始まりです」p30 「世界的な低金利が示唆しているのは「実物投資空間」では、もはや経済成長ができないということなのです。しかも、資本の反対側には生産力が存在します。生産力が過剰になれば、もはや需要を新たに生むことはなく、不良債権が生まれるだけです。10年国債利回りがマイナスになったということは、新規投資をすると既存の資産が不良化するというサインなのです」p41 「「より遠く、より速く、より合理的に」→「より近く、よりゆっくり、より寛容に」」p240 「中国を待ち受けているのは、バブル崩壊後の日本と同様、長期にわたるデフレや低金利です。それはすなわち、投資機会の消滅に向かっているということになります」p170 「現代は、かつてないほどマネー過剰経済になっています。マネー過剰経済では、バブルが発生して膨れ上がっていく局面で設備投資や雇用が増加し、それが崩壊すると一気に需要が減り設備過剰となって、工場の稼働率が下がり、リストラが行われ、デフレとなります。このとき当然、工業の原料である鉱物資源も価格が急落しますから、中国の本格的なバブル崩壊は、ロシア、ブラジルなど他の新興国にも及ぶことになるでしょう」p173 「高利貸しは、教会や貴族にとってライバルとなる危険性があったため、教会は利息をとることを禁じていました」p177 「国民国家においては、かつては国王と貴族しか味わえなかった贅沢を国民全員が平等に求めるようになりました。欲望に限界はないので、人々は過剰な要求をします。民主主義の下では、施政者はそれに応えなくては、政権の維持ができません」p182

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    投稿日: 2018.10.21
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    資本主義は蒐集する。フロンティアが存在した時代は蒐集することで資本主義の拡大は担保されたが、フロンティアが存在しない現在においては勝手の帝国主義がひとつの生き方である。EUは陸の帝国を目指している。 金利は自分の使える金を預ける事に対するプレミアムであるのでゼロ金利は投資にプレミアムがつかないと言う事である。 ゼロ金利、成長無き時代の日本が歩むべき道について示唆を与える書物である。

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    投稿日: 2018.07.09
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    「より遠く、より速く」周辺へ拡大を続けることで維持されてきた資本主義というシステム。だが、もはやすでに拡大の余地は残されておらず。経済的な成長は望めない。それに抗おうと金利を下げても、投資先がないのだから、効果は低く、せいぜいが短期間の延命策にすぎない。これからは、拡大ではなく閉じていくしかない。その大きな流れでみると、トランプ政権の施策、ロシア、英国の動きも腹に落ちてくる。 16世紀に海の向こうとの貿易で拡大が始まった資本主義は、これから逆方向へ向かう。その時参考になるのは、16世紀までの社会の仕組み。もちろん、専制君主的な社会は全否定すべきだが、低成長で地味だけど、もしかすると穏やかな社会。これからそういう社会に向け、着地点を探るいろいろな動きが出てくるのだろう。 歴史、経済の視野から大きな歴史の転換点を読み解いた本書はすごい。前作も読んでみたい。

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    投稿日: 2018.07.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    日本はEUに加盟すべきと提言します 近代と言う無限に広がる空間の中で株式会社より遠くへ行くための最適な資本調達制度でした株式会社は不特定多数の株主からより遠くへ行くために巨額の資金を効率的に集めることができました。しかし21世紀の資本が過剰な時代により多くの首相止める必要はありません。 中世においてはリベラルアーツを重視しましただが16世紀に活躍したのは哲学科学経済の要素様を全て身に付けた人々でした。 1,930年代にヨーロッパとアメリカの一人当たりGDPは4,641ドルです一方現在の日本は23,569ドルと推計されます1930年の欧米の成果水準5.1倍となっています日本の経済状況はケインズが予測した通り1930年に記した我が孫たちの経済的可能性と言う論文の中で1,000年後には100年後にはヨーロッパとアメリカにおける平均的な生活水準はおよそ4倍に引き上げられていると思いました。 ところが検事も心配していました富の蓄積がもはや高い社会的重要性を持たないようになるそのうちゼロ金利時代が到来すると財産としての貨幣愛はありのままの存在として多少忌々しい量的なものとしてまた衰えを泣きながら精神病の声専門家に委ねられるような半ば犯罪的で半ば病理的な性癖の1つとして見られるようになるだろう もはや無限の包丁が不可能な事は明らかですからポスト近代システムを一定の経済圏の需給体制を作りその外に富谷罪が出て行かないようにすることが必要ですその条件を満たすには閉じて言う事ですが月になります。

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    投稿日: 2018.01.28
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    近未来をさぐる最後は、エコノミスト水野和夫さんの最新刊。近代資本主義の終焉を見通し、そこからゼロ成長の「地域帝国」へと進んでいくという大胆に思える予測ですが、未来を定常型社会としてとらえるというのは広井良典さんにも見られる発想であり、これが経済学の分野からも提唱されるのは、一考に値します。 ただし、そのためには対米従属と決別すべしという提言が何より難しい課題であるのは、私たちが変えていかなくてはならないハードルです。

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    投稿日: 2018.01.17
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    数百年のスパンで展望する資本主義社会と国家の鳥瞰図です。著者持論の超低金利社会の歴史的意味とそれに対応すべく移行中の「閉じてゆく帝国」がわかりやすく説明されています。今後の日本の進むべき方向については各自異論はあると思いますが、それは、自分で考えていくしかないですね。

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    投稿日: 2017.12.28
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    もう、この手の本を読みすぎて、一体何が正しいのかわからなくなっているが、前作同様どうもスッキリしない読後感だったので、自分としては珍しくメモを取りながら2回読んだ。それでも違和感が残り、全面的に『閉じた地域帝国』なる提案を素直に信じきることができない。 全体的に根拠の提示がない断定、無批判な引用、自説に都合の良いコジツケ、論理の飛躍が散見される。これ程の頭の良い人が考えたことなのだから何か裏付けがあるのだろうとは思うが、丁寧な説明を大胆に省いて勢いだけで論を展開する姿勢は、ある意味読者を説得する意思を放棄しているように見える。これでは科学でなく宗教だ。 幾つか感じた違和感の例。 1)著者が論じる社会構造の転換は、数百年単位のスパンなのに、高々直近十数年の利子率トレンドで議論するのは乱暴ではないか? 2)海の国と陸の国の定義が曖昧。コロンブスやバスコ・ダ・ガマを擁し、その後のイギリス同様新世界から略奪しまくった地中海諸国が陸の国で、大して植民地も持たなかったオランダが海の国? 金融立国が海の国的なら海のないスイスやルクセンブルクも海の国なの? 3)日銀はマイナス金利で無限の徴税権を手に入れたと言うが、マイナス金利の下限は-0.5%とも言っていて、大した権利ではない。自説に都合の良い主張の典型。 4)ヤマト運輸の例も一企業の戦略ミスを以て、資本主義終焉の根拠とするのは乱暴。ヤマトはAmazonにしてやられて独占的地位を上手に活用できなかっただけでは? 5)実物投資空間と言う概念の説明も不親切で、一体何を指しているのか解らない。仮にそんな空間があったとして、本当にそれが消滅したのか根拠が示されない。利子率の低下が実物投資空間の限界の根拠とされているが、実物投資空間の消滅が利子率低下の原因とも言っていて、これでは因果関係の説明になっていない。 6)近代資本主義の原理が『速く、遠く、合理的』だと言うが、それは信頼できる学説なのか?仮にそれが正しいとして、現状の原理が行き詰まったからと言って正反対の方向に進めば成功する根拠は何か? 別のベクトル軸を設定する考えはあり得ないのか? 部分的には説得力のある説もあって、全面的に否定する気にもならないが、とにかく議論が荒くて納得感が得られなかった。

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    投稿日: 2017.12.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    【文章】  読み易い 【気付き】  ★★★★★ 【ハマり】  ★★★★・ 【共感度】  ★★★★★ フロンティアが無くなってしまった現代において、常に成長し続ける事は不可能。閉じた空間で投資を行う事は、将来の不良債権を生んでいるのに等しい。それはつまり、資本主義の限界。 資本主義の本質は、蒐集による無限の資本増殖。 資本主義と民主主義が繋がるには、経済成長という媒体が必要不可欠。 世界の富豪上位8人の資産総額 ≒ 下位36億人の財産、 一人の能力が、下位50%の平均的な能力の4億5千万倍あるとは到底説明がつかない。 「より遠く、より早く、より合理的に」を求める結合するための技術(蒸気、IT)がグローバリゼーションとエネルギーの多消費を促進してきた。 今後も資本主義に邁進していくのならば、宇宙を開拓していくしかない。 現金から電子マネーに切り替えるとき、中央銀行がマイナス金利によって徴税権を得ることに等しい。 ゼロ金利は、これ以上生産力を増やす(投資)必要が無いというサイン。不便(貯蓄の必要)が無い理想の社会が実現したということ。 今後は「より近く、よりゆっくり、より寛容に」を戦略とした成長を前提としない社会システムが望ましい。 採掘に掛かるコストの増大により、化石燃料のエネルギー収支比は年々下がってきている。

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    投稿日: 2017.10.11
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    グローバリゼーションが収縮に転じた今、貨幣が神の座から滑り落ちようとしています。 無限の空間においては、貨幣が資本に転化することで、無限の神となりえた。フロンティアが消滅し、グローバリゼーションが限界となった現代の有限な空間において、無限に膨張する資本が神の座におさまっていることは、もはやできません。

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    投稿日: 2017.10.08
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    古くはウェストファリア体制から紐解き、通時的な視点から、 今日的課題を読み解いてくれている名著ともいうべき著作である。 なぜ日本はゼロ金利(どころかマイナス金利)政策を採用せざるをえないのか、 米国のトランプ大統領誕生の意味とは何なのか、 そういった昨今の時事的主題についても、 巷間で評されているものとは異なった言説となっており、 目からウロコとはまさにこのことである。

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    投稿日: 2017.09.07
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    もはや、資本主義は終わった 『近代』とは経済的にみれば『成長』と同義語であり、資本主義は成長をもっとも効率的に行うシステム。『中心』たる欧米諸国は『周辺』(フロンティア)を広げることによって利潤率を高め、資本を増殖させてきた。そのためにグローバリゼーションを叫び、規制緩和をさせ、ひたすら『蒐集(しゅうしゅう)』に励んできた。ところが、もはや地理的な“周辺”はなくなりつつあり、かつては安く入手できたエネルギー(石油など)も高騰し、システムの限界がはっきりと見えてきている。  --地理的な「周辺」がなくなったために、アメリカは「電子・金融空間」に利潤のチャンスを見つけた 『電子・金融空間』とはITと金融自由化が結合して作られる。アメリカは世界中の余剰マネーをウォール街に呼び込み、途方もない利潤を生み出しました。だが、これも2008年のリーマン・ショックで崩壊しました。しかも『国民国家』の主体たる中間層を豊かにしたわけではなく、富を集中させ格差を拡大させた。世界的な『低金利』は、もはや投資先がない、投資しても利益が上がらないことを示している。

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    投稿日: 2017.08.06
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    閉じてゆく帝国、定常状態を目指す、そうしたコンセプトには強く共感する。 そして、読みながら頭に浮かんだのは、梅棹忠夫の文明の生態史観に描かれた4つの帝国である。 そして、日本はその帝国のいずれにも属さない。 4つの帝国が陸の帝国であり、日本は海の国である。 では、海の国日本は誰と手を組んで閉じた帝国を作れば良いのだろうか。 それは、決して中国ではない。 日本はAIIBに参加する必要はない。中国の過剰な生産力を吐き出し、フロンティアの限界を数年先延ばしにするだけの麻薬のようなものにすぎないからである。 相手の一つとして考えられるのは、本書の中でも指摘されるEUである。筆者も断るように日本のEU参加は荒唐無稽に思われるかもしれないが、共に資本主義の限界に真っ先に突き当たる国同士が未来思考で連携することは不可能ではないかもしれない。 一方、私が最有力と考える相手は、梅棹忠夫と川勝平太の対談の書で梅棹も主張していた、経度の近い国との縦の連合、すなわちオーストラリアやインドネシアなど太平洋の海の国との連合である。 こうした観点から、いま日本が進んでいるEUとのEPA、環太平洋諸国(陸の国も含むが…)とのTPPは方向性として誤っていないと感じている。 とはいえ、これらの政策を進めたとしても、最重要の課題であるエネルギー問題や安全保障の問題が解決される訳ではない。中東依存のエネルギー問題、アメリカ依存の安全保障問題、この2つの解決なしに日本が閉じた帝国を形成することは出来ない。 引き続き、この2つの問題にいかに対処すべきか、しっかりと学び、考えていきたい。

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    投稿日: 2017.07.23
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    コンビニ 日本全国で5.5万 一店舗当たり962世帯 7-11 一日平均客数 1057 (2016/2) これ以上増やすと既存店の顧客を食い合う 最低金利国 オランダ、イギリス、アメリカ、日本 利子率は、実物経済で利潤率と近似値を示すため、いくら追加の資本を投下しても、高い利潤を挙げることのできないくらい成熟した経済に到達していることを示しています。つまり、世界一の低金利国とは、ある特定の世界システムにおいてもっとも成功した経済大国なのです ジェノバで11年続いた超低金利は中世の帝国システムを解体し、近代主権国家システムを準備するほどの大きな革命的な変化をもたらした オランダ、イギリス、アメリカでおきた低金利の交代は、覇権国の交代にすぎない チャイナショック 日本同様のプロセスをたどるはず。数年かかって徐々に経済への影響が明らかになり、処理が終わるまでに、10年以上の長い期間を要するでしょう 中国 人民元をアジアの基軸通貨にしようとしている 現代の中華帝国 しかし、もはや中国の生産力を吸収できるフロンティアは一帯一路にのなかには残されていない 1997 日本のデフレ始まる 4半世紀を経て中国がデフレに転じてもまったく不思議ではない 近代化の最後の国、中国がデフレになるとき、資本主義はその最終局面にはいることになる 中国は13億総中流を実現する前に、近代=成長の時代が終わってしまうという最悪の事態を迎える可能性が高いのです。 エネルギー収支比 一単位のエネルギー豆乳で何単位のエネルギーを獲得できるか 1930年代 原油 100 1970 30 2000 11まで下がる 2単位にまで低下すると、エネルギーの採掘が止まり、化石燃料に前面依存した近代社会がおわる 1単位のエネルギーを投入して、2単位のエネルギーしか得られないのであれば、次の採掘用に1単位確保した後になにものこらない 近い将来、原油は値段の問題ではなく、採掘が持続可能かどうかの問題に転化することになるでしょう。 シェールオイル 採掘の費用が高い エネルギー収支比が2 近代資本主義の理念である、「より遠く、より速く、より合理的に」を実現するには、エネルギーが不可欠です。しかし化石燃料に頼ることが出来ないのですから、近代資本主義が成立するはずがありません。 定常状態実現のための3つのハードル  ゼロ金利だけでは不十分。財政均衡が必要  エネルギー問題 太陽光パネルと蓄電池(自動車)  地方政府を視野に入れが地方分権 より近く、よりゆっくり、より寛容に

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    投稿日: 2017.07.12
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    ■成長が真であるへの疑問 ■モノで既に満たされている ■国家が恐怖を自作自演 ■過剰サービス・費用対効果 ■より近く、よりゆっくり、より寛容に ■主権国家システム ■地域帝国化

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    投稿日: 2017.07.02
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    面白い。筆者の圧倒的な説得力はバックあるデータに裏打ちされているのだろう。しかし新書ではその全てを論理的に説明する分量がないために、一部論理が飛躍している部分があるように思えた。しかしこれは新書の限界であろう、続きはハードカバーで落ち着いて読み解くべき内容だろう。 気になった点、感じた事。 考察では日本の輸出について話をしているが現状の日本企業では輸出だけではなく海外に生産拠点を置くことでそこからの配当受け取ると言うことを本書では考慮していないのではないか。 実質賃金が下がり続けている中で、企業利益は高まり内部留保は最高となっている。ネット上ではいわゆるウヨクと呼ばれる連中が日本企業のモノを買うべきと説いているが、現在の日本企業に儲けさせたところで技術の発展は望めず、国民を安く買い叩いている状況は変わらないだろう。国民は日本に根ざした労働環境の改善に声を挙げるべきだと強く認識した。 金融資産を持たない世帯が急増。 1987年は3.3%だったのが2016年には30.9%になったとの事。これはいくらなんでも信じられない。社会には昔から一定層は貧困層がいるがそこまで低かったはずがないと思う。 本書によれば私は技術発展信者?なので、コンビニの利潤がこれ以上高まらないという話には懐疑的だ。そもそも小売業界の人間でもない筆者にビジネスモデルの細かい点にまで突っ込むのは悪手だと思われる。業界のことを知らない一般人が見通せている未来などしれているのだから。今現在の技術水準で上り詰めたと思っているのが間違い、iPhoneが出るまで(出てからも)現在のスマホの普及状況を読み通せていたのならば億万長者だろう。 同様にその他の点においても筆者には伝えたい内容を分かりやすくする為に一般的なコンビニ、軽自動車等を用いているが、その際の書き方は精神世界を説いているようなもので読者には伝わらない。もしくはミスリードしていると感じる。

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    投稿日: 2017.07.01
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    衝撃を受けた本でした、この本の著者である水野氏が「資本主義の終焉」を書かれたときにも感じましたが、この本では更に踏み込んだ内容が書かれています。 今から40年ほど前に「ノストラダムスの大予言」という本が流行りまして、その中で今でも明確に残っている内容は「共産主義はなくなるだろう、資本主義はなくならねばならない」というものでした。 丁度、ソ連が崩壊してアメリカを中心とする資本主義が勝ったような状況だったので、当時は信じられませんでしたが、国債の金利がゼロ近くやマイナスになることは、投資をすることに魅力がなくなる、いわば中世のような時代が来る、という水野氏による説明で、私の中で繋がりました。 また、現在アメリカでシェールオイルを中心にエネルギー不安がなくなるのでは、と個人的に思っておりましたが、エネルギー収支比で考えると、シェールオイルは「2」である(消費可能なエネルギー割合が50%程度、通常原油は「30」で90%以上使用可能)エネルギー収支比は年を追うごとに下がっている(p223)図が衝撃的でした。やはりエネルギー危機の時代なのかもしれません。 更にこの本では、スペイン・ポルトガルがなぜ栄えたのかとずっと疑問に思っていたことが解消された(それ以前に栄えていた、イタリア・ジェノバの投資)かが分かり、良かったです。このお陰で、その後に、オランダ・イギリスが栄えたことも分かりました(彼らが投資先を変えた) 経済に関する世界史の勉強も一緒にできて嬉しかったです。最後に日本はどうすべきかという提言で面白い内容(EUへの申請をし続ける)がありましたが、私は「日英同盟復活」もしくは「日米英同盟」というもの面白いなと思いました。 以下は気になったポイントです。 ・大きな歴史の見取り図をもとに言えば、13世紀初頭に始まった資本主義が最終局面を迎えている、投資をしても利潤を得ることが極めて困難なので、利潤が得られるのであればなりふり構わない「蒐集(しゅうしゅう)」を行うようになった、これがグローバリゼーションの正体である(p4) ・資本主義の終焉という歴史の危機を乗り越えるために必要なシステムは、結論を言うと、このあと世界が100年かけて移行していく「閉じた帝国」が複数並び立つ世界システム(p16) ・これまで5000年の金利の歴史において、2.0%という水準を複数年にわたった切ったこと(資本を投下しても利潤が獲得できない)は過去に一度、中世から近代への移行期である、1611-1612年のイタリアのジェノバのみ、実物投資空間から資本が蒐集できなくなったことを意味する(p17、19) ・長い16世紀に起きた大転換とは、陸の中世封建システムから、海の近代世界システムという変化、陸で囲まれた地中海という閉じた経済から、七つの海でつながった無限の経済圏で資本を蒐集するようになった(p19) ・オイルショック(1973)までは、交易条件が1を超えていて(仕入れが売り上げの比率)先進国が有利、それ以降は資源国が有利となった(p31) ・富の追求という経済的側面から見れば、中世と近代の間に断絶はない、中世と近代を分けて考えると資本主義の本質を見誤る(p34) ・15世紀末の「印刷革命」が、地中海世界と北部欧州を結合(これによりオランダの長期金利は6.3%に上昇)、19世紀の「動力革命」が欧州と新大陸(南北アメリカ)を結合、20世紀末の「IT革命」で全地球を結合した、現在の第四次産業革命は、工場をインターネットでつなげるIoT、ビックデータ活用、AIの活用である(p59、73) ・金利の下限をなくす最も簡単な方法は、現金を廃止、電子マネーに切り替えること、マイナス金利により中央銀行が徴税権を手に入れ、民主主義の破壊となる(p83、88) ・最低金利国は、イタリア→オランダ→イギリス→アメリカ→日本、と変遷してきた。これは高い利潤を上げることのできないくらい成熟した経済に到達していることを占める(p107) ・16世紀のスペイン皇帝は何度も借金不払い宣言をして債務を逃れてきたが、イギリスは1688年の名誉革命で国債を発行して資金調達をした。国家債務の信用力は、国家のモノの生産力であった、イギリスは、東インド会社・南海会社・イングランド銀行を設立して信用を高めた(p113、114) ・1991年のバブル崩壊は、際限のない生産力増強は国家の信用を崩壊させるとわかった点で、1559年のカトー・カンブレジ条約と同じ位置づけ(p115) ・2016年10月に、習主席は「核心」の称号を得て権威を高めた、これを得たのは、毛沢東・鄧小平・江沢民だけ(p121) ・真っ先に大海原に出たのは、地中海世界という閉じた世界で利潤を得られなくなった、スペイン・ポルトガル、それを経済的に支援したイタリア。しかし海を渡った先の陸で、陸の国としての古い統治方法をつづけた、オランダ・イギリス新しいルールを自国に有利になるようにつくりあげた(p123) ・世界経済は次のうちの1つしか選べない、1)ハイパーグローバリゼーション+国家主義(新自由主義)、2)ハイパーグローバリゼーション+民主主義(世界政府)、3)国家主権+民主主義(国民主権国家システム)、これらはいずれも資本主義の終焉という危機に対処できない。現代の危機は、西ローマ帝国の崩壊に近い(p133、139) ・ゼロ金利であった日本とドイツの21世紀の将来像は全く異なる、アメリカの金融・資本帝国とどう向き合うか、その姿勢の違いがあったので(p145) ・1ドル360円で為替が固定されるとともに、金1オンス35ドルと交換比率が決められた(p146) ・アメリカはドルの一層の下落を防ぐべく、日本と欧州(ドイツ)に利上げ回避を要請した、これが1987年のルーブル合意、それにたいして日本は利上げできなかったのでバブルが加速した、ドイツは1987年9月に利上げした(p149、150) ・実物経済で成長が見込まれないと、過剰マネーは、土地・株式に流れ込む(p167) ・中世システムにおいて、資本主義は周辺に位置づけられていた、資本家=高利貸し(商人)であった。中世社会の中心は、キリスト教関係者と封建貴族で、周辺に農民がいた。その周辺に、高利貸し・娼婦・宿屋、がいた(p177) ・教会は商業目的の会社には法人格を与えず、商人が資本を蓄積することを認めなかった、1代限りのパートナーシップ(組合)だけを認めた。高利貸しが築いた富は相続の段階で、教会・貴族が没収した(p177) ・主権国家とは、血みどろの宗教戦争を棚上げするための試みであった(1648:ウェストファリア条約)都市国家では小さすぎるし、神聖ローマ帝国では大きすぎるので、主権国家が誕生し、国境が画定した(p180) ・コペルニクス革命のポイントは、1)特権的な地球を、金星・木星と等価なものとした、宇宙は均質な空間となった、2)宇宙は閉じた空間ではなく、無限空間である、こうした宇宙観の転換は、政治・経済システムに大きな影響を与えた。さらに1世紀遅れて、ニュートンが時間も無限であると証明した、これが会社や貨幣の在り方を変えた。1602年にオランダ東インド会社が法人格を取得し永遠の生命を獲得した(p184、186、187) ・1609年にはアムステルダム銀行設立、最初の預金を受け入れて、信用創造が可能。1661年には、ストックホルム銀行が世界最初の銀行券(紙幣)を発行し、金・銀にとってかわった。無限にマネー供給ができる体制となった(p188) ・中世的な宇宙観(コスモス)の崩壊とは、1)地球は一惑星に過ぎない、複数の主権国家が存在する、2)万有引力の法則、主権国家がそれぞれ作用しあってシステムを形成、3)ケプラーの法則、それぞれの主権国家により共通の規則制度が承認される(p189) ・ペルー鉱山から持ち出された銀の量は、13兆ポンド=1800兆円=現在の日本の個人金融資産と同等、これが略奪(p191) ・EU帝国に、中国・ロシアを加えれば、ユーラシア大陸に、3つの閉じた「陸の帝国」が出現しようとしている、海の国は、北米とイギリス、日本は「陸の国」の内海化に位置する(p200、213) ・1930年代は、エネルギー収支比は「100=獲得したエネルギーのうち1単位を次の採掘のために確保しておけば残り99は自由に使える」、1970年代に「30」に低下した、大規模油田が二次回収(自噴でなくなる)となった、それば今では、10程度(p224) ・シェールオイルは、採掘コストが高いのは問題であるが、さらに深刻なのは、エネルギー収支比が「2」に近いこと(p227) ・イタリアは、マキャベリの提言を受けず、またコペルニクス革命の本質を見誤り、都市国家から国民国家へ転換するのを忌避したので、オランダとイギリスに主役の座を奪われた、30年戦争が始まった1621年ころに、投資家たちは、ジェノバ国債・スペイン皇帝がオランダ領で発行した国債を売却して、オランダ東インド会社の株式を購入、つまり投資先を、ジェノバ・スペインからオランダへ乗り換えた(p230) ・ケインズのいう、人間の生き方とは、「人生の目的として、人間交流の楽しみ=愛、美しきものに接する=美、ケンブリッジ知性主義=真を求める」である(p252) 2017年6月24日作成

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    投稿日: 2017.06.24
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    次々に著書を著していく水野和夫の近著。「より遠く、より速く、より合理的に」という近代の理念と「より多く」という資本主義の時代は終わったという前著に続いて、「より近く、よりゆっくり、より寛容に」というスローガンを掲げてポスト近代を手探りでも俯瞰しようとする意欲作。

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    投稿日: 2017.06.11
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    凄い本であると絶賛するしかない。かつて著者の「100年デフレ」や「君はグローバリーゼーションの真実を見たか」「人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか」を読んだ時にはあまりの壮大な視座に頭が追いつかなかった。 しかし本書でやっと著者の言いたいことが理解できた。背筋に戦慄が走る思いを持ったが、しかし「そうなのだろうか?」。 ここまで本書に引き込まれる理由ははっきりしている。リアルな世界では物価が上がらない、実質賃金も上がらない、潜在成長率も上がらない、どうやらアベノミクスは失敗に終わりそう。しかし経済学者やエコノミストの主張はバラバラである。 その点本書の主張は明快である「資本主義は終わった」のだと。確かに著者の主張を受け入れれば現状を矛盾なく説明できる。しかし証明できるのは相当未来になりそうである。 折しも今朝トランプ大統領がパリ協定離脱を表明した。「閉じてゆく帝国」である。やはり本書の視座は正しいのか! 2017年6月読了。

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    投稿日: 2017.06.02