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書楼弔堂 霜夜 探書廿肆 誕生
書楼弔堂 霜夜 探書廿肆 誕生
京極夏彦/集英社
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総合評価

48件)
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    今回の案内役は、第一巻の高遠彬が活字の書体を作らせるために雇った甲野。本というもの、印刷というもの、紙というもの、文字というもの、言葉というものの周囲を巡る。決まり文句は《本の中に記されていることでしょう。》客は夏目漱石、岡倉天心、田中稲城、牧野富太郎、金田一京介。これまでの案内役も全員登場。 《違っているかもしれぬからである。思うだけであれば誰にも咎められることもなかろうに、それでも決めつけてしまうことは自重しようと思う。》(p.11) 《道なりというのは方角とは無関係だということである。それでも道に沿って歩いていると真っすぐ進んでいるような気になるから、不思議なものである。》(p.15) 夏目漱石《活字は、どんな文章にもなれるということです。》(p.72) 夏目漱石《迷っているということは、選択肢があるということでしょう。》(p.73) 夏目漱石《ご主人は書物のソムリエになるといいと紳士は言った。》(p.74) 《彼処なら、仮令物故した者が居たとしても、そう驚きはすまい。》(p.165) 《虚と実は等価ですけれど、決して交換出来るものではないのです。それは、謂わば此岸と彼岸のようなもの――なのだとか》(p.469) ■弔堂についての三項目 ・「書楼弔堂」は書店のようで書店ではなく、書籍を弔う墓石であり、本当に必要とする次の人に渡すための仲介所として存在する。そして、一人の人間に必要な本はたった一冊だけなのだそうだ。 ・毎回案内人が代わり、彼らの人生と弔堂の関わりが描かれる。それはなんらかの転機になるのか? ・各章のゲストスターはおおむね著名人でありそれぞれユニークなキャラクタでもあり弔堂主人との楽しい? 会話を通して彼らの業績とその意味が描かれる。 ■弔堂についての簡単な単語集 【あの世】弔堂《あの世とは、即ちこの世に生きる人、凡ての中にあるものなのでございます。生きている人の数だけ、それはございます。その中にあるものこそが魂ではごじいますまいか》炎昼p.480。 【イネ子】松岡國男の想い人。 【井上】「方便」の客。若いが哲學館における矢作剣之進の師匠。《大真面目に酔狂なことをなさる方なのだ。》p.202。「不思議研究会」という集まりに参加している。矢作とはその関係で知り合った。「妖怪研究会」も立ち上げた。ここまでくると井上圓了さんのことやろうと見当がつく。先入観にとらわれずものごとの判断をしようとするタイプ。博覧強記。 【巖谷小波】「闕如」の客。この時点では二十歳過ぎくらいで、少年と青年が入り交じったような風貌だが既に風格がある。個人的にはごく最近読んだ『横田順彌明治小説コレクション』の主人公格の押川春浪を取り立てた人物として描かれていたかと。どうも読んだ本の登場人物やできごとが連続することがよくあります。 【嘘】《嘘吐きを止めさせるための嘘というのは、嘘に勘定されないのでしょうか。》炎昼p.184 【大木】新興紙問屋である大木紙類商會社長。いつもニコニコ。 【尾形建文/おがた・たてふみ】甲野と同じ下宿の住人。フランス語の翻訳をしているがたくさん仕事があるわけではない。ふらりと甲野の部屋に来ては無駄話をしていく。 【岡本綺堂】利吉といっしょに鰻を食った。 【御伽草子】享保年間に刊行された。版元は渋川清右衛門。巖谷小波に。 【解體新書】『重訂解體新書』。杉田玄白が訳した元の版は誤訳も多かったので弟子の大槻玄澤が訳し直したもの。岡田以蔵に売った。 【畫圖百鬼夜行】弔堂が井上圓了に勧めた。《ないと識って尚、あるように振る舞う――この国にはそうしと文化があったのです。それは、この国の良いところ、残すべき在り方だと私は思いまする。》破曉p.252 【勝海舟】弔堂と知り合いらしい。この時点で立場としては枢密顧問官。伝法な物の言い方をする。弔堂には度々来店してるがまだ一度も本を買ってくれたことがない。《正しくても金は掛かるんだ。》破曉p.220。《敵は多い方が面白くて良い》破曉p.288 【菊江】甲野の父の後妻。甲野の幼馴染でもある。 【芸術】弔堂が熱弁する。《芸術は決して自己の表現などではございません。そんな、独り善がりなものではないのでございます。artは観る者聴く者の中に立ち上がるものなのです。芸術的価値は第三者が付けるもの。創った者が値踏みできるようなものではございません》炎昼p.164。自分のことを自分でアーティストと呼ぶ人を見て、なんや恥ずかしい人やなあとかずっと思ってたんやけど、こういうことかもね。 【下宿の親父】島田晋松(しまだ・しんまつ)。甲野の下宿先の主人。元浪花節語りだがモノにならず廃業したとか。見た目はほぼ熊。 【源三】道で途方に暮れているところに塔子が出会った五〇過ぎの軍人で泣き言を連発した。昔から泣き虫で「なきと」(泣人?)と名乗った。弔堂に連れて行くと主人の古い知り合いだった。誰だかはすぐ察せられると思うので書いとくと乃木希典さん。 【甲野昇★】第四巻「霜夜」の案内役。第一巻の案内役である高遠彬の印刷造本改良會に雇われたフォント製作者。 【心】《心は、現世(うつしよ)にはない。ないからと云って、こころがない訳ではない。心はございます。ないけれど、あるのです》破曉p.477。《ないと知らねば、あることが示せないのでございますよ》破曉p.478 【言葉】《ないものをあるように見せ掛けるのが言葉でございましょうよ》《ですから、凡ての言葉は呪文。凡ての文字は呪符。凡ての書物は経典であり祝詞でございますよ。》p.478。《虚実は常に半半でございます。そしてその半分――嘘の部分は言葉で出来ているのでございます。》p.480 【The Odd Number】ここではモーリアックの作品を英訳したものの題名だと思われる。弔堂で購入した上田敏から借りた松岡から借りた田山花袋が自分も欲しがった。國木田独歩も読みたがった。 【貞六】甲野が勤め先の小使。すぐサボる。 【時代】明治に、なって二十五年とある。ごく最近読んだ『横田順彌明治小説コレクション』の少し前になると思われ共通する名前が出てくる。 【渋川春海】大和暦を作った。それにより陰陽師の重要度が減った。 【撓★/しほる】弔堂の丁稚。美童。《お迷いになるだけでござんす》(p.25) 【島田時枝】甲野の下宿先のおかみさん。 【宗教】中禅寺輔《どんな看板を挙げても変わらない何かを、この国の人人は信仰している》破曉p.455 【宗教的経験の諸相】うゐりあむ・ぜーむず著。弔堂が秋山武右衛門に売った本と同内容なのかもしれない? 【修行】《常に到着していると云うことです。修行は目的のための手段ではなく、手段である修行こそが目的と云う意味でございます》破曉p.159 【呪法】弔堂は、語りは呪文、文は呪符、聞くことや読むことは呪法だと言う。 【小説】弔堂《小説に誤読はございません》炎昼p.219 【書生】「発心」の客。尾崎紅葉の書生。金沢出身とのことなので泉鏡花かと思われる。畠芋之助のペンネームもときおり使っている。 【信仰】弔堂《信仰は、人を生き易くするためにあるのでございます。嘘だろうが間違いだろうが、信じることで生き易くなるのであれば、それで良いのでございます。》炎昼p.487 【人生に一冊の本】弔堂主人は本は人生に一冊あればよいという。でも、他者に売る書店という形であれ、あれだけ本を集めている人の言うことではないという気もする。それに、一冊だけの本を見つけるためにはたぶん何千冊も読まないとアカンやろうとも思う。 【菅沼美音子/すがぬま・みねこ】塔子の友人。医師の娘。明治女學校で荻野吟子の影響を受ける。性理学、心理学に興味がある。 【菅丘李山/すげおか・りざん】戯作者。正体不明。中禅寺輔の蔵書の多くは彼の集めたものだった。『巷談百物語』の山岡百介のことらしい。 【杉村義衛】新選組の隊士だった永倉新八のことと思われる。日記を書いていたらしい。北海道に行った。 【セリマン】書店が自分とこで扱っていない本を客の注文に従ってあちこちからかき集めること。主に丁稚の仕事。斧塚書店の為三によると、面倒な注文があると弔堂に来るのだとか。青年倶楽部の久田鬼石に弔堂のことを聞いたそうだ。 【戦争】《仮令一人でも二人でも、兵が死んだなら、それは負けなのです。》炎昼p.415 【添田平吉】弔堂の客。演歌師。 【体験】《神秘玄妙の体験は、如何なる理にも勝ってしまうことがありましょう。》破曉p.71 【高遠彬★/たかとお・あきら】第一巻の案内役。三十代。旗本の家の出で、財産はそこそこある。暇はたくさんある。療養のつもりで妻と娘とは離れて暮らすようになり、特に病気でもなかったがそのままでいる。何もせずただぶらぶらしている。《まあ、こう云っちゃあ何だが、僕は多分、この明治の御世で一番役に立たない腑抜けだと云う自覚がある。》破曉p.351。《僕は何の当てもなく、無為に逃げ回っている駄目な男なんですよ。何から逃げているのかも判然としない。》破曉p.465。 【田川】甲野の同僚。といっても父に近いくらいの年齢。 【田中稲城】帝國図書館館長。弔堂の顧客のようだ。 【田山録彌】詩人。たぶん田山花袋のことだと思われる。松岡からは「録さん」と呼ばれている。《僕にとって、僕の視点というのは固定されているのだ。》炎昼p.42。ゾラを勧められる。 【中禅寺輔/ちゅうぜんじ・たすく】武蔵晴明社の宮司。この著者でこの苗字なのだから京極堂の祖父あたりだと思われる? 神社を嗣ぐつもりはなく小学校の教師をしていたが、父(陰陽師だった)が倒れ体が不自由になったので戻ってきて約一年を経たところ。輔が引き取ってほしいと言った中から弔堂は『武蔵晴明神社社縁起』『金烏玉兎集』『占事略決』を残した。 【中禅寺輔の父】洲斎。陰陽師。《神霊妖物は此の世のものに非ず》《それを知る者のみが、それを操ることが出来ると》破曉p.466。《操ること、即ち使役されることである》p.467 【中禅寺輔の息子】神父になって辺境に赴いた。 【土御門晴雄/つちみかど・はれたけ】維新時の陰陽頭。安倍晴明の子孫と思われる。太陰太陽暦の継続を主張したが受け入れられずグレゴリオ太陽暦が導入された。 【鶴田】→利吉 【塔子★】第二巻「炎昼」の案内役。田山と松岡が出会った女性。蓮の花はお菓子のようで、芙蓉の花はお化けのようだと思っている。炎昼のラストで天馬塔子という名だとわかる。 【徳富蘇峰】客。平和主義だったはずなのに戦争推進派に変節したと言われて人心が離れている。 【弔堂★】《売るのが供養でございます》破曉p.44。元は主人が自分の一冊を探すために手に入れた本だったが大量に集まってしまい死蔵しているのではいけないと考え売って供養とすることにしたらしい。《何を頼まれようと、ここには本しかないのですから、私は本をお売りするだけです》破曉p.225。巖谷小波《博物とは、正にこの有り様ではないですか。》破曉p.387。 【弔堂主人★】元は僧侶なんだとか。還俗まえは龍典と言ったようだ。三十そこそこくらいの若さに見えるが年齢不詳。博覧強記。《ただ読むだけの人間でございます》破曉p.153。 【とりすとらむ・しゃんでー伝及びその意見】ろーれんす・すたーん著。弔堂が高遠に勧めた本。《諧謔と悪戯に満ちた、虚構です。》破曉p.493。未完だが、未完であることが重要かもしれない本。本来夏目漱石のために取り寄せたものらしい。岩波文庫版の『トリストラム・シャンディ』は読んだことあります。 【中濱】中濱ともうひとりの連れが、「贖罪」の客。高遠が鰻屋で出会った老人。黒いイメージの連れがいる。元漁師で武士に取り立てられたようなのでジョン万次郎のことだろう。榎本武揚と知り合い。影のような男の方は土佐出身の暗殺者と思われるので岡田以蔵か? 【夏目金之助】後の夏目漱石。第四巻冒頭で甲野と同時に弔堂を訪れた。 【猫】《無為な生き物なのである。》破曉p.367。高遠は自分と同じものを猫に見るが…。《猫は江戸の頃から猫で、多分これからもずっと猫である。》p.441 【ハル】平塚明。ついに出ました平塚らいてうさん。塔子が時計草を眺めているとき声をかけてきた少女。悪いもの「が」嫌いと言う。女子高等師範學校附属高等女學校の生徒なので塔子の後輩と言える。弔堂に連れて行った。 【福澤諭吉】勝海舟とは反発しあっているが認め合っているようでもある。《何かと云うと俺を目の敵にしやがるからいけ好かねえが、まあ中中の策士だし、してるこたあ立派だ。》破曉p.219 【福來友吉/ふくらい・ともきち】松岡國男が弔堂に連れてきた。超能力関係ではよく出てくる名前の人物。元良勇次郎(もとら・ゆうじろう)の東京帝國大學での教え子。メスメルの著書を買っていった。 【藤田五郎】『るろうに剣心』なんかで有名になった齋藤一のことと思われる。弥蔵はなんとなく見知っているような気がした。 【本】弔堂主人《本は墓のようなものです》破曉p.35。《凡ての本は、移ろい行く過去を封じ込めた、呪物でございます》破曉p.38。《ただ一冊、大切な大切な本を見つけられれば、その方は仕合わせでございます》破曉p.42。勝海舟《人に人は救えない、だが本は人を救うこともある》破曉p.285。巖谷小波《書物には、書いた者の想いが封じ込められています。同様に、読んだ者の時も封じ込めることが出来る。》破曉p.389。《文で書かれていることは普く真実ではございません。そこから真実を汲み出すのは、読む方でございます》破曉p.476 【松岡國男】詩人。たぶん柳田國男のことだと思われる。後の訳の題名だと、ハイネの『流刑の神々』とフレイザーの『金枝篇』を購入。個人的にはどちらも翻訳を読んだが金枝篇の方は興味深かった。 【夢酔】勝海舟の父。破天荒な人物だったらしい。 【娘義太夫】ほぼアイドル。親衛隊もいるようだ。なんとなく「銀魂」を想起した。 【無駄】弔堂主人《世に無駄はない、世を無駄にする者がいるだけだ》破曉p.25。 【森鷗外】巖谷小波の『こがね丸』に序文を寄せていた。《軍医でもあり翻訳も能くし、大層小難しいことを云う賢い人だと聞く。》破曉p.369 【弥蔵★】坂の途中で甘酒とふかし芋を売っている。第三巻「待宵」の案内役。幕末期には政府側の武士だったようだ。たぶん会津藩士で、見廻組メンバーあたりだった? 佐々木只三郎自身ではないと思うが坂本龍馬暗殺に関わっていたフシがある。ラストに出てきた本名は「堀田十郎」というものだった。 【矢作剣之進】元東京警察庁の警官。どこかで聞いた名前やと思ったら『後巷説百物語』の登場人物やったかと。一白翁(山岡百介)のところに出入りしていた若者の一人。怪しい事件を次々と解決に導いたとされていて「不思議巡査」の異名を持つ。現在「哲學館」で学ぶ老学生。 【山倉】高遠の友人で、高遠が勤めていた煙草製造販売会社の創業者。武家の商法だったので競争に勝てなかった。 【幽霊】この時代にはまだ幽霊という言葉は一般的ではなかったような感じ? なんでもお化けでくくっていた? 弔堂《幽霊を視るのは錯覚迷妄かもしれませぬが、幽霊を視せるのは文化でございましょう。》炎昼p.484。《怖いが先でございます。幽霊が先ではございません》炎昼p.496。《私達は本来、知っている人の幽霊しか視られないのです》炎昼p.498。 【吉岡米次郎】「臨終」の客。脚気&精神を病んでいる大男。働きたいのに働けずもうすぐお迎えが来ると思われるのでそのときまで読む本を探しに来た。実は画家の… 【読む】《この楼の中では百年前も千年前も――同じ。読めば、今です》破曉p.167 【利吉】鶴田利吉。弥蔵の話し相手(弥蔵の方は特に話をしたいわけではない)。遊び人でも高等遊民でも書生でもないがフラフラ暇そうにしている。文章を書く仕事をしたいようだが…。浅慮で軽はずみだが行動力はありお人好しでもある。第四巻時では店を任されている。お芳(よし)という妻もできたようだ。幟は甲野にアイデアをもらって「お休み處」と書かれたものを新調した。 【龍典/りょうてん】→弔堂主人

    0
    投稿日: 2026.01.20
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    年末のお供に。 そんな訳あるはずもないのに、登場人物と共に足繁く弔堂に通い詰めていれば、いずれ私にも何がしかの一冊、そのヒントだけでも与えてくれそうな気がしていた。まさかこんなさっくり完結してきれいさっぱり更地になっ…たかはわからないけども、そんな気分。 あれも捨てこれも辞め、もはや読書しか残っていないような気さえしていたのに、年甲斐もなく新しいことを始めて本から離れた1年だった。良かれ悪しかれ私も変わる。皆、変わっていく。

    0
    投稿日: 2026.01.01
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    出版業界の成り立ち。読書とは。書楼弔堂の最終巻。 相も変わらぬ語り口で、事件が起きるわけでもないのに、スッキリとした読後感で楽しかった。

    0
    投稿日: 2025.12.31
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    終わっちゃうかぁ。そうよね。 でも、もうすこし、この世界に浸っていたかったな。 モノクロの画像や史上に残されたエピソードくらいでしか知らなかった明治期の名士たちに、色が声が魂が吹き込まれ、いま、まさに隣で喋っているような、そんな世界が味わえるのが、この作品の良き点の一つ。 毎巻変わる主人公たちが、変動最中の日本で、静かに右往左往しながら腹を決めていく様を見届けていけるのも良き点。 そしてやはり、本好きなら一度は辿り着きたい、あの簾をめくって薄暗がりに入って息を呑んで見上げてみたい、叶うことなら自分の一冊は何なのか試しに聴いてみたい。

    16
    投稿日: 2025.09.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    書楼弔堂シリーズ最終巻。相変わらず京極御大は面白いなー。 主人公が「印刷造本改良会」の一員であり、本という文化の近代化(大衆化)に一躍買った存在という部分は特に気をつけて読みたい。 本が大衆化される以上、生産のためにある種の均一化が必要になる。まぁ主人公が悩んでいたフォントがその1つなんだけど、その均一化と浮世絵がキーになっているのが構成として美しいね。 本も浮世絵も、別にアナタのために生まれたワケではない。 それらの存在から作者が本当に意図したことを完全に受け取ることは不可能だし、その必要もない。本も浮世絵も変わらずそこに在り続けるし、アナタがそこから何かを受け取ることこそが大事なのだな。 そういった人の思いを見出そうとし、自分の人生に奥行きを出すことをこそ、読書の本懐と京極御大は語りたかったと僕は受け取ったかな。 真実はわからないけれど、それもまた本の中に記されている…かもしれない。

    0
    投稿日: 2025.08.17
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    古今東西のあらゆる書物が揃う怪しい書店「弔堂」。ホラー系と思いきや特に事件も大きな展開もなく、店を訪ねて来る客に「この一冊」を薦める店の主人。客は幕末維新の生き残りや若き日の文豪など教科書に出て来る歴史上の人物ばかり。幽霊の話、浄瑠璃と浪花節の話、複製の話、活字の話などなど。京極ワールドにハマりました。

    0
    投稿日: 2025.08.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    終わってしまった…切ない。 あのままお店があっても戦禍に巻き込まれていたと思うと、これでよかったのかもね。 そして北のどこへ向かったのか気になるところ。 今回も豪華でしたねー!!! ビッグネームばかり。夏目先生、岡倉先生をはじめ、いままでの錚々たるメンバーのお名前も拝見して嬉しい限り。 本を売れません。とお話ししている弔堂様のお話、とても沁みました。 いやはや、でもあれだな。寒い時期に読めばよかったなぁー。

    1
    投稿日: 2025.07.24
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    レビューはブログにて https://ameblo.jp/w92-3/entry-12914667970.html

    0
    投稿日: 2025.07.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    今までのお話が人が重要な本に出会う話が中心だったのに対して、今回のテーマは“本”そのもの。本を読みながら文字を考え紙を考え、物語を読む手を止めてこの“本”自体を眺めながら読了。終わってほしくなくて発売日に買ったのに今日まで読み終わらなかった。新しい本の読み方ができる一冊です。序盤は今までの話より地に足がついててシンプルな進みだなーと思ってたけど、やはりラストスパートの京極先生。最後まで読まないと多分物足りない一冊で終わってしまうところでした。

    1
    投稿日: 2025.06.27
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    至福の読み心地。 過去に京極夏彦作品を読んだときの、とにかく読みづらかったという印象が強くずっと避けていた。 今回「読者による文学賞スピンオフ」の選考委員となり、担当作品を選ぶにあたって自分が普段読まないものを指名させてもらったが、いやはやこれは面白い!! 「書楼弔堂」…しょろうとむらいどう、と読む。 明治の終わり頃、町外れにある書店はその名のとおり一風変わっている。どう変わっているかはこの本の中でじっくりおいおいと。 書楼弔堂シリーズの完結編。だが、この作品だけでも十分に楽しめたし、ここから遡ってシリーズ前作を読んでいくのもありだなと思った。 「読みたい時に読みたいものが読める、それが何より大事」の言葉が心に響く。 本というものが様々な角度から書かれている。 すべての「本好き」にオススメしたい本。

    12
    投稿日: 2025.06.01
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    このシリーズの閉じ方好き。 人情話になっているけど、それを押し出してこず本と繋がりを絡ませて壮大な人間物語になっている。 さすが京極さん。 2906冊 今年134冊目

    1
    投稿日: 2025.05.12
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    数々の有名人が登場したこのシリーズも遂に完結(TдT)しかし、今でもどこかで弔堂は電子書籍やオーディオブックを取り扱っていたりして…(^o^;)いやいや、やはり紙の本のみで店を開けていて欲しい!

    1
    投稿日: 2025.05.09
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    フォントがこんなに増えるなんて当時の活字職人は夢にも思わなかったろう。本物と複製と贋作の説明は興味深かった。

    1
    投稿日: 2025.05.06
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    シリーズが終わってしまった。寂しいなあ。弔堂がなくなってしまっても、きっとどこかで店主は人と本を繋いでいくんだろうし、私自身もその系譜の先にいるんだって思うともうちょっと頑張ろうって思えたかも。図書館人としては田中稲城が出てきて激アツ。

    0
    投稿日: 2025.04.30
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    いつからこのシリーズを読んでいたのか… 開いてみて『あーこんな感じ』だった。 淡々と会話によって主人公が悟っていくことで話が進み、『憑き物』が落ちる。 京極堂は落とすが、こちらは代謝するように落ちるイメージ。

    1
    投稿日: 2025.04.27
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    大好きなシリーズの最終巻。この世界の空気に浸るのが大好きだった。超然とした世界に行ける気がした。 「いつまでも変わらないのはまやかし」、「同じ状態を維持するためには常に変わっていないといけない」…その通りではあるけど、それこそ寂寥感で胸がいっぱい。やはりさみしい。

    14
    投稿日: 2025.04.19
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    明治の変わった本屋が舞台の書楼弔堂シリーズ最終巻。 印刷技術や活字の発展によって、本の流通事情が劇的に変わりつつある時代背景が物語のバックグラウンドにある。 今、京極夏彦の著作を人に勧めるなら、このシリーズにするかもしれない。 現実の歴史とわかりやすくリンクしているという点でも、例えば京極堂シリーズより一般ウケしそうな印象を受けた。

    1
    投稿日: 2025.04.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    フォントをつくる話はとても興味深かった。 「読みやすくどんな文章にもなれる文字」「どのようにも活きられる文字」 それは語り手とリンクしていて、 だから、最後に弔堂が渡した「一冊」がとてもよかった。 今までの語り手のその後がわかったのもよかったな。特に高遠さん…ちゃんと働いてる…

    1
    投稿日: 2025.04.05
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    弔堂シリーズ最終巻、らしいです。 身もふたもない言い方をすると、これまで通り、という感じでしょうか。弔堂に訪れた主人公が行き会った人と会話しつつ、実はあの著名人でした、と。そのあたりの流れはもともとそんなに好きでもなかったので「ふーん」くらいの感想しかないのですが、今作の主人公甲野氏は「活字」を生み出そうとしているわけでそのあたりが一番興味深かったです。今では当たり前すぎて空気のようにしか思ってなかった活字がこうして生み出されたのか、とその生み出す葛藤とかそういうものが。 物語を楽しむうえで「面白さ」よりも「興味深さ」が上回るシリーズでしたね。

    2
    投稿日: 2025.03.19
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    シリーズ物の良さで、今までの登場人物たちがたくさん出てきて嬉しかった。弔堂第一部完みたいな終わりだったけど、続いて欲しいな。 古書店って作家さんからすると自分の作品が新品で買ってもらえないとか印税が入らないとか色々問題があるだろうに、それでもその役割についてここまで好意的に書くのは流石だと思う

    19
    投稿日: 2025.03.15
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    あー、もう龍典さんには会えないのだろうか。貴殿をはじめ、弔堂をめぐる人人には様様な真髄を伝えてもらった。今回は、初代迷える凡人高遠彬の下で働く名もなき青年甲野昇が書楼を訪ねる。確かに書籍の活字は時代を経て妙な個性がなくなり、読みやすくなった。地道な改良が続けられているんだね。紙質に然り。汎用性と永続性のせめぎ合い。「同じ状態を維持するためには常に変わっていなければいけない」か。天馬さん、凄い成長した。弥蔵さん、おからだ大切に。貴方の頑固ぶり好きでした。鶴田くん、弔堂なくなっても休み処茶屋が続きますように。

    8
    投稿日: 2025.03.14
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    子どもの頃からずっと本が好きで読書が趣味で生きてきた人間として、なんだか胸が熱くなる巻だった。当たり前のように本が読める環境にあったのは、先人たちの作り上げてくれたものがあったからなんだなぁと思って。偶々、「舟を編む」も読んだところだったから、今もなお、たゆまぬ努力をしてる人がいると思うとさらにありがたく思える。 自分も一生、本に関わって生きていきたいなぁ。

    2
    投稿日: 2025.03.08
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    印刷造本改良會で活字を作ろうとする甲野昇を狂言回しに、書籍に関連したエピソードが語られる。 お馴染みの弔堂と休み処の面々、印刷造本改良會での高遠彰ら、そして夏目漱石、岡倉天心、田中稲城、牧野富太郎、金田一京助らとの会話のうちに話が展開していき、天馬塔子も加わってシリーズ完結編を迎える。 本の中に記されていること、いないこと。 そういえば掲載図版の情報はあるものの、参考文献は掲げられておらず、実在の個人・団体等とは無関係のフィクションだという断りが書かれている。史実を重ねて読みたくなるが、そこも踏まえたエンターテインメントとして楽しむ、いやどんな読み方をするのも自由か。 25-10

    2
    投稿日: 2025.03.04
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    (借.新宿区立図書館) 前3巻から15年ほどたった明治40年ごろの話。 活字というか書籍文化の行方についての議論主体。弔堂の行く末も描かれる。

    0
    投稿日: 2025.02.26
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    シリーズ第四弾。 古今東西の書物が集う、“書物の墓場”〈書楼弔堂〉を巡る“探書”譚、連作六話が収録されております。 朝(破曉)→昼(炎昼)→夕(待宵)を経て、ついに夜(霜夜)という事で、お気に入りだったこのシリーズも本作で完結との事で寂しい限りですね・・。 本巻は、信州から上京して〈印刷造本改良会〉という会社で活字の創作をしている甲野さんを主役として、彼が各話で〈弔堂〉を訪れるたびに遭遇する、歴史上の人物と〈弔堂〉主人との問答を通して、自身が作る「活字」というものに向き合っていく流れなのですが、とりわけ「出版」に関する談義が多かったこともあって、本好き・・いえ、本が"大好き"な私としては非常に興味深く読ませて頂きました。 本そのものが希少だった時代から、市井に書物が広がりだし、活字・印刷・製本技術や流通の発展によって本が手に取りやすくなり読書人口も増えてきて・・という本を巡るあらゆる繋がりを思うと、今自分が気軽に読書を楽しめている環境に、先人たちの貢献があったのだなぁ・・と感謝が湧いてきますね。 登場したお歴々も、夏目漱石をはじめ、金田一京助、牧野富太郎・・等々豪華でしたし、シリーズ一作目に登場の高遠さんをはじめ、各巻の主役の皆さまも登場するという、まさにフィナーレに相応しい内容でございました。 因みに、キャラということでは、甲野さんの下宿の"元浪花節語り"の親爺さんがいい味出ていて、個人的に好きでしたね。 (京極さんの文体って、歯切れのいい江戸弁と相性バッチリだと思うんです~) という訳で、本好きなら一度は訪れてみたい〈書楼弔堂〉という、夢の書物蔵(ご主人は"墓場"というておりますが)を舞台とした「深イイ話」を堪能させて頂きました。 またいつか、〈弔堂〉の主・龍典さんや、撓(しほる)くんに再会できたらよいな・・と思いつつ本書を閉じた次第です・・今までありがとうございました。

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    投稿日: 2025.02.19
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    シリーズ最終巻。明治時代の15年間における本と人の出会いの集大成でした。 変わりゆく時代の中で、本に魅せられた人々が徐々に内省しながら道を拓いていきます。 今回の語り手は活字を作る青年。代々の語り手も登場して最終巻に相応しい内容でした。 本が作られていく過程を事細かに説明し、現代に繋がっていく様子がわかります。あまり意識したことないところへのこだわりが書籍の発展に大きく貢献し、誰でも不自由なく読書ができる時代に受け継がれていくことを感じました。

    28
    投稿日: 2025.02.14
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    ストーリーとしても面白かったのに加えて、明治期の製本における様々な苦労・工夫(活字の事、紙の事など)についても、垣間見る事が出来て良かった。読書する時にいちいち気にはしてないけど、活字の漢字の横棒一本一本に拘っていた人がかつて実際にいたんだろうと思うと、凄い事だと思う(気にせず読書できるような字体こそが活字としては理想的なんだろうから、それでいいんだろうと思うが)。本の形態・普及の形式も、今後変わっていくのかもしれないけど、紙の本も残っていて欲しいと思った。 今回で書楼弔堂のシリーズが完結。時間があればまた破暁から読み返したいとも思うけど、1冊がそれなりなボリュームでもあるから、実際むずかしいのだろう。

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    投稿日: 2025.02.08
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    本 本 本 本 本 本 本 本 本 本 言葉 言葉 言葉 言葉 言葉 言葉 言葉 人がいて 言葉ができて 文字ができた 紙ができて 墨と筆ができた そして本があらわれた 今 言葉は 電子の波に 揺蕩い始めている 「本」の形か好きなのだけれど 紙は、本は、言葉は、どこへいくのだろう

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    投稿日: 2025.02.07
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    時代劇みたいにストーリーのパターンがあるので安心して読めます。今後のマンネリ化は否めないのでちょうど良い塩梅でシリーズ終了できて良かった。途中の本にまつわる蘊蓄が好きです。

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    投稿日: 2025.02.07
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    シリーズ最終巻。 今回の語り手は活字のデザインをする青年で、彼の目を通して本の物理的な側面や流通などの変遷が語られる。本といえば内容についてばかり考えがちだが、本を作り人々の手に届ける過程に携わる人々の思いや苦労について考えさせられた。過去の語り手たちのその後も描かれていて、シリーズ最終巻にふさわしい終わり方。

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    投稿日: 2025.02.06
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    シリーズ4作目で最終巻(前3作未読)。 明治40年代、店主が書物の墓場と呼ぶ書楼弔堂が舞台。 信州から印刷造本改良會に入った甲野昇は店主の教えも受け活字用の種字作りに従事する。 夏目漱石、徳富蘇峰、金田一京助、牧野富太郎なども登場し、作者の本や制作物に対する思い、蘊蓄に溢れた6篇。 御一新後、本/書物の出版・流通の仕組みが整ったことから弔堂はその役目を終え、明治20年代の初巻から10年余り語り継いだ本シリーズも終焉を迎える。 出版元HPの作者と書体設計士鳥海氏との対談も興味深い。

    1
    投稿日: 2025.02.05
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    ものすんごく面白かった、面白かったが、、 これでおしまい(号泣)。悲しい。 京極先生、、長らく続いていたシリーズを次々と畳んで どないするん?新シリーズ開始してくれるんだとありがたいが、、 ていうか、弔堂めちゃ好きだったのに、、(涙) 最終巻は、本そのものの在り方を考えさせられる。 『本好きの下剋上』的な面白さもあり いつものごとく歴史蘊蓄も大変キラキラ 有名人も多数出てきてアガる。 夏目漱石、徳富蘇峰、金田一京助、 牧野富太郎、そして過去シリーズの主人公たち あの有名人たちが全員弔堂に通っていた(笑) 黙読、それは 脳内を旅するファンタジー 私などからすると、 ほぼ100%識字率も 黙読も物心ついたころからの”常識”であるが 明治時代というと、男子で50%超、女子30%ぐらい 寺子屋での音読 「し〜のたまはく〜〜〜」のイメージ。 そんなどころか、 私の親世代でも、字が読み書きできない人は結構居たらしい。 今の代書屋とか右筆というと、 ややこしい作法の公文書作成とかする人という感あるが、 文字を代わりに書くという職業が成り立っていたんである。 ヴァイオレット・エヴァーガーデンの自動手記人形を思い出してしまうが(笑) 話はめちゃくそそれたが、 本書では、出版事情が劇的に変化した時代。 鉄道の発展で、移動中の読書が可能になり、黙読の習慣が生まれ、 黙読の定着は、読書の愉悦を深くし、読書人口の増加に貢献する。 本ビジネスが生まれる。 日本活版印刷へ移行していく時期。 そう、活版印刷は1400年代にできたが、 日本での活版印刷は、文字数の多さと、くずし字が活版印刷では不可能なことから 発明された当時は入ってこれず、 文章まるごと彫るスタイルの凸木版が主流であった。 ※活版邦文字が全くなかったわけではない、家茂の頃には一応できていた。 ただし、一般的に商材になるものではなく、アカデミックなものに限られた。 これをなんとかするのが、 活版に向く日本語の”フォント”、活字の発明なのである。 その活字を作ろうとする男と サポートの弔堂、弔堂で出会う人々、 京極節の会話で進んでいく話。 これが今生のお別れに御座います。大変、お世話になりました。

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    投稿日: 2025.01.27
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    「新刊書店でも古書店でも図書館でもいい。私達は本と出逢うことが出来るようになった。これまでと違い、確実に出逢い易くなったのです。」 その仕組みはさらに発達し、確かに今は「手の届くところに本が在る」。しかし、残念なことに、本は商材としての側面が強くなりすぎてしまったように思う。残された過去や、記憶も、経済的な価値がないとみるや、無駄と切り捨ててしまったりする。営利目的ではないはずの図書館においても、数字で表せないものは価値がないと判断されることがあるようだ。 「世に無駄なものなどない。それを無駄にする愚者が居るだけのことに御座いますよ」 この言葉を噛みしめてこれからも頁を繰ろう。そして、本の中に記されることはない営みではあるけれど、塔子のように日々の暮らしも物語を読むように楽しむこととしよう。

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    投稿日: 2025.01.23
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    破曉、炎昼、待宵と続いて最終巻の霜夜。全巻読んでいたのに朝昼夕夜の構成だったと初めて気づきました。フィナーレらしく、今まで出てきた人が次々と現れたのは嬉しかった。時代がどんどん変わって、書物を取り巻く環境もいつのまにか出会うものから選べるようになっていた。そして弔堂の火事。そもそもこの世の人なのか分からない主人が北の方へ旅立ったということは、またどこかの本でふらっと現れるのかもしれない。

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    投稿日: 2025.01.22
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    本作は文章の美しさ、構成の良さ、知識の学び等評価する人がいる一方、こんなに退屈なすぐさじを投げてしまいそうな作品は無いと思う人もいるだろう。 個人的には前者に近いが、流石にエンタメ性や読んでて区分は高揚するようなことは無い。 作者の感じるままを只読んでるだけ。 文章が兎に角美しいので、それだけで読み進める事の出来る稀有な作家。

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    投稿日: 2025.01.20
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    本好きにとって、今編は大変勉強になりました。 そして、活字、書のみならず、芸術の変遷が上手く弔堂と絡みなにか大切なものを気付かされた思いでした。 これでシリーズは完結なのか、現代編や未来の話が形を変えて作られるのでしょうか? 京極さんの創作を楽しみにしたいと思います。

    9
    投稿日: 2025.01.15
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    2024年発行、集英社の単行本。6編。短編連作。このシリーズ「待宵」から読んでいるのだが「待宵」は語り手が書楼の客でなかったのだが「霜夜」は書楼の客。自分も客なだけに話がおかしくなるというか、語り手のことばかりになるというか。たぶん「霜夜」は語り手を主とした話ということなのだとは思うが、そうするとなんか違うような気が。もっともこのシリーズの前2巻を読んでいないのでなんとも、という気もする。 初出:『小説すばる』、活字 2024年3月号、複製 2024年4月号、蒐集 2024年5月号、永世 2024年6月号、黎明 2024年7月号、誕生 2024年8月号、

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    投稿日: 2025.01.11
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    各回が当時の様子なはずなのに、今の世相にも通じるものばかりで悪い意味で時代は巡るんだなと思った。 とはいえ自分で本を選んで読める時代、それはとても良い時代。 幸せな風景で終わったのにどこか寂しさを感じるのが弔堂だなぁ。

    2
    投稿日: 2025.01.10
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    いや、終わってしまった なくなってしまうのか でも龍典さんもきっと次のステージへ進むのですね 「仕組みは、整ったのです」

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    投稿日: 2025.01.10
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    シリーズが終わってしまうのは悲しいですが、出版物といいますか、本のあり方に一つの示唆がある内容でしたね。 本好きとしては、感慨深かったです。

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    投稿日: 2024.12.30
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    「書楼弔堂」シリーズ完結。明治の終わり、さまざまなものが発展し、その陰で消えていくものがある。否応なく訪れる時代の変化の中で、弔堂はどのような道を選択するのか。そして弔堂に関わった人たちの行く末もまたどのようなものなのか。少しの寂寥感と共に読み終えました。 活字を作るための字を書く仕事をする甲野を中心に描かれる物語は、当時の出版界における世相を強く映し出していると感じました。現代からすると当たり前のことなのだけれど、このようにいたるところに本があふれている世の中って、当時ではなかなかに異様なことだったのかも。人を追い越すような便利が増えるのかどうか、ということが語られているけれど、この便利は大歓迎です。ただし「永世」で危惧されていることもまた実際にあるのですが。恐ろしきかな、絶版。 今作も並みいる著名人の登場にわくわくしますが、それ以上に本好きの心に刺さる名言が多いです。「読みたい時に読みたいものが読める」のが大事なので読まなくても好いとか、いつか読みたいと思って棚に差しておくだけでも読書だとか、積読を溜め込んでいる人間にとって免罪符のようなお言葉(笑)。

    1
    投稿日: 2024.12.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    書楼弔堂シリーズの最終巻。今回は本の内容ではなく、本を形作る要素である活字や紙の質などについてと出版業界や図書館の曙の話でした。どんな時代も時代が移り変わる時には変化があり、それをどう受け入れるのか、拒絶するのか、まさしく今この時、現代をも反映されている内容でいつの時代も人は変わら(変われ)ないのか考えさせられました。巷説百物語シリーズもこのシリーズも終わってしまって、それこそその流れについて行けずに悲しみの中に取り残された人がここにいます…。

    1
    投稿日: 2024.12.19
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    CL 2024.12.14-2024.12.17 書楼弔堂の4巻目にして最終巻。 明治40年頃の、時代が大きく動いていく頃が舞台。 本や出版や紙やにまつわる話はデジタルへと舵を切る今の時代と重なって、いろいろ考えさせられる。

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    投稿日: 2024.12.17
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    書楼弔堂の作品は今回初めての読書だ。予想通り京極さんの作風であった!これは感想とは違うが、独特な漢字の使い方は彼独特である。戦後登用漢字で育った小生はそれ以前の使い方などは古い書物にあった覚えがあるが懐かしく感じた!

    0
    投稿日: 2024.12.17
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    年の瀬に読めて良かった1冊。 2024年の締めくくりに出会えて良かった、 読むのを来年に先延ばししなくて良かった… 個人的なコトにとても絡んできた各話のテーマ。 最後はやっぱりなんだかもの悲しい。 これは京極さん作品を読んで毎回思う。笑 スッキリするのに何処か寂しい感じ… 読書、これからも自分なりに楽しみます!

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    投稿日: 2024.12.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

     今年は京極夏彦さんの新刊が多く、『巷説百物語』シリーズが完結を迎えたが、年の瀬になって『書楼弔堂』シリーズの第4作にして完結編が届けられた。  2013年刊行のシリーズ第1作『破暁』では、時代は明治に入ったばかりだったが、前作『待宵』では明治30年代後半だった。本作『霜夜』では明治41年とあるから前作と近い。シリーズの総決算でもあり、前作の続きでもある。  最後の語り部を務めるのは、長野から上京してきた青年。出版に関わる仕事、具体的には文字のデザインをしているようだ。彼が用事で弔堂を訪れると、いつも先客がいて、というのが今回のパターンだが、いい意味で裏切られた完結編と言える。  明治41年になると、印刷技術が進み、本や新聞の大量生産が可能になっていた。より多くの人が活字を手に取れるようになった一方、本というものの希少価値が低下した面もある。そんな時代の変化に、弔堂も無縁ではいられなかった。  今回も実在の人物が登場するものの、歴史上の偉人というより(偉人ではあるが)、出版界や活字文化、読書文化に寄与した人物が多い。こうした先人や名もなき職人たちの当時の尽力により、現代を生きる我々一般読者は、本を読める。  自らを田舎者と卑下する語り部の青年だが、彼が手掛けるのは立派な仕事だし、電子書籍が普及している現代でも、文字の読みやすさの重要性は変わらない。むしろ、重要性が増している。弔堂の主人が彼に送ったメッセージとは。  前作まで、富国強兵に向かう時流を示唆する描写が目についたが、本作ではそうした空気は極力排除されているように思う。出版業界の進歩に伴う本というものの役割の変化にスポットを当てているのは、シリーズ完結に相応しいかもしれない。  過去の語り部たちが再登場しているのはご愛敬。彼らも必死に明治の世を生きてきた。いずれ時代は戦時下に向かい、政府は出版界を含むメディアを占拠していく。弔堂の主人や青年たちが、どのように生き抜いたのか、想像するしかない。

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    投稿日: 2024.12.08
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    各巻の語り部総出演でもあり、好きなシリーズだったので少し寂しくもあるが、結びには満足してる。相変わらず各話のテーマ選定が刺さる。

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    投稿日: 2024.12.05
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    完結。世相のためか弔堂も桃源郷ではなくなってしまった。時は進み、様相は変わり、人も変わる。弔堂が閉じたように、そして新しいものが生まれていく、過去を引き継ぎながら、過去を振り超えながら。

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    投稿日: 2024.11.25