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世界の辺境とハードボイルド室町時代(集英社インターナショナル)
世界の辺境とハードボイルド室町時代(集英社インターナショナル)
高野秀行、清水克行/集英社
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総合評価

67件)
4.3
22
23
5
0
1
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    なんとも刺激的な本。 辺境作家の高野秀行さんと「喧嘩両成敗の誕生」が出世作となった歴史学者清水克之さんの対談集。 高野秀行さんはデビュー作の「幻獣ムベンベを追え」から注目している好きな作家さん。一方清水克之さんは日本の中世の民衆史が専門の学者さん。 普通に考えると共通性もないお二人がソマリランドを媒介にして出会い、社会や国の在り方、果ては人間の思考のあり方の根源にまで想いを巡らせている。 その論考は新たな発見に満ちゾワゾワと今までの常識を揺さぶられる。 高野秀行さんの辺境作家としての行動力にばかりに目が行きがちだが、高野さんの緻密な思考回路や斬新な歴史解釈に、清水さんがインスパイアされて知識と事実に裏付けられた確固たる解釈や解説を的確に与え、それに対して高野さんが自らの体験を元にして話題をどんどん深め発展させていく。 なんとも面白く楽しい対談集であるのだ。 今は文庫でも出ている様なのでぜひ興味のある方は読んでほしい。良質なブックガイドの側面もある。 私もますば「喧嘩両成敗の誕生」を積読本の山から掘り起こし読んでみたい。た

    18
    投稿日: 2025.09.02
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    この間読んだ高野秀行がめちゃくちゃ面白かったので、読んでみた。やっぱり面白い。専門は違うがバックグラウンドは似ている2人。ものすごい知識量だけど、それを感じさせないフランクさ。 濃い内容の対談集。 お二人の率直な会話から、それぞれ自分からは言わないような個人的な話なんかが聞けるのもめちゃ面白かった。 教養主義の死に絶えた時代だけど、やはり、「ものごとを普遍化して考える能力は文字を読むことで高まる」「抽象的にものごとを考えるには読み書きができないとだめ」「経済発展のきばんは人々の教養」 という言葉に励まされる。この本がでて10年、ますますみんな文字から離れてるけど、本を読む啓蒙が広がるといいなぁ。

    9
    投稿日: 2025.05.19
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    マニアックな知識をたくわえた、教養あるオジサンが二人で居酒屋で歓談している。どこまでも広がる話。ひたすら興味深い。 たまたま一人飲みをしていた隣の席にこのオジサンたちが居たなら、顔面と同じくらい耳を大きくして聴いていたくなる。 たびたび紹介される他者の作品も気になるものばかり。知らないことをたくさん吸収できる悦び。

    18
    投稿日: 2024.11.12
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    辺境作家の歴史家の対談。 現代の辺境と室町時代の庶民生活の共通点から、ノンフィクションの書き方まで幅広いジャンルの話をしているが、二人の知識の豊富さで次々に新たな視点が提示されていて面白い。 「ここ」ではない場所について考えている人たちの知識は興味深くて、自分の知らなかった世界を見せてもらえる。 あとカバーの絵がとても良い。

    2
    投稿日: 2023.07.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    この本では、 「現代の辺境地域」と「日本の中世」に共通する 行動や習慣を面白がる所から 対談が繰り広げられていきます。     日本の中世と アジア・アフリカ諸国の共通点で 興味深かったのが、 1.倫理観 日本の中世では複数の法秩序が重なっていたように、 現代のアジア・アフリカ諸国でも 近代的な法律と伝統的・土着的な法や掟が ぶつかり合い、それが相反しながら社会で成立している。 2.未来の概念  日本語の【先日・後回し・先々・後をたどる】は、 「アト」「サキ」を使った言葉で 未来と過去を指す正反対の意味がある。 ソマリ語でも同じように使う「アト・サキ」に当たる言葉がある。 日本の中世では未来はアトで背中側、サキは過去の意味しかなかった。 3.恋の歌 日本の平安貴族のように ソマリ人は恋愛の作法としての詩歌が伝統として残っており、 歌を詠むことが男性のたしなみとなっている。 放牧中に少し離れた所から歌を投げかけているらしい。 まったく離れた時代や国で 起こる人間の行動が 似通ってくるということが面白く紹介されています。 世界の辺境と呼ばれる人たちや 中世の人が何故そう考え、 行動するのかがわかってくると 少し親近感が湧いてきました。

    0
    投稿日: 2022.11.18
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    辺境作家の高野さんと中世史家の清水さんの対談。最初は、本書の表題のように、それぞれが専門とする室町とソマリランドの生き方が似ているというところから話が始まるが、後半はそこから離れて人生論、作家論、文化比較論、日本人論・・と様々な話題に及んで飽きさせない。お二人の教養の深さも物凄い。 一つ言えるのは、価値観はもとより多様だが、それは辺境にも転がっているし、過去にも転がっていて同様に面白いし、やはり今の価値観が絶対ではないことを常に相対視できるようにすべきということなんだろうと。 30年前と今と、かなり価値観は変わってきているが、それもそれ、古代から中世、織田信長を経て江戸、そこから明治、戦前から戦後と結構ドラスティックに変わっている。変わるもんだと思って順応していくということなんだろうと思う。

    0
    投稿日: 2021.12.26
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    ソマリランドで知られるノンフィクション作家の高野さんと、日本中世史を専門とする歴史学者の清水さんの対談。異色の組み合わせではあるが、これが見事な化学反応を起こし、とても面白い内容となっている。 時間と空間の違いこそあれ、ソマリ社会も中世日本も、現代日本から見ればどちらも遠い異文化世界。むしろソマリ社会と中世日本のほうにこそ共通点が多いかも、という気づきから始まったこの対談。豊かな経験と強い好奇心で高野さんが打ってくれば、該博な知識で清水さんが当意即妙に返してくる。何といっても、お2人が楽しんで対話しているのが伝わってくるのがいい。 古米と新米の話などトリビア的な知識も得られるし、鎖国と現代日本、NGOやNPOと現代日本など社会科学的に考えさせられるトピックもあるが、体系的学術書というわけではない。肩肘はらず、楽しく学ぶとはどういうことかを感じて読みたい。

    7
    投稿日: 2021.08.29
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    面白い。ノンフィクション作家の高野氏が世間に発見されかけている? 世界の辺境に赴き、現代日本とは異なる感覚で生きている彼らを紹介してきた高野氏と、室町時代の学者が話す事で生まれるケミストリーが凄い。 高野氏には前々から目をつけて、いつかもっと良い仕事をしてくれると思っていた。高野氏の性格なのだろう、本書でも語っているように難しく、固く文章を書かないのだ。しかしその文章やおふざけの中に深い洞察や見識も感じられており、いつか日の目を見るはずだと思って応援してきた。系譜としては近年ではその名は地に落ちたが本田勝一氏のような作家だと思っている。 室町時代を想像する際に現代の日本人から彼らの生活を想像するのには限界がある。そこで本書で取り上げたテーマのように世界の殺人や略奪が日常として残っている辺境との比較をすることで日本の室町時代が見えてくる。 本書は非常に知的好奇心をくすぐられる内容が多く含んでいる。また読書好きにはたまらないような数々の関係図書を紹介してくれているのが嬉しい。また本書で高野氏が読書家である事も披露されている。 作家は固い文書を書かないと評価されない世界だ。高野氏にはそろそろそちらの世界に飛び立って欲しい。

    0
    投稿日: 2021.08.06
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    2021.6.20 70 ソーグレイト!高野さん大好きだわ! 清水さんの聞く姿勢も感じた。総じてよかった。

    0
    投稿日: 2021.06.20
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    タイトルにひかれて(ノーベル文学賞候補作家の小説ね)読んでみたけれど、内容がまったく入ってこない。10数ページで断念。

    0
    投稿日: 2021.06.02
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    「ソマリアの内戦と応仁の乱は似ている」というところから話が始まる。最初はソマリランドと室町時代の比較をしているのだが、本の後半では東南アジアやアフリカの話も出てくるし、日本史の方も中世史だけではなくなり、最後は日本国について語るところに収束している。対談形式なのだけれど、どちらかの専門に偏ることなく、辺境も歴史も面白そうな本だった。

    0
    投稿日: 2020.02.09
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    ちょっと常識とか固定観念に捉われてるかな〜と思った時に読むとよい垢すりのような本。個人的には第五章がツボにはまった。

    1
    投稿日: 2019.09.04
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    この本の面白いところは、高野秀行、清水克行、まったく違う分野の二人がそれぞれにお互いの話を超・面白がっているところ。たぶん、読者の存在なんて忘れて、ああ言えばこう言う、そのネタ出せばこのネタ出す、相手の気づきが自分の気づきに、お互いに目から鱗が落ちまくっている興奮が伝わってくる本です。EテレのSWITCHインタビュー 達人たち、と似た形式ですが、得てして、強引に共通項探したり、なんとなくのプロフェッショナル的な姿勢を褒め合ったり、みたいな感じになるのに対して、この二人は圧倒的にディテール攻撃の応酬で、そこから大きな歴史観と社会観が浮かび上がってきます。「おわりに」のページで、清水克行が『「ジャン=リュック・ゴダール」と「白村江の戦い」と「スーフィー」と「キジムナー」と「角幡唯介」が、一冊の本で語られるということは空前絶後のことではなかろうか。本書は間違いなく「奇書」である。』と書いていますが、「奇書」というより「奇跡の書」に思えました。その奇跡のできっかけを作ったのが『謎の独立国家ソマリランド』を読んで、「ソマリの氏族と報復のシステムは、『喧嘩両成敗の誕生』で描かれている室町時代の日本社会とまったく同じ」とツイッターでつぶやいた映画評論家 柳下毅一郎。「世界の辺境」ソマリランドと「昔の日本」室町時代、時空を超えて、共鳴し合うのは特殊を特殊と思わず、理解しよとする二人の知的好奇心があればこそ。専門バカにならずにバカみたいに刺激し合う、これが学際領域の知性か、と感動しました。つまりは歴史も社会も人間のつくるもの、その人間のワンダーを大切にしあう素敵な本でした。『喧嘩両成敗の誕生』も読まなくちゃ!

    1
    投稿日: 2019.08.08
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    辺境作家と日本中世史学者とが奇跡的な噛み合いっぷりを見せる対談本。いろいろ「へえ」が多すぎていちいちメモできない。 ハードボイルド室町時代から一転して、今の日本の原型が江戸時代に作られたとありますが、そのあたりは渡辺京二の『近世日本の起源』を読むとハラ落ちしますよ。

    0
    投稿日: 2019.08.05
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    室町時代って、ホント歴史の中では掴みづらい時代だなって思ってた。お二人の異業種無差別格闘技みたいな、がっぷり四つに組むみたいな?議論が面白かった。分からない事はとことん調べる、ちゃんと知るって楽しい!という事を、実に楽しそうに伝えてくれる内容です。お二人とも今後もじゃんじゃか開拓して、私たちに色々伝えてほしい。

    0
    投稿日: 2019.07.27
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    「五代将軍徳川綱吉の犬を殺すな、捨て子をするなという政策は、都市治安対策、人心教科策として、ある程度成功した。秀吉のできなかった銃規制もやっている。」「平安時代あたりから、ミニ中華帝国化をあきらめて、中国との程よい距離感によって、文明から切り離され、中華文明圏の辺境になっていく。」「信長の規律化への志向は変。信長、秀吉、家康の力の論理による支配は、長く続かないので、論理や法による支配を考えないといけない。北条泰時の『御成敗式目』や綱吉の朱子学をベースにしたイデオロギーは、中世的な殺伐とした空気を断ち切った。」「中世から近世にかけては、炊くと増え方が大きい古米のほうが新米より高かった。タイ、ミャンマー、インドもそう」「タイでは、農民は所得税を払わない。取ろうとすると、いなくなってしまって別のところで田を作る。タイ人の離合集散は激しい。家族や親せきも、友人もすぐにどこかへ行ってしまう。日本の農民の定住性とは対照的」「戦国時代の宣教師の記録を見ると、武士は戦場までは馬を使って移動して、戦うときは馬から降りて徒歩で戦うとある。武田の騎馬隊は、瞬時に戦場に駆けつけるだけ」「日本の村は、年貢を村単位で取り立てるので、共同体の規制が厳しくなる。」「日本は中華文明の辺境なので、中華という基準と照らし合わせて気にしていないといけない。常にアイデンティティの不安にさらされている」「アジア・アフリカの辺境や室町時代のほうが世界史的に普遍性をもっている。江戸時代という特殊な時代を経たのが今の日本。今生きている社会がすべてだと思わないでほしい。」

    7
    投稿日: 2019.07.06
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    図書館で借りたのですが、すっごく面白かったです。たくさんメモを取りました。室町時代めちゃくちゃ興味深いです。

    0
    投稿日: 2019.05.05
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    高野秀行の本に興味があったのと、タイトルに惹かれて読んでみました。2人とも博識で、切り口も斬新でなかなか面白い対談集。2人の著作自体も読んでみるべきですね。まずはやはり怪獣ムベンベから、かな?日本の歴史も、ほとんど興味ないのだが、中世史は面白そうです。

    0
    投稿日: 2019.04.18
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    『謎の国家ソマリランド』の副読本といった内容。明治大学教授との対談で、日本や東南アジア諸国との比較からソマリアの文化や思考、思想を浮き上がらせる。 ソマリアの人にとって客人をもてなすのは多大な意味と責任があり、イスラム過激派が戦闘状態でまず客人を狙うのは、その人を殺すことが主人にとっての最大の屈辱になるからだという。外国人が嫌いだからという理由ではなかった。 その他、刀とピストルの実用性と象徴性の共通性や戦国時代の同性愛、独裁者が実は平和推進者などなど、対談ゆえ

    0
    投稿日: 2019.02.08
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    賠償なんかの法慣習とか神判の有効性とかアト・サキの概念とか古米の扱いとか犬食とかヒゲの意味とか物の怪に対するスタンスとか…話題はもう、多岐にわたる。 夫々が「ああ、xx時代では…」「ソレは何処其処で…」と速攻で返してくるのが、本当に小気味良い〜

    0
    投稿日: 2019.01.01
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    縺イ縺輔?縺暮擇逋ス縺輔↓繧上¥繧上¥縺励↑縺後i讖溷?縺ァ隱ュ遐エ縺励◆譛ャ縲 鬮倬?豌上?隰弱?迢ャ遶句嵜螳カ繧ス繝槭Μ繝ゥ繝ウ繝峨→縺?≧莉・蜑崎ェュ繧薙□繝弱Φ繝輔ぅ繧ッ繧キ繝ァ繝ウ縺ョ菴懆???∝ッセ隲?嶌謇九?貂?ーエ豌上?螟ァ螂ス縺阪↑豁エ蜿イ逡ェ邨?ち繧、繝?繝サ繧ケ繧ッ繝シ繝励ワ繝ウ繧ソ繝シ縺ョ逶」菫ョ繧偵&繧後※縺?k謨呎肢縲 隕√?豁エ蜿イ繧ェ繧ソ繧ッ縺ョ髮題ォ?↑繧薙〒縺吶′縲√b縺。繧阪s縺ィ縺ヲ繧るォ倥>繝ャ繝吶Ν縲

    0
    投稿日: 2018.12.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    星を見ると言うことは、同時に過去(の星の姿)を見ることであるように、現在の『辺境』(ソマリアやミャンマー)を見ることで日本の過去の社会への理解が進むというのは、不思議なようでいて、全く不思議じゃないようで。同じ人間なんだな。 そして、歴史学者とノンフィクション作家の対談のはずが、読んでいるうちにどっちの発言かわからなくなることが多々あって、その辺りもとても面白かった。しかし、話題がどれだけ変化してもお互いにボールに食らいついていけるのは凄い! この二人の著作を読みたくなった。

    0
    投稿日: 2018.10.14
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    今昔物語 平安後期の説話集 天竺(インド)、震旦(中国)、本朝(日本)の3部構成 アフリカ ゲストが家にきたら、その家のルールを曲げてでもゲストに合わせる 平安のあと 中国から離れることで、貴族社会から武士の世の中へと変わった 戦国時代ま未来は未だ来らずですから見えないもの。過去は過ぎ去ったものとして、眼の前に見える 中世までの人は、背中から後ろ向きに未来に突っ込んでいく 日本の中世では、寺社が権力の及ばないアジール(避難所)になっていた 金は4進法 一分が4朱 中世 自前の通貨を持つのをあきらめて、中国から銭を輸入 よそからきたお金であっても、現地の人たちがそれを認めれば、流通する  中央銀行が発行したものでないと信用できないというのは、思い込みにすぎない 国外では中古車の値段はそんなに下がらない 車の持ち主が変わった瞬間に価格が6割に辛くするなんて国は日本だけ。 2,3回転売された車の価値はほぼゼロになる。そんんなのは日本独自の現症。日本人は丁寧に車にのる。質のいいクルマがタダ同然で手に入る。 中古車を輸出するビジネスは日本でしかなりたたない

    0
    投稿日: 2018.07.04
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    先に「辺境の怪書 歴史の驚書 ハードボイルド読書合戦」という同じ著者同士の対談の本を読んで、それがあまりにも面白かったので第一弾のこの「世界の辺境とハードボイルド室町時代」を手に取った。そもそものきっかけは、ちょうど出版されたばかりの「辺境の怪書〜」が話題の本のランキングの中にあって装丁がその中で断トツにかっこよくて目を引いたからだった。それプラス高野秀行さんをTBSの「グレートジャーニー」で観て興味が湧いたので読むことにした。本文の中で場所や人種などは全く関係なく人間が進化?変化?する過程で多くの共通点があるというのはとても興味深かった。人間が自ら変わっていくのではなく自然にあるいは必然的にその変化が起きている、と。人類史という大きな流れの中で捉えるとそれが意図せずに必然とそうなるということがとても不思議で面白かった。そして本の中で辺境と室町時代のことを専門に扱っている辺境作家と中世歴史学者ということでけして大きな経済圏の分野ではない2人だから、おのおの食べていくための苦労などが、フリーランスとしての大変さなどが書かれていてそこがとても共感した。(自分も一応フリーランス、フリーターみたいなもんなので)、苦労がまざまざと目に浮かぶ。こういった決してメジャーとは言えない、いわばパイの小さい分野で活動する人たちの存在というのは、(自分を棚に上げるようであるが)、非常に大事なことである。やはりメジャーだけに大半の人の意識は向きがちだが、(そういう自分もグレートジャーニーというメジャー番組で高野さんを知った訳だけど)アンチメジャーというわけではないが、それでもやはり人が目にしないようなところにも必ず価値はあると思う。それがインディペンデントの存在意義であるし、多様性と可能性があると思う。文中その世界のプロの人でも、アフリカの友人に対して「もし自分がアフリカに生まれていたら、自殺していたと思う。」というようなすごく想像力の欠如した、傲慢な態度=メジャーな人間が陥りがちの多数派の思考(これは自分自身も注意しなければいけない。その考え方に知らぬ間に陥ってしまう)それは多数派の無意識の暴力といえる。特に日本人にはその考え方が強い、いわゆる常識人の一般常識の普通という概念、これは気をつけたい。自分1人がマイナーとして存在することを恐れてはいけない、卑下する必要もない、またその人たちの気持ちを分かろうとしなければいけないという事は常々考えておく必要がある。また第3弾を是非期待したい。またカッコいい装丁が楽しみだ。

    0
    投稿日: 2018.06.23
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    まずは、2人の知識の膨大さ、引き出しの多さに驚き。 あまり歴史に詳しくないため、下の解説を読みつつ、引用される人や書籍が多かったので、次に読んでみたい本も増えました。 最後の方で、今の日本に住んでいた良かったと思ってしまうのは思考が停止しているとの指摘があり、はっとさせられた。 確かに、世界は広く、住んでるところだけが世界ではない。過去の日本や世界に目を向けて多様性や今の日本を客観視する目は必要だと思った。 ◾️村社会の所以。応仁の乱前後からの日本人の同調圧力が強い理由は、年貢を納めるのは村単位だから、個人が納められないと村で負担していた。生命の共同体であった→ミャンマーでは、税は個人単位だから、村の誰が何をしようと知ったこっちゃない ◾️タイ人の流動性。家族、親戚がすぐとこかへいなくなっちゃう。研究者は水の文化と言ってる。タイでは、農民は所得税を払わない。政府が多く税金をとろうとすると、すぐどこかへいなくなっちゃうから。農民が定住民であるとは言い難い。今でも政府がとっているのは企業の法人税や個人で所得の高い人。関税。

    0
    投稿日: 2018.04.26
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    世界でも珍しいソマリランド研究の第一人者高野秀行。というか大抵第一人者になってしまう隙間家具文筆家とも言えます。あまりにもレアな研究過ぎて誰とも話題を共有できない。そこで室町時代の日本とソマリランドや辺境の軍事政権の在り方が似ているという事になるわけですが、それが本になってしまうあたり訳が分からずもさすがであると言わざるを得ないでしょう。そもそも室町時代に興味ないので何とも言えませんが、文面から立ち上る水を得た魚のような高野氏のテンション。知り合いの子供が友達作ったみたいなほんわか感覚が有ります。よかったねえ高野君。正直興味の薄い領域だったので評価しがたいところが有ります。日本史好きの素養が欲しい!

    0
    投稿日: 2018.01.15
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    多岐に渡る興味深い話題満載でとても面白かったです。清水氏の著作は読んだことがないので、今度読もうと思います。

    0
    投稿日: 2018.01.15
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    辺境滞在に裏打ちされた経験と日本史歴史学者の最新の知識が次々に披露され しかもなんだかリンクしている驚異の対談 ふたりの対談終盤 現代日本が特殊でアジアやアフリカの辺境や室町時代の日本の方が 世界的に普遍性をもった社会なんじゃないか 今生きている社会がすべてとは思わないでほしい との結論に至る なんとも憑き物が落ちるような感覚を受ける本 知識としてもっとも意外性があったのは アフリカで日本の中古車が売れる理由 日本の車がすごいということでなく クルマの持ち主が代わった瞬間に、価格が6割に下落する国は日本しかない 中古車輸出ビジネスは日本しか成り立たない それがケガレ意識と関係している ってところ ほかにも目から鱗が多数

    1
    投稿日: 2018.01.13
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    自分の興味的に、「世界の辺境」部分より「ハードボイルド室町時代」部分の方が面白かった。 タイトルには「室町時代」と冠しているが、内容は古代から江戸時代まで幅広い時代の話が上がっている。

    0
    投稿日: 2017.12.11
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    室町時代だけでなく、江戸時代との違い、幕府と京都の距離感の関係性、辺境から現代を読み解く等、相当面白い内容が展開されている。

    0
    投稿日: 2017.11.25
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    良き質問者は 良き回答を引き出す 博覧強記のお二人から 丁々発止、縦横無尽に あっちや こっちへ と  対談をされて 歴史的な 文化的な 博物学的な 興味深い話が とどまるところを知らずに 溢れ出てくる これを面白いと 言わずして… いゃあ 知的な好奇心を気持ちよく 揺さぶってくださいました

    0
    投稿日: 2017.11.22
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    今までの常識をひっくり返すような興味深い話がドンドン出て来て一気に読んだ。外国人がイスラム過激派に襲われる本当の理由は、逃げ込んだ客人は誰であっても守るイスラム社会において、外国人は政府側の客で殺されたらメンツが潰れるから!刀と槍の関係はピストルと自動小銃のそれと同じ。比叡山延暦寺は今の東大、アカディズムの最高峰。中世は復讐が横行していて寺社がアジールだった。綱吉は実は名君で、生類憐みの令は平和な社会に未だ適応できない傾奇者対策だった。それを知ればその社会がよく理解できるエピソードに溢れている。

    0
    投稿日: 2017.08.13
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    これはめちゃくちゃ面白い!タイトルからしてすごいけど(笑 高野さんは、「腰痛探検家」しか読んだことがなかったので、ちょい情けないおじさんというイメージだったのですが、この方めちゃくちゃ知的な人でした(笑 いや、まじお友達になりたいタイプ!歴史も世界各地の文化にも詳しい、時間の縦軸も空間の横軸もめちゃながーくカバーしてる!

    0
    投稿日: 2017.08.02
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    ソマリア紀行がやたらと面白かった辺境を取材して書く作家と気鋭の歴史学者の対談。表紙も素晴らしくて手にとってみたけども両者の経験、知識も豊富でいろんなところに話がとんで内容豊かな対談になっている。日本も江戸幕府が諸々定める前はけっこう自由奔放な社会であったという指摘。ここじゃないどこか、を海の向こうに求めるのか過去に求めるのかの違いだけで求めるとこらは同じという話に納得。かなり面白かった。

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    投稿日: 2017.03.26
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    室町時代の研究者 清水さんと辺境を渡り歩いている高野さんが、意外にも日本の室町時代と辺境と言われる世界の各国各エリアの文化が、似ていることから、それをテーマに比較文化すると面白いのではということで成立した著作。世界の辺境地の文化や特性は、実は過去の時代の特定の国の文化状況と類似しているということは、非常に興味深い本です。

    0
    投稿日: 2017.02.05
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    「北斗の拳」の舞台のモデルとなったのは室町時代であるということを、辺境ジャーナリストの高野さんと、タイムスクープハンターの清水さんが討論を通して浮き彫りにする。

    0
    投稿日: 2016.12.02
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    タイトルは、村上春樹の『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』に掛けている、そうだとはどこにも書いていないけれど。遠く離れたソマリランドと遠い過去の室町時代が並行世界のようであるということなのだろうか。ソマリアの内戦と応仁の乱って似てますよね、というところから始まった辺境作家の高野さんと日本中世史の家清水さんの意外な組み合わせの対談は、意外にもとても噛み合ったやりとりになっている。 「応仁の乱もソマリアの内戦も、同じようにわけがわかんないんですけど、共通しているのは戦争の中心が都だったことでしょう。ふつうはある場所が戦場になっても、そこが戦いによって荒廃すれば、他の場所に戦場が移るけれど、都が戦場になると、いくらそこが荒廃しても、誰かが完全制圧するまで戦いの舞台が移らないんですよね」ということらしい。体面や面子を重んじること、名誉意識や集団主義といった心性が共通しいていると。また、ソマリアにおけるイスラム教と室町時代における信長の治世を、正義と公平を重んじる点で共通していると話している。不安定ながらもそれがゆえに平等な社会であることがソマリアと室町時代の共通点だという。 結局、ソマリアのことをとても特殊な世界だと思いがちだが、歴史的環境条件がそろえば同じような世界が出現するような、ある意味で合理的な世界だということなのかもしれない。遠く離れた世界、つまり距離的に離れたソマリアや時間的に離れた室町時代、についてその世界の合理性を理解するためにはソマリアに対して高野さんがやったように、また室町時代に対して清水さんがやったように、深く潜入してその中で息をするように感じることが必要なのかもしれない。そういった感覚を持ち寄った二人による対談は、現在の日本の特殊性を際立たせることにもなるのかもしれない。高野さんは、「現代日本の方がむしろ特殊であって、アジア・アフリカの辺境や室町時代の日本の方が、世界史的に普遍性を持った社会だったんじゃないかって夢想することがありますよ」と言う。それを受けて、清水さんが「江戸時代という特殊な時代を経て、その延長戦上にあるのが今の日本社会だと考えると」と返す。 対談ものはあまり好きではないのだが、この本のようにそこに必然性があると面白くなるのだ。

    0
    投稿日: 2016.11.20
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    いかもにパクリ(失礼!オマージュなんでしょうね)っぽい題がいけてないけれど、内容はなかなかのもの。ただし、ソマリランドのことは余り詳しく触れられていないので、事前に高野氏の著書を読むことをお勧めする。 内容は、別の視点から日本の中世を捉える、という感じ。清水氏の歴史観が新鮮で面白いと思う。

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    投稿日: 2016.09.04
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    なぜ辺境へ行くのか、歴史を学ぶのか。今生きている社会が全てではないことを知るため、この一言に全てが凝縮されている。歴史家とノンフィクション作家の対談なのだが、中世日本とアジアやアフリカの辺境に思わぬ共通点があり、とても面白い。

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    投稿日: 2016.06.15
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    こういう対談物は大抵、学者先生に作家が一方的に教えてもらうばっかりになりがちだけど、ここでは清水さんが高野さんに色々思いつきで変なこと(多分誰にも聞けなかったこと)を聞いてるのが面白い。野良猫とか、清掃業者の服の色とか。で、それなりに発展しちゃう会話も面白い。

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    投稿日: 2016.05.06
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    辺境ライターと日本中世史研究家のハナシが合いすぎる。 高野秀行は、「ソマリ人の復讐の方法って徹底してるよね?」と言えば「そうそう、あれはすごいよね」と返してくれる話し相手がいなくて淋しいのだという。 そうか、辺境ライターには、そういう悩みがあったか。 そんな高野が、中世史研究家の清水克行に出会い、「ソマリアの内戦は応仁の乱に似てるって思うんですけどどうですか」などとと質問すると「それはですね」と真正面からの答えが返ってくる。最初の出会いで5時間も語り合った(素面→居酒屋)というのだから、どれだけ嬉しかったかが伝わってくる。 実に面白い。世界の辺境でおきていることと、日本の中世の歴史が縦横無尽に語りつくされます。

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    投稿日: 2016.04.11
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    まずそのタイトルずるいだろ!! 春樹か!!(笑) さておき。「現代ソマリランドと室町日本、かぶりすぎ!」の宣伝文句そのままの、ノンフィクション作家・高野さんと日本中世史が専門の大学教授・清水さんによる対談本。 めっちゃくちゃおもしろかった!!! 世界の辺境と中世日本は、現代日本人にとっては同じくらい『遠い』。 現代の世界の辺境地(アフリカ・アジア…など、高野さんが訪れた場所)と中世日本の類似点・相違点を見ていくと、両者が立体的に浮かび上がってくる。 その地域・その時代に生きた人たちとして『近く』感じられる! 現代日本の価値観も、とある一地域のとある時代の価値観…ってだけでしかないんだな。 一番の収穫は『多数決は暴力的な手続きなんだ』(p.261)のくだりで、常々私もそう感じているところをスパっと解説してもらえた。 それから、『彼ら(中世日本人)は抗議の意思表示として、よく切腹するんですよ。』(p.276)『今の日本でも、(中略)「抗議の自殺」とか、「死をもって潔白を証明するとか…(略)』(p.276)というのも自分の実感にすごく近くて、これとキリスト教圏・イスラム教圏との比較はすごく興味深かった! 個人的には、タイやチベットの上座部仏教と、ブータンの大乗仏教、そして日本的大乗仏教の違いあたりはすごくおもしろかった。 イスラムの戒律と各地域ごとの土着の法の話なんかは、興味のつぼにストライク! 後半の、お二人から語られる「現代日本人論」は、視点が違う分すごくおもしろかったし、『一般向けに書く時の作家』としてのお話も興味深かった (日本中世史は一応復習してから読んだ方がより楽しめる。たまたまgaccoで中世日本をやっておいて良かった…。)

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    投稿日: 2016.03.28
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    もう体験することの出来ない室町時代と、体験してきた人もいるけれど、まあまず行けないであろう辺境・ソマリランド。このふたつが、どうもかぶりまくっているらしい、ということで、それぞれの専門家(?)が語り合う。 本当に語っていたらしい。そうしたら同行していた編集者が録音していたらしい。後の方は酔っ払っていて覚えていないらしい。けれど、最初から同じテンションだった、と。タイトルもそそられるが、表紙もすごいよ。 そんなわけで本書のテンションは高い。ソマリランドか室町時代、どっちかだけでも十分美味しい素材なのに、こんなに豪華でいいものか。 かぶってはいるが、やはり両者は違う。復讐という共通の概念を持ちながら、ソマリ人は賠償金という制度を利用し、室町人はその発想を持たない。なぜか。肉親の命はお金には換えられない、という日本人の意識、のようだ。 でも贈り物は大事にしている。客を大切にする。地縁に対する帰属意識もある。 室町時代って、けっこう恐い時代のように思えるし、ソマリランドと似てると言われればなおさらその妄想が強くなる。けれど、もしかしたら現代日本のほうが恐いかもしれない。暴力の怖さがわからないから、思わぬ拍子で暴力が登場するし、いったん登場すると仲介をする人がいない。おお恐い。 室町時代とソマリランドのアナロジー、のようでいて、やはり現代(日本)社会を知るヒントが多く含まれている。日本はなぜ辺境化したのか? 中華文明からの距離をあえてある程度取ることで、武士が台頭し、武家政権が誕生する。ソマリランドもまた、ヨーロッパ文明からのほどよい距離感がある。 あと、ヒゲもそうか。いやヒゲだけじゃなくていろいろな共通点やら考察やらが次々に飛び出してくる。室町時代とソマリランドもおもしろいが、この人たちも面白いなあ〜。

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    投稿日: 2016.03.17
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    室町時代のルールと現代のソマリア(辺境)が似ているだなんて!ほんとなん?謎の独立国家ソマリランドを読んでいたものの、肝心の自分の国のルーツ、室町時代の事はほとんど知らない。田舎の方が都会よりもはるかに安全。日本の仇討ちの対価は近代になり、金銭とトレードするようになった。などなど、興味深い対談でした。

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    投稿日: 2016.03.13
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    対談形式は苦手なのだけど、これは読みやすかった。へぇ〜という歴史トリビアや歴史の見方、学者の世界の舞台裏などが語られ、教養本として楽しく読める。歴史が苦手な人間でもさらっと入り込める。

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    投稿日: 2016.03.08
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     原始の人類の生活を垣間見るには、いまだ原始の森に住む部族の暮らしを参考にする。では、前近代の日本人の倫理や思考方法を垣間見るには? なんとびっくり現代アフリカのソマリランドとすごく共通点があるのだという。世界の辺境を渡り歩いているノンフィクションライターと日本中世史の専門家と対談し、縦横に共通点を語り合う。 〈表向きは西洋式の近代的な法律があるんだけど、実際には、伝統的というか土着的な法や掟が残っていて、それが矛盾していたり、ぶつかり合っている。日本の室町時代も、複数の秩序がせめぎ合っていたということは、本の字面を追っているだけだとなかなか腑に落ちないんですが、アジア・アフリカの現実をイメージして置き換えると、ああ、同じなんだなって、すんなり実感がわくんです〉と高野。  近代国家というタガを取り外してみたときに、人間がどのようにふるまうのか。いろいろ考えさせられることが多い一冊。とりあえず、この清水克行さんという先生の本にたいへん興味をそそられた。

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    投稿日: 2016.03.06
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    わたしは歴史が苦手で日本史なんてまったく興味がなくて大河ドラマも見ないのに、これはめちゃめちゃおもしろかった! 一気読み。 室町時代、戦国大名たちが戦っていた時代は、戦闘のたえない今の世界の辺境地帯に似ている、っていうテーマ。それ以外にもあれこれいろいろなことが語られていく対談ならではのおもしろさ。高野さんがものすごくたくさん歴史の本を読まれていることや博学なことにまたしても感嘆。(どうでもいいけど高野さんの家柄というか、ご自分の血筋にも奥様の血筋にも学者とか先生とか知的な学究肌の方々多いのだなあ、とかミーハーファンとしては思ったり)。高野さんが、じゃあこういうのはどうですか?これは?とかどんどん質問していく感じが、すごく楽しそうで、読んでるほうもわくわくするような。 とにかく、はじめて、歴史っておもしろいかも、と思った。教科書ではほんの一行ですまされることでも、それがすべてではなく、長い年月や、ものすごく大勢の人々の人生も毎日のこまごました日常もあって、教科書や歴史の本に書かれていることがそのまんま正しいわけでもない、っていうのをしみじみ感じたというか。 歴史学者とはどういう感じか、どういう経歴でなるのか、っていうのもなんとなくわかって興味深かった。清水克行さんの著作も読んでみたい。歴史上の人物を、「あの人はおかしい」とか「ああ後醍醐は言いそうですね」とかって、今いる人みたいにいうところがすごくおかしかった。楽しい。 もっともっと幅広く本を読みたいなあーというような刺激も受けた感じ。

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    投稿日: 2016.03.01
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    出会ってしまったソマリオタクと日本中世オタク。すごく仲がいい。生類憐れみの令は悪法じゃなかったんや!

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    投稿日: 2016.02.28
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    ソマリランドと日本の室町時代の共通点を軸に語られる対談本。世界の辺境であった室町時代の日本と現在における辺境であるソマリランドとは辺境同士似ている部分もあり、一方で異なっている部分も面白い。単に歴史だけでなく、文化、思想や他の国々の言及もあり、縦横無尽に語りつくすという形を相応しい。気軽に読めて、しかし他の本にはない新たな視点盛りだくさんで、知的好奇心を刺激される非常に素晴らしい1冊。

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    投稿日: 2016.02.21
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    ・法慣習の重層化 ・中世史面白さ : たくさんの人が集まり、何もないところから社会を組み立てていく過程を試験管のなかを覗くように見れること、例「仁義なき戦い」60

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    投稿日: 2016.02.20
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    面白かった! 世界史にも日本史にも全く詳しくない上に、聞いてもすぐに頭から抜け落ちてしまうような残念な記憶力の持ち主である私ですが、ある種の専門家と専門家が、互いの知識をすり合わせて新たな知見を得ようとしている居酒屋の席に同席させてもらっている…といった感覚で非常に楽しめました。 高野さんが「ミャンマーではこんなことが…」と話すと、清水さんが「日本でも室町時代…」と返す。清水さんが「こういった記録があって…」と話すと、清水さんが「そういえばタイでも…」と返す。こうした国と時代を超えたやりとりで、人の持つ共通性を感じられるし、それでも出てくる差異については、それを生み出すものを考えさせられ…と、実に興味深かったです。

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    投稿日: 2016.02.05
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    辺境と中世日本史という、一見、交わらないようだが共通の渇望を抱く「ここ」ではない何処かを追い求める2名の研究者の対談。これだけがっちりかみ合う、正のスパイラルを感じる対談本も珍しい。

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    投稿日: 2016.02.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    中世日本社会と世界の辺境の意外な共通点を紹介されるだけでも、とても興味が持てた。また、それらを通じて、現在の日本を相対的に見ることもできる。 ・未来が後ろにあった頃 p.75  そもそも中世までの日本語は「アト」には「未来」の意味しかなくて、「サキ」には「過去」の意味しかなかったようなんです。(略)  これは、勝俣鎭夫さんという日本中世史の先生が論文に書かれていることなんですが、戦国時代ぐらいまでの日本人にとっては、未来は「未だ来たらず」ですから、見えないものだったんです。過去は過ぎ去った景色として、目の前に見えるんです。当然、「サキ=前」の過去は手にとって見ることができるけど、「アト=後ろ」の未来は予測できない。  つまり、中世までの人たちは、背中から後ろ向きに未来に向かって突っ込んでいく、未来に向かって後ろ向きのジェットコースターに乗って進んでいくような感覚で生きていたんじゃないかと思います。勝俣さんの論文によると、過去が前にあって未来は後ろにあるという認識は、世界各地の多くの民族がかつて共通してもっていたみたいなんです。  ところが、日本では16世紀になると、「サキ」という言葉に「未来」、「アト」という言葉に「過去」の意味が加わるそうです。  それは、その時代に、人々が未来は制御可能なものだという自信を得て、「未来は目の前に広がっている」という、今の僕たちがもっているのと同じ認識をもつようになったからではないかと考えられるんです。神が全てを支配していた社会から、人間が経験と技術によって未来を切り開ける社会に移行したことで、自分たちの時間の流れにそって前に進んでいくという認識に変わったのかなと思います。 ・バック・トゥ・ザ・フューチャー p.77  その勝俣先生の論文は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(『中世社会の基層をさぐる』山川出版社)というタイトルなんです。(略)  有名な映画のタイトルと同じですよね。主人公がタイムマシンに乗って過去に行き、未来を変える。そのことをあの映画では「バック・トゥ・ザ・フューチャー」と表現しているわけですが、これもただの言葉遊びではなくて、古代ギリシャなどでも、もともと未来は「後ろ」にあると認識されていたから、「未来にバックする」という言い方もあるんですって。それであのタイトルになっているだそうです。教養のある欧米人なら、未来へはゴーするんじゃなくて、バックするんだということがわかるみたいです。 ・伊達政宗のイタい恋 p.159  同性愛は戦国の文化。戦国になると過酷な社会を生き抜くには、女をはべらせてなんかいられない。信頼できる男だけで周囲を固めておく方がいい。  だから、平和な時代になっても愚連隊をやっていたかぶき者には、同性愛文化が残った。それが社会的に見てみっともないことだと考えられるようになったのが元禄頃で、ひげの文化も同性愛の文化もなくなっていく。  伊達政宗が、恋人である男の子にあてた手紙も残っている。 「俺は浮気はしてない。お前だけなんだ」ということを女々しく書き連ねていて、「愛の証のために、今すぐ腕に刀を立ててもいい」と言っている。だけど、「俺ももう孫がいる年齢だし、行水を浴びるときに小姓たちに見られて笑われてしまうとみっともないので、やりたいけどできない」とかいって(佐藤憲一『伊達政宗の手紙」新潮選書)。 ・網野義彦という研究者 p.177  網野義彦は、中世のイメージを革命的に変えた人。それ以前は、日本の中世は武士と農民の時代で、荘園は閉鎖的な村落で、人々はみな自給的な暮らしをしていたというイメージでとらえられていた。網野は、そうじゃなくて、非農業民を含む様々な人たちがうごめいていた社会だったんだというオリジナルな着想を持ち込んで、注目された。  網野の研究はスケールも大きくて、ミクロな庶民群像や偽文書なんかを取り上げる一方で、その中で人類の歴史が大きく転換するというマクロな議論もしている。鎌倉時代とか、室町時代とか、そういうちまちました話じゃなくて。 ・多数決は暴力的な手続き(清水) p.201  学生によく「多数決は暴力的な手続きなんだ」って言うと、キョトンとする。小学生の頃から、多数決は民主主義の基本だって習っているから。でも、多数決は実は非民主的で、それをやってしまうことによって少数意見が切り捨てられる。  中世の人も滅多なことでは多数決をやらない。だらだら話し合うことによって、白黒つけない。白黒つけちゃうと、少数派のメンツをつぶしちゃうことになるから。だから中を取るというか、ストレートな対立を生まないようにするというか。  根回しですよね。それってたぶん、狭い世界の中で生きていくための一つの知恵なんですよね。前近代社会の意思決定の仕方としては、一番ポピュラーな形かもしれない。

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    投稿日: 2016.01.31
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     ソマリランドで一躍脚光を浴びた高野秀行と日本中世史の研究者である清水教授との対談で、現代ソマリランドと室町時代が似ているとのキャッチコピーに興味を引かれたのだが、それは全体の1/6でしかなかった。  残りは、日本の歴史の話しが多く、それも庶民の生活や社会や風習に関するもので、それらが現在のソマリランド、ミャンマー、アジアやイスラム諸国など途上国と似ているところがあるとかないとか、話が盛り上がるといった内容である。 ついには、お互いの仕事というか活動についてまで話が及んでいる。  まあ、それなりに読んでいておもしろく、へ~!と新たな気付きもあるが、作者どおしがこの対談を楽しんでいるほどのおもしろさは感じられなかった。

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    投稿日: 2016.01.23
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    現代日本と中世、それから世界の辺境といろんな方向にいろんな次元に話は広がっていきつつ、妙に納得させられる。面白い。

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    投稿日: 2016.01.03
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    どちらも日本を客観視しているのが面白い。 辺境と室町日本の話なのだが、結局は現代日本との比較であり、現代日本論になっている。 肩の力を抜いて読めます。

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    投稿日: 2015.12.24
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    小説で過去と未来だけでなく、地理的な広がりのあるような縦にも横にも大きな話が好きなんだけど、まさにそうゆう対談本。辺境の民族の話が室町時代の日本人に似てますねってゆってくださったから始まったこの素晴らしい対談。しかも似てますねってツイッター発信だったってゆう現代感。似てるところもあって似てないところもあるってゆうのは、全ての物事に対する普通のことなんだけど、何事にも似て非なる!と思ってたことが何かに似ているって知ったらココロオドルだろうなあ。 有名な論文『バックトゥーザフューチャー』の話も出てきて感激。先日、この先、後日、この後は、過去、未来、未来、未来、ってゆう未来へはゴーするのかバックするのかってゆうこの話すきだなあ。未来へバックってゆうのは映画における洒落だと思ってたんだけど、古代ギリシアの考え方からきている熟語なんだって。面白い話。 また、古米か新米かの話も出てきて興味深い。かつては古米の方が値段が高かった記録があるらしい。その考察が面白い。 辺境にも室町時代にも興味の湧く一冊。他人事だからストレスフリーで読めるのがいいところ、らしい。確かに確かに。歴史学科の大学生のうちに読みたかったけど、今年の夏に出た新作面白本です!!!

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    投稿日: 2015.11.19
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    いやあ、これは面白い。縦と横、時間と空間を自由に行き来しながらそこに浮かび上がる不可思議なアナロジー。知的好奇心を存分に満たしてくれる傑作対談です。

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    投稿日: 2015.10.26
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    〈目次〉 第一章 かぶりすぎている室町社会とソマリ社会 第二章 未来に向かってバックせよ! 第三章 伊達政宗のイタい恋 第四章 独裁者は平和がお好き 第五章 異端の二人にできること 第六章 むしろ特殊な現代日本 〈内容〉 考えてみれば、日本中世は混沌として現代のアフリカと似ているのかも知れない。人類が同じように進化しているのなら、環境の違いがその進化のスピードの違いならば、そういうことになる。本書には示唆はたくさん。日本中世史の研究者として、歴史を体感したいならアフリカに行くといいとか、信長は「イスラム主義」の過激派の行動とよく似ている(混沌から秩序を作ろうとし、抵抗勢力を根絶やしにするとか)とか。混沌を好むものが江戸時代前半は抵抗していた(かぶきものなど)とか、その一掃のために「生類憐み令」は出たとか。清水さんは現在の日本中世史歴史学会の主流ではないようだが、師匠の藤木久志さん、網野善彦さん、勝俣鎮夫さんなど出てきて、その辺の本をしっかり読まないといけないな、と思った。

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    投稿日: 2015.10.22
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     ソマリランドで有名な著者と、室町時代の学者さんの対談。  ソマリランド云々というより、従来の歴史観なんてものがどれだけあてにならないかを考えさせられる。と言うか、過去は常に変わるのかもなぁ。  歴史は繰り返すとか、過去を振りかえれとかよく言うけれども、それって見る人の数だけ、見たい過去が見えてるだけかもしれないなぁと思った。  面白そうな本がたくさん挙がっていて、また読みたい本が増えるのがうれしいのか恐ろしいのか。

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    投稿日: 2015.10.19
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    ソマリアと室町時代、煽るほどの共通性はなかったが、面白かった。 高野さん、本当によく読んでるな。その教養の深さがあるからこそ、面白いことが見つけられるし、書けるのだな。 辺境冒険ものには興味があったが、日本史はそうでもなかった。 でも、とりあえず、清水さんの本から読んでみよう。 生類憐みの令がかぶき者対策だったとか、墓を作るのは儒教の祖霊崇拝に由来し、仏教とは関係ないとか、徳川幕府の異常な緻密支配は読み書きができる人が多かったから可能だったとか、知らなかったよ。 日本史は古文書が読めればいいのではなく、発想力が大事なんだね。インドで気がついたと清水さんが言ってたけど、外国の辺境を旅して日本史がわかるということが、高野さんにも度々あったのだろう。 二人の書く姿勢について語った最終章も良かった。たくさんの読者を獲得できる人は、やはり色んな努力をしているのだ。 二人の本を読んだことのない人にも面白いと思うな。

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    投稿日: 2015.10.18
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    面白かった。アフリカの辺境ソマリランドと室町・戦国 のころの日本と共通点が多くあって。いまの日本が あまりにも特殊であって、イスラムの世界や部族間の 話など、今の日本からするとあまりにも特異な世界 という感じがしますが、昔というか中世の日本も そういう世界であったという説明がすっと理解できる 内容です。 そのへんの民族論や日本の特殊性を論ずる内容よりも よっぽど面白く、腑に落ちる内容でした。 とても興味深く面白い内容でした。

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    投稿日: 2015.10.18
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    『私達の価値観が絶対ではない』 過去、現在、未来。アト・サキ。イスラムにおけるヒゲの話。伊達政宗など戦国武将と同性愛。歴史学者はインドで発見する。権力者は平和と秩序、勤労を求めるがそれはなぜか?壮大で硬派なテーマがふたりに掛かると、身近で分かりやすく、なるほどなぁ!と思わされる。 世界は広く、多様な生き方、考え方があるからこそ尊い。世の中の見え方が変わる一冊。

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    投稿日: 2015.10.15
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    探険家と名乗っているのは、日本には3名いる。 一人が、グレートジャーニーで有名な関野吉晴さん。 二人目が、各幡唯介。高野と同じ早稲田大学探検部後輩。 三人目が、高橋大輔氏。 ロビンソンクルーソーの暮らしいていた無人島を探したり、浦島太郎やサンタクロースの伝説の真実を明かすという活動をしている。

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    投稿日: 2015.10.04
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     久々にいい本読みました。failed stateの話題は他にも持ち上がっていた気がするけど、日本中世史研究者が丁寧に解説するとここまで腑に落ちるのか、という。。  そして、中世史の先生たちの間に途上国を見ろ、という経験値アップ術があったとは。 清水先生は江戸時代以降を褒めすぎるのは好きじゃないみたいだったけど、やっぱり江戸時代以降の秩序って得意なほどに平和なんだね。 中世ー近世以降期と、自治コミュ二ティ機能の形成過程は一度詳しく調べてみたいなあ。

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    投稿日: 2015.09.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    世界の辺境は、日本の中世と似ているなんて言われても、さっぱりピンと来ないのですが、この本を読めば読むほど納得。辺境を旅し続け、最近ではソマリランドにハマっている高野さんが、日本中世史を専門とする清水克行さんと対談。次々に出てくる類似点にそんなに?ねぇそんなに?という感じなのですが、お互いの経験値・知識レベルが高く、ハイレベルの知識がぶつかり合い、相乗効果を生み出しているところを目の当たりにできるのも、この本の価値でしょう。 信長とISが似ているとか言われても、一瞬「は?」と思いますが、そこにはここがこう似ている、戦乱期の民衆はカオスか専制の二択になるとか、ストンと腑に落ちていく説明がされていきます。それにしても高野さんの発想力や歴史知識も相当すごいはず。 とにかく全体的な情報量が多いのに、読み進めるのも苦ではなく、スルスルと自分のものにできて(できたきになって)しまう一冊。 お二人がなぜこの道を選んだのか、という話もあり、そのあたりも興味深く読めました。

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    投稿日: 2015.09.10
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    おもしろかった-! 読み終わるのがもったいないのに、ずんずん読んでしまった。このコンビでまた本を出してほしい。 ソマリランドと室町時代? そりゃどういう取り合わせ? 当たり前と言えば当たり前の疑問は、高野さんによる「はじめに」でそっくり期待に変わる。ソマリ人をはじめ、アジア・アフリカの辺境全般に、中世を中心とした過去の日本と共通する部分が多々あるというのだ。ソマリの内戦は応仁の乱に似てるらしい。いやあ、これはおもしろそうじゃないですか! とにかく高野さんの嬉しそうなこと。ソマリについては日本ではほぼ唯一の専門家で、話の通じる人など皆無だったのが、思いもかけぬ所から「同好の士」が現れたわけだ(「青い鳥がすぐ近くにいた上に、実は黄色かった」とあって、笑った)。中世史の研究者である清水克行氏との対談は、その心の弾みがベースになっていて、読んでいてとても楽しい。高野さんが「生徒役」というばっかりではなく、高野さんが語る世界の辺境について、清水先生が「なるほど~」と納得する場面もしばしばあり、そのバランスもとてもいい。 中世・近世については近年研究が進んで、かつてのイメージとは違う姿が浮かび上がってきているようだが、こうして具体的な話を聞くと、そのことがよくわかって興味深い。読みながら「へぇ-」「そうなの」と言い通し。 ・なぜ日本には「仇討ち」があっても「賠償」の発想がないのか。 ・「刀狩り」後も農民たちは刀を持っていたが、一揆には鎌や鍬を持って行った。 ・綱吉の「生類憐れみの令」は都市治安対策・人心教化策だった。 ・軍事政権や独裁者は平和を指向する。 などなど、もう挙げればキリがない。帯の中島京子さんの言葉通り、目から鱗がボロボロ落ちる。 清水先生によると「中世史の古文書は適量」で、「トータルな時代イメージを作りやすい」らしい。また、若いときにインドへ行ったことが、中世の時代感覚をつかむのにとても役立ったとか。勝俣鎮夫という中世史研究者も「歴史学者は若いうちに発展途上国に行った方がいい」と言っていたそうだ。今の日本人には、「世界の辺境」と「昔の日本」は共に異文化だが、双方を照らし合わせることで思いがけない理解の道が開けてくる、というこの知見は素晴らしいと思う。 終わりの方で清水先生が、決して平坦ではなかった研究者としての道のりを語っていて、これが心に残った。大学で出会った藤木久志先生は、生意気な質問をした自分に、校舎の周りを三周もしながら訥々と説明してくれた、「研究者とはこんなにも真摯で誠実なのかと思った」という。大学院を出ても就職先がなく、家族を抱えて講師で食いつないでいたときに、本にした博士論文を読んだ編集者が執筆を依頼してくれたことが「人生で一番嬉しかったかもしれない」とある。その博士論文「室町時代の騒擾と秩序」は九千円以上もし、部数六百部。講談社選書メチエの方だそうだが、すごい人がいるものだ。 一方の高野さん、ノンフィクションを書くときのスタンスについて、いつもよりつっこんで語っている。「人としてこの問題は直視すべきだ」というような姿勢で書かれたノンフィクションは、人にストレスを感じさせ、かえってそこから遠ざける、という意見に同感。高野さんの書くものはいつも、笑わせながら新しい世界、新しいものの見方を差し出してくれる。そこがいい。 装画はなんと、山口晃画伯の馬バイク。ナイスである。山口ファンの高野さん、さぞ嬉しかったであろう。

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    投稿日: 2015.09.01