
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
上巻を読み終わった。苦しかった。しんどかった〜。 江戸天保3年(1832年)、江戸を目指して熱田を出発した千石船。悪名高い遠州灘を抜ける際、舵取り岩松(のちに岩吉と改名)の、夜のうちに渡った方がいいという助言を聞かず、ぐずぐず出発を延ばし、ちょっと風がキツくなると休息を取り、嵐に巻き込まれると岩松の反対も押し切ってマストを切ってしまった。そこからが長い長い漂流の始まり。帆船なのに帆を上げることもできず、ただゆらゆら海の上を漂うばかり。1年以上も漂い続け、14人いた乗組員は最後には岩松を含む3人だけになってしまった。正直者で心優しい音吉、明るい性格の久吉、そして無口で豪胆な岩松は結局自分の言うことを聞かなかったせいで漂流することになってしまったのに最後まで責めたり怒ったりしなかった人格者。残るべくして残った若き青年(音吉と久吉は少年)たちは最後にはなんとアメリカ西海岸、カナダとの国境フラッタリー岬に漂着したのだ。江戸時代には多くの千石船が日本の海を行き来していたが、岩松たちのように漂流し、命を落とした人はかなりいたらしい。いたたまれない読後感。 中巻、フラッタリー岬でインデアンに奴隷として囚われる。なんとか脱走を試みようとして岩松はこっそり紙と筆を盗み出して手紙を書き、カヌーでやって来る商人に渡した。このあたりスリリング。その手紙を偶然目にしたイギリスハドソン湾会社のマクラフリン博士が三人をインデアンから助け出すことになる。え、当時のイギリス人が日本人のためにお金を出して助ける?半信半疑でネットを調べてみると、なんとこの話実話なのね。1年以上漂流して太平洋を横断したのも実話。イギリス人に助けられたのも実話。それどころか、この後、イギリスの軍艦、商船、アメリカの民間船と乗り継いでイギリス経由でマカオまで辿り着き、そして念願の日本へ。実に日本を出発し5年間かけて地球一周したのだ。費用は全てイギリス持ち。なんとかして音吉たちを日本に返してやろうと英米共に最後まで協力してくれたのだ。‥それなのに‥ 時は江戸終盤、鎖国の最中オランダやイギリスが何かとちょっかいをかけて来るので警戒心が半端ない。音吉たちが乗った丸腰のアメリカ船にも大砲を撃ち込んでくる始末。やっと日本に辿り着いたのに、さぞかし無念だったことでしょう。 キリシタン絶対御法度の日本。しかし音吉たちを助けてくれたマクラフリン博士もマカオで世話になったギュツラフ牧師も敬虔なキリシタン。特にギュツラフは三人の力を借りて聖書ヨハネ伝を日本語訳している。キリシタンにならないようにビクビクしながら訳本作りに協力する三人の様子が微笑ましい。出来上がった日本語訳も「ゴザル」とか「シラナンダ」とか武士言葉や名古屋弁?が入っていて面白い。生き残ったのが一人だけでなくて本当に良かったと心から思う。心細い中でも明るい久吉や頼もしい岩吉と一緒にいることがどれほど支えになっていたことか。 江戸時代における漂流は、幕府の鎖国政治が作り出した人災であるとも言えた。造船技術が優れているにもかかわらず、遠洋航行に耐える船を作ることを許さなかったからである。しかも長年彷徨った末、やっと帰ってきた漂流者を厳しい取り調べで更に苦しめた。せっかく戦のない平和な時代なのに外交を拒んだために世界から完全に取り残されたのだ。歴史上の過ちは時間が経たないと気づかない。その過ちに多くの人が苦しめられるとしてもだ。 ジョン万次郎が漂流の末鹿児島に戻ってきたのはこの話の後、、1851年のことであるが、当時の藩主は島津斉彬。海外文化に興味を持つ彼は万次郎から洋式造船術などを聞き出しす。その後長崎、故郷高知の取り調べを受けたのち11年ぶりに帰郷し、母に会う。11年もかかったがとにかく生きてるうちに会えたのだ。音吉たちが鹿児島に入った時は斉彬の父斉興が藩主で、音吉たちは大砲で持って追い出された。もう少し時期がずれていれば‥歴史の偶然は罪深い。
0投稿日: 2025.03.17
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天保3年(1832年)、知多半島から出航した千石船宝順丸が、遠州灘で難破する。岩松、久吉、音吉の3人は、1年2ヶ月後、奇跡的に北アメリカに漂着する。彼らには想像を超えた運命が待っていた。
9投稿日: 2024.04.11
powered by ブクログ本作は、2006年に読んだ作品。 16年前になります。 三浦綾子さんの作品、当時は良く読んだものです。 以下、紹介記事の引用。 歴史に翻弄された男たちの数奇な運命! 天保3年(1832年)、知多半島から出航した千石船宝順丸が、遠州灘で難破する。岩松、久吉、音吉の3人は、1年2ヶ月後、奇跡的に北アメリカに漂着する。彼らには想像を超えた運命が待っていた。
21投稿日: 2022.12.19
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幕末に暴風雨にあって漂流し、アメリカ、イギリス、マカオなどをめぐり、やっとのことで日本に帰ってこれた音吉・久吉・岩吉の物語。 漂流し、最初にたどり着いたインディアンの住む土地までの感の話は、色々と事件や人間模様が溢れる内容で、結構惹き込まれたが、それ以降は、少し間延びした。というのも、なかなか日本に帰って来れないからだ。音吉たちが日本に帰ったら、両親や許婚などはどうなっているのか、岩吉もしかり。でも結局、話的には、日本にたどり着いて、追い返されて終わりというもので、物足りない。自分的には、その後の三人の顛末が気になった。資料的にはほとんど無いということだが、そこは作者がネタは少ないながらも、想像を働かせて、読者を惹きこんで欲しいと思った。 上巻は★3だが、中下をあわせて★2 全3巻
3投稿日: 2017.12.24
powered by ブクログ江戸時代の実話をもとにした漂流記。この時代の漂流はとても多かったそうです。国と国、人と人のつながりについて今だからこそ考えさせられる作品です。
2投稿日: 2012.09.19
