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総合評価

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  • 時代を超えても読んで教えられる作品。つまり名作です。

    銀河を999号で旅する哲郎とメーテル。 どの話も深みがあり、考えさせられる内容で、第三話の「一人が幸せに生きていくためには誰かの犠牲が付きまとう」という仏教でいうところの”業”の話も印象的でしたが、私は第四話の「泥のメーテル」は現代の若者に多いニートの引き籠りの話であり、この話が作られた時代によく預言者みたいに作者の松本零士さんが作られたものだと感心するばかりでした。 また第五話にしても、今の日本の社会問題になっている格差社会ですが、描かれている昭和中期の高度成長期の経済成長で日本には貧富の格差が生じ、それまでの身分階級でもない格差に人の心が動揺していた時代の、もっと階層が低い格差社会が存在していた時代に得かがれているのですが、現代日本の社会問題にも通ずるところがあります。 第六話では、松本零士ワールドでは欠かせない女海賊エメラルダスが登場します。 蛮族となって寿命が尽きようとしても自由に宇宙を巡るエメラルダスを、「私は定められた銀河鉄道のレールの上だけをひたすら旅するしかない」と項垂れるメーテル。 しかし、すでに三巻の終わりまでに謎の声(の父親に)何度となく命を救われているのにも関わらず悲劇のヒロインと思っているメーテルは70年代の親に決められたレールに抗う世間知らずのお嬢様とも思えます。 昔はただの宇宙冒険SFマンガ(アニメ)で哲郎になって胸躍らせるだけでしたが、大人になってから読み返すと哲郎が星々で体験したりメーテルの言葉が感慨深く、より一層面白いです。

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    投稿日: 2016.01.26
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    999に限らず、松本零士作品は漫画であると同時に詩です。それを僕はよく思います。999のテーマは人間の限りある命の美しさ。鉄郎の逞しさとメーテルの優しさに憧れて、そして独特の世界観やひとつひとつの物語の儚さが好きで、僕は中学時代かなり熱中して999を読んだものです(当時、地元の図書館が試験的に漫画を貸し出すようになって、そこで借りたのが999だったんですよね)。 「旅はまだ続く」という一文で終わった999が本当に連載を再会したときの驚きったらありゃしません。

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    投稿日: 2009.12.09