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小説にすがりつきたい夜もある
小説にすがりつきたい夜もある
西村賢太/文藝春秋
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総合評価

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    私小説礼賛などの清々しい文学魂の吐露から、東スポ連載の「色慾譚」まで。作家・西村賢太氏の「あけすけな」筆致に読みながら何度も大笑いしてしまいました。ここに書かれているのは悪い意味での「男の本音」です。 芥川賞作家、西村賢太氏のエッセイ集です。筆者は私小説を書く作家ですのでエッセイと小説の境目が曖昧かとは思われますが、それでも大笑いで最後まで読みきることができました。このエッセイを大笑いで読むことができるのは自身のことを「ゲス」と言い切る西村氏の型破りな言動の中に、己の中にある『負』の部分を見ているからなのかも知れません。 中身は各方面に書き散らかしたというほど多種多様な内容の文章でも、自らが没入し、個人で全集を編んで出版しようと温めている大正時代の作家、藤澤清造氏をはじめとする私小説作家に対する惜しみない賛辞や、受賞時に『風俗に行こうと思っていた』と発言して物議をかもした件に関する『裏事情の話』はたとえようもなく面白く、またどこか哀しいものを感じました。 さらには幼少時から好きだったというプロ野球のファイターズに関する思い。さらには『しみじみと金がほしい』という身もフタもない呟きが前半部でした。 しかし、この本の真骨頂は、連載企画で始まったといわれる、自らの『ヰタ・セクスアリス』を赤裸々に綴った『色慾譚』であり、いまや筆者といえば思いつく『風俗』での買淫(個人的にはこの言葉がすごく気に入っております)話に始まり、自らの性癖や『自分でイタす』時のこと。さらには『秋恵』のモデルとなった同居していた女性との生活。 あまり内容を露骨にはかけないのが残念ですが、まぁかくも負の意味での『男の本音』をさらけ出したものはここ最近めったになく、こうまであけすけに書かれると、むしろすがすがしささえ覚えてしまいます。 西村氏の書く小説は『私小説』という現代の文学ではほぼ廃れてしまった感があるのですが、ここまで壮絶な人生を歩んで、それを書こうとする筆者の「執念」を及ばずながら僕も支持をしていきたいなと、彼の書いた文章の中に大笑いしつつも、それは自分の中にも確実に『存在する』ということを念頭において、これからも彼の作品を読んでいこうと思っております。 ※追記 本書は2015年6月10日、『小説にすがりつきたい夜もある (文春文庫 に 18-2)』として再編集の上、文庫化されました。西村賢太先生は2022年2月5日、東京都の明理会中央総合病院でご逝去されました。享年54歳。死因は心疾患。この場を借りて、ご冥福を申し上げます。

    1
    投稿日: 2024.12.11
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    一周忌のニュースを見て、久しぶりに西村賢太作品を読んだ。随筆は初めて。 芥川賞受賞前後の文章が大半。 その割りに気負ったところはなく、露悪的ないつもの文章で、良くも悪くも安定感がある。ような。。

    5
    投稿日: 2023.02.08
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    67 西村賢太いい。 ガサツそうで、繊細で。私小説について知ることができた。色欲譚笑えた。 小島慶子の解説もよかった。 小説にすがりつきたい夜に読んだ。

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    投稿日: 2015.08.30