
総合評価
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powered by ブクログ▼もう大昔、1980年代で高校生だった頃に、井上ひさしさんが作者・代表だった劇団「こまつ座」をひとりで観に行きました。新宿紀伊国屋ホール、「きらめく星座」だったか・・・「闇に咲く花」だったか。どっちかだったかと。その頃に、吉田日出子さんの「上海バンスキング」「もっと泣いてよフラッパー」、つかこうへいさん「今日子」などもひとりで観に行ったんです。首都圏暮らしだったからできた贅沢でした。 中でも、こまつ座/または井上ひさし作品、は何度も行きました。「紙屋町さくらホテル」「父と暮らせば」「人間合格」「薮原検校」「たいこどんどん」「シャンハイムーン」「兄おとうと」・・・・このあたりは観劇した記憶が。好きなんです。井上戯曲。 井上ひさしさんの小説・エッセイなどもそれなりの量を長年の間に読みました。その上で、個人的には結論ははっきりしていまして、 <井上ひさしさんは、舞台で見るのがいちばんで、戯曲を読むのが二番。小説・エッセイなどはどうしてもそれよりは劣る> という結論です。 ※ちなみにそれでも小説エッセイも傑作が多いんです。僕は「十二人の手紙」が圧倒的に小説の中では好きです。1970年代の現代劇ですが、ココロふるえました。薄い文庫本です。 ※戯曲はどれがいちばん好きか・・・好みですが、「きらめく星座」が好きかなあ。 ▼「マンザナ、わが町」は、第2次世界大戦中、日本とアメリカの開戦、つまり真珠湾のあとですが、アメリカで暮らす日本人はまとめて収容所に入れられた。個人財産は没収された。この背景には人種差別もあって、同時期にドイツ系やイタリア系の方々は確か同じ憂き目に会ってはいないんですね。この歴史的な事実を、収容所に入れられた三人の日本人(日系)女性を主人公に描いた戯曲。 ▼笑いあり、歌あり、踊りありの中で、前述したような歴史の事実や不条理、感情が活き活きと描かれます。戦争という主題を描いていくと、実は戦時でも平時でも変わらない「国家とは」「国家と個人とは」という主題にたどり着く。そんな楽しい?戯曲でした。戦後相当に経過してから、アメリカ大統領が「あれは違法だった」と認めて謝罪弁償したそうです。それもまた、アメリカという国家のらしさですね。 ▼「観劇したことのない井上ひさしさんの戯曲を文字で読もう」という愉しみを続けて行こうと思います。それもこれも集英社さんが戯曲を素敵な形で本に遺してくれているからです。感謝感謝です。図書館でたいてい借りれます。
3投稿日: 2025.08.31
powered by ブクログ(2010.05.07読了)(2010.04.21借入) 太平洋戦争中にアメリカの日系人は、砂漠の強制収容所に収容されて暮らした。それまで暮らしていた家は立ち退かされ、所有していた財産はほとんどすべて放棄するしかなかった。ドイツ占領下のユダヤ人と同じような、・・・。ガス室での虐殺はなかった点は異なるけれど。 この戯曲は、カリフォルニア州マンザナ強制収容所を舞台にしたものです。 収容されるまでの状況や収容での日常生活などが演じられることを期待していたのですが、ちょっと違っていました。 収容所の一部屋に5人の女性が集められ、「マンザナ、わが町」という芝居を上演するように依頼されたというのです。 「マンザナとは、スペイン語で『林檎園』のことだそうです。」(10頁) ソフィア岡崎、オトメ天津、サチコ斎藤、リリアン竹内、ジョイス立花、の5人です。 ソフィア岡崎は、ロサンゼルスの日本語新聞主筆でアマチュア劇団のリーダー オトメ天津は、西海岸を巡回する移民農婦上がりの女流浪曲師 ジョイス立花は、映画女優 リリアン竹内は、歌手 サチコ斎藤は、ステージマジシャン ●捕虜交換船(46頁) あの船に乗ることができるのは、日本にとってよほど大事な人か、さもなくばアメリカにとってよほど危険な人間か、そのどっちかに限られる ●真珠湾以来(47頁) 商店は私たちにものを売ってくれなくなり、「ジャップ」という声とともに石が飛んでくるようになった。肉親や大切な友達と切り離され、住むところを奪われ、仕事を奪われ、汗の結晶でありまた頼みの綱の銀行預金も押さえられ、そして子どもたちには学校さえなくなってしまった。 ●食費の支給(49頁) アメリカ背府から一人当たり1日38セントの食費が支給されている ●サチコ斎藤は、中国系アメリカ人(135頁) わたしはエミリア・メイ・チャオリンといいます。中国系アメリカ人です。 カリフォルニア大学の人類学研究所助手。自分たちの戦っている相手はいったい何者か。人類学会がその調査を国務省から命じられ、マンザナへやってきたわけです。 ●中国に対する日本(158頁) 日本が中華民国に21カ条の要求を突き付けられた中華民国の大総統は、「日本人はわれわれを豚か犬、あるいは奴隷のように扱おうとしている」といって涙を流しました。 ●ルーズベルト大統領へ(169頁) 閣下の指令によって、日本人移民とその子孫は、財産をすべて奪われました。ヒトラーもまたユダヤ人の財産を没収しました。あなたはヒトラーとそっくりです。 また、閣下は日本人の血をひくすべての人間に商業活動を禁じました。ヒトラーもまたユダヤ人にあらゆる商業活動を禁じています。 さらに、わが国のほとんどの州では日本人の血を引く者と白人との結婚を禁じています。ヒトラーもまたユダヤ人との結婚を禁止しました。 ●色はなんだって美しい(200頁) 「黄色は美しい(アジア人)」「黒も美しい」「白だって美しい」「赤も美しい(インディアン)」 井上ひさしは、アメリカだけを責めるわけではなく、日本が中国でひどいことをしていることも忘れないようにと言っているようです。 井上さんは、2010年4月9日、肺がんのため死去されました。冥福を祈ります。 ☆関連図書(既読) 「親愛なるブリードさま」ジョアンヌ・オッペンハイム著・今村亮訳、柏書房、2008.07.10 (2010年5月8日・記)
0投稿日: 2010.05.08
