学問の街ウィクライフの王立図書館司書にまつわる騒動の後半と、大教会で知られる街リステリアでの地下迷宮攻略のエピソードを収録した三巻である。 　ウィクライフでの顛末は先の巻の引きを受けての展開（司書であるビザール卿の辞任後の選挙戦）となっているが、ここでもきちんとタイトル通り資金ブーストを活かした展開となっているのは好感が持てるところだろう。 　一方のリステリアはアンデッド溢れる地下迷宮を攻略する正統派のライトファンタジー的エピソードである。そこにお色気が絡んできている点などはシュウトらしいところだが、ここでの馬獣人のホクトをメインに据えたエピソードは良質だ。 　彼女の二点の挿絵、役立たずの自分に苦しむ姿と、それを克服してシュウトに約束の話を持ち掛ける姿の対比は趣深い。 　個人的には特に評価したい巻である。星五つで評価している。