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【カラー版】動物翻訳家 心の声をキャッチする、飼育員のリアルストーリー
【カラー版】動物翻訳家 心の声をキャッチする、飼育員のリアルストーリー
片野ゆか/集英社
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総合評価

31件)
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    動物園で生きる動物について迫ったノンフィクションです。もともと興味のある動物もいれば、全然知らなかった動物もいましたが、最終的には、どの動物たちにも魅力的なドラマがあり、惹きつけられました。

    1
    投稿日: 2023.01.09
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    「動物に生き生きと暮らしてもらうこと」(客にも楽しんでもらうこと)を目指して働く動物園の現場の飼育員たちの話。4つのエピソードから成っている。 ぼくは動物が好きなので、動物園も好きだと思い込もうとしていたが、行ってみると居心地が悪い。特に象やキリンがコンクリの飼育場を行ったり来たりしていたり、ライオンやトラが寝転がって、ぼーっと檻の外を眺めているのを見るのがダメだった。うしろめたいんだ、と気づいてから、行けなくなった。最近は「ダーウィンが来た!」ばっかり見ている。 動物たちが楽しく暮らしている動物園があれば、またぼくも動物園に行くことがあるのかもしれない。そこで暮らさざるを得ない動物たちにとっても、喜んでいる動物が見たい客にとっても、たぶんぼくよりももっと動物が好きだろうと思われる動物園のスタッフたちにとっても、それはいいことに違いない。 理想論は理想論として、現場に与えられる選択肢は多くない。その中でなんとかやりくりしてがんばる飼育員(と動物たち)の話は迫力があって面白かった。そのへんを勝手?に飛んでいるアフリカハゲコウの話はちょっとびっくりした。ちょっと見たいなと思った。 これからの動物園はどうなっていくのだろう? 野生動物が見たければこちらから出向くのが礼儀とは思いつつも、セレンゲティは遠い。リアルには及ばないとしても、VRの技術を使って遊びに行けないかな。タンガニーガ湖のリアルタイム水中VRがあったら、潜りっぱなしになりそうな気がする。 内容と関係ないが、著者は高野秀行の奥さんみたい。あとがきで「マド」という犬を飼っている、という話が出てきて気づいた。

    2
    投稿日: 2020.10.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ペンギン、チンパンジー、アフリカハゲコウ、キリンのそれぞれについて、「環境エンリッチメント」の観点から飼育に取り組んでいた動物園、飼育員さんたちのノンフィクション。 以前、オカピを見に行ったときに柵をしきりに舐めていて、どうしたんだろう?と思っていたのですが、そうか、あれも常同行動だったんだな…。 動物園、好きだし、子どもと一緒に行くとやはり色々発見はあるし楽しいので、公的民間問わず、なるべくなら存続してほしいのだけど、でも、どこも経営厳しいんだな…。せめてもの応援の意も込めて、可能な範囲でにはなるけど定期的に通おう、と思った。

    0
    投稿日: 2020.01.23
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    動物園の動物自身が快適に、健康に暮らすこと。 飼育員の安全も確保すること。 また、来園する一般の人々が楽しめる場所であること。 そういった意味で、言葉を離さない動物たちの心を“翻訳”しているのは、動物たちと日々向き合っている飼育員さんたちだ。 ここで紹介されているのは、市民ZOOネットワ-クが毎年発表している「エンリッチメント大賞」を受賞した動物園。 ペンギン チンパンジー アフリカハゲコウ キリン 野生の環境で過ごすことが一番の幸せのだろうけれど、柵で囲われた動物園の中でいかに幸せにくらせるか。 飼育員さんたちの工夫と努力と、動物たちと信頼関係を築くことに成功しているのには脱帽。 それぞれが是非見に行ってみたい!と思わせてくれる。

    1
    投稿日: 2019.02.23
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    言葉で交流が出来ない、ペットと飼い主という関係にならない動物園の動物たち。いままでの展示という動物園から、動物たちの特性を見出し活かす飼育員たちの姿が描かれている。 言葉が分からない、表情が分からないから、交流出来ない、理解できないではないのですよね。

    1
    投稿日: 2018.11.04
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    言葉、生活スタイル、本能、何をおいても、きっと人間とは違う動物達に真摯に向き合う飼育員の姿に感動。埼玉県こども動物自然公園「ペンギン」、日立市かみね動物園「チンパンジー」、秋吉台サファリランド「アフリカハゲコウ」、京都市動物園「キリン」。どれも素敵な話ばかり。私も久々動物園や水族館に行きたくなった。

    0
    投稿日: 2018.10.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    【文章】  とても読み易い 【ハマり】  ★★★★・ 【共感度】  ★★★・・ 【気付き】  ★★・・・ 動物園の動物の生活環境を、本来の環境に近づけて、魅力をいかに引き出すか

    0
    投稿日: 2018.09.01
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    「環境エンリッチメント」とは、 動物福祉の立場から飼育動物たちの“幸福な暮らし”を 実現するための具体的な方策。 四つの動物園の、四種の動物の、四人の飼育員&獣医師の物語。 ・ペンギン・・・埼玉県こども動物自然公園 “箱入りペンギン”を本来の生息地に近い環境に馴染ませるには? 「ペンギン図鑑」上田一生氏も関わっていたのね。 ・チンパンジー・・・日立市かみね動物園 チンパンジーの森に群れを・・・しかし、登場する彼らの個性強し! ・アフリカハゲコウ・・・秋吉台自然動物公園サファリランド 大空を飛ばせたい!その実現までの道のりと事件とは? ・キリン・・・京都市動物園 十二年間のキリン担当者としての道のりは、 静かで無口な彼らとの歩みであり、飼育員としての成長でもある。 高木直子さんは現在、ツシマヤマネコの飼育と出産に関わってます。 新人であれ、ベテランであれ、飼育員(獣医と兼職もあり)たちの 飼育動物に抱く愛情と敬意が、実に尊いです。思わず感涙! 動物園へ行くときの見方が変わりますよ。 

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    投稿日: 2018.01.10
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    「環境エンリッチメント」をテーマに、飼育員の話を4つ収録。流れとしては、ある飼育員が新しい動物の担当になり、どうすれば動物がより快適に過ごせるかと、試行錯誤してそれなりの成果を出す、というもの。動物園中で行われたプロジェクトX的な。 現代の動物園はいかに自然環境に近づけた飼育を行うかということを頑張っている。この本に登場するところはどこも工夫しているのだけれど、中でも山口県の秋吉台自然動物公園サファリランドではアフリカハゲコウのフリーフライトを行っていて感心した。家畜ではない鳥を自由に飛ばして大丈夫なのかと。そしたら2回もロストしていた。良く続けているものだとあらためて感心。

    0
    投稿日: 2017.12.20
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    4人の動物園職員の奮闘記。どの話を読んでいても、動物にはここに性格はあるし、好き嫌いも様々。心を持っていることが分かる。人間との共通言語がないため、飼育員は動物の行動や声を「翻訳」していかなければならない。 人間が動物に○○してほしいと思っていても、一筋縄ではいかないのも納得である。 「○○のためにしたのに!」と怒っても、それは人間の勝手な自己満足なんだなぁ。そして、動物園側の裏側での苦労、工夫がありありとみられる一冊であった。

    0
    投稿日: 2017.02.05
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    すばらしい本です。動物園好き、動物好きなら一度はいってみたいと思うような園の苦労話が綴られています。

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    投稿日: 2017.02.02
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    動物園に行くことが好きだ。ただ行くと毎回思うのが動物たちは檻や柵の中に入れられ、見せ物にされて幸せなのだろうか?ということ。そんな動物たちが快適で幸せな生活ができるように、“動物翻訳家”として日夜励んでいる飼育員の姿を集め描いたリアルストーリー。紹介されているペンギン、チンパンジー、アフリカハゲコウ、キリン。種類は違えど全ての“翻訳家”に共通するのは、目線を同じ高さにし、動物の心に思いを馳せ、自分の心を動物の心に重ね合わせること。動物だけでなく、良好な人間関係を築くためのヒントにもなりうる一冊だった。

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    投稿日: 2016.12.24
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    〈目次〉 プロローグ 第一章 ペンギン 第二章 チンパンジー 第三章 アフリカハゲコウ 第四章 キリン エピローグ 〈内容〉 動物園で動物を相手にしている飼育員。彼らは近年ただの飼育員から「環境エンリッチメント」を基準とした"行動展示"をして、動物が生きやすい(動物の感情に寄り添った)動物園つくりに執心している。それを「動物翻訳家」とした、タイトルが秀逸❗彼らの苦悩や喜びが読み取れる作品である。 学校図書館

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    投稿日: 2016.12.21
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    動物園の見方が変わる。動物だけじゃなくそれを取り巻く環境、そして何より飼育員の眼差しを見にいきたいと思うようになった。環境エンリッチメント、動物園も常に進化する。水族館はどうだろう。

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    投稿日: 2016.12.01
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    やる気のある飼育員さん、勇気を出してチャレンジする飼育員さんが登場。「できない理由」ばかりを連ねる人も多い中、動物のために、努力するべきだとつくづく思う。

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    投稿日: 2016.09.19
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    シンプルで無駄がないのに、試行錯誤する飼育員たちと一緒にドキドキワクワクできる文章力が見事な一冊。出てくる全ての動物園に行ってみたくなる!

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    投稿日: 2016.08.26
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    動物園は動物をオリに閉じ込めて酷いところだ… 井の頭動物園の象の花子が海外に晒されて、虐待だ!と多くの署名が集まる… 虐待だ!酷いところだ!と言っている人たちは、 共感力が高いのだろうと思う。 自分に置き換えて動物のことを考える。 動物と暮らしたことがある人なら、わかるはず。 動物と自分を置き換えて考えることは決してできない。 貴方が美味しいと感じるチョコレートやお酒、この美味しさを分けてあげよう!と考えたら…犬や猫は死ぬ。 ! 必要なのは、人間に置き換えることではなく、 彼らの言葉を翻訳すること。 動物のために、と本当に思うなら、使う力は共感力ではなく、傾聴力なのだ。 動物園の動物が幸せなのか、かわいそうなのか、貴方は本人に聞いてみたことがありますか? 貴方はその動物のことを、本当に、理解していますか? ドラえもんの翻訳こんにゃくがない現代で、それを翻訳してくれる人が動物園の飼育員さんたちであり、それを私たちにもわかるように教えてくれる場が動物園である。 翻訳こんにゃくどころか、辞書も飼育書すらロクにない中、手探りで動物たちの声を翻訳している飼育員さんたちの奮闘記です。 ここに載ってる動物園、全部行ってみたい!!!

    0
    投稿日: 2016.06.10
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    何かの雑誌で紹介されてて、ずっと読みたかった本。本当によかった! お涙頂戴系じゃなかったけど、飼育員さんたちの仕事へのひたむきさと動物への愛、動物たちがヒトを認めて共存してくれるその優しさに感動してつい泣いてしまった。 動物の暮らしやすさと一生涯の幸せを徹底的に追及しつつ、来場者に動物らしさをわかってもらう。限られた予算のなかで。これって他の仕事でも同じことだと思う。他のニンゲンもこのくらい真摯に相手に向き合うべき(もちろん私も)! 理系ができていれば動物関連の仕事につきたかったので、本当に心揺すぶられた! 日本の動物園はペンギン大国、チンパンジーは天真爛漫など知らないこともたくさんあった。 いままでと違う目線で動物園を楽しめそう。

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    投稿日: 2016.04.30
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    最近、犬猫に神秘を感じておりまして。 とても利害が一致しそうにないヒトと獣が無条件に信頼し合う関係というのが不思議でならないわけです。特に猫。 お互いの常識が根本から異なる関係に、なんとか歩み寄ろうとするのが本書。動物というのは文字通り冗談が通じない相手。彼らの喜びを感じたかもしれない瞬間は、こちらもホッとしてしまいます。 私が子供の頃は、申し訳ないけれど動物園は退屈なイメージがありました。檻の中でじっとしている動物を眺めても楽しくないし、獣臭くて早く帰りたいわけです。最近は動物たちにのびのびと生きてもらうことで、観客も楽しませる活動が普及した結果でしょうか。10年前に訪れたアドベンチャーワールドの楽しさは衝撃的でした。動物がハッピーになれば観客もハッピーになれるという考え方は、実践にはお金も時間もかかりそうですが、とても前向きで応援したいものです。 動物は常識も価値観も根本から異なる相手。彼らに接して親近感を覚える機会と場所は豊かであって欲しいと思います。

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    投稿日: 2016.04.24
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    近年、動物を檻に入れ展示するだけでなく、環境エンリッチメントと呼ばれる、動物の生態や個性に応じた施設を作る動物園が増えています。遊び道具を手作りしたり、餌の時間を体験にしたり、飼育員の工夫によって、意外な動物の姿が見えたりすることもあります。動物にとってよりよい環境にする上での苦悩や喜びなど、飼育員の感情がひしひしと伝わってくる本です。

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    投稿日: 2016.04.21
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    動物園で出会う多くの動物は、そこで生まれ生涯を暮らす”動物園動物”であり動物物本来の生態を映している訳ではない。それを動物福祉の立場から飼育動物の”幸せな暮らし”を実現させて行こう(環境エンリッチメント)としている四つノンフィクションであるが、テーマの割にはそれほど引き込まれていく話になっていないのはとても残念である。

    0
    投稿日: 2016.03.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    タイトルと装丁から、軽く読める、動物エッセイ的なものを想像していましたが、いい意味で、裏切られました。4種類(ペンギン、チンパンジー、アフリカハゲコウ、キリン)と数年間挫折と工夫を重ねて過ごしたドキュメンタリーです。  日本の動物園が非情に難しい立場になっている原因は、ひとつには、人気のある動物はワシントン条約にかかって、輸入が難しいため、捕獲輸入ができないというところになります。そうなると、動物園同士での動物のやり取りが供給源となります。  さらに、もっと難しいのが、動物園での飼育は自然環境に程遠いため、繁殖が成功しない、成功しても子育て放棄に繋がるという点です。  この本では、全国の動物園が、限られた予算とスペースの中、動物たちと根気よく向き合い、一つ一つ信頼関係を構築する姿が描かれています。

    0
    投稿日: 2016.03.15
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    動物園というと何を思い浮かべるだろうか。 子供の頃の遠足だろうか。それとも家族で行った思い出だろうか。 動物園が絶大な人気を誇ったのは、おそらく一時代前の昭和50年台前後、上野動物園にパンダが来園した頃だろう。珍しい動物を一目見ようと、人々は動物園にひしめき合った。 だが、そこから娯楽の多様化、資金の不足、少子化など、多様な要因が相まって、動物園人気は徐々に下降していく。何よりも、檻に閉じ込められ、時には同じ箇所を行ったり来たりするなどの異常行動を示す動物たちが「かわいそう」という意識が、見る側に出てきたことが大きかった。 野生動物を捕まえて、狭い場所で「見せ物」にする。それは正しいことなのか? 動物たちは幸せなのか? その疑問は、そのまま、動物園の存在意義自体に関わることだった。 近年、動物園はその姿を大きく変えつつある。 動物が生き生きとした姿を見せてくれるよう、野生と比べて単調な動物園の暮らしにちょっとした「冒険」や「刺激」を取り入れる園が増えてきているのだ。多くの動物園は予算もスペースも限られており、もちろん、自然のままの環境を動物たちに与えることはできない。しかし、飼育員の工夫やアイディアで動物たちに「充足感」を与えることは可能なのではないか。見晴台を作る。手作りの遊び道具を与える。ロープを張って移動できるようにする。そうした工夫は「環境エンリッチメント」と呼ばれる。それにより、動物たちのより自然に近い行動生態が見られるようになった。 元祖ともいえるのが北海道の旭山動物園で、各地から多くの来園者を集めるようになった。 この動きは全国に広まっている。人気を集める園は、例外なく、個々の飼育者が、創意工夫によって、動物たちの生き生きした姿を見せるよう務めている園である。 本書はそんな飼育者と動物たちの濃密なエピソードを紹介する1冊である。 登場動物は4種。 ペンギン。チンパンジー。アフリカハゲコウ(*コウノトリの仲間。頭部の羽毛がない)。キリン。 飼育員たちが取り組むミッションはさまざまだ。 南米で見られるように、緑に覆われた丘に、ペンギン・コロニーを作ろう。 3頭のチンパンジーに何匹かメスを受け入れ、群れを作ろう。 大型のハゲコウのフリーフライトを公開しよう。 物静かで繊細なキリンを繁殖させよう。新しい飼育施設に引っ越しさせよう。 前例のないプロジェクトに飼育員たちは知恵を絞って取り組み、ときには失敗し、それでも何とか別の道がないかと模索する。 根底にあるのは、動物たちにとって、よりよい、より幸せな環境を作り出そうという「思い」だ。 実際、本当にそれが動物にとって「幸せ」なのかということはわからない。「幸せ」というのなら、野生にいた方が幸せだったのかもしれないのだ。けれど、動物園育ちで野生を知らない動物を直ちに野に放つこともまた幸せではないだろう。 動物たちはそれぞれのコミュニケーション手段を持ち、それは往々にして、ヒトがヒト同士で行うものとは異なる。 野生に近い動物は、ときとして、歯やくちばし、爪、俊敏な筋肉などの強靱な武器で、「部外者」であるヒトに思わぬ攻撃を仕掛けてくる。 逡巡の中、手探りで、飼育員たちは精一杯の努力を続ける。 そしてそこに、思いが通じた、と感じられる瞬間がある。 実を言うと、このユーモラスな表紙の本に、こんなに泣かされるとは思っていなかった。 丘に作った巣にペンギンたちが移動していき、やがて卵がうまれたとき。 穏やかな気質のチンパンジーのボスを、飼育員さんが「懐が深くて寛容な人」と呼ぶとき。 秋吉台の動物園から脱走してしまったハゲコウが何と和歌山で、怪我なく発見されたとき。 キリンの飼育に奮闘する飼育員さんに、訪れた女の子が「キリンさんがね、お姉さんのこと、だーい好きって言ってたよ!」と告げるとき。 移動中のバスの中で読んでいて、怪しい人と思われそうなほど泣けた。 本当のところはわからない。けれどやはり、そこには心の通い合いがあったのではないか。そう思えたからだ。 タイトルの「動物翻訳家」はストレートな題とは言えないだろう。副題の方が本書の内容に即している。だが、翻訳というものは、1つの言葉をもう1つの言葉に置き換えるということだ。そう考えると、飼育員という人々は、動物たちの言葉を、翻訳者として読み取り、来園者が理解できる言葉に変換するという作業をし続けているのかもしれない。 翻訳には100%の完璧はない。同じ手触りを伝えようとしても、まったく同じとは言えないもどかしさがいつも伴う。 そういう意味ではこのタイトルは言い得て妙なのかもしれない。このタイトルを選んだ著者の片野さんもまた、飼育員たちの思いを読者に伝えようとしている「動物翻訳家」翻訳家とも言えるのだろう。 動物園はこれから変遷を続けるだろう。行動生態の紹介、小動物とのふれあい、そして絶滅危惧種の保存を担う動物園もあるだろう。動物の幸せとは何かを考えながら、動物園は舵取りをしていく。 それはまた、ヒトと動物の関わり方そのものを考えることにほかならない。 よりよい水先案内人であろうと、各地の動物園は、飼育員たちは奮闘を続けている。

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    投稿日: 2016.02.16
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    埼玉こども動物園のペンギンの話が印象的だった。ペンギンの育った環境を真似て作っても、なかなか順応しないで、苦労している姿は、動物の立場に立って考えることの重要性を感じさせた。

    0
    投稿日: 2016.02.11
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    「ドリトル先生シリーズ」が もし ノンフィクション判ででると きっと こういう形になるのでしょうね 万物の霊長なとどという 烏滸がましい立場からではなく きちんと 目線をあわせた 対等な相手として 彼ら(彼女ら)動物たち と 心を一緒に揺らせてきた 動物園の素敵な飼育員の方たちの物語 読んでいて 途中なんども ウルッ ときてしまいました

    0
    投稿日: 2016.01.26
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    動物の心の声をキャッチする飼育員のリアルストーリー 動物の飼育って、ただ餌をあげて、掃除をするだけではないんですね! 決まった予算の中で、いかにお客様に喜んでもらい、動物にもストレスを与えないようにするか、大変な仕事ですね。 埼玉県こども動物自然公園のぺンぺンに会いに行こうと思う。

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    投稿日: 2015.12.27
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    登場するのは、埼玉県こども動物自然公園のペンギン、日立市かみね動物園のチンパンジー、秋吉台自然動物公園サファリランドのアフリカハゲコウ、そして京都市動物園のキリンの4つの事例。 自分の担当動物と真摯に向き合い、彼らが何を考えているのかをあらゆる角度から観察、そして想像し、改善に改善を重ねて行く飼育員さんたちの姿はとても感動的だ。

    0
    投稿日: 2015.12.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    4つの動物園を舞台とした、飼育員さんたちのノンフィクションです。 私がこの本を読むまで知らなかったのは、「環境エンリッチメント」という概念。本文から引用させていただくと、 『動物園の飼育環境を充実させて動物たちの精神的、身体的な健康を向上させる取り組みのこと』 だそうで。 実際、この本に登場する飼育員さんたちは誰もが、動物園で生きる動物たちの幸せな生活のために尽力されています。そこにとてつもないプロ意識を感じました。 ただ単にエサをやって掃除して、というだけではなく、生活環境を野生と同じに整えたり、より良いエサを探し求めたり、動物たちが求めているものを設置してあげたり… その行動はまさに、動物たちの気持ちを代弁する翻訳家そのもの。 今まで動物園の動物たちにはたくさん楽しませてもらってきましたが、その裏にこういった飼育員さんたちの努力が隠されていたんだなと思うと本当に頭が下がる思いです。 これからももっと動物園が面白くなることに期待しています。「動物園の動物はかわいそう」なんて言われないくらいに。

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    投稿日: 2015.12.06
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    動物園版<プロジェクトX>、<仕事の流儀>といった雰囲気(おそらく意識している)のノンフィクション。四つの動物園における、4動物(ペンギン、チンパンジー、アフリカハゲコウ、麒麟)と奮闘する飼育員達の奮闘記といったところ。最近、動物園が面白いなぁと思っていたら、動物園の裏側でこのようなことが進展しているとは。動物園でも動物たちができるだけ本来の姿で生き生きと生活できるように飼育員の人たちが手探るで奮闘している姿が垣間見られます。動物園における環境エンリッチメントと言うらしい。行ったことのある京都市岡崎動物園にもう一度行ってみたくなったし、機会があれば埼玉の緑のペンギン島も一度訪れてみたい。

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    投稿日: 2015.11.30
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    動物飼育員のリアルな現場。ペンギン、チンパンジー、キリンの名前に目新しさはないが、知らない情報ばかり。わたしたちは、まだまだ他の動物を知らない。

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    投稿日: 2015.11.24
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    動物ものってどうも苦手だ。安易な擬人化がされていたり、予定調和的に感動方面に持って行ったり、勘弁してよ~っていうのが多いように思う。しかし、これはそういうものではなかった。動物園の飼育員に密着した、まさに「リアルストーリー」で、面白さに一気読み。 動物園って矛盾や葛藤に満ちた存在だ。飼育員さんが、少しでもその動物本来の生息環境に近づけ、動物のストレスを減らしたいと願うのも自然な成り行きだろう。現実には公立・民間問わず、予算をはじめとする制約は大きい。その中で奮闘する四例がとりあげられている。きれいごとで終わらず、厳しい現実がきっちり書き込まれているところが良かった。これは片野ゆかさんの著作に共通する美点で、シビアに現実を直視しつつ、おおらかさ、あたたかさを失わない姿勢がいいなあと思う。 出てくるのは、ペンギン・チンパンジー・アフリカハゲコウ・キリン。それぞれに味わい深い話がいろいろある。自分が見たことがあるのは京都市動物園のキリンだけだが、あの新施設への引っ越しにこんな苦労があったとは知らなかった。是非また行って、今度は飼育員さんたちの苦闘に思いをはせながらじっくり見てこようと思う。 しかしまあ、同じ動物とは言え、犬や猫のペットと野生動物ではまるきり違うのだなあとつくづく思い知らされる。あるベテラン飼育員さんの「深い愛情を感じているし、信頼関係も築けていると思うけど、フェンスもないところでは絶対に背中を向けません」という言葉が紹介されていた。簡単に理解とか交流とか言えるものではないのだなあと感じた。

    1
    投稿日: 2015.11.04