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新訳 チェーホフ短篇集
新訳 チェーホフ短篇集
アントン・チェーホフ、沼野充義/集英社
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総合評価

30件)
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     “チェーホフの魅力、たっぷり丸わかり” チェーホフの作品を読んでみようと思ったきっかけは、『1Q84』(村上春樹)でした。 “チェーホフがこう言っている。(中略) 物語の中に拳銃が出てきたらそれは発射されなくてはいけない。” こんな記述があり、村上春樹さんが影響を受けているのはドストエフスキーだけではないと知り、興味を持ちました。 訳者の沼野充義さんは、定訳となっているタイトルに変更を加えるといった、あらたな試みをしています。作品選択も素晴らしいです。 年がら年中、恋なしにはいられない、オリガちゃんのお話(「かわいい」)、家庭教師をしている少年の兄と恋愛中の場面をのぞき見されてしまうお話(「ジーノチカ」)、恐れおののく衝撃的結末(「ねむいの」)、ユダヤ人に対する偏見を切り崩そうとした小説(「ロスチャイルドのバイオリン」)、W不倫を描く(「奥さんは小犬を連れて」).......などなど どれも読んで良かったと思うものばかりです。 短編ごとに沼野さんの解説があり、これがまた良いのです。作品の説明だけでなく、チェーホフ時代のロシアのことなどが分かり、ロシア文学に接する上で勉強になりました。 チェーホフは幼い頃、しつけということで、父親から毎日殴られていたそうです。彼は医師でもありました。若いときから結核におかされており、その中での執筆。結婚生活も、とても短いものでした。享年44歳。 チェーホフの人物像も知ることができる本書は、チェーホフ入門として最良です。

    38
    投稿日: 2025.11.28
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    メモ→ https://x.com/nobushiromasaki/status/1987497335828709753?s=46&t=z75bb9jRqQkzTbvnO6hSdw

    0
    投稿日: 2025.11.09
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     チェーホフを読むのはほぼ、初めて。図書館でチェーホフの本を見たときは戯曲ばかりで、戯曲形式のものを読むのは気が進まなかったから。  ここに収録されているのは、全て短編小節。チェーホフが医学生の頃、貧しい一家を助けるため、色々なペンネームでユーモア雑誌に投稿していた頃の作品もいくつかある。  全ての作品に訳者の沼野充義さんの解説が付いていて分かりやすい。  解説を読んで、「ユーモア小説」という分野があったのだと知ったが、ここに収録されたチェーホフの小説を読む限り「ユーモア=お笑い」ではないことが分かる。どうしようもない苦痛や悲しみにある人が必死で前を向こうとして生きる姿が悲しいのに可笑しい…  例えば、孤児で奉公先で虐待されている子供が、たった一人の身内の「じいちゃん」に手紙を書いて「郵便屋さんに渡せば届けてくれる」と信じてポストに入れるのだが、宛先を「村のじいちゃん様」のように書いているから届くはずがないと読者には分かる話(「ワーニカ」)とか。息子が亡くなった悲しみを聞いてもらえる人もいない、貧しい辻橇の御者が自分の馬に向かって息子が亡くなった悲しみを話す話(「せつない」)とか。  どうしようもなく悲しい人を「笑い者」のするのではなく、愛を持って描き、せめて笑ってあげるという感じ。チャップリンみたい。  19世紀後半のロシアを生きたチェーホフの作品から当時のロシアというものが見えてきた。チェーホフ自身もそうだったらしいが、虐待を受けてきた子供も多かったようだ。そして、沼野氏の解説によると当時は児童文学という分野はなかったそうだが、大前提として子供が今のように子供として大切に扱われていなかったようだ。  厳しい寒さと貧しさ…でもお腹が満たされない分、芸術や文学で心を満たそうとしたのかな?だからロシアの文学は芸術性が高いのかな。

    127
    投稿日: 2025.05.25
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    短編名作集で、それぞれの後ごとに、訳者、ロシア文学者の丁寧で分かりやすい解説のおかげで、楽しく読み終わりました。他にもまだ読みたい本があるので、次の機会にチェーホフの他の作品も読んでみたいと思いました。

    2
    投稿日: 2024.11.10
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    古典教養文庫 第一部 戯曲集 かもめ 熊 桜の園 ワーニャ伯父さん 第二部 小説集 犬を連れた奥さん 可愛い女 決闘 イオーヌィチ かき カシタンカ グーセフ 頸の上のアンナ 少年たち 小波瀾 接吻 大ヴォローヂャと小ヴォローヂャ 追放されて 妻 天才 富籤 女房ども ねむい マリ・デル 嫁入り支度 六号室 子守つ子 てがみ 作者について 翻訳者について 神西清 瀬沼夏葉

    0
    投稿日: 2023.03.15
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    映画「ドライブマイカー」と「愛を読む人」で立て続けにチェーホフが出てきて、この映画の本質を理解するにはチェーホフ読まないとダメなんじゃ?と思い、初ロシア文学。なので解説付きのこちらを手に取った。やはりロシア文学、独特のいいまわしが難しい。あと、なんとなく悲しい終わりのものが多い。ねむい、ワーニカ、牡蠣はかわいそうな子どもの話だった。チェーホフが子ども時代に辛い体験がおおかったからそう言う内容が多いと。知らなかった。 いたずら、はちょっと軽いタッチで伝えたい本質も伝わった。かわいい、は、それってかわいいの?と意を唱えたくなるが、男性目線から見れば自分がなく好きな人にひたすら染まる女はかわいいのかもしれない。愛を読む人で読まれてた。奥さんは子犬を連れて、は両思いながらも不倫関係で結ばれない2人の話だった。意外なテーマだ。本編とは別に、チェーホフの言葉で「結婚するなら僕の空に毎晩現れないお月様のような妻がいい」と言っていて、病気のチェーホフはそれが現実になった。この心理は意外とどの男子も持っている願望じゃないか。女性の神秘性や影のある感じ、いつまでも恋人でいたいという。一方で女性は、太陽のような明るく強い男性を好むだろう。そしていつもその温かな光で照らし守ってほしいという。男女の分かり合えなさの序章。もう少しロシア文学を読んで深めてみたいと思う。

    1
    投稿日: 2023.01.04
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    ロシア文学に詳しい方からのオススメ✨ まさか、自分がチェーホフを読むとは思ってもいなかった! これが解説付きで、とてもわかりやすい。 チェーホフの短篇の感想としては、芥川龍之介の作品を思い出した。 登場人物の誰にも感情移入出来ず、傍観者として「こんな話があったとさ」と聞かされている感じ。 傍観者だからこそ、残酷な話も悲劇もなんだか、クスッと笑ってしまう。 そんな魅力のある作家チェーホフなんだな。 ロシア文学って深い。

    3
    投稿日: 2021.12.15
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    小林聡美推薦の一冊。初チェーホフ。ふーん、そんな世界があるのかあ、と。 1900年前後、ロシアのとある場所は、こんな感じの物語がどこかでおこり、こんな感じの会話が交わされていたのかな? ワーニカ、子どもがじいちゃんにがんばって手紙を書く話。無防備であったところに、かわいそうすぎる話を読んでしまい、胸が苦しくなった。なんというか、いまも、そのかわいそうな後味が胸の奥に残っている。これが文豪と言われる所以か?

    0
    投稿日: 2021.06.13
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    葉村対ハムラが1ケ月持たなかったので、年間読書企画と名を打って[チェーホフ&村上春樹〜読みきれるか〜]を7月25日から始める。  ただ、チェーホフは全集で1969年の初版でバーコードは無いので登録できず違う本を借りた。今は 2巻めに入っている。全16巻別巻が2冊なので終わらない気もする。

    0
    投稿日: 2020.09.18
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    初めてのチェーホフだったけど、沼野さんの細かな解説がありがたく、とても楽しく読めた。 チェーホフに限らず、ロシア文学には小さく、弱く、愚かな人によりそう優しさがあり、そのへんが好きな理由かなと思った。 ドストエフスキーとかと比べると登場人物がとても素直で、本心を語っている感じがよくわかる。(ドスト氏の登場人物は喋ってる内容が本心なのか嘘なのか判別しづらいと思う)

    3
    投稿日: 2019.11.16
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    これすごい、一冊の本として情報量もまとめ方にも専門家ならではの手腕を感じる。こんなものが手軽に読めてしまうのはお得である!何気に初チェーホフ、面白い!!!短編面白い!!!もっともっと読みたいしカーヴァーと比べたりしたい。

    3
    投稿日: 2019.02.14
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    チェーホフ初読。 思想を押し付けない。説明をしない。ただ語る。と言う印象。文学としての純粋性というか専門性が高いと思った。

    1
    投稿日: 2018.11.03
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     13篇の作品のそれぞれに、翻訳者によるとっても丁寧な解説が加えられています。チェーホフの作品を読むのは初めてでしたが、この解説のお陰ですんなり作品の世界に入っていくことができました。  残酷だったり、皮肉たっぷりだったり、冷笑的だったり、いずれの物語も真っ直ぐではなく捩くれていて、かなり暗くて危ないです。物語の背景となる自然や人々の暮らし振りの描写からして暗い。この暗さはロシアの風土と歴史と社会制度に根差したもののような気がします(因みにチャイコフスキーやショスタコーヴィチなどのロシアの作曲家の音楽も根が暗いですね。何だか似ていると思います)。  「この短篇はユーモア雑誌に掲載された」などと解説にあるけど、こういった作品を「ユーモア小説」なんて言ってよいのでしょうか? ロシアのユーモアは日本人のユーモアとは相当程度違うものだと思いました。  個人的には「中二階のある家」、「牡蠣」、「ロスチャイルドのバイオリン」がよかったです。これらの作品でチェーホフは、人間をちょっと斜めから眺めているようでいて、実はその身も蓋もない本質をズバリと言い当てている気がします。

    4
    投稿日: 2017.05.26
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    ロシア文学って“誤解を受けやすい”と思う。その思潮や言動が必ずしも日本人が美徳と考えているものと一致せず、この本は特に、他の露人文豪の作品を並べて見ても、日本人からすると不可解なものが多いように思える。 したがって、自分の感性に合う・合わないだけでこの作品群を評価してしまうのは早合点であり、もっと人間本来の真性に照らして“深く”読むべき。 そうなると分量としては少ないこの短編集の作品を読み終えるのは私にとって意外と時間がかかった。有り体に言うと「この作品、何が言いたいの?」と感じて終わる作品もいくつかあり、1つ読み終えました、ハイ次、とは中々ならず、熟考のためしばらく本を置くというのも1回や2回ではなかった。 そうなったらどうすればいいだろう?そのためのテキストを翻訳者の沼野さんはちゃんと考えて、各作品には「講義ノート」とでも言うべき解説文を付けてくれている。 沼野さんの解説で特に私が興味を引いたのは「せつない」に付けられた『ロシアの「トスカ」』について。 その前に「せつない」の筋に簡単に触れると- 辻ぞり(冬のロシアのいわば“タクシー”)の老御者イオーナは客待ち中に雪が体に積もるのも気にしない。そしてごくたまに来る客を乗せても、心ここにあらずといった様子。しかしイオーナはふと客の方を振り返り、唇を動かして何か言おうとしてるのか?そうとも見える。しかし言葉は出て来ない。そんなこんなで誰かに何かを話そうとするがいっこうに成就しない。それは聞いてもらえないというのもあるが、それよりも、イオーナは話したいのだけど、話すための何かが揃わないと話が喉でつかえてしまい、そのまま飲み込んでしまう、そんな感じ。実は彼は息子を不慮の病気で失ってしまっていた…(これはほんの導入部なので筋の全開はしてません。安心してください。) 沼野さんはトスカについて、ロシア語以外の言語への翻訳が困難な独自の語彙を持つと書いている。そして詩人リルケが、自分の中にある最も言い表したい感情がロシア語で言うトスカであり、母語のドイツ語ではその感情のあやが言い表せないと煩悶する様が詳細に引用されている。 つまりトスカとは「ペーソス」ではなく、また「心痛」や「憂鬱」も一面しか表していない。 私が「せつない」を読んで、沼野さんの説明も読んで感じた「トスカ」とは、本来の精神状態では真円の状態であるものが、言葉では言い表せない何か“欠けるもの”が(ごく一部でも)存在し、そのために他人からは真円、つまり普通に見える感情が真円たりえないために心の内部の整合性が取れず、精神的バランスを崩してしまうものと解釈してみた。 そうなると、一般的にはイオーナは誰にでも息子の死を話すことで同情をしてもらえることになるのだが、心に欠けたものがあるために、心が同情を本能的に拒絶し、そのため口から言葉が出なくなるということになる。 それは、他人からすると「同情得られたら楽になるよ」というつもりかもしれないが、イオーナからしたらわかってるかのような態度を取ってほしくない、大切なものを安っぽい言葉で汚してほしくないという感情に結び付き、これは日本でも震災での被災者が安直に「ケアしましょう」と言われるのをものすごく不快に思うのと同じ感情で、人間の共通する心理として理解できる。 ただ、日本語ではそういう感情を的確に言う単語がないが、ロシア語だとそれは「トスカ」になるということだと理解した。 そうなると沼野さんは解説で『「せつない」は元々日本では「ふさぎの虫」と翻訳されていて原題のニュアンスがこれでは伝わらない』と書いてはいるが、私の『「トスカ」=心の中が何か理由不明で欠けている』説に立つと、「ふさぎの虫」(=気分がふさぐことを虫のせいであるとしていう語(大辞林))という邦題も言い得て妙、と言える。 以上のようにロシア文学の意義を正確に移すのがいかに難しいか!それを沼野さんは「キモい」「なごみ系のルックス」「ナンパ」という言葉すら翻訳で用いて、チェーホフの生きた息吹そのままをわたしたちの現代感覚で読めるように配慮している。 異論や批判もあるだろうが(私も正直少し違和感はある)、トータルでは私はこれもアリだと思う。この翻訳が合うか合わないかは時代が証明してくれるから、今結論は出さずに数年後に見てみればよい。ダメならば数年後には先人の訳が残りこの訳は淘汰されることになる。

    9
    投稿日: 2016.07.10
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    残酷なまでに冷徹な眼差しで描かれた作品世界を包み込む愛とユーモア。チェーホフの世界を平易な言葉で解説し,しかも文学の読み方をこれほどわかりやすく,深く教えてくれる本は稀である。みずみずしい新訳とともに,読者をロシア文学の豊かな世界へと導いてくれる入門の書。 *推薦者(国教)T.O. *所蔵情報 https://opac.lib.utsunomiya-u.ac.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB00371254&initFlg=_RESULT_SET_NOTBIB

    1
    投稿日: 2015.04.17
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    良かった。憂鬱だけど絶望しているわけじゃない。だからといって声高に何かを叫ぶわけでもなく穏やかに優しく見守るチェーホフおじさん。そんな感じ。 一編ごとに詳細な訳者解説があるのは賛否両論あると思うけど、個人的には訳者のチェーホフ愛が感じられて良かった。

    1
    投稿日: 2015.01.13
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    チェーホフはこの女性を呪おうと思って書き始めながら、当初の意図に反して祝福してしまった、なぜなら、自分の存在のすべてを捧げて人を愛することができる「かわいい女」は、滑稽であるどころか、神聖であり、このような無私の行為こそが、人間を最も神に近づけるのだから。トルストイ 牡蠣、の解説にロシア版小僧の神様〜〜みたいな事が書いてあって、あー納得と思った。

    1
    投稿日: 2014.11.01
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    チェーホフがこんなにおもしろい短篇を書く人だなんて知らなかった。どの作品も不条理だったり残酷だったり皮肉っぽかったりと不思議な味わいがある。各篇の後に訳者による詳しい解説が載っていて、物語の背景や従来の訳との違いについて詳しく説明されているのもいい。

    1
    投稿日: 2014.09.10
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    この本は短篇集なので、その名の通り短いお話がいくつか収録されています。読んでいて、昔、芥川龍之介の著作に夢中になって、繰り返し読んでいた日々を思い出しました。チェーホフと芥川が似ている点は、人間の滑稽な部分だとか物悲しい部分を鮮やかにいくつもの短篇に描き出しているところ。 この本に収録されている短篇の中では「ワーニカ」という話が特に印象に残りました。ワーニカは9歳の男の子。両親を失い、都会のお金持ちの家へ奉公へ出された彼は、奉公先でのひどい仕打ちに耐えられず、クリスマス・イブの夜に村の祖父へ宛てて「自分を引き取ってほしい」と助けを求める手紙を書きます。ちょっと可笑しく、すごく哀しく、残酷な話。 この物語に出てくる「村のじいちゃんへ」(На деревню дедушке)という言葉は、この物語から派生した慣用句として現代ロシア語の辞書にも登録されているそうです(訳者の作品解説より)。どういう意味の慣用句なのか書いてしまうとネタばれになるので書きませんが、手紙好きとして印象に残る内容でした。 (2012年に読んだ時の感想を転載)

    1
    投稿日: 2014.07.26
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    大学のゼミでこの本からとった「いたずら」の一編を読んだ時からすごく気になっていた。そして思ったとおりはまった。 訳者による気合いのはいった解説(もはや「ロシア文学講義」である)が短編ごとに挿入されるのは、ちょっと野暮ったくはある。けどそのおかげで童話「おおきなかぶ」の謎の「一本足」くん(とても笑える)にも出会えたし、リルケの「トスカ」という言葉をめぐる切実な手紙も素敵だし、なによりチェーホフの逸話はどれも面白いので良しとする。 なかでも自分的に大ヒットは「牡蠣」だ。絶賛。大拍手。 解説にもあるけれど、ピュアな想像力を前に「わ!うれしい!」となっちゃうこと請け合いなのだ。 あと女の人にまつわる話はぜんぶいい。 チェーホフの特徴としてあげられている、 ・呼びかけが届かない ・子供の話がとにかく残酷 の2点が気になる。 とりわけ「ワーニカ」における呼びかけの断絶は圧倒的だ。 子供がじいちゃんにはじめて手紙を出すが、そもそも宛名がきちんと書かれていない……という滑稽な話のなかに人間関係の根源的といってもいいような不条理を感じてしまう。それがなにしろ「生きるか死ぬか」がかかっている重大なメッセージなのにもかかわらず。 「ねむい」では子守の娘と泣きじゃくる赤ん坊……もちろん赤ん坊に「言葉」というメッセージを送るわけにはいかない。そう考えるとやはり、あの結末しか考えられない? 「言葉」が届かない状況で小説に何ができるか…というのはすごく今日性のある話というか、いや、小説が小説である限りつきまとうのかな…とか。 短編は普段あまり読まないけれど、「短編すごい!」と思える本だった。 長篇に劣るものとしての短編ではなく、この短さでしか伝えられないものがあるのだと思い知った。

    4
    投稿日: 2013.12.07
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    初めてチェーホフの著作を読むこととなった。 新訳とのことで、くだけた形の訳も多く、分かりやすいのだが文学作品が・・・という印象も持ったが、読みやすかった。 自分自身のロシアに対する印象もあるが、明るいお話でも決して明るく感じることはなく、短いお話でも心を軽くえぐられるような内容のものもあり、不思議な深みがあった。

    1
    投稿日: 2013.10.14
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    訳者の表現が偏りすぎな部分もあるが(とくに他のロシア文学も読んだことのある自分はナッちゃんで興ざめ)、作品ごとに解説があり、全体的に講義をうけているような雰囲気で、自分のようなチェーホフ初心者にはありがたい一冊だった。 解説は、近くて遠い国ロシアのわかりづらい文化などにも及んでいて、これをきっかけにロシア文化を知ってみようと思った。 もったいない。 いままでの人生でチェーホフを知らなかったなんて。 急に詩的な羅列が入る部分など秀逸で、その言葉の選び方のセンスまで憎たらしいほど素敵である。 訳者がチェーホフを「七分の死に至る絶望と三分のユートピア希求の夢」というふうに表現しているのだが、この分配がぴったりくる人にはたまらなくだいすきになってしまう作家だと思う。

    1
    投稿日: 2012.11.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    どの短編も読み易いだけではなく心の奥底にずしりと響いてくる重みがある。徹底的に観察された人間の本質・精神世界を俯瞰するように体験できる短編集となっている。どれが素晴らしいなどと論じるのもおこがましい気もするが、個人的な好みで言うならば、『いたずら』が一番好きである。人の心を玩ぶその様は読了後にニヤリとさせられてしまう。原書を読めない語学力のなさが本当に残念である。また、訳者の沼野氏による解説も非常にユニークで文学的探究心・好奇心を刺激される。機会があれば是非講義を受けに行きたいと思うとともに、もっとロシア文学を純粋な気持ちで愉しみたい、そう感じさせられる一冊である。

    1
    投稿日: 2012.06.08
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    話ごとに解説があってとても親切でした。新訳だったのででとても読みやすかったです。好きな話はナッちゃんが出てくる奴と「かわいい」って奴

    1
    投稿日: 2011.12.05
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    父がご贔屓の作家のひとり。小さい頃から背表紙だけでは見かけた名前「だから」開かなかったのだけど、身近な読者の書評をきいて、開いてみた。親子というのは、なんだか面倒くさい関係で、それでも素面で読むのは悔しい。で、一杯加減で、でさらにグラスを片手に読んでみたところ、これが、丁度いい。飲みながらチェーホフを読むのがどうやらマイブーム。ノンアルコールで臨むには、今少し時間が必要か?しかし、この人、なんて距離をもって人を観察しているのだろう。父も、多分、この距離で母を見ていたのだろうな。

    1
    投稿日: 2011.09.29
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    なっちゃんのはなしが好き!「いたずら」(今までは「たわむれ」と訳されてきた)雑誌初掲載の結末と、その後文庫化した時の結末がこうも違うなんて!もちろん改訂版の方が、味のある結末になってるけど、初版のハッピーエンドもこれはこれで考えさせられる。ロシアの広大な大地と寒さ、ロシア人の人柄、少しだけ垣間見れた。

    1
    投稿日: 2011.09.03
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    思い切った改訳と、思い入れあふるる解説で、チェーホフがぐっと身近に感じられる一冊。「好きだよナッちゃん」といった訳し方の破壊力がすごい。でも、それとはぜんぜん別の次元でチェーホフはものすごい。 <収録作品> かわいい(可愛い女)、 ジーノチカ、 いたずら(たわむれ)、 中二階のある家ーある画家の話、 おおきなかぶ、 ワーニカ、 牡蠣、 おでこの白い子犬、 役人の死、 せつない、 ねむい、 ロスチャイルドのバイオリン、 奥さんは子犬を連れて(小犬を連れた奥さん)

    1
    投稿日: 2011.04.25
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    気持ちはわかるけど、思い入れが多すぎる かも でも面白く読めました。 TOCKA 切ない、ふさぎの虫…etc この言葉深く胸に残りました

    1
    投稿日: 2011.02.16
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    前から読もうと思っていたチェーホフをようやく読み始めました。虐げられた人等、弱者や平民の視点で描かれているなぁという印象。あっさりと、でも少し毒がある感じ。 でも、訳がうるさいなぁ。原文のニュアンスを伝えようとしている訳者の努力はよくわかるのだけれども、やはり読んでいて気持ちが悪いのはどうしようもない。 一作毎に訳者コメントがある本は初めて読みましたが、最後にまとめてあると忘れていたりするので、この点は良いと思います

    1
    投稿日: 2011.01.18
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    好き、とかそういう言葉じゃない感じで、 私の中に残るんです、チェーホフ。 ロシア語に「トスカ」というのがあるのだとかで、 それは哀愁とか切ないとか、 日本語にはなかなか置き換えづらいものだそうで、 私はその「トスカ」というやつをいつも自分なりに感じていて、 チェーホフを読むとその「トスカ」をしんしんと感じます。 胸に深く残ったのは、 「いたずら」「ワーニカ」「ねむい」 でした。 特に、「いたずら」は、 もう私の中で忘れられない短篇になりました。

    6
    投稿日: 2010.11.14