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powered by ブクログ多島斗志之の長篇ミステリ作品『黒百合(英題:a Black Lily)』を読みました。 多島斗志之の作品を読むのは初めてですね。 -----story------------- 「六甲山に小さな別荘があるんだ。きみと同い年のひとり息子がいるので、きっといい遊び相手になる。一彦という名前だ」 父の古い友人である浅木さんに招かれた私は、別荘に到着した翌日、一彦とともに向かったヒョウタン池でひとりの少女に出会う。 夏休みの宿題、ハイキング、次第に育まれる淡い恋、そして死。 1952年夏、六甲の避暑地でかけがえのない時間を過ごす少年たちを瑞々しい筆致で描き、文芸とミステリの融合を果たした傑作長編。才人が到達した瞠目の地平! *第1位『『ミステリが読みたい!2010年版』国内篇サプライズ部門 *第2位『ミステリが読みたい!2010年版』国内篇ナラティヴ部門 *第4位『ミステリが読みたい!2010年版』国内篇総合部門 *第7位『このミステリーがすごい!2009年版』/国内編 *第7位 CSミステリチャンネル「闘うベストテン2008」/国内部門 *第8位『週刊文春』「2008ミステリーベスト10」/国内部門 *第8位『ミステリが読みたい!2011年版』ゼロ年代ミステリベスト・ランキング国内篇 ----------------------- 2008年(平成20)に刊行された作品です。 ■Ⅰ 六甲山 1952年夏① ■Ⅱ 相田真千子 昭和10年 ■Ⅲ 六甲山 1952年夏② ■Ⅳ 倉沢日登美 昭和15~20年 ■Ⅴ 六甲山 1952年夏③ ■Ⅵ ………… 昭和27年 ■Ⅶ 六甲山 1952年夏④ ■解説 作者渾身の一作 戸川安宣 六甲の山中にある、父の旧友の別荘に招かれた14歳の私は、その家の息子で同い年の一彦とともに向かった池のほとりで、不思議な少女・香と出会った……夏休みの宿題のスケッチ、ハイキング、育まれる淡い恋、身近な人物の謎めいた死──1952年夏、六甲の避暑地でかけがえのない時間を過ごす少年ふたりと少女の姿を瑞々しい筆致で描き、文芸とミステリの融合を果たした傑作長編。 物語の最後にすべてのピースがはまったときの衝撃……心地よく騙されましたねー 読後におーっ、そういうことか! という感じで、Ⅱ章、Ⅳ章、Ⅵ章を読み返してしまいました、、、 叙述と伏線が巧妙な好みのタイプの叙述トリックだったし、14歳の少年少女の成長を描いた好みのタイプの青春小説でもあったので、愉しく読めました……機会があれば、多島斗志之の他の作品も読んでみたいですね。
0投稿日: 2025.08.10
powered by ブクログ今回はとりわけ自分の勘の鈍さが浮き彫りになったと感じてます。昭和何年と西暦がよく分からないので時系列の困惑が最初にありました。それが解決した後においてもこのトリックに気づくのにラグが生じていたと思います。 単純に3人の恋模様だけでは終わらない複雑さと我々のちょっとした先入観を利用したミステリーは他には味わえない深みがありました。
0投稿日: 2025.06.13
powered by ブクログ読みやすい文章でサクサク進む。どこがミステリーなんだろうなぁ、と思って最後の数ページで、ああそう言うことかと。まぁ小説ならではのトリックだよな。 あと、昭和と西暦がごちゃ混ぜでややこしい。表現はもう少し分かりやすくしてほしかった。 面白かったけど、もうワンパンチあっても良かったなぁと思った。少しだけ物足りないなぁ。
0投稿日: 2025.06.12
powered by ブクログ最初は少年少女の淡い恋愛模様と随所に挟まれる過去のパートの繋がりが分からず「読み物として面白いけどどこがミステリーなんだろう?」と訝しげに読みつつ、最後にようやく「あ、これは紛れもないミステリーだ。」という風に驚かされた。思った以上に複雑だったのでまた再読したい。
3投稿日: 2025.03.23
powered by ブクログ青春小説と背中合わせで進行するミステリ。あからさまなミスリードのためにチラチラと現れる登場人物ばかりで相関図がややこしく、不親切を通り越してウザったい。かと言って純然たるミステリとして読むには小ぶりの謎で拍子抜け。 「青春小説だと思って読んだらどんでん返しモノだった」として面白がるべきものであり、創元からミステリとして出版するものではなく、ましてや帯で「必ず騙される」などと謳うようなものではない。
0投稿日: 2025.02.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
普通に騙された。 中年のおじさんが思い出を語る物語かと思い読み進めていたけど、時間を遡ったり別の話が進んだりとかなり難しい話だった。何とか図に書いて理解しようとして読み犯人はシンヤじゃね?と予想したが、最後の一彦のおばさんの足が義足というところに引っかかり?うやむやのまま読了してしまった。 その後気になり過ぎてネタバレをみて自身の考えが間違っていた事に気づきそして香と一彦の関係にゾッとした。 文量自体はそこまでないが全てが巧妙に隠されていてとても面白い作品だった。 関係がわからなかった負け惜しみだけどシンヤが足を引きずっていたのは許せない。
0投稿日: 2024.08.04
powered by ブクログ[1]ボーイ・ミーツ・ガール&三角関係が昭和二十七年の物語で、昭和十年のベルリンでのできごとと昭和十五年〜二十年の過去話も描かれるがどういうつながりがあるのかわからない。同じ名の人物が出てはいるのだが。 [2]ミステリのつもりで読み始めたのにミステリらしくない淡々とした展開に、これはたぶん叙述トリックものやろうなあと思っていくらか警戒して読んだので結末は予想の範囲内に収まった。 [3]真相は読者にしかわからず、昭和二十七年の少年少女が狂言回しのためだけの存在に終わったのが残念かも。こっちはこっちで事件と謎が、もしくは真相を暴くような活躍が欲しかったかも。 ■簡単な単語集 【相田真千子/あいだ・まちこ】海外視察中の小芝一造一行がベルリンで出会った女性。なかなか打ち解けてくれない。誰かを待っているそうだ。 【浅木一彦】→一彦 【浅木謙太郎/あさぎ・けんたろう】進の父の古い友人。 【香/かおる】倉沢香。十四歳の進や一彦がヒョウタン池とのほとりで知り合い二人とも恋してしまった同じ年の少女。美人というほどではないが笑ったときの口もとがキュート。芦屋に住み六甲に別荘があり神戸女学院に通っている。倉沢家の別荘は広壮さと豪華さでご近所でも有名。進と一彦は彼女の言動に一喜一憂することになる。 【香の叔父】→貴代司 【香の母】義母。 【一彦】進の友人となった。浅木謙太郎の息子。利口さを鼻にかけているような性格に見えた。口笛は吹けない。 【一彦の母】木の玩具づくりが得意。梅田の宝急百貨店におろしている。 【ガルベン池】六甲で泳げる池はここだけ。香の兄が溺れかけたことがあって香の家では遊泳禁止を言い渡しているとか。 【貴代司/きよじ】香の叔父。デカダンスやけど話のおもろい人らしい。日登美の夫、新也ではない。 【倉沢香】→香 【倉沢貴久男/くらさわ・きくお】日登美の兄。ということは香の父かもしれない。もう一人体の弱い兄がいるらしいのでそちらかもしれない。愛人などつくっていた。 【黒ユリお千】香の父の恋人だったらしい。 【黒ユリ組】戦前の東京の女学校の不良グループのひとつ。リーダーは「黒ユリお千」。と、新也が言っていた。 【ケーブルカー】六甲ケーブルは一回だけ乗ったことがあります。特に必要はなかったのですが、まあ冥土の土産的気分で。 【神戸女学院】香が通い、日登美の母校でもあるプロテスタント系ミッションスクール。宝急電鉄では専用車両を運用していた。 【小芝一造/こしば・いちぞう】宝急電鉄の創始者。東京電燈の社長でもあった。三十歳の浅木謙太郎と三十二歳の寺元が海外視察のお供をした。小林一三さんがモデルと思われる。 【駒石】倉沢家の運転手。香の母と愛人関係にあるかもしれない? その筋の人と付き合いがあるかもしれない? 【十四歳】人生に現実味はなく楽しさも鬱屈も等しくありいちばんおもろい時期。この物語時点の十四歳は美空ひばりや江利チエミの一歳下。 【新也】日登美の夫。入り婿。昔の名字は船津。現在の倉沢家の事業を差配している。元宝急社員で浅木とは知り合いだったようだ。片足を痛めている感じ。 【進】寺元進。語り手の「私」。父親は東京電力勤務。東京から夏休みの間だけ六甲山の浅木家に滞在することになった。 【寺元進】→進 【日登美/ひとみ】香の叔母。父親の妹。若々しく、香の姉のように見える。本好き。ラジオドラマの「君の名は」にハマっているが本人はたまたま聴いてるだけというような言い方をする。神戸女学院出身。進の感想ではやさしいけれど少しお高い。 【日登美の夫】→新也 【ヒョウタン池】六甲山はよく歩いてた山ですがそんな名前の池は実在してたような気がします。まあ、どこにでもある名前ですのでこのお話の池と同じものかどうかはわかりません。ジュンサイが採れる。 【宝急電鉄/ほうきゅうでんてつ】浅木さんの勤める会社。モデルは阪急電鉄だと思われる。 【ロープウェイ】かつてはロープウェイもあったが戦争中に金属供出のため撤去された。 【六甲山】六甲山は馴染のある場所なのでその雰囲気を表すための風景描写とかもっと欲しかったような気がする。 【六甲山ホテル】小芝一造が夏の間暮らしている。これもまた、冥土の土産くらいのつもりで一度だけ泊まったことがあります。近場なんで泊まる用事はまったくなかったのですけど。 【六甲の女王】小芝一造がそう呼んだ。以前はバーか何かを営んでいたようだが今は六甲山で喫茶店を営んでいる。三十六歳。 【私】→進
0投稿日: 2024.05.09
powered by ブクログ昭和10年と27年を行ったり来たりしながら、会話の中の登場人物の関係が明らかになる。ずいぶんと狭い世界にいるのか登場人物が錯綜しててなるほどねー、という感じではあるけど感動するドラマとかトリックみたいなものはなかった。
0投稿日: 2024.03.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
これはミステリなの? 昭和初期とか戦後とかの少年少女の話は実はちょっと苦手なのだが、これは意外とその苦手感は感じずに読めた。が、一体なんなのか? ずっと疑問符。 しかし、読後、ミステリでした。 即読み直し。
0投稿日: 2023.11.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
以前、『綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー』で綾辻行人さんが「多島さんが書いたド本格の長編を一度、読んでみたいですね」と発言していたのを読んだことがある。有栖川有栖さんとの対談での発言だったが、この作品こそ「多島流ド本格」と言えるものではないかと思う。 というのも、物語そのものは文芸ながら「謎の提示→真相の提示→種明かし」というミステリのフォーマットに則って書かれているからだ。ある理由からどの部分も非常にわかりにくく、わたしも初読では理解できなかったが、真相に関わる部分を再読して理解した。 トリックそのものや終盤の展開には気になる点もあるが、ミステリとして読んでも文芸として読んでも楽しめる作品だった。これが事実上の遺作になってしまったのは惜しいが、広く読まれてほしい。
0投稿日: 2023.05.15
powered by ブクログ14才の少年少女のひと夏の恋物語…と思いきや伏線とミスリードだらけですっかり騙されました。 二本立ての映画を観た感じ。 多島作品は初めて。ほかも読んでみたいな。でもこの作品が最後なんですね。失踪されてるって知って、また驚きました。
2投稿日: 2023.04.23
powered by ブクログ多島斗志之さんのミステリー『黒百合』 難しかったーッ(^^;; 『ラスト五ページの衝撃』?! 私の場合、わからない事が衝撃だったーッ(笑) 難しいよ、と聞いていた 伏線がわからない人はそのままの小説だと思うだろう、と聞いていた 時代が前後して時系列がわかりにくいので、負けてなるものか!とメモをとりながら読んだのだが。。。 誰が宝急電鉄の車掌だった? ここが一番のポイントだよねー! どうしてみんな足を引きずっている? わからなくてネタバレを検索した 人物相関図も見た だがいまいちピンと来ない ミスリードが多い ダミーもいる タイトルの意味はわかった 再読すれば違うはず わかっていて読むとまた違うだろう でも、この落ち着いた読み心地は好きなんだよね 少年少女の爽やかな六甲での淡い夏恋物語も良かった 好きなのにわからなかった、と複雑な気持ちにさせられた作品だった
24投稿日: 2023.04.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
昭和27年、戦争が終わりサンフランシスコ平和条約が結ばれた年の夏。「私」こと寺元進は14歳の夏休みを父の友人である浅木氏の別荘がある六甲で送ることになる。そこで出会った浅木氏の息子・一彦と地元の事業家の娘・香との交流、中学生の男女の淡い恋模様の始まり。 文芸+ミステリということでイニシエーションラブのようにミステリであることを作品内で示さない作品ですね。 <六甲の女王>を相田真千子に<車掌>を日登美の夫に誤認させるようなプロット。正直、六甲の女王についてはミスリードの為にだけ存在する人物であまり好みではない手法だが本作は示された人物内で犯人を推理するような形式でもないので許容範囲。両者が別人である伏線も細やかで素晴らしいね。 どうやら浅木真千子と日登美の関係は続いているらしい。少なくとも日登美の方は夫に冷めてるのに加え、木の玩具が部屋にあったことがそれを匂わせてる。ここがおそらく本作のタイトルである黒百合という蠱惑的なタイトルに掛かっているのだろう。香にプレゼントされた純潔でストレートな白百合に対して、どこかミステリアスで歪曲されたような黒百合な恋が裏で展開されたことが示唆されているのだと思う。
3投稿日: 2023.02.13
powered by ブクログジャンルはミステリだし、まあ騙されたが、あまりスカッと系ではなかった。半分以上を占める少年少女3人の六甲物語が良いし、それを中心に時折別の物語を挟みつつクライマックスへの急加速は面白かった。構成上仕方ないところもあるが、人物相関がややこしい。
2投稿日: 2023.01.15
powered by ブクログ経験していない体験が、生まれていない時代の思い出が浮かんでくる、不思議な話。ミステリとか叙述とか、それはともかく、もう一度読み返すという行為で、思い出してみようかと思う、そんな作品。
0投稿日: 2022.12.18
powered by ブクログミステリと文芸の融合、という惹句に興味を持って購入。寡聞にして多島斗志之についてはこの本を手に取るまで知らなかった。 1人の男性が老境に至ってから回想する昔のボーイミーツガールな話を縦糸に、他の人物達の語りを横糸にして全体が紡がれている。とはいえ、ミステリ部分については「どんでん返し!」みたいな期待をすると肩透かしを食う。勿論驚きはしたけど。ただ、ちょっとミスリードが多すぎる印象。ミステリとして見ると、ミスリードのためだけに登場した人物もいるのが個人的にはちょっとなと思う。 ただ、それは「ミステリ」として見た場合だ。 この話の楽しみは、やはりボーイミーツガールな物語部分だと思う。きらめいている瑞々しい彼らの「夏」には、少し不穏な気配さえも美しさを添える。そして「あのひと夏」の物語、として見ると、ミステリ的にはミスリードのために配置されたとしか見えない人物も、「あの夏」の大切な一部だ。 全て分かった後で再度読み直すと、少年達が無邪気に過ごしているそれぞれの場面で、大人達はどんな想いでいたのだろう、と思いを馳せる。あの人とあの人はどう考えていたのだろうとか、あの人はどこまで知っていたのだろう、とか。考え始めると色々解釈できて、その辺りが「文芸」と言えるところなんだろうなと思う。当時少年だった語り手の目を通すと、大人達について、その振る舞いや言葉だけしか見えず、その裏に何があるのか分からないのがいい。実際に14歳の頃なんて、自分の世界で精一杯で、周囲の大人達が何を考えていて、彼らの世界に何が起きてるかなんて分からなかった。そこもリアルだなと思う。 そして、作中で語られる少年少女の頃の思い出が眩い分、最後の一節がとても切なくてよかった。過ぎ去りしあの日々。 一部、昭和のこの時代にこの表現するかな?と思うものがあったのは気になったが(「キス」じゃなくて「接吻」では?とか)、先が気になってするすると読めた。夏に読んだ方がよかったな、ということだけが残念。 いい作品だったので、同著者の他の作品も買ってみる予定。
1投稿日: 2022.11.15
powered by ブクログ多島作品を読むのは三作目ですが、作品ごとにまったく違うテイストに仕上がるのに驚きます。 『症例A』がサイコサスペンス。『二島縁起』が冒険・ハードボイルドに歴史要素を組み入れたミステリー。そしてこの『黒百合』は少年のみずみずしい筆致が印象に残る青春小説の味わい。作家名を隠したままそれぞれの作品を読んだら、同じ作家の作品とは気づかないかもしれない。 この小説では三つのエピソードが語られます。昭和27年、夏休みに避暑地に訪れた14歳の少年が同年代の男の子や少女と交流を深め、淡い恋心を抱いていく話が中心となります。 合間に挿入されるのは、昭和10年のドイツベルリンを舞台に、電鉄会社の会長や社員が出会ったミステリアスな若い女性の話。そして昭和15年の女学生と電車車掌の秘密の関係。 この三つのエピソードがどう結びつくのかがミステリとしての読みどころ。 個人的には展開が性急な印象が強かったり、肝心の登場人物の心理がよく読み取れなかったりして、消化不良なところはあったものの、エピソードの継ぎ目の構成や語りの上手さというものは強く感じました。 ミステリ面よりも前半から中盤にかけての青春小説の雰囲気の方が、印象が強かったかもしれない。淡い恋心もそうなのですが、男友達と恋のライバル関係のような雰囲気になり、それぞれが相手の一挙手一投足が気になって仕方なくなってしまう様子は、ほほえましくもありそしてまぶしかった。 作品の舞台が六甲の避暑地と自然豊かで、それらの情景描写や夏休みという季節感もあいまって、作品全体を通してどこか郷愁や幼心を思い出させます。その雰囲気が抜群によかったです。
1投稿日: 2022.09.29
powered by ブクログ真実を知った時、頭を掻きむしりましたね笑 何でミスリードをしてしまったのか。。 予想する → 分析する → ミスリードする → 真実知る 頭を掻きむしるよね、本当に。うわぁぁぁぁ! 作品内容は面白かったです。 ガキンチョとその親達の恋模様と訪れていた別荘地で 起きる奇妙な事件。ベルリン&空襲。 これ以上、書かないどこ笑 ただ、家族構成が分かりづらく読み手を混乱させます。 且つ多島先生の文章力で絶妙にカムフラージュさせ 頭を掻きむしる事になります。さすが、小説家。 解説とかも無いので、「?」で終わる方も多いかも。 今後読む小説で分析の知識を得ました! もう、ミスリードはしない笑
6投稿日: 2022.06.16
powered by ブクログ本屋でふと目にして購入。最後まで読んでなるほどとは思ったが、事前に帯の宣伝で期待しすぎたせいか、ミステリーとしては、ちょっとがっかりしたところも。主人公の若かりし頃の恋の思い出語りを楽しむのがよい。
1投稿日: 2022.05.26
powered by ブクログ最後に謎解きで解説してくれないスタイル。 というわけで、読み直すというほどでもないけど、えーっと、結論としてはどうなん?と振り返る必要はあるかな。賢い人は要らないかもだけど。 と言ってもめっちゃ難しいことはないので、ちょっとした頭の体操という感じかな。たまにはこういうのも良いか。 一番のポイントはやっぱおばさんなんかなー。しかしバレないとかあるんかな。いやしかし。 とかなんとか妄想するのもいとおかし。
0投稿日: 2022.04.28
powered by ブクログ夏休みの淡い恋模様と大人たちの過去の話。 一番最後で真相がわかって、 絶対最初から読み直したくなる系ミステリー。 本当に最後の最後まで騙されてた! 脇役だと思っていた人が実は…というのは やっぱり驚きますね! 読み直すと驚くくらい超緻密に構築されてて、 些細な描写が重要なヒントになっている。 「ここもそういうことだったのか!」 って感動することうけあいだ! でも、話の大筋はわかったけど、 モデルの小林十三氏についてとか 挿入されているラジオドラマについてとか もうちょい調べればわかることがありそうだし、 進が香にあげた白百合と黒百合の対比とかも 意識されてそうだから、 まだまだ気づけてないネタがありそう。 精巧で濃くて重たいミステリーという側面と、 少年たちの爽やかで切ない恋という要素も 十二分に楽しめるのがまたよい。
1投稿日: 2022.03.12
powered by ブクログ本格推理苦手なのに定期的に読んでしまう不思議。そして見事に騙されます。今回もきれいに騙されました。 少年少女たちの淡い恋情と、その親世代の薄暗い愛憎が交互に描かれますが、少年少女たちのひと夏の思い出の部分にばかり頭が行ってしまい、推理に必要な部分には全く興味が沸かない体たらく。嗚呼やはり私は阿保だった。 青春的な部分だけ書きますと、短期間で会わなくなってしまうけれど淡い恋を抱くというのは、少年時代の通過儀礼ですよね。本当に好きならば万難を排して会いに行く所でしょうが、小中学生の頃はちょっと離れただけであきらめざるを得ないですから。自分の昔を省みても少々甘酸っぱい気持ちになります。
5投稿日: 2022.02.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
この小説に探偵は出てこないので、一体何がどうなっていたのかは自分の頭で考えなくてはなりません。 ラストを読むまで完全に叙述トリックにやられていました。何度か読み返してようやく頭の整理がつきました(遅すぎ笑) ベルリンにいた女性「相田真千子」=若かりし日登美叔母さんと交際していた「運転手」=一彦の「義理の母」 これで合ってますよね?笑 六甲の女王と日登美の旦那さんは完全なるダミーでした笑 タイトルの黒百合の百合はそっちの方の意味も含んでいるんでしょうか?
2投稿日: 2021.12.09
powered by ブクログ読みやすくて、甘酸っぱい恋物語もよかった笑 途中描かれたあの人は、のちの物語のあの人?って繋がりがみえてくるのがいいよね。 でももう少し頭の整理必要みたい、、すっきりしたようですっきりしてない部分が残ってるよ〜 ーーー ちょっと解説みて、震えてる。え、あれもこれも全部繋がってたなんて!! 考え始めたら興奮して眠れなくなったくらい上手い!! 星もひとつ増やした笑 もっかい読み直そ
0投稿日: 2021.11.08
powered by ブクログミステリー?? 最後に伏線を全部回収されるのはすっと気持ちよかった。 でも、あんまりよくわからなかった。
0投稿日: 2021.09.15
powered by ブクログ青春ラブストーリーと思いきや 現代と過去を行ったりきたりして 毎回騙されてしまう。 トリックが巧妙です。 退屈な日常で刺激が欲しい人はオススメです。
2投稿日: 2021.09.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ラストでの仕掛けに、物語の全ての要素が奉仕しているタイプのお話。あからさまなミスディレクションを仕掛けて、読者の目をそらし、使い古しのトリックを巧妙に使って、最後はうっちゃる。だからミステリとしての評価は高い。 けれど裏表紙の惹句にある「文芸とミステリの融合」には首を傾げる。このお話はトリックが全てのお話。三人の少年少女の繊細な物語に、心を惹かれてきた読者は結末で梯子を外されたような思いをするはずだ。基本的にこのお話は、そういうことはどうでもいいのである。これはそういうもの。
1投稿日: 2021.09.15
powered by ブクログ完全に騙されたー。まんまとミスリードされましたー。でもいまいちスッキリしないー。 進と一彦と香の3人の物語はとても素敵でした。読んだのがちょうど暑い日が続くときだったので、ノスタルジーに浸れました。
2投稿日: 2021.08.18
powered by ブクログあー、なるほど。 騙される率100%と聞いて読んでみたけど もう簡単に騙された。 というか正直推理しながら読んでなくって 本当にひと夏の少年少女の恋物語として 純粋に読んでしまったので、全然気づかなかった! そして読解力がないので(笑) 解説を読んで、あああなんてスムーズな綺麗な ミスリードなんだ、と感動しました。 夏だね、ジュブナイル。
0投稿日: 2021.07.31
powered by ブクログ14歳の進は夏休みに父親の友人宅、六甲山へ 遊びに行く。 そこで友人の息子の一彦、近所の大別荘の娘 香と知り合い夏休みを過ごす。 毎日遊ぶうちに、香の生い立ちを知る。 そこで事件が生じ、香の叔父の命が途切れる。 一夏の3人の思い出。 進と一彦の父と小芝(事業者)の繋がり、 ベルリンで知り合った女性 相田真千子の 事件が起こる。 過去から現在、現在から未来へ 最後まで読み、種明かしに唸る
0投稿日: 2021.06.01
powered by ブクログ信頼できる読書家さんの感想を以前に読み、またある時行きつけの書店でもずらりと棚に並べられた推し作品になっていたこともあり、ずっと読みたかった一冊。 いや、みごとに騙されました。途中で見抜けたと思いこみいい気になって読んでいたら、最後まさかの事実関係の語りから真相の絵がすべて鮮やかに浮かび上がった時には「うわぁ」と声を上げてしまった。幾重にも広がる人間関係が持った接点でこんなことができるとは。登場する女性達それぞれに意味深な雰囲気があること、語りの3人がそれぞれうまく役割を果たしていること-戦後の14才の夏を振り返ってその時の心情のママのように語る男性、WWII直前のベルリン出張中のビジネスマン、太平洋戦争中の女学生との「ママゴトのような交際」を語る電車の運転手-。特に少年の視点の語りが大部を占めるためか、ミステリのようで青春小説のような不思議な世界にもなっている。単調ながら綺麗で品を失わない文章も魅力的だった。本作脱稿後行方不明となったとのことだが、著者には是非もっと多くの作品を描いて欲しかった。
1投稿日: 2021.02.10
powered by ブクログどんでんがえし好きの必読書と言われ。謎がとけると「なるほど」と思えるものの、レトロな雰囲気に入り込めずやられた感は少し薄め。
1投稿日: 2021.01.16
powered by ブクログ最初のうちは、進と一彦と香の三人の交流が淡々と描かれ 単純に「すらすら読みやすい」「特に大きな展開もないな…」と思っていました。 しかし、時折、挿入される異なった時間軸からみた登場人物達の描写が後にとても深い意味を帯びてきて、そこに気づき始めた時には、面白くて一気読みしてしまいました。 特に、最後の数ページに渡る怒濤の展開には驚き、 「そういうことだったのか!」と何度も、前のページに戻ってはこれまでの歩みを一つ一つ辿っていきました。
4投稿日: 2020.12.08
powered by ブクログ普通の読み物として、充分楽しめた。 父親の友人、浅木謙太郎が持っている六甲山にある別荘で夏休みを過ごす14歳の寺元進。 そこで浅木の息子である同い年の一彦と、ひょうたん池と呼ばれる池に遊びに行ったとき、倉沢香というやはり14歳の女の子と出会う。 3人は仲良くなり、一緒の時間を過ごすようになる。香に惹かれていく進と一彦。裕福で恵まれた家庭に育ったかと思いきや、実は複雑な家庭環境で育った香。 その話と交互に、彼らの父親がまだ30歳位のときに、宝急電鉄の創始者、小芝一造の海外視察に同行したときの話が綴られる。旅先で偶然出会った相田真千子という若く美しい女性。 またそれらの話とは別に、香の叔母の日登美の学生時代の恋が語られる。 時代が前後するのと、登場人物が多いため、非常に分かりづらい。それがこのストーリーの肝なのかもしれないけど。 わたしは読んでいる最中に、謎があるとは思わなかったので、ただ普通の物語として読んだ。それはそれでとてもいい話だなと思った。 最後に、実はあの人はこの人だった。。。みたいなオチがあるのだけど、それは別にどうでもいいと思った。 毎日暑いので、わたしも六甲山の別荘に行って、池で泳ぎたい。読んでいる間は、とても涼しい爽やかな気持ちでいられたのがよかった。
1投稿日: 2020.08.10
powered by ブクログ食らった..........香と一彦と進の甘酸っぱい関係やばいし、なにより描写が本当に繊細で綺麗すぎる.......一切汚れのない感じ.......トリック?ていうか完全にミスリードされた.......これはやばい
0投稿日: 2020.03.31
powered by ブクログ戦前の父親の時代と、戦後なって少し落ち着いた時代の、彼らの子供達が出会った出来事が交差して、進んでいく。 宝急電鉄と東京電の会長をかねていた小芝翁の、随行秘書で海外視察に同行した浅木(私)と寺元。 ナチスの軍人が闊歩するドイツで、会田真千子という若い女性に出会う。一行はなぞめいた彼女に興味を持っていたが、偶然、再会して彼女の窮状を救う。 彼らは帰国してそれぞれ大阪と東京にある職場に着いていた。 昭和16年の夏休み、寺元の息子(私)は浅木の持っている六甲山の別荘へ行く。 そこには同い年の浅木の息子、一彦がいた。 二人は、香という少女に会い、ひと夏をすごす。 過去になった子供時代を振り返り、その時代に起きた事件の真相は、作者の端正な文章で淡々と綴られる。中にはミスリードされそうな迷路もあるが面白かった。
0投稿日: 2020.01.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
子どもたちの瑞々しいひと夏の思い出を描いた青春小説です。腕白な少年二人と大人びた美少女との交流が爽やかで、舞台である神戸の街や自然の描写も美しく清々しい思いで読みました。 が、そんなキラキラした日常描写の合間には、戦前から戦後を舞台にした大人たちの複雑でシビアな人間模様が描かれます。少年少女たちと時代も内容も全く違うこの合間の物語が、最終的に子供たちとどう結びつくのか。 純文学の裏にミステリーが隠された1冊です。 過去パートの戦前から戦後にかけての、日本やドイツの社会情勢や人々の営みは興味深く読みました。 戦争の色が濃いドイツ、日本で繰り広げられる大人たちの人間模様は暗く、不安な空気が漂っています。 まったく正反対の性質の2つの物語は互いに補完し合うのかと思いきやなかなか噛み合わず、物語がどこへ向かうのか全体像がなかなか見えないのがもどかしい。 過去のパートが不穏であるだけに、子どもたちに悪い影響があるのではとハラハラします。 最後まで読むに至ってはじめてこの物語はその全体像を見せますが、意外性はあったものの、狙いすぎな感があり素直に驚けなかったのが本音です。 子どもたちのパートと大人たちのパートそれぞれの物語が面白かっただけに、ミステリの技巧的な部分が悪目立ちしてしまったような気がします。 仕掛けにも驚きはしたもののカタルシスを得られなかったのは、ちょっとややこしかったからかも。 ネタバレ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「六甲の女王」はいかにも怪しい人物でしたが、結果、ただ読者を惑わすための駒に過ぎなかったのががっかりでした。 戦前から戦後にかけての、男がいなくて女が車掌になったり、などの生活模様は興味深かったです。 日登美がほいほいと部屋に行ったりなどは軽薄で不自然だと思いましたが、真相が分かればあの年頃の少女が大人の女性に特別な感情を抱く様や、積極的なところなども説得力がありました。 読み返せば細かい描写にも凝っていてなるほどと思うのですが、それが最後のサプライズに繋がってカルタシスを得るようなものではなかったと思います。 タイトルの「黒百合」が読む前は意味深で謎に満ちていたのですが、読み終わるとそのまんまの意味で拍子抜け。
1投稿日: 2019.08.21
powered by ブクログん??? ってなった。 なにこれ?夏の思い出物語?叙述トリックなミステリー?伏線的なものが数々散りばめられてはいるものの、何一つ伏線ではなく、どう展開していくのか楽しみに読み進めたのに、最後にいたっていきなりトンビに油揚げをさらわれた気分だ。いやまあ、適切な比喩ではないけれど。 期待はずれもはなはだしい。(怒)
0投稿日: 2019.08.02
powered by ブクログストーリーは昭和1952年の少年少女サイドと、昭和10年に始まる父親周辺の二つで進みます。文章がとても美しく、涼しげな夏の六甲山の情景が目の前で見事に繰り広げられ、空気感まで感じるほどです。過去の登場人物が時を経て少年少女サイドに出てきているのは想像できるのですが、目を凝らし神経を研ぎ澄まして読んでいても、なかなか到達できません。そんな中起こる殺人事件は読者だけが過去との関連を知ることができ、その後畳みかけるように明らかになる事実はあれもこれも伏線だった、と思い当たる節がありすぎて唖然とするほどでした。多すぎるミスリードに悉くはまっていた気がします。最後の一行はネタバレサイトを見るまで全く気づきませんでした。たったそれだけで、一つの情景が浮かんでくるのですから、感服します。まさしく読メでなければ出会わなかった本。決して派手ではありませんがこういう本を読友さんを通じて手にとれることを嬉しく思います。
0投稿日: 2019.06.14
powered by ブクログ美しい謎物語。1952年夏,避暑地六甲山で2人の少年が1人の少女(香)と出会い意気投合,淡い恋心を抱きつつ過ごす毎日。途中に2つの物語が挟まれる。1つは昭和10年ベルリンに商用旅行に赴いた大実業家(モデルは阪急電鉄の小林一三)とそのお供が相田真千子という若い女傑に出会うくだり,もう1つは昭和15年から20年,香の叔母に当たる日登美,女子高生時代,電車の運転手との恋物語。さて,並行した時系列を描くミステリ小説は,人物同定(このセクションの誰が別のセクションの誰なのか)が鍵になることが多く,用心しながら読み進めたが…。意外な結末は伏線を回収してピタリとはまる。 ああ,若い頃の夏休みって,どうしてあんなに切ない気持ちになるのだろう。 (作者の多島斗志之は,この作品を最後に,2009年,自身の両目の失明を危惧して行方を絶っている。)
0投稿日: 2019.02.21
powered by ブクログ六甲山を舞台に、中学生の少年二人と少女一人の淡い恋物語が瑞々しい筆致で描かれ、その年代に立ち返って甘酸っぱい気分になれる青春小説。一方で、殺人事件が二件起こり、最後まで読むと、ある事柄に勘違いをしていたことに気づかされるミステリー小説でもある。 1952年の六甲山での出来事、昭和10年のベルリンでの出来事、昭和15年からのある人物の恋物語と殺人事件。時間・場所・視点が違う3つの物語がどう繋がっていくのかが焦点となっている。それぞれのパートで誰と誰とが結び付くのか、お互いの関係がわかりづらく、西暦を元号に変えて年齢を計算してみたり、家族関係を整理して考えてみる必要があった。最後まで読んで、ページを繰り直してみると、数々の伏線が盛り込まれていることや、紛らわしい人物が配置されていることがわかる。 個人的には、ミステリーとしてよりも、青春小説として、高く評価したい。特に印象に残っているのは、長峰山の下山の際に香が捻挫をして、進が香をおんぶした時の「このときの苦しく愉しい重量感、そしてどちらの汗かよく判らない背中の熱い湿り気を、私は今でも思い出すことができる」という一文。 私は神戸市に住んでいて、六甲山は登山で足繁く通っており、出てくる地名は馴染みのあるものばかりで、位置関係や地形も把握しているので、とても読みやすく、わかりやすい作品だった。
0投稿日: 2018.05.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
少年少女の一夏の思い出に、過去の事件が絡む物語。ラストはほんのり騙された!美男美女という言葉が出てくるものの、叙述から読み取れずもうちょいほしい! そしてひとみさん、思い人と結婚したと思いきや、あなたはそちらの嗜好の方でしたのですね…。
1投稿日: 2018.05.04
powered by ブクログ「騙される率100%」と帯にあります。こういうのを見ると、ホンマかいなと一応ツッコミは入れてみますが、アホですから100%騙される自信があります。 昭和27年の夏、父の友人が六甲に所有する別荘で居候することになった14歳の進。父の友人の息子で同い年の一彦と過ごす毎日。近くの大きな別荘に滞在中の香にいつしか恋心を抱くふたり。そんな夏を進が回顧する形で始まり、以降、昭和10年、昭和15年から20年にかけての話が、語り手を替えて綴られます。これがどう繋がるのか。 見事に騙されましたが、これでもかというぐらい張り巡らされた伏線に、鮮やかというよりは戸惑います。美形な人と足を引きずっている人だらけでややこしく、読んでいる間に何度も頁を行きつ戻りつし、最後も何がどうなったかすぐには理解できず、えっ、え~っ!?ちょっと凝り過ぎの感。 阪急電鉄の小林一三氏の人となりをモデルとした翁を仮名にしている以外は、登場する六甲の池やホテルの場所も名前もそのまま。高校生の頃、六甲で夏を過ごした経験のある者としては懐かしい気持ちでいっぱい。 著者は両眼失明の可能性を嘆いて失踪したため、これが最後の作品とか。その事実が悲しい。どこかでお元気でいらっしゃることを願います。
2投稿日: 2017.08.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
1952年。戦争の記憶もようやく薄れてきた頃だろうか。東京に住む14歳の少年が夏休みの間、六甲山にある父親の友人の別荘に預けられる。そしてその家の一人息子と近所の別荘の女の子(二人とも同じ14歳)と仲良くなって、楽しく夏休みを過ごす、少年時代のひと夏の思い出的な話がメイン。ただ、場面が話し手にとっての現在や、第二次大戦直前のベルリンなどにとぶこともあり、私は話に入り込むのに少々時間がかかった。 タイトルは黒百合だし、話中では殺人事件も起きてるので決して明るいだけの話ではないのだけれど、メインの話が甘酸っぱいからか、読後感は悪くない。 殺人の犯人は思ってもみなかった人なので、そういう意味では驚いたけど、作者のドヤ感みたいなのは全然なくて、このミステリ部分が良いスパイスになっていたというべきかも。 時間を忘れて読みふける、という本ではなかったけれど、私はこういうお話好きだなぁ。
0投稿日: 2017.02.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
〇 概要 時代は昭和27年。六甲の山中にある,父の旧友の別荘に招かれた14歳の少年が主人公。少年は,その家で同い年の一彦とともに,池のほとりで不思議な少女,香と出会う。夏休みの宿題のスケッチ,ハイキング,淡い恋,身近な人の謎めいた死―少年二人と少女の姿を瑞々しい筆致で描き,文芸とミステリの融合を果たした作品 〇 総合評価 非常に評価が高い作品。個人的な感想としては,ミステリとしての完成度より,小説としての完成度が高い作品だと感じた。ミステリとしての驚きは,相田真千子が日登美と付き合っていた車掌だという部分に集約される。ミステリを読みなれているので「車掌が男性とは限らない」といううがった見方をしてしまうが,車掌=男性として読んでしまうと,かなり驚けるだろう。しかし,そのような驚きを演出するような描き方をせず,丹念に読めば気付いてしまうような伏線の出し方をしている。同じプロットで綾辻行人あたりが書けば,全く別の仕上げになっていただろう。多島斗志之らしい底意地の悪さもあって,個人的には非常に好きな作品。★4で。 〇 サプライズ ★★★☆☆ 相田真千子が,六甲の女王ではなく,相田一彦の母であることが明かされるのは,驚きではあるが,きっちりと伏線が描かれているので,「驚愕」というより,「なるほど」とうならされる。日登美が付き合って居たのが相田真千子であることも同様。なまじ,人間がしっかり描かれているので,納得してしまい,驚愕とまでいかないのだ。小説としてデキがいいために,ミステリ的な驚きが減ってしまうというジレンマ。ミステリ的な驚きを優先すれば,描き方も変わるのだろうが…★3で。 〇 熱中度 ★★★☆☆ 小説のデキがよく,十分楽しめる。しかし,先が気になるように描くというより,丹念に,丁寧に描かれているので,気になって読むのがやめられない!というほどではない。全体から見れば必要な伏線であるために,たいくつな部分もある。小説とはそういうものなのだろう。★3で。 〇 インパクト ★★★☆☆ 相田真千子が浅田一彦の母であったという真相は,十分なインパクトはある。とはいえ,このインパクトに頼った小説ではなく,寺本進,相田一彦,倉沢香の一夏の青春の姿を描いている部分の読み応えが十分であるため,反対に,インパクトが薄れてしまっている。ミステリとしてのインパクトは★3だろう。 〇 キャラクター ★★★★★ 寺元進,浅田一彦及び倉沢香の3人のキャラクターが十二分に描かれているほか,小柴一造,相田真千子,倉沢日登美など,全てのキャラクターが極めて魅力的に描かれている。人間がしっかり描かれている小説は面白いということが再確認できた。文句なしに★5。 〇 読後感 ★★★☆☆ 相田真千子が,倉沢貴久男と貴代司を殺害していることが分かるラストなので,殺伐としたラストになってもおかしくないのだが,読後感は悪くない。寺元進の回想という形で物語が描かれており,寺元進はその事実を知らないからかもしれないが。とはいえ,読後感がよいというほどでもなく★3か。 〇 希少価値 ★☆☆☆☆ 非常に評価が高い作品であり,出版してそれほど日が経っていないので今は手に入りやすい。しかし,多島斗志之の作品がいつまでも手に入りやすいとは限らない。創元推理文庫から出版されているので,細々と版を重ねていくと信じたいが…。 〇 トリックなどのノート 相田真千子(黒百合のお千)は,かつて,倉沢貴久男と付き合っていた。しかし,ベルリンに駆け落ちすると嘘をつかれ,貴久男に捨てられる。 昭和10年11月に,小柴翁に連れられて寺元と浅木がベルリンを訪れていた際に,倉沢真千子に出会う。 その後,日本で倉沢真千子は,浅田謙太郎に偶然,再会し,小柴一造の計らいで,阪急電鉄の運転手として働く。相田真千子は,運転手として働いているときに,倉沢日登美と付き合う。その後,倉沢貴久男から倉沢日登美と別れるように脅され,殺されそうになるが,反対に,貴久男を殺害する。このとき,足を負傷する。 その後,相田真千子は,浅田謙太郎と結婚する。 昭和27年,寺元進が,浅田家の別荘で夏休みを過ごすことになる。寺元進は,同じ歳の浅田一彦と仲良くなり,倉本貴久男の愛人の子である倉本香と仲良くなる。この年に,倉本貴久男の弟である倉本貴代司から倉本貴久男殺しのことで脅迫を受けた相田真千子は,倉本貴久男を殺害する。 ストーリーはこの流れだが,この作品では「六甲の女王」と呼ばれる喫茶店のオーナーが登場し,この人物が相田真千子と誤認させるような書き方がされている。また,倉沢日登美が付き合っていたのは,男性であると思わせる描写がされている。 最後に,相田真千子が,浅田謙太郎の妻であることが明かされ,相田真千子が倉本貴久男と貴代司を殺害した犯人であることが明かされる。
2投稿日: 2017.02.05
powered by ブクログ抑制が効いた無駄のない綺麗な文章で 技巧派ミステリーとして傑作だと思う。 ひと夏の淡い青春小説という感覚で 最後まで読ませておいてから 仕掛けに驚かされる作りで、 気づいた時には作者の手のひらで 踊らされていた。 ミスリーディングさせる持っていき方が秀逸。
1投稿日: 2017.01.13
powered by ブクログ物語の語り手、寺元進は、1952年、14才の夏休みを、六甲山で過ごします。六甲山には父の友人である浅木氏の別荘があり、そこには同い年の男の子、一彦がいました。二人はすぐに仲良くなり、毎日いっしょに野山で遊んでいましたが、そんなある日、ひょうたん池で、やはり同じ14才の倉沢香に出会い、それからは3人で時間を過ごすようになります。香はとりたてて美しいというわけではありませんが、裏表のない性格で、進、一彦は二人とも香に恋心を抱くようになってしまいます。 物語は、当時の日記を含む、進の回想として進行し、その合間に、進、一彦、香、3人の親の戦時中、戦後の様子が挿入されるという形式になっています。ミステリーですから殺人事件も起こりますが、むしろ青春小説としての味わいが深い小説です。ここのところ、人間の暗部ばかりが見えるようなノンフィクションを続けて読んでいたので、一種の清涼剤のつもりで手に取った本ですが、優れた作家というのは子供の頃の思いをちゃんと覚えているもので、自分が14才だった頃を思い出したりしながら、ストーリーを楽しむことができました。 ただ、いわゆる叙述ミステリーですから、作者は当然読者を欺こうとします。私はもちろん、だまされました。この本を読み終えたとき、私の好きな漫画「伊賀の影丸」の1シーン、伊賀忍者幻也斎が敵の忍者に巻物を渡しながら、「その巻物を受け取ったときから戦いは始まっている」と言い放つ印象的な場面を思い出しました。実は巻物には毒針が忍ばせてありました。 この本も、手に取ってタイトルを読んだときから、戦いは始まっています。
0投稿日: 2016.09.24
powered by ブクログ夏の避暑地の緑濃い空気と都会の埃っぽい空気が交互に織りなす少年少女のほんのり甘酸っぱい一夏の冒険譚と、その間に挟まれる別の登場人物の戦前戦中のエピソード。 一見何のつながりもなく思えるのに、それぞれがやけに意味深で物語に惹き込まれる。 警戒しながら読んでいたにも関わらず、二度の仕掛けに心地よく騙された。 読み終えた直後に即戻って伏線を確認した本は久しぶり。
0投稿日: 2016.07.26
powered by ブクログ本屋さんでなんとなく目についた本を連れて帰って読もうキャンペーン第2弾。とても美しいものを読ませていただきました。「美しい話」っていう意味ではなく。水彩絵の具のレイヤーを少しずつ丁寧に重ねていくように、美しく組み立てられた作品でした。満腹満足~♪
0投稿日: 2016.07.08
powered by ブクログ私が西宮市民ということもあり、土地勘のある場所が舞台となっているのがまず読み易い。 伏線や筋の展開もさすがに見事で、構築されている世界には品があり、美しさのようなものさえ感じられる。 ご丁寧に事細かく説明してくれる今時のミステリーとは一線を画し、少し言葉が足らないぐらいにも思われる閉幕となっているが、その塩梅も心地よい。 ミスリードを誘う叙述トリックはちょっとあざと過ぎるかな? 著者が行方を絶つ直前に刊行された、事実上の遺作となってしまったが、改めて、惜しい才能を失った。
0投稿日: 2016.04.11
powered by ブクログ確かに、帯の『それまでに描いていた景色ががらりと反転』するものではあった。 ひとりの女性を中心に実は深く関わり合っている登場人物たち。 文章があまり合わず読むのに時間がかかってしまい、読み終える頃には伏線を忘れていたのが残念。 整理し理解出来たとき、きれいな運命のいたずらに感服した。
0投稿日: 2016.04.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
とてもいいと思うんだ。 物語の進行には無理なく進んでいくし、終わってみて著者のミスリードの仕掛け方も正攻法で、納得できるし。あえて言うなら、義足の話はもっともっと前に語られてはだめなのかな?ということくらい? 子供の何気ないウソが最悪の事態を招いているのだけども、そのことに気づくのは読者だけという仕掛けはきれいだと思う。
0投稿日: 2016.03.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
多島斗志之を読むのは三作目か四作目か。 あらすじと煽りの文句にギャップあるのが気になって買ってしまった。 中学生の夏休みを描いた青春回顧物語に、少し別の話を織り混ぜすことで成る、トリッキーなパズラー。 構造がシンプルかつ秀逸で、それを活かすために推理小説の起承転結とストーリーにとんでもなく距離を持たせている。この大胆さは効果的で、最後の最後に僅かに交わった時の衝撃度は高い。 ただ、登場人物が誰も探偵しないのが、少し残念。 3+
0投稿日: 2016.01.17
powered by ブクログ症例Aからのファンで、本屋で【黒百合】を見つけ、久しぶりに多島作品を読んだ。多くの伏線があると思い、様々な想像をしながら読みましたが、ラストの展開は全く想像出来ませんでした。個人的には、少年少女の恋模様が気になり、熱中して読みました。もっとミステリー要素があると思っていましたが、そこまではなく、期待していただけに、少し残念な部分です。
0投稿日: 2015.12.29
powered by ブクログミステリというよりは青春小説といった趣。主人公とその友人、三角関係の中心となるヒロインの瑞々しさや揺れ動く感情の描写がとても良かった。六甲山の別荘地という長閑な舞台も、作品の雰囲気に合っていると思う。 ミステリ的な部分も人間関係が主眼で、最後に起きる事件はややとってつけたような印象を受けるほどアッサリしていた。
0投稿日: 2015.12.26
powered by ブクログおすすめ文庫王国で見て、”おっ、これは!”ってことで、早速購入して読了。ミスリーディングのために張られた伏線が多過ぎて、登場人物の相関とか、各イベントの時系列とか、そういうのを整理しながら追っていくことに気が回って、肝心の物語の醍醐味をイマイチ味わえなかった気分。最後のネタ明かしは”やられた”って感じではあったけど、いまひとつスッキリせず。ネタ検証サイトとかも覗いてみたけど、自分の理解は概ね間違っていなかったことが判明。となるとやっぱり、回りくどく書いてトリックもうやむやに、みたいな、ちょっとそれどうなのよ、的な気持ちも沸いてきたりして。という訳で、個人的にはそこまでの絶賛は出来ないです。
0投稿日: 2015.12.19
powered by ブクログこのミスベスト10、2009年版7位。丁寧に書かれた小説。読み易いし、量も少ないので、いつになくゆっくりと、伏線などを気にして、推理を楽しみながら読めた。読んでるとミスリードしてるのはわかるんだけど、じゃ、真相はというとちょっとわからなかったし、意外な結末なんだけど、あんまやられた感はなかったかも。ちょっと、強引。それより、しっかりと魅力的に人物が書き込まれており、三画関係が絡むやりとりや、普通の小説としてのミステリアスな表現が心地よく楽しめた。
0投稿日: 2015.12.07
powered by ブクログ様々な人物に巧く惑わされ、淡々と明かされる真実が余計に混乱と渦中の人の胸中の想像力を招いて読了後も尾を引く。少年少女の美しい夏に咲いている白百合が、読み進むにつれてポツポツと黒い斑点を浮き上がらせ、ラストで黒百合へと変身を遂げた感じ。 誰かを愛した記憶は、その人の現在の支えでもあると同時に苦しみでもある気がしてならない。
0投稿日: 2015.10.05
powered by ブクログ六甲の山中にある、父の旧友の別荘に招かれた14歳の私は、その家の息子で同い年の一彦とともに向かった池のほとりで、不思議な少女・香と出会った。夏休みの宿題のスケッチ、ハイキング、育まれる淡い恋、身近な人物の謎めいた死──1952年夏、六甲の避暑地でかけがえのない時間を過ごす少年ふたりと少女の姿を瑞々しい筆致で描き、文芸とミステリの融合を果たした傑作長編。解説=戸川安宣
3投稿日: 2015.08.26
