
総合評価
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powered by ブクログフランス革命期に死刑執行人として生きたシャルル=アンリ・サンソンの人生を描いた一冊。 単に歴史をなぞるだけでなく、時々のサンソンの心情に対する洞察がなされている。 表紙に荒木飛呂彦のイラストが採用されたのは、ジョジョの担当編集でもあった編集者・椛島氏の繋がりなのかな?
0投稿日: 2026.01.04
powered by ブクログフランス革命の前に、国家による死刑という殺人に最も近い人物によって、これほど明確かつ論理的でその近しい視点だからこその身動ぎできないほどの切迫した思いによる「死刑廃止論」があったこと、そしてそこにある「無辜の民」による差別と偏見を描いた本作品と出会えたことは僥倖です。本当に久しぶりに一冊の本に心打たれました。
0投稿日: 2025.12.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ありえないくらい面白い。 およそ史実とは思えないほどにドラマチックな運命とそれを描く著者の筆のうまさによって、短時間であれよあれよと読み進めてしまう。
0投稿日: 2025.12.21
powered by ブクログおもしろかった、と言うのが憚れるけどおもしろかった。フランスの死刑方法の歴史と数々の残虐行為と執行人の苦悩。時代とともに人権意識が高まり拷問も禁止だし処刑の方法も無駄に苦しませないやり方が研究考案されていくのに、時短(?)になったらこんどは大量虐殺の手段に転用されてしまって、本当に人間は永遠に高度に残酷で救い難く下劣な種であることよ。JGバラードの管理暴力のフィクションなんて可愛らしく感じるほど。 18世紀フランスで死刑執行人は世襲制というか世間から忌まわれて差別されまくって別の職には就けないが為にしょうがなく世襲というのが日本のある職業類を思わせる。
1投稿日: 2025.12.20
powered by ブクログジョジョ7部のジャイロが好きなので手に取った この時代の死刑執行ってこんなに繊細だったんだなとびっくり
1投稿日: 2025.08.23
powered by ブクログ中世のフランスでは、世襲の死刑執行人一族がいた。パリの死刑執行人一族の4代目シャルル・サンソンは、フランス革命の最中、尊敬するルイ16世・マリーアントワネットを自らの手で死刑執行することとなる。それに続くフランス革命のよる恐怖政治により二千数百人の死刑も執行することとなる。一方で死刑廃止を訴え、ルイ16世を悼むミサを毎晩欠かさない半生をおくる。シャルル・サンソンの孫が書いた回想録、バルザックが書いた回想録を基に書かれた一作です。
14投稿日: 2025.08.21
powered by ブクログフランス革命で国王ルイ16世の処刑を担当したサンソンの話。記号としてしか知らなかった時はサディストの死神のようなイメージだったが、被差別身分であり、死刑廃止論者だであり、葛藤する人間であったと知り、新鮮な驚きがあった。
0投稿日: 2025.08.14
powered by ブクログなんか文体が古いな、と思ったら2003年に執筆された実際古い本だった。とはいえシャルル・アンリ・サンソンの評伝として非常に読みやすく、良かった。ナポレオンと話をするシーンなんかは長谷川哲也の漫画「ナポレオン」でも取り上げられてたね。印象に残るものの史実か?と疑わしいエピソード。元はバルザックの著作あたりから持ってきたのだろうか。 ちなみに表紙の左上のセリフは作中で出てくるものの、シャルル・アンリ・サンソンが放ったものではない。彼の立場では言えるわけがない。なぜピックアップしたのか理解に苦しむ。読後に嫌な気分にさせないでほしい。
0投稿日: 2025.05.06
powered by ブクログ怖面白い。 死刑執行人としてのサンソンの責任感と苦悩、ルイ16世の人柄、革命のある意味狂気のような空気。 いろんなドラマが盛り込まれた濃い一冊でした。 表紙もカッコいい。
0投稿日: 2025.04.05
powered by ブクログ過去に読んだ本 フランス革命時、処刑役を代々行ってきたサンソン家のシャルル・サンソン。 首切りの役目を誇りと使命感を持って執行してきたシャルルだが、革命が勃発すると連日多くの人々を処刑しなければならなくなる。その中には無実だと思われる人、知り合い、若い女性も大勢いた。そしてついに敬愛する国王まで自らの手で処刑しなければならない日がやってくる。 シャルルの心の葛藤は今の私たちには想像も出来ない。 フランス革命の影にサンソンのような人物もいたことはとても興味深く、マリー・アントワネットの物語とともに歴史に刻むべき事実だと思った。
5投稿日: 2024.12.27
powered by ブクログギロチンの効率的で人を苦しませない仕組みが、それまでの処刑方法よりも多く容易に人を殺したこと、国王を葬った決断が革命のタガを外してしまったこと、非常に興味深かった。フランス革命は血生臭くて混乱していたようなイメージを持っていて、初期はもっと希望に溢れた旧弊打破の光であったこと、うまく続けば理想だけど、そうはいかないのが現実なのかな。これからの世の中でもその危惧は持っていかなきゃいけないと思いました。
1投稿日: 2024.12.23
powered by ブクログパリの死刑執行人サンソン家6代のうち4代目シャルル・アンリを中心に見ていく。フランス革命以前から恐怖政治頃までの激動の時期に処刑任務を全うしたわけだが、まさに凄まじい人生で想像するだけでも心が暗くなってしまった。処刑した何千もの人々の中には敬愛する国王も、無罪の人も、元カノも、少女も含まれていたわけで、相当な精神力や心の拠り所があったと思われる。シャルル・アンリ自身は死刑制度廃止を執行人自身が公言できる時代ではなかったようだが、6代目アンリ・クレマン・サンソンは廃止を訴えていたそうだ。フランスでの死刑制度廃止は1981年とのこと。EU圏内以外でも死刑制度が広まっていく風潮は現代でもないようだ。人類はより文明的で進歩的な道のりを歩んでいるのだろうか、といろいろ考えられた。
2投稿日: 2024.10.04
powered by ブクログこの作品は処刑人一族という運命を背負ったサンソン家の人間ドラマが描かれています。 処刑人というと、冷酷で血も涙もない野蛮なイメージを持ってしまうかもしれませんが、この本を読めばそのイメージはがらっと変わることになります。 当時、差別され周囲の人々から蔑みの目で見られるこの職業において、それでもなお一人の人間としていかに高潔に生きていくのかを問い続けたサンソン。 フランス革命の激流に巻き込まれながらも懸命に生き、究極の問題を問い続けたこの人物には驚くしかありません。
1投稿日: 2024.08.21
powered by ブクログルイ16世を処刑した事で知られるシャルル=アンリ・サンソンの半生と苦悩を描いた伝記。半ば創作めいた部分があるが、それは著者が参照したバルザックとサンソンの孫による伝記の影響だろう。ただ、著者としても明らかに創作の部分は省いたり、様々な文献からの検証も行なった上で著したらしいので、内容の信憑性は高いだろう。 伝記としてだけでなく、フランス革命に纏わる歴史書としての価値も十分にある。世界史の勉強をする際に、フランス革命の部分は年号に加えて月日を覚えさせられるレベルで細かいので、この本は内容の理解の一助となると思う。バスティーユ襲撃からルイ16世の処刑まではとても細かく描写されており、記号として理解していた歴史の内容に厚みが出来た。 ギロチンの製作過程もとても面白い。死刑囚を苦しませずに処刑する為の人道的装置として発明されたギロチンが、ロベスピエールの敷いた恐怖政治を加速させ、1日で50人も処刑されるような事態を招いた事を考えると、とんでもない皮肉だと言える。
1投稿日: 2024.07.13
powered by ブクログ死刑執行役のサンソン家4代目となったシャルル-アンリ・サンソン。 処刑人というだけで世間から蔑まされてきた家系に生まれ、フランス革命の波に飲まれる中、ギロチンの誕生、敬愛するルイ16世の刑執行を行う。 ギロチンは、より確実で痛みを伴わないよう人道的な意図のもと生まれた処刑法であるが、処刑は当時のエンターテインメントともなっているもの。 シャルル-アンリは、死刑執行の是非を問い、苦悶苦闘の一生を過ごすものの、死刑囚に寄り添った対応を行なってきたことから咎められたりすることはなかったという。 これぞフランス革命の裏歴史。 40冊目読了。
1投稿日: 2024.02.25
powered by ブクログ死刑執行人の心情がリアルに書かれている。フランス革命の残酷な背景が衝撃だった。人が人を拷問し処刑する。並の精神ではありえない。
0投稿日: 2024.01.21
powered by ブクログフランス革命の知識が全くない状態で、同氏著の物語フランス革命に続けて読みました。サンソンの心情描写など豊かに書かれており、一気に読了しました。パラドクスにもがき苦しむ姿が悲しかったです。
0投稿日: 2023.10.06
powered by ブクログルイ16世を処刑した死刑執行人サンソンとその一族の生涯を、ドラマ風にかなり読みやすくまとめている。 なぜサンソン家は死刑執行人の一族になったのかから始まり、フランス革命、ギロチンの誕生とルイ16世の死刑、その後の生涯までがまとまっていた。 史実をただ紹介するだけでなく、日記から解釈した当時の心境を語っているため、小説を読んでいる感覚に近い。 またルイ16世についても革命で殺された愚かな王ではなく、善意の王だったことで革命に巻き込まれてしまった王という人物像を出している。 時代の流れとして王政が倒されるのはしょうがないところはあるが、個人や死刑制度に焦点を当てることでフランス革命を見る目がかわる。
1投稿日: 2023.06.02
powered by ブクログ革命のころのフランスを題材にしたフィクションで好きなものが多いためか、描写の巧さも相まってどんどん読み進む。 (とはいえ、八つ裂きの詳細頁をランチタイムに読んだのは良い判断ではなかったが) 立派に仕事として「処刑業」を代々こなすも、忌み嫌われてしまう葛藤や、生半可に処刑自体に手を出すと、そのプレッシャーから大変なことになってしまうエピソード、多様な処刑スタイルの残虐さなどなど、どれも想像の上を行っていて、現代の社会に生きていてよかったと思わざるを得ない(現代は現代なりの酷さがあるが、それはまた別の話)。 また、処刑人であるが故に医学に精通するというのも表裏一体で面白い。 それにしてもフランス革命あたりって、なぜにこうもドラマチックなのかしら。
1投稿日: 2023.05.16
powered by ブクログ読み応え十分だった。 ギロチンは、処刑される側のことも考えて発明されたとのこと、確かに納得した。 しかしそれが何年後かには、何人もの人を安易に処刑できるマシンと化してしまったのは、皮肉であり悲しい結果だ。 吉川トリコの「マリー・アントワネットの日記」で読んだように、ランバル公妃の虐殺のされ方はやはり凄まじかった。 こうまでしてしまう人々の衝動って何なのだろう。
0投稿日: 2023.05.04
powered by ブクログパリの死刑執行人を務めたサンソン家。その四代目当主シャルル・アンリ・サンソンを中心に、その半生とフランス革命という激動の時代を描いた一冊。 シャルル‐アンリ・サンソン。おそらく恐らく死刑執行人としては1・2を争うくらいに有名な方なのではないでしょうか。国王であったルイ十六世の死刑を執行した人物。近年では、いくつかのゲームや漫画のキャラクターとしても有名です。 ですが、そういったキャラ化や偶像化された姿ではなく、革命時代を生きた一人の死刑執行人としての彼はどんな人物だったのか。それを様々な文献やサンソン家六代目当主にあたるアンリークレマン・サンソンの回想録などから読み解いた本。 敬虔なカトリック教徒であったというシャルル‐アンリ・サンソンは、死刑執行人に対する差別と闘いながらも人道的配慮を忘れず、死刑制度は間違っていると訴え続けたと言います。 敬愛していた国王を自らの手で処刑しなくてはならなかったその苦悩、葛藤はとても悲劇的で、胸が締め付けられます。 残念なことに、彼が死去するまでにフランスでは死刑制度が廃止されることはありませんでしたが、とても近代的な感性を持った方だったんだなと思いました。 現代でも、死に近しい職業に就く人は偏見や差別に晒されることがあると聞きます。死は厭わしいもの。血は穢れ。誰かがしなくてはいけないとわかっているけれど、必要な行為だとはわかっているけれど、自分とは一線を引きたい。宗教的なミームなのか本能なのかはわかりませんが、大衆に浸透しているこういった考えを変えてゆくことは一筋縄ではいかないのだと思い知ります。 伝記やフランス革命史としてはあまりない観点で興味深かったです。 また、文章も学術書や歴史本というより小説に近いので、わりと読みやすいかと思います。
12投稿日: 2023.03.07
powered by ブクログSMAPの吾郎ちゃんが舞台で演じるとの事でどんなもんかと軽い気持ちで読んでみたら凄い話だった。フランスの激動の時代に、処刑方法や王と市民の有様に対してのシャルル-アンリ-サンソンの心情が小説のように描かれていた。サンソンも人の子。
0投稿日: 2022.08.23
powered by ブクログとても面白かったです。 処刑人サンソンの話は、以前テレビでフランス革命が取り上げられたときに知って、敬虔なクリスチャンが処刑人をしているのはなぜだろう?と思い、本書を手に取りました。 当時の処刑人の地位の低さ、にもかかわらず初代サンソンはなぜ処刑人になったのか? サンソンにとってルイ16世はどんな人物だったのか?などが詳細に描かれていて、当時の空気感やサンソンの考えを知ることができてとても面白かったです。
0投稿日: 2022.02.05
powered by ブクログ記述がサラッとしているからとても読みやすい。フランス革命が死刑執行人の視点から書かれており、当時の価値観とその後の変化がよく分かる。特に、後半が読んでよかったと思わせる。 日本語で読める文献も紹介されていて、ぜひともそれも読んでみたいと思う。
0投稿日: 2021.11.13
powered by ブクログ坂本眞一イノサンの主人公、先祖代々フランス・パリの死刑執行人を務めたサンソン家の4代目、シャルル・アンリ・サンソンの記録。 フランス革命という激動の時代を死刑執行人という社会の裏側、負の側面から見続けた一族の物語り。 坂本眞一著イノサンと併せて読むと良い。
0投稿日: 2021.11.08
powered by ブクログ6代にわたり国王のもとで死刑執行人を勤めたサンソン家。その4代目シャルル・アンリ・サンソンがこの本の主人公。国王ルイ16世を崇拝していたにも関わらず、その首を断頭台の上で切り落とす役目を果たさなくてはいけなかった男。 フランスの歴史をよく知らないので、びっくりする話が多かった。 ルイ16世は拷問や残酷な死刑(八つ裂きとか)に反対しており、死刑そのものも極力なくしたい考えをもっていたこと。 死刑執行人の腕や、罪人が暴れたりすることによって打ち首が一刀のもとにできなかった場合、罪人はのたうちまわる。(斬首は基本的に上流階級、下層階級は吊し首) そんな惨状をなくしたいとの人道的な理由からギロチンが発明されるわけだが、試作品では半月形の形だった刃の角度を、数学的な観点から、それではうまく切り落とせないから斜めにするように、と改良を指示したのはルイ16世だったらしい。 ルイ16世は最初は革命に賛成で、民衆の多くは国王中心とした自由平等を実現する体制を考えていたが、国王が国外に逃亡しようとしたために王家に対する国民感情が一気に悪化した。(国王の感覚としては国外の親戚の王族に保護を求めるのは当たり前という感じだが、民衆からしたら国を外国に売り渡す行為に映った) 死刑執行人の家系は、その職業がバレると忌み嫌われるため、家長はなすすべもないが、家族に関してはなるべく身分を隠そうとしていたらしい。子どもも地元の学校には入れないので、遠く離れた学校に身分を偽って通わせた。一応、国王の任命なので給料はだいぶ良かった。だから普段は貴族のような身だしなみで過ごし、サンソン自身はとてもイケメンで頭が良かったのでモテた。 ある夜に食事をともにした貴族の女性から、身分を隠して同席したことを「穢らわしい!」と訴えられたのだが、執行人という身分のため弁護を引き受けてくれる弁護士を見つけられなかった。仕方なく自分で自分を弁護するのだが、その論旨のまあ見事なこと! 国王の権威のもとに、あなたがた判事が下した判決によって、私が刑を執行しているだけ。私は国の秩序を守っているだけだ。それを穢らわしいと訴えるとは、法というものをご存知なのか!? という感じ(本文はもちろんもっと長い)で訴えを棄却させた。 このくだり、う~ん、と唸るくらい、面白い。 サンソン、教養も、信仰心も、人格も申し分ないくらいできた人なんだけど、それ故に、執行人という仕事に苦悩する。 それでも革命前は、死刑執行自体がそんなに多くなく、多いときでも日に数人、何かしらの犯罪を犯したものを手にかけただけなので、精神的な均衡は保てていたが、革命後の恐怖政治で、明らかに無実の人が処刑台に送られてきた。皮肉にも人道的見地から発明されたギロチンが、一日で4,50人もの死刑執行を可能にしてしまった。 サンソンは英邁な国王ルイ16世を慕っていた。ギロチン台まで送る際、なんとか国王を救い出す手だてがないかと苦悩する姿は痛ましい。(実際に救出しようとする勢力が一部にあったらしい) ルイ16世は、贅沢三昧で国民の苦痛には目も向けない専制君主というイメージが強いため、サンソンの心情が理解しにくいかもしれないが、実際は下々の者のことも気にかけていて、改革をしようとはしていたようだ。 なんか、フランス革命の見方が変わった。
0投稿日: 2021.10.26
powered by ブクログ処刑人だって血が通っている人間だ。フランス革命に翻弄される処刑人4代目サンソンの数奇なる物語。その時代を生きた人々の日記などに基づいており、史実に忠実だが、小説のようにとても読みやすい。フランス革命の概論も学べた。
0投稿日: 2021.10.04
powered by ブクログ死刑執行人サンソンの数奇な生涯。 ルイ十六世の首を刎ねた男だが、王室を崇拝しており、死刑制度の廃止も主張。 ギロチンの発明によって処刑は簡単になったが、それに値しない人々まで処刑することになった。 坂本眞一のイノサンを先に読んでたけど、マリー=ジョセフはマンガ用のフィクションだったのね。
0投稿日: 2021.09.30
powered by ブクログ漫画「イノサン」から興味を持って読んでみた。 ルイ16世が、実は頭が良く愛妻家で善意の国王だったとか、ギロチンは死刑囚が苦しまないよう人道的な目的で作られた反面、処刑が短時間で可能になり、革命暴走期の大量の死刑につながった等、今までのイメージが変わった。
0投稿日: 2021.04.08
powered by ブクログ稲垣吾郎さんが舞台でサンソンを演じるので、観劇前の予習として読みました。代々死刑執行人の家系で、国の命令で死刑執行をしているのに本人はもちろん一族差別対象。自分に関係ないところに存在しているのは良くても、自分に関わるのはごめん、人間の身勝手さの犠牲ですね。サンソンの生涯を読み、彼の心情に触れると死刑制度について改めて考えるきっかけになりました。ルイ16世は私の中ではベルばらの王様、好きなキャラでした。時代さえ違えばもっと評価が高かったろうに、残念です。
0投稿日: 2021.03.25
powered by ブクログムッシュ・ド・パリと呼ばれたサンソン一族四代目、シャルル・アンリを軸に、フランス革命前後のフランス社会を解説する作品。物語のスタイルをとっていて、一部作者の創作のようにも思えるが、参考文献を見る限り、大部分は史実に基づいている。 紙幣偽造により死刑となったコローという男の処刑の場面は、生々しく強く印象に残った。死刑執行人ではない素人が死刑を行うとどうなるのか。執行後にそのまま脳卒中になった素人の若者のように、ものすごいプレッシャーをいつも感じながら死刑を行なっていたのかと、死刑執行人の精神の強さに驚いた。 死刑執行人は社会的に差別されていたが、それが死刑は良くないという感情の証明であり、それを肯定することは先祖を否定するというシャルル・アンリの苦悩は一度本を閉じて考え込んでしまった。 「死刑制度は間違っている!処刑を実行する人間を必要とし、その人間に法と正義の名において殺人という罪を犯させるものだから。 このような視点はあまり考えたことがなく、死刑制度について今後考えていく視点の一つとしたい。
0投稿日: 2021.01.24
powered by ブクログ死刑執行人という宿命を背負い、人々から忌み嫌われ続けてきたサンソン一族。 国王の命令により職務として罪人の処刑を執り行ってきたが、フランス革命によって、その仕えてきた国王の首を切り落とさなければならないという皮肉的逆転。 そして斬首刑における、罪人の苦痛を和らげるためという、人道的な理由から導入されたギロチンという方法が、逆に刑の執行が容易なり死刑の数が増加してしまうというパラドックス。 そして教養、思想、そして差別など、国は違えど社会の暗部は同じであり、特に革命期は常識を超えた高揚感が市井に蔓延して、コントロール不能に陥ってしまう。 死刑執行人の話から、時代、政治、経済、文化、思想など様々な事について考えさせられた。
0投稿日: 2021.01.17
powered by ブクログ歴史に興味がない私でも、すいすい読み進められた。執行人が社会的にどう見られていたか、どう暮らしていたか、など当時の市民から見た執行人について詳細に述べられている。貴族や王にとってもそれが変わらないというのが驚きだった。人情を持って生きていくのは大事だなと思う本。
0投稿日: 2020.10.11
powered by ブクログマンガ化されるのもうなずける。映画化されなかったのが不思議だ。日本女性は『ベルサイユのばら』でフランス革命に詳しくなっているから、少女マンガ化もありだろう。 立ったまま固定されていない受刑者の首を一刀で斬ったサンソンの腕前は、わが国の首斬り朝右衛門に比肩する。 わずかな心の動揺で斬首に失敗するというのは、不謹慎だがゴルフのパターを連想してしまう。 ギロチンの刃を斜めにしたのはルイ16世のアイデア、というのはこれまで散々聞かされていた。その発案の時期は1792年3月というから驚いた。てっきり革命の前だろう、と思い込んでいたもので……。 サンソン家に生まれた美少女が活躍する山田風太郎『明治断頭台』を再読したくなった。
1投稿日: 2020.09.03
powered by ブクログパリを含めたヨーロッパでは、世襲の死刑執行人がいた、その処刑人の家に生まれたサンソン家4代目の、シャルル-アンリ・サンソンの半生についての一冊。ばっちりフランス革命の時期で、背景を考えながら読むと苦しい部分もあった。 本当に知らなかった。処刑人たちは、処刑台で冷静に人を殺す残虐ぶりから、一派市民たちの扱いは処刑人の触れたものは触りたくない、関わってはいけない存在だったそう。社会から完全に隔離され、学校にもなかなかいけないような生活を送っていた。当たり前に市民権もなかった。 法の下で、法に従って有罪にされた人たちを処刑してきたわけだけど、それも仕事の一つなわけで ルイ16世のギロチン処刑をした人が、国王を敬愛していた人だったこと、どんな気持ちだったのか。 肩書なんて。それは現代でも言えることな気がする
0投稿日: 2020.07.07
powered by ブクログ主にシャルル=アンリ・サンソンの目線から物語のように書かれているのでかなり読みやすく小説感覚で読めます。その分どのあたりまでが主な出典である回顧録からでどこからが筆者によって読みやすく書かれた創作の部分なのかがわからない部分はありますが、それは原文でもない限り仕方ないことでもあり、出典についても解説が書かれているため気にすることでもないと思います。
0投稿日: 2020.02.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
大学の西洋史(ドイツメインだったが)の講義で、車裂き・八つ裂きの刑と衝撃的な死刑の執行方法があったことを知って、他国はどうだったのか興味が湧いていた。+荒木飛呂彦先生の帯で、購入を決意。
1投稿日: 2019.11.13
powered by ブクログ面白かったが、ややドラマチックに過ぎる気がした。 気になった点は2つ; 1.職業選択の自由について 現代の、私が住む日本では、勤労は選択の自由がある。だから嫌な仕事をした状況で、「いや〜仕事だから仕方なかったんだ」という説明は他人に説得でき得る理由にはならない(仕事辞めれば良かったんでしょ、と言われる)。 サンソンは本当に辞めることはできなかったのか。 2.サンソンが死刑制度の廃止を訴える動機について サンソンは死刑制度の廃止について何度も訴えている。本書では可憐な罪のない少女や死刑に値しないルイ16世の処刑に際し嘆願したような記述だったが、処刑人であれば信じがたい極悪人も多く目にしていると思われるのに、なぜ死刑廃止側に傾くのか。 軍人は偉大で、革命で流れる血は自由のためで、でも処刑人は嫌われるのは、理解ができない。
0投稿日: 2019.07.11
powered by ブクログ“呪われた一族”サンソン家に焦点を当てて書かれたフランス革命史。被差別と使命感,信仰と苦悩が回想録等をもとに綴られていて非常に良かった。 知られざる豆知識も満載↓ ギロチンと言えば斜めのあの刃だけど,この刃を提案したのがルイ十六世だったとは。さすが機械オタク… ヴァレンヌで捕らえられテュイルリー宮殿に住んでた頃 Sanson on the birth of the guillotine (1792) https://t.co/KY5QlzaB3X https://t.co/y3biQ2ivK7 意外にも,ロベスピエールもマラーも当初は死刑廃止論者だった。 “革命初期に熱心に死刑制度の廃止を訴えたこの二人の人物が、後に、恐怖政治の責任者として、もっとも血にまみれた人間とされるとは”p.121 1791年5月30日のロベスピエール演説「①死刑は本質的に正義に反する②死刑は犯罪抑止効果がいちばん高い刑罰ではなく、犯罪を抑止するよりも犯罪を増大させる効果のほうがずっと大きい」pp.120-121 ②を微修正して「死刑に犯罪抑止効果はない」にすれば,まんま現代の死刑廃止論の主張なのに驚く。 ロベスピエール「真実と正義の目には、社会が大がかりな装置を使って命じる死の光景は卑怯な殺人でしかないし、…国民全体によって合法的な装いのもとに犯される重々しい犯罪でしかない」p.121 1792年4月25日,ギロチンが初めて処刑に使われる 8月10日,王政倒壊 11月13日,サン-ジュストの演説「王政はそれ自体が永遠の犯罪であり、この犯罪に対しては、人間は、立ち上がって武装する権利を持っている。…人は罪なくして国王たりえない」p.170 12月3日,ロベスピエールの演説「ルイは死ななければならない、なぜなら祖国が生きなければならないからだ」p.171 一年半でこの豹変…。情勢という風向きの前には信念というもののいかに脆いことか。政治って恐ろしい 翌1月21日,ルイ・カペー「フランス人よ、あなた方の国王は、今まさにあなた方のために死のうとしている。私の血が、あなた方の幸福を確固としたものにしますように。私は、罪なくして死ぬ」p.197
0投稿日: 2019.03.05
powered by ブクログ坂本眞一氏のコミック『イノサン』から、その主人公であるシャルル=アンリ・サンソンに興味をもつようになり、本書を手にとった。荒木飛呂彦氏のコミック『ジョジョの奇妙な冒険 Part7 スティール・ボール・ラン』に登場するジャイロ・チェペリも、このシャルル=アンリ・サンソンがモデルだとされている。 内容はどこまでが史実でどこまでが作者の作り上げた物語なのか判別がつかないというぐらい、かなり作者の創作が入っているように感じられた。それでも非常に読みやすい文体で、引き込まれるように読んでしまった。フランス革命前後の歴史の勉強にもなった。 2013年7月6日に紀伊國屋書店梅田本店で購入し同日読み終える。
0投稿日: 2019.01.22
powered by ブクログ死刑執行人を務めたサンソン家4代目のシャルル・アンリ・サンソンが生きた激動の時代。サンソンの苦悩をフランス革命の裏面史と共に書かれていて圧倒された。 . ”世間の悪意を戦ってきたシャルル・アンリだが自分たちに対する人々の嫌悪感を人間の自然の感情として認めようという気になっていた。(略)人間の自然の感情ほど強いものはない。” . サンソンはハンサムで伊達男という記述や、女囚人に対する心遣いから自分の頭の中ですごく美男子に置き換えて読んだ。歴史物?こういう人物に関するものを読むとそのひとにやるせない愛おしさや哀愁を覚えずにはいられない。
0投稿日: 2018.11.08
powered by ブクログ【由来】 ・ 【期待したもの】 ・ ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。 【要約】 ・ 【ノート】 ・
0投稿日: 2018.10.28
powered by ブクログフランス革命期、死刑を憎しみながらも誰よりも執行した男の話。 ルイ、マリーアントワネット、ロベスピエールなどは有名だが、フランス革命の執行人は、まさにシャルルアンリサンソンだと思う。
0投稿日: 2018.10.01
powered by ブクログ吉川トリコさんのマリーアントワネットの日記が良かったので、フランス革命の気分で。私が持っているのは荒木登呂彦さんが帯文で「彼こそが人類究極の実話」と寄せているけれど、まさにそう。新書でありながら書き方がかなりストーリー的なので、ぐいぐい読んでしまった。
0投稿日: 2018.08.28
powered by ブクログ伝記でありながら小説のような一冊。 フランス革命の時代を処刑人として居合わせてしまったシャルル=アンリ・サンソンの物語。 彼は優秀な処刑人であり、だからこそ熱心な死刑廃止論者であり、そして運命の数奇さにより王の首を落とす男となった。 勢いから一般人が処刑を実行したときは、人を殺したことと人前で一挙手一投足に注目されるプレッシャーに耐えきれず、脳溢血で死亡してしまったなんてエピソードがあるあたり、彼ら一族がどのようなものを家業としていたかわかる。 ちなみに、タイトル通りルイ16世との関係は熱量を持って触れられているが、マリー・アントワネットとの話は20文字ぐらいしか書いてないのでそこを期待して読む人は注意だ。
0投稿日: 2018.06.15
powered by ブクログFate/Grand Orderというスマートフォン専用ロールプレイングゲーム、1.5部・亜種特異点IV 禁忌降臨庭園 セイレム『異端なるセイレム』にて、シャルル・アンリ・サンソンは果てしなくフィーチャーされ、Twitter上でこの作品が紹介されていたので読んでみました。 死刑執行人。サンソンの名前はなんとなく知っていましたが、ギロチンで処刑をし続けた人、と言うくらいの軽いもので、彼がどんな道を歩みどんな思想をしていたかまでは全然知りませんでした。 Booklive!で購入したので、電子書籍版として、『ジョジョの奇妙な冒険』作者の荒木飛呂彦さんのイラストが挿入されていました。 死刑執行人として代々引き継がれて来たこと。 そもそも引き継がれないといけないものであったこと。 国王を処刑した際には大変につらい思いをしたであろうこと。 国王という存在の大きさ、処刑人という存在の大きさ。 日本の死刑執行人は、ボタンを何人かが一斉に押して自分が殺したことがわからないようにしていると言うけれど、サンソンは違う。自分の手で持って人を殺した。だからこそ血塗られた。だからこそ誰かがその役目を負わねばならなかった。
0投稿日: 2018.02.16
powered by ブクログ漫画「イノサン」の元ネタ、参考書籍。 「ムッシュー・ド・パリ」シャルル-アンリ・サンソン(四代目)中心。 ――初めに恋があった 序章の1行目からこの言葉。サンソン家のすべてはここから始まった。というか、この恋がなければその後の(子孫の)苦悩は無かった。 シャルル・サンソン・ド・ロンヴァル(初代)の恋がサンソン家六代の歴史を使ったという恋愛小説のような実話。 「イノサン」読後なら、この場面知ってる!(下敷きだから当然だが)という部分があり楽しいし、漫画を知らなくてもギロチンなりフランス革命なりに興味があれば面白いとかと。 お馴染みマリー・アントワネットもちょい役(サブタイ通り王家側の主役はルイ十六世)で出てきます。 日本で切腹を見たフランス海軍が居たたまれなくなった話や素人がギロチンを使うとどうなるか、という挿話もあり処刑人一辺倒ではないのも箸休めになる。
0投稿日: 2018.02.10
powered by ブクログサンソン家執行人の4代目シャルル・アンリ・サンソンの生涯が綴られています。 サンソンの中でも一番多く首を落とし、敬愛する国王ルイ16世までもあの世へ送ってしまいます。 ギロチン誕生と革命・恐怖政治という激動の時代に処刑を受け持った、強靭な精神力の持ち主です。 最後まで丁寧に仕事をやり遂げたわけですが、彼の幸せは生前には無かっただろうと不憫に思います。
0投稿日: 2018.02.07
powered by ブクログノンフィクション小説みたいで読みやすい。 死刑執行人は好き好んで処刑しているわけではない 命じられたから仕事としてやっているだけである しかし市民はそれを穢れたものだと嫌悪し、差別する 感情の仕業だからしょうがないと諦めるも、人権宣言で事態はひっくり返る それまで嫌悪されていたのが社会に認められる。 差別というのは社会によって引き起こされるのだなと思った。 ギロチン開発にルイ16世が携わり、最底辺だった処刑人が最高位だった国王を処刑するのは皮肉にしてもできすぎていると思った。
0投稿日: 2017.12.13
powered by ブクログフランスの死刑執行人サンソン家の歴史の中で、 フランス革命期に生きた四代目シャルルーアンリに 焦点を当てて、本人の生き方、関わった人々、 時代について、詳細に書かれている。 死刑執行人として逃れられない運命。 職業差別、死刑執行の緊張感と喪失・・・様々な葛藤を 抱えながらも、結局は執行人としての職務を こなさなければならない。 それでも抗い、死刑反対を信条にした男。 しかし、恐怖政治で2700人の超える人の首を 落とすことにことになろうとは! シャルルーアンリの姿を追いながら、フランス革命とは なんだったかがわかる。 そして死の苦しみを和らげるために発明されたギロチンが、 多くの死をもたらした要因になるアンビアンス! まさにフランス革命の裏面史。
0投稿日: 2017.10.06
powered by ブクログ【作成中】 大学の西洋史(ドイツメインだったが)の講義で、車裂き・八つ裂きの刑と衝撃的な死刑の執行方法があったことを知って、他国はどうだったのか興味が湧いていた。+荒木飛呂彦先生の帯で、購入を決意。
0投稿日: 2017.07.10
powered by ブクログサンソン、と言えばフランスの死刑執行人。代々世襲であり、非情な死刑を行うということで皆から恐れられていた。とはいえ、死刑執行は国王の名における命令であるし、残虐な刑はサンソンが考えたのでなく、時代が求めていたと言うべきもので、執行人たるサンソンは心を痛めていた。一番の悲劇は尊敬するルイ16世を処刑することが自分の手でなされた、ということであり、何も悪くないサンソンは終生その罪に苦悩することになる。全く理不尽な死刑執行人の世襲にかの時代の残酷さを実感するとともに、死刑囚を瞬時に死に追いやる「人道的な」ギロチンなればこそ血のフランス革命が成功した皮肉に歴史の哀しさを知る。
0投稿日: 2017.06.30
powered by ブクログ死刑囚が処刑台の上から救出されると言う前代未聞のこの事件は、国家の決定が民衆の意思によって覆されたものであり、しかも、国王が宮殿を構える本拠地、ベルサイユで起こったことである。これを革命と言わずして、なんと言おう。67 68ページ ジャン・ルイ・ルシャールはフランスで車裂きの形が宣告された最後の例となった。…事実上はこの時、ベルサイユ住民の意思で車裂きの刑は廃止されたのであった。68p ギロチンは本来人道的配慮から生まれたが、あまりにもかんたんに殺せる機械だった。従来の処刑なら一日数人が限度だったものが、ギロチンにより数十人の処刑が可能になり、恐怖政治をまねいてしまっった228p
0投稿日: 2017.06.12
powered by ブクログ死刑執行人を努めたサンソン家と革命前後のフランスが舞台。首を切り落とすギロチンが、苦痛を減らす人道的な手段として発明されたものだったというのが驚き。しかし、その手軽さが大量処刑につながってしまったというのも皮肉。
0投稿日: 2017.01.29
powered by ブクログサンソンの存在はもともと知っていたし、大体の人物像も他の読み物で知っていたのでそこまでの真新しさはなかったが、彼の心情的側面をずっと深く掘り下げて知ることができたことは貴重だった。 当時は現代よりも人間の生き方が狭く、それだけに色濃い宿命を背負いながらそれぞれが生きていた。死刑執行人の家系などはその宿命の凝縮も並外れていて、自身を強烈に律することなしに人間としての精神を保ち続けることが難しかった様子がうかがえる。それだけに敬虔であり、それだけに無垢であり、平和を愛し、平等を望み、傷つきやすい。彼の独白は血にまみれながらも何度もドラマチックであろうか。剣からギロチンに代わってもその刃は人間の命を絶つだけで、運命も歴史も時代も立つことができない、ただ、歴史と時代の証となり続けるしかなかった。 読み終わった後、思わず240年前の革命に思いをはせざるを得なかった。 文章はわかりやすく、心理描写も心を惹きつけるものがある。しかし主人公が感傷的なだけに、その展開も感傷的におりなされ、後半著者の主張とサンソンの告白の区別が分かりづらくなる感があった。特に「死刑はなくなるべきである!」と繰り返し強調するラストは思想的な香りがしてちょっと現実に戻ってしまった。もしサンソンの回想録に同じような描かれ方があるなら、引用という形で閉じてほしかった。 17.1.10
0投稿日: 2017.01.11
powered by ブクログ代々、パリの死刑執行人を務めてきたサンソン家。その四代目シャルル-アンリ=サンソンについて書かれたと一冊。 シャルル-アンリ=サンソンはフランス革命においてルイ16世を処刑した人物。 差別と偏見に苦しむ死刑執行人とその家族。たとえ報酬が良くても辛いことが多いだろう。 誰かがやらなくてはならない仕事だと頭では理解しても、その誰かにはなりたくないし、その誰かが家族にいて欲しくない。 現代でも監守などで明らかに死刑執行人となったひとを、きっと人々は差別する。 同じように差別と偏見の目で見られる職業として屠殺業があるだろう。 大抵のひとは肉を食べる。しかし、その肉が肉となる過程に思いを巡らせることはしない。肉が肉となる前には、生きた牛であり豚であり鶏でありその他の動物であることは考えない、考えたくない。 肉を美味しく食べる癖に、動物の命を落とさせ肉とする仕事に携わるひとを、人々は忌まわしいものを見るように避ける。 人間は本当に勝手だ。 マリー・アントワネットに比べると印象の薄いルイ16世だが、当時取り調べとして行われていた拷問を廃止したりと国王を思いやる国王であったと書かれている。 フランス革命が起きたとき、ルイ16世ではない他の人物が国王であったとしても革命は避けられなかっただろう。ルイ16世ひとりが無能だったから起きた革命ではなかったから。誰が国王であったとしてもいずれ処刑されていただろう。 そう考えると、長く無能とされてきたルイ16世は何とも気の毒に思える。 フランスでの死刑方法は、死刑執行人による刀での斬首だった。この方法は死刑執行人の技量は元より、死刑囚が恐怖を堪えて動かないことが肝要となる。死刑囚が恐怖に負けて動いてしまうと、死刑執行人の狙いが定まらず無用の苦しみを与えてしまう。死刑執行人は当然焦るだろうし、死刑囚は痛みのため更に動いてしまう。そうなったらそれはもう地獄だろう。 死刑囚と死刑執行人の負担を軽くするためにギロチンが発明される。 そのギロチンの刃の形状を改良したのは、なんとルイ16世の指摘によるものらしい。 自分が提案し改良されたギロチンによってルイ16世は処刑される。こんな皮肉なことはないだろう。 しかし、このエピソードからしてもルイ16世の高い知性をうかがわせる。 日本の徳川綱吉も意外と名君だったと最近になり明らかになっているようなので、ルイ16世の名誉もいつか挽回されるかもしれない。 フランスやフランス革命などに興味のあるかたには、別の角度から歴史を覗くことのできる本書は面白く読めることと思う。
1投稿日: 2016.12.23
powered by ブクログ「イノサン」の元ネタの一つ。 執行人から見たフランス革命というか。王政時代、革命期と恐怖政治の期間、ナポレオン治世下、と、ひたすら首を斬り続けた人物。国王も貴婦人も暗殺犯も革命家も強盗も、すべてが彼の前では平等で、彼はただ死の天使として職務を遂行するだけ。本人は国王派で敬虔なカソリでリベラルで死刑廃止論者というのが面白い。生涯で3度ルイ16世に会ってる、てのも出来すぎだ。罪人に死を命じる人々の矛盾や無責任さの対極に、執行人がいるのだなあ、と。 ギロチンの歴史についても触れられてるけど、あの三角刃を考案したのは技術オタクのルイ16世、てのも面白すぎる…!
0投稿日: 2016.11.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
初代サンソンは不可触賎民に生まれたのではなく選択した。それは処刑人の娘と結婚するためではあれ自我を重んじて決意した。この本はサムソンが自分が決意したために、自分の子孫の人生を処刑人に導いた「過ちと悔い」を手記に記した文献を基に彼らの行き方を描いた歴史書である。 日本では山田朝右衛門が有名で、こちらは「斬」で詳しく描かれている。2冊併せて読むと日本と西洋の思想の違いや処刑人の行き方の違いがよく分かる。 この書で一番心に打たれたのがサムソンの叫びだ。 「死刑制度は間違っている、とシャルルーアンリは声を大にして叫びたかった。人の命は何よりも尊重されねばならない。人の命を奪うというのは大変なことだ。死刑制度には、人の命を奪うという、この重大事に見合うようなメリットが何もない。犯罪人を社会から除去したところで、ただ一時的な気休めになるだけで、犯罪を生み出した社会のゆがみが正されるわけではない。それに、人の命はもとから神から与えられたものであり、人の命について裁量できるのは、神だけなはずだ。」
0投稿日: 2016.10.28
powered by ブクログ死刑執行人という仕事を代々受け継いできたサンソン家。その役割を担うに至った宿命と使命、数奇な運命について綴った歴史裏話。 世襲制であり、その当時必須の職業だったにも関わらず、周囲からは分かりやすく忌み嫌われていたこと。特別な手当を受け比較的裕福だったこと。差別を受けつつも、自ら志を高く保ち役割を全うしてきたこと。「死刑」という制度の裏には手を下す人もいる、という当たり前のことに気付かされました。 死刑の様子や、死刑器具の紹介については生々しい描写もあります。「ギロチン」誕生の背景にはそれまでの死刑執行人の苦労があり、むしろ彼らにとっても受刑者にとっても救世主とも言えるような器具だったとは驚きです。 時代とともにその地位も方法も変化を見せ始め、「死刑」という制度自体が見直され始めます。そんな矢先の、4代目サンソンに舞い込んできた「国王死刑」の仕事。心と行動が相反する時の苦しさは想像しきれません。 歴史、社会、文化、人間模様、そしてサンソンの人間性。読みやすいのに血の通った、色々と考えさせられる一冊でした。
3投稿日: 2016.09.06
powered by ブクログ久し振りに読み応えのある新書だった。 見せしめ・拷問要素を多分に含む死刑制度、そしてそれを遂行するために必要となる執行人。そして、「死」を扱う者は、恐れられると同時に差別を受けることとなる。その差別により、結果としてその職業は世襲されざるを得なくなる。もちろんその世襲制から離れることは可能だ。だがそれは、先祖を否定し、先祖を恥じる事になる。 1693年12月11日にシャルル・サンソンは子孫たちに対する弁明の書として手記を書き始める。 当時のクリスチャンは、上からの命令は神から与えられた命令と同じであった。社会秩序を守るための上からの命令を忠実に守る事は、神への忠誠である。 4代目のシャルル・アンリは、高等教育を受け、時代の移変わりもあり、死刑制度自体に疑問を持つこととなる。そしてそのアンリ自身が、フランス国王ルイ16世の処刑にたずさわらざるを得なくなる。 フランス革命から恐怖政治下において、下される司法判断について、死刑制度の是非について思い悩み苦しみながらも、職務を遂行して2700を超える執行を行ったアンリ・サンソン。 ギロチンは本来受刑者の苦しみを軽減するものとして用いられるようになったものだか、皮肉な事に、あまりにも効率的に処刑が行われる事になってしまったために、かえって多くの者に対して死刑が執行されてしまう結果となってしまった。
0投稿日: 2015.12.27
powered by ブクログ歴史書であると同時に物語でもあるのが伝記というものか。本書は、国王の名の下に死刑を執行してきた役人が、国王をギロチンにかけることになるお話。 現代において描かれる中世の死刑執行人のイメージといえば、ズタ袋で顔を隠し、巨大な斧を軽々と扱う巨漢の姿が多いが、当時のフランスにおいては、執政者である国王の法=力を民衆に喧伝するための儀式を確実に執り行うことが求められる役人であり、市民とは一線を画す給与を受け取っていた。それでも民衆どころか貴族からも忌み嫌われる存在であったが、歴史に残る、死刑執行人の存在意義を訴えた発言からは、よき教育と理解者に恵まれていたであろうことが伺い知れる。 さてギロチンといえば現代においては非道なイメージを伴うが、当時においては、より残虐で困難であった死刑を、王だろうが一般市民だろうが等しいシステムに組み込むための装置として開発された。本書から伺える過去の刑は、報復、抑止、示威、娯楽と多数の意味を持たされていたが、昨今の法治国家においては、社会が許す範囲での個人への『報復』と『抑止』の手段としての"罰"のみが残されているように見える。だがこの先『抑止』の新たな手段が開発されたとしても、人から感情が失われないかぎり『報復』を完全に忘れることは難しいだろう。 革命の時代から月日は流れ、フランスから死刑はなくなった。稀な事象である以上、死刑の有無が社会に与える影響を測定することは難しい。それは即ち、その価値を、その良し悪しを、その善悪を、現時点では、はかりきれないということだ。だが、人の感情と刑罰が切り離せないからといって、感情のおもむくままに廃止したり採用したりで良いというわけではない。現代の統計学、社会科学、行動経済学、そして哲学がどこまでできるのかはわからないが、その効用を問うことは、続けていかなくてはならないだろう。
0投稿日: 2015.10.10イノサンで再注目
ジョジョ第七部SBRのジャイロ・ツェペリのモデルともなった、シャルル-アンリ・サンソンの物語。 最近ではYJ連載中のイノサンでも注目されています。 死刑執行人という、現代先進国において馴染みのない職業について、時代背景や宗教、倫理感が併せて解説されており、また”尊厳ある死”を確実に、安らかにもらたす発明がその意図を変えシステムとなっていくさまは興味深いです。 なのですが、前半は人物像の解析であったのに、後半のほうが死刑制度廃止に対する著者自身の主張となっており、これが甚だ残念でした。
4投稿日: 2015.10.01
powered by ブクログ坂本眞一「イノサン」のネタ本(の一つ)。内容も文章も面白く、小説のようにグイグイ読ませる。フランス革命は色んな角度、視点から見ると大変面白い。これを読む限り「イノサン」第二部も非常にドラマチックな展開となりそうだ。
0投稿日: 2015.09.10
powered by ブクログ興奮のうち、一気に読み終えてしまった。 「ムッシュー・ド・パリ」たるサンソン家四代目当主、シャルル-アンリ・サンソン。フランス革命という激動の時代、彼ほど、一部始終の当事者たり得た人物はいないのではないか。なぜなら、他の人は皆死んでしまったのだから。彼ほど特異な立場に置かれた者はいない。 ルイ16世処刑にいたる描写は、臨場感たっぷりで目頭が熱くなった。 悲痛の極みであったサンソンが、その日のうちに秘密裏にミサを行ったくだりも興味深い。バルザックの『贖罪のミサ』は覚えておこう。 トランダル将軍との縁など、事実は小説よりも奇なりを地でいくエピソードが多数あったが、特に印象深いのは、サンソンとルイ16世の3度の邂逅。1度目は王とその臣下として。2度目は、王ではなくなったルイ・カペーとギロチン製作話し合いの場で。3度目は言うまでもなく、処刑の瞬間である。 残念な点もある。 サンソンが刑を執行した中には、マリー・アントワネットやロベスピエールなど、大物が何人もいたはずだが大して触れられず。また、恐怖政治の道具となったギロチンの存在の変貌ぶりについては、駆け足感が否めない。さらに、死刑反対派だったロベスピエールがなぜ恐怖政治の代名詞となるに至ったか、そこを語らないとはなんとも片手落ちじゃないかなぁ。そこまでのページ数がなかったのはやむを得ないことだし、調べればいくらでも出てくるだろうけど、処刑人の立場から見た記述は稀だろうから、是非ともこの本の延長で読みたかった。
1投稿日: 2015.06.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
・代々死刑執行を担当する家系のサンソン家。その中でもルイ16世の処刑をすることになったシャルル=アンリがメイン。革命の動き、ルイ16世の人物像、当時の民衆の処刑人に対する意識の変遷等もわかる。 ・裁判の場で「軍人と死刑執行人、どちらも他人の死をもって平和をもたらしている。それなのに後者だけ蔑まれる」という旨を訴えるように、仕事をしているだけなのに一般民衆からは差別の対象となる役職。 ・本人は王を敬愛し、死刑がなくなればいいと考えていた。 ・ギロチンの開発に王が関わり、なおかつ改良のアドバイスをしていたのは初めて知った。 ・ギロチン開発前の斬首を日本式と比較しているのも興味深い。
0投稿日: 2015.03.07
powered by ブクログ「はじめに恋があった」 こんなロマンチックな書き出しで始まる物語が、すべて史実の死刑執行人の家系の話だという。 この数奇な人生はどの小説よりも魅力的に感じた。 そして私はサンソンやフリードリヒⅡ世みたいに、自分の本質と職務の間で苦悩しながらも国のために職務をやり遂げる人物の話が好きなんだなぁ。と自覚
0投稿日: 2014.12.21
powered by ブクログ読了@図書館。 読んでから知ったのですが、マンガの原作(と言っていいのかな?)だったようです。 書かれている死刑執行人サンソンに対する偏見はすごかったようですが。マンガではどう表現されるのかが興味あります。
0投稿日: 2014.08.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
スティーブ・ボール・ランのジャイロの設定は実在の人物をモデルにしていたことが一番の驚きでした。とても非現実的な設定だなぁと思っていたので。 誰よりも国王を敬愛していたサンソンが国王の処刑執行人になるとは、運命って残酷なものですねぇ。処刑場に向かい途中「きっと誰かが国王を救い出してくれる、そのときは自分も協力する」と祈っていたところが泣かせます。ルイ十六世は意外にも国民思いだった、というのも驚きでした。 しかし、処刑者を苦しませないために作ったギロチン(何とルイ十六世も制作に携わっていたとは!)が逆に死刑執行を増やしてしまう原因になってしまったとは。簡単に人を「処刑」出来ると思わぬ弊害が出るようですね。ギロチン操作にもコツがあるようですが。 サンソンの敬虔っぷり(処刑後も個人的にミサをして毎日毎年祈りを捧げている)といい、死刑執行人の人権を訴える傍ら、革命への疑問を抱き悩むところといい、サンソンの等身大の人間像が分かる一冊です。具体的な処刑の説明もあるので若干エグイところもありますが、とても読みやすかったです。
0投稿日: 2014.06.11
powered by ブクログ漫画「イノサン」を読んでいるので、サンソンの話をもっと知りたくて読んでみた。死刑執行人として、人を殺めるプロフェッショナルとして恐れられ、革命の際には国王をはじめとして反逆者に直接手を下す一種の英雄のような扱いをされつつも、実際には法の正義のもと己の仕事を確実に遂行せざるをえなかった人物の苦悩の人生をまとめたもの。人を殺める専門家であるが故に人体構造に精通し医療を副業にしていた事、ギロチンは人道的な処刑装置として考案された事等、意外な事実が多く非常に勉強になった。
0投稿日: 2014.03.25
powered by ブクログ面白かったぁ。一気に2時間くらいで読了。 元はと言えば「イノサン」の元ネタ読んでおこうっと、くらいの思いで手を着けたんだけど、筆者の語り口の面白さ、死刑執行人の置かれてるあまりに特殊な社会的境遇に引き込まれる。 大体において愚鈍に描かれるルイ16世についてはその明晰さに目からウロコ。まさかギロチンの発明に一役買っているとは。そして断頭台の露に自分が消えようとは。フランス革命は様々なものを産み出し、近代の礎となり、その評価は様々だけれど、少なくともその渦中に居た人たちには大変な時代だったろうなぁ、と。後の時代の人は何とでも言えるけど、自分が生きてたとしたら、後世の人からみて賢明な人物になれたとは、到底思えないなあ。。。でも自分が正しいと思える道を生きたいよね、って思えた一冊。
0投稿日: 2014.02.02
powered by ブクログおもしろかった。ベルばらとは また 違った側面から フランス革命を見ている。ノンフェクションなのだが、小説のような雰囲気。 死刑執行人としての苦悩が、痛いほど伝わってくる。 死刑廃止を訴え続けたのがよくわかる。
0投稿日: 2013.10.29
powered by ブクログムシュード・パリ。死刑執行人の筆頭である。パリの執行人はそうばれた。サンソン家は代々、パリの死刑執行人として世襲されてきた。これは貴族と同じである。初代よりサンソン家には日誌が残されていたようだ。処刑後の死体の解剖を行ったり、人間の急所を心得ており、医術として役立てられ、代々受け継がれた。また、高等教育が世継には行われた。法律の知識、精神的な教育は必要であった。 公開処刑では、見世物としての一面も持っていた。極刑の八つ裂きの刑、車引きの刑など、見物人も多かった。剣による斬首は難しいことがしめされている。人道的な方法として、ギロチンが誕生する。ルイ16世は名君であったと語られる。フランス革命が起こり、王政は倒れる。国王は裁判で有罪となり、ギロチンにより、処刑される。3代目のシャルル・アンリ・サンソンが執行人である。心身ともに衰弱したサンソンは、贖罪のミサを行ってもらう。サンソンの回想録(6代目の著作)。 人間を処刑する、精神力の強さは、すごいと感じる。アンリ・サンソンにその源となる、使命感、職務を与えたのは、国王ルイ16世である。革命により前国王を処刑したことで、人間の尊厳をなくしてしまったのではないか?国王は罪を犯していないのだから。また、ギロチンにより、多くの人が死んでいくことになる。狂気か? ギロチンと切腹が比較されている。切腹は武士に行うため、罪人の精神面、介錯人の技術、首が前に出る姿勢など、容易に出来るようになっている。現在のフランスでは死刑は廃止されている。
4投稿日: 2013.10.26
powered by ブクログ私の大好きなジャイロ・ツェペリ(荒木飛呂彦著「スティール・ボール・ラン」の主人公の一人)のモデルだったということで購入しました。モデルとなっただけあってジャイロとの共通点が散見されます。テーマとしては「死刑制度は正しいものなのか?」というものなのですが、一般的に暗愚の王とされがちなルイ16世の印象がいい意味で変わりました。これを読むと死刑制度について考えさせられます。
0投稿日: 2013.10.08
powered by ブクログギロチンの発明が人道的な論理からきていたとは驚き。が、ギロチンのおかげで一日に何人も処刑できちゃうようになっただなんて悲しすぎる。 斬首刑からギロチンへのシフトは、アナログからデジタル化になってかえってどうでもよい仕事が増えて何やってんだか分かんなくなってきたのとよく似ている。 残虐な処刑の様子もさることながら、真に怖いのは革命を望む民衆の集団心理。なんと自分勝手で恐ろしいことよ。 激動のフランスに生きる代々世襲の死刑執行人シャルル‐アンリ・サンソン。彼の脳裏で渦巻くのは、差別の劣等感、王家への忠誠、仕事の誇り。人間味あふれるプロフェッショナルの物語である。
0投稿日: 2013.09.12
powered by ブクログ代々続く死刑執行人の中でも、特にルイ16世の首をはねたアンリ・サンソンを中心に書かれている。最初はなぜ死刑執行人になったかから始まり、周りの人間から受ける差別的な対応なども踏まえている。そして、常に他社の命を奪う仕事をしているからこそ、無慈悲に踏みにじられれ、奪われる命を見て怒りを感じる場面などは、執行人だからこその感情かなと。ギロチンの生まれる過程から、失敗が無く、平等である分、簡易に直ぐ済ませれる結果、1日で何百の頭を切り落としてしまう皮肉に加え、革命による空気で軽々しく人々を殺す一般大衆を見ると、その中で常に冷静な目で見続けるアンリの視線がより際立つと思う。
0投稿日: 2013.08.25
powered by ブクログ18世紀、フランスで代々死刑執行人を務めたサンソン家。その四代目シャルル・アンリ・サンソンの半生を通して、忌み嫌われる存在であった死刑執行人について、また、フランス革命前後の当時の様子、価値観の転換などが描かれる。 「『国王の子は国王に、処刑人の子は処刑人になる』__王家においても、処刑人の家でも、世襲制が厳格に守られてきた。違いは、国王は社会の頂点に位置し、処刑人は社会の最底辺に位置するということだった。この上下関係は覆ることは絶対にあり得ない・・・はずだった。その国王が処刑人に、ついに、一介の死刑囚として身柄をゆだねることになってしまった。」 本書から引用したこの一文が本書をよく表していると思う。 当時は斬首刑の他にも多くの残酷な死刑が存在し、しかも公開処刑であった。当時においては日本を含めどの国も同じような状況だったらしい。現代人にとっては信じられないように感じるだろうが、価値観の変化とは恐ろしいものだと思う。 例えば、今までギロチンと言えば残酷な死刑道具の象徴のように捉えていたが、むしろ残酷な刑罰に代わる人道の処刑道具として開発されたというのには驚きだった。それが遙かにマシだと思えるほど残酷な刑罰があったということだ。 現代では、死刑制度は世界的には廃止される傾向にある中、日本は死刑制度を容認する国である。私もそうだが死刑制度容認の意見が多いからだ。 しかし、死刑制度がある国には、必ずそれを実行する者がいることを忘れてはならない。誰だってそれを実行する者にはなりたくないだろう。それに、死刑には様々な問題を孕んでいることも事実だ。裁判員制度と死刑についても問題が提起され始めていることもある。本書を読みながら、改めてそんなことも考えてしまった。 入り口としては、マンガSBRのジャイロ・ツェペリのモデルとなった、サンソンについて書かれた本を読んでみたいと思っただけだったのだが。 想像以上に深いことを考えさせられた一冊。
0投稿日: 2013.08.18
powered by ブクログ本書を手に取ったのは、週刊ヤングジャンプに連載中の「イノサン」をふと立ち読みしたことがきっかけ。 17世紀末のフランス。パリの死刑執行人(ムッシュ・ド・パリ)、サンソン家の四代目当主であるシャルル-アンリ・サンソンの姿を通じて描く、革命前後のフランスの側面史。 処刑人の家系、社会から受ける蔑みと畏怖、そして革命の嵐……過酷な宿命を受け入れつつも常に"人間として"誠実であろうとし、自らの死を覚悟の上で亡き国王を弔うミサに参列し、死刑制度の廃止そのものを願ったシャルル-アンリ・サンソンの姿は―描写がやや情緒的に流れがちではあるものの―胸を衝くものがある。 詳細はこちらに。 http://rene-tennis.blog.so-net.ne.jp/2013-08-12
0投稿日: 2013.08.12
powered by ブクログ不謹慎を承知で言わせてもらえれば、物語のようだと思いました。 フランス革命といえば、実際には前向きに?歴史的事件として理解している人が多いと思うのですが、実際にはその前から、革命に至るまでサンソンのような、絶対に必要とされながら、人々から理解されない理不尽な状況にある人々が多くいたんだろうと思うと切なくなりました。 彼は、父や祖先たちの行いに誇り?を持ちながらも、葛藤し、悩み、苦悩しています。王政を廃止するために最初は平和的に動いたはずの人々の心の変わりように対しての彼の怒りの叫び、尊敬していたはずの王を自分の手をくださなくてはいけないことへの悲しみがとつとつと、わかりやすく書かれています。。 何というか、ひたすら哀しくなりますが、これも「革命」の現実として教科書に載せるべきではないでしょうか。。。 もちろん革命があったおかげで今があることは事実なのだけれども、一人一人を扱っていたのではとても時間がないのかもしれないけれど、こういう人達がいたことをもっと知るべきかなと思います。 悪とか善とかはものすごく曖昧なものであることを知るきっかになります。。その上で、自分はどう生きていきたいと考えるのか? そのヒントにもなるかも。 名著だと思います。
3投稿日: 2013.08.02
powered by ブクログジャイロ・ツェペリのモデル、ということで一度読んでみようと手に取ったのがきっかけでしたが、とても面白かったです。 世界史の知識にいまいち自信がない私でも、語り口が柔かく、読みやすい文体だったので、すらっと読むことが出来ました。 そもそも、フィクションの世界において『死刑執行人』というのは往々にして端役に過ぎない存在であり、(大抵、処刑される人間にスポットが当たっている)彼らがどういう人間なのか、ということなんて考えたことがありませんでした。 『死刑執行人』という、なじみのない人々の『事情』をざっくり知ることが出来る、というのは大変興味深かったです。 サンソンがとても『いい人』で、それ故にところどころ読んでいてつらかったです…… ただ、例えば自分がその時代の人間だとして『死刑執行人』に偏見なく接することが出来たのかと言えば、恐らくはNOだろうな、ということを思うと複雑な気持ちになります。 『死刑執行人』としてのジャイロ・ツェペリに少し触れることが出来たような、そんな気持ちにもさせてくれる一冊。 彼のことが好きなら読んで損は無いと思います。
0投稿日: 2013.06.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
フランス革命期の裏歴史。敬虔なカトリックでありながら、死刑執行人の家に生まれた『ムッシュー・ド・パリ』シャルルーアンリ・サンソンの物語。 身分差別が激しい時代に死刑執行人の家に生まれ、最低限の身分の身ながら死刑執行という自分にまかされた任をまじめにこなす…敬虔なカトリックであり絶対王政の世の中で王であるルイ16世を崇拝し、そのルイ16世を処刑した男。 昔は、八つ裂き、車裂きの時代で、1日に処刑できる人間はせいぜい数人…でも“処刑にも平等を”という平和主義の革命が起きてギロチンが誕生し、結果的にサンソンは40日間で1300人以上の首をはねることになる。 ルイ16世なんか確かに時勢は読み違えたけど、世間で言われるよりアホな王ではなく、それまでの王政を強権に奮う王よりもよっぽど平等主義者で革新的で平和主義だったみたい。(だからこそ革命も容認されて、フランス革命も起きる) 時代が違えば主義も正義も法律も変わる、っていうのがよくわかる話。
0投稿日: 2013.05.22
powered by ブクログ週刊ヤングジャンプに連載されている漫画の原作。 革命時代のフランスは結構 おどろおどろしい世界だったようです。 マンガのサンソンが どうしても栗原類に見えるのは私だけ? けど 本を読む時、主人公をイメージできて、とても読み易いです。
0投稿日: 2013.04.13
powered by ブクログ欧米の死刑制度廃止に至る思想の変化が、サンソンの波乱万丈の人生譚と共に読み取れる。 サンソンは平民と政治家の中間のような位置なので、フランス革命の箇所も両方の視点が含まれていて面白い。
0投稿日: 2013.03.14
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2018/12/20再読。坂本慎一「イノサン」を読んだので読み直し。サンソン家の物語を通して、革命時のフランス史が理解できた。 2013/03/05読了。博物館でギロチンの模型を見た直後にこの本に出会うとは、なんたる奇遇。 敬虔なカトリック教徒であり、国王を崇敬しながらもルイ16世の首を刎ねることになった、死刑執行人シャルルーアンリ・サンソンの物語。 「死刑制度は間違っている!」と心で訴えながらも、人道的な配慮を尽くし、差別と戦いながら、誇りを持って、粛々と処刑を行うサンソンの生き様に打たれた。 帯の荒木飛呂彦氏のイラストにつられて手に取りましたが、すごくおもしろかった。「ジョジョの奇妙な冒険」に出てくる人物のモデルだそうですよ。こちらはまだ未読。気になる。
0投稿日: 2013.03.07
powered by ブクログ「ムッシュー・ド・パリ」 それはパリの死刑執行人の別名。 本書は、その4代目当主、シャルル-アンリ・サンソンの半生を紹介したもの。 本来、死刑執行人は注目される事はないのだが、ある出来事が彼の名を後世に残すことになる。 それは「フランス革命」 フランス革命で処刑された人のほとんどすべてに関わったのだ。 シャルル-アンリ・サンソンが職務を実行した記録は、そのままフランス革命の歴史。 本来ならば記録にも残らないはずの死刑執行人の目から見たフランス革命の裏面史、と言える。 シャルル-アンリ・サンソンは信心深く、自らを厳しく律する人物だったと言われている。 当時、死刑執行は一般公開(というよりお祭り騒ぎ)されていたため、死刑執行の場で問題が起きた時、自分が真っ先に批判を浴びてしまう。 場合によっては興奮した群集に囲まれるなど、身の危険さえある。 が、そんな事情以上に、彼自身、パリ市民から理不尽な差別を受けていたからだろう。 彼ほど、自分の行動が、自らの意に反することになってしまった人物も珍しいかもしれない。 死刑執行人でありながら、死刑廃止論者。 これは、皮膚感覚として染み込んだ死刑制度に対する矛盾の発露だろう。 また、国王から死刑執行を任された身でありながら、その国王の処刑で手をくださなければならなかったことには、特に葛藤があったようだ。 さらに残虐な刑罰に対して反対であったが、ギロチンの発明に携わったこと。 ギロチンの方が死刑囚に苦しみを与えることなく、処刑できる、という事でギロチンが導入されるが、逆にそのギロチンで、一族の中で最も多くの人間を処刑しなければならなくなってしまった。 本書の最後は「死刑制度廃止」の(著者の)主張になっている。 それについて、賛成・反対は、軽々しく言えないが、死刑制度がある限り、手を下さなければならない人も必ず存在する、という事も忘れてはならないだろう。
2投稿日: 2013.03.03
powered by ブクログ単純に勉強になった 帯のジャイロに釣られて勢いで買ったものの知的好奇心をくすぐられた 死刑執行人という職業、フランス革命前後の人々。知らないことだらけでした…無知を思い知らされた
1投稿日: 2012.12.05
powered by ブクログムッシュー・ド・パリ、サンソン家4代目シャルル−アンリ・サンソンの生涯。筆者が文学者のせいか、はたまた彼自身の人生があまりにも劇的なせいか、ぐいぐい引き込まれて一気読み。本人のエピソードもさることながら、初代のロマンチックとも言える処刑人就任のいきさつやロベスピエールと死刑廃止論、ギロチンの採用とルイ16世など、周囲のそれもまるで物語のよう。さらに最後の部分には、まるで著者にサンソンの心がやどったかのような問題提起。深く考えさせられる。
1投稿日: 2012.12.03
powered by ブクログこれは面白い!常に時代の暗部におり、血塗られた一族とも言われる、死刑執行人一族の4代目当主、シャルル=アンリ・サンソンの数奇な生涯を描いた本。事実は小説よりも奇なりとはまさにこのこと。 人一倍敬愛していた国王ルイ16世を、苦悶しながらも自らの手で処刑する場面などはとても悲劇的である。その後、恐怖政治の時代を生きたサンソンは、この時期だけで二千七百数十人の首を落としている。 誰よりも人の処刑を間近に見、実際に行ってきたサンソンは、誰よりも強い死刑廃止論者であった。その思想は息子にも受け継がれるが、フランスで実際に廃止されるのは、その死から百七十五年後である。
1投稿日: 2012.11.24
powered by ブクログルイ16世の首をハネたある処刑人の話。当時の死刑執行人は「すぐそれとわかるように家全体が真っ赤に塗られていた」とか「娘がいる場合は、普通の男が間違って恋をしないように門前にその旨掲げなければならない」とか、差別されまくりの非人扱いだったらしい。それがフランス革命で一時は英雄扱いになったりとか、敬愛していた王様や昔の恋人の首を自らハネなければならなかったりとか、ドラマがあってすごいおもしろかった。「ギロチンが人道的な目的のためにつくられた道具だった」とか、処刑史に関する情報も盛り込まれていて非常に興味深いです。
1投稿日: 2012.10.09
powered by ブクログ年代がかなり行き来するので、新書と考えると読み辛いが、物語または伝記と考えると良い演出になっている。 フランス革命について全く新しい視点を与えられた。 カエルの子はカエルな旧体制的な身分制度に疑問を感じながらも、国王への敬意と敬虔な信仰をもったサンソンの苦悩が伺える。疑問を感じながらも任務を遂行するサンソンのプロフェッショナルさに驚くと共に、逆らうことのできない革命時の社会の大きな動きに巻き込まれていく状況は悲しいものだと感じた。
1投稿日: 2012.10.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
死刑執行人シャルル・アンリ・サンソンを主人公として、中世の死刑やフランス革命などを書いていく。 序盤には、死刑執行人という家系についての説明も分かりやすく説明があるので、今までそういった職業について目を向けていなかった私でも少しは理解を進めながら読めた気がします。 序盤が終わると、伝記的な文章となるので、読みやすさは更にあがって、社会の最底辺と位置されながら、財産を持ち、医師としても高名だったという不思議なサンソン一家に惹きこまれること請け合いです。 ギロチンの、それが持つ凄惨なイメージと裏腹に、人道的観点から考案された物だったという逸話にも、驚かされると共に、不思議な感覚になります。また、そのために死刑が増えたという皮肉な結果にも。 死刑を執行する側からみた、中世の革命。色々考えさせられるところも多いですが、物語として読んでもきっと入り込むことが出来るでしょう。 おすすめ!
1投稿日: 2012.08.12
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フランス革命時の死刑執行人という職業について、興味深く読みました。当時の刑罰の残虐さの所為もあり、恐怖故に差別されるというジレンマ、処刑業の傍ら、死体がたやすく入手出来る→人体解剖を学べる→医業に携わるという、罪人を処刑する傍ら医療で人命を救うというサムソン家のもう一つの顔も興味深かったです。途中、日本の山田浅右衛門についても少し触れられていましたが、山田家も処刑業の傍ら薬屋を営んでいた事を思いだしました。
1投稿日: 2012.03.02
powered by ブクログ死刑執行人サンソンという1人の人物をメインに書かれているが、その時代の思想などについても触れられていて、18世紀フランスの状況をざっくりと知ることができる思う。 個人的には最後の一文がとても印象的であり、物事を解決するためには普遍的に言えることだなあ。と思った。 以下、その文章。 犯罪人を社会から除去したところで、ただ一時的な気休めになるだけで、犯罪を生み出した社会の歪みが正されるわけではない。
1投稿日: 2012.02.13
powered by ブクログフランス革命期の死刑執行人、シャルル・アンリ・サンソンの評伝。 熱心な死刑廃止論者であり、医師としての腕も確かだった彼が 死刑を執行した人数は2千7百余名。 周りからの差別と偏見、家業の遂行に悩み苦しんだ人生を まざまざと描き出した名著です。 内容は面白いし、文章は読みやすいし。 こういう本が大好き。
1投稿日: 2012.01.31
powered by ブクログ荒木飛呂彦が帯に「SBRのジャイロ・ツェペリのモデルだ」と寄せていることから興味を持って購入したが、その興味を離れて純粋に非常に興味深い本であった。 パリの処刑人一族の4代目、シャルル・アンリ・サンソンの生涯を著した伝記的な本である。以前は市民から処刑人というだけで不当に蔑まされており、フランス革命によって市民としての権利を得る一方、敬愛する国王の権力が奪われることを悲しみ、その国王を処刑することになってしまう数奇な人生を辿ったこの本は誰が読んでも楽しめ、また考えさせられる内容なのではないだろうか。小説のような文体のため非常に読みやすい一方、参考文献はしっかり一次資料を重視しているため信頼性も高いため、興味を持った人にはすぐにでもオススメしたい。 死刑について事細かな描写があり、その残酷さを理解する。そして、それを執行していたサンソンの様々な苦悩を通して死刑制度についてとても考えさせられる。彼の過ごしたフランスでは後に死刑制度が廃止されることとなるが、日本では現存している以上、その賛否に関らずしっかりとした意見を持つことは必要であろう。死刑制度を自分とは遠いただの概念に留まらず、自分に近づけて捉えるための契機となるだろうので、是非多くの人に読んでもらいたい。 よりよく理解するためには読前にフランス革命周辺の基礎知識を押さえておいた方が良いと考えられるが、この本を読むだけでも一人の視点からフランス革命を理解することができるとは思える。革命の知識が無い人には2回読んで顛末を知った上でもう一度読んで欲しい気もする。 なお、私はルイ16世への評価が大きく変わったのも特筆したい。
1投稿日: 2011.12.07
powered by ブクログ代々、パリの死刑執行人を務めたサンソン家四代目のシャルル-アンリ・サンソンの半生を追いながら、フランス革命を違った角度から捉えた好著。 歴史的事実を追っているのだが、まるで小説を読むような臨場感にあふれぐいぐい読ませる。処刑シーンなどやや残酷な部分もあるのだが、興味本意ではなく時代の側面を知る上で必要な暗部であったということだろう。 またサンソンという人物の、差別と誇りの間で苦しみ、死刑の是非にも悩み続け、それでも任務を全う、革命期にあって真っ向から世の中の動きに向かっていくその人格者ぶりには、目を見張るものがあった。 フランスで死刑が廃止になったのは1980年代になってから。彼の訴えは175年早かった。 先見の明をもった賢明な人物だったのだ。 死刑制度を考える上でも、非常に示唆に富む。 また、フランス革命の別の一面を捉えたという意味で、フランス革命を知る良い材料の一つでもあると思う。 シャルル-アンリ・サンソンという一人の人間のドラマに、大きく心を揺さぶられた名著であった。
2投稿日: 2011.11.09
powered by ブクログムッシュ・ド・パリを代々勤めたサンソン家4代目シャルル・アンリ・サンソンの物語。 ジョジョ好きにはジャイロ・ツェペリのモデルとなった人物というと分かりやすいだろうか。 「事実は小説より奇なり」というが、これほど数奇な運命に翻弄された人々は数少ないと思う。 一人の青年の恋から始まった世襲の処刑人一族。 社会の最底辺として蔑まれながらも、並みの貴族を上回る収入で多くの使用人を抱え、また医師として高度な医術で多くの病傷人を救い、貧しいものへの施しも欠かさなかった一族。 それがサンソン家だ。 なかでも四代目当主シャルル・アンリは、若い頃こそプレイボーイとして慣らしたものの、差別と闘い、処刑に当たっては人道的配慮を心掛け、フランス国王を敬愛して忠誠を誓う厳格な執行人であった。 だが、フランス革命の趨勢に応じて国王ルイ16世その人の首を刎ね、遂にはナチスの執行人ヨハン・ライヒハートに次ぐ史上第二位となる2918人もの死刑執行を行うことになってしまう。 ムッシュ・ド・パリに関する書籍を探していたので手にとってみたが、本書は興味深いサンソン家の物語は勿論として、著者安達正勝氏の文章がとても面白かった。 平易で馴染みやすい文体ながら、時折挟まれる既知に飛んだ表現や、ここぞという時の強調表現はまさにジョジョ的。 最近、日本でも刑務所の死刑執行場が公開されるなど、死刑廃止論に関連した動きがあったけれど、そうした死刑の意味を考えるうえでも意義ある識見を備えた本だと思う。 サンソンの時代から1世紀以上を経てヨーロッパ諸国では死刑が廃止された訳だけど、そうした国々でも凶悪事件が起きるたびに死刑復活論が再燃し、復活派が数を増しているらしい。 日本で死刑廃止論が多数を占めるのは、まだまだ先の時代に持ち越されるのだろうか。 P.S. メトロポリタン美術館でフランスで使われていた「処刑人の剣」を観たことがある。 切っ先が平らになその剣は、刀身には精巧な彫刻が彫られている一方、刃は切れ味よりも斧のように重さで断ち切る事を重視したものだった。 だからこそサンソンの様な熟練した死刑執行人が必要とされたわけだけど、失敗の無い「人道的」な処刑用具として発明されたギロチンの登場と同時に、死刑そのものの回数が加速度的に増加してしまったのはなんとも皮肉な事だと思う。
2投稿日: 2011.07.09
powered by ブクログその因果、その波乱、その苦悩と誠実、プライド…ものすごく面白い。ヘタな小説そこのけの「裏フランス革命史」。 なるほど、荒木飛呂彦の帯が。
1投稿日: 2011.06.24
powered by ブクログこれすごい深い。 夢中で読んだ。 革命とかギロチンとか少しでも興味があれば読むべき(学問的興味でも野次馬好奇心でも)。 超オススメ。
1投稿日: 2011.04.11
powered by ブクログ死刑制度を考えるとき、参考にしたい。国家が人を死によって裁くとき、必ずその底辺で犠牲になってしまう人が存在するということを忘れてはならない。ただ、命を裁くことができるならそれは神だけだという発想は、日本人には理解し難いかとは思う。ギロチンが誕生した背景なんかもすごく面白かった。
1投稿日: 2011.03.26
powered by ブクログ気づいたら読破してた本。 ルイ16世をギロチンにかけた人物の生涯を描いた本。 回想録を資料としているせいか、物語っぽい。 最初、ガチガチのお固い本を想像していたので思ったよりも読みやすくてびっくり。 歴史書を読むというよりも小説を読む、という気持ちで読むとちょうど良いかも。 死刑を執行する側から見た死刑、とはどういうものか。 気になった方はどうぞ読んでみてください
1投稿日: 2011.03.24
